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臨時的任用職員の年次休暇について ~みんなで整理票を使っ

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臨時的任用職員の年次休暇について ~みんなで整理票を使っ
臨時的任用職員の年次休暇について
~みんなで整理票を使って繰り越し計算をしてみよう♪~
学校事務資料編集委員会(学校事務研究発行部会)
1
はじめに
臨時的任用職員(以下、臨任)は、その名称の示すとおり、臨時的に任用される職員を
いいます。本来は常勤の正規職員が配置されるべきところを、当該職員の産休あるいは休
職等の事情に対応すべく臨時的に任用されています。しかし現在の学校現場においては、
これらの任用事由だけでなく、正規職員の欠員状態を補充するかたちで採用された臨任も
多数存在しています。
ところで臨任の服務については正規職員と多くの部分で異なる制度となっています。特
に年次休暇(以下、年休)については、制度が正規職員とは根本的に大きく異なっており、
その複雑さから臨任本人にも理解されていない場合が多くあると思われます。
さて私たち学校事務研究発行部会(以下、発行部会)では、今まで学校事務における実
務資料である「学校事務研究」誌の編集・発行活動に取り組んできました。そのため、こ
の複雑な年休制度についても、いかにして理解しやすく、また実務上使いやすい整理票等
を作成できるか、ここ数年に渡って検討してきました。
今回は研究発表という場を通して、私たち発行部会がどのような議論を重ね、2010 年 9
月発行の「学校事務研究」№216 に至ったかということをお伝えしたいと思います。また
同時に臨任の年休制度について改めて制度を確認していただき、演習を通して私たちが作
成した年休の整理票等を活用していただければ幸いです。
2
新たな整理票を考えるきっかけ
私たちが臨任の年休について考えるきっかけとなったのは、2006 年度末に教育委員会
から出された、次頁の通知でした。そこでは年休計算上、勤務期間として継続できないと
される空白期間が、それまでの「11 日以上」から「15 日以上」に拡大されたのです。
例えば曜日の関係で任用期間が 3 月 23 日までの臨任が、新年度の 4 月 5 日から新しい
辞令を発令された場合、その空白期間は「12 日」となります。すると 2006 年度までであ
れば空白期間「11 日以上」となってしまうため勤務期間が継続されませんでした。そし
て年休の付与日数については最初から計算をやり直していたのです。しかし 2007 年度か
らはこの通知により、勤務期間が継続しているものとみなして年休計算することに変更さ
れたのです。
臨時的任用職員の休暇及び職務専念義務免除について(通知)
1
(一部抜粋)
県費負担臨時的任用職員の年次休暇の繰越し
県費負担臨時的任用職員の年次休暇の繰越しについては、年次休暇を繰越しで
きない空白期間を 11 日以上から 15 日以上に変更します。
教教人第 2055 号
平成 19 年 2 月 22 日
3/23
空白期間 12 日
4/5
2006 年度まで
勤務が継続している
とはみなされない。
年休は新たに採用された
ものとして計算される。
勤務期間は継続して
いるとみなされる。
勤務期間が継続している
前提で年休計算される。
2007 年度から
そのため年度末における辞令の空白期間を考えると、多くの場合において勤務期間が継
続しているものとして年休が計算される可能性が高くなったのです。
ところが、それまで発行してきた「学校事務研究」で、臨任の年休整理票は 5 年分程度
しか記録できませんでした。そのため今後長期間に渡って使用できる臨任の年休整理票が
必要だ、という要望が研究会会員からあがったのでした。
そこで私たち発行部会では、早速この要望に応えられる年休整理票の作成を検討するこ
ととなりました。さらにこの複雑な臨任の年休制度を少しでも理解しやすくするため、学
習資料的効果をもった新しい帳票類の作成にもあわせて取り組むこととなりました。そこ
で私たちはまず臨任の年休制度について、改めて関係条例等の確認から行うことにしまし
た。
3
臨任の年休制度について
臨任の場合、正規職員とは異なり暦年で年休計算がされるわけではありません。採用さ
れた日が職員によって異なるため、その採用された日を起算日として年休計算されること
になるのです。この臨任の年休については神奈川県の「学校職員の勤務時間、休暇等に関
する規則」(以下、規則)第 5 条第 13 項第 1 号(現行規則)に次のように定められてい
ます。
規則
第 5 条第 13 項第 1 号
臨時的任用職員の年次休暇
次に掲げる区分に応じ、それぞれに定める日数の休暇
ア その者の継続勤務期間と任用予定期間を合計した期間(以下「継続勤務期間等」
という。)が 6 月以内の場合 当該継続勤務期間等が 2 月のときは 2 日、2 月を超
えるときは 2 日に 2 月を超える期間 1 月について 1 日を加算した日数の休暇
イ その者の継続勤務期間等が 6 月を超える場合 当該継続勤務期間等のうち、6 月
までの期間は 6 日、6 月を超える期間は 1 年ごとに月数に 1 日を乗じて得た日数
(その日数が労基法第 39 条に規定する休暇の日数(前年から繰り越された休暇の日
数を除く。)に達しない場合は、同条に規定する基準に準ずる休暇の日数)の休暇
ここで条文内のアに臨任の年休計算をする上で大変重要なキーワードが出てきています。
それは「継続勤務期間等」という用語です。臨任の年休は起算日となる任用初日からこの
「継続勤務期間等」に基づいて、計算、付与されることになるのです。
この「継続勤務期間等」は「継続勤務期間」と「任用予定期間」という 2 つの期間で構
成されています。このうち「継続勤務期間」とは、すでに勤務した期間のうち、その任用
関係が社会通念上中断されていないと認められる期間をいいます。(規則の運用について
17(7))そこで前述の辞令の空白期間に対する扱いは空白期間が 15 日未満であれば勤務
が継続したとみなされるということで、任用関係が社会通念上中断されていないと認めら
れる期間を表すことになっているのです。また「任用予定期間」とは、人事異動通知書
(辞令)に記載された期間のうち未経過の期間をいいます。つまり初めて臨任に任用され
た人にとっては辞令の任用期間がそのまま任用予定期間ということになります。
学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則等の運用について(通知)17(7)一部抜粋
規則に掲げる「継続勤務期間」とは、すでに勤務した期間のうち、その任用関係が社会
通念上中断されないと認められる場合をいう。
継続勤務期間等
=
継続勤務期間
+
任用予定期間
「継続勤務期間」
既に勤務した期間のうち、その任用関係が社会通念上中断されていないと認めら
れる期間。
「任用予定期間」
人事異動通知書に記載された任用期間のうち未経過の期間。
ここで、いくつかの例を挙げて継続勤務期間等について確認してみたいと思います。
【継続勤務期間等
例 1】
2009 年 4 月 6 日に初めて任用され、辞令(辞令 1)の任用期間が 2009 年 9 月 25 日
までの臨任Aさんについて。
(2009 年 4 月 6 日の時点)
継続勤務期間等
辞令 1
任用予定期間
2009/4/6
2009/9/25
(2009 年 7 月 15 日の時点)
継続勤務期間等
辞令 1
継続勤務期間
2009/4/6
任用予定期間
2009/9/25
2009/7/15
初めて任用された場合、辞令の任用期間が継続勤務期間等となります。
この場合、時間の経過とともに継続勤務期間と任用予定期間の割合は変化します
が、それらを合計した継続勤務期間等に変化はありません。
【継続勤務期間等
例 2】
2009 年 9 月 26 日にAさんの辞令が更新され(辞令 2)、任用期間が 2010 年 3 月
25 日までとなった場合について。
(2009 年 9 月 26 日の時点)
継続勤務期間等
辞令 2
辞令 1
継続勤務期間
2009/4/6
任用予定期間
2009/9/26
2010/3/25
更新辞令(辞令 2)の発令により任用予定期間が延長されたことで、継続勤務期
間等も延長されることとなります。
このように継続勤務期間等は新たな辞令が発令されると同時に延長されることと
なります。
【継続勤務期間等
例 3】
2010 年 4 月 1 日にAさんに新たな辞令(辞令 3)が発令され、任用期間が 2010 年 9
月 25 日までとなった場合について。
(2010 年 4 月 1 日の時点)
継続勤務期間等
辞令 2
辞令 1
空白期間
6日
継続勤務期間
2009/4/6
2009/9/26
辞令 3
任用予定期間
2010/3/25
2010/4/1
2010/9/25
辞令 2 の任用期間終了時から辞令 3 の発令までの間に 6 日の空白期間があります。
これは前掲の通知にあるように 15 日未満であることから、社会通念上任用関係が中断
されているとはみなされず、継続勤務期間として扱うことになります。
そしてまた継続勤務期間等は新たな辞令が発令されると同時に延長されることとな
ります。
それでは次に「継続勤務期間等」が年休計算とどのように関係してくるのか、規則を見
ていくことにしましょう。規則によれば臨任の年休は、この継続勤務期間等が 6 月以内の
場合と 6 月を超える場合という二つの場合に分けて計算されることとなっています。その
ため、臨任の年休は継続勤務期間等の起点である最初の任用開始日や新たな辞令発令日な
どの様々なタイミングで付与されることになります。このことが正規職員の年休と制度上
大きく異なる要因となっているのです。
それではなぜ継続勤務期間等が 6 月以内か超えるかで年休の扱いを分けているのでしょ
うか。それは労働基準法(以下、労基法)の規定により年次有給休暇については、「その
雇入れの日から起算して 6 箇月間継続勤務し全労働日の 8 割以上出勤した労働者に対して、
継続し、又は分割した 10 労働日の有給休暇を与えなければならない」とされているから
です。逆にいえば、労基法上では継続勤務期間等が 6 月以内の臨任に対して、使用者であ
る神奈川県には年休を付与する義務がないということです。なお議論の焦点を絞る意味で、
今後は全労働日の 8 割以上出勤しているということを前提に話を進めていきます。
労働基準法
第 39 条第 1 項
使用者は、その雇入れの日から起算して 6 箇月継続勤務し全労働日の 8 割以上出勤
した労働者に対して、継続し、又は分割した 10 労働日の有給休暇を与えなければなら
ない。
そこで、まずは継続勤務期間等が 6 月以内の場合についてですが、前述のように労基法
では年休付与の義務を使用者である神奈川県に課していません。しかし労基法の義務は臨
任に付与しなければならない年休の最低限ということであって、神奈川県ではこれと別に
独自で臨任に年休を付与することとしています。それが規則によって定められた年休なの
です。
規則
第 5 条第 13 項第 1 号
ア
その者の継続勤務期間等が 6 月以内の場合
当該継続勤務期間等が 2 月のときは 2 日、2 月を超えるときは 2 日に 2 月を超える
期間 1 月について 1 日を加算した日数の休暇
そこで労基法による年休を「労基法分年休」とし、この場合の年休はそれと区別して
「条例分年休」という表現がされてきました。なお規則なのになぜ条例分かと思われるで
しょうが、「学校職員の勤務時間、休暇等に関する条例」(以下、条例)が第 17 条にお
いて、職員の勤務時間等については、別に人事委員会規則の定めるところ(前述の規則)
によるとしているため、条例分年休と表現されているのです。
条例
第 17 条
地方公務員法第 28 条の 4 第 1 項又は第 28 条の 6 第 1 項の規定により採用された職
員、臨時的任用職員及び常勤を要しない職員の勤務時間等については、別に人事委員会
規則の定めるところによる。
ここでは継続勤務期間等が 2 月未満の場合を除き、継続勤務期間等 1 月に対して 1 日の
年休を付与することとなっています。また継続勤務期間等には任用予定期間を含むため、
任用予定期間が 2 月以上あれば任用開始初日から年休が付与されることとなります。
継続勤務期間等
年休付与日数
年休合計日数
1月
-
2月
2日
2日
3月
+1 日
3日
4月
+1 日
4日
5月
+1 日
5日
6月
+1 日
6日
なお継続勤務期間等の計算については、民法第 143 条第 2 項の期間計算の方法によるこ
ととなります。同条によれば、月を単位とする期間については暦に従って当該期間が満了
することを要するため、1 月に満たない端数の日数をもって 1 月に切り上げることはでき
ません。
民法
第 143 条第 2 項
週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年
においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を
定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。
そのため継続勤務期間等が 5 月と 20 日の場合には、継続勤務期間等を 5 月として計算
し、年休は 5 日となります。
【年休計算例 1】
2009 年 4 月 6 日に初めて任用され、辞令(辞令 1)の任用期間が 2009 年 9 月 25 日
までの臨任Aさんの場合。
継続勤務期間等
辞令 1
1月
1月
1月
1月
1月
2009/9/5
2009/4/6
2009/9/25
この場合には 4 月 6 日から起算して 9 月 5 日で満 5 月となります。そのため年休
計算上の継続勤務期間等は 5 月とみなされ、5 日の年休が辞令の発令された 4 月 6
日に付与されます。
9 月 6 日から 25 日までの 1 月に満たない端数の日数は年休計算上の継続勤務期間
等とはみなされません。
次に継続勤務期間等が 6 月を超える場合について見ていきましょう。
規則
第 5 条第 13 項第 1 号
イ
その者の継続勤務期間等が 6 月を超える場合
当該継続勤務期間等のうち、6 月までの期間は 6 日、6 月を超える期間は 1 年ごとに
月数に 1 日を乗じて得た日数の休暇(その日数が労基法第 39 条に規定する休暇の日数
(前年から繰り越された休暇の日数を除く。)に達しない場合は、同条に規定する基
準に準ずる日数の休暇)
ここでも継続勤務期間等が 6 月以内の場合と同様に継続勤務期間等 1 月に対して 1 日の
年休を付与するとされています。しかし 6 月以内の場合と大きく異なるのが、6 月を超え
た期間については 1 年ごとに労基法に規定された年休の日数と比較する必要があるという
ことです。また後述しますが、6 月以内の場合の年休については繰越規定が無いのに対し
て、6 月を超える場合には繰越があることも大きな違いとなっています。
それでは継続勤務期間等が 6 月を超えた場合に比較する労基法の年休日数とはどのよう
なものなのでしょうか。労基法第 39 条では第 1 項で継続勤務期間等が 6 月を超えて勤務
する日(以下、6 箇月経過日)に 10 日の年休を付与するとしています。また第 2 項では
継続勤務期間等が 1 年 6 月を超えた場合には 1 年ごとに第 1 項の年休 10 日に加え、更に
追加で付与すべき年休の日数が規定されています。これを分かりやすく表にしてみると、
以下のようになります。
6 箇月経過日から起算
した継続勤務年数
年次休暇
0年
1年
2年
3年
4年
5年
10 日
11 日
12 日
14 日
16 日
18 日
6年
以上
20 日
※継続勤務期間等が 3 年 6 月を超える時点から 2 日ずつ加算される点には注意が必要です
労基法
第 39 条
使用者は、その雇入れの日から起算して 6 箇月継続勤務し全労働日の 8 割以上出勤
した労働者に対して、継続し、又は分割した 10 労働日の有給休暇を与えなければな
らない。
使用者は、1 年 6 箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算し
て 6 ヶ月を超えて継続勤務する日(以下「6 箇月経過日」という。)から起算した継
続勤務年数 1 年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる 6 箇月経過日から起算
した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与え
なければならない。ただし、継続勤務した期間を 6 箇月経過日から 1 年ごとに区分し
た各期間(最後に 1 年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する
期間において出勤した日数が全労働日の 8 割未満であるものに対しては、当該初日以
後の 1 年間においては有給休暇を与えることを要しない。
6 箇月経過日から起算した継続勤務年数
1年
2年
3年
4年
5年
6 年以上
労働日
1 労働日
2 労働日
4 労働日
6 労働日
8 労働日
10 労働日
それでは例を用いて継続勤務期間等が 6 月を超えた場合の年休も見ていきましょう。
【年休計算例 2】
2009 年 4 月 6 日に初めて任用されたAさんの辞令(辞令 1)が 9 月 26 日に更新
(辞令 2)され、任用期間が 2010 年 3 月 25 日までとなった場合について。
継続勤務期間等
辞令 2
辞令 1
2009/9/26
1月
2009/4/6
1月
1月
1月
1月
2010/3/5
1月
〔6 箇月経過日〕
2009/10/6
6 月までの期間
6日
継続勤務期間等が 6 月以内の部分
1月
1月
1月
1月
1月
2010/3/25
①
5 月×1 日/月=5 日
②
労基法年休
10 日
継続勤務期間等が 6 月を超える部分
この年休計算例 2 は前出の年休計算例 1 に続くものです。年休計算例 1 の辞令 1 が
継続勤務期間等について 6 月以内であったのに対し、今回は辞令 2 により継続勤務期
間等が 6 月を超えることとなっています。そこで年休については、まず継続勤務期間
等が 6 月以内の部分と 6 月を超える部分に分けて考える必要があります。
継続勤務期間等が 6 月以内の部分について
継続勤務期間等が 6 月までの期間は規則第 5 条第 13 項第 1 号イより 6 日の年休となり
ます。しかし任用開始時の辞令 1 が発令された時点で年休を 5 日付与されていますから、
辞令2の発令時(2009 年 9 月 26 日)には 6 日から 5 日を差し引いた残り 1 日の年休が付
与されることになります。
なおこの継続勤務期間等が 6 月以内に付与された年休は 6 月を超えて繰り越すことはで
きません。(後述)
継続勤務期間等が 6 月を超える部分について
継続勤務期間が 6 月を超える日を 6 箇月経過日といい、この場合 2009 年 10 月 6 日が
その 6 箇月経過日に当たります。
ここで 6 箇月経過日以降の継続勤務期間等は 2010 年 3 月 5 日までで満 5 月となりま
す。(前頁図の色がついた部分)そのため、まずこの 5 月に対し 1 月あたり 1 日の日数
を計算すると、①のように 5 日となります。この①の計算が規則第 5 条第 13 項第 1 号
イ「6 月を超える期間は」以下の本文の内容となるのです。
次に 6 箇月経過日においては前述のように労基法により 10 日の年休付与が義務付け
られています。これが②として表示された部分ですが、①と②では日数が異なっていま
す。このとき①と②を比較して多い方の日数の年休を付与するとしているのが、規則第
5 条第 13 項第 1 号イ「6 月を超える期間は」以下の括弧書きの内容ということになりま
す。
したがって 6 箇月経過日(2009 年 10 月 6 日)において新たに 10 日の年休が付与さ
れることになるのです。
①
5日
<
②
10 日
年休 10 日を
6 箇月経過日に付与
このように継続勤務期間等が延長されて 6 月を超える場合には、6 月以内の部分と 6 月
を超える部分に分けて年休を考える必要があるのです。
それでは更に継続勤務期間等が延長された場合に、年休がどのように計算されるのかを
見ていくことにしましょう。なおこの場合も年休計算例 2 と同様に規則第 5 条第 13 項第
1 号イにしたがって年休計算をすることになります。6 月以内の部分については既に計算
済みですので、ここでは 6 月を超える部分についてのみ考えることとします。
【年休計算例 3】
2010 年 4 月 1 日にAさんに新たな辞令(辞令 3)が発令され、任用期間が 2010 年 9
月 25 日までとなった場合について。
継続勤務期間等が 6 月を超える部分
辞令 2
2010/3/25
1月
1月
1月
〔6 箇月経過日〕
2009/10/6
1月
1月
空白期間
継続勤務期間等
1月
辞令 3
2010/9/5
2010/4/1
1月
1月
①
11 月×1 日/月=11 日
②
労基法年休
1月
1月
1月
2010/9/25
10 日
この年休計算例 3 では辞令 3 の発令により、空白期間を含めて継続勤務期間等が再度
延長されています。そのため規則第 5 条第 13 項第 1 号イに従ってもう一度年休計算をや
り直す必要があります。
まずは「6 月を超える期間は 1 年ごとに月数に 1 日を乗じて得た日数の休暇」を計算す
るため、継続勤務期間等が 6 箇月経過日以降に何月となるかを見ます。すると 2010 年 9
月 5 日までで満 11 月となることが分かります。そこでこの 11 月に対し 1 月あたり 1 日
の日数を計算すると、①のように 11 日となります。
次に労基法による年休ですが、こちらは年休計算例2と同じで 6 箇月経過日に 10 日の
年休となっており、これが②です。①と②で日数が異なるので、双方を比較すると、①
の方が②より 1 日多いため、①により求められた 11 日が年休付与日数となります。
これは規則第 5 条第 13 項第 1 号イ「6 月を超える期間は」以下の本文にあるように 6
月を超える期間 1 年ごとに計算される年休日数ということになります。したがって年休
計算例2で見てきたように、6 箇月経過日である 2009 年 10 月 6 日において既に 10 日の
年休が付与されているため、辞令 3 が発令された 2010 年 4 月 1 日には 11 日から 10 日を
差し引いた 1 日の年休が新たに付与されることになります。
①
11 日
>
年休 11 日
-
②
10 日
既に付与された
年休 10 日
年休 11 日
年休 1 日を
辞令 3 発令時に付与
さてここまで臨任の年休計算について見て来ると、ある法則があることに気がつかれる
のではないでしょうか。それは年休が新たに付与されるタイミングが条例分年休と労基法
分年休で異なっているということです。
では、それぞれの年休がどのようなタイミングで付与されているのでしょうか。多くの
場合、条例分年休は継続勤務期間等が延長される時点で付与されます。一方、労基法分年
休は 6 箇月経過日を最初として、その後 1 年ごとに付与されることになります。そのため
労基法分年休については正規職員にとって毎年 1 月 1 日が新たな年休付与日であることの
ように、臨任にとっては 6 箇月経過日に当たる日が毎年の年休付与日となるのです。
条例分年休の年休付与のタイミング
多くの場合、継続勤務期間等が延長される辞令発令時が年休付与のタイミングとなる。
(それ以外のタイミングで付与されることや、辞令発令時でも付与されないこともある
ので注意)
労基法分年休の年休付与のタイミング
6 箇月経過日を最初として、その後 1 年ごとに毎年年休が付与される。
なおここまでの年休計算例は欠員補充の臨任の一般的な事例について見てきました。し
かし、これ以外にも学校現場では産休代替、休職代替といったように任用の時期や期間が
多種多様な任用事例が存在しています。たとえ短い任用期間が連続するような臨任であっ
ても、条例分年休および労基法分年休付与のタイミングについては上記のものと同様とな
ります。
4
新しい年休整理票への挑戦
さてこれまで見てきたように、臨任の年休制度は大変複雑で難解なものとなっています。
そのため継続勤務期間等が 2 月以上あれば任用初日から年休が付与されるのに、2 月以上
勤務してから初めて年休が付与されると誤解される場合もあるのです。これは同じ非正規
職員である非常勤職員の年休の場合、実際に勤務した期間によって付与されるため、これ
と混同しやすいなど、いくつか原因が挙げられると思います。しかし臨任の年休制度が複
雑なことが原因で誤解を生じやすい状況であることは事実であり、その意味でより分かり
やすい資料の作成が求められていました。
そこで従来使ってきた臨任の年休整理票を見てみると、長期使用に向かないというだけ
でなく、年休付与のタイミングをうまく表現できないという意味で、限界があることが分
かっていました。これは従来の年休整理票が過去の年休費消状況について、その結果を整
理して記載するというものであるにもかかわらず、年休付与のタイミングまで表している
ように捉えられる可能性があったからです。そのため例えば任用 6 月以内の年休について
従来の年休整理票では「年休 6 日」と、あたかも最初から年休を 6 日付与しているかのよ
うな表現となっていました。これは前出の年休計算例でも分かるように、はじめから 6 月
以上の辞令が出ていない限り、多くの場合は任用時に 5 日、更新辞令発令時に追加で 1 日
付与されるというタイミングになります。しかし従来の年休整理票では、あくまでもこれ
らを合わせた結果について表現しているので「年休 6 日」となるのです。
(6月まで)
継続勤務期間
区
分
繰越分
条例分
労基法
計
2008/4/7
費消可能日数
6
6
~
費消日数
5
5
2008/10/6
未費消日数
1
1
結果的に 6 日の年休が付与されたという
ことであって、はじめから 6 日付与され
たとは限りません。
このことは任用 6 月を超えた場合の年休も同様で、前述のように新しい辞令発令に伴っ
て付与される条例分年休について、その付与のタイミングを誤ってしまうことが危惧され
ていました。
(6月を超え)
1年目
継続勤務期間
2008/10/7
~
2009/10/6
区
分
繰越分
条例分
労基法
計
費消可能日数
2
10
12
費消日数
2
8
10
未費消日数
0
2
2
年休計算例 2 で見たように条例分 2 日
が 6 箇月経過日に付与されるわけでは
ありません。
このように従来の年休整理票は、複雑な臨任の年休制度を理解し使用する上で限界があ
ると言わざるを得ませんでした。そこで私たち発行部会では、この難解な臨任の年休につ
いて、研究会会員だけでなく臨任本人にとっても理解しやすく、また学習資料的効果を併
せ持つことができるよう、新しい帳票類の作成にチャレンジすることとなったのです。そ
の結果として出来上がったのが 2008 年 3 月 18 日発行の「学校事務研究」№199 です。
「学校事務研究」№199 では、まず条例分と労基法分に分けた年休計算表を作成し、各
年休付与のタイミングを少しでも分かりやすいように工夫しました。また年次休暇の帳票
である休暇承認簿の補助簿として臨任本人が現在の年休残日数を把握しやすいよう年次休
暇取得経過表も作成しました。更に所属校異動記録も今後長期間使用することを予想して
欄を増やすなどの対応をしました。
これらは全く新しい試みだったため、従来の年休整理票も今までどおり載せた上で、帳
票類の使い方と臨任年休の日数や繰越についての説明も行いました。そして会員から広く
意見を集めることとしたのです。
「学校事務研究」№199 で新しく作成した
「条例分年次休暇計算表」の記入例
臨時的任用職員 の条例分年次休暇計算表
計算基準日は採用日です。
職名
教諭
採 用日からの
満 月数です。
氏名
○○ 凸凹
職員番号
08999X
計算基準日
辞令から学校名と任用期間を記入し ます。
年休付与日は辞令発令
条例分年次休暇
採用日
月数
労 基法
2008/4/7
日となります。
2008/4/7
条例分
1
2
2日
3
1日
4
1日
5
1日
6
1日
学校名
任用(予定)期間
A小学校
2008/4/7~2008/9/25
年休付与日
A小学校
条例分年休費消期限
付与日数
2008/4/7 5日
費消日数
4日3時間
左の任用期間に おける
条例分年休日数合 計を
付与します。
こ の期間で合計5日
任用予定期間の満月数で辞令を
区切るため実線(赤)を引きます。
辞令の期間内に費消した年
休日数を記入します。
ここが付与日数を超え ても全体
で超えなければ良いで す。
2008/9/26~2009/3/25
2008/9/26 1日
1日2時間
6日
5日5時間
2008/10/6
残日数は繰り越されないので、あえて表示していません。
6 箇月経過日
月数
労 基法
2008/10/7
条例分
1 10日
学校名
任用(予定)期間
この期間で1日
2
3
2008/9/26の辞令が出た時点
でここに実線を引きます。
4
年休付与日
付与日数
費消日数
辞令の空 白期間が15日 以上の場合は
リセット されます。
2009/3/25から2009/4/6までの
空白期間 は11日のため継続します。
5
66箇月経過日から
の7満月数です。
B小学校
2009/4/6~2009/9/25
この期 間で条例分年休日数は1日
8
2009/4/6 1日
1日
だから辞令 が出た時点
で1日付与します。
9
10
11
1日
12
1日
B小学校
条例分年休費消期限
2009/9/26~2010/3/25
2009/9/26 1日
2009/10/6
2日
1時間
1日1時間
条例分は毎回 この費消期限をもっ
て一度締め切ります。
6箇月経過日+1年
月数
労 基法
条例分
2009/10/7
学校名
任用(予定)期間
年休付与日
付与日数
費消日数
1 11日
ここ に労基法分が表示されてるのは条例 分年休
との 関係をイメージしやすくするためで す。
労基 法分については別に計算表を用意し ています。
2
3
空白期間15日未満の
ため継続します。
4
5
C小学校
6
7
2010/4/5~2010/9/25
この期間に条例分年休日数はあ りません。
8
9
だから新たに付与
はされません。
これが最後の条例分となりま す。
10
11
12
1日
条例分年休費消期限
C小学校
2010/10/6
2010/9/26~2011/3/25
2010/9/26 1日
4時間
1日
4時間
この条例分年休計算表では年休計算の基礎である「継続期間等」に着目し、表の左
側を任用 6 月以内と 6 月を超える分については 1 年ごとに期間を区切った上で、それ
ぞれの月数と、その月数あたり 1 日という年休付与日数をブロックで表しました。
そして条例分年休は新たな辞令により任用予定期間が決定する時に付与される場合
が多いので、これらブロックを辞令の任用期間ごとに区切ることにより、どの辞令の
時に何日の年休を付与するか、視覚的に分かりやすいような表作りに努めました。
「学校事務研究」№199 で新しく作成した
「労基法分年次休暇計算表」の記入例
臨時的任用職員 の労働基準法分年次休暇計算表
職名
教諭
氏名
○ ○ 凸 凹
職 員番 号
0 89 9 9X
時 間 単 位 の年 休 は
繰越 で きま せ ん。
計算 基 準日
労働基準法分年次休暇
2008/4/7
採 用 年 月 日 を書 き ま す 。
年休付与日
付与日数
繰越日数
年休合計
費消日数
残日数
繰越上限
6箇月経過日
2008/10/7
10日
0日
10日
8日3時間
1日5時間
10日
6箇月経過日+1年
2009/10/7
11日
1日
12日
5日7時間
6日1時間
11日
6箇月経過日+2年
2010/10/7
12日
6日
18日
4日
14日
12日
6箇月経過日+3年
2011/10/7
14日
12日
26日
6箇月経過日+4年
2012/10/7
16日
6箇月経過日+5年
2013/10/7
18日
6箇月経過日+6年
2014/10/7
20日
6箇月経過日+7年
2015/10/7
20日
繰 越 上 限 日 数が 繰
り 越さ れ ます 。
14日
も し も 残日 数 が
繰越上限を超え
て い た場 合
16日
18日
20日
20日
年 休 は そ の 年 に 付 与 さ れ た 日 数を 上 限 と し て 翌 年 に 繰 越 す こ
と が で き ま す 。 そ の た め 6箇 月 経 過 日 + 7年 目 以 降 に 年 休 は
最 大 40日 受 け る こ と が可 能 と な り ま す 。
この労基法分年休計算表は、6 箇月経過日から 1 年ごとに労基法分の年休が付与
される様子を、条例分年休とは分けて扱うことで単純化し、年休付与のタイミング
を強調しようと作成したものです。
表中の年休付与日は毎年同じ日付となっており、このことで労基法分年休の付与
のタイミングを強く意識できるようにしたつもりです。
また後述の議論で触れますが、年休の繰越上限日数についても合わせて分かりや
すいように表現するよう努めました。
「学校事務研究」№199 で新しく作成した
「年次休暇取得経過表」の記入例
臨 時的 任用職 員の年 次休暇 取得経 過表
職名
教諭
初 めて 採 用さ れ た場 合 の年 休
計 算期 間 は6 月 です 。
職員番号6 月 経 過 08999X
後に つ いて は 新た に
氏名
○○ 凸凹
~
2008/10/6
1 年を 計 算 期 間 と し ま す 。
年休計算期間
2008/4/7
条例分年休
日付
(+)
4月7日
残(A)
5日
4月16日
4時間
10月3日
5時間
1日5時間
(-)
残(B)
最 初 に採 用 され て から 6 月
に つ いて は 労基 法 分の 年 休
が あ りま せ ん 。
4日5時間
4日
1日
10月2日
(+)
5日
3時間
8月4~7日
9月26日
労基法分年休
(-)
計算 期 間 内 に 更 新辞 令 が出 た 場合
は、 条 例 分の 年 休が 新 たに 付 与さ
れる こ と があ り ます 。
1日1時間
6時間
合計残日数
(A+B)
5日
4日5時間
5時間
1日5時間
1日1時間
条例 分 年 休 は 繰 越
でき ま せ ん 。
3時間
3時間
新 規採 用 から 6 月経 過 後は 1 年 の期 間 ごと で 年休 計 算 を し ます 。
辞 令が 出 てい な い 期 間 につ い て も 期 間 終了 日 を先 に 記入 し てお く と 良 い
で しょ う 。
た だし 空 白期 間 が1 5 日以 上 あ れば 計 算期 間 はそ の 時点 で 途切 れ ます 。
年休計算期間
2008/10/7
条例分年休
日付
10月7日
12月26日
(+)
(-)
残(A)
空 白期 間 が 15 日 未満 で 新た に
辞 令が 出 た 場合 、 条例 分 年休 が
付 与さ れ る 可能 性 があ り ます 。
(+)
1日
6月2~3日
10日
1日
1日
4時間
4時間
4時間
0日
繰越 で きな い 条例 分
年休 か ら使 っ た方 が
有利 で す。
10月2日
1日
1時間
10月7日
繰越分3日
新 規付 与 分 11 日
合計残日数
(A+B)
10日
10日
9日
9日
8日6時間 8日6時間
8日6時間 9日6時間
8日6時間 9日2時間
1日
6日2時間 6日2時間
3日
3日2時間 3日2時間
1日
3日2時間 4日2時間
7時間
3日2時間 4日1時間
採 用 から 6 月経 過 +1 年 目で 労 基法 分 の
年 休 1 1 日年休計算期間
が新 た に付 与 され ま す 。
2009/10/7
こ こ で前 年 から 繰 越さ れ た年 休 3日 を
加 え た合 計 14 日 が労 基 法分 の 年休 に
な り ます 。 繰越 分 と新 規 付
与分 が分かる
条例分年休
よう
に1 0 月7 日 は2 行 に分 け てみ て も
日付
(-)
残(A)
(+)
い い で し ょ う 。(+)
10月7日
残(B)
1日4時間 7日2時間 7日2時間
ここ で 年 休は 4 日1 時 間残 っ てい ま すが 、 繰越 で きる
8月3日
のは 労 基 法分 の 3日 だ け( 端 数切 捨 て) で す。
なお 労 基 法分 の 年休 で あっ て も 前 年 から 繰 越さ れ た年
8月5~7日
休に つ い て再 度 繰越 す こと は 出来 ま せん 。
9月26日
(-)
2時間
4月13日
2009/10/6
労基法分年休
1月5日
4月6日
~
~
2010/10/6
労基法分年休
(-)
残(B)
合計残日数
(A+B)
3日
3日
3日
11日
14日
14日
この年休取得経過表は、臨任の年休が正規職員とは異なり、条例分年休と労基法分
年休といった複雑な制度である上に、様々なタイミングで年休が付与されることか
ら、従来の休暇承認簿だけでは年休を記録する上で限界があると考え、休暇承認簿の
補助簿として作成しました。
この中では表を条例分年休と労基法分年休に分けた上で、それぞれ年休を付与され
ればプラス、逆に年休を費消すればマイナスと計算し、年休残日数を常に把握できる
ようにしました。
「学校事務研究」№199 で新しく作成した
「所属校異動記録」
臨時的任用職員の所属校異動記録
職員番号
氏名
任用期間(辞令)
所属校
空白期間
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
~
15日未満・以上
この所属校異動記録は従来の年休整理票の上段にあったものを取り出し、数を増や
したものです。今後は空白期間の変更により、臨任の年休が継続するであろうことか
ら所属校の異動記録についても大幅に増やしています。
また任用期間のところに(辞令)と入れたことで、辞令ごとに記録していくことも
できるようにしました。
5
年休繰越に関しての議論
さてこれまで述べてきたように、臨任の年休については制度が大変複雑で分かりづらい
状況でした。しかし「学校事務研究」№199 を発行したことにより、少なくとも年休付与
のタイミングに関しては正確に把握することが可能となり、学習資料的効果を有する帳票
類の作成という点では一定の効果を得ることができました。
しかし 2008 年度末に日付などを改訂した№206 の発行を行った後になって、条例分年
休の繰越についての解釈に相違が見られることがわかりました。問題となったのは、任用
後 6 月を経過してからの 2 年間に付与される条例分年休の繰越についてです。
そこで、ここからは臨任の年休繰越について、議論の相違を制度内容と合わせて検証し
つつ、最終的に 2010 年 9 月発行の「学校事務研究」№216 を作成するに至った経緯につ
いて説明していきたいと思います。なお議論が分かれたのは前述のように任用から 1 年 6
月経過日と 2 年 6 月経過日における条例分年休の繰越についてです。しかし、内容的には
同じになりますので、ここでは任用後 1 年 6 月経過日における年休繰越について検証して
いきたいと思います。
さてここで臨任の年休繰越について、この後の議論の展開もありますので、まずは
2009 年 3 月当時の規則から関連条文を見ていくことにしましょう。
規則
第 5 条第 14 項
(2009 年 3 月当時)
臨時的任用職員及び非常勤職員(短時間勤務職員を除く。)が 1 年 6 月を超えて継続
勤務した場合において、当該職員の継続勤務期間が 6 月を超えた日から起算した 1 年ご
との年次休暇の日数からその 1 年間に受けた年次休暇の日数(前年から繰り越された年
次休暇の日数を除く。)を差し引いた日数(1 日未満の端数があるときは、これを切り
捨てた日数)があるときは、当該職員は、その日数を限度に、労基法第 39 条において
当該職員に対し与えなければならないと規定されている年次休暇の日数を年次休暇とし
て翌年に受けることができる。
この条文は大変複雑なので、一見して全てを理解することはとても難しいと思います。
そこで、まずはこの条文を、少しでも分かりやすいように、非常勤職員や 1 日未満の端数
などの事項を省略し、より簡潔に書き直してみたいと思います。
簡略化した年休繰越規則
臨任が 1 年 6 月を超えて継続勤務した場合において、当該職員の継続勤務期間が 6
月を超えた日から起算した 1 年ごとの年休日数からその 1 年間に受けた年休日数を差
し引いた日数があるときは、当該職員は、その日数を限度に、労基法に規定されてい
る年休日数を年休としてその翌年に受けることができる。
ここでまず確認できる事として、臨任の年休繰越に関する本規則が、任用 6 月を超えて
から 1 年ごとに付与された年休についてのみを繰越対象としている点があげられます。そ
のため任用 6 月以内に付与された条例分年休については繰越の対象となっていないのです。
任用 6 月以内に付与された年休は 6 月を超えて繰り越すことができない。
それでは、ここから本題である任用 1 年 6 月経過日における年休繰越の扱いについて見
ていくことにしましょう。
10 日
労基法分年休
1日
条例分年休
6 月経過日
1日
1 年 6 月経過日
上の図は任用から 6 月経過日に労基法分年休 10 日が付与され、その後継続勤務期間等
が新たな辞令により延びた場合には、6 月経過日から満 11 月または満 12 月で更に条例分
年休として 1 日または 2 日が付与される状況を表しています。ここで議論が分かれるのは、
後半の条例分年休についての取扱いについてです。仮説は 3 つありますので、それぞれを
見ていくことにしましょう。
【仮説A】
1 年 6 月経過日において、条例分の年休 2 日は繰越できません。
また先行して費消した労基法分年休を後から付与された条例分年休で補填することも
できないと考えます。
これは労基法分年休と条例分年休を別物と捉え、更に年休の繰越上限については労
基法の制約があるとする考え方です。
【仮説B】
1 年 6 月経過日において、条例分の年休 2 日は繰越できません。
しかし先行して費消した労基法分年休を後から付与された条例分年休で補填すること
は可能であると考えます。
これは労基法分年休と条例分年休を分けずに同じ年休として捉えていますが、年休
の繰越上限については労基法の制約があるとする考え方です。
【仮説C】
1 年 6 月経過日において、条例分年休を含め付与された全ての年休(12 日)の残りが
繰越可能です。
これは労基法分年休と条例分年休を分けずに同じ年休として捉え、また年休の繰越
上限についても労基法の制約は無く、その 1 年間に付与された全年休(前年からの繰
越分は除く)の日数とする考え方です。
ここで先程の条文では以下のように書かれてあります。
当該職員は、①その日数を限度に、②労基法第 39 条において当該職員に対し与えなけ
ればならないと規定されている年次休暇の日数を年次休暇としてその翌年に受けるこ
とができる。
そこで 1 年 6 月経過日において年休が 12 日全部残っていた場合に、【仮説C】では下
線部①の「その日数を限度に」ということから 12 日全部を繰り越すことができると判断
します。しかし、この下線部①は年休繰越における第一条件に過ぎず、もうひとつの条件
が無視されていることに気が付きます。
第一条件:年休の残日数(繰越分、1 日未満は除く)
そのもうひとつの条件とは、下線部②の「労基法第 39 条において当該職員に対し与え
なければならないと規定されている年次休暇の日数」というものです。これを第二条件と
するならば、この規則では第一条件と第二条件で少ないほうの日数を繰り越すことができ
るとしているのです。
第二条件:労基法に規定されている日数
したがって、1 年 6 月経過日において年休の残日数が 12 日ある場合は、
第一条件:12 日
>
第二条件:10 日
10 日繰越可能
また 1 年 6 月経過日において年休の残日数が 7 日ある場合は、
第一条件:7 日
<
第二条件:10 日
7 日繰越可能
となるはずです。
そのため、この時点では第二条件を無視した【仮説C】に大きな欠陥があることが分か
っていただけるかと思います。
それでは次に【仮説A】と【仮説B】について比較検討してみましょう。
まず両者は繰越可能日数を考える上で、前述の第一条件と第二条件の両方を考慮してい
る点で共通しています。しかし両者では年休を労基法分と条例分に分けて考えるか、ある
いは同じ年休として分けずに考えるかで、第二条件の解釈が異なっているのです。
そこで例を用いて両者における年休の扱いの違いを見ていきましょう。
【年休繰越例】
臨任Aさん
辞令 1
辞令 2
辞令 3
辞令 4
2009 年 4 月 6 日 任用開始 任用期間 2009 年 9 月 25 日まで
2009 年 9 月 26 日 任用期間更新 2010 年 3 月 25 日まで
2010 年 4 月 1 日 新たな任用開始 任用期間 2010 年 9 月 25 日まで
2010 年 9 月 26 日 任用期間更新 2010 年 3 月 25 日まで
2010 年 1 月に年休を 3 日費消したが、それ以外に費消した年休は無い。
この場合において任用 6 月経過日からの 1 年間における年休日数を考えてみましょう。
空白期間
辞令 2
年休 3 日費消
労基法分年休
10 日付与
2010/3/25
辞令 4
辞令 3
2010/4/1
2010/9/26
条例分年休
1 日付与
条例分年休
1 日付与
〔1 年 6 月経過日〕
2010/10/6
〔6 箇月経過日〕
2009/10/6
【仮説A】では労基法分年休と条例分年休を別物と捉え、かつ労基法分年休のみが
繰越可能と考えているため、この例での 1 年 6 月経過日における年休繰越日数は次の
ようになります。
労基法分年休
10 日付与 -
条例分年休
1 日付与 +
3 日費消
=
7 日残
繰越可
1日付与
=
2 日残
繰越不可
労基法分年休
の 7 日のみが
繰越可能
【仮説B】では労基法分年休と条例分年休を同じ年休と捉えるため、この期間に付
与された全ての年休日数から費消した全ての日数を差し引きます。そして更にその残
日数と労基法に規定された日数を比較して少ない方を繰越可能と考えています。
よってこの例での 1 年 6 月経過日における年休繰越日数は次のようになります。
①全ての年休
10 日付与 -
3 日費消
+
1 日付与
②労基法に規定された年休
10 日
①
9日
<
②
+
1日付与
=
9 日残
少ない日数の方
10 日
年休 9 日が
繰越可能
このように【仮説A】と【仮説B】では、それぞれの年休に対する捉え方の違いから、
結果として年休の繰越日数にも違いが生じています。そこで改めてこの議論の前提となる
年休繰越について、条文を見直してみたいと思います。
規則
第 5 条第 12 項第 1 号
イ
(2009 年 3 月当時)
当該継続勤務期間等のうち、6 月までの期間は 6 日、6 月を超える期間は 1 年ごとに
月数に 1 日を乗じて得た日数の休暇(その日数が労基法第 39 条に規定する休暇の日数
(前年から繰り越された休暇の日数を除く。)に達しない場合は、同条に規定する基
準に準ずる日数)の休暇
これを読むと臨任の年休については、あくまでもこの規則の上で、原則として 1 年ごと
に月数に 1 日を乗じて得た日数の年休が付与されるとなっています。そして労基法で規定
されている日数と比較し、日数が足りない場合は労基法に規定された日数を付与するとし
ているのです。
つまり臨任の年休には労基法分と条例分という 2 種類の年休があるわけではなく、条例
により年休を付与する上で、労基法の規定と比較しているに過ぎなかったのです。
臨任の年休には労基法分と条例分という 2 種類の年休があるわけではない。
そうすると【仮説B】のように最初に付与された 10 日の年休と後から付与された 2 日
の年休に性格的な違いは無いこととなります。そして単純に第一条件である年休の残日数
と第二条件である労基法に規定された日数を比較し、少ないほうの日数を繰り越せること
になるのです。
では【仮説A】はどうなのでしょう?
前掲したように私たち発行部会がこれまで作成、発行してきたものは「条例分年次休暇
整理表」や「労基法分年次休暇整理表」といったように、条例分年休と労基法分年休を別
物と捉えた【仮説A】の考え方に基づいていました。
これは従来手引き等において記載されてきた「労基法分」や「条例分」という記載方法
により、2 種類の年休制度があるものだと考えてきたからです。そのため年休繰越の第二
条件とした「労基法第 39 条において当該職員に対し与えなければならないと規定されて
いる年次休暇の日数」という文言を、単に「日数」と捉えず、「労基法分の年休」の「日
数」として、更に条件を付加して捉えていました。
またこのような判断を行った背景として、任用 6 月以内の条例分年休と、任用 6 月を超
える場合の条例分年休について、同じ名称という理由で、扱いも同じであると判断してし
まったところもありました。
このように見てくると、「労基法分年休」という年休自体がそもそも独立して存在して
いるわけではない(あえて言うならば「労基法相当分年休」でしょうか)ため、やはり
【仮説A】の解釈は間違っていたということになります。
そこで私たち発行部会は、この臨任の年休繰越にかかる議論を通じて、以後【仮説B】
に合わせる形で臨任の年休関係書類を再検討する必要に迫られたのでした。
6
2009 年 3 月条例改正と「学校事務研究」№216
臨任の年休関係を扱った「学校事務研究」は、転任者関係書類や事務引継書と同じく、
いつも年度末に発行していました。ところが 2009 年度末は前述のように年休繰越に関す
る解釈の違いを関係各方面に確認することなどで、相当に時間を費やしました。しかし、
結局結論が出せないまま、臨任の年休に関する「学校事務研究」の発行は見合わせること
となってしまったのです。
そして 2010 年度の初夏になり、臨任の年休繰越に関しての条文が変更されていた事が
分かったのです。改正されたのは 2009 年 3 月で、2009 年 4 月から施行となっていました。
これはちょうど県費職員の勤務時間が 1 日 8 時間から 7 時間 45 分に変更されたときであ
り、それに合わせて服務等に関する各種制度変更が多方面で行われたときでもありました。
変更があったのは、臨任の年休繰越にかかる部分で、次のように変わっていました。
規則
第 5 条第 14 項
(2009 年 4 月施行)
臨時的任用職員及び非常勤職員(短時間勤務職員を除く。)が 1 年 6 月を超えて継続
勤務した場合において、当該職員の継続勤務期間が 6 月を超えた日から起算した 1 年ご
との年次休暇の日数からその 1 年間に受けた年次休暇の日数(前年から繰り越された年
次休暇の日数を除く。)を差し引いた日数(1 日未満の端数があるときは、これを切り
捨てた日数)があるときは、当該職員は、人事委員会が別に定める日数を年次休暇と
してその翌年に受けることができる。
ここで変更前と変更後で変わった部分(下線太字部分)を比較してみましょう。
変更前
当該職員は、①その日数を限度に、②労基法第 39 条において当該職員に対し与えな
ければならないと規定されている年次休暇の日数を年次休暇として翌年に受けることが
できる。
変更後
当該職員は、③人事委員会が別に定める日数を年次休暇としてその翌年に受けること
ができる。
学校職員の勤務時間、休暇等に関する規則等の運用について(通知)17(12)一部抜粋
規則に規定する「人事委員会が別に定める日数」とは、規定により定められている年
休の日数からその年に受けた年休の日数(前年から繰り越された年休の日数を除く)
を差し引いた日数(1 日未満の端数があるときは、これを切り捨てた日数)とする。
規則の変更前におけるこの条文内容は年休繰越の議論の際、年休繰越できる日数の上限
に 2 つの条件があることを示していました。そして下線部①の部分を年休の繰越分や 1 日
未満の端数を除いた残日数である第一条件とし、下線部②の部分を労基法第 39 条に定め
られた年休の日数である第二条件として捉え、これら 2 つの条件のうち少ない日数の方を
繰り越し可能と結論付けていました。
このとき最初に臨任の年休繰越について議論が分かれていたうち、【仮説C】が第二条
件であるところの労基法に規定された日数という部分を無視していたということで、問題
があるとしていました。
ところが変更後の規則を見ると、下線部③のように「人事委員会が別に定める日数」と
いうことで、変更前にあった第一条件、第二条件のような制限が取り除かれています。す
ると変更前には問題があるとされた【仮説C】の問題点が無くなります。逆に労基法が規
定する日数という第二条件を課していた【仮説A】および【仮説B】の方が問題ありとな
ってしまったのです。ここでもう一度【仮説C】の内容を見てみましょう。
【仮説C】
労基法分年休と条例分年休を分けずに同じ年休として捉え、また年休の繰越上限につ
いても労基法の制約は無く、その 1 年間に付与された全年休の日数(前年からの繰越分
は除く)とする考え方。
これを見ると【仮説C】こそが臨任の年休を労基法分、条例分といった二つに分け隔て
ることなく、また労基法の制約も無いため、新規則における「人事委員会が別に定める日
数」を繰越可能とした内容に合致することが分かったのです。そこで私たち発行部会も、
これまで修正しようとしていた臨任の年休整理票等を【仮説B】ではなく【仮説C】にあ
わせるように変更していくこととなったのです。
そして 2010 年 9 月、ついに待望の「学校事務研究」№216 が発行の運びとなりました。
「学校事務研究」№216 で新しく作成した
「年次休暇整理票」の記入例
臨時的任用職員の年次休暇整理票
職 名
教諭
所 属
桜小学校
たちばな小学校
松風小学校
竹林小学校
(
6
月
ま
)
で
継続勤務期間
○○ 凸凹
10999X
任 用 期 間
平成22年4月1日
~
平成23年4月1日
~
平成24年4月1日
~
平成25年4月1日
~
年 月 日 ~
年 月 日 ~
付与日数
内 訳
平成22年4月1日
繰越分
~
条例分
(A)
平成22年9月30日
労基法分
(B)
平成22年10月1日
繰越分
~
条例分
(A)
(
)
6
1月
年を
目超
え
氏 名
職員番号
(
繰越分
5
~
条例分
(A)
1
)(
平成24年9月30日
労基法分
(B)
11
平成24年10月1日
繰越分
12
~
条例分
(A)
3
年
2
平成23年10月1日
目
目
) (
労基法分
(B)
費消日数
残日数
6
繰越上限
(A)+(B)
12
出勤状況(要勤務日数の8割)
注 2
5
1
7
5
( 以上 ・ 未満 )
注 3
10
2
年
6
平成22年4月1日
空 白 期 間
平成23年3月25日
} 15日 未満・以上
平成24年3月23日
} 15日 未満・以上
平成25年3月25日
} 15日 未満・以上
年 月 日 } 15日 未満・以上
年 月 日 } 15日 未満・以上
年 月 日 注 1
労基法分
(B)
平成23年9月30日
計
計算基準
年 月 日
注 4
12
( 以上 ・ 未満 )
比較して、小さ
いほうが繰越日
数となる
注 5
17
4
13
12
( 以上 ・ 未満 )
比較して、小さ
いほうが繰越日
数となる
注 6
24
12
( 以上 ・ 未満 )
12
繰越分
4
年
~
目
条例分
(A)
( 以上 ・ 未満 )
) (
労基法分
(B)
繰越分
5
年
)
目
~
条例分
(A)
( 以上 ・ 未満 )
労基法分
(B)
この年休整理票では、従来縦軸に年休の費消日数等、横軸に条例分、労基法分とい
った年休区分がされていたのとは逆に、縦軸に年休の内訳、横軸に年休の費消日数等
となっています。
付与日数欄で年休には内訳があり、条例分や労基法分といった名称は残しています
が、それらはすぐに合計され、ひとつの年休として処理されるようにしてあります。
「学校事務研究」№216 で新しく作成した
「年次休暇取得経過表」の記入例
臨時的任用職員の年次休暇取得経過表
職名
教諭
初めて任用された場合の年休計算
期間は6月です。
10999X
6月経過後については新たに1年
を計算期間とします。
職員番号
年休計算期間
平成22年4月1日
氏名
~
○○ 凸凹
平成22年9月30日
年次休暇の増減
日付
付与
(+)
4月1日
5日
8月16日~19日
9月26日
備 考
任用開始
任用期間5月以上6月未満
5日
計算期間内に更新辞令が出た場合
は、条例分の年休が新たに付与さ
れることがあります。
6月2日
残日数
費消
(-)
3時間
4日4時間45分
4日
4時間45分
1日
9月28日
1日4時間45分
4時間
1日0時間45分
1日以上の残があっても、最初の6
月までの年休は次の期間に繰り越す
ことができません。
新規任用から6月経過後は1年の期間ごとで年休計算をします。
辞令が出ていない期間についても期間終了日を先に記入しておくと良いでしょう。
ただし空白期間が15日以上あれば計算期間はその時点で途切れます。
年休計算期間
辞令延長で任用期間が6月以上と
なるため、1日追加付与
平成22年10月1日
~
平成23年9月30日
年次休暇の増減
日付
付与
(+)
10月1日
10日
12月27日
1月4日
残日数
費消
(-)
10日
空白期間が15日未満で新たに辞令
が出た場合、条例分の年休が付与さ
れる可能性があります。
4月1日
備 考
労基法分
1日
9日
4時間
8日3時間45分
1日
9日3時間45分
4月11日
4時間
8日7時間30分
6月2日
1日
7日7時間30分
8月1日~3日
3日
4日7時間30分
9月26日
9月30日
1日
残日数が1日以上ある場合、当該期
間内に付与された日数を上限とし
て、1日単位で次の期間に繰り越す
ことができます。
(この場合、5日繰越可能)
年休計算期間
5日7時間30分
1時間
~
平成24年9月30日
この期間の当初には、前の期間から繰り越さ
れた日数と労基法分の11日が付与されます。
わかりやすくするために、2行に分けて記入
残日数
備 考
しておくとよいでしょう。
日付
付与
(+)
10月1日
5日
5日
10月1日
11日
16日
費消
(-)
辞令延長で任用期間が18月以上と
なるため、1日追加付与
5日6時間30分
平成23年10月1日
年次休暇の増減
辞令延長で任用期間が17月以上
18月未満となるため、1日追加付与
繰越分
労基法分
新しく編集しなおした年次休暇取得経過表では、条例分年休と労基法分年休という
2 つの年休に分けることなく、同じ年休として増減を記録するようにしています。
備考欄を大きくし、年休付与の理由等を記入できるようにしてあります。
7
さいごに
これまで見てきたように臨任の年休は大変複雑な制度です。それを少しでも研究会会員
にとって分かりやすくしたい。私たち発行部会はその思いで、この臨任の年休制度につい
て取り組んでまいりました。これを読んでいただければお分かりのように、途中では少し
間違った解釈をしてしまった場面もありました。それでも難解な臨任の年休制度を理解し
て、正しく運用できるよう、それぞれの問題点を解決できるような帳票類の作成を心がけ
てきたつもりです。
もし職場に臨任の方がいらっしゃいましたら、是非この「学校事務研究」№216 を活用
していただきたいと思います。また臨任の方ご本人がこの年休制度について、より深くご
理解いただくための資料としてもご利用いただければ幸いです。
私たち発行部会では研究会会員の皆様からの要望にできるだけお応えできるよう、これ
まで努力してきました。毎回、「学校事務研究」を発行する際には、その編集、発行過程
で、多くの方々のご支援、ご指導をいただいています。特に今回の臨任の年休整理票等を
編集・作成するにあたっては、研究会本部役員の方々だけでなく、内容確認をしていただ
いた横浜市教育委員会の方々、そして神奈川県の条例等変更の情報を提供くださった関係
各方面の方々に並々ならぬご協力をいただきました。複雑な臨任の年休制度を理解し、目
標としてきた年休整理票等が完成できたことをこの場をお借りして厚く御礼申し上げます。
研究会会員のみなさまへ
この度、研究発表にあわせて原稿を執筆する過程で、教育委員会より新たな通知
が届きました。平成 22 年 12 月 27 日付け教教厚第 1046 号です。この通知は規則が
平成 22 年 12 月 24 日付けで改正され平成 23 年 1 月 1 日施行となったことの概要を
伝えるものでした。
主な改正点は県費負担教職員の年休繰越等の取扱についてですが、特に時間単位
での年休繰越が可能となったことで、今回の発表内容は現行規則とは食い違いが生
じています。
また平成 23 年 4 月 1 日に施行される臨任の年休付与日数の変更等についても、
今後通知が出る予定です。
そのため「学校事務研究」№216 をご利用の際は、これらの変更点に十分ご注意
の上、対応していただきますよう、よろしくお願いします。
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