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資料2−2

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資料2−2
資料2−2
信州大学工学部情報工学科
平宮康広
ネットワークのIP化に対応した電気通信設備に係わる技術的条件について
信州大学工学部情報工学科
平宮康広
DS-FTTH網の経済合理性に対する疑問
1-2
長野市川中島町有線放送農協
局舎数:
本局:
支局:
使用電柱数:
電力柱:
NTT柱:
自営柱:
その他:
加入世帯数:
加入者線数:
DSL回線数:
域内加入率:
3局
1局
2局(無人支局)
2290本
721本
84本
1468本
17本
約2000世帯
約2500回線(予備選も含む)
約450回線(電話重畳)
25%以下
世帯数/電柱数: 約0.87世帯
上田市川西有線放送農協
局舎数:
本局:
支局:
使用電柱数:
電力柱:
NTT柱:
自営柱:
その他:
加入世帯数:
加入者線数:
DSL回線数:
域内加入率:
3局
1局
2局(無人支局)
873本
299本
274本
300本
0本
約1200世帯
約1500回線(予備線も含む)
約200回線(電話重畳)
75%以上
世帯数/電柱数: 約1.37世帯
3-4
使用電柱数と加入世帯数の関係
川中島町有線放送農協は長野市内でもっとも人口が増大している犀
川以南にある。川西有線放送農協は上田市内でもっとも人口が増大
している千曲川以西にある。
川中島町有線放送農協と川西有線放送農協の事例は、NTT等の事
業者がアクセス網を構築する場面で使用する電柱数と加入世帯数の
関係を考察する上で十分な標本価値を有すると思える。
川中島町有線放送農協と川西有線放送農協の事例から、アクセス網
の域内加入率が50%の場面で使用する電柱数と加入世帯数が同じ
になるとの予想が成り立つ(域内加入率が100%の場面では使用する
電柱数が加入世帯数の半数になるとの予想が成り立つ)。
DS-FTTH網の合理性に対する疑問
DS-FTTH(PON)網は、もっとも無駄の少ない場合でも以下の条件下
で構築されていると考えてよい。
およそ電柱3本につき1個の割合でドロップクロージャが取り付けられている。
架空線に2心のテープ心を使用している(ただし1心が活線状態にある場合、空き状態にあ
る残り1心を単心分離することはできない)。
線路敷設工事費全体に占める線材費の割合は1/3程度である。
以上の条件に先の認識(域内加入率50%で電柱数と加入者線数が等
価になる)を加味して試算すると、DS-FTTH網を構築することによって
得ることができる節約可能な費用はSS-FTTH網を構築する場合と比
較して線路敷設工事費全体の数%でしかない(域内加入率が100%
の場面でも10数%である)。
5-6
信州大学工学部情報工学科
平宮康広
アクセス網の形態と中継網のトラヒックについて
加入者線の伝送速度の推移と予想
伝送速度
増大率
使用機材
-
テレックス
1975年
50bps
1985年
1200bps
x24
モデム
1995年
28.8kbps
x24
モデム
2005年
691.2kbps
x24
DSLモデム
2015年
16.5888Mbps
x24
?
2025年
398.1312Mbps
x24
?
2035年
9.5551488Gbps
x24
?
7-8
中継網のトラヒックの推移と予想(ピーク時の加入者平均)
トラヒック
増大率
1995年
2.0kbps
-
2005年
20.0kbps
x10
2015年
400.0kbps
x20
アクセス網の形態と中継網の帯域について
アクセス網の形態について
DSL回線サービスをブロードバンド通信と呼べるのは2010年頃までである。
DS-FTTH(ePON等)サービスをブロードバンド通信と呼べるのは2015年頃までである。
光ファイバの線路寿命を20年と仮定した場合、現時点で新たにアクセス系光網を構築する
のであればSS-FTTH網にすべきである。
中継網の帯域について
10万世帯にブロードバンド通信をサービスするには、中継線(中継網)の帯域は2015年の
時点で40Gbpsあればよい。
帯域が40Gbps程度の中継線は4回線以上の10GbEをCWDMで束ねることにより既存の光
ファイバケーブルの下でも容易に構築することができる。
当面、東ー名ー阪間等の光ファイバケーブルを新増設する必要はない。光ファイバケーブル
の新増設は過疎地を優先すべきである。
9-10
長野県協同電算の南信地域DF(ダークファイバ)中継網
松本
小野
岡谷
塩尻
辰野
下諏訪
諏訪
佐久
北山
美和
富士見
蓼科
白樺湖
平岡
長藤
中川
千代
宮田
蓼科西
飯島
駒ヶ根
富士見
高原
上片桐
中沢
伊那
茅野
南蓼科
高遠
原
箕輪
八ヶ岳
下久堅
松川
阿南
天竜峡
竜丘
狐島
南木曽
園原
飯田
平谷
阿智
清内路
山本
市田
木曽
喬木
NTT-DF
DFが利用できないため、
ATM専用線を使用
非NTT-DF
GC局
RT局
DSLAM
未設置
未定
不可能
浪合
(ATM)
大鹿
(ATM)
下条
(ATM)
境
(ATM)
旦開
(ATM)
売木
(ATM)
泰阜
(ATM)
遠山
(ATM)
川島
(ATM)
上村
(ATM)
根羽
(ATM)
泰阜南
(ATM)
長野県協同電算がNTT上村RT局敷地内に設置した自前BOX
11-12
長野県協同電算がNTT上村RT局敷地内に設置した自前BOX(正面)
長野県協同電算がNTT上村RT局敷地内に設置した自前BOX(背面)
13-14
信州大学工学部情報工学科
平宮康広
2020年のアクセス網と中継網
2020年のアクセス網の形態
2020年頃のトラヒック需要を満たすにはアクセス網の形態をSS-FTTH
にする以外に今のところ方法がない。
2010年∼2020年頃までの10年間にアクセス網の大部分をSS-FTTH
網に移行すべきである。
2010年頃までに低価格かつ良質で十分信頼できる次世代SS-FTTH
網の構築を検討する必要がある。
15-16
2020年の加入者線の伝送速度と中継網のトラヒック予想
加入者線
伝送速度:
200Mbps
伝送システム:
1GbpsのEthernet、もしくは100MbpsのEthernetを2回線
中継線(中継網)
伝送速度:
400Gbps (10万世帯でピーク時の加入者平均が4Mbpsの場合)
伝送システム:
40Gbps超のEthernetを10回線以上束ねたCWDM等
2020年の加入者線と中継線で使用する光ファイバケーブルの条件
加入者線(架空線)で使用する光ファイバケーブルの条件
同じテープ心内に活線状態の心線が存在する場合でも、空き心線の単心分離が容易に可
能なものでなければならない。したがって半径2∼3mm程度の曲げが生じた場面でも損失
による通信断が生じないものでなければならない。
かん路のハーフダクト利用や柱上での一束化等を容易にするために、外径が25mm程度で
あっても1000心程度の心線を実装することができる構造を持つものでなければならない。し
たがってテープ心の心線数は12心や16心等すべきであり、また従来のSZスロット型とは異
なる構造を持つものでなければならない。
中継線で使用する光ファイバケーブルの条件
偏波モード分散(PMD)による影響を抑制し、1波あたり40Gbps超の光通信が容易に可能な
ものでなければならない。したがってコアの形状が従来のものよりも真円に近いものでなけ
ればならない。
相互位相変調や四光波混合等による影響を抑制し、DWDM等の使用が容易に可能なもの
でなければならない。したがって分散傾斜等が小さなものでなければならない。
上記加入者線の条件を満たす光ファイバケーブルは、今のところホー
リーアシスト光ファイバケーブルだけである。また既設の光ファイバ
ケーブルで上記中継線の条件を満たすことはおそらくできない。
17-18
加入者線(架空線+引込み線)のマルチドロップ化
樹脂カプラ等
架空線(1心)
NTT局等
-3dB
-0dB
加入者宅
-9dB
-6dB
-3dB
-6dB
加入者宅
-9dB
加入者宅
加入者線のマルチドロップ化による恩恵と注意点
加入者線(架空線+引込み線)にホーリーアシスト光ファイバケーブル
を使用すれば、ドロップクロージャ等をすべてトレーを持たない小型の
ストランタム等に置き換えることができる。
これにより架空線上の任意の地点から引込み線を落とすことが可能
になり、また加入者線のマルチドロップ化も可能になる(1心の架空線
に3本までの引込み線接続が可能であることを実験により確認した)。
加入者線のマルチドロップ化は引込み線作業を容易にして工事コスト
を低減し、また架空線の再利用化を促進する(電柱移設等への対応を
容易にし、断線障害等からの復旧の迅速化も促進する)。
DS-FTTHの場合でも加入者線のマルチドロップ化は経済合理性を高
めるかもしれない。また10GbpsのePON等を可能にするとも考えられ
る。しかし10GbpsのePONでもDS-FTTHでは2025年頃のトラヒック需要
満たすことはおそらくできない。
19-20
加入者線システムの簡素化
従来のSS-FTTH
他局
NTT局等
コアスイッチ
エッジスイッチ
加入者宅
メディコン
メディコン
PC等
他局
次世代SS-FTTH
他局
コアスイッチ
NTT局等
加入者宅
エッジスイッチ
メディコン
PC等
他局
加入者線システムの簡素化による恩恵と問題点
加入者線を局側エッジスイッチに直収すれば、局側ラックの加入者線
収容密度を著しく高めることができる。
これにより機械設備費と電力費、その他コロケーション費用等を大幅
に削減することができる。
ただし、加入者線のループバック試験やポーリング監視、加入者宅メ
ディコンからのトラップの受信等はすべて上位プロトコルにより行う必
要がある。したがって上位プロトコルはplug&play機能をサポートしてい
る必要があるが、IPv6に実装されているplug&play機能には不備な点
が多い。とはいえ、IPv6を今のものよりも複雑で大きなプロトコルにす
ることもできない。
21-22
中継システムの簡素化
従来の中継システム
他局
コアスイッチ
(L2SW)
IP至上主義等
ISP事業者等
広域イーサ等
他局
他局
コアスイッチ
(L3SW)
他局
他局
他局
エッジスイッチ
(L3SW)
エッジスイッチ
(L2SW)
エッジスイッチ
(L2SW)
コアスイッチ
(L3SW)
次世代の中継システム
NGN、その他
他局
コアスイッチ
(L2SW)
他局
エッジスイッチ
(L3SW)
中継システムの簡素化による恩恵と現状
コアスイッチをL2SWにすれば、1波で40Gbps超の光通信回線を容易
に収容することができる。またコアループの機械設備費を低減させる
こともできる。
コアスイッチに多種多様なエッジスイッチを接続し、多種多様なサービ
スが可能になる。たとえば同じコアループ内に一般的なIP回線サービ
スと広域イーサによるVPN回線サービス等を混在させることができる。
とはいえ、EoEにより従来の広域イーサで問題となっていたMACアドレ
ステーブルの溢れとパケットループ問題は解消したが、ブロードキャス
トストーム等の問題は十分解消していない。広域イーサによる全国規
模のVPN回線サービスを行うにはまだ課題が残っており、一方、エッ
ジスイッチにMPLSやVPLSを実装してIP-VPN回線サービスを行うとす
れば、機械設備費やSI費用の増大を避けることができない。NGNにお
いても同一コアループ内に一般的なIP回線サービスとVPN回線サービ
スを混在させる場面での困難さはなくなっていない。
23-24
信州大学工学部情報工学科
平宮康広
ネットワークのIP化に必要な技術条件と技術開発
ネットワークのIP化に必要な技術条件と技術開発
多量のトラヒックをさばくために、全国のアクセス網をSS-FTTHに変更
する作業を今からはじめたほうがよい。また低価格かつ良質でしかも
信頼性の高いSS-FTTH網を構築するためにホーリーアシストファイバ
とその周辺機材(樹脂カプラ等)の開発、量産化を推進すべきである
(中継網の整備は、2010年頃までは過疎地を優先すべきである)。
低価格かつ良質でしかも信頼性の高いSS-FTTH回線を提供するため
だけでなく、端末機器を家電製品並みに容易に使用することができる
ようにするには、上位プロトコルのplug&play機能は必須である。しかし
IPv6は満足できるplug&playをサポートしていない。新たな上位プロトコ
ルを開発し、マルチスタック方式によるサービスを検討すべきである。
新たな上位プロトコルは、当面、IPの不備を補うOAM用プロトコルとし
て使用することになると思えるが、VPN回線やマルチキャストサービス
での利用も可能である。
NGNはカプセリングやトンネリングばかり重視し、マルチスタック方式を
軽視しているように思える。NGNの思想は、あまりよいものではない。
25-26
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