...

SpO2プローブ

by user

on
Category: Documents
7

views

Report

Comments

Transcript

SpO2プローブ
新 連載
正
しく
使
おう
SpO2プローブ
第1回 プローブを正しく装着しないとどうなるの?
パルスオキシメータは指にプローブを装着すれば、簡単に
動脈 血酸 素飽和度(SpO 2 )を測定できる医療に欠かせない
ME機器です。しかし、正確に測定するためには、プローブを正
しく装着することが必須です。また、患者さんの皮膚に直接、
しかも 長 時 間 触れているものなので 誤った方法で 使 用する
と、患者さんの皮膚に熱傷を起こしたり、かぶれてしまう場合
があります。そこで、今月からSpO 2プローブの正しい使い方、
装着のポイントなどについて解説していきます。
第1回目は、プローブを正しく装着しないと、どんな現象が
起こるのかを解説します。
プローブを正しく装着しないと発生する現象
褥瘡 と 圧迫壊死
局所的な圧迫の発生
褥瘡(発赤、靴ずれ様症状)
さらに進行すると…
圧迫壊死(水泡形成)
低温熱傷
【低温熱傷】
【褥瘡と圧迫壊死】について
プローブを指先に装着した状態での発光部の温度上昇は通常
2℃程度です。皮膚温度が35℃としても、装着部の温度は37℃
までしか上昇しません。したがって温度上昇だけでは、低温熱傷
の発生は説明できません。
生体の代謝による産熱は、血液により放熱されています。圧
迫により血流が途絶えると、血液による放熱がなくなり局所的
に温度が上昇します。プローブによる熱傷は、プローブ装着の圧
迫と発光部の発熱の相乗効果であると考えられます。
また、プローブ装着の圧迫だけで皮膚損傷が起こるという報
告もあります。このため、使用上の注意としては、長時間連続し
て同一部位に装着しないことと、テープの固定を強く巻きすぎな
いことが上げられます。
強い装着圧
プローブ表面の凹凸
プローブのエッジ
など
細胞と血液に
よる熱の放散
LED
通常1∼2℃の
温度上昇が起こる
どちらも外見上、低温熱傷と見分けが付かない!
LEDの発光による
熱の放散を妨げる要因
・高熱の患者
・低還流の患者
・環境温度が高い場合
・プローブへの強い巻きつけ
・炎症部位
低温熱傷の発生
発赤や水泡の形成
どちらも外見上、低温熱傷と見分けが付かない!
次回は、プローブを装着する敏感な皮膚を保護するポイントをご説明します。
かぶれ
長期間の装着に
よって皮膚は弱く、
かつ敏感に
なっています。
テープ生地の
素材
摩擦
粘着材
プローブの汚れや
細菌など
わずかな刺激でも、皮膚のアレルギー反応と
炎症を引き起こすかもしれません。
1
連載
正
しく
使
おう
SpO2プローブ
第2回 敏感な皮膚を保護するポイント
前回は、プローブを正しく装着しないと起きてしまう現象
「褥瘡と圧迫壊死」
「低温熱傷」
「かぶれ」について説明しました。
第2回目は、敏感な皮膚を保護するための装着のポイントについて解説します。
装着テープは
1
Point 軽く貼りつける
特にきつく巻きつけたつもりで
なくても、装 着 部位 が 強く締め
付けられていることがあります。
弱い装着圧や少ないLEDの発熱
でも長時間同じ状態が続くと、
皮 膚の損傷を引き起こすことが
あります。
装着テープは「巻きつける」のではな
く、
「皮膚に沿って貼り付ける」とい
う感覚で装着してください。
装着部位は定期的に変更してください。
ディスポーサブルプローブは8時間以内
リユーザブルプローブは4時間以内
装着時はテープを伸ばしていないか、
引っ張っていないかを確認してくだ
さい。
測定中もプローブ装着部の皮膚周辺
状態に注意してください。
特に注意が必要な
低出生体重児
特に注意を要する患者さんと装着部位
スポンジや伸縮性のあるテープの注意点
(より頻繁な確認と装着部の変更を行ってください)
●装 着面がスポンジタイプのものは、劣化し
弾力性を失っていないか確認してください。
●高熱や末梢循環不全を起こしている患者さん
●皮膚の弱い患者さん、新生児、低出生体重児、
あるいは高齢者
●炎症や傷のある部位
●伸縮性のあるテープは、後から収縮するこ
とがあり、まきつけ圧が強くなります。
2
2 定期的な
Point
装着部位の変更
より良い装着のために、
ひと工夫!
3
Point
プローブの固定にテープや包帯以
外のものを用い、工夫することに
よって、より精度の良い測 定や圧
迫の少ない安全な装着を行うこと
ができます。
良い測定のためのアイデア
●体動がある場合は、プローブ付近のケーブ
ルをテープなどで固定することでケーブル
からのノイズ混入を防ぐことができます。
●不穏な患者さんや体動が多い患者さんに
は、クリップ 式ではなく、粘着式のディス
ポーザブルプローブを使用しましょう。
●ディスポーザブルプローブは、発光部と受
光部が対向するよう装着しましょう。
●外部の光が影響する場合は、黒色などの濃
い色の手袋や靴下をかぶせたり、毛布など
をかぶせて遮光しましょう(この場合、装着
部位の状態をこまめに確認してください)。
連載
正
しく
使
おう
SpO2プローブ
第3回 信頼性のあるSpO2測定のポイント
今回は「信頼性のあるSpO 2 測定のポイント」について解説します。日本光電のSpO 2プローブは、ディスポタイプは16種類、リ
ユーザブルタイプは5種類のラインアップがあります。各プローブに規定されている適用装着部位をご確認いただき、下記4つ
のポイントに留意してお使いください。
1 適切な厚みの装着部位を選択する
Point
プローブは通常6~18mm厚の部位に装着します。
(中継ケーブルの JC-024P か JC-025P を使用した場合は
6~14mmとなります)
Point
2 爪の生え際にLEDの発光部を位置させる
LED
良い装着位置
悪い装着位置
Detector
LED が爪の生え際の場合
動脈血の脈動成分が大きく、SpO2測定に
適しています。
LED が関節部位の場合
爪の生え際に比べ動脈血の脈動成分が小さく、
SpO2測定に適していません。
LED
Detector
良い装着位置
悪い装着位置
LED
Detector
手の指
Point
足の趾
足 の甲
(新生児・低出生体重児)
3 発光部と受光部は互いに対面させる
LED
LED
良い装着位置
Detector
• 指の中心を通過する光を検出
します。
• 大きい脈動の信号となります。
指の腹側に受光部がある
指の腹側は柔らかいため受光部が密着し
指を通り抜けた光だけが検出されます。
Point
緩 すぎる
Detector
• 指の縁を通過する光も検出さ
れます。
• 信号の脈動は減少します。
爪が硬いため受光部が密着できず、周りを
迂回した光も検出されてしまいます。
4 プローブ装着は緩すぎず、かつキツすぎず
装着では…
悪い装着位置
指の爪側に受光部がある
キツすぎる
装着では…
発光部と受光部の位置が適切にならない。
体動によるプローブ脱落がおこりやすい。
● 体動ノイズを引き起こす原因となる。
● 静脈の拍動を引き起こす原因となる。
●
●
●
●
脈動が小さくなる。
低 温 熱 傷や圧 迫 壊 死 などの皮 膚 損 傷 の
原因となる。
プローブの適切な取り扱いと注意を守り、正確でより安全な測定を心がけてください !
3
正
連載
使
しく
おう
SpO2プローブ
最終回 SpO2プローブラインアップとまとめ
日本光電のSpO2プローブは患者さんの装着部位に合わせて、サイズや形状が設計されています。
①患者さんの体重、②装着部位、③体動の有無・強弱、④連続装着時間 など、
患者さんの状態や使用条件に応じて、
適
切なプローブを選択してください。
ラインアップ
タイプ
成 人
小児/幼児
新生児
固定方法
クリップ
リユーザブル
(防水構造)
テープ固定
非粘着
TL-201T
TL-220T
TL-631T
TL-260T
TL-260T
(クリップアダプタ
: オプション)
ディスポーザブル
(一人使い切り)
粘着テープ
TL-271T
TL-272T
TL-273T
TL-273T
TL-274T
4
低出生
体重児
超低出生
体重児
リユーザブルプローブは、清掃・消毒時に便利な防水構
造となっていますが、体動の影響を受けやすく、圧迫が
やや強いため、
スポット測定や短時間の使用に適してい
ます。
半日以上の連続モニタリングには、
体動の影響を受けに
くい軽量なディスポーザブルプローブ、特に粘着タイプ
型プローブがおすすめです。
プローブは、
発光素子(発光ダイオード)、
受光素子
(フォ
トダイオード)、そしてそれらを指などに取り付けるた
めの装着部材の3つの基本要素で構成されています。
とてもシンプルな構成ですがSpO2測定において、精度
や安全性に深くかかわる重要な設計要素が含まれてい
ます。
弊社純正品でない、互換と称した他社プローブと組み
合わせて使用することは、測定性能、安全性など性能
保証ができませんので絶対に使用しないでください。
日本光電はSpO2プログラムを刷新し、新アルゴリズム
は新製品を中心に展開が始まっています(詳細は
弊社営業員へお問合せください)。この新アルゴリズム
の性能を十分に引き出しモニタリングするには、
適切なプローブの選択と共に、正しい装着が重要です。
正しい装着については、ぜひ、本連載の第1回目からご
覧ください。
Fly UP