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小林製薬 社会・環境報告書2013

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小林製薬 社会・環境報告書2013
2013
ダイジェスト版
特集 雇用創出を通じた社会ニーズへの対応
小林製薬チャレンジドは、2011年11月に小林製薬グループの障がい者雇用の
促進ならびに障がい者が安心して就労できる職場の提供を目的に設立しまし
た。社名の「チャレンジド」とは、「挑戦という使命や課題、挑戦するチャンスや資
格を与えられた人」という語源から米国を中心に「障がい者」を表す言葉として使
用されています。
従業員54名以上を雇用する企業における障がい者の雇用は、法令により従業
員数の2.0%以上と定められています。しかし、障がい者を雇用するには、適した
仕事内容、業務の監督などの受け入れ体制を整えることが重要です。
特例子会社とは 障がい者のために特別に配慮した子会社を設立し、一定の要
件を満たしていると厚生労働大臣の認可を受けた会社のこと。特例子会社の障
がい者雇用数は親会社およびグループ会社全体の雇用として合算することができます。今回、小林製薬チャレンジドが特
例子会社となったことで、小林製薬、富山小林製薬、仙台小林製薬の障がい者の雇用率は2.13%となりました。(13年3月
末時点)
小林製薬が小林製薬チャレンジドを設立することで、障がい者の雇用の創出を
実現することが出来ました。富山小林製薬の敷地内に設立することで、富山小
林製薬の構内清掃や外周清掃などの今まで外部清掃会社に委託していた業務
を引き受けています。現在は7名の障がい者の方と、5名(1日3名として交代勤
務)の業務監督者の方で日々清掃業務に励んでいます。
当初は、障がい者のやりがいをどう高めていくか?今後、どのように雇用を拡大
していくか?などの課題がありました。また、富山小林製薬でも手間はかかる
が、なくすことはできない業務や、効率化したいけどなかなか実現できなかった
業務がありました。そこで、生産現場の課題を解決し、新たな業務を創造するこ
とができないかと人事部を交え話し合いをしました。
障がい者の方と一緒になって仕事をして仕事の流れを覚えてもらったり、安全に
作業を行えるように、区画整備や備品準備を行ったりして、誰もがわかる作業環
境を整えていきました。そうすることで、清掃業務以外の容器の洗浄や防塵服
の仕分け、一斗缶集約廃棄、廃棄物の分別など新しい業務に次々とチャレンジ
することができたのです。
今後は地元の富山公共職業安定所(ハローワーク富山)や障がい者支援施設
にもご支援をいただきながら、積極的に障がい者を採用し、業務を拡大させてい
きます。
清掃活動の様子
監督者と小林チャレンジド社員
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
特集 雇用創出を通じた社会ニーズへの対応
コメント
小林製薬チャレン
ジド(株) 社長
佐伯 貴範
小林製薬チャレンジドは多くの方の支援をいただきながら従業員12名で日々頑張っています。
現在は、障がい者2~3名に1名の業務監督者がついて業務にあたっています。障がい者であ
るという大前提とそれに対する配慮を忘れてはいけませんが、それ以外は健常者と変わりませ
ん。4月からは小林製薬グループの経営理念や行動規範なども唱和しています。富山小林製
薬の方も、作業の指導や手順書の作成などさまざまなところで積極的に協力してもらっていま
す。
今後、まずは今ある業務をしっかりとおこないながら、障がい者のさまざまな可能性、またそれ
に見合った職域を広げていきたいと考えています。
富山小林製薬にとって
小林製薬チャレンジドが設立されたことにより、富山小林製薬の構内清掃や外
周清掃などの今まで外部清掃会社に委託していた業務を移管することができる
ようになりました。
また、通常業務の時間を割いて対応したいたことを委託することにより、新プロ
ジェクトの推進、作業分析の時間を創出できるようになり、更に新製品の新しい
実機テストにかける時間を作りだしたり、グループ内での勉強会の実施頻度を高
めることが可能になりました。
講演会で発表する佐伯社長
小林製薬チャレンジド社員にとって
小林製薬チャレンジドの社員にとって、様々な仕事に取り組むことと、新しい業
務を創造することで生産現場の課題解決に繋げていくことは、仕事を通じて感じ
るやりがいのひとつです。
また、仕事に取り組むことで、小林製薬のものづくりを支えているという実感が得
られるという社員もいます。
小林製薬チャレンジド設立の目的を果たせるよう、富山小林製薬、小林製薬、小
林製薬チャレンジドの社員の三者が協力しながら日々の業務を行っています。
富山県富山市で初の特例子会社の認定を受けたことから、富山県内の多くの支
援学校や、企業から見学の申し出や講演の依頼をいただいています。
小林製薬チャレンジドで取り組んでいる独自の仕組みや、仕事を創造するプロセ
スなどを見学会や講演で積極的にお伝えすることにより、地域へ貢献していきま
す。
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
トップメッセージ
事業活動を通じてお客さまに貢献する
小林製薬グループでは、お客さまが少しでも快適に暮らせるよう、常にお客さまの立場にたって、お客さ
まが困っていらっしゃることを解決する製品を考え続けています。お客さまの"あったらいいな"を創り続け
ることが経営理念の実践そのものであり、わたしたちのCSR活動だと考えています。
製品が安全であることはもちろん、しっかりした効果を実感していただけること、お子さまからご高齢の方
までどなたにも使いやすい設計であること(ユニバーサルデザイン)、使い終わった後も捨てやすくゴミも
出にくい容器であること(エコパッケージ)などを丁寧に追求することで、全てのお客さまに喜んでいただ
き、選び続けていただけるものと信じています。
社会・環境での「快」を追求する
お客さまの困りごとは家庭の中だけに限りません。当社グループならではの視点で、地域社会、自然環
境の中でも、さまざまな「快」を提供してまいります。長年にわたりトイレの快適を追求してきた想いを込め
て、世界遺産にバイオトイレを、小学校に洋式トイレを寄贈しています。また、廃棄物の削減やリサイクル
の推進など、日々の暮らしの中での環境保全にも努めています。
東日本大震災においては、一日も早い復興を願いグループをあげて支援活動を行ってきました。今まで
総額4億5,000万円の寄付金、支援物資、従業員による避難所のトイレ掃除などのボランティア活動を行い
ました。その他にも無利子無担保の「中小企業支援融資」や「震災特別奨学金」の無償給付も行なってい
ます。震災から2年以上が経った今も、残念ながら復興は道半ばです。今後もこの活動を継続してまいり
ます。
小林製薬グループはこれからも、社会のルールに則ったフェアな企業活動を行い、健全な事業成長と社
会的課題の解決の両立を追求していきます。お客さまにとって、地域社会にとって、自然環境にとって
の"あったらいいな"をカタチにし、全てのステークホルダーの皆さまから支持され、信頼される企業を目指
してまいります。
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
フェアな企業活動のために
小林製薬グループは、2003年4月「コンプライアンス委員会」を、取締役会の直轄
組織として設置しました。
この「コンプライアンス委員会」は、2007年5月から名称を「内部統制委員会」に変
更していますが、社長自らが委員長となって運営し、社外弁護士をアドバイザー
として、小林製薬グループ全体のコンプライアンス体制を監視し、対応策につい
て勧告・助言するとともに、小林製薬グループ全体の事業活動におけるコンプラ
イアンス意識を浸透・徹底・強化しています。
また、内部統制委員会では、会社法および金融商品取引法における内部統制
も検討対象とし、法令への対応状況の確認を含めた活動をしています。
内部統制委員会体制(2013年度)
職場でのコンプライアンス意識の統一と向上を図る目的で、2003年10月に「企業行動の基本方針」と「役員および従業員の
行動基準」を制定しました。
この基本方針と行動基準は2008年に「コンプライアンス指針」と名づけ、全役員・従業員が常時携帯する「従業員手帳」に記
載し、いつでも確認できるようにしました。
グローバル事業の拡大を見据えて、2012年には新たに「グローバルコンプライアンスポリシー」を制定し、これを遵守するこ
とを宣言しました。「グローバルコンプライアンスポリシー」は英語・中国語・インドネシア語・スペイン語に翻訳し、小林製薬グ
ループの海外全関係会社でも周知しています。また、ポリシーの具体的な行動基準を「役員及び従業員の誓約」に定め、各
国語に翻訳しました。この行動基準は、国内外の全役員・従業員が「誓約書」に署名しています。
現在、企業において各種法令の遵守は当然のことであり、倫理的な側面での行動を求められています。「法律上問題ない」
だけでは不十分で、「世間や常識から見ても問題ない」行動が必要となります。
そこで、小林製薬グループでは、従来から実施しているコンプライアンスに関する教育を整理統合し、コンプライアンス意識
向上と知識習得がグループ全体にいきわたるような取り組みを進めています。
集合研修
小林製薬グループでは、役員・管理職・新入社員など、階層に応じた集合研修を
継続的に実施しています。
2012年度は、役員には弁護士を講師として改正会社法についての研修を実施、
全管理職にはハラスメント防止や労務管理、企業秘密管理などをテーマとした研
修を事業所ごとに実施しました。また、新入社員には入社時研修の中でコンプラ
イアンスの意識付けを行いました。これらの集合研修では、不祥事事例を題材
にディスカッションする受講者参加型で実施すること、および研修の最後に理解
度テストを行うことによって、受講者の理解の促進を図っています。
管理職研修
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
フェアな企業活動のために
グループ報・イントラネットによる教育
2006年度より、グループ報におけるコンプライアンス関連記事の連載と、イントラ
ネットにおける動画によるケーススタディの毎月の配信を継続して、小林製薬グ
ループ全従業員のコンプライアンス意識の啓発を図っています。これに加え、コ
ンプライアンスに関連するニュースをトピックとした解説を毎月イントラネットに掲
載し、意識向上に努めています。
また、2010年2月より全従業員を対象にイントラネットを利用した「コンプライアンス
テスト」を開始し、3ヵ月毎に継続して実施することによってコンプライアンスの理
解の浸透を図りました。
さらに2011年7月からこれを「コンプライアンスe-ラーニング」に発展させ、毎月1
グループ報での啓発
テーマずつ全役員・従業員が受講しています。これにより、コンプライアンスの正
しい知識を身につけ、日常業務にコンプライアンス意識が当たり前のこととして根付くことを目指しています。
小林製薬グループは経営理念である「絶えざる創造と革新によって新しいものを
求め続け、人と社会に素晴らしい『快』を提供する」を実現するため、製品やサー
ビスだけでなく、その提供の方法や手段においても「快」を提供する必要があり
ます。
そのため従業員一人ひとりが個人情報の確実な取り扱いができるように「個人
情報保護に関する基本方針」ならびに「個人情報保護に関する対策基本6項目」
を策定しています。
個人情報保護に関する基本方針
従業員一人ひとりの個人情報保護に対する意識と行動を持続し、さらに高める
ため、小林製薬グループではさまざまな個人情報関連教育プログラムを作成し、
運用しています。
全従業員に対しては3択形式の「e-ラーニング」を全員が満点を取るまで毎年受
講させています。
また、新規入社者(新卒・中途)や新任管理職に対しては別途プログラムを用意
して教育を実施しています。
特にセンシティブな情報を管理している部門に対しては、個別集合教育を実施し
ています。
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
個人情報保護教育のツール
フェアな企業活動のために
会社経営においては、リスクを洗い出し、それらを継続的に管理し、対策を講じ
ていくことが不可欠です。小林製薬グループでは、経営上のリスクの選定を行
い、テーマを絞り込み、活動を行っています。このテーマについては、経営会議
だけでなく、内部統制委員会などで外部の有識者の意見も取り入れて設定しま
す。各テーマ毎にアクションプランを設定・実行し、その結果を監査する体制を構
築しています。
従業員手帳
テーマ毎にアクションプランを設定・実行
毎年期初に、コンプライアンス担当部署である総務部が主管となって、前期末時点の経営リスクのアクションプラン進捗状
況を勘案しながら、グループ全体の経営リスクを検討します。設定された各経営リスクに対処していくアクションプランを確実
に実行するために、四半期毎の内部統制委員会で進捗確認を行い、社長に報告をしています。毎年期末には、内部監査
室による各経営リスクの監査も実施しています。このような経営リスクの低減に関する取り決めは、「経営リスクマネジメント
規程」に定められており、それを遵守しています。
今後は、各テーマの進捗状況のチェックをさらに強化していく予定です。
小林製薬グループでは、東日本大震災を受けて、大規模地震などの自然災害等の予期せぬ緊急事態に遭遇した場合に、
重要業務に対する被害を最小限にとどめ、最低限の事業活動の継続、早期復旧を行うためのBCP(事業継続計画)を策定
しました。
計画策定の際には自社の業務プロセスを見直し、緊急事態の際の各事業ごとのリスクの大きさや、優先して継続・復旧す
べき事業を定めています。
※ BCP(Business Continuity Plan)
さまざまなリスクによって生じる事業活動の中断に対して、重要な業務・機能を継続する、あるいは可能な限り短時間で再
開するよう事前に取り決める手順。
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
お客さまとともに
「安心で安全な品質の確保」を実現するために品質における指針を制定
製品の開発において最も重視すべきは「安心・安全な品質の確保」であると考えています。品質保証室を社長直下の組織
として品質保証体制を強化し、さまざまな品質向上にむけた取り組みを行っています。
すべてのステークホルダーの品質に対する意識は年々高まっています。当社グループが製品やサービスを提供する上で
遵守すべき品質における指針「品質保証方針」を制定し、全従業員がこれを遵守し日々の業務に取り組んでいます。
小林製薬グループ 品質保証方針
私たちは、「品質は企業の命」の精神のもと、全社員が製品・サービスの品質向上に努めて、人と社会に素晴らしい「快」を
提供します。
私たちは、お客さまとのつながりを大切にして、お客さまの声に真摯に耳を傾け、お客さま視点の品質を追求し
続けます。
私たちは、「あったらいいな」を追求して、お客さまが満足を実感でき、使い続けていただける魅力ある品質にこ
だわり開発します。
私たちは、環境の変化を敏感にキャッチして、お客さまが安全にご使用いただける製品とお客さまに安心してい
ただける情報をわかりやすく提供します。
私たちは、関連法規を遵守して、公正で透明性のある企業活動を行い、社会に対する説明責任を果たすことでお
客さまの信頼に応えます。
製品の開発から、製造、販売にいたるそれぞれの過程において、多くの意思決
定が行われますが、それぞれの意思決定が正しく、適切に行われなければ、最
終的な意思決定も正しくできず、品質も正しく保証できません。一つの製品を発
売するには、全従業員が結集し、適切にリレーをする、つまり製品の品質は全従
業員がつくっているということを全従業員が理解しなければなりません。この考
え方を浸透させ、「品質保証方針」を確実に実行していくために、それぞれの組
織や職能での責任と権限を明確にした「品質保証マネジメント規定」と「品質保
証運用規定」も制定しました。
当社グループ全従業員が「品質は企業の命」を肝に銘じ、品質について十分に
理解し、確実に実行することで、お客さま視点でのさらなる品質向上を追求して
いきます。
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
各種規定を制定
お客さまとともに
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開発(製品設計)段階
量産化段階・生産段階
販売・フォロー段階
製品設計を特に重要視して
います。設計に問題があれ
ば、後工程をどれほど緻密
に行っても品質問題を食い
止めることはできないからで
す。大きな品質問題に繋が
る項目については個別の会
議体を設け、お客さまの視
点に立ってあらゆる角度か
ら複数の目で確認すること
で、スピード開発を行いなが
らも慎重に開発しています。
開発から生産に移行する量
産化段階では、安定した品
質で量産できる生産条件を
確立します。今後の生産が
この生産条件下で行われる
ことになるので非常に重要
な段階です。また、生産段
階では、安定した生産が維
持できるように、作業手順書
の整備や機器・機械の調
整、作業員への教育、環境
美化などを行っています。改
善活動も積極的に実施し、
品質向上活動は日常的に
行っています。
発売後は、お客様相談室に
お客さまからの様々なお問
い合わせやご指摘が寄せら
れます。これらは私たちでは
気付かなかった貴重なご意
見であり財産です。月に一
度、「既存品品質審査会議」
にてお客さまの声を開発側
に提案し、容器形状やパッ
ケージの表示を変更するな
ど製品改良に役立たせてい
ただいています。
小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
お客さまとともに
品質とは、お客さまの安心・安全を保証するものであり、製造部門では、いかに安定し
た品質を保てるか、同時にいかに効率化して利益を出せるかを常に追求しています。品
質の追求においては、悪いものを「入れない」「作らない」「出さない」という3か条があり
ます。
「入れない」では、資材メーカーと品質改善を図り、「作らない」では、情報共有に注力し
ています。トラブル事例とその対策を報告したり、過去の事例を整理し、誰もが見れるよ
うな仕組みにしています。「出さない」では合格ラインの幅を狭め、異常値を検出しやすく
しています。検出されたデータを解析し、工程規格の設定値に反映しています。
医薬品には、薬事法に則った品質基準がありますが、栄養補助食品には法的に定められた基準はありません。そこで富山
小林製薬では、「日本健康・栄養食品協会」が発行している「GMP適合認定証」の審査を受け、認定を受けました。これによ
り、原料の受け入れから最終製品の出荷に至るまでの管理組織構築と作業管理(品質管理、製造管理)の実施、設備構造
の構築が確認されています。
今後も製品の品質と安全性の向上を図っていきます。
目視検査行程
洗浄行程
GMP適合認定証
GMPとはGood Manufacturing Practice の略で「適正製造規範」といい、厚生労働省より、平成17年2月1日付「錠剤、
カプセル状等食品の適正な製造に係る基本的考え方について」(ガイドライン)が示されています。
そこで、原料の受け入れから最終製品の出荷に至るまでの全工程において、製品の品質と安全性の確保に努める
必要があることから、適切な管理組織の構築及び作業管理(品質管理、製造管理)の実施(GMPソフト)と、適切な構
造設備の構築(GMPハード)をしている工場に認定されるものです。
愛媛小林製薬においては、『熱さまシート』や『サラサーティ』等の衛生用品を扱っていま
す。それゆえ、厳密な安全衛生管理に取り組んでいます。資材メーカーと協力し、異物
が入らない仕組みを構築すると共に、生産ライン投入前に最終検査を行い、それに合格
した資材のみ使用するルールになっています。
また、人による異物やゴミの混入を防ぐため、生産ラインへ入る前には、クリーンルーム
で着替え、エアーシャワーで異物除去を行ってラインに入るなど、徹底した衛生管理を
実施しています。このような検査や設備だけでは十分とはいえません。生産工程のポイ
ントとなるところでは、人による目視検査を行うことで、万が一が起こらない体制を構築
しています。
さらに、ヒューマンエラーをなくすことを目的に、指差呼称100%達成を目標に取り組んでいます。常に最高の品質をお届け
するために、技術や設備、さらに人による管理という三位一体での品質管理を実施しています。
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
お客さまとともに
目視検査
指差し呼称の徹底によりエラーを防止
開発現場では設計品質、性能品質、表示品質について議論を重ねながら品質担保の活動を進めています。開発者はお客
さま視点での製品開発が求められますが、時として開発者の視点で品質の目標値を設定してしまいがちです。したがって、
特に設計段階における設計品質の協議は非常に重要です。
また、開発者が意識しなければならないのは性能品質(製品性能データ)です。データにはお客さまに製品の性能をわかり
やすく伝えるためのデータと、学術的視点に立って有識者(第三者)に対して説明責任を果たすためのデータがあります。
いずれのデータも非常に大切であり、2つのデータの必要性をさらに開発現場に浸透させて品質の高い製品開発に取り組
んでいます。
性能品質データ
おりものシートと『尿モレサラサーティ』で吸水力を比較
おりものシートと『尿モレサラサーティ』に、10ccの水分を吸水させた30秒後の吸水力を比較しています。
ティッシュを表面に当ててみると、おりものシートの表面には、まだ水分が残っていることがはっきりわかります。
比較写真
おりものシート
『尿モレサラサーティ』少量用
お客さまに安心、信頼して購入いただけるように「栄養補助食品の着色料、香
料、保存料の無添加」「配合成分・含有量の表示」だけでなく、医薬品との飲み
合わせなどに対応した製薬会社ならではの専門の相談室を設置しています。
製品開発では、さまざまな成分に注目して、その有用性や安全性の研究を続け
ています。原料の選定、成分の処方や配合、飲みやすさにおいても妥協するこ
となく検証を繰り返して製品化しています。また、製品の中身だけでなく、使い勝
手も考慮して容器、包装を設計することも重要です。
品質については、医薬品並みの厳しい品質管理を徹底しており、「健康補助食
品GMP適合認定証」を取得している工場で、医薬品の製造管理基準であるGMP
有用性・安全性の研究
に準拠して、品質と安全性の確保に努めています。
また、より手軽に通信販売をご利用いただけるよう、1品から全国どこへでも送料無料でお届けし、お客さまに選んでいただ
ける製品を提供するべく日々取り組んでいます。
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
お客さまとともに
当社の製品は、他社にない特徴を持った製品が数多くあります。“あったらいいな”の製品を世の中に届けるべく開発を続け
ています。
現在、日本では高齢化が進み、障がい者の社会進出が進むなか、世間全体としてバリアフリーが進んできており、なかでも
ユニバーサルデザインといわれる、「誰にでも使いやすく設計されたデザイン」の製品が増えてきています。
このユニバーサルデザインの考え方で当社の製品を採点してみたところ、意外なほど、評価の低い製品がいくつか見受け
られました。“あったらいいな”のアイデアやコストを考慮したゆえ、使用感や使いやすさが多少犠牲になった製品です。
そこで、本来の意味での“あったらいいな”である、使用感や使いやすさといった点に注目し、製品の改良を行いました。
桐灰化学株式会社では、大阪府大阪市淀川区において、社会福祉協議会の協
力を経て「カイロ勉強会」を実施しています。
ご高齢の方に対して、カイロの正しい使い方を説明し、コミュニケーションの場と
する取り組みです。
勉強会の中で、参加者より「カイロの切り口がわかりにくい」「カイロの切り口が小
さく、開けづらい」などのご意見をいただきました。さらに、文字が小さく、どこに
切り口があるかわからない、といったご意見もいただきました。開けやすさを改
善し、手で触ってすぐに切り口がわかるよう、カイロの切り口を大きくするといった
改良を行なっています。
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改良前
改良後
切り口が小さく分かりにくい
切り口の切れ込みを大きくすることで
開けやすさと切れ口の場所をわかりや
すく
小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
カイロ勉強会
お客さまとともに
お客さまからいただくお声は、ご愛用者の貴重なご意見として、一つ一つ丁寧に応対するよう心がけています。多くのお客
さまの声をいただきながら、じっくりお伺いし、社内へ反映させるための体制を整えています。
年間受付件数の推移
お客さまに安心してお使いいただくために
入れ歯安定剤『タフグリップ』、『タフグリップクリーム』に使用期限を記載しました
入れ歯安定剤「タフグリップ」、「タフグリップクリーム」は管理医療機器であり、製造後3年間、
品質を保証できる場合には使用期限を記載する必要はありません。
しかし、お客さまより「口に入れるものであるから、使用期限を入れて欲しい」とのご要望があ
りました。
お客さまのご心配を払拭し、安心してお使いいただくために、使用期限を記載しました。
改善前
使用期限表示なし
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
改善後
使用期限表示あり
刻印表示であった使用期限
をより見やすくするため、
白地に黒字表示にしました
お客さまとともに
『噛むブレスケア』の乾燥剤について、誤飲対策を行いました
「噛むブレスケア」は品質を保持するために、錠剤と一緒に、乾燥剤を入れております。
乾燥剤はケースの奥に入れて、錠剤と混ざらないように工夫しておりましたが、ゴミの分別な
どでケースを開けられた際に乾燥剤を発見され、誤って飲んでしまわれたとの声が寄せられま
した。
改善前
改善後
乾燥剤を茶色にして、乾燥剤であること、飲んではいけないことをわかりやすく表示しました。
万が一、飲んでしまっても問題のない乾燥剤を使用しておりますが、お客さまに安心・安全に召し上がっていただくために、
わかりやすく情報を提供しています。
お客様相談室では、お客さまから寄せられる様々なご相談、問い合わせに迅速
かつ正確にお応えし、お客さまに満足いただけるよう、日々改善に取り組んでい
ます。
お客さまからのご相談に対応
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
地域社会とともに
小林製薬グループでは、「社会にとっての“あったらいいな”をカタチにする」ことをテーマに、事業活動を通じた社会貢献活
動を積極的に展開しています。
明日を担う子どもたちに笑顔を届けたいという想いから小学校のトイレ環境改善に取り組んでいます。さらに東日本大震災
の復興支援活動や福祉・社会問題への支援、地域の美化・清掃活動や工場見学、地域イベントへの参加・協力など多岐に
わたる活動を推進しています。今後も社会とより良い関係を構築できるよう積極的に活動を行います。
小林製薬グループ 社会貢献活動方針
人々が暮らしの『快』を実感し、より良き社会の実現に寄与
すべく、事業活動を通じた社会貢献活動を行います。
重点領域は、「健康」「教育」「地域・環境」と定め、小林製薬
らしい社会貢献活動を実践します。
社員一人ひとりが良き市民として、社会貢献活動に参加で
きるような風土をつくります。
家庭や商業施設のトイレ環境の改善が進むなか、学校のトイレは築数十年の古いものが多く、「暗い」「臭い」など悩みを抱
えていて、その多くが清掃だけでは解決できない問題となっています。
小林製薬が実施する「小学校に洋式トイレプレゼント!」はトイレを少しでも快適な空間へと変え、こどもたちにとって用便し
やすい環境を整えます。私たちは、この活動を通じて明日を担うこどもたちに笑顔を届けます。
2013年度は、全国で12校の小学校に洋式トイレをプレゼントし、これまでの実施数は36校となりました。今後、2019年の小
林製薬100周年までに100校のトイレ環境改善を行うことを予定しています。
http://www.kobayashi.co.jp/toilet-present/index.html
詳細は「小学校に洋式トイレプレゼント!」特設ページをご覧ください。
トイレお披露目会の様子
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
和式便器を洋式便器化
床面の臭気対策と足形シール貼付
地域社会とともに
2012年9月3日(月)、大阪府にある高槻市立日吉台小学校において、オリジナ
ル芳香消臭剤つくりをしました。「お部屋の消臭元」をもとに自分の好きな香りを
選んで調合し、容器には思い思いのシールを貼って、世界でたった一つの芳香
剤を作りました。当日はまだ暑かったこともあり、みんなおでこに「熱さまシート」
を貼りながら一生懸命芳香剤作りを行い、大変盛り上がりました。
小学生に、どこまで小林製薬のことを伝えることができたのかわかりませんが、
わかりやすく、楽しい授業になるように心掛けました。子どもたちの満足そうな笑
顔を見て、この活動の大切さをあらためて感じました。これからもこのような活動
をとおして、近隣の方々とのコミュニケーションを大切にし、小林製薬グループの
CB向上に努めたいと思います。
2012年10月13日(土)、千葉県船橋市前原ひまわり保育園の運動会において、
小林製薬営業本部のメンバーが運動会の運営をお手伝いしました。
「こども達の笑顔のために」をテーマに、会場設営・備品運搬のお手伝いやトイレ
掃除を行ったほか、「熱さま君」の着ぐるみの参加やダンス参加を通じて、子ども
達と一緒に運動会を盛り上げました。
トイレの清掃の際には「消臭元」を設置した他、「熱さま君」とのじゃんけん大会を
通じて、子どもたちに手洗いうがいの大切さ、風邪予防の大切さを訴えました。
子どもたちの笑顔によって、参加メンバーや保育園の先生、保護者の皆さまも
笑顔になり、「思い出に残る運動会になった」とのお言葉をいただきました。
みんなでオリジナル芳香剤を作りました
「熱さま君」とのじゃんけん大会
1.宮城県桜植樹事業に寄付
“2012年冬『小林製薬フェア』キャンペーン”をとおして、「小林製薬・青い鳥基金」
に積み立てた寄付金を含む5,000万円を宮城県桜植樹事業に寄付しました。これ
は「復興のシンボル」として貞山運河(宮城県)に桜を植樹する事業です。この桜
並木が仙台の新名所となり、東北全体が元気になる「復興のシンボル」になるこ
とを祈念しています。
これに伴い、2013年3月23日(土)に、小林製薬グループ社員ボランティア60名が
集まり、貞山運河沿いの県南浄化センターの敷地に、桜の苗を100本植樹しまし
た。
桜植樹祭に多くの社員が参加
2.震災特別奨学金
震災の影響による経済的な理由から、大学進学が困難となった高校生を支援す
る「震災特別奨学金」について、宮城県の石巻高校、石巻好文館高校、石巻西
高校に在学し、2013 年4月より大学に進学する10名の生徒への給付が決まりま
した。
給付にあたり、2013年3月30 日(土)に石巻グランドホテルで贈呈式を開催しまし
た。式には、10 名の生徒、保護者、学校関係者の皆さんが出席しました。生徒
一人ひとりに目録をお渡し、「夢や希望をあきらめずに、ふるさとの復興のために
頑張ってほしいと思います」とエールを送りました。
この奨学金は、被災地経済の自立のためには、それを支える未来の人材育成
が大切という考えからスタートしました。被災を乗り越え、あきらめない心や夢を
叶える力を育ててほしいという願いを込めて贈呈しました。
15
小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
奨学金贈呈式の様子
地域社会とともに
3.被災地中小企業支援融資
石巻信用金庫と共同で実施している無利子・無担保の融資「小林製薬・被災地中小企業支援融資」について、計10 社へ融
資することが決まりました。融資を活用し、新たに事業をスタートするための設備購入や店舗改修をおこない、再建にあたり
ます。
4. 被災地におけるボランティア活動
2012年7月24日(火)、8月1日(水)に、宮城県山元町の小学校にて、総勢70名の従業員が参加して、出張授業と小学校のト
イレ清掃を行いました。出張授業では、小林製薬が長年培った芳香・消臭剤分野での知見を生かし、子どもたちのさまざま
な好奇心を育みました。授業の最後には、子どもたち一人ひとりが自分の好きな香りを選び、オリジナルの芳香剤作りに挑
戦。夏休みの楽しい1 日を過ごしていただきました。また、「トイレを快適な空間に」という小林製薬の事業使命を実践し、成
長期の子どもたちが心地よくトイレを利用できるようにと、訪問した2つの小学校のすべてのトイレ(各12 か所)を全員で汗だ
くになって掃除しました。
また、2013年3月23日(土)に、従業員約60名が参加して、宮城県の仙台空港近くの貞山運河沿いの「県南浄化センター」に
桜100本を植樹し、県の職員と一緒になって復興を祈願するプレートも植樹した桜に取り付けました。4月には、桜も開花し、
今後、復興のシンボルとして大きく成長していくのを見守りたいと思います。
出張授業
トイレ清掃を行いました
現在、盲導犬を待っている視覚障がい者は約7800人といわれているのに対し、盲導犬は約1000頭と、圧倒的に数が足りて
いません。盲導犬の育成には多額の費用と時間が必要なうえ、訓練をしても盲導犬になれるのは3割程度です。
そこで小林製薬グループでは2010年より視覚障がい者の方の快適な生活を応援するため、盲導犬一頭の育成費にあたる
200万円を寄付しています。
2011年からは株主優待の社会貢献コースにも「盲導犬育成 公益財団法人アイメイト協会への寄付」を設け、育成費を募っ
ています。
2011年6月18日(土)には、小林製薬グループの寄付により育成されたアイメイト(盲導犬)「アイボン1号」とパートナーの女
性が新たな一歩を踏み出しました。1か月に及ぶ歩行訓練を終えたこの日、東京都練馬区にある公益財団法人日本アイメ
イト協会にて修了式を迎えました。「アイボン1号」のパートナーの女性は「不安もありますが、一緒に頑張っていきたい。慣
れてきたら就職もしたい」と今後の生活に期待を膨らませていました。
2012年には3頭目の育成費となる寄付を行いました。また、2011年の寄付によって成長したアイメイトのパートナーが決ま
り、贈呈式も催されました。
一人でも多くの方に盲導犬をお届けできるよう、今後もこの活動を継続していきます。
公益財団法人アイメイト協会 http://www.eyemate.org/
修了式の様子
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
歩行訓練の様子
育成費を寄付
従業員とともに
ブランドスローガンの「“あったらいいな”をカタチにする」の実践には、従業員一
人ひとりが生き生きと働き、持てる能力を伸ばし、発揮していくことが前提条件に
なります。従業員の価値観や行動の拠りどころとなる「行動規範」の一つにも「社
員一人ひとりが主役」という項目があり、従業員の主体的な行動を奨励していま
す。
小林製薬グループでは、従業員がその能力を十分に発揮できるよう、人事制度
や人材教育/育成の充実を図り、従業員満足度の高い経営を目指しています。
新入社員研修の様子
“あったらいいな”の教育体制を確立したい
「企業は人なり」という言葉があるように、企業の永続的な成長を支え、実現するのは、「人財」なくしては考えられません。
「人財」となる人を開発・育成することは企業にとって最も重要な経営課題と言っても過言ではありません。この経営課題に
対して人材戦略を構築し、それに基づいた教育を実施します。また、人材戦略に基づいた教育とともに、個々の特性が活か
され、自己の成長を実感できる教育も必要です。個性が活かされ、個人が成長することこそ企業の成長につながります。
小林製薬グループでは、経営者と従業員の両方のニーズに対応し、柔軟性のある教育体制を構築し、「人財」の育成に積
極的に取り組んでいきます。
小林製薬は人権専門の担当者を1名任命し、社内に対しては人権研修を実施したり情報を発信したりしています。社外にお
いても外部団体に加盟し社外への啓発にも積極的に取り組んでいます。また、社内で万が一、問題が発生した場合は社内
の相談窓口はもちろんのこと、外部の専門機関や弁護士に相談できる窓口を設け、問題の迅速な解決と個人を保護する
仕組みを構築しています。
多様な人材の活用
小林製薬グループでは、従業員が年齢や性別、国籍に関わらず、持っている能力を最大限に発揮できるような職場環境を
目指しています。全ての従業員にとって働きがいのある職場を整えることは、経営理念である「人と社会に素晴らしい『快』
を提供する」につながると考えています。
求める人材像
「ごんた社員」という明確な人材像を掲げ、新卒採用と中途採用の両面から人材力を維持、向上し続けることにより、「創造
と革新」を生み続ける企業風土の確立に取り組んでいます。
ごんたの10箇条(求める人材像)
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1.新しいものが好き
6.行動力がある
2.負けず嫌い
7.仕事の虫
3.明快な自己主張
8.摩擦や失敗を恐れない
4.本音で話す
9.意外性がある
5.ねばり強い
10.愛嬌があり人に好かれる
小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
従業員とともに
定年退職者再雇用制度
定年を迎えてもまだまだ働く意欲の高い方に対して、その専門知識や技術を発揮していただくために、小林製薬グループで
は定年退職者再雇用制度を設けています。制度の開始以来、小林製薬グループ全体で延べ106名がこの制度を利用し活
躍しています。
女性の登用
製品開発は生活者の視点が非常に重要となります。その意味でも研究開発やマーケティング職を中心に女性社員を積極
的に採用しています。また、人事部では女性管理職登用を拡大すべく、管理職登用に関して数値目標を掲げて取り組んで
います。
(2012年度の女性管理職比率は7.04%)
障がい者雇用の促進
障がいを持つ従業員の採用に関しては、常に門戸を開けており、いつでも応募ができるよう、窓口を広げています。
また、2011年11月に、小林製薬グループの障がい者雇用の促進ならびに障がい者が安心して就労できる職場の提供を目
的として、小林製薬チャレンジド(株)を富山県富山市に設立しました。2012年2月には特例子会社の認定を受け、さらに5月
にはグループ適用の認定を受けたことで、小林製薬グループとしての障がい者雇用体制の基盤を確立しました。
※2013年6月末現在 障がい者雇用率2.13%(グループ適用認定4社 合計)
時間外労働の削減
2008年より社長自らがプロジェクトリーダーとなり、時間外労働の削減に取り組んでいます。その一つが「早期退社デー」で
す。これは毎週水曜日に、全従業員が19時までに退社することを徹底するという取り組みです。
また、幹部社員のマネジメント教育に「労務管理」を盛り込むことはもちろん、それに加えて、「個人と会社を共に強くする働
き方」についても継続的に検討しています。
これらの取り組みによって、業務効率を意識した働き方が習慣付き、心身のリフレッシュにも寄与できるものと考えていま
す。
小林製薬グループでは、行動規範の一つである「社員一人ひとりが主役」の考え方のもと、「全社員参加型経営」を推進し
ています。
その具体策の一つが、社長から新入社員まで職種や社歴に関係なく全従業員が参加できるアイデア提案制度です。年間
約3万件の提案の中からは、大ヒット製品に成長したものも数多くあります。
また、他部署の「もっとこうしたら良いのに」を直接該当部署に提案する改善提案制度は、従業員の経営参画意識を高めて
います。
年間3万件を超えるアイデア提案は、従業員一人ひとりがさまざま
な方法で暮らしの変化や、その中で生まれる新たなニーズを探求
することから生まれます。調査データに頼りすぎず、自らの目で現
場を見て歩き、常に生活者の暮らし視点に立った情報を収集して
います。
特に店頭は、暮らしの変化がいち早く反映される情報の宝庫と言
えます。個店を訪問する営業担当にとって、取引先様からのご要
望や店頭のお客さまの反応などは、新しい製品アイデアに結びつ
く貴重な情報です。自社製品を取り扱うドラッグストアやスーパー
だけでなく、家電量販店・ファッションビル・商店街などの店頭観察
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
提案制度からできた製品
熱さまシート
提案制度からできた製品
ムクミキュア
従業員とともに
からアイデアが生まれることもあります。
また従業員の情報収集は、業務時間内に限りません。日常の買い物の途中でニーズを発見したり、身近な家族や友人との
会話からヒントを見つけたり、それぞれの「暮らしの視点」で情報収集のアンテナを張りめぐらせています。
全従業員が開発に対する強い意識を持ち、生活者としての視点から暮らし変化の「兆し」を捉える。それが“あったらいい
な”をカタチにすることにつながっています。
アイデア提案制度から生まれた製品
チンしてこんがり魚焼きパック
シリーズ第1弾の『チンしてこんがり魚焼きパック』は、節約志向に
よる内食率の高まりや健康志向の高まりという暮らしの変化に応
えて誕生した製品です。「魚をもっと食習慣に取り入れたい」という
ニーズは高まっています。しかしその一方では、後片付けが面倒
という理由から、魚はメニューから敬遠される傾向がありました。
このような暮らしの変化を感知していた担当者が電子レンジ加熱
で温度が200℃前後まで上がる新素材を知り、製品化の着想につ
ながりました。
チンしてこんがり魚焼き チンしてこんがりから揚げ
「この素材を使えば、もっと簡単に魚を調理することができるので
パック
パック
はないか」
あらゆる種類の魚とさまざまな機種の電子レンジでの試行錯誤と
試食、安全性の確認を繰り返し、その年の秋の製品化を成し遂げました。製品は発売以来お客さまから大きなご支持をい
ただき、2009年9月の発売から半年間で150万個を販売するヒット製品になりました。
この春には、シリーズ第2弾となる『チンしてこんがりから揚げパック』を発売。電子レンジによる新たな「調理習慣」をご提案
し、魚・肉売場とも連動できる製品シリーズとして、小売店様からも高いご支持をいただいています。
デオインナー
スプレーするだけで、“防臭下着を作る”新発想の防臭対策、『デオインナー』です。下着などに
付くニオイが気になる季節に、下着を着る前にスプレーするだけで、除菌成分がニオイの元とな
る雑菌を取り除き、防臭成分が繊維の奥まで浸透し、汗や皮脂のニオイに変わるのを抑制す
る製品です。
この製品を提案した社員は、夕方になると自分の体臭が気になり、入浴時に「臭いのは身体よ
り服だ」と気づきました。身体には制汗剤をするのに服には何もしていない、もしかして下着の
ニオイを抑えたら臭くなくなるかもという発想のもと提案し開発されることになりました。まさに
「下着の制汗剤」です。ひと夏制汗剤を使わず、テストし続けた結果、それまで感じていた身体
のニオイを感じず、快適に過ごすことができました。『デオインナー』でニオイケアの新習慣を広
めていきたいと思います。
19
小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
デオインナー
地球環境とともに
小林製薬グループでは、経営理念を基に、環境保全活動を一層充実させるため、2001年12月「小林環境宣言」「環境行動
指針」を制定しています。
この「小林環境宣言」「環境行動指針」をグループ全体で共有し、理解することにより、環境保全に関する意識向上を目指し
ます。
小林環境宣言
小林製薬グループは、環境の保全を目指し、限りある資源・エネルギーの有効活用を行うとともに、環境に影響を与
える物質及び廃棄物の削減を行います。
環境行動指針
事業分野における環境保全に関連する法規制や協定を遵守するとともに、環境目標・自主基準を定め、実行しま
す。
事業分野の各段階において発生する廃棄物について、再生・再利用可能なものは積極的にリサイクルを行い、廃棄
物の量的削減を行います。
限りある資源を有効活用するため、エネルギーの効率的利用と再生資源の積極的使用を促進します。
環境への負荷低減を心がけた製品の開発・サービスを提供するため、使用する物質や使用方法を考慮した事業活
動を行います。
この指針をグループ全社員で共有し、また教育・啓発活動を通じて、一人ひとりの環境保全意識の向上に努めます。
事業活動全体を通した、環境負荷低減
企業活動においては環境への負荷が避けて通れません。
これを最小限に抑えるために、小林製薬グループでは開発から製造、販売、廃棄に至るライフサイクルの各段階でどのよう
な環境負荷があるかを特定し、それぞれの段階で資源の有効活用やエネルギー削減、廃棄物削減などに取り組んでいま
す。
20
小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
地球環境とともに
環境マネジメントシステムにおけるチェック機能の要として、内部監査体制を整えています。各工場においては半年に1回、
内部環境監査員による監査を実施しています。
また各部門の担当者による監査も定期的に実施し、問題が見つかれば速やかに対策を講じ改善しています。
小林製薬グループでは、地球温暖化対策等への対応を考慮し、2008年度より担当役員の下に全社環境戦略会議を設置
し、この会議メンバーが各部門における管理責任者となって環境保全活動のPDCAや全社的な課題についての検討をして
います。
環境管理体制図
小林製薬グループでは、環境問題を経営課題として捉え、全社的な課題についての決定は経営会議で行うこととし、各部
門毎にテーマを設定して活動を行うことにしました。
21
小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
地球環境とともに
事業における環境負荷を考慮した目標と評価
小林製薬グループでは、事業を行う上で発生する環境への負荷を考慮し、削減に向けた活動を行っています。
昨年に中期目標を改定し、その目標にあわせ毎年目標とアクションプランを作成し、評価を行うことで、活動の継続性と実効
性をあげるよう、努力しています。
また、2012年度で中期目標が終了することをうけ、新たに2015年度までの目標を設定いたしました。この中期目標は、京都
議定書を考慮したこれまでの取り組みを継続し、更に実効性をあげていくものとしております。
2012年度 環境目標と実績
省エネルギー
テーマ
対象部門
2012年度
目標
廃棄物削減
CO2削減
製造
オフィス
生産重量原単位
各事業所電
/ 総排出量で
気使用量
0.5%削減
10%削減
空調機省エネタイ
2012年度実施した
プに更新
アクションプラン
空調機、圧縮機
の効率的運転
空調管理の
廃棄物排出
量1%削減
電気使用量
結果
総排出量2.4%増
で13.8%削減
加
ロエミッション
(435t)増加
達成
○
×
2005年度比
2002年度比
(~2012年度)
削減
15%削減
35%削減
(0.232t-CO2/t)
(2,150t)
(0.203t-CO2/t)
評価
◎
総排出量
2005年度比
32.8%削減
次期 中期目標
2005年度比10.2%
分を含む)を
(2013~2015年度)
削減
2005年度比
(0.193t-CO2/t)
37%削減
(3,071t)
22
小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
出量を100kg
以下
代替原料への
変更
調達/購入
製造
製造
容器・包装
委託先の法
の薄肉化、
規制対応調
構造の研究
査
容器・包装
調査項目の
の薄肉化、
精査と方法
構造の研究
の検討
PRTR対象物
主要製品に
質の各工場排
おける容器
委託先への
出量を100kg
包装の薄肉
省エネ支援
以下
化・簡素化
○
○
全事業所で
質の各工場排
ゼロエミッショ
出量を100kg
ン達成
以下に維持す
2002年度比
29.5%削減
×
全事業所で
ゼロエミッショ
ン達成
PRTR対象物
質の各工場排
出量を100kg
以下
○
総排出量
(営業車両
質の各工場排
グリーン
○
△
環境配慮型
CSR調達へ
製品の拡大
の移行
る
◎
生産重量原単位
PRTR対象物
省資源
PRTR対象物
2002年度比20%
削減
棄物の分別
量11.8%
中期目標
結果
の達成
6事業所でゼ
総排出量を
2002年度比30%
ロエミッション
廃棄物排出
生産重量原単位
生産重量原単位
6事業所でゼ
収集
で2.1%増加
化学物質対策
製造
ロス削減、廃
ロス削減
徹底
生産重量原単位
×
製造
時短の徹底
2012年度
評価
製造
リサイクル
○
拡大は進む
ものの、遅
れもあり。
△
調達へは移
行せず
×
PRTR対象物
-
全事業所の
質の各工場排
リサイクル率
出量を100kg
を99.5%以上
以下に維持す
る
環境配慮型
委託先との
製品の拡大
関係性強化
地球環境とともに
プラスチック容器は製品の品質を保つには非常に便利ですが、地球環境を考えた時には少し
でも減らすことが望まれます。容器の機能を損なわず、使用量を削減する取り組みが必要とな
ります。
『ブレスケア』のリニューアルに際して、この問題に取り組みました。
『ブレスケア』製品ページ
http://www.kobayashi.co.jp/seihin/bc/
改善点
リニューアルに際しては、「開けにくい」「詰替えの際にこぼれる」とのご指摘があり、その改良を行いつつ、プラスチックの使
用量の削減に取り組みました。その結果、課題であった「開けにくい」「詰替えの際にこぼれる」という問題点を解決しつつ、
デザインの向上とプラスチック樹脂量の削減という課題を全て解決し、従来製品から約11%の樹脂量削減が達成できまし
た。樹脂量の削減効果として約66.5t-CO2の削減となりました。
容器や包装は、使用後に廃棄されるため、輸送・使用時の機能を損なわない範囲で積極的に削減しなければなりません。
今後も、製品の使いやすさや機能を向上させながら、原料・容器の重量を減量する、という課題に積極的に取り組んでいき
ます。
『チンしてこんがり魚焼きパック』は、これまでグリルを使わなければできなかった魚焼き料理を
電子レンジでの調理が可能となりました。
この「魚焼きパック」は、生産から使用、廃棄までの製品のライフサイクルの中で発生するCO2
の量がグリルを使った料理方法と比べて少なく、水の使用量も少ない、非常に環境に優しい製
品であることが証明されました。
今後も、お客さまの便利さ、快適さとともに、環境にやさしい製品の開発に取り組んでいきま
す。
『チンしてこんがり魚焼きパック』製品ページ
http://www.kobayashi.co.jp/seihin/tn_ksp/
ガスグリルとの比較
CO 2 発生量
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
魚1匹分の水消費量
地球環境とともに
消費者の環境への意識が高まっており、製品の開発時においてはさまざまな点で配慮する必要があります。
これまでも、内箱の廃止や輸送時の効率を考慮した積載方法などに取り組んできました。さらに消費者の視点に立ってど
のような環境への配慮ができるのか、を検討しました。
ブリスター包装の改良
消費者の方にとっての身近な環境問題がゴミ問題です。昨今ゴミの処理に際して費用がかか
る自治体が増えたこともあり、容器や包装でかさばるものに対して、問題意識が高いことが弊
社の調査の結果からわかりました。
中でも、ブリスターといわれるプラスチックカップが評価が良くありませんでした。ブリスター包装
は、製品自体の保護、デザイン性から採用されてきましたが、一方で、「潰せない」「かさばる」
といった問題がありました。
そこで、弊社の中で最も大きなブリスター包装を使っている『シャツクール』について、現状の
デザインを活かしつつ、別の包装形態にすることで、「ゴミを減らしたい」というお客さまのご要
パッケージ改良後の
望にお応えするべく、改良を行いました。
シャツクール
今回の改良は、ブリスター包装をプラスチックの筒状のフィルムに中身を収納させ、台紙で保持
させるというものでした。この改良によってプラスチック樹脂の使用量は90%削減でき、使用開始時に発生するゴミの容積は
95%削減できました。
今後も、ブリスターからフィルムへの移行を進めるとともに、市場のニーズにマッチしたエコ製品作りを行ってまいります。
CO2排出の増加にともなう地球温暖化は、社会全体の課題となっています。小林製薬グループでは地球温暖化防止を重要
なテーマとして位置づけ、工場・オフィスでの省エネルギーへの取り組み、輸送時の環境負荷の低減など多面的な取り組み
を実施しています。
製造部門については、2012年度は、総排出量では338トン、2.2%増加となりました。生産重量原単位でも、前年度と比較して
2.4%の増加となりました。これは2011年度が東日本大震災による生産量が減少があり、その減少分を2012年度は生産重量
も増加したことによるものです。
今後は、生産効率のアップと工程上の無駄をなくす取り組みを行い、更なる省エネルギー、CO2削減に取り組んでいきま
す。
CO2 排出量の推移
CO2排出量につきまして、ここ数年電気利用の排出係数が変動しておりますが、弊社にお
いてはこれまでの取り組みとの比較のため、固定値(0.378t-co2/KWh)を使用して算出した
数値を掲載しております。
※生産総重原単位
CO2の排出量を総量ではなく活動あたりの排出量で規制する考え方。当社では生産重量
を基準に算出しています。
※物流について、2005~2007年度は推定値となっています。
24
小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
地球環境とともに
2012年度は、2事業所(富山小林製薬、仙台小林製薬)が改正省エネ法における第二種エネルギー管理指定工場となって
おり、法令に基づく適正管理と届出を継続して行っています。特に製造部門では、エネルギー効率を高めるために、空調機
など電気設備を省エネタイプへ更新、圧縮空気の効率的利用などを行いました。
今後も生産活動の拡大により、エネルギーおよび電気使用量がさらに増加することが予測されますが、CO2などの温室ガ
スの削減を考慮したバランスのとれたエネルギー利用を行うとともに、計画的な生産、ロスや在庫削減などの活動を継続的
に行うことで、省エネルギーに取り組んでいきます。
電気消費量の推移
製造部門における「その他熱エネルギー量」の推移
物流倉庫から流通までをグループ会社である小林製薬物流(株)が担当してい
ます。2011年度は、CO2の排出量は2,256トンとなりました。31フィートコンテナで
の輸送など、モーダルシフトを推進しました。これらの取り組みにより、「エコシッ
プマーク」を取得しました。また、配送トラックの大型化による台数削減や積載量
の効率化を図りました。またエコドライブを推進するため、ドライバーへの教育を
実施しました。
また、配送方法だけでなく、トラックなどにより効率的に積載するために、積み方
を再考したり、パッケージの変更も検討するなど、資源の有効利用・廃棄物の削
減を図っています。
エコシップマーク®
オフィス部門における2012年度のCO2削減量は、977t-CO2と大幅な削減となり
ました。これは本社などの主要事業所がある関西地区で電力供給の問題が予
想されたため、前年度を超える徹底した節電を行いました。(1)照明の更なる間
引きや、(2)エアコンの設定温度の管理厳格化などに取り組んできました。今後
は、設備更新の高効率化を含め、照明の削減や空調管理などの取り組みを継続
して実施する予定です。
間引かれた電灯
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
地球環境とともに
営業車252台をハイブリッドカーに切り替え
近年、環境面への配慮として、製品の生産から物流までのすべての段階におい
て、資源の有効活用やエネルギー、廃棄物の削減に取り組んでいます。
営業本部においても、前年比5%の燃費向上を目指したエコドライブに取り組ん
でおり、今回、四輪駆動車を除く全営業車をハイブリッドカー(※)に切り替えまし
た。これにより、1年間のCO2排出量を約313トン削減することができます。これは
杉の木によるCO2吸収量に換算すると22,357本に相当します。
※利用するエネルギーが異なる動力源(主にガソリンと電気)を使用し走行する
自動車。ガソリンの消費を抑えることで燃費が向上し、CO2の削減へとつなが
る。
広島営業所に導入されたハイブリッド
カー
富山小林製薬は、第二種エネルギー管理指定工場であり、健康補助食品の生産増加などに伴い、CO2排出量は増加する
傾向にあります。
これまでも様々な取り組みを行っていますが、2010年度は更なる取り組みの強化を行いました。
まず、設備機器の使用に伴う排気を暖房に利用する、配管を保温するなど、生産を行う上で使用する設備の効率化、再利
用などを行いました。
また、海外の原料や資材のルートを変更するなどして、船舶輸送を増やすことでモーダルシフトを進めました。
その他遮熱塗装や室外機への散水など空調の効率的運用も行い、省エネルギーに努めています。
グリーンカーテンで節電・エコ活動
2012年の夏の節電への取り組みとして、5月下旬に事務所建屋の東側と南側にゴーヤ、ヘチマ、ひょうたんの苗を植え、グ
リーンカーテンとして育てました。
成長したグリーンカーテンにより、夏場の事務所内は涼しくなり、扇風機だけで過ごせる日もありました。またこのほかにも、
室外機の散水や生産現場のシフト勤務など、富山小林製薬の従業員全員で各種対策を講じた結果、この夏の電力ピーク
カットに大きく貢献することができました。
成長したグリーンカーテン
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小林製薬グループ 社会・環境報告書 2013
事務所建屋を覆うグリーンカーテン
広報部
06-6222-0142
06-6222-4261
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