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保育所給食の手引き

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保育所給食の手引き
保育所給食の手引き
(平成22年4月)
奈良県健康福祉部こども家庭局こども家庭課
目
次
Ⅰ 趣旨.......................................................................... 2
Ⅱ 運営管理...................................................................... 2
1 運営方針の明確化............................................................ 2
2 給食の組織.................................................................. 2
3 職員の配置.................................................................. 3
4 給食運営会議の開催.......................................................... 4
5 職員研修.................................................................... 4
6 給食業務の流れ.............................................................. 4
Ⅲ 栄養管理...................................................................... 7
1 保育所給食の区分............................................................ 7
2 食事摂取基準を活用した食事計画 .............................................. 7
3 食品構成................................................................... 13
4 献立作成................................................................... 17
5 給食の評価................................................................. 19
6 おやつについて............................................................. 19
7 乳児期における栄養管理..................................................... 19
8 1∼2歳児における栄養管理................................................. 22
9 食物アレルギー............................................................. 23
Ⅳ 作業管理..................................................................... 25
1 食品の購入と保管........................................................... 25
2 調理....................................................................... 25
3 盛り付け配膳............................................................... 25
Ⅴ 食育......................................................................... 25
1 食育活動の計画と評価....................................................... 25
2 子どもに対して............................................................. 26
3 家庭との連携............................................................... 26
4 地域との連携............................................................... 26
Ⅵ 衛生安全管理................................................................. 26
Ⅶ 事務管理..................................................................... 28
1 給食関係帳簿整理の必要性 ................................................... 28
2 整備すべき帳簿の種類....................................................... 28
保育所給食の手引き
Ⅰ 趣旨
子どもが豊かな人間性を育み、生きる力を身につけていくために、また、子どもの健康支援
のために「食」はたいへん重要である。乳幼児期における望ましい食習慣の定着及び食を通じ
た人間性の形成・家族関係づくりによる心身の健全育成を図るため、保育所では食に関する取
り組みを積極的に進めていくことが求められている。
保育所での食事は、子どもが食欲を中心とした自らの意欲をもって食事及び食環境にかかわ
る体験の場を構成するものであり、子どもが保育所での食事を通して、「食を営む力」の基礎
を培うことが出来るよう、保育課程に位置づけられた食育計画のもと、保育所のすべての職員
の共通理解を得ながら進められる必要がある。
このような給食業務及び給食を通した食育の適正で円滑な運営を図るために必要な要領を定
めるものである。
Ⅱ 運営管理
1 運営方針の明確化
計画的な給食実施のため、運営方針として次の事項等を明確にし、職員間で共有する。
① 給食の目的
② 給食の組織
③ 給食責任者
④ 給食運営会議
⑤ 給食時間
⑥ 園児の把握(嗜好調査・残食調査・身体状況、疾病・アレルギー等の状況等)
⑦ その他給食運営に必要な項目等
2 給食の組織
給食を行うための組織は、保育所の規模等によって異なるが、施設長のもとに給食責任者及
び調理責任者を定め、給食業務についての責任体制が明らかにされるようにするとともに、全
職員が協力し合って運営できる体制を整える。
図1 組織図(例)
事務部門 − 事務員等
施設長
保育部門 − 保育士・看護師等
給食部門 − 栄養士・調理員等
- 2 -
(1)
施設長は、給食実施上の最高責任者として、給食運営方針を決定するとともに、全職
員が協力し合って給食を運営するため、給食部門と他部門との協力体制整備の指導を
行う。
(2)
保育部門は、施設長の指示のもとに児童の配膳、下膳を行うとともに、自ら食事を摂
取できない園児に対して介助等を行う。さらに、子どもの身体状況・健康状態や生活
状況、給食の摂取状況の観察並びに残食の状況を十分把握して給食部門との情報共有
を図る。また、給食部門との密接な連携のもと食育を実施する。
(3)
給食部門は、施設長の指示のもとに、給食の栄養管理、調理配膳、衛生管理、給食関
係事務を行う。さらに、保育部門との密接な連携のもと食育及び栄養指導の強化を図
る。
給食部門の責任者は、管理栄養士や栄養士等給食や栄養管理に関し専門の知識を有する
者が当たるべきであるが、管理栄養士等が配置されていない場合は施設長、主任保育士ま
たは調理師が責任者となって、全職員が協力できるような体制を整える。
給食部門における調理責任者は調理員等(調理師の配置されている場合は調理師)があた
り、給食部門の責任者の指導のもとに業務を行う。
表1 給食部門の業務について
給食部門の責任者の業務
調理責任者の業務内容
・調理の準備
・給食運営会議の開催運営
・調理(一般調理、特別調理)
・給与栄養目標量、食品構成等の算定
・盛り付け、配膳
・献立の作成及び栄養価の算出
・食器の洗浄、消毒、収納
・食品材料の購入計画、発注、検収、保管、受払
・厨芥、残菜の処理
・検食、保存食に関すること
・調理器具、機材の手入れ
・栄養指導、食育
・給食関係施設内外の環境整備
・給食の効果の検討、評価
・衛生管理に関する記録
・給食関係帳簿の記録、確認、保管
・給食部門の衛生管理および給食従事者の健康管理
・給食施設設備、作業環境等の改善
・管轄保健所等との連絡、連携
・その他の給食改善業務
3 職員の配置
保育所における職員は、児童福祉施設最低基準に定められた職員を配置すること。
「児童福祉法による保育所運営費国庫負担金について」(昭和 51 年 4 月 16 日厚生省発児第
59 条の 5 厚生省児童家庭局長通知)では、調理員等については定員 40 人以下の場合は 1 名、
定員 41 人以上 150 人までは 2 人、定員 151 人以上の場合は 3 人以上を配置することとされて
いる。
健康増進法及び健康増進法施行規則では、継続的に 1 回 100 食以上または 1 日 250 食以上の
食事を供給する施設(「特定給食施設」という。)においては、栄養士または管理栄養士を置く
ように努めることと定められ、さらに特定給食施設のうち、1 回 300 食以上または 1 日 750 食
- 3 -
以上の食事を供給する施設栄養士のうち少なくとも一人は管理栄養士であるように努めること
と定められてている。
「児童福祉施設における「食事摂取基準」を活用した食事計画について」(平成 22 年 3 月 3
0 日雇児発第 0330 第 1 号厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長通知)では、児童福祉
施設において食事摂取基準を活用する場合は、管理栄養士等による適切な活用を図ることとさ
れており、食育の推進や「日本人の食事摂取基準」に基づく栄養管理を実施するためには保育
所に栄養士が配置されていることが望ましい。
4 給食運営会議の開催
施設において、給食業務の円滑な運営を図り給食の目的を達成するためには、施設長をはじ
め給食部門の責任者及び関係職員の参加による給食運営会議又はこれに代わる会議を設けて定
期的に開催し、給食に関する内容について協議し、意見の交換や知識・技術の研鑽の場とする
ことにより、給食運営の向上を図る。
また、会議の記録及び整理を正確に行い、給食運営の向上に積極的に活用する。
委託給食の場合は委託側・受託側双方の関係者が出席し、積極的に意見交換を行う。
(1) 構成メンバー 施設長
給食部門関係者(栄養士、調理員等)
保育部門関係者(主任保育士・保育士等)
その他の関係者(医師、保健師、看護師、事務職員等)
(2) 開催回数
定例として月 1 回開催し、問題のある場合は臨時に開くことが望ましい。
(3)
協議内容例
① 給食計画(年間、月間等)について
② 献立の内容について
③ 喫食の状況(残食の記録等)について
④ 検食簿指摘事項の改善について
⑤ 子どもの様子や保護者からの要望・意見について
⑥ 施設・設備の改善について
⑦ 給食の衛生的な取扱いについて
⑧ 栄養指導、生活習慣指導、食育の実施について
⑨ その他給食運営に関すること
5 職員研修
給食業務を円滑に進めるため、食育、給食運営に必要な知識や調理技術、衛生管理等につい
て研修を受ける等、資質の向上に努める。なお、施設全体で共通認識を図るために、調理担当
者のみならず必要に応じて責任者や保育部門の研修にも配慮するとともに、研修結果について
報告する機会等を設ける。
6 給食業務の流れ
給食業務の運営については、栄養管理、食育計画、衛生管理等給食実施に係る業務を総合的
- 4 -
にとらえ管理する。
(1) 目標設定
子どもの発育・発達状況、栄養状態、生活状況について把握した上で、「保育所保育指針」
(平成 20 年 3 月 28 日厚生労働省告示第 141 号)の内容及び「保育所における食育に関する指
針」(平成 16 年 3 月 29 日雇児保発第 0329001 号厚生労働省雇用均等・児童家庭局保育課長通
知)に示された「食を営む力」の育成に向けた 5 つの子ども像等の実現を視野に入れつつ、子
どもの特性に配慮した目標を設定する。
(2)
計画
① 提供する食事の量と質、食品や調理方法、食事環境等に配慮した献立を作成する。
② 適切な食事のとり方や望ましい食習慣の定着等をねらいとし、子どもや保護者に対
する食に関する情報提供や食事づくりに関する体験の機会の提供等の実践を計画す
る。
③ 給食が衛生的かつ安全に行われるよう衛生管理体制を整える。
(3) 実施
計画に基づき調理及び提供、並びに食育実践を行う。
(4) 評価
残食調査結果や嗜好調査、個人の喫食状況調査の結果、給食内容検討表や栄養月報等を活用
することにより、計画に基づき調理及び提供、並びに食育実践が行われたか、また設定した目
標が達成できたかを確認し評価を行う。評価結果は給食運営会議等で共有する。
(5) 再計画
評価結果に基づき食事計画の改善を図る。
- 5 -
図2 保育所給食運営の全体像
参考:保育所給食運営の全体像∼保育所給食業務の流れ∼ (「保育所給食実施要領」長崎県 H20.2 改訂より)
- 6 -
Ⅲ 栄養管理
1 保育所給食の区分
保育所における給食は、子どもの発達・発育状況や生活状況を把握し、必要な質と量が確保
できるよう提供することが必要である。
保育所における給食は調乳、離乳食、3 歳未満児食(1∼2 歳児食)、3 歳以上児食(3∼5 歳児
食)に分類され、それぞれ対象児に適した調理によりきめ細かい給食を実施する。
図3 保育所給食の分類
調乳
3 歳未満児食
離乳食(5,6 か月頃・7,8 か月頃・9 か月
から 11 か月頃・12 か月から 18 か月頃)
保育所給食の区分
1∼2 歳児食
3 歳以上児食(主食を除くおかずとおやつの給食)
2 食事摂取基準を活用した食事計画
心身の成長・発達が急速に進む幼児期において、保育所で提供する食事が子どもたちに与え
る影響は極めて大きい。また、生理学的な観点からエネルギーや各種栄養素を十分かつ過剰に
ならない範囲で摂取してもらうことに加え、「食育」の観点からも子どもたちにとって好まし
い食事を提供できるよう、各施設は努力する必要がある。したがって、日本人の食事摂取基準
(2010 年度版)に示された栄養学的な考え方や各種の基準値、活用の基礎理論を十分理解する
とともに、おいしく食べることの出来る食事を計画することが重要である。
保育所における給与栄養目標量については、「児童福祉施設における食事の提供に関する援
助及び指導について」(平成 22 年 3 月 30 日雇児発第 0330 第 8 号・障発第 0330 第 10 号厚生労
働省雇用均等・児童家庭局長及び社会援護局障害保健福祉部長通知)及び「児童福祉施設にお
ける「食事摂取基準」を活用した食事計画について」(平成 22 年 3 月 30 日雇児発第 0330 第 1
号厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長通知)に基づき設定する。
- 7 -
図4 食事計画の流れ
参考:―食事提供に関する計画―
(「保育所における食育の計画づくりガイド∼子どもが「食を営む力」の基礎を培うために∼ 」
平成 18 年度 児童関連サービス調査研究等事業 食育政策の推進を目的とした保育所における食育計画に関する研究より)
- 8 -
(1) 食事提供のための実態把握
身体計測、食事状況調査等から得たデータに基づいて、園児の栄養状況を評価することを
「栄養アセスメント」と言う。保育所で行う栄養アセスメントは、次の2つがある。
① 個々にあった給与栄養目標量を算出するために、身長・体重測定を行い、栄養状態
をアセスメント(栄養評価)する。
② 給与栄養目標量に基づいて提供した食事が、園児に適したものであるかを定期的に
アセスメント(栄養評価)する。
図5 栄養評価の流れ
(2) 給与栄養目標量の設定
保育所における給食は、昼食とおやつが基本であるが、家庭での食事(朝食、夕食)と合わせ
て 1 日の給与栄養目標量となるため、家庭での食事内容や生活時間、生育歴、病歴及びその他
子どもの特性についての把握が必要である。特に食物アレルギーにより配慮が必要なケースや、
宗教上の理由により特定の食品が食べられないケース等、個別の対応が必要となる場合が増え
ている。
保育所における給与栄養目標量は、個々の年齢、性別、栄養状態、生活状況等を把握・評価
し、提供することが適当なエネルギー及び栄養素の量を設定するが、年齢階級等の別に給与栄
養目標量を設定しても差し支えない。保育所では主に調乳、離乳食、1∼2 歳児食、3∼5 歳児
食にわけて献立を作成されていることから、給与栄養目標量は 1∼2 歳児、3∼5 歳児について
設定されることが多い。なお、0 歳児は個人差が大きいため、あくまで個別対応を基本とする。
給与栄養目標量は、定期的に見直すように努め、特に、月年齢・身体発育状況等の変動の大
きい年度後半には、設定し直すことが望ましい。
「児童福祉施設における「食事摂取基準」を活用した食事計画について」(平成 22 年 3 月 3
0 日雇児発第 0330 第 1 号厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長通知)による保育所に
おける給与栄養量の目安は以下の通りである。
昼食:生活状況等に特段配慮すべき問題がない場合には、1 日全体の概ね 1/3
おやつ:発育・発達状況や生活状況等に応じて 1 日全体の 10∼20%程度の量
保育所における給食形態は、3 歳未満については、ごはん、パン、めんを含む完全給食、3
歳以上児については主食を除くおかずとおやつの給食を行う。
- 9 -
区分
離乳食以前
離乳期
1∼2 歳児
3∼5 歳児
表2
家庭
6時
6時
6時
朝
朝
(25%)
朝
(25%)
保育所における食事時間と栄養量の考え方(例)
保育所
家庭
備考
9 時・12 時・ 3 時
6 時・ 9 時 3 時間おきの場合
10 時 ・ 2 時
6 時・10 時 4 時間おきの場合
10 時 ・ 2 時
6 時・10 時 離乳期のはじめ
10 時・ 昼 ・ 3 時
夕
離乳期のおわり
10 時・ 昼 ・ 3 時
夕
保育所で 1 日の 50%を給
(50%)
(25%)
与する場合
昼 ・ 3時
夕
保育所で 1 日の 50%を給
(50%)
(25%)
与する場合
延長保育に伴いおやつ及び夕食を給与する際は、1日あたりの食事摂取基準の 10%及び 25%
程度を目安にする。各施設においては、保育時間や家庭での食事等の子どもの生活状況の他、
地域性や各施設の特性を十分勘案した上で柔軟に対応し、給与栄養量の割合を設定すること。
(3)
エネルギーの給与栄養目標量
① 調乳・離乳食
乳児のエネルギー量は、乳児ごとの推定エネルギー必要量を用い、保育の実態(保育時間
やほ乳量、離乳食の進み具合)に合わせた扱いとする。
成長曲線等に当てはめ、身体発育を継続的にモニタリングしていくことが重要である。
推定エネルギー必要量=総エネルギー消費量+エネルギー蓄積量
表3 乳児期における推定エネルギー必要量の算出に必要な参考データ
総エネルギー消費量
エネルギー蓄積量
(kcal/日)
(kcal/日)
母乳栄養児 92.8×体重(kg)-152.0
120
0∼5(月)
人工栄養児 82.6×体重(kg)- 29.0
120
母乳栄養児 92.8×体重(kg)-152.0
15
6∼11(月)
人工栄養児 82.6×体重(kg)- 29.0
15
② 1∼2 歳児食及び 3∼5 歳児食
各対象者の体重をもとに、推定エネルギー必要量を算出する。それらの分布状況を確認し、
年齢階級別(1∼2 歳児食、3∼5 歳児食)に給与栄養目標量を設定する。
成長曲線等に当てはめ、身体発育を継続的にモニタリングしていくことが重要である。
推定エネルギー必要量=(基礎代謝量×身体活動レベル)+エネルギー蓄積量
- 10 -
表4 幼児期における推定エネルギー必要量の算出に必要な参考データ
基礎代謝量
身体活動レベル エネルギー蓄積量
(kcal/日)
(kcal/日)
男児 体重(kg)×61.0
1.35
20
1∼2 歳
女児 体重(kg)×59.7
1.35
15
男児 体重(kg)×54.8
1.45
10
3∼5 歳
女児 体重(kg)×52.2
1.45
10
男児 体重(kg)×44.3
1.55
15
6∼7 歳
女児 体重(kg)×41.9
1.55
20
(4)
その他の栄養素の給与栄養目標量
① 調乳・離乳食
乳児の給与栄養目標量は、食事摂取基準を参考に、月齢や発育状態、健康状況を考慮しなが
ら乳児の実態に沿って定める。乳児期は発育の個人差が大きいので、家庭での状況等も考慮す
る。なお、保育士と給食部門が常に連携をとりながら毎日の喫食状況を把握し、給食日誌等に
記録しておく。
② 1∼2 歳児食、3∼5 歳児食
1∼2 歳児及び 3∼5 歳児の給与栄養目標量は、食事摂取基準を参考に、成長期の食事である
ことを考慮し、不足が生じないように目標を設定する。食事摂取基準及び「児童福祉施設にお
ける「食事摂取基準」を活用した食事計画について」(平成 22 年 3 月 30 日雇児発第 0330 第 1
号厚生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課長通知)を踏まえ、以下の点に留意して設定す
ることが望ましい。
○たんぱく質 − 総エネルギーに対して 10∼20%を目安とする。
○炭水化物
− 総エネルギーに対して 50∼70%を目安とする。
○脂質
− 総エネルギーに対して 20∼30%を目標とする。
量(脂肪エネルギー比率)とともに質(n-6 系脂肪酸、n-3 系脂肪酸)にも
配慮するのが望ましい。
○ビタミン A、ビタミン B1、ビタミン B2、ビタミン C、鉄 −
食事摂取基準における推奨量(年齢階級児のほとんど 97∼98%が 1 日の
必要量を満たすと推定される摂取量)の最大値
○カルシウム − 食事摂取基準における目標量(生活習慣病の一次予防のために現在の日
本人が当面の目標とすべき摂取量)の最大値
(5) 給与栄養目標量の設定例
保育所通所年齢児の食事摂取基準は表5のとおりである。
- 11 -
表5 保育所通所年齢児の食事摂取基準
年齢 性別 エネルギー たんぱく質
1∼2
3∼5
※
※
※
※
脂質
カルシウム
鉄
ビタミン A ビタミン B1 ビタミン B2 ビタミン C 食塩相当量
(kcal)
(g)
(g)
(mg)
(mg)
(μgRE)
(mg)
(mg)
(mg)
(g)
男児
1,000
10∼20%
20∼30%
400
4.0
400
0.5
0.6
40
4 未満
女児
900
10∼20%
20∼30%
400
4.5
350
0.5
0.5
40
4 未満
男児
1,300
10∼20%
20∼30%
500
5.5
450
0.7
0.8
45
5 未満
女児
1,250
10∼20%
20∼30%
550
5.5
450
0.7
0.8
45
5 未満
エネルギー:推定エネルギー必要量
たんぱく質、脂質:総エネルギーに対する比率から算出した値として幅をもたせる
カルシウム:目標量
鉄、ビタミン類:推奨量
表2の例を用いて、保育所における給与栄養目標量を設定した場合の例を示す。各施設にお
いては、保育時間や家庭での食事等の子どもの生活状況の他、地域性や各施設の特性を十分勘
案した上で、保育所給食で給与する栄養量の割合を設定することが望ましい。例えば、保育所
の場合は子どもたちの生活条件により、就寝時刻が遅く、朝の食欲がなく朝食をわずかしか食
べてこない子どもが多いような保育所の場合は、家庭の生活時間の調整とともに午前のおやつ
の時間を早めにする等、また夕食時間が遅い子どもが多い保育所の場合は、午後のおやつを少
し遅くして内容を軽食にする等、保育内容や人員配置等を考慮して弾力性のある栄養配分を考
える。
また、主食を家庭から持参している場合はその主食分を差し引いて算定する。ここでは主食
量を 110g として算出しているが、各施設においては、実際の喫食量を各施設でできるだけ測
定し、適宜調整することが望ましい。
表6 1∼2歳児における給与栄養目標量例
エネルギー たんぱく質
食事摂取基準(A)
(1 日あたり)
昼食+おやつの比率
(=B%)
保育所における給与栄
養目標量(C=A×B/100)
※
脂質
カルシウム
鉄
ビタミン A ビタミン B1 ビタミン B2 ビタミン C
(kcal)
(g)
(g)
(mg)
(mg)
(μgRE)
(mg)
(mg)
(mg)
1,000
10∼20%
20∼30%
400
4.5
400
0.50
0.60
40
50%
50%
50%
50%
50%
50%
50%
50%
50%
500
13∼25
11∼16
200
2.3
200
0.25
0.30
20
たんぱく質、脂質:総エネルギーに対する比率から算出した値として幅をもたせる
- 12 -
表7 3∼5歳児における給与栄養目標量例
エネルギー たんぱく質 脂質(g) カルシウム 鉄(mg) ビタミン A ビタミン B1 ビタミン B2 ビタミン C
食事摂取基準(A)
(1 日あたり)
昼食+おやつの比率
(=B%)
保育所における給与栄
養目標量(C=A×B/100)
家庭から持参する主食
(米飯 110g)の栄養量(D)
保育所における給与
栄養目標量 (E=C-D)
※
(kcal)
(g)
(mg)
1,300
10∼20%
20∼30%
600
50%
50%
50%
650
16∼32
185
465
(μgRE)
(mg)
(mg)
(mg)
5.5
450
0.70
0.80
45
50%
50%
50%
50%
50%
50%
14∼22
300
2.8
225
0.35
0.40
23
3
0.3
3
0.1
0
0.02
0.01
0
13∼29
14∼22
300
2.7
225
0.33
0.39
23
たんぱく質、脂質:総エネルギーに対する比率から算出した値として幅をもたせる
子ども一人一人の 1 日の推定エネルギー必要量の最大値や最小値を表5∼7により設定した
目標量と比較し、大幅な差異が生じる場合は、配膳等の際に十分な配慮を必要とする。
3 食品構成
給与栄養目標量を満たすために摂取する食品を、食品群に分けてその種類と量を示したもの
である。献立を立てる場合に、どんな食品を選択して組み合わせたら、バランスのとれた良い
献立になるかの目安になるものである。
(1) 離乳食
離乳食の食品構成は、「授乳・離乳の支援ガイド」(平成 19 年 3 月 14 日厚生労働省雇用均
等・児童家庭局母子保健課)に示された「離乳のすすめ方の目安」を参考に作成するが、あく
まで目安であるため、常に子どもの成長・発達の状態を観察しながら食品構成を定める。
- 13 -
表8 離乳食のすすめ方の目安
(2) 1∼2歳児食、3∼5歳児食
表6及び7で設定した給与栄養目標量を満たすための食品構成例を表9及び10で示す。各
施設においては、家庭における食事の内容を考慮して、施設で設定した給与栄養量を満たすた
めの食品構成を作成する。
栄養価の算定にあたっては、施設において作成した食品群別荷重平均成分表を用いる(施設
において作成が困難な場合は表11を用いてもよい。)が、給食管理や栄養価計算のコンピュ
ータ等が整備され、日本食品標準成分表を用いた食品ごとの栄養価算定が可能な場合は、荷重
平均成分表を用いた食品構成は必要としない。
- 14 -
表9 1∼2歳児食の食品構成例
分量 エネルギー たんぱく質
脂質
カルシウム
鉄
(g)
(kcal)
(g)
(g)
(mg)
(mg)
(μgRE)
1(mg)
2(mg)
(mg)
肉
10
20
1.9
1.3
1
0.1
2
0.04
0.02
0
1
魚
15
24
3.4
0.9
30
0.4
4
0.01
0.03
0
類
卵
7
11
0.9
0.7
4
0.1
12
0.00
0.03
0
大豆製品
15
22
1.6
1.2
20
0.4
0
0.01
0.00
0
牛乳
100
67
3.3
3.8
110
0.0
39
0.04
0.15
1
乳製品
7
10
0.7
0.2
23
0.0
2
0.01
0.03
0
海草
1
1
0.1
0.0
7
0.3
3
0.00
0.01
0
緑黄色野菜
40
12
0.5
0.0
17
0.3
167
0.03
0.03
10
4 その他の野菜
30
10
0.4
0.0
8
0.0
2
0.01
0.00
4
類
果実
50
26
0.3
0.0
5
0.0
11
0.01
0.00
10
穀類
60
197
4.4
1.5
10
0.4
3
0.05
0.03
0
5
いも類
20
18
0.3
0.0
3
0.1
0
0.02
0.01
5
類
砂糖類
3
11
0.0
0.0
0
0.0
0
0.00
0.00
0
菓子類
6
19
0.4
0.5
4
0.0
2
0.00
0.01
0
油脂類
5
40
0.1
4.4
7
0.1
3
0.00
0.00
0
合計
488
18.3
14.5
249
2.2
250
0.23
0.35
30
給与栄養目標量例
500
13∼25
11∼16
200
2.3
200
0.25
0.30
20
2
類
3
類
6
類
- 15 -
ビタミン A ビタミン B ビタミン B ビタミン C
表10 3∼5歳児食の食品構成例
分量 エネルギー たんぱく質
脂質
カルシウム
鉄
(g)
(kcal)
(g)
(g)
(mg)
(mg)
(μgRE)
B1(mg)
B2(mg)
(mg)
肉
15
30
2.8
1.9
1
0.1
2
0.06
0.03
0
1
魚
20
32
4.6
1.2
41
0.5
5
0.02
0.03
0
類
卵
10
15
1.2
1.1
5
0.2
17
0.01
0.04
0
大豆製品
20
30
2.2
1.6
29
0.5
0
0.02
0.01
0
牛乳
100
67
3.3
3.8
110
0.0
39
0.04
0.15
1
乳製品
10
15
1.1
0.3
33
0.0
3
0.01
0.04
0
海草
1.2
1
0.1
0.0
9
0.3
3
0.00
0.01
0
緑黄色野菜
50
15
0.6
0.1
21
0.4
209
0.04
0.04
13
4 その他の野菜
40
13
0.5
0.0
10
0.0
2
0.01
0.00
6
類
果実
40
21
0.3
0.0
4
0.0
9
0.01
0.00
8
穀類
20
67
1.6
0.5
4
0.1
1
0.01
0.02
0
5
いも類
30
28
0.4
0.0
5
0.1
0
0.03
0.01
8
類
砂糖類
5
19
0.0
0.0
1
0.0
0
0.00
0.00
0
菓子類
10
31
0.6
0.8
7
0.0
4
0.00
0.01
0
油脂類
8
66
0.2
6.9
10
0.1
6
0.00
0.00
0
合計
450
19.5
18.2
290
2.3
300
0.26
0.39
36
給与栄養目標量例
465
13∼29
14∼22
300
2.7
225
0.33
0.39
23
2
類
3
類
6
類
- 16 -
ビタミン A ビタミン
ビタミン ビタミン C
表11 食品群別荷重平均成分表
食品群別
エネルギー
たんぱく質
脂質
カルシウム
鉄
ビタミン A
ビタミン B1
ビタミン B2
ビタミン C
食物繊維
kcal
g
g
mg
mg
µgRE
mg
mg
mg
g
米
354
6.1
1.0
6
0.8
0
0.09
0.02
0
0.6
パン類
283
9.4
6.2
32
0.5
22
0.09
0.05
0
2.3
めん類
273
8.2
1.4
14
0.6
1
0.07
0.02
0
2.0
その他穀類
366
8.1
2.0
26
0.7
0
0.10
0.16
0
1.8
いも類(生)
87
1.5
0.1
13
0.5
1
0.10
0.03
30
1.7
124
0.0
0.0
53
0.7
0
0.00
0.00
0
2.0
373
0.1
0.0
14
0.2
0
0.00
0.00
0
0.1
動物性
750
0.6
81.5
15
0.1
507
0.01
0.03
0
0.0
植物性
863
0.3
93.5
4
0.1
200
0.00
0.01
0
0.0
603
20.8
54.1
985
8.4
2
0.43
0.26
0
11.8
みそ
189
12.8
5.8
113
4.1
0
0.03
0.10
0
4.5
大豆製品
120
9.2
8.2
151
1.9
0
0.09
0.04
0
1.1
大豆
334
28.5
15.6
181
6.8
1
0.62
0.23
0
13.6
その他の豆類
269
11.6
1.4
46
3.3
0
0.11
0.03
0
11.1
魚介類(生)
131
18.8
5.3
53
1.0
27
0.06
0.17
0
0.0
干物、塩蔵、缶詰
250
37.0
10.1
664
7.1
18
0.11
0.16
0
0.0
練製品
114
11.7
2.0
25
0.7
0
0.03
0.06
0
0.0
肉類(生)
176
20.4
9.4
6
1.8
765
0.41
0.45
4
0.0
加工品
266
16.1
21.5
6
0.7
2
0.60
0.19
32
0.0
151
12.2
10.5
51
1.9
165
0.06
0.42
0
0.0
67
3.3
3.8
110
0.0
39
0.04
0.15
1
0.0
359
34.0
1.0
1100
0.5
6
0.30
1.60
5
0.0
乳製品
84
4.5
4.1
158
0.0
45
0.03
0.14
1
0.0
緑黄色野菜
29
1.2
0.1
42
0.7
825
0.07
0.08
25
2.4
その他の野菜
33
1.3
0.1
26
0.1
11
0.03
0.00
14
2.0
果実類(生)
50
0.5
0.0
9
0.0
52
0.03
0.01
23
0.9
加工品
63
0.5
0.0
7
0.2
15
0.04
0.00
10
0.6
海藻類
96
8.6
0.9
740
25.2
520
0.27
0.64
11
25.4
菓子類
347
6.3
10.4
76
0.9
45
0.06
0.12
1
1.0
穀類
いも類
加工品
砂糖類
油脂類
種実類
豆類
魚介類
肉類
卵類
乳類
牛乳
スキムミルク
野菜類
果実類
(資料:日本こども家庭総合研究所紀要 1998:奈良県)
4 献立作成
(1) 給与栄養目標量の確保
給与栄養目標量はあくまでも献立作成上の目安であり、個々の対象児の給与に際してはその
特性を十分配慮し、弾力的に用いる。
(2) 食品構成の活用
栄養給与目標量を満たすためには、どの食品をどの程度とればよい献立になるかを食品構成
- 17 -
に基づいて考える。
(3) 作成の期間
一定期間(1カ月程度)の予定献立を作成し、計画性のある食事が実施できるように配慮する。
(4) 嗜好の考慮
旬の材料や行事食を取り入れ、おいしくて変化に富んだものにするとともに年齢・性別・生
活活動状態等によっても嗜好が異なるので、子どもの嗜好を考慮する。
1 食の食事の中で、主食、主菜、副菜の食材や調理方法に重複はないか、全体の彩りや歯ご
たえ、バランス等についても確認する。
(5) 経費の適正
食費は栄養給与量を満たすために適正なものでなければならない。予算の中で良質の食品を
安価で購入し、1カ月平均で予算の範囲に収めるよう配慮する。
(6) 労力・時間の適正
調理は限られた時間内に仕上げなければならないので、調理員の人員や能力、調理器具、機
材の設備、調理時間等を考慮する。
(7) 安全性の確保
衛生的で安全な食品の選定を行い、内容のはっきりしないものは極力避けること。(新鮮で
ないもの、刺激の強いもの、嗜好飲料、興奮性のあるもの、添加物を多く含む食品、消化の悪
いもの等)
(8) 質・量の適正
入所児童の食事にふさわしい食品の量的確保、質的内容の改善、調理方法を考える。
(9) 食品材料の購入
食品別の廃棄率を見込んで購入量が決定されていること。
(10) 栄養量の日差
献立の栄養素等量は2週間または1カ月の平均が給与栄養目標量に達するよう努めるととも
に、日々の栄養素等量の日差をなるべく少なくするよう努力すること。
(11) 献立、人員の変動
予定献立は給食が終わると実施献立となるが、予定献立の内容に変動があった場合は必ずそ
の部分を訂正し、実施献立として結果を検討の上、保管すること。
(12) 喫食状況の観察
入所児童の喫食状況の観察を絶えず行い、その結果を献立作成に反映すること。
- 18 -
5 給食の評価
(1) 実施給与栄養量の評価
栄養出納表や給食内容検討表を活用し、科学技術庁資源調査会「五訂日本食品標準成分表」
または食品群別荷重平均成分表に基づき実施給与栄養量を確認し、給与栄養目標量と比較する
とともに、1人1日あたり食品群別給与量を確認し食品構成と比較し、提供した食事の評価を
行う。残食がある場合は残食量についても配慮して評価する。
(2) 栄養アセスメント
定期的に子どもの身長及び体重を計測し、成長曲線に照らし合わせる等、栄養状態の観察を
行い、(1)で提供した食事が入所児童に適したものであったかどうかを評価し、必要に応じて
給与栄養目標量を見直す。
6 おやつについて
(1) おやつの必要性
発育期にある子どもは、体が小さい割に多くのエネルギーや各種栄養素を必要とする。しか
し、消化・吸収能力が未熟なために、1回に摂取できる食事の量に限度がある。そこで、3回
の食事では必要なエネルギーや各種栄養素を満たせないので、食事の一部としておやつを補給
する。また、おやつは子どもにとって食事とは異なった楽しみのときであり、休息、気分転換
の場でもある。
(2) おやつの量
おやつからは、1日の給与栄養量の 10∼20%程度が望ましいとされているが、おやつを食べ
過ぎたり、不規則な時間に与えたりすると、食事のときに空腹にならず食事が進まないので注
意する。
(3) おやつに適した食品と内容
おやつは、子どもにとって食事の一部として重要であるので、おやつの選択にあたっては、
糖分・塩分・脂肪分の多い菓子類に偏らないようにすること。また市販品にたよらず、できる
だけ2∼3回/週は手作りおやつを実施する。
7 乳児期における栄養管理
(1) 栄養の特性
乳児期は生涯の中でも最も成長速度が速く、そのために体重1㎏あたりに必要とする栄養素
等量は大人に比べはるかに多い。しかし、消化・吸収機能は未熟であり、その未熟な代謝機能
で多くの栄養素を処理するためには、消化・吸収機能の発達段階に応じた消化しやすい状態に
調理した食事を与えなければならない。また、乳児期から幼児期前半にかけては咀しゃく機能、
摂食行動が次第に発達していくので、それに適した調理形態の食事を調整することが必要であ
る。
乳児の食事を扱う保育所では乳児の月齢、発育・発達状況に合わせて乳汁、離乳食を供与す
る。
集団の場においても、離乳の進め方は「授乳・離乳の支援ガイド」(平成 19 年 3 月 14 日厚
生労働省雇用均等・児童家庭局母子保健課)を参考にする。しかし、保育所の場での離乳食供
- 19 -
与は個人差を配慮しながらも、それぞれの月齢・進行状況にきめ細かく対応することが困難な
場合がある。集団の場では幼児食献立を基本にして食品を選択し、それを乳児に食べやすい形、
消化しやすい状態に調理して供与することが多い。
(2) 離乳食の食事計画
離乳とは、母乳又は育児用ミルク等の乳汁栄養から幼児食に移行する課程をいう。この間に
乳児の摂食機能は乳汁を吸うことから、食物をかみつぶして飲み込む事へと発達し、摂取する
食品は量や種類が多くなり、献立や調理の形態も変化していく。また摂食行動は次第に自立へ
と向かっていく。
離乳については、乳児の食欲、摂食行動、成長・発達パターンあるいは地域の食文化、家庭
の食習慣等を考慮した無理のない離乳のすすめ方、離乳食の内容や量を、個々に合わせて進め
ていくことが重要である。子どもにはそれぞれ個性があるので、画一的なすすめ方にならない
ように留意しなければならない。また、生活習慣病予防の観点から、この時期に健康的な食習
慣の基礎を培うことも重要である。
子どもの成長や発達状況、日々の子どもの様子を見ながら進めること、強制しないことに配
慮する。また、生活リズムを身につけ、食べる楽しさを体験していくことが出来るよう、一人
一人の子どもの「食べる力」を育むための支援を進める。
表12 0歳児の食事計画(例)
︵
家庭︶
1∼3か月
4か月以降
乳
離乳期
5∼6か月
7∼8か月
9∼11か月
12∼18か月
乳
乳
乳
乳
朝食
乳
離乳食+乳
離乳食+乳
離乳食+乳
6 時頃
7 時頃
8 時頃
9 時頃
乳
10 時頃
11 時頃
︵
保育所︶
12 時頃
乳
昼食
13 時頃
14 時頃
湯茶
15 時頃
乳
乳
湯茶
18 時頃
乳
乳
離乳食+乳
軽いおやつ+乳
16 時頃
17 時頃
乳
︵
家庭︶
湯茶
湯茶
湯茶
湯茶
乳
乳
離乳食+乳
離乳食+乳
夕食
乳
乳
乳
乳
乳
19 時頃
20 時頃
21 時頃
乳
22 時頃
保育時間中に提
供される食事の
種類と回数
乳
湯茶
3回
2回
乳
湯茶
2回
1回
離乳食+乳 1 回
離乳食+乳 1 回
乳
1回
乳
1回
湯茶
1回
湯茶
1回
- 20 -
離乳食+乳 2 回
昼食
湯茶
おやつ+乳 1 回
1回
1回
(3)
調乳
① 調乳室と設備
調乳室は、清潔、能率、衛生、安全性に重点をおいて場所を選定し、設計設備することが望
ましい。乳児室の一部分を仕切ったり、職員用の湯沸かし室等を共用したりしないようにし、
各種開口部出入口は閉じ、外部からのほこり、昆虫の侵入を防止するために網戸を設ける。
② 授乳回数及び時間
調乳は乳児の月齢によってその回数、量等異なるが標準的には表12のとおりである。離乳
開始前の乳児の授乳回数は、1カ月未満児では3時間おき7∼8回、1∼3カ月児では3時間
おきで6回、3∼5カ月児では4時間おきで5回が標準的なすすめ方である。
保育所の場合は、家庭の授乳時間との関係を十分調整しながら保育所での授乳時間を決定す
るとともに、保育内容との調整を十分はかる必要がある。
③ 調乳時の注意事項
調乳にあたっては「乳児用調製粉乳の安全な調乳、保存及び取扱いに関するガイドラインに
ついて」(平成 19 年 6 月 4 日厚生労働省食品安全部監視安全課)を参考に、衛生的な取扱いに
配慮する。
④ 授乳方法
授乳に当たっては次の点に留意する。
1) なるべく抱いて飲ませ、保育士と乳児との1対1の時間をもたせる。
2) びんをよく振ってから温度を確かめ、ゴム乳首を吸わせる。
3) 空気を飲ませないよう、いつも乳首に乳汁が一杯になっているように気をつける。
4) ゴムの乳首の孔が小さいと疲れ、大きいとむせる。弾力を失ったゴム乳首は使わない。
5) 残乳量を確かめ、ほ乳量を記録する。残乳は捨てて次回に飲ませない。
6) 授乳後数分間、前かがみに抱き軽く背中をたたいて空気を吐かせ、吐乳を防ぐ。
7) 授乳が終わったらすぐに容器を洗っておく。時間のない時は水の中に浸しておく。
(4) 冷凍母乳
母乳の果たす役割については、栄養面だけでなく、免疫効果やアレルギー疾患、スキンシッ
プの効用等、広く考えられている。特に、アレルギーの予防の面から、生後4ヶ月頃までは母
乳を与えることが望ましいとされているので、保育所において冷凍母乳を実施する時期の目安
はこの頃とする。但し、乳児の健康状態によっては多少時期がずれてもかまわない。
また、細菌やウイルス等の感染事故等を防ぐため、母親の冷凍母乳のみを受け入れることと
し、他児に与えることは絶対にしてはならない。また、母親や保育者等、冷凍母乳を取り扱う
人の手指の消毒や使用する器具等の衛生管理に十分注意する。
冷凍母乳の持参については、衛生的で新鮮な母乳をできるだけそのままの状態で赤ちゃんに
与えることができるような手順及び注意事項を母乳提供者に徹底するとともに、保育所内での
取扱いについても十分注意する。
① 搾乳
1) 搾乳器は、滅菌あるいは消毒したものを使用してもらう。
2) 搾乳前には、指、手首を石鹸と流水で十分洗浄してもらう。
3) 清潔な脱脂綿又はタオルを湯でぬらして、乳房、乳頭を清拭してもらう。
※一方ずつ乳房を十分絞りきってもらう。また、衛生的な環境で落ち着いて搾乳してもらう。
② 母乳バックの取扱い
- 21 -
1) 氏名、搾乳月日、時間、量を母乳バック付属のシールに明記してもらう。
2) 搾乳した母乳を母乳バックの中に入れてもらう。 ※1 バックは授乳 1 回分とする。
3) 空気を十分にぬいて、口がゆるまないように、巻いて接着させ 1)のシールを貼りつけ
てもらう。
※バックの内側を手でさわらないようにしてもらう。
③ 冷凍・保管
1) 準備できた母乳バックはすぐに冷凍庫(−15℃以下)に入れて凍らせてもらう。
2) 母乳バックはラップで包むかビニール袋に入れ、他の食品と直接触れないように保管し
てもらう。
※冷凍中は冷凍庫のドアの開閉は極力さけてもらう。また、一度解凍したものを再冷凍して
使わないようにしてもらう。
④ 冷凍母乳の持参
1) 保冷シート又は発泡スチロール箱に入れてもらう。
2) 搾乳後 24 時間以内のものを、凍ったまま保育所に持参してもらう。
※夏季や通勤距離の長い場合は氷片を入れる等の配慮をし解凍させないようにしてもらう。
⑤ 母乳提供者の健康管理
母乳提供者の健康状態が、子どもの健康に大きく影響することを考慮し、母親自身が常に栄
養のバランスに心がけ、毎日の健康状態に注意するよう指導する。また、次のような場合には
母乳をやめるよう伝える。
1) 感染症、特に乳腺炎にかかっている場合。
2) 発熱、下痢、肝炎等であったりその他異常がある場合。
3) 医療(抗生物質、ホルモン剤、鎮痛剤等)を服用している場合。
⑥ 保育所での保管
1) 冷凍母乳を受け取る際には名前、日時、冷凍状態等を確認し、冷凍庫(−15℃以下)で
保管する。
2) 庫内温度の上昇を防ぐため、扉の開閉はできるだけ少なくする。また、隔測温度計を備
え庫内の温度が外からわかるようにする。
⑦ 保育所での解凍及び加温
1) 授乳直前に解凍する。
2) 冷凍母乳は母乳バックのまま水につけ、数回水を取り替えて解凍する。
3) 解凍した母乳は、母乳バックの下の切り込み部分を引き裂いて、哺乳瓶に注ぐ。
4) 冷凍母乳は、40℃前後のお湯で湯煎にかけ、 乳児の体温に近い温度にあたためる。
※冷凍母乳の解凍は、水又はぬるま湯を使う。熱湯や電子レンジを使うと、母乳に含まれて
いる免疫体が破壊されるため使用しないこと。
※体温以上に加温しないこと。
※飲み残しは、細菌が増殖する可能性があるため、捨てること。
8 1∼2歳児における栄養管理
(1) 栄養の特性
幼児期の身体発育は乳児期についで盛んであるが、発育のスピードは次第に鈍り体重より身
長の伸びが目立つ時期になることから、体重1㎏あたりのエネルギー摂取量は次第に低下して
いく。そのため、今まで旺盛な食欲を示した乳児が幼児期に入ると生理的に同様の食欲を示さ
- 22 -
なくなることがある。
調理形態も、離乳期に引き続き1∼2歳児では食物の種類、分量、調理方法は段階的に進め
る配慮が必要である。
乳児期は与えられた食べ物の味、舌ざわり等によって好き嫌いを示すが、幼児期に入ると情
緒の発達に伴い、盛り付け、色彩等視覚による要素も加わる。また、環境、運動量等の心理的、
身体的な影響も受けやすく、食欲のむらが非常に目立つ時期である。
自我に目覚め、何でも自分でしたがる時期であり、模倣による生活習慣確立の時期でもある
ため、幼児期の心理的、身体的特性をよく理解した上で栄養的にバランスのとれた適切な調理
法による食事を用意しなければならない。食育・食事指導においても幼児の自主性の芽生えを
大切にし、強制や放任、甘やかしは食欲不振、偏食の固定化を招くため十分注意した上でよい
食習慣の確立をめざす。
(2) 調理・盛り付けに対する配慮
離乳が完了し幼児期に入り立ての頃は、まだ、食物を十分に咀しゃくすることが難しいので、
材料の切り方、柔らかさ等を配慮することが重要である。
また、味付けは離乳食よりも幾分濃くしても良いが、薄味を心がける。
幼児は色彩に敏感であり、それによって食欲も左右されやすいので、色の組み合わせを考え
た子どもに魅力的な盛りつけを心がける。
9 食物アレルギー
(1) 食物アレルギーとは
食物アレルギーとは、食物を摂取したときに、体が食物(に含まれるたんぱく質)を異物とし
て認識し、自分の体を防御するために過敏な反応を引き起こすことであり、この反応は、人に
よってその原因物質や反応を引き起こす量が異なり、同じ人であっても体調によってその反応
が変わる。食物を食べたときにアレルギー症状を引き起こす人は、その食物に対して反応を起
こしやすい体質を持っているということである。
(2) 食物アレルギーの症状
食物アレルギーの症状は、食べものを摂取したときに、じんましん、湿疹等の皮膚に現れる
症状、下痢・嘔吐・腹痛等の消化器の症状、鼻・眼の粘膜症状、咳・呼吸困難等呼吸器の症状
等がある。最も重症なのが「アナフィラキシーショック」といい、全身発疹、呼吸困難、血圧
低下、意識障害等の症状が現れて、反応が遅れると死に至る場合もある。
(3) 食物アレルギーのある子どもへの対応
食物アレルギーのある子どもへの対応に当たっては「食物アレルギーの栄養指導の手引き 2
008」(「食物アレルギーの栄養指導の手引き 2008」検討委員会)を参考にし、除去を実施する
場合には、医師の指示のもとに、担任保育士、看護師、栄養士等給食関係者がそれぞれ連携を
密にして、患児を援助していくことが大切である。
① 食物アレルギーが疑われるときには、嘱託医やその子どものかかりつけの医師に診
断を受け、その指示に従う。また、家庭との連携を密にし、その対応に相違がない
ように十分に心がける。
② 安易な食事制限や食品の除去をせず、嘱託医等の指示を受けるようにする。
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③ 医師の指示があり、食品の除去、代替食等を必要とする場合には、可能な限り対応
する。ショック症状や喘息等、強い症状が出現する場合には厳格に除去する。食品
の除去や代替食の対応が困難な場合には、家庭からの協力を得る。
④ 卵、牛乳・乳製品、大豆等のたんぱく質性食品や、小麦粉、米等の炭水化物を除去
する場合には、身体発育に必要な栄養素が不足しないように、栄養バランスのとれ
た食事になるように調整する。
⑤ 食品の除去や代替食等を必要とする場合にも、皆と同じ物を食べたい子どもの気持
ちを大切にし、同じような献立になるよう配慮する。
⑥ 献立作成にあたっては、保護者に使用食材を説明し、食品の除去や代替食の対応を
する。
⑦ 安易に長期間制限を続けるのではなく、定期的に主治医を受診し、指示を受ける等、
適切に対応する。
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Ⅳ 作業管理
1 食品の購入と保管
(1) 予定献立表に基づいた食品材料の発注書を作成し、廃棄量を考慮して、その分を含め
て購入すること。
(2) 検収にあたっては、搬入日時、賞味(消費)期限、製造元、納入業者、適切な温度での
納品、数量等、検収を確実に実施すること。
(3) 食品の保管にあたっては、倉庫、戸棚、冷蔵庫等のねずみ、ハエの侵入防止、通風換
気清掃保持について、充分留意すること。
(4) 貯蔵して使用するものについては、1 か月ごとに区切りをつけて現物と帳簿とを照合し、
実際の在庫量を確認しておくこと。
2 調理
(1) 献立表に基づいて調理を行うこと。
(2) 喫食者の立場に立った調理を行うこと。
(3) 味や仕上がりにばらつきがないように調理の標準化を行うこと。
(4) 調理作業の合理化を行うこと。
(5) ミーティングや給食日誌により、職員の連絡を密にしておくこと。
3 盛り付け配膳
(1) 盛り付けは衛生的かつ食器の変化、食品の切り方等食欲をそそるよう色彩や形状に配
慮がなされていること。
(2) 配膳、下膳は保育士等の協力を得て行い、また、食事摂取についての介助観察がなさ
れていること。
(3) 児童の喫食率の向上を図るため、適温給食及び食事環境の改善等について配慮されて
いること。
Ⅴ 食育
1 食育活動の計画と評価
保育所における食育は、「保育所保育指針」、「保育所における食育に関する指針」及び
「保育所における食育の計画づくりガイド」を参考に、各施設にあった指導計画を作成し、実
行すること。施設長の給食に対する理解は、円滑な給食運営を大きく左右するものである。ま
た、保育者の食事指導法や態度は、入所児童に強い影響を与えるものである。そのため、給食
の意義について正しい認識を持つとともに、給食運営の実態を正しく把握してもらうよう常に
働きかけることが大切である。また、保育士、栄養士、調理員、看護師等全職員が協力し食育
を進めることが不可欠である。
食育活動を行うには、まず、対象者の実態を把握し、問題点を抽出する。抽出した問題点か
ら課題が見え、食育の目標を明確にすることができる。これをもとに保育課程や保育計画と連
動した食育計画を作成する。
食育は短期間で結果が現れるものではないため、評価をするためにはめざす子どもの姿につ
いての保育課程に基づき、長期的目標と短期的目標を保育計画と連動した食育計画において設
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定することが必要である。例えば、よい生活習慣を定着させるためには、「生活習慣として手
洗いの習慣を身につける」という長期的目標を立て、次に「子どもが手洗いの意義と正しい手
洗い方法を理解する」という短期的目標を立てる。
この計画及び目標に沿って食教育の実施期間・回数・教材・指導者等を詳細に企画していく。
企画に沿って実施した後、企画、プロセス、結果のそれぞれの段階において評価を行ってみる。
評価を行う際に1つの方向から見るのではなく、様々な切り口で評価することが必要である。
例えば指導者側の配慮において目標は達成されたか、対象とされる子どもや保護者において目
標は達成されたか、また目標は適切であったか等である。これらにより、短期的目標の達成度
について評価することができる。さらに、長期的目標に向けて次の食育活動の企画へとステッ
プアップを図り、子どもの心身の健康づくりに努めていく。
2 子どもに対して
保育所での食育は、給食という実体験が食育であり、集団生活の中で友達と共通の食事をと
ることにより、バランスの良い食事、連帯感、食事のマナー等を学ぶ。さらに最近は紙芝居、
絵本、ぬり絵、食品絵カード、エプロンシアター、パネルシアター等の教材を使ったものや、
クッキングや菜園活動を通した食育も行われている。
また、食育は子どもの心身の発達段階に合わせた内容で、子どもの姿をとらえながら行うこ
とが必要である。そして、幼児期における食育のねらいは、子どもたちが自分の食生活に興味
を持ち、食べる意欲を育てることである。それには、子どもが自分の食生活に主体的に関わっ
て、食物がどのように作られ、それをどのように食べるのかを自ら体験することにより興味、
関心が高まってゆくものである。
3 家庭との連携
子どもの「食を営む力」の育成を目指し、保育所と家庭は連携・協力して食育をすすめてい
く。家庭に対し、保育所での子どもの食事の様子や、保育所が食に関してどのように取り組ん
でいるかを伝えることは、家庭での食育の関心を高めることにつながる。また、家庭からの食
に関する相談に応じ、助言・支援を積極的に行う。
具体的な取組としては、保育所から家庭への通信、日々の連絡帳、給食を含めた保育参観、
給食やおやつの試食会、保護者の参加による調理実践・行事等があり、家庭における食育の実
践が広がるように努める。
4 地域との連携
保育所で食育を進めるにあたっては、他の保育所等の保育関係施設、小学校等の教育機関、
保健所や保健センター等の医療、保健関係機関、食糧生産・流通関係機関等と密な連携をとり
ながら、食育の目標を共有し、地域における食育のニーズを把握し、それに基づいて食育の実
践を展開することが重要である。そのためには、日頃から施設の全職員が、地域の食育に関す
る情報の把握に努めることが重要である。
Ⅵ 衛生安全管理
保育所の給食は、特定多数人を対象に継続的に食事を供給することであり、そこで提供され
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る食事の対象ニーズに応じ、一定の制約の中で栄養管理がなされ、おいしく喜ばれるものでな
ければならず、また、衛生的で安全なことが条件である。
子どもは感染性疾患や食中毒に対する抵抗力が弱く、保育所における衛生管理は極めて重要
である。施設長は、給食施設・設備の管理、給食関係職員の健康管理等十分配慮するとともに、
給食が円滑に運営できるよう必要な措置を講じなければならない。
保育所における衛生管理の詳細については、平成 9 年 3 月 24 日付厚生労働省生活衛生局長
通知「大規模食中毒対策等について」の別添「大量調理施設衛生管理マニュアル」及び平成 9
年 6 月 30 日付厚生省児童家庭局企画課長通知「児童福祉施設における衛生管理の改善充実及
び食中毒発生の予防について」等の法令通知を参考に、衛生上の安全を徹底し、保健所食品衛
生監視員の監視・指導を受け、指導事項については速やかに改善する等、常に安心な食事の提
供に努めること。
また、平成 17 年 2 月 22 日付厚生労働省健康局長、医薬食品局長、雇用均等・児童家庭局長、
社会・援護局長、老健局長通知「社会福祉施設等における感染症等発生時に係る報告につい
て」に基づき、施設において感染症や食中毒が発生または疑われる場合は速やかに適切な対応
を行うこと。
図6 社会福祉施設等における感染症及び食中毒対策マニュアル(例)
入所者へ平素からの対応
施設内の対応
異常
あり
①平素のきめ細かい観察
乳幼児は自己の意思表示が困難なことから、常
に入所者の顔色、食欲、睡眠、排便、表情、行
動、検温等に注意し異常がないか観察に努める
②本人の訴え及び症状
軟便、下痢、嘔吐、発熱、腹痛等を本人が訴え
又は症状が確認できた場合
医療機関
○緊急時に備えて協力
・看護師等がい
れば相談
・施設長に必要
事項の報告
受診
病院を確保しておく
◇昼間
医療機関に搬送
協力病院又は近隣病院
※搬送時は職員が付き添う
感染症又は食中毒が判明した場合の対応
施設内の対応
◎具体的な対応は保健所と医療機関の指示に従う
◎入所者の不安軽減・解消に努める
◎患者や施設関係者等のプライバシー保護と人権尊重に努める
◎速やかに保護者への連絡を行う
◎市町村担当課へ報告
◎嘱託医への報告
奈良県庁
こども家庭課
指導
報告
報告
指導
報告
相談
報告
市町村担当課
指導
医療機関
感染症・食中毒
の判定
※結果報告及
び入所者等
への対応の
指示
保 健 所
指導
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報告
Ⅶ 事務管理
1 給食関係帳簿整理の必要性
・帳簿の整理は、給食の円滑な運営と栄養管理の実態が、十分把握されるようにするために
行われるものである。
・記録があまりにも簡単で実態把握が困難であったり、重きをおきすぎ事務に手をとられて、
調理がおろそかになったりしないようにする。
・帳簿と伝票を一緒にしたものを帳票と呼ぶ。この帳票によって事務のすべてが伝達、処理、
保存される。
・給食事務は給食業務を円滑にするための手段であるから、最小の事務量で最大の効果をあ
げるよう効率的に処理し、帳票類も設計、処理活用することが大切である。
2 整備すべき帳簿の種類
給食関係帳簿の様式は、必要な項目が備わっていれば形式にこだわる必要はない。給食関係
帳簿は多いほどよいというわけではないので、基本となる帳簿は必ず備え、効率よく活用する
ことが大切である。また、給食に関する帳簿の保存期間は、特に定められた場合を除き、一覧
表(表13)の保存期間を参考に保存する。
表13 給食管理上必要な帳簿一覧表
帳簿の名称
施設における給与栄養目標量及び食品構成表
予定及び実施献立表
給食日誌
食品材料発注書、食品納入伝票及び検収記録簿
食品材料受払簿
給食内容検討表、栄養出納表等
給食用スキムミルク受払台帳
給食従事者の健康管理簿
衛生管理点検簿
嗜好調査、残食状況調査綴
検食簿
給食運営会議録
特定給食施設等栄養管理報告書
保存期間
3年
3年
3年
1年
1年
1年
3年
1年
1年
3年
1年
3年
1年
・帳簿整理はそれ自体が目的ではなく、提供した食事を栄養的・経済的に検討、評価するた
めの科学的運営の手段である。
・帳簿を生かして上手に使うことが大切である。
(例)献立表等は1、2年前の同時期のものを参考にして作成する。
(1) 給与栄養目標量及び食品構成表
・「Ⅲ 栄養管理 2 食事摂取基準を活用した食事計画」に示す方法で入所児童の給与栄
- 28 -
養目標量を設定する。また、給与栄養目標量に基づき、食品構成を作成する。
(2) 予定及び実施献立表、給食日誌
・献立表は給食を行う場合の最も基本となる書類であり、食事給与の計画表として給食担当
者が立案、作成するものである。
・献立計画は通常1∼2週間分、または、10日、1カ月単位に作成し、施設長の承認を得
る。承認を得た献立表は、調理従事者に対する調理の指示書であるので、調理担当者は献
立にそって食事を調整する。
・給食実施後は実施献立表として保存し、翌年同時期の献立作成の参考として役立てるのも
よい。
・給食日誌は給食関係職員の出勤状況、残食状況等給食部門での1日の状況を記録するもの
である。単独の帳簿として作る方法もあるが、帳簿数が増えて繁雑になるので、献立表と
兼ねてもよい。
≪ポイント≫
・給食実施上の基本となる献立表を備え、日々実施した給食の状況を記録する。
・献立表は予定と実施を兼ねるものとし、給食終了後、実施内容を整理・検討して保管す
る。
・食材料を変更した場合は、予定献立を訂正し、実施献立とする。
・給食日誌を兼ねて、残食状況や検食結果等を併せて記入すると便利である。
・給食人数に大幅な変更を生じた場合は、予定献立を変更し、実施献立とする。
(3) 食品材料発注書、食品納入伝票及び検収記録簿
・献立表に基づき、必要材料をとりまとめて食品材料発注簿により食品業者に発注する。
・献立表から同一食品を取りまとめて1人あたりの数量を算出し、さらに予定人数を乗じて
必要総量を算出し、在庫量と照合して不足分を購入するようにする。
・食品業着から食品材料が納入されたら、証拠となる食品納入伝票(納品書)について数量、
単価、金額を確認する。そして伝票を業者別に綴り込み、業者から後日支払請求を受けた
際に、照合し、支払いができるよう整理する。
・納入された食品は1品ごとに品温、鮮度、包装、異物等について検収を行い、記録する。
≪ポイント≫
・業者に対しても、なるべく事務処理が繁雑とならないような様式であり、経理事務上処理
しやすい方法をとる。
・施設の菜園等で採取し給食に使用する場合も、その使用状況を明確にしておく。
(4) 食品材料受払簿
・食品材料の受払管理を適確に行うために食品材料受払簿を備え、品目ごとに欄を設けて受
払の都度記録し、日々の使用量および残高をはっきりさせる。これを実施献立の裏付とし、
貯蔵品の計画的使用、材料発注の際の参考にできるようにする。
・当日消費することが建前である生鮮食料品については、毎日の献立表と納品書から購入量、
使用量がつかめるので記帳を省略しても差し支えない。
・この帳簿は食品ごとに口座を設けて整理するのが原則で、見出しを付け索引として便利な
ように工夫する。
- 29 -
・受入欄の記載は納品伝票に基づいて記帳し、払出し欄の記載は献立の総使用量に基づいて
記入する。
・保存食品については常に貯蔵庫を整理し、帳簿数量と在庫量との照合確認に努める。
≪ポイント≫
・材料のうち貯蔵して使用する食品については、食品別に食品材料受払簿によって日々の
受払を明らかにするとともに、毎日の合計を算出する等、食品の受払管理の適正化を図
る。
(5) 児童福祉施設給食用スキムミルク受払簿
・児童福祉施設に配分されている脱脂粉乳は「関税暫定措置法」による免税品であるので、
一定の様式の受払台帳を備え、管理の適正をはかる必要がある。
・受け入れ及び使用の際にそのつど数量を記入し、記入にあたってはボールペン等を使用の
上、記入誤りの場合は 2 重線を引き訂正印を押す。また、毎月施設長の決裁を受けその残
量を管理する。
・台帳は、毎年度末頃、財団法人児童育成協会よりスキムミルクの利用施設に配布されてい
る。
(6) 給食内容検討表または栄養出納表等
・給食内容の適正を期するため、給食は予定献立に基づき実施するとともに実施した献立の
エネルギー、栄養素量、食品のバランス、栄養比率、食材料費等について計画通りに実施
できているか否かを検討評価し、絶えず適正な給食が実施されるよう努める必要がある。
・毎日の実施献立表から栄養量、食材料費等を算出し、毎日の状況を基準と比較して検討す
る。できれば1週間または1カ月単位の合計、平均を出してそれらの実績を評価検討しな
がら計画的に質の高い食事が提供できるようにする。
≪ポイント≫
・毎日の実施献立をもとにエネルギー、栄養素量、食材科費等を給食内容検討表に転記し、
1カ月の合計及び1日1人あたりの平均を算出する。これにより月別給食運営の状況を把
握し、翌月の給食運営資料として活用する。
(7) 給食従事者の健康管理薄
・給食に関する衛生管理の万全を期するため、「労働安全衛生規則」で定められた定期検診
および毎月1回(夏期は 2 回が望ましい。)の検便を行い、その結果を綴るほか個人別に健
康管理簿を整備し、常に未実施者が誰であるかを把握できるように整理する。
(8) 衛生管理点検簿
・特定給食施設における食中毒を予防するために、HACCPの概念に基づき、調理過程に
おける点検項目に従って点検を行い、適否をチェックして記録することが必要である。
・点検結果については、適切に点検が行われたことを衛生管理者に確認してもらい、点検簿
は1年間保管する。
(9) 検食薄
・給食における事故を未然に防ぐため、配食前に1人分の給食を食し、入所児童の給食とし
- 30 -
て適切かどうかを衛生面、嗜好、味覚面等あらゆる角度から確認する。給食内容の充実向
上等の面からも評価、検食時間、点検事項等を記録する。
(10) 嗜好調査、残食状況調査綴
・献立内容が作成者の好みに流れないよう、嗜好調査、喫食状況調査を随時行い、結果に基
づき児童の嗜好を生かした給食内容に改善することが大切である。また、結果は帳簿に綴
じ込んで整理する。
(11) 給食運営会議事録
・給食運営会議の資料および議事録等は、帳簿に綴じ込んで給食内容の改善等に活用する。
(12) 特定給食施設等給食管理報告書
・特定給食施設として 1 回 100 食以上または 1 日 250 食以上の給食を行っている施設では、
「健康増進法」の規定に基づいて栄養管理状況についての報告を保健所から提出を求めら
れる。保育所については、食数は特定給食施設に満たない場合であっても、栄養管理が必
要と考えられるものとして、特定給食施設以外の給食施設で保健所長が必要と認めた施設
は「奈良県特定給食施設等指導実施要領」により同様の報告を求められることがある。
・報告書の様式、回数等は保健所が指定する方法で作成して提出する。
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