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エウレカ!エウレカ! 浮力の発見!
発行:神奈川県立川崎図書館 No.63(2013年3月) お風呂に入ったとき、プールで遊んでいるとき、自分の体が軽くなった感じがしませんか? ふりょく それは「 浮力 」という見えない力が、体にはたらいているからです。 鉄でできた船が沈まないのもこの浮力のおかげ。今回は浮力について 調べてみましょう! エウレカ!エウレカ! 浮力の発見! 今から約2300年前、古代ギリシャの学者であったアルキメデスは、町の共同風呂に入っ ているときに、浮力の原理を発見します。アルキメデスは、湯船に入ってあふれ出たお湯を見 て、水の中に入れた物体は、おしのけた水と同じ分だけおし上げようとする力がはたらくとい うことに気づきます。このおし上げようとする力が浮力です。アルキメデスは、この発見を大 ぱだか 喜びし「エウレカ(わかったぞ)!」とさけびながら、すっ 裸 で家まで帰ったというエピソ ードを残しています。 このアルキメデスの発見は、「アルキメデ エウレカ! スの原理」とよばれ、現在でも船の浮力の計 算などに使われ、役立てられています。 世界の科学者たちがどのようにひらめいて、どのように実験してきたのか。 歴史に名を残す科学者たちのものがたりです。 『天才たちの発明・実験のおはなし』 監修/米村でんじろう 出版/PHP研究所 2012 年 請求記号402 鉄の船はなぜ沈まないの? 浮力のパワー! 昔の船は、水に浮く木材でできていましたが、現在のほとんどの船は鉄でできています。重 くかたい鉄でできた船は、どうして沈まないで浮いているのでしょうか? ここで先ほどのアルキメデスの原理の登場です。船を海に浮かべる とき、船の重さで一部が沈みます。沈んだ部分と同じ体積分の水がお しのけられ、同じ分だけ船をおし上げようとする力、浮力がはたらき ます。この浮力と船の重さがつり合うと、船は浮くことができます。 くうどう 船は、鉄をうすくのばし、中を空洞にして作られています。これは、大きな 浮力を得るための工夫で、船に荷物や乗客を乗せても沈まないように、考えら れて作られています。 小学生の男の子が、船の歴史、しくみ、ボートレーサーについて調べていくお話です。 『船・ボートのひみつ(学研まんがでよくわかるシリーズ 64) 』 漫画/たまだまさお 出版/学研パブリッシング 2012 年 請求記号556 空気より軽くして、大空へ! 浮力がはたらくのは、水の中だけではありません。アルキメデスの原 理は、空気のような気体でも当てはまり、空気中でも浮力は生まれます。 身近なものでヘリウムガスが入った風船は、手をはなすと飛んでいってしまいます。 ヘリウムガスの重さは、空気を1とするとヘリウムガスは0.14、約7分の1の重さ で、とても軽い気体です。ヘリウムガスの入った風船は、押しのけた空気の重さが小さ いと浮力を得て飛んでいきます。飛行船は、この風船のしくみを大きくしたものです。 ねつききゅう また、空気より軽くして浮くものには、熱気球もあります。あたたかい空気は、冷たい空気 こうど よりも軽いので、熱気球は中にあたたかい空気を送りこんで浮かびます。高度を下 げるときは、熱気球のてっぺんにあたためた空気を出す穴があるので、 調節しながら下りてきます。 「力」と言われて思い浮かべるものはなんでしょうか。押す?引く?この本には、 おどろくほどたくさんの力がのっています。力学の第一歩に! 『力の事典 動きのひみつをさぐる』 著/大井喜久夫他 出版/岩崎書店 2012 年 請求記号 423 水の中を自由自在! 魚は浮力の達人! きかん 水の中でくらしている多くの魚には、体内に空気をためる「うきぶくろ」という器官があり、 うきぶくろの中の空気を調節して、浮いたり沈んだりしながら泳いでいます。しかし、魚類最 大のサメには、他の魚とちがい、うきぶくろがないので、浮力 をあやつることができず、つねに泳ぎつづけています。 魚とエビのふしぎな関係や、貝の住まいなど、魚・貝のふしぎな生態がわかります。 『魚・貝の生態図鑑(大自然のふしぎ 増補改訂) 』 編・出版/学研教育出版 2011年 請求記号487 海に浮かぶ巨大な氷 氷山 北極・南極などの寒いところの海には、氷山が浮いています。氷山は、 小さいものから船の大きさをこえるものまで様々です。 こお たいせき みつど 水は凍ると体積が増え、密度が小さくなるので、氷のほうが水よりも 軽くなり浮きます。また、氷の体積分の水の重さが浮力としてはたらくので、 コップの中で浮く氷も、海に浮かぶ氷山も、浮いている原理は同じです。 北極と南極のくらし方、生き物、自然現象など、北極・南極がよくわかる1冊! 『北極と南極(100の知識 第4期) 』 著/スティーヴ・パーカー 出版/文研出版 2011年 請求記号402 地震でおこる浮力の現象 ひがしにほんだいしんさい ひがい 東日本大震災では、多くの被害がありました。中にはニュースなどで地面 がさけて水があふれだし、マンホールが浮き上がる映像を見た人もいるのではないでしょうか。 えきじょうか これは、海の埋め立てや、昔は田んぼだったなどの、水分を多く含んだ土地で起こる「液状化 げんしょう じばん 現 象 」というものです。地震の強い揺れで、砂の粒の結びつきが弱まり、固体だった地盤が 液体のようになります。液体のようになってしまった地盤は、建物など重いものを支えること ができず、沈んでかたむいたりします。もう一方では、地中にあるマンホールや配管などは、 中が空洞で浮力を得やすく、地面から浮き上がってきます。 地震大国日本。忘れたころにやってくる地震に備えて、地震のしくみから、防災 についてよくわかる本です。家で簡単にできる液状化現象の実験もあります。 『地震の大研究 恐ろしい自然現象』 著/大木聖子 出版/PHP研究所 2009 年 請求記号453 科学実験教室を開催! 子どもたちが浮力の実験をしました 川崎図書館では、定期的に小学生を対象とした科学実験教室を開催 しています。2月に「水の中で浮いたり沈んだりするふしぎな金魚を 作ろう!」と題した教室を開催。今回の教室は、お弁当などに入って いる金魚型のしょうゆ入れを使って、「浮沈子(ふちん 金魚に色をぬります し)」というおもちゃを工作しました。 浮力を利用したこのおもちゃは、水が入ったペットボトルに浮沈 子を入れ、ペットボトルを押すと浮沈子は沈み、手をはなすと浮か びます。 浮沈子にはおもりがついていますが、中に空気があるので浮いて います。ペットボトルを押すと、その力はペットボトルの中の水に おもりをつけ、金魚の中に水 を入れて、浮沈子の完成! 伝わり、浮沈子の中の空気が押しちぢめられます。空気がちぢまる と浮力が弱くなるので、浮沈子は沈みます。手をはな すと、浮沈子の中の空気がもとにもどり、浮かびます。 子供たちは、金魚型の浮沈子のほか に、回転する浮沈子も工作し、自分た ちで作った浮沈子で楽しく遊び、浮力 について学びました。 浮沈子の他に、かんたんにできる実験がもりだくさん。ぜひチャレンジしてみてね! 『科学の実験(ジュニア学研の図鑑) 』 編・出版/学習研究社 2009 年 請求記号407 今回は、浮力について調べてきました。浮力の他にも、重力・圧力・遠心力・まさつ力など、 たくさんの力があります。力は、私たちが生活していく中でとても必要なものです。くらしの 中で、どのような力があるのかは、みなさんで調べてみてください。では、また次号! 〒210-0011 川崎市川崎区富士見 2-1-4 TEL 044-233-4537 FAX 044-210-1146 図書館のHP:http://www.klnet.pref.kanagawa.jp/