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実施報告書 - 経済産業省

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実施報告書 - 経済産業省
平成 26 年度
コンテンツ産業強化対策支援事業
(コンテンツ技術イノベーション促進事業)
実施報告書
平成 27 年 2 月
一般財団法人デジタルコンテンツ協会
はじめに
我が国のコンテンツはその潜在力と波及効果の大きさから、
「新成長戦略」等において、
我が国の主要な成長分野として位置付けられている一方で、少子・高齢化や不況により、
国内市場規模は横ばいとなっている。このコンテンツ産業の市場拡大を達成するためには、
消費者ニーズの把握や利用者評価のフィードバックの活用等によってコンテンツ技術を発
展させることにより、映像、音楽、ゲーム、書籍等のコンテンツ産業分野における製品・
サービスの魅力をさらに高めるとともに、その技術を応用することで他産業分野へと市場
を拡大することが重要である。
そこで、本事業では、平成 24 年 3 月に経済産業省が取りまとめた技術戦略マップ 2012
(コンテンツ分野)で示されている技術開発の方向性に基づき、その実現に大きな貢献が
期待できる先進的な技術を発掘・評価し、産学連携の場での共有と社会への発信を行う場
として「デジタルコンテンツ EXPO2014」を実施した。この開催を通して、我が国におけ
るコンテンツ技術の未来を描き、産業振興を推進することを目指したものである。
具体的には、2014 年 10 月 23 日(木)から 26 日(日)までの 4 日間にわたり、江東区
青海にある日本科学未来館に於いて、経済産業省が主導する Japan 国際コンテンツフェス
ティバル(CoFesta)の公式イベントとして「デジタルコンテンツ EXPO2014」を開催し
た。本年度で 3 回目となる「Innovative Technologies」
(最先端技術の発掘・表彰事業)
を開催、経済産業省からの強力な発信力と綿密な準備のもと、将来の産業界への応用に期
待の持てる新技術を発掘し、その最先端技術の情報共有に貢献できた。また、昨年度より
実施している、その年の注目すべき技術を取り上げて展示や講演を行う「Features」では
ウェアラブル技術を取り上げて大勢の来場者の注目を集め、コンテンツ技術のトレンドを
社会に示すことができた。主要メディアからの情報発信の内容が充実し、例年に続き実施
した SNS(ソーシャルネットワークサービス)での情報の内外への発信も含め、未来に向
けたコンテンツ技術の発展に大きく貢献したものと思われる。
ここに、
「デジタルコンテンツ EXPO2014」の実施内容について報告する。
デジタルコンテンツ EXPO2014 事務局
一般財団法人デジタルコンテンツ協会
目次
1.開催概要
1.
開催概要 ....................................................................................................................... 1
1.1
開催期日・開催場所 ................................................................................................... 2
1.2
主催・共催・後援・協力・協賛 ................................................................................. 2
1.3
本事業の背景と目的 ................................................................................................... 3
1.4
プログラムの構成要素 ............................................................................................... 4
1.5
運営体制と実施経緯 ................................................................................................... 6
1.6
実施プログラム .......................................................................................................... 8
1.6.1
シンポジウム / セミナー / ステージ(特別企画、Features) ........................ 8
1.6.2
展示 ................................................................................................................... 10
1.6.3
実施会場 ........................................................................................................... 12
1.7 開催実績 ..................................................................................................................... 13
2.各プログラム内容の実施報告
2.1
Innovative Technologies 2014 ................................................................................. 16
2.1.1
先端技術の発掘(公募) ................................................................................... 16
2.1.2
審査委員会 ........................................................................................................ 19
2.1.3
採択技術の発表 ................................................................................................ 21
2.1.4
採択技術の内容(展示) ................................................................................... 27
2.1.5
特別賞選考会 .................................................................................................... 38
2.1.6 ACM SIGGRAPH Special Prize ...................................................................... 41
2.1.7
2.2
Innovative Technologies2014 表彰式 .............................................................. 42
Features 2014 ......................................................................................................... 44
2.2.1
ウェアラブルに関する展示 8 件 ....................................................................... 44
2.2.2
セミナー「ウェアラブルによる五感拡張の可能性」 ....................................... 48
2.2.3
OcuFes 開発者会議 .......................................................................................... 48
2.2.4
OcuFes 体験会 .................................................................................................. 49
2.3
特別企画 ................................................................................................................... 50
2.3.1
Innovative Technologies 採択技術ショートプレゼンテーション 01・02・03 50
2.3.2 ASIAGRAPH 2013 匠(たくみ)賞・創(つむぎ)賞授賞記念シンポジウム「宇
宙×アニメ×テクノロジー」 ............................................................................... 52
2.3.3 ACM SIGGRAPH ExecutiveCommittee Jacquelyn Ford Morie 氏を迎えての
特別企画「インタラクティブ・テクノロジーが変える未来」 ............................ 53
2.3.4
ワークショップ1 空中に絵を描ける 3D ペン「3Doodler」 ........................ 54
2.3.5
2.4
ワークショップ 2 自由自在に電子回路をペンで描いてみよう ..................... 55
その他(国際関連) .................................................................................................. 56
2.4.1 English Guided Tour ........................................................................................ 56
2.4.2
コ・フェスタアンバサダー ............................................................................... 57
3.広報
3.1
ウェブサイト・広報制作物 ...................................................................................... 60
3.1.1
ウェブサイトでの広報活動 ............................................................................ 60
3.1.2
O2ONAVI について .......................................................................................... 61
3.2
プレスリリース ........................................................................................................ 65
3.2.1
プレスリリース活動概要 ................................................................................ 65
3.2.2
報道実績 .......................................................................................................... 66
3.3
アンケート結果 ........................................................................................................ 68
4.事業の評価
4.1
成果(定性評価)...................................................................................................... 72
4.1.1
事業目的からの評価 ......................................................................................... 72
4.1.2
事業推進・運営面からの評価 ........................................................................... 73
4.2
成果(定量評価)...................................................................................................... 74
1. 開催概要
1.1
開催期日・開催場所
名称:デジタルコンテンツ EXPO 2014(DCEXPO 2014)
会期:2014 年 10 月 23 日(木)~26 日(日)
会場:東京都江東区青海「日本科学未来館」
1.2
主催・共催・後援・協力・協賛
主催:経済産業省、一般財団法人デジタルコンテンツ協会
共催:日本科学未来館
後援:総務省、文化庁、観光庁、東京都、江東区、東京商工会議所、
CG-ARTS 協会(公益財団法人画像情報教育振興協会)
、
一般財団法人家電製品協会、一般社団法人電子情報技術産業協会、
一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会、
一般社団法人日本動画協会、一般社団法人 VFX-JAPAN、
公益財団法人ユニジャパン、日本バーチャルリアリティ学会、
超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム、
3D コンソーシアム、立体映像産業推進協議会、
上海マルチメディア産業協会、日中 CG 文化交流協会、香港貿易発展局、
韓国コンテンツ振興院、台湾デジタルコンテンツ産業推進室
協力:株式会社 ACCESS、NEC ディスプレイソリューションズ株式会社、
カシオ計算機株式会社、サムスン電子ジャパン株式会社、三信電気株式会社
協賛:アートスパークホールディングス株式会社、ソニー株式会社、
大日本印刷株式会社、株式会社東芝、凸版印刷株式会社、パナソニック株式会社、
株式会社ポリー
2
1.3
本事業の背景と目的
技術戦略マップ 2012(コンテンツ分野)で示されている技術開発の方向性に基づき、その
実現に大きな貢献が期待できる先進的な技術を発掘・評価し、産学連携の場での共有と社会へ
の発信を行うことで、我が国におけるコンテンツ技術イノベーションを促進することを本事業
の目的とした。
上記の目的を達成するために、本年度で 3 回目となる Innovative Technologies を実施し、
広範囲の産業に対しての波及を目指した。
また、市場の成長性や他産業への応用可能性の観点から、本年度特に注目すべきコンテンツ
技術の分野を選定し、関連するコンテンツ技術の展示及び講演・シンポジウム等を行う企画
「Features2014」を実施。今年で 2 回目の実施となる「Features2014」ではウェアラブル技
術をテーマとして取り上げ、コンテンツ技術のトレンドを社会に示すことができた。
他に、コンテンツ技術に関係する技術者、クリエイター及び有識者等を講師として招聘し、
講演・シンポジウム・ワークショップを「特別企画」として実施した。講演・シンポジウム等
では、最新のコンテンツ技術の動向を紹介し、本事業の目的を達成するために有効なテーマ設
定を行った。
3
1.4
プログラムの構成要素
以下の(1)~(5)のプログラムにおいて、シンポジウム、セミナー、展示等を総合的に実施した。
なお、本イベントを実行するにあたり、有識者から構成される「DCEXPO 推進委員会」を設置
し、全体のステアリングとそれぞれのプログラム要素を統括した。各プログラムの企画意図は以
下の通りである。
(1) Innovative Technologies 2014
本年度で 3 回目となる事業で、コンテンツ産業の発展に大きく貢献することが期待される技
術を発掘し、表彰する。具体的には、技術戦略マップ 2012(コンテンツ分野)で示されている
技術開発の方向性に基づき、他産業への応用や新市場創出の可能性がある先進的な技術を広く公
募により選出し、デジタルコンテンツ EXPO の会場で一般来場者に向け展示・実演することと
する。また、選出された採択技術の中から、特にコンテンツ産業以外の分野への波及・応用の可
能性が高い技術として、
「Industry」
「Culture」
「Human」
「Ecology」の 4 つの特別賞を選考し、
表彰を行う。また今年は米国の学会 ACM SIGGRAPH による Special Prize の選定も行う。
(2) Features 2014
本年度 2 回目となる、その年に注目すべき技術を取り上げて展示・講演等を行う「Features
2014」を実施する。今回はウェアラブル技術をテーマとして取り上げ、実演と講演・セミナー
を行う。
(3)特別企画
本年度開催において、主催者により特に特徴づけられる内容を選別し、企画された講演やス
テージイベントを実施する。具体的な内容としては、本年度 3 回目となる「Innovative
Technologies 2014」の最新技術をステージにて紹介する企画や、技術戦略マップ 2012(コンテ
ンツ分野)に示されているコンテンツ関連の技術開発の方向性に関するシンポジウム、卓越した
技術・経験を有する専門家・知識人がその専門分野への見識を披露するシンポジウム等、
「デジタ
ルイノベーションの架け橋」として技術の可能性を提示する講演プログラム等を企画する。
(4)国際プログラム
海外のコンテンツ及びその関連技術分野の事業者やコンテンツ産業関連団体を中心として、そ
の最先端技術に関する情報を展示・実演するとともに、講演により最新の海外情勢を紹介し、本
プログラムを通した情報交換や交流が我が国のコンテンツ産業関係者の海外展開の足掛かりと
なることを目指す。
4
(5)Content Technology Showcase
「Content Technology Showcase」とは国の委託事業とは別に、一般財団法人デジタルコンテ
ンツ協会の独自企画として実施するもの。日本や世界からの最先端技術が一堂に会し、研究者、
企業、クリエイター等が、それぞれの立場からこれからのコンテンツ技術の可能性を考え、社会
にイノベーションの姿を提示する場と定義している。展示のほかセミナー、ステージイベント等、
それぞれの参加団体が独自の企画で最新技術や今後の可能性等を提示した。
5
1.5
運営体制と実施経緯
1.4 に掲げたプログラムを企画・運営するための委員会組織は以下の通りである。
デジタルコンテンツ EXPO2014 推進委員会
氏名
東京大学 名誉教授、慶應義塾大学特別招聘教授、
国際 VR 研究センター長
委員長
舘
委員
石川 勝
(エグゼクティブ
プロデューサー)
東京大学 IRT 研究機構 特任研究員
栄井 隆典
独立行政法人 科学技術振興機構
日本科学未来館 事業日 運営課 課長
柏原 恭子
経済産業省 商務情報政策局 文化情報関連産業課長
小松原 繁
経済産業省 商務情報政策局 文化情報関連産業課
課長補佐
市原 健介
一般財団法人デジタルコンテンツ協会 専務理事
委員随行
暲
所属・役職
中井 健太
土屋 学
経済産業省 商務情報政策局 文化情報関連産業課
技術担当
独立行政法人 科学技術振興機構
日本科学未来館 運営事業部 事業推進課 連携推進担当
■デジタルコンテンツ EXPO 2014 第 1 回推進委員会
日時
平成 26 年 7 月 16 日(水) 10:00~12:00
場所
一般財団法人デジタルコンテンツ協会 会議室
議題(1)挨拶
(2)委員・メンバー紹介、委員長選出
(3)デジタルコンテンツ EXPO2014 実施計画について
(4)Innovative Technologies 2014 運営方針について
(5)今後の進め方
(6)その他
■デジタルコンテンツ EXPO 2014 第 2 回推進委員会
日時
平成 26 年 10 月 8 日(水) 10:00~12:00
場所
一般財団法人デジタルコンテンツ協会 会議室
6
議題(1)全体の進捗に関する報告
(2)Innovative Technologies2014 特別賞選考会関連等の進捗報告
(3)表彰式/レセプションについて
(4)特別企画について
(5)Content Technology Showcase 関連の進捗報告
(6)広報関連事項
(7)今後の進め方、その他
■デジタルコンテンツ EXPO 2014 第 3 回推進委員会
日時
平成 26 年 12 月 17 日(水) 10:00~12:00
場所
一般財団法人デジタルコンテンツ協会 会議室
議題 1.デジタルコンテンツ EXPO 2014 実施報告
(1)デジタルコンテンツ EXPO 2014 概要報告
(2)デジタルコンテンツ EXPO 2014 の総括
(3)成果報告
(Innovative Technologies2014、Features 2014、特別企画、国際プログラム、
Content Technology Showcase、広報等)
2.次年度への取り組みに関して
3.まとめ、事務連絡
7
1.6
実施プログラム
1.6.1 シンポジウム / セミナー / ステージ(特別企画、Features)
(1)日程別実施内容
10 月 24 日(金)

Innovative Technologies 採択技術ショートプレゼンテーション 01
10:50~11:55〔日本科学未来館 1F センターステージ〕

Features2014「ウェアラブルによる五感拡張の可能性
13:10~13:55〔日本科学未来館 1F センターステージ〕

ACM SIGGRAPH Executive Committee Jacquelyn Ford Morie 氏を迎えての特別企
画「インタラクティブ・テクノロジーが変える未来」
14:30~16:00〔日本科学未来館 1F センターステージ〕
10 月 25 日(土)

Innovative Technologies 採択技術ショートプレゼンテーション 02
11:00~11:55〔日本科学未来館1F センターステージ〕

Features 2014「OcuFes 開発者会」
11:00~16:30〔日本科学未来館 7F 未来館ホール〕

ASIAGRAPH 2014 匠賞・創賞受賞記念シンポジウム
「宇宙×アニメ×テクノロジー」
13:00~14:30〔日本科学未来館1F センターステージ〕

ワークショップ「空中に絵を描ける 3D プリントペン「3Doodler」」
①13:00~13:50 ②14:00~14:50 ③15:00~15:50
④16:00~16:50
〔日本科学未来館 7F 会議室 3〕

ワークショップ「自由自在に電子回路をペンで描いてみよう」
①13:00~13:45 ②14:00~14:45 ③15:00~15:45
〔日本科学未来館 7F 会議室 3〕
8
④16:00~16:45
10 月 26 日(日)

Innovative Technologies 採択技術ショートプレゼンテーション 03
11:00~11:50〔日本科学未来館1F センターステージ〕

Features 2014
「OcuFes 体験会」
12:10~13:50〔日本科学未来館 1F センターステージ〕
(2) 日程別プログラム(Content Technology Showcase を含む)
9
1.6.2 展示
10 月 23 日(木)~26 日(日)10:00~17:00〔日本科学未来館1F〕
■Innovative Technologies 2014(1F展示会場)
展示
№
採択者
T01
東京工業大学
研究室
T02
スケルトニクス株式会社
スケルトニクス・アライブ
T03
東京大学 JST/ERATO
テロミス:自由形状をした紙飛行機のデザ
インシステム
T04
アスラテック株式会社
V-Sido OS
T05
株式会社サカワ
みらいのこくばんプロジェクト
T06
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 篠田・
牧野研究室
空中触覚タッチパネル
T07
東京大学 石川・渡辺研究室
勝率 100%じゃんけんロボット
T08
東京大学 暦本研究室・落合陽一/名古屋工業大
学 星研究室
ピクシーダスト
T09
国立大学法人電気通信大学、株式会社アイプラ
スプラス
Hamsa Touch
T10
パイオニア株式会社
シースループロジェクション
T11
株式会社 TBWA HAKUHODO
X-TECH GEAR
T12
株式会社 JIN、慶應義塾大学、芝浦工業大学、
東北大学
JINS MEME
T13
株式会社 ispace
民間月面探査ローバー
T14
東京大学 苗村研究室
インカンタトリーペーパー
T15
日本電信電話株式会社 NTT コミュニケーショ
ン科学基礎研究所
指でつまむと引っ張られる感覚:ぶるなび
3
T16
株式会社電通サイエンスジャム/株式会社電通
neurocam
T17
株式会社ソニー・コンピュータエンターテイン
メント
Project Morpheus
T18
東京大学 大学院 情報理工学系研究科/AgIC
株式会社
AgIC 回路プリンタ
T19
WHILL 株式会社
WHILL
T20
株式会社 ZMP
物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」
採択技術
大学院情報理工学研究科
小池
10
アクアフォールディスプレイ
■Features2014(1Fシンボルゾーン)
展示内容
展示者
F01
スマートグラスを活用した実世界指向イン
ターフェース
大日本印刷株式会社
F02
Smart Glass Showcase
ビュージックスコーポレーション
F03
ウェアラブル4K
パナソニック株式会社
F04
レーザーアイウェア
株式会社 QD レーザ
F05
マッスルスーツ
東京理科大学小林研究室/株式会社イ
ノフィス
F06
高機能筋電義手
株式会社メルティン MMI
F07
どこでもドア
PronoXVI(株式会社プロノハーツ、株
式会社エクシヴィ)
F08
OcuFes in DCEXPO
OcuFes
■国際プログラム(1F展示会場)
展示内容
展示者
C12
KOREA TECHNOLOGY
DCAN
C21
LAVAL VIRTUAL 2015
LAVAL VIRTUAL
C22
SIGGRAPH ASIA 2014
ACM SIGGRAPH
■Content Technologu Showcase(参考):36 企画
11
<展示会場:日本科学未来館1F>
1.6.3 実施会場
12
1.7 開催実績
(1) イベントの構成要素
・Innovative Technologies 2014
・Features 2014
・特別企画
・国際プログラム
・Content Technology Showcase(参考)
(2) 講演数、出展数、Innovative Technologies 2014 特別賞
講演(シンポジウム/セミナー/ステージ)
:22 セッション
(内、Content Technology Showcase のプログラム(13)を含む)
展示:67
-Innovative Technologies 2014:20
-Features 2014:8
-国際プログラム:3
-Content Technology Showcase:36(参考)
Innovative Technologies 2014 特別賞
カテゴリー
採択技術
採択者
Industry
特にデジタルコンテンツ分野以
外の産業分野への波及・応用が期
待される技術
空中触覚タッチパネル
東京大学大学院 新領域創成科
学研究科 篠田・牧野研究室
Culture
特に文化・芸術分野への波及・応
用が期待される技術
ピクシーダスト
東京大学 暦本研究室・落合陽一
郎/名古屋工業大学 星研究室
Human
特にライフサイエンス分野への
波及・応用が期待される技術
JINS MEME
株式会社 JIN、慶応義塾大学、芝
浦工業大学、東北大学
WHILL
WHILL 株式会社
Ecology
特に環境分野への波及・応用が期
待される技術
AgIC 回路プリンタ
東京工業大学大学院情報理工系
研究科/AgIC 株式会社
ACM
SIGGRAPH
Special Prize
ACM SIGGRAPH より選考される技
術
空中触覚タッチパネル
東京大学大学院 新領域創成科
学研究科 篠田・牧野研究室
(3) 来場者数
40,719 名(延べ)
13
(4) メディア取材、及び露出件数
(詳細については、3. 広報にて後述)
取材人員:126 名(期間中、延べ)
露出件数:
・TV:11 件(NHK、フジテレビ、テレビ東京、日本テレビ、TOKYO MX、
テレビ朝日)
・新聞:10 件(毎日新聞、THE JAPAN TIMES、映像新聞、新聞之新聞、
朝日小学生新聞、電波タイムス、他)
・雑誌:2 件(Web Designing、週刊ファミ通)
・WEB ニュース:403 件
・Twitter:インプレッション 10.7 万件、エンゲージメント率 2.1%(10 月 1 日~10 月
31 日)
・Facebook:802 いいね!
14
2. 各プログラム内容の実施報告
2.1
Innovative Technologies 2014
本年度で 3 回目となる事業で、コンテンツ産業の発展に大きく貢献することが期待される技
術を発掘し、表彰した。本事業は、技術戦略マップ 2012(コンテンツ分野)で示されている技
術開発の方向性に基づき、他産業への応用や新市場創出の可能性がある先進的な技術を広く公募
により選出し、デジタルコンテンツ EXPO の会場で一般来場者に向け展示・実演したものであ
る。20 件の先進技術が、有識者で構成される審査委員会によって採択され、展示された(1.7.2
項を参照)
。また、開催初日の 10 月 23 日(木)に、産業界/学界等の専門家からなる特別賞選
考会を開催し、20 件の採択技術の中から、特にコンテンツ産業以外の分野への波及・応用の可
能性が高い技術として、
「Industry」
「Culture」
「Human」
「Ecology」の 4 つの特別賞を選考し
た。また、ACM SIGGRAPH の Executive Committee である Jacquelyn Ford Morie 氏により
ACM SIGGRAPH Special Prize が選考され、表彰を行った。
2.1.1 先端技術の発掘(公募)
(1) WEB 上での公募
Innovative Technologies2014 を実施するにあたり、わが国の優れたコンテンツ技術を発掘す
るために、デジタルコンテンツエキスポ公式 WEB サイト上にて広く公募した。
(2) ポスター、メールマガジン等での公募
Innovative Technologies 2014 採択技術募集告知のポスターを作成し、全国の大学の理工学
部、高等専門学校への配布の他、DCAJ が運営するメールマガジンで告知するとともに団体等と
の相互協力によって告知を図った。
1)DCAJ メールマガジン 4,366 件(10 月時点での配信数)
2)日本科学未来館 友の会へのメール配信
3)全国学校連絡会 58 校へのメール配信
4)団体(相互協力)
①公益財団法人画像情報教育振興協会(CGアーツ協会)
CG検定指定校 約 200 校へのメール配信、協会ホームページでの掲載
②一般社団法人日本エレクトロニクスショー協会
InterBEE 2014 メールマガジンにて配信
5)その他
①Facebook、Twitter での告知
②Innovative Technologies 過去の応募者へのメール配信
16
(3) 経済産業省ニュースリリース
経済産業省の協力を得て、
「経済産業省 News Release」として発信した。
以下が、公募として告知した掲載文である。
17
18
2.1.2 審査委員会
(1)審査委員
大学や企業からコンテンツ技術に関して知見を有する有識者を選出し、審査委員として委嘱し
た。また、委員会における互選にて委員長を選出した。選出された委員長・委員は以下の通り。
(50 音順、敬称略)
<委員長>
舘 暲
東京大学 名誉教授/慶應義塾大学 特別招聘教授
国際 VR 研究センター長
<委員>
石川 勝
東京大学 IRT 研究機構 特任研究員
猪子 寿之
チームラボ株式会社 代表取締役社長
内田 まほろ
日本科学未来館 展示企画開発課 課長
加治佐 俊一
マイクロソフト ディベロップメント株式会社 代表取締役社長
兼 日本マイクロソフト株式会社 業務執行役員 最高技術責任者
河合 隆史
早稲田大学 基幹理工学部 表現工学科 教授
河口 洋一郎
東京大学 大学院 情報学環 教授
北村 喜文
東北大学 電気通信研究所 教授
月岡 章仁
株式会社デジタイズドインフォメーション 代表取締役
西村 幸男
生理学研究所・認知行動発達機構研究部門 准教授
長谷川 修
東京工業大学 画像情報工学研究所 准教授
廣瀬 通孝
東京大学 大学院理工学系研究科 知能機械情報学専攻 教授
まつもと ゆきひろ 株式会社ネットワーク応用通信研究所 フェロー
柳澤 大輔
株式会社カヤック 代表取締役 CEO
(2)審査基準
下記の項目を、審査基準として定めた。
■先進性・革新性
類似する事例がなく、斬新なアイディアによって新たな技術やサービスの可能性を切り拓いて
いるか。
■産業化・市場創出の可能性
新たな産業化、市場創出の可能性を有するか。
■技術的汎用性
他の技術に広く応用される可能性を有するか。
19
■表現の新規性
従来にない独創性や斬新さを有する表現を実現しているか。
■技術戦略マップとの整合性
技術戦略マップ 2012(コンテンツ分野)に示される技術開発の方向性に基づき、その実現に
大きな貢献が期待できるか。
(3)審査委員会
下記の次第にて委員会が開催された。
1.日時:平成 26 年 8 月 22 日(金)10 時 00 分〜12 時 00 分
2.場所:一般財団法人デジタルコンテンツ協会 会議室
審査委員会での審議の上、採択・選出された候補技術に対し、その旨を連絡し、Innovative
Technologies 受賞とデジタルコンテンツ EXPO への展示可否等の条件を確認した結果として、
以下の 20 の技術が採択技術として決定した。
採択者
大学院情報理工学研究科
採択技術
T01
東京工業大学
研究室
小池
T02
スケルトニクス株式会社
スケルトニクス・アライブ
T03
東京大学 JST/ERATO
テロミス:自由形状をした紙飛行機のデザ
インシステム
T04
アスラテック株式会社
V-Sido OS
T05
株式会社サカワ
みらいのこくばんプロジェクト
T06
東京大学大学院 新領域創成科学研究科 篠田・
牧野研究室
空中触覚タッチパネル
T07
東京大学 石川・渡辺研究室
勝率 100%じゃんけんロボット
T08
東京大学 暦本研究室・落合陽一/名古屋工業大
学 星研究室
ピクシーダスト
T09
国立大学法人電気通信大学、株式会社アイプラ
スプラス
Hamsa Touch
T10
パイオニア株式会社
シースループロジェクション
20
アクアフォールディスプレイ
T11
株式会社 TBWA HAKUHODO
X-TECH GEAR
T12
株式会社 JIN、慶應義塾大学、芝浦工業大学、
東北大学
JINS MEME
T13
株式会社 ispace
民間月面探査ローバー
T14
東京大学 苗村研究室
インカンタトリーペーパー
T15
日本電信電話株式会社 NTT コミュニケーショ
ン科学基礎研究所
指でつまむと引っ張られる感覚:ぶるなび
3
T16
株式会社電通サイエンスジャム/株式会社電通
neurocam
T17
株式会社ソニー・コンピュータエンターテイン
メント
Project Morpheus
T18
東京大学 大学院 情報理工学系研究科/AgIC
株式会社
AgIC 回路プリンタ
T19
WHILL 株式会社
WHILL
T20
株式会社 ZMP
物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」
2.1.3 採択技術の発表
前項に記した審査委員会の審議により選出された 20 の採択技術に関し、平成 26 年 9 月 16 日
(火)に報道発表を行った。発表に際しては、経済産業省の協力を得て、経済産業省「News
Release」
、及び一般財団法人デジタルコンテンツ協会より WEB にて公開、その技術内容ととも
に詳細を報じた。以下にその内容を示す。
21
<<経済産業省からの発表>>
22
23
24
25
<<一般財団法人デジタルコンテンツ協会からのプレスリリース 表紙>>
26
2.1.4 採択技術の内容(展示)
T01
アクアフォール ディスプレイ
東京工業大学 大学院情報理工学研究科 小池研究室
AquaFall Display は流れ落ちる水と高密度の霧に
よって構成された「滝」のディスプレイである。何
もない空間に短時間でスクリーンを出現、消失させ
ることが可能で、プロジェクターの映像をきれいに
表示することができ、さらにスクリーン面を物体が
自由に出入りすることも可能。従来から、霧を空間
中に平面状に流したスクリーンや噴水の水滴を利
用したスクリーンはあったが、表面が凸凹になるた
め精細な表示ができず、また半透明なため背景が透
けてしまい周囲が明るい環境では表示が見えにく
いという問題があった。AquaFall Display では、
四角形状に構成された4本のスリットから流れ落ちる滝が作りだす閉じた空間の内部を濃い霧で満
たすことにより、白色で完全に不透明、なおかつ表面が平滑なスクリーンを空中に出現させることを
実現。光の散乱・反射率が高いため周囲が明るい環境でも使用可能となった。今回の展示ではこの特
徴を活かして制作されたゲームを提示。空気砲を使ってウイルスをスクリーンから吹き飛ばし、アヒ
ルのおもちゃが水のスクリーンを突き破って現れる様子等を楽しむことができた。
T02
スケルトニクス・アライブ
スケルトニクス 株式会社
これまでアニメや映画等で身体動作の拡大を行うロ
ボットが登場しているが、現実世界では具現化して
いない。そこで、四肢動作を拡大する装置を開発す
ることで、通常の人体では表現できないダイナミッ
クな腕や脚の動きを実現することができる、動作拡
大型メカニカルスーツ“スケルトニクス”が開発さ
れた。本スーツは力が増幅するタイプの外骨格では
ない。そのため、一般によくイメージされるような
介護医療用または重作業用への利用は難しい。しか
しながらその圧倒的注視性能を生かしての新たなライブエンタテイメント機器としての使用が期待
される。第五世代目であるスケルトニクス・アライブは実際にエンタテイメント分野で利用できる性
能を保証する機体である。多自由度かつ忠実な身体動作の特徴を生かしつつ、素早い乗り込み、より
27
多彩なパフォーマンス、長時間の搭乗が可能になった。“特異姿勢”を上手く利用することで、総重
量40kgのスーツの負荷を動力を全く使わず最小限に抑えることに成功した。会場では来場者がスケル
トニクスに実際に乗ることができ、自分自身の動きが拡張される体験が来場者の好評を得ていた。
T03
テロミス:自由形状をした紙飛行機のデザインシステム
東京大学 JST/ERATO
当技術は、自由形状の手投げ飛行機を簡単に
設計することを可能にする。任意の翼の平面
形状に対して、その空気力学的な特性を予測
するために、機械学習を行った。つまり様々
な形をした飛行機が飛ぶ様子を数多く計算機
に入力し、その様子を再現するようにシミュ
レーションのパラメータを調整することに
よって、多様な形状をした翼がどのような力
を発生するのかシミュレーションできる。提案されたモデルは非常に高速で、ユーザが飛行機をデザ
インしている最中にリアルタイムで飛行の様子を提示することができる。さらにユーザが飛行機の形
状を編集している最中に、その飛行機が飛ぶように設計を最適化され、ユーザは簡単に飛ぶ飛行機の
設計を模索することができる。設計された飛行機は CNC カッターを使って簡単に製作することができ
る。今回の展示ではこの紙飛行機のデザインシステムを実際に体験し、製作された様々な自由形状の
手投げ飛行機を見ることができた。
T04
V-Sido OS
アスラテック 株式会社
V-Sido OSは、汎用性の高いロボット制御シス
テムである。ロボットはたくさんのアクチュ
エータによって動きをつくり出しているが、そ
の複雑なアクチュエータの動きを統合して制
御する。V-Sido OSによるロボット制御の特長
として、リアルタイムにロボットの動きを生成
でき、急な衝撃を受けたときや不安定な足場で
も倒れにくい安定性を備えていることが挙げ
られる。さらにスマートフォンなどの入力デバイスから大まかな指示を出すだけで、ロボットが必要
な情報を補完して動くことを可能にした。ロボットへの入力は、パソコンやスマートフォン、ジョイ
スティック、Kinectなどさまざまなデバイスをサポートした。人間の操縦による動作だけでなく、人
工知能を使った自律動作やクラウドからの情報に応じた動作にも利用できた。また、小型のホビーロ
ボットから、等身大ロボット、4mサイズの油圧駆動ロボット(水道橋重工製 クラタス)、空圧で
28
動くアンドロイド(株式会社ココロ製 アクトロイド)など対応実績のあるロボットが非常に多彩な
のもV-Sido OSの大きな特徴である。今回、V-Sido OSで制御されたロボットの実例として、変形ロボッ
ト「Jadeite quarter」(BREAVE ROBOTICS)が展示された。このロボットはビークル型とヒューマノ
イド型の2つの形態があり、ヒューマノイド型では二足歩行も可能なもので、形態が変化するタイミ
ングや二足歩行時に来場者の注目を集めていた。
T05
みらいのこくばんプロジェクト
株式会社 サカワ
この黒板の特徴は 5 つある。1.プロジェクター
につけられたカメラで、黒板を触っているかど
うかを認識することで、長押し/オブジェクト
のドラッグ操作を実現。2.黒板消しで消えない
線をつくる。数学で XY の消えない十字線を引い
たり、重要な箇所にマーカーを引いたり、チョー
クではできない線を引く機能。3.五線譜や原稿
用紙、方眼など、いろんな種類のガイドを投影
できる。4. DropBox のように、PC の規定のフォ
ルダに入っている画像/動画を、かんたんに黒
板に表示することができる。直感的にドラッグ
して、表示することが可能。5.スマホで撮影した画像を、そのまますぐ黒板に反映させる機能。生
徒の書いたノートがそのまま表示される。このような特徴を持ったこくばんのデモンストレーション
として展示会場では「雨」と文字で書くと黒板に雨が降ったり、「雪」と書くと雪が降ったり、傘の
絵を描くと雨がよけるようなデモを楽しむ来場者の姿が見られた。
T06
空中触覚タッチパネル
東京大学 大学院 新領域創成科学研究科 篠田・牧野研究室
空中に浮かぶ映像に手を触れて、触感を感じな
がらタッチ操作するための技術を提案。近年、
種々の空中映像投影技術が提案されているが、
そこには接触感が伴わず、手を伸ばしてもすり
抜けてしまうという問題があった。特に入力イ
ンターフェースとして用いる場合、接触感の欠
如は指先ストローク範囲の認識を曖昧にし、操
作性を著しく損なう。本技術では、市販の空中
映像技術に超音波を重畳することで、映像に触
感を付与した。超音波と空中映像の伝搬軸を矛
29
盾なく重ね合わせるために、結像素子の表面で超音波を反射させた。指先で映像に触れた位置・タイ
ミングをセンシングし、それに応じた物理的な力を提示することで、現実の物体に触れたかのような
感覚を与える。この技術により、あたかもパントマイムをするかのように空中映像の上で指先をガイ
ドして正確にタッチ操作をすることが可能になった。またパネル上に指紋が残らないため、セキュリ
ティ面でも衛生面でも優れたキー入力が可能になっている。会場では、空中に浮かぶ映像に対して、
接触感やなぞり感を感じながらタッチ操作できるシステムが展示され、あたかも空中映像の面上でパ
ントマイムをするかのようなタッチ操作を体験することができた。
T07
勝率100%じゃんけんロボット
東京大学 石川・渡辺研究室
本技術では人間機械協調システムの一例として
勝率 100%じゃんけんロボットを開発しており、
人間が手を出すと瞬時にその「手」を認識し、
ロボットハンドは人間に勝つ「手」を出す。本
システムは高速ビジョン、動的な実体ディスプ
レイとしての高速ロボットハンド、コントロー
ラから構成されており、ビジョンは 500fps で画
像取得・処理を行い、ロボットハンドは 0.1s で
180 度の開閉運動が可能で瞬間的な動作を実現
し、コントローラは全体の入出力および制御を
1ms 毎に行っている。高速ビジョンを用いて 2ms 毎にグー・チョキ・パーを認識し、その認識から 1ms
後に人間に勝つ「手」をロボットハンドが出す高速な後出しじゃんけんを実現した。ビジョンによる
認識からロボットハンドの運動完了までの時間が約 23ms であり人間の目が約 33ms 毎に認識している
ため、本システムにおいて後出しに気づくことはほとんどない。人間に遅延を感じさせることなく、
人間の動作に同期したロボットの協調制御を実現した。会場では、1 秒間に 500 枚の画像処理が可能
な高速ビジョンと 1 秒間に 10 回の開閉運動が可能な高速ロボットハンドを統合し、人間機械協調の
一例として開発された勝率 100%じゃんけんロボットが展示され、来場者は人間を越えるロボットに
よって生み出される「ダイナミックインタラクション」の世界を体験し、人間とロボットの新しい関
係に触れる機会を得た。
30
T08
ピクシーダスト
東京大学 暦本研究室・落合陽一/名古屋工業大学 星研究室
物体が空中に留まり、動き、群体で形を成すこと
は非常に神秘的である。自由な素材でできたもの
を 3 次元空間上の自由な位置に浮遊させ、移動さ
せる方法はこれまで存在しなかったが、音響浮揚
技術を拡張することにより、2013 年に世界で初め
てそれを可能にした。この装置はフェーズドアレ
イとよばれる特殊な超音波スピーカーを対向さ
せて配置するデザインにより、任意の場所でもの
を浮かせ、3 次元空間上の好きな位置に移動させ、
さらにそれによるグラフィクスを形成することができた。これにより、空中にスクリーンとして物体
を保持すること、その物体を高速で動かして絵を描くことや、デジタルファブリケーションされた物
体を空中で動かすことなどができた。これにより、今まで物理世界に対して静的であったデジタルデ
ザインを動的に拡張させるフレームワークとして、表現技術の更なる発展に寄与することが出来ると
考えられる。今回の展示では来場者がこの空中スクリーンを間近で見ることができた。
T09
HamsaTouch
国立大学法人電気通信大学/株式会社 アイプラスプラス
視覚障害者のための周囲環境を触覚的に伝える
デバイスを低コストで実現した。従来から視覚障
害者向けの視覚/触覚変換装置は数多く提案さ
れてきたが、本研究開発では(1)カメラ・画像
処理系をスマートフォンに任せることで低コス
ト化を行い、(2)電気刺激を採用することで小
型化と低消費電力化を行い、(3)スマートフォ
ン/刺激装置間の通信にLCD画面を用いた簡易な
光通信を採用することでスマートフォンを使わ
ない応用、例えばタブレット画面を触覚で把握するという用途にも利用可能とした。今後は近くス
マートフォンに搭載されると考えられる奥行き検出機能を利用することにより、奥行きを含めた情報
を提示する装置の本格的普及を目指す。全世界で全盲者は約4000万人居るとされ、本研究開発はこの
潜在的巨大市場を対象とするものと言えるが、同時に視覚障害の過半数が病気による中途失明である
ことから、本サポートデバイスの開発は我々の誰もにとって重要な課題であると考える。会場では、
低コスト化、小型化と低消費電力化を実現したデバイスを来場者が体験することができた。
31
T10
シ-スル-プロジェクション
パイオニア 株式会社
背景を透かして見ることができる新しいタイ
プの透明ディスプレイである。独自開発の透明
スクリーンとプロジェクターを使用し、透明度
の高いスクリーンに投影される映像と背景と
を融合させ、これまでにない空間映像表示を実
現することができた。この技術は、透明なスク
リーン上に浮き上がるような映像を映し出す
ことで、透明性と表示視認性とを両立できると
いう特長を持っており、スクリーンの背後にあ
る物体を滲みや歪みなしで表示する。また、スクリーンの背後に液晶ディスプレイを置いた場合にも、
映像信号が相互に干渉しないことから物体、液晶上の映像、スクリーン上の映像をそれぞれ高品位で
見ることができた。さらに視野角依存性もないため、液晶などの既存のフラットパネルディスプレイ
にはない新たな空間映像表示を実現することができた。展示ではスクリーンの背後に液晶ディスプレ
イを置いた場合にも、映像信号が相互に干渉しないという特徴をゲームとして体験できた。
T11
X-TECH GEAR
株式会社 TBWA HAKUHODO
X-TECH GEAR は、スノーボードギアである。
全く新しい USP デモンストレーションをす
べく、新型 X-TRAIL に搭載された先進テクノ
ロジーから発想した、まったく新しい機能を
もった 5 つのスノーボードギアを開発した。
ヘリが自動追尾し撮影、LED で光るウェア、
障害物を知らせるゴーグル、グリップを知ら
せる LED、速度や加重を知らせる LED などを
コンセプトモデルとして開発した。X-TECH
GEAR は、日産自動車から 2013 年発売の新型
エクストレイルの広告キャンペーンで開発
された。ターゲットであるエクストリーマー達に、USP を伝えるため、エクストレイルに搭載さ
れた先進テクノロジーから発想した、全く新しい機能をもって開発されたスノーボードギアにつ
いて、DC EXPO では、5 つのギアすべてが展示され、来場者の関心を集めていた。
32
T12
JINS MEME
株式会社 JIN、慶應義塾大学、芝浦工業大学、東北大学
JINS MEME は目の動きを読み取ることができ
る EOG センサ、および頭部の姿勢・回転が検
出できる6軸センサが内蔵された新しいタイ
プのメガネである。従来の多くのウエラブル
デバイスはコンピュータを如何に身体に搭載
にするかに注力されていたが、JINS MEME は
既に一般に普及しているメガネをよりインテ
リジェンスにするという全く別のアプローチ
である。これにより、JINS MEME の外形、掛
け心地は一般のメガネとほぼ同様となってい
る。さらに、「物を見るメガネ」ではなく「自分を見るメガネ」という従来のメガネとは全く異なる
着眼点で開発されている。JINS MEME の鼻あてパッドは電極で構成されており、眼の動きによって生
じる微細な電位差(眼電位)を読み取ることができる。
「目は口ほどに物を言う」と言われるように、
目の動きを読み取りとり解析することで個人の内側の状態を推定することが可能になった。さらに、
先セル部分に内蔵された6軸センサにより得られるユーザーの移動方向や向き、そして回転の状態
データと組み合わせることで、より細分化されたユーザの状態推定が可能となった。会場では世界初
の三点式眼電位センシングと6軸センサを搭載したアイウエア型ウェアラブル「JINS MEME」の実演
展示が行われ、簡単なデモを通じて、メガネを通じて眼電位データや頭や体の動きがリアルタイムで
取得される様子を体感することができた。
T13
民間月面探査ローバー
株式会社 ispace
民間によるロボット月面探査を実現するた
めに、民生品を活用した超小型探査ローバー
を開発した。宇宙開発では重量が大きいほど
打上費などのミッションコストが高くなる。
コストを下げるために、政府だと数百 kg に
なるローバーを、最小 1kg 台の対向 2 輪ロー
バーや 10kg 弱の 4 輪ローバーなど軽量小型
ローバーを開発した。ホイールは月面の軟弱
地でもスリップせずに走行するために、車輪
径やグラウザーを工夫した。放射線耐用のある民生品を選び出し、高性能かつ小型化、低コスト
化に成功した。会場では今までに開発した月面探査ローバーのプロトタイプモデルが展示され、
33
対向 2 輪タイプのローバーは、その場で操縦可能であった。月面探査プロジェクトの解説パネル
やモニターに過去の実験映像等も流れ、プロジェクトの取組みの詳細が来場者に伝えられた。
T14
インカンタトリーペーパー
東京大学 苗村研究室
本研究では、銀ナノ粒子インクによって構成
された回路を用い、発熱制御を行う手法を提
案し。紙面へのインクジェット印刷により構
成することで、ユーザーが容易に利用するこ
とができ、安価で大量な複製が可能であると
いった紙の利点を備えたヒーターを実現した。
また、回路の静電容量の変化を計測すること
でタッチセンサとしての機能もヒーターに付
与することが可能である。提案手法によって、
保温機能を備えた食品用の包装紙、発熱によ
る匂い成分の揮発を利用した香る紙、形状記憶合金と組み合わせた熱制御によって変形する紙などが
実現可能になった。今回は特に、温度によって色の変わるインクもあわせて印刷することで、印刷内
容が変化する紙面ディスプレイやペパークラフトなどのデジタルコンテンツが展示された。
T15
指でつまむと引っ張られる感覚:ぶるなび3
日本電信電話 株式会社 NTT コミュニケーション科学基礎研究所
本技術は、物理的には引っ張っていないにも
かかわらず、あたかも手を引かれるような感
覚を作り出す力感覚提示手法に関する技術
である。これまでに人間の感覚・知覚の非線
形性をうまく利用することで引っ張られる
ような感覚を創りだせることを示し、その知
覚特性や応用装置の研究を行ってきたが、装
置サイズが大人手のひら程度であったため
に可搬性に乏しいという問題があった。今回、
指の触覚はわずかな違いを検出する能力が
特に高いことに注目し、新しい機構を採用することにより、従来の試作機より9割以上サイズと重量
を小さくした装置の試作に成功した。さらに、小さい装置にも関わらず、牽引力の効果は従来とほぼ
同等に感じられることが多くの体験者から報告された。これまで単純な振動刺激に限られていた携帯
端末における触覚情報呈示を大幅に拡張する技術であり、携帯端末やウェアラブル端末におけるリッ
34
チな触覚体験を実現することが可能となると期待されている。デモでは実際に方向を指定して引っ張
られる感覚を体験することができた。さらにこの携帯可能な力覚呈示装置で、釣りゲームで魚を釣り
上げる感覚や、犬にリードを引っ張られているような感覚を実現した応用例が紹介された。
T16
Neurocam
株式会社 電通サイエンスジャム / 株式会社 電通
本プロジェクトでは、センサーで脳波を
キャッチし、利用者が“気になった”シーン
を自動的に記録するウェアラブルカメラ
「neurocam」のプロトタイプを開発した。
neurocamは、脳波センサーを内蔵したヘッド
セットとスマートデバイス、アプリで構成さ
れたウェアラブルカメラシステム。脳波セン
サーで取得したデータをアプリで解析し、利
用者が気になっているかどうかを推定し、0
から100の間の数値に換算。閾値を超えた場
合に自動的に記録を開始し、5秒間のGIF動画
に変換する。プロトタイプ版では動画の取得
にはスマートフォンが用いられており、脳波センサーを搭載したヘッドセットで頭に固定され、プリ
ズムを使って装着者の視線の先にある景色を撮影している。会場ではneurocamの実機の体験デモが行
われ、実際にneurocamを装着し、「興味を持ったものだけ写真を撮る」という体験のエッセンスが来
場者に紹介された。
T17
Project Morpheus
株式会社 ソニー・コンピュータエンタテインメント
本ヘッドマウントユニットを頭部に被ると、プ
レイヤーの眼前に迫力のある広大な 3D 空間が
出現する。ゲームを開始するとヘッドセットユ
ニットに内蔵された加速度センサーならびに
ジ ャ イ ロ セ ン サ ー に 加 え て 、
PlayStation®Camera がプレイヤーの頭部の動
きや位置を正確に検知し、コントローラーで操
作することなくプレイヤーの意のままに映像
が 360 度全方向にリアルタイムに変化する。こ
れによりプレイヤーはあたかもゲームの仮想
35
世界の中に入りこんでいるかのような体験が可能である。また、モーションコントローラを使用する
ゲームでは、例えば映像内にプレイヤーの手と剣などの武器を再現し、それらを自在に動かしながら
闘うなどのアクションを実現できる。Morpheus は、前後左右からの音に加えて、上空を旋回するヘ
リコプターの飛行音や階段をのぼってくる足音など、上下からの音もプレイヤーの頭部の向きに対応
してリアルタイムに変化する。360 度に広がる世界の中に立体的な音響効果も加わって、さらなる臨
場感をもたらす。会場では、ゲームの魅力を高めるバーチャルリアリティシステムとして、ゲーム体
験をさらに豊かにする「Project Morpheus」の参考展示が実施された。
T18
AgIc回路プリンタ
東京大学 大学院 情報理工学系研究科/AgIC 株式会社
AgIC は Ag Inkjet Circuit の略であり、家
庭用のプリンターを電子回路基板の製造
機に変えることができる。革新的な伝導性
のインクが開発された。微細な銀の粒子を
含むこのインクは印刷後数秒で乾き、描か
れてからすぐに伝導性を示す。このインク
を使う事で、家庭やオフィスで普通のプリ
ンターを使用するのと同様な感覚で電子
基板を印刷する事が可能となった。銀の線
を紙に書けるペンで、回路を描いて LED を光らせることができる。パソコンを使って書いた絵や
文字が回路になる、回路が印刷できる家庭用インクジェットプリンタが展示され、日本発、アメ
リカをはじめ世界中のモノ作りシーンで注目を集める、新しい回路の楽しみ方が来場者に紹介さ
れた。
T19
WHILL
WHILL 株式会社
最先端の技術を取り込んだ前輪タイヤが開
発された。24 個の小さなタイヤから成り
立っている前輪のタイヤは室内での移動を
容易にする小さな回転半径と砂利道や、雪
道などの悪路を容易に走行できる走破性を
兼ね備えた特別なタイヤである。最高 7.5cm
の段差を安定して乗り越える事が出来る。
WHILL Model A はユーザーの行動範囲を広げ
36
る。WHILL Model A は 4WD 仕様である。そのため、圧倒的な走破性を実現しており、芝生や雪の
上での悪路でも安定して走行することが可能である。WHILL Model A のコントローラーはパソコ
ンのマウスのように、滑らかに直感的に操作する事が可能である。ハンドル部分は左右に反転す
る事ができ、左利きの方のために左にコントロールをおく事にも対応している。また、ユーザー
の手のコンディションに合わせたジョイスティク型ハンドルもある。会場ではパーソナルモビリ
ティ「WHILL Model A」の展示・実演が行われ、試乗する来場者も多く見られた。
T20
物流支援ロボット「CarriRo(キャリロ)」
株式会社 ZMP
「CarriRo(キャリロ)」は、荷物
の運搬に用いる台車にロボット技
術を適用、
(1)負荷を軽減するア
シスト機能、
(2)作業員について
くるかるがも機能、
(3)指定した
エリアを自動で移動する自律移動
機能、を搭載。これらの機能によ
り、作業員の負荷の軽減、また、
運搬量の増加や運搬の自動化によ
る生産性の向上が見込まれる。また、市街地に溶け込むデザインで、新しいワークスタイルを提
案、新しい労働力を取り込むことで人手不足の解消に貢献できる。展示ブースでは、「CarriRo」
の実機の展示が行われた。
37
2.1.5 特別賞選考会
デジタルコンテンツ EXPO2014 開催初日の 10 月 23 日(木)に、産業界/学界等の専門家か
らなる特別賞選考委員による特別賞選考会を開催し、Innovative Technologies2014 の 20 件の
採択技術の中から、特にコンテンツ産業以外の分野への波及・応用の可能性が高い技術として、
「Industry」
「Culture」
「Human」
「Ecology」の 4 つの特別賞を選考した。
(1)特別賞選考委員
産業界、学会より幅広い分野における有識者として、以下の方々に委員として参加いただいた。
Innovative Technologies2014 特別賞選考委員会 委員名簿
(氏名の 50 音順、敬称略)
NO
分野
氏名
1
デザイン
赤池 学
株式会社ユニバーザルデザイン総合研究所
代表取締役所長
2
自動車
安藤 敏之
日産自動車株式会社 総合研究所
3
旅行
大谷 信喜
株式会社 JTB コーポレートセールス
営業推進本部 営業開発局 局長
4
ロボット
黒木 義博
5
林業
河野 透
6
建設
佐藤 康弘
トヨタ自動車株式会社 パートナーロボット部
先行開発室 プロフェッショナル・パートナー
㈱グリーンドック 取締役副社長
多摩美術大学非常勤講師
大成建設株式会社 技術センター建築技術開発部
ニューフロンティア技術開発室 室長
7
ゲーム
庄司 卓
株式会社セガ 開発統括本部
研究開発ソリューション本部 本部長
8
AR/VR 技術
舘 暲
東京大学 名誉教授 慶應義塾大学 特別招聘教授
国際 VR 研究センター長
9
伝統芸能
放送
丹羽 多門
アンドリウ
株式会社 BS-TBS コンテンツ推進局 局長
10
広告
中島 信也
東北新社株式会社 取締役 専務執行役員
CM ディレクター
11
投資ファンド
長井 延裕
株式会社海外需要開拓支援機構(クールジャパン機構)
投資連携・促進グループ エグゼクティブディレクター
12
宇宙
名村 栄次郎
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
広報部 企画・普及グループ グループ長
13
芸術
蜷川 有紀
画家/女優
14
芸能
福嶋 麻衣子
クリエイティブ・ディレクター
15
ファッション
松永 芳幸
株式会社コスパ 代表取締役社長
16
医療
村垣 善浩
東京女子医科大学 先端生命医科学研究所 教授
所属
モビリティ・サービス研究所 シニアリサーチエンジニア
38
選考委員は 4 つのグループに分かれ Innovative Technologies2014 の各ブースを廻り、実際に
体験をしていただいた。
<選考の様子>
ブース見学後、会議室にて投票を行った。
<投票の様子>
(2)特別賞選考結果
投票の結果、特別賞は下記5つが選ばれた。
39
◆Industry (特にデジタルコンテンツ分野以外の産業分野への波及・応用が期待される技術)
採択技術:空中触覚タッチパネル
採択者:東京大学大学院 新領域創成科学研究科 篠田・牧野研究室
【評価のポイント】
超音波を使って、まるで映画で見るシーンのように、空中で何もつけずに触覚を感じることができる
ところが素晴らしい。こうした触覚デバイスは、タッチする感覚によって評価が決まるものであるが、
実際に触った感覚も良く、特に 3D の粘土をこねる感覚は今まで味わったことのない感覚であった。
実用化までは時間がかかるかもしれないが、実用化されれば広い分野での応用が期待できる。
◆Culture(特に文化・芸術分野への波及・応用が期待される技術)
採択技術:ピクシーダスト
採択者:東京大学 暦本研究室・落合陽一/名古屋工業大学 星研究室
【評価のポイント】
モノを空中に浮かせるということが、未来を感じさせる。超音波の技術の観点からも、高い技術力が
感じられた。このプロジェクトが、モノを三次元空間の自由な位置に浮遊させて、移動させることを、
世界で初めて可能にした点が高く評価された。
◆Human(特にライフサイエンス分野への波及・応用が期待される技術)
採択技術:JINS MEME
採択者:株式会社 JIN、慶應義塾大学、芝浦工業大学、東北大学
【評価のポイント】
メガネという日常的に使用されているものを利用して、バイタルサインを取るという着眼点が素晴ら
しい。日常的に使用されているメガネを使うことによって、きわめて精緻なデータが、生活しながら
自然に取れると期待される。こうしたメガネを様々な人が利用することで、利用者のデータが収集・
蓄積され、例えば自動車運転時の眠気対策など多くの分野での利用が期待できる。
採択技術:WHILL
採択者:WHILL 株式会社
【評価のポイント】
カッコイイ車いすというアイディアが良い。勿論、室内や屋外の移動の性能も申し分ない。こうした
性能とデザイン性を併せ持つ機器が増えることで、障碍を持った人が、自立して自由に外出すること
の後押しになれば素晴らしい。車いすにとどまらず、このようなコンセプトの福祉機器が、これから
更に増えて行くことが期待される。
◆Ecology(特に環境分野への波及・応用が期待される技術)
採択技術:AgIC 回路プリンタ
40
採択者:東京大学 大学院 情報理工学系研究科/AgIC 株式会社
【評価のポイント】
デジタルファブリケーションの際の電気回路のラピッドプロトタイピングとして簡単に安価で、
しかも無駄なく利用することを可能にしている。3D プリンタの普及に伴い、様々な分野での利
用の拡大が期待できる。
2.1.6 ACM SIGGRAPH Special Prize
本年度より Innovative Technologies 採択技術 20 件の中から、米国の学会 ACM SIGGRAPH
による特別賞を選考することとなった。本特別賞に選考されると、翌年の SIGGRAPH におけ
る「Emerging Technologies」に展示することができる。
選考は AR/VR のエキスパートであり世界最大の CG とインタラクティブ技術の国際会議
SIGGRAPH の Executive Committee メンバーである Jacquelyn Ford Morie 氏により行われ、
以下の技術が採択された。
採択技術:空中触覚タッチパネル
採択者:東京大学 大学院
新領域創成科学 篠田・牧野研究室
<ACM SIGGRAPH Special Prize 選考の様子>
41
2.1.7 Innovative Technologies2014 表彰式
2.1.5 の特別賞選考会後、1F センターステージにて Innovative Technologies 採択技術 20 件
と特別賞ならびに ACM SIGGRAPH Special Prize の表彰式を行った。ACM SIGGRAPH
Special Prize は、
「空中触覚タッチパネル(採択者:東京大学大学院 新領域創成科学研究科 篠田・
牧野研究室)」となった。2015 年夏の ACM SIGGRAPH の Emerging Technologies にて展示さ
れる予定。
<Innovative Technologies>
<Innovative Technologies 特別賞>
42
<Innovative Technologies 特別賞>
<ACM SIGGRAPH Special Prize>
43
2.2
Features 2014
本年度で 2 回目となる、その年に注目すべき技術を取り上げて展示・講演等を行う Features
2014 を実施した。本年度はウェアラブル技術をテーマとして、様々なウェアラブルデバイス等
の展示・体験や講演・セミナーを実施した。
2.2.1 ウェアラブルに関する展示 8 件
F01
スマートグラスを活用した実世界指向インターフェース
大日本印刷株式会社
眼鏡型のウェアラブル端末「スマートグラス」を活用
した新しい実世界指向インターフェースのコンセプ
トシステムが展示された。書籍・雑誌の写真や商品
パッケージ、電化製品などの対象物を見る行為とセン
シング技術によってユーザーの状況を判断し、適切な
デジタルコンテンツやデジタルインフォメーション
をわかりやすく臨場感をもって提示したり、触れるこ
となく簡単に機器を制御できる”新たな情報インター
フェース・新たなデジタルコンテンツ表現”を実現し
たもの。本などの紙データを見ると、メガネの中に関連情報が出て来るシステムで、360度映像も見
ることができ、ジェスチャーを行うと説明が表示される様子も体験することができた。
F02
Smart Glass Showcase
ビュージックスコーポレーション
会場にて、今話題のウェアラブルデバイス「スマート
グラス」を活用したデモンストレーションが行われ、
ビジネスや私生活でも役立つウェアラブルライフが
提案された。HMD を改良したスマートグラスを販売し
ているが、スマートグラスをかけることですぐ目の前
に映像が見えたり、かけている本人が見えている映像
がリアルタイムで PC に映ったり、ハンズフリーで映
像を撮影できたりする様子を来場者が体験すること
ができた。
44
F03
ウェアラブル4K
パナソニック株式会社
4K の普及にむけ、映像制作の源流である撮影機
材・システムを拡充中であるパナソニック株式
会社からシネマ制作向け 4K カメラ/レコーダー
「VARICAM 35」を展示。
「イン・カメラ・グレー
ディング」機能やダブルレコーディング機能な
どにより、撮影から編集、カラーグレーディン
グまでの 4K 制作ワークフローを革新したもの。
「VARICAM 35」で撮影したコンテンツを公開し、
4K 対応ミラーレス一眼カメラ AG-GH4U や 4K
ウェアラブルカメラ HX-A500 も展示しながら 4K
の可能性を提示した。人の目線の映像を撮影できるため、作業の映像やスポーツ選手の目線での映像
を撮ることが可能。スポーツ関係でもニーズが多いという、装着者の目線の映像を撮影できる様子が
来場者に体験された。
F04
レーザーアイウェア
株式会社 QD レーザ
レーザーアイウェアは、ナノテクを駆使して
独自開発したレーザ網膜走査光学系を技術基
盤としている。外観的には、通常の眼鏡と変
わりない装着感で完全なシースルー画像が得
られるという画期的な特徴を実現し、その原
理から、液晶など、他の方式に比べ、サイズ、
省電力、コスト面での優位性が高く、将来の
民生展開まで見据えた場合、大きなアドバン
テージを有している。高輝度・高色再現性・
広視野角・自在位置描画等によるシースルー
画像で、装着者の視力に関わらないフォーカスフリーなアイウェアである。瞳孔を通して、網膜にレー
ザー光を書きこんで映像を見るため、弱視の方、老眼、近視の方も同じように絵を見ることができる
ことが特徴で、弱視の方向けに来年商品化する予定。来場者は解像度の高いアニメーション映像など
を体感することができた。
45
F05
マッスルスーツ
東京理科大学
小林研究室/株式会イノフィス
マッスルスーツは、圧縮空気を出し入れするこ
とでゴムと PET 繊維でできた人工筋肉が収縮
し、最大 30 キロ分を補助し、重いものを持っ
たり体を屈める行為がしやすくなる。現在、介
護の現場や工場などで腰痛予防として試用が
進んでいる。普通には持ち上がらない 20 キロ
の土が、装着型の筋力補助装置であるマッスル
スーツをつけることで、軽々と持ち上げること
ができる様子を体験するブースが来場者の注
目を集めた。
F06
高機能筋電義手
株式会社メルティン MMI
身体障害向けの筋電義手だけにとどまらず、ロ
ボットやヘルスケア、介護やリハビリサポート、
自動車運転アシスト、ゲーム連携などに筋電位
を応用した製品化を提案している。また医療
ビッグデータと連携したヘルスケア事業への
活用も検討されている。また義手の設計、開発、
OEM 提供、部品やマイコンの共同開発も行って
いる。ロボットハンドの技術と、生体信号を計
測する技術があるので、義手として、代替の手
として使っていただくほかにも遠隔操作のロボットや、ハンドを小さく作って体の中に入って手術を
する、また首から下が動かない人でも、センサーを貼りつけてロボットハンドを動かして、車いすに
乗ること等の可能性も期待できる。来場者は自分の手と同じ動きをする義手のスピードの速さ等を体
感していた。
46
F07
どこでもドア
株式会社プロノハーツ、株式会社エクシヴィ
ドラえもんの「どこでもドア」を
OculusVR 社と Samsung 社が共同開発し
たヘッドマウントディスプレイ「GearVR」
を使って実現した。今年 7 月にパリで開
催された JAPAN EXPO でも大人気だっ
た「どこでもドア」を日本でも体験する
ことができた。ヘッドマウントディスプ
レイをつけると、いろいろなところに行
くことができて、ドラえもんにも会えるというシステムが紹介された。360 度見回せる映像を見なが
ら、装着デバイスのボタンを押して行きたい場所の名称を声に出すと、指示通りの場所の景色に変わ
るもの。大画面シアターではなく画面の切れ目がないことが特徴である本展示を楽しむ来場者の姿が
見られた。
F08
OcuFes in DCEXPO
OcuFes
パーソナル VR という新しい文化の魅力を伝える活動をしている開発者団体である OcuFes の協力の元、
「OcuFes in DCEXPO」を開催した。計 25 の作品の展示を、7F イノベーションホールとコミュニケー
ションロビー、および 1F シンボルゾーンで行い、多くの来場者の方に体験いただいた。
47
2.2.2 セミナー「ウェアラブルによる五感拡張の可能性」
日
時:10 月 24 日(金)13:10~13:55
場 所:日本科学未来館 1F センターステージ
登壇者:稲見 昌彦(慶応義塾大学大学院メディアデザイン研究科 教授)
遠藤 謙(ソニーコンピュータサイエンス研究所 研究員 Xlborg 代表取締役)
参加者:129 名
概要:人間の身体にはまだまだ隠された機能がある。ウェアラブル機器を装着することによって、
損なわれた機能を補うだけでなく拡張することができれば、老若男女の身体機能の差が無くなる
だけでなく、人間の能力の限界さえも超えることが可能となる。そうしたウェアラブルによる五
感拡張の可能性についてのセミナーを実施した。
稲見氏からは自身のウェアラブルの研究の紹介や今年の10月10日に発足した人間の能力を補
綴・補強・拡張可能なAugmented Human技術に基づき、皆が個々人の身体的な能力の差など目立た
なくなるくらい超人的な力を身につけることで、同じ超人 (Superhuman) 同士として一緒の
フィールドで競い合う人間と機械が融合した「人機一体」の新たなスポーツを創造を目指して
いる「超人スポーツ委員会」について紹介いただいた。また遠藤氏は、2020年東京オリンピック
の時には、パラリンピアンがオリンピアンよりよい記録をだせるようにすることを目指している
ということで、自身が開発した義足の紹介や、そうした機器を用いることによる身体拡張につい
て紹介いただいた。
2.2.3 OcuFes 開発者会議
日
時:10 月 25 日(土)11:00~16:30
場
所:日本科学未来館 7F 未来館ホール
登壇者:OcuFes 開発者会 講師 30 名
48
参加者:280 名
概要:パーソナル VR という新しい文化の魅力を伝える活動をしている開発者団体である
OcuFes の協力の元、OculusRift の開発者の開発者による開発者のための祭典である第 1 回
「OcuFes 開発者会」を開催した。30 名を超える講師の方に、自身が作成した Oculus Rift のコ
ンテンツの紹介や、実際に開発する際に利用したツールの紹介、一般の方にデモをする際の注意
点や、ゲーム以外の Oculus Rift の利用等、Oculus Rift だけでなく VR に係る幅色い情報につ
いて紹介いただいた。
参加者は 280 名と開発者の集まりとしては非常に多いもので、Oculus Rift に関する関心の高
さがうかがえた。
2.2.4 OcuFes 体験会
日
時:10 月 26 日(日)12:10~13:50
場 所:日本科学未来館 1F センターステージ
登壇者:石原 茂和(広島大学教授)、ウダサン、他
参加者:115 名
概要:Oculus Rift を知らない方にもその魅力を伝えるべく、実際に Oculus Rift のコンテンツ
を体験してもらいながら、Oculus Rift の紹介を行った。
49
2.3
特別企画
2.3.1 Innovative Technologies 採択技術ショートプレゼンテーショ
ン 01・02・03
概要:
「Innovative Technologies」の採択技術について、開発者自らがステージでプレゼンテー
ションを行った。3 日間に分けて 20 件の技術のプレゼンテーションが開催され、技術の開発経
緯や今後の可能性等についてわかりやすく説明された。来場者が関心を持って聴講したほか、採
択者同士も互いに専門技術の発表を聞くことができる場となった。
■Innovative Technologies 採択技術ショートプレゼンテーション 01
日時:10 月 24 日(金) 10:50~11:55
場所:日本科学未来館 1F(センターステージ)
参加者:88 名
1.物流支援ロボット CarriRo
(株式会社 ZMP)
2.アクアフォールディスプレイ
(東京工業大学 大学院情報理工学研究科 小池研究室)
3.スケルトニクス・アライブ
(スケルトニクス株式会社)
4.テロミス:自由形状をした紙飛行機のデザインシステム
(東京大学、JST/ERATO)
5.V-Sido OS
(アスラテック株式会社)
6.みらいのこくばんプロジェクト
(株式会社サカワ)
7.空中触覚タッチパネル
(東京大学大学院 新領域創成科学研究科 篠田・牧野研究室)
8.勝率 100%じゃんけんロボット
(東京大学 石川渡辺研究室)
■Innovative Technologies 採択技術ショートプレゼンテーション 02
日時:10 月 25 日(土) 11:00~11:55
50
場所:日本科学未来館 1F(センターステージ)
参加者:57 名
1.ピクシーダスト
(東京大学 暦本研究室・落合陽一/名古屋工業大学 星研究室)
2.Hamsa Touch
(国立大学法人電気通信大学、株式会社アイプラスプラス)
3.シースループロジェクション
(パイオニア株式会社)
4.X-TECH GEAR
(株式会社 TBWA HAKUHODO)
5.JINS MEME
(株式会社 JIN、慶應義塾大学、芝浦工業大学、東北大学)
6.民間月面探査ローバー
(株式会社 ispace)
7.インカンタトリーペーパー
(東京大学 苗村研究室)
■Innovative Technologies 採択技術ショートプレゼンテーション 03
日時:10 月 26 日(日) 11:00~11:50
場所:日本科学未来館 1F(センターステージ)
参加者:47 名
1.指でつまむと引っ張られる感覚:ぶるなび3
(日本電信電話株式会社 NTT コミュニケーション科学基礎研究所)
2.neurocam
(株式会社電通サイエンスジャム / 株式会社電通)
3.Project Morpheus
(株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント)
4.AgIC 回路プリンタ
(東京大学大学院 情報理工学系研究科/AgIC 株式会社)
5.WHILL
(WHILL 株式会社)
51
2.3.2 ASIAGRAPH 2013 匠(たくみ)賞・創(つむぎ)賞授賞記念シ
ンポジウム「宇宙×アニメ×テクノロジー」
日
時:10 月 25 日(土)13:00~14:30
場
所:日本科学未来館 1F センターステージ
登壇者:山崎 直子(宇宙飛行士)
石川 光久(株式会社プロダクション・アイジー 代表取締役)
河口 洋一郎(東京大学大学院情報学環教授/CG アーティスト)
参加者:116 名
概要:ASIAGRAPH 匠(たくみ)賞、創(つむぎ)賞は、毎年、アジアの技術・コンテンツ、
文化・コンテンツに貢献した、特に優れた技術者・研究者、クリエイター・プロデューサーに授
与される。今年度の匠賞は宇宙飛行士の山崎直子氏に、創賞はプロダクション I.G の石川光久社
長に贈られた。授賞式に続き、東京大学の河口洋一郎教授をモデレータに、山崎氏、石川氏に登
壇いただき「宇宙×アニメ×テクノロジー」と題するトークショーを行った。山崎氏より、史上
二人目の日本人女性宇宙飛行士として 2010 年スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗した
際の貴重な体験について、たくさんの画像を公開しながら語られた。石川氏より、最新の話題作
『攻殻機動隊 ARISE』
、今年カナダで開かれた第 18 回ファンタジア映画祭にて観客賞等を受賞
した『ジョバンニの島』
、また、公開間近の『宇宙戦艦ヤマト 1999』の映像を流しつつ、アニメ
制作を通じて宇宙への思いを表現した話などが紹介された。モデレータを務める河口氏からは、
宇宙に行きたかったから CG を始めた話、宇宙にインスパイアされた自身のアート作品の紹介な
どがあった。
『銀河鉄道 999』や『宇宙戦艦ヤマト』に影響を受け宇宙を志したという山崎氏か
52
らは、宇宙、アニメ、テクノロジー、これらは人が関わることによってどんどん進化していく、
その面白さや、子供たちに夢を与えることの重要性について、また、石川氏は、テクノロジーと
は、人間の知恵が生活を豊かにするため
の手段である、テクノロジーが解決する
ものが沢山あると信じていると述べ、河
口氏からは、日本独特の流れがアートや
テクノロジーに加わることで新しい世界
が拡がるとの発言があり、熱いメッセー
ジが伝わるトークとなった。
2.3.3 ACM SIGGRAPH ExecutiveCommittee Jacquelyn Ford Morie
氏を迎えての特別企画「インタラクティブ・テクノロジーが変
える未来」
日
時:10 月 24 日(金)14:30~16:00
場
所:日本科学未来館 1F センターステージ
登壇者:Jacquelyn Ford Morie(ACM SIGGRAPH Exective Committee Founder and
Chief Scientist of all These Worlds LLC)
山室 芳剛(経済産業省 商務情報政策局 文化情報関連産業課
課長補佐(統括))
舘 暲(東京大学名誉教授/慶應義塾大学特別招聘教授
/国際 VR 研究センター長)
猪子 寿之(ウルトラテクノジスト集団チームラボ代表)
森田 修史(デジタルファッション株式会社 代表取締役社長)
市原 健介(モデレータ)
(一般財団法人デジタルコンテンツ協会 専務理事)
参加者:219 名
概要:インタラクティブ・テクノロジーによって未来はどのように変わるのか、その可能性を探
るシンポジウムを開催した。はじめに、経済産業省文化情報関連産業課の山室課長補佐より、コ
ンテンツ関連技術に関する経済産業省の取組について、DC EXPO が目指すものや SIGGRAPH
との技術連携等を中心に話した。
米国 ACM SIGGRAPH を代表して出席された Jacquelyn Ford Morie 氏の基調講演では、斬
新なアイディアを常に発想しシェアしていけば技術で未来は変えられる、その絶好の
Playground が SIGGRAPH であり、DC EXPO である、というお話をいただいた。
53
続くパネル討論では、舘教授
より VR 研究の歴史と最先端の
技術動向について解説があり、
チームラボの猪子社長からは
自社のインタラクティブ・アー
ト作品を紹介、インタラクティ
ブ技術が変える未来について
意見交換をした。
2.3.4 ワークショップ1
日
空中に絵を描ける 3D ペン「3Doodler」
時:10 月 25 日(土)①13:00~13:50 ②14:00~14:50 ③15:00~15:50
④16:00~16:50
場
所:日本科学未来館 7F 会議室 3
参加者:計 15 名
概要:文字や絵を描くような感覚で自由に立体アートを制作できる 3D プリントペン「3Doodler」
を使ったワークショップを実施した。
「3Doodler」では、一般的な 3D プリンタに必要な立体データや 特殊なソフトは必要なく、専
用のプラスチックフィラメント (PLA および ABS 樹脂製)を本体に差込み、電源をいれるだ
けで熱によって 溶けた樹脂がペン先から押し出されるので、空中に線を描くようにペン先 を動
し、思いのままの立体アートを作ることができる。今回のワーク ショップでは、テンプレート
を用いてメガネの制作を行った。 制作いただいたメガネはお持ち帰りいただいた。
54
2.3.5 ワークショップ 2 自由自在に電子回路をペンで描いてみよう
日
時:10 月 25 日(土)①13:00~13:50 ②14:00~14:50 ③15:00~15:50
④16:00~16:50
場 所:日本科学未来館 17F 会議室 3F
参加者:計 33 名
概要:銀粒子を含む線を紙に書けるペンで、回路を描いて LED を光らせることがでるワーク
ショップを開催した。思い思いの絵を描き、LED と電池を貼り付け光らせることが出来た。こ
のインクは Innovative Technologies2014 で採択された「AgIC」を実際に使ったものである。
55
2.4
その他(国際関連)
国際イベントとして、従来からのフランス、米国、韓国からの展示参加に加え、特別企画にお
いて米国 ACM SIGGRAPH の Executive Committee を招聘し、基調講演並びにシンポジジウ
ムを行った。また、本年度 3 回目となる在日大使館等向け「English Guided Tour」を開催し、
昨年度を大幅に上回る参加者を得たほか、日本在住の海外留学生や海外から招聘された「コ・フェ
スタアンバサダー」を迎え、日本の技術を広く世界に発信した。これらの取り組みのうち、
「English Guided Tour」と「コ・フェスタアンバサダー」について以下に紹介する。
2.4.1 English Guided Tour
日
時:10 月 24 日(金)16:00~18:00
場
所:日本科学未来館 7F 会議室 3 および 1F 展示会場
参加者:23 名(ツアー)
、45 名(ネットワーキング・レセプション)
概要:在日大使館及び海外機関を招待し、英語によるデジタルコンテンツ EXPO の説明及び展
示のガイドツアーを実施した。アイルランド、オーストリア、バーレーン、カナダ、中国、フラ
ンス、ルクセンブルク、オランダ、スイス、米国等、15 カ国地域より、ツアーには 23 名、続い
て実施したネットワーキング・レセプションには 45 名が参加。日本の最先端技術のデモ体験や
国を超えた技術交流を楽しむ様子が見られた。各国からは、これまで知らなかった日本のコンテ
ンツ技術の先進性に感銘した、本国へアピールしたい、等の感想が寄せられた。本企画は今年度
で 3 回目となり、参加者は年々増加している。
56
2.4.2 コ・フェスタアンバサダー
日
時:10 月 24 日(金)12:45~18:00
場
所:日本科学未来館 1F 展示会場、7F イノベーションホール他
参加者:14 名
日本在住留学生
参加者数:8 名
所
属:日本語学校 4 名、専門学校 1 名、国立大学 2 名、私立大学院 1 名
出
身:イギリス、インドネシア 2 名、シンガポール、ニュージーランド、フィ
リピン、フィンランド、フランス
海外からの招聘者
参加者数:6 名
所
属:各国大学
出
身:インドネシア、シンガポール、マレーシア、フィリピン、ベトナム、タイ
概要:コ・フェスタ(JAPAN 国際コンテンツフェスティバル)の企画である、日本在住の海外
留学生や海外からの招聘された「コ・フェスタアンバサダー」を昨年に続いて迎えた。コ・フェ
スタアンバサダーとは、マーケティングやプロモーション等、海外展開支援のために招聘されて
おり、実際に日本のコンテンツに触れたり、コンテンツ関係者との意見交換などを行ったりした
上で、各イベントの広報活動やコンテンツ産業への提言などを行うと定義されている。コ・フェ
スタのオフィシャルイベントである「デジタルコンテンツ EXPO」にも 14 名のコ・フェスタア
ンバサダーに来場いただき、展示会場では日本の最先端技術の数々を体験したほか、日本の伝統
芸能と新技術の融合されたデジタルコンテンツ「ボーカロイド
TM
オペラ葵上 with 文楽人形」
等を観覧。特に海外から招聘されたコ・フェスタアンバサダーは、ASEAN 各国の著名な大学に
おいて日本ファンのコミュニティを運営する代表者でもあり、当イベントでの体験を SNS 等に
て効果的に情報発信いただき、日本のコンテンツ技術を世界に広く伝えることができた。
57
58
3. 広報
3.1
ウェブサイト・広報制作物
3.1.1
ウェブサイトでの広報活動
DCEXPO のドメイン名で、逐次情報を更新することでインターネットの広報活動を行っ
た。Web サイトデザインは、パソコンのブラウザとモバイル端末にも対応させ情報発信を
行った。
2014 年 5 月 30 日(Web 公開日)~2014 年 11 月 30 日の期間中に、88 ヶ国・地域より
77,827 件のアクセスがあった。
上記期間の最大アクセス数は 10 月 24 日(金)9,307 件であった。
公式 WEB サイト URL:http://www.dcexpo.jp/
2014 年 9 月 16 日火曜日
■セッション 1,169
主な DCEXPO サイトへのアクセス国・地域
No
国・地域
1 日本
アクセス数
No
75,099
国・地域
アクセス数
6 イギリス
139
2 アメリカ
551
7 ドイツ
138
3 韓国
380
8 ブラジル
125
4 台湾
301
9 中国
88
5 フランス
143
10 カナダ
59
※Twiter、Facebook の活用
・Twitter:インプレッション 10.7 万件、エンゲージメント率 2.1%、
リンクのクリック数 603、リツイート 368 件、お気に入り 181、返信 58
(2014 年 10 月 1 日~31 日/#DCEXPO)
・Facebook:
「いいね!」802 人(12 月 10 日現在)
投稿リーチ最大 13,976(投稿してから 28 日間の記事を見た人のユニーク数)
60
3.1.2 O2ONAVI について
株式会社 ACCESS と共同で、ウェブコンテンツ(On Line)と展示(Off Line)を連携
させた O2O(On Line to Off Line)サービス、
「O2ONAVI」を実施した。来場者は専用の
スマホアプリを起動することで、展示ブースの前に来ると自動的にそのブースの展示に関
するコンテンツが PUSH 送信で受け取ることが出来た。
[利用条件]
・iPhone4S 以降
・iOS7 以上
・インターネット接続
[サービス概要]
1) 専用アプリを起動
2) 展示ブースの前に行くと自動的にコンテンツが表示
3) 気になった展示は「お気に入り」をマーク
4) 会場内「O2O BAR」で専用 Beacon にかざすと、マークした「お気に入り」が一覧表
示され、お持ち帰り可能となる。
5) 保存した「お気に入り」からはコメントも送ることが出来る。
[コンテンツ内容]
・DCEXPO 公式ウェブに掲載されている文章よりも読みやすく、興味を喚起しやすくなる
よう、開発者の一人称による解説情報を提示。例えば「私たちは、、
、を目指して開発しま
した。
」など(400~800 文字)
。
・DCEXPO 公式ウェブに掲載されていない写真や図等を提示。
61
アプリ利用者数
●
アプリ DL 数:351 ダウンロード
カウント期間 : 10/16* - 10/31
●
*10/16 が AppStore 公開日
当日利用数:255 人
*Beacon を検知したユーザー数
●
Beacon 検知総数:293,642 回(内、Near, Immidiate のみは 83,631 回)
コンテンツの取得の有無に関わらず、Beacon が検知された回数
●
コンテンツリクエスト総数:3146 回
Beacon を検知し、コンテンツを取得された回数
o
コンテンツ取得回数 TOP5
204 回 C01 O2O 屋内測位の切り札!「ACCESS Beacon Framework」
62
196 回 C02 チャンネル争いに終結を!多重化・不可視映像を生成する汎用ソフトウェア技
術
128 回 C09 MultiTaction© [マルチタッチ ディスプレイソリューション
94 回 T07 勝率 100%じゃんけんロボット
90 回 T05 みらいのこくばんプロジェクト
●
来場者平均滞在時間:1 時間 8 分 55 秒
有効サンプル数 236 人
ヒートマップ
来場者が何処にどれくらい滞留したかを知ることができる。
63
行動動線例
来場者がどのような経路を辿ったかを知ることができる。下図はある来場者の行動動線
の一例で、関心あるエリアでの動きが多いことがわかる。
時間別 Beacon 検知数
64
今後の検討課題
3.2
●
サンプル数の増加
●
アプリをインストールさせる動線の十分な準備
●
入場口への大看板設置や大々的なキャンペーン告知の実施等による広報
●
ユーザ属性の取得
●
属性別の人気展示ブース、回遊経路の取得
●
ユーザの入力インセンティブに資する、魅力あるコンテンツやアプリの設計
●
ユーザフィードバックの取得
●
人気展示ブースを投票できるようなアプリ設計
プレスリリース
3.2.1
プレスリリース活動概要
1)活動期間
2014 年 9 月~2014 年 10 月 計 2 ヶ月
2)主なターゲットメディアのセグメント
◎新聞:
全国紙、産業経済紙、通信社、地方紙、業界紙など
◎雑誌:
情報誌、PC 誌、デザイン誌、ゲーム誌、フリーペーパーなど
◎WEB:
ニュース系サイト、イベント系サイトなど
◎海外メディア: 英字紙、海外通信社
◎テレビ:
情報番組・報道番組
3)活動内容
プレスリリース作成配布、取材誘致~会期中プレス取材誘致
イベント概要をまとめた取材案内状を作成し、10 月 14 日(火)に新聞、雑誌、WEB、テ
レビなど約 900 メディアに配布し、
事前告知記事の露出を図るとともに取材誘致を行った。
映像新聞、週刊アスキー、週アス PLUS 等、影響力の強いメディアにメディアパートナー
として協力を得ることができた。
テレビやラジオ、新聞に対しては、取材希望内容を事前にヒアリングし、見どころである
展示作品やシンポジウムの内容を説明しメディア露出機会の最大化を図った。
65
3.2.2
報道実績
報道実績(2014 年 11 月 8 日現在)
①メディア取材人数
月 日
媒体数
人数
10 月 23 日
50 媒体
082 名
10 月 24 日
13 媒体
024 名
10 月 25 日
04 媒体
010 名
10 月 26 日
04 媒体
010 名
合 計
71 媒体
126 名
②掲載メディア
[テレビ]
<露出>
月日
局
番組名
時間枠
露出時間
01
10 月 23 日
NHK
ニュース・気象情報
16:00~16:05
00:01:25
02
10 月 23 日
NHK
首都圏ニュース 845
20:45~21:00
00:01:56
03
10 月 23 日
NHK
NEWS WEB
23:30~24:00
00:01:02
04
10 月 23 日
テレビ朝日
ワイド!スクランブル
10:30~12:00
00:01:23
05
10 月 23 日
テレビ東京
ワールドビジネスサテライト
23:00~23:58
00:03:17
06
10 月 23 日
TOKYO MX
MX NEWS
18:00~18:30
00:02:03
07
10 月 23 日
TOKYO MX
MX NEWS
20:00~20:30
00:02:16
08
10 月 24 日
フジテレビ
とくダネ!
08:00~09:50
00:03:26
09
10 月 27 日
NHK
NEWS WEB
23:30~24:00
00:07:36
10
10 月 31 日
日本テレビ
news every.
16:50~19:00
00:02:07
11
11 月 01 日
日本テレビ
SENSORS
25:50~26:20
00:06:45
合 計
※NHKスペシャル「NEXT WORLD」 1 月24日、25日にて出展物を一部紹介。
66
00:33:16
[新聞]
分類
表紙日付
媒体名
01
新聞
2014 年 09 月 26 日
毎日新聞
02
新聞
2014 年 10 月 15 日
新聞之新聞
03
新聞
2014 年 10 月 15 日
半導体産業新聞
04
新聞
2014 年 10 月 20 日
映像新聞
05
新聞
2014 年 10 月 24 日
朝日小学生新聞
06
新聞
2014 年 10 月 25 日
日刊自動車新聞
07
新聞
2014 年 10 月 25 日
THE JAPAN TIMES
08
新聞
2014 年 11 月 03 日
映像新聞
09
新聞
2014 年 11 月 17 日
映像新聞
10
新聞
2014 年 12 月 18 日
少年写真新聞
[雑誌]
分類
表紙日付
媒体名
1
週刊誌
2014 年 10 月 30 日
週刊ファミ通
2
月刊誌
2014 年 11 月
WEB Designing
[Web]
ニュース関連:403 件
主な掲載サイト:
BIGLOBE ニュース、Infoseek ニュース、livedoor ニュース、Yahoo ニュース、
エキサイトニュース、CNET Japan、goo ニュース、ニコニコニュース、ねとらぼ、
ファミ通.com、マイナビニュース、映像新聞、楽天 woman、現代ビジネス、財経新聞、
産経アプリスタ、産経ニュース、産経関西、時事ドットコム、朝日新聞デジタル、
東京ベイ経済新聞、東洋経済オンライン、毎日新聞、夕刊アメーバニュース、
アニメ!アニメ! 他
以上の活動によるパブリシティは下記のとおりです。
分類
件数
テレビ
11
新聞
雑誌
10
Web
2
403
67
合計
426
3.3
アンケート結果
来場者のアンケート結果を以下に示す(回答数 1,259)
。
1.性別
男
女
回答 計
回答数
985
265
1,250
%
78.8%
21.2%
100.0%
1.性別
女, 21.2%
男, 78.8%
2.年齢
12歳以下
13~19歳
20歳代
30歳代
40歳代
50歳代
60歳以上
回答 計
回答数
65
147
356
248
265
130
45
1,256
%
2.年齢
5.2%
11.7%
28.3%
19.7%
21.1%
10.4%
3.6%
100.0%
50歳代,
10.4%
60歳以上,
3.6%
40歳代,
21.1%
学生
教職員・学術関係者
公務員・各種団体職員
アニメ制作・販売
ゲーム・関連グッズ製作・販売
TV・ラジオ局・番組製作
映画製作・映像関係
音楽制作・音声関係
電気(機)・通信・IT関連
金融・商社・広告代理店
その他
回答 計
回答数
407
49
35
10
56
21
54
8
276
53
290
1,259
%
32.3%
3.9%
2.8%
0.8%
4.4%
1.7%
4.3%
0.6%
21.9%
4.2%
23.0%
100.0%
68
13~19歳,
11.7%
20歳代,
28.3%
30歳代,
19.7%
3.職業
12歳以下,
5.2%
3.職業
0.0%
学生
教職員・学術関係者
公務員・各種団体職員
アニメ制作・販売
ゲーム・関連グッズ製作・販売
TV・ラジオ局・番組製作
映画製作・映像関係
音楽制作・音声関係
電気(機)・通信・IT関連
金融・商社・広告代理店
その他
5.0%
10.0%
15.0%
20.0%
25.0%
30.0%
35.0%
32.3%
3.9%
2.8%
0.8%
4.4%
1.7%
4.3%
0.6%
21.9%
4.2%
23.0%
4.何からデジタルコンテンツ EXPO を知りましたか?(複数回答あり)
回答数
328
125
50
42
5
21
132
3
148
283
188
1,325
インターネットのニュースサイト
Twitter/FACEBOOKなどのSNSサイト
その他WEB saito
DCAJメールマガジン
DCAJ以外のメールマガジン
新聞・雑誌
ラジオ・テレビ番組
CoFestaより
仕事・会社関係からより
仕事・友人・知人から
その他
回答 計
%
24.8%
9.4%
3.8%
3.2%
0.4%
1.6%
10.0%
0.2%
11.2%
21.4%
14.2%
100.0%
4.何からデジタルコンテンツEXPOを知りましたか?
0.0%
インターネットのニュースサイト
Twitter/FACEBOOKなどのSNSサイト
その他WEB saito
DCAJメールマガジン
DCAJ以外のメールマガジン
新聞・雑誌
ラジオ・テレビ番組
CoFestaより
仕事・会社関係からより
仕事・友人・知人から
その他
5.0%
3.8%
3.2%
0.4%
1.6%
10.0%
15.0%
20.0%
25.0%
24.8%
9.4%
10.0%
0.2%
11.2%
14.2%
69
21.4%
30.0%
5.デジタルコンテンツ EXPO にどれくらい来場されたことがありますか?
毎年
過去に何度か
初めて
回答 計
回答数
124
180
932
1,236
%
10.0%
14.6%
75.4%
5.デジタルコンテンツEXPOにどのくらい
来場されたことがありますか?
毎年, 10.0%
過去に何度
か, 14.6%
初めて,
75.4%
6.全体総合評価(①全体的には)
面白かった
つまらなかった
わからない
回答 計
回答数
1,203
3
22
1,228
%
98.0%
0.2%
1.8%
100.0%
6.全体の総合評価 (①全体的には)
つまらなかっ
た, 0.2%
わからない,
1.8%
面白かった,
98.0%
6.全体の総合評価(②来年度開催したら)
出展/参加したい
来場したい
わからない
回答 計
回答数
182
741
87
1,010
%
18.0%
73.4%
8.6%
100.0%
6.全体の総合評価 (②来年度開催したら)
わからない,
8.6%
来場したい,
73.4%
70
出展/参加し
たい, 18.0%
4. 事業の評価
4.1
成果(定性評価)
4.1.1 事業目的からの評価
事業の目的:コンテンツ技術イノベーションの促進
技術戦略マップ 2012(コンテンツ分野)で示されている技術開発の方向性に基
づき、その実現に大きな貢献が期待できる先進的な技術を発掘・評価し、産学
連携の場での共有と社会への発信を行うことで、我が国におけるコンテンツ技
術イノベーションを促進すること。
上記の事業目的に対して、次の成果を得た。
Innovative Technologies2014

本年度で 3 回目となる「Innovative Technologies」
(最先端技術の発掘・表彰事業)を
実施し、経済産業省からの強力な発信力と綿密な準備のもとに、将来の産業界への応
用に期待の持てる新技術を発掘し、その最先端技術の情報共有に貢献できた。

技術の発掘(公募から、審査委員会での技術採択)の段階で、技術戦略マップ 2012(コ
ンテンツ分野)で示されている技術開発の方向性を確認し、その方向性に示されてい
る要素を公募技術に対する選考基準とした。具体的には、
「表現力の向上」
、
「サービス
提供技術の向上」
、
「実空間でのコンテンツ利用」
、そして「自由分野」を加えた4つの
方向性に対する評価軸を設定し、それらへの貢献、今後のイノベーション促進への期
待を選考の基準とし、採択した。

最新のコンテンツ技術を広く発信・共有するイベントとして、産学の連携強化と企業
の積極的参加により、昨年度を上回る公募を得て、イベント会場での展示、プレゼン
テーション等を通して、その技術を積極的に紹介することができた。
Features 2014

今年度 2 度目となる、その年に注目すべき技術を取り上げて展示・講演等を行う
「Features 2014」を実施した。本年度はウェアラブルに関する展示・実演と講演を行
い好評を博した。特に OcuFes による開発者会と実演は盛況であった。
シンポジウム等

国際展示会として、従来からのフランス、米国、韓国からの参加に加え、特別企画と
72
して、米国 ACM SIGGRAPH の Executive Committee を招聘し、基調講演並びにシ
ンポジジウムを行った。また、本年度 3 回目となる在日大使館等向け「English Guided
Tour」を開催し、昨年度を大幅に上回る参加者を得た。

CoFesta の企画として日本在住の海外留学生や海外から招聘されたインフルエンサー
の「CoFesta アンバサダー」を迎え、広く世界に発信することができた。

業界関係者、国内外のマスコミから大きな注目を集め、次世代デジタルコンテンツ産
業へ誘導する発信基地として、その産業振興に効果を発揮することができたと同時に、
コンテンツ技術のイノベーションを促進することができた。
4.1.2 事業推進・運営面からの評価
事業推進・運営面での成果は、以下の通り。

本年度で 3 回目となる Innovative Technologies を実施し、定着しつつあることが確認
できた。また、話題性も豊富で、広く世界に発信することができた。

来場者数は延べ 40,719 人であり、昨年実績(延べ 25,318 人)との比較において集客
増を達成した。

取材延べ人数は 126 名で、昨年同様に高い関心を集め、多くの報道番組にて放映され
た。NHK をはじめ多くのテレビ番組に取材を受けるなど、話題性・注目度ともに昨年
同様に高い実績を残した。

コンテンツ技術の他産業への波及を目指した Innovative Technologies において導入
したシステムとして、採択者の中から他産業分野への応用が特に期待できる技術を「特
別賞」としてクローズアップしたこと、また選考委員にも各分野を代表する企業や著
名人を起用することにより、多彩な分野への波及が広がる効果が得られた。

本年度から米国の学会 ACM SIGGRAPH との交流を深めるための賞の交換を開始す
ることができた。ACM SIGGRAPH からの招聘者により、Innovative Technologies
採択技術の中から Special Prize を選んで賞を授与した。選ばれた技術は来年度夏の
ACM SIGGRAPH に Emerging Technologies と同様に展示される予定。
73

企画から運営準備の段階で運営の効率化を図り、推進委員会による全体統制のもと、
エグゼクティブ・プロデューサーや外部公募により採用した外注運営会社とのコミュ
ニケーションの改善を図り、効率的な準備作業を実行した。

広報面では、経済産業省からの表彰事業に関する発信力の高さ、その効果を十分に活
用できたこと、また事務局での情報一括管理の徹底を行ったことで、効率的な WEB
広報活動を実現できた。
デジタルコンテンツ EXPO として継続的に実施し、
イノベーション、クリエイティブ、

ビジネスモデルの革新によって絶え間ない新陳代謝を繰り返す活力(Activity)が集結
し、維持、拡大する場として認知され、それによりイノベーションの推進において大
きな成果を達成することができた。
4.2
成果(定量評価)
定量評価として、以下に目標値に対する実績、またその構成要素別の結果を示す。
目標値
(全体)
実績
(全体)
Innovative
Technologies
Features2014
特別企画
国際プロ
グラム
Content
Technology
Showcase
(参考)
(抜粋)
20 以上
28(31)
20(20)
8(8)
-
-(3)
36(18)
シンポジウム/
セミナー(回)
5 以上
11(19)
3(3)
3(8)
5(8)
3(-)
13(4)
来客者数
30,000 程度
40,719(25,318)
-
-
-
-
-
展示数
(延べ人数)
※(
)内は前年度数値

展示数、シンポジウム/セミナーの実施数は、目標値を達成でき、良好な結果を得た。

天候にも恵まれ、来場者数の目標値 30,000 人に対し、述べ 40,719 人の来場者を得て、
前年比では 161%となった。
74
平成 26 年度
コンテンツ産業強化対策支援事業
(コンテンツ技術イノベーション促進事業)
実施報告書
作 成
作成者
平成 27 年 2 月
一般財団法人デジタルコンテンツ協会
東京都千代田区一番町23番地3
日本生命一番町ビルLB
不許複製 禁無断転載
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