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フロンティア不動産投資法人 Frontier Real Estate Investment

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フロンティア不動産投資法人 Frontier Real Estate Investment
CORPORATES
AUGUST 8, 2012
CREDIT OPINION
フロンティア不動産投資法人
Frontier Real Estate Investment
Corporation
現行格付
目次:
現行格付
1
主要財務指標
2
クレジットオピニオン
2
格付のドライバー
投資法人概要
格付の根拠
格付に関する詳細な検討
流動性
格付の見通し
将来の格上げにつながる要因
将来の格下げにつながる要因
その他の検討事項
格付へのマッピング
2
2
3
3
4
4
4
4
5
6
フロンティア不動産投資法人
長期 発行体格付(自国通貨建 JPY)
A2
長期 シニア無担保 普通債(自国通貨建 JPY)
NR
見通し
安定的
コンタクト:
東京
03.5408.4100
大久保 敬裕
03.5408.4167
VP-シニアアナリスト
[email protected]
熊丸 浩二
03.5408.4162
マネージング・ディレクター
[email protected]
ムーディーズ・ジャパン株式会社
CORPORATES
主要財務指標
2007/6
売上高(US$mil)
EBITDA マージン(%)
2007/12
2008/6
2008/12
42.2
43.1
50.6
66.6
78.6%
77.8%
77.2%
78.0%
0.2
0.5
1.2
2.4
EBITDA/支払利息(倍)
161.6
101.9
49.4
27.1
償却前総資産(US$mil)
1,198
1,233
1,526
2,129
総有利子負債/償却前総資産(%)
4.7%
6.3%
9.9%
22.4%
純有利子負債/EBITDA(倍)
2009/6
2009/12
2010/6
2010/12
2011/6
2011/12
72.6
73.3
74.9
87.1
91.8
94.4
76.2%
76.6%
74.9%
76.9%
76.5%
75.2%
3.7
3.9
3.8
3.8
4.6
4.4
15.6
14.1
14.5
15.1
13.9
13.0
2,190
2,214
2,225
2,606
2,784
2,807
23.5%
23.7%
23.5%
24.5%
27.9%
27.8%
ムーディーズの標準的アプローチを適用。
数字は会社公表資料に基づく。
1 ドル=85 円で計算。
純有利子負債/EBITDA(倍)の EBITDA については各期数値の 2 倍した値を用いて計算。
クレジットオピニオン
格付のドライバー
»
スポンサーである三井不動産との協働体制による事業基盤・財務運営の優位性
»
優良テナントとの長期・固定の賃貸借契約を裏付けとしたポートフォリオから生じるキャッ
シュフローの安定性
»
保守的なレバレッジと預かり敷金・長期差入保証金による調達のメリット
»
今後の資産拡大とポートフォリオの分散度
投資法人概要
フロンティア不動産投資法人(FRI)は、2004 年 8 月に上場した、都市近郊型及び都心型商
業施設への投資・管理に特化した不動産投資法人である。FRI は、三井不動産株式会社(三
井不動産、格付:A3 安定的)がスポンサーとして手掛ける、投資対象(オフィス・住居・商業)
によって棲み分けされた 3 つの投資法人の 1 社である。
2011 年 12 月期における営業収益は約 80 億円、2012 年 6 月期末(第 16 期末)時点の保有
資産は 26 物件、約 2,370 億円である。ポートフォリオの地理別分散(取得価格ベース)は、首
都圏で約 47%、中部で約 20%、中国で約 15%、関西で約 9%を占める。2012 年 6 月末時点
の稼働率は 100%。
スポンサー(FRI の資産運用会社である三井不動産フロンティアリートマネジメント株式会社の
株主)は大手不動産会社の三井不動産である。スポンサー企業は運用会社に対し人的資源、
不動産投資・管理、金融業務などのサポートを行っている。三井不動産は 2008 年 3 月、当
初上場時のスポンサーである日本たばこ産業株式会社(JT、Aa3 安定的)から運営を引き継
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AUGUST 8, 2012
クレジット・オピニオン:フロンティア不動産投資法人
CORPORATES
いでいる。三井不動産は、発行済み投資口数の 7.5%を保有し、FRI の主要株主の上位 10
社に入っている。
格付の根拠
FRI の格付 A2 は、好立地で優良テナントとの長期・固定賃貸借契約中心の商業施設ポート
フォリオから生成される安定したキャッシュフロー、スポンサーである三井不動産との協働体制
による不動産の投資・管理・運営における優位性、三井グループ金融機関を中心とした安定
的な金融機関取引と保守的な財務運営方針を反映している。
格付に関する詳細な検討
ポートフォリオの特徴及びキャッシュフローの安定性
FRI は日本国内の各地に所在する郊外型商業施設及び都心型商業店舗ビル等を投資対象
としている。
2012 年 6 月末時点におけるポートフォリオの物件構成については、上位 3 物件からの賃料
収入の割合が全体の約 29%を占めている。また、テナント構成においては、イオングループ
のテナントシェアが賃貸収入ベースで約 34%を占めており、収益構造の集中度は依然として
高い。しかしながら、テナントとの賃貸借契約における平均残存契約期間が約 12 年と長期で
あること、賃料改定までの期間が 5 年を超える契約が 5 割以上を占めていることから、長期か
つ安定的なテナントとの契約形態が集中度にかかる懸念を緩和している。
FRI では資産規模 3,000 億円に向けた外部成長を目標としており、2008 年 3 月に JT から三
井不動産にスポンサーが交代して以降は、同社開発物件を中心に投資ポートフォリオを拡充
し、2012 年 6 月末時点で三井不動産からの取得資産がポートフォリオの約 32%(取得価格
ベース)に及んでいる。また 2012 年 7 月には京都府内のショッピングセンター「カナート洛
北」をスポンサーより新規取得している。今後も商業施設の開発・運営に強みのある三井不動
産グループのサポートを背景に資産規模拡大が進めば、ポートフォリオの分散度は徐々に高
まっていくものと考えている。
加えて既存物件においても大規模なリニューアルを継続的に実施している。商業施設ポート
フォリオにおけるリニューアルに対するアセットマネジャーの対応能力は、他のアセットタイプと
の比較において、集客力向上と物件の収益力により直接的に影響すると考えられることから、
より重要性は高い。例えば 2011 年 7 月にはイオン秦野ショッピングセンター(2012 年 6 月末
時点のポートフォリオの約 3.9%)のリニューアルをテナントと協働で実施し、賃料の増額改定
に成功している。
今後は 2013 年から 2014 年に賃貸借期間の満了を迎える 2 物件(ジョイフルタウン岡山(ア
ネックス棟)、パピヨンプラザ)について、新規テナント誘致やリニューアルなどの施策が課題と
なるが、商業施設の開発・運営のノウハウを蓄積したスポンサーに支えられた FRI のマネジメ
ント能力は、売場再編や業態転換等、多様なニーズを持つテナントへのリーシング強化に大
きく寄与していると見ており、FRI の収益を安定的に支えていくだろう。
財務運営方針(レバレッジ、負債管理等)およびトラックレコード
FRI のレバレッジは、敷金・保証金を加味した負債比率((借入金+敷金保証金-使途制限のな
い現預金)/(総資産残高-使途制限のない現預金))に基づいて運営され、当該比率を 30%
台後半~50%の水準に維持する方針としている。2011 年以降の新規物件取得により 2011 年
12 月期末の同比率は約 46%まで上昇していたが、2012 年 7 月に公募増資により約 205 億
円を調達したことで、2012 年 12 月期には再び レバレッジは 43%程度まで低下する見込み
である。
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クレジット・オピニオン:フロンティア不動産投資法人
CORPORATES
また、FRI は商業施設への投資に特化している特色を生かして、長期賃貸借契約を結ぶテナ
ントからの預かり敷金・長期差入保証金(約 400 億円)が資金調達の一部として活用されてい
る。預かり敷金・長期差入保証金を除く総資産有利子負債比率は約 28%となる。預かり敷金・
長期差入保証金の受け入れは不動産の長期賃貸借契約に密接に関係していること、優良テ
ナントからの賃料収入が返済原資として確保されていること、銀行借り入れなど一般の債務に
比べて調達期間がはるかに長いことなどが、借入による調達と比較した際のメリットとして考慮
される。
さらに、FRI のポートフォリオは、2011 年 12 月期の決算で 190 億円(ポートフォリオ全体の簿
価比約 9.2%)の含み益(期末算定価格と簿価の差額)があり、ムーディーズが格付する JREIT の中でも良好な水準を維持している。こうした含み益は FRI 実質的なレバレッジを低下
させ、リファイナンスの蓋然性を強化する上でポジティブに作用している。
FRI は債務のデュレーション管理において、敷金・保証金の返還スケジュールを加味して運
営しており、敷金保証金を含んだ平均残存期間は約 5.3 年(2011 年 12 月末時点)である。
有利子負債のみの平均残存年数においても、ローンの借入期間の長期化を進めた結果、
2011 年 6 月末の約 2.0 年から 2012 年 6 月末には約 2.8 年となり、ムーディーズが格付する
J-REIT の平均的な水準まで改善した。
流動性
ムーディーズでは、資本集約性の高い REIT の格付において、資金流動性に特に強い関心
を持って評価している。債務の資金流動性においては、短期借入金と 1 年以内に返済・償還
期限が到来する長期借入金・投資法人債の合計額に対して、現預金、コミットメントライン及び
減価償却費から資本的支出額を控除した内部留保等のカバー率で計算される。
2011 年 9 月に FRI は 70 億円のコミットメントラインの追加設定を実施した。その結果、2011
年 12 月期における FRI の流動性カバレッジは 100%超に大きく改善し、十分な流動性を確
保している。加えて、スポンサーの取引金融機関を中心に良好な銀行取引が維持されている
点が FRI の流動性をさらに強化している。
格付の見通し
格付の見通しは、安定的である。FRI のポートフォリオが生み出す賃貸収益が安定的に推移
すると見込まれること、資産規模 3,000 億円に向かって外部成長を模索する過程においても
従来からの保守的な財務運営が維持されるだろうとのムーディーズの見方を反映している。
将来の格上げにつながる要因
ポートフォリオ拡大の過程でレバレッジの改善も進み、例えば FRI の基準による LTV が 40%
以下、純有利子負債/EBIDTA 倍率が 7 倍未満の水準に安定し、流動性カバレッジが 100%
以上で維持され、債務のデュレーションが現状より長期化かつ返済期限が平準化されれば、
格付に上方圧力が加わる可能性がある。
将来の格下げにつながる要因
ポートフォリオから生成されるキャッシュフローの現象や不動産価格の更なる下落、レバレッジ
の上昇が進めば、格付に更なる下方向の圧力がかかるであろう。例えば、FRI の基準による
LTV が 50%以下、純有利子負債/EBIDTA 倍率が 10 倍を下回る水準を維持することができ
なくなった場合には FRI の格付は引き下げられる可能性がある。
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クレジット・オピニオン:フロンティア不動産投資法人
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その他の検討事項
他社との比較
J-REIT セクターの中では、日本リテールファンド投資法人(JRF、A3 安定的) が FRI と同様に
商業施設への投資に特化している。両社とも郊外型・都心型の好立地な商業施設でポートフ
ォリオが構築されているが、資産規模では総資産で 6,000 億円を超える JRF が 2,000 億円台
の FRI を上回る。ポートフォリオの分散度も JRF が FRI よりも高い。一方、保証金・敷金考慮
後の財務レバレッジにおいては、JRF がレバレッジを上昇させているのに対して、FRI は負債
比率が約 8%ポイント低く、保守的な水準にあると見ている。ポートフォリオの期末算定価格と
簿価の差額においては、FRI が約 9.2%の含み益を維持しているのに対して、JRF は約 3.1%
の含み損になっていることも、実質的なレバレッジの差を拡大させる要因として考慮される。
格付手法
FRI に対しては、「REIT およびその他の不動産会社のグローバル格付手法」が適用されてい
る。格付手法が示唆する格付は A3 で、実際の格付より1ノッチ低い(直近 1 年間のデータに
基づく)。しかしながら、信用力の高いテナントとの長期賃貸借契約に付随する敷金保証金が
FRI の財務の安定性を支えていることや、含み益が実質的なレバレッジを緩和している点が
考慮されている。
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クレジット・オピニオン:フロンティア不動産投資法人
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格付へのマッピング
Aa
A
Baa
Ba
B
Caa
Ca
流動性と資金調達
X
流動性カバレッジ
X
債務の償還スケジュール
FFO の分配
X
担保に供されていない資産の割合
X
レバレッジと資本構造
実効レバレッジ((有利子負債+優先株)/
償却前総資産)
X
純有利子負債/EBITDA
X
有担保レバレッジ(有担保債務/償却前総資産)
X
資本へのアクセス
X
市場地位と資産の質
X
フランチャイズ/ブランド力
規模(償却前総資産)
X
分散-立地・テナント・業種・経済セクター
X
開発事業の資産規模/償却前総資産(%)
X
X
資産の質
キャッシュフローと収益
EBITDA マージン
X
X
EBITDA マージンの変動性
フィクストチャージカバレッジ(EBITDA/支払利息等)
X
JV/ファンド事業からの収入の総収入に占める割合
X
格付
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格付手法が示唆する格付
A3
現在の格付
A2
クレジット・オピニオン:フロンティア不動産投資法人
CORPORATES
ムーディーズ・ジャパン株式会社
Report Number:
JP001317(Japanese)
〒105-6220
東京都港区愛宕 2 丁目 5-1
愛宕グリーンヒルズ MORI タワー 20F
著者
プロダクション・アソシエイト
大久保 敬裕
渡邉 エリ
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ます。)の完全子会社である Moody's Overseas Holdings Inc.の完全子会社です。 MJKK は日本の金融商品取引法の下で金融
庁に登録された信用格付業者であり、登録番号は金融庁長官(格付)第 2 号です。
MJKKは、MJKKが格付を行っている債券(社債、地方債、債券、手形、CPを含みます。)及び優先株式の発行者の大部分が、
MJKKが行う評価・格付サービスに対して、MJKKによる格付の付与に先立ち、20 万円から約 3 億 5,000 万円の手数料をMJKK
に支払うことに同意していることを、ここに開示します。また、MCO及びMJKKは、MJKKの格付及び格付過程の独立性を確保す
るための方針と手続きを整備しています。MCOの取締役と格付対象会社との間の何らかの利害関係の存在、及びMJKKから
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における)「ホールセール顧客」のみへの提供を意図したものです。オーストラリア国内から本文書に継続的にアクセスした場
合、MOODY'S に対して、「ホールセール顧客」であるか又は「ホールセール顧客」の代表者として本文書にアクセスしているこ
と、及び、貴殿又は貴殿が代表する法人が、直接又は間接に、本書又はその内容を(2001 年会社法 761G 条の定める意味
における)「リテール顧客」に配布しないことを表明したことになります。
本信用格付は、発行者の信用力又は債務についての意見であり、発行者のエクイティ証券又はリテール投資家が取得可能
なその他の形式の証券について意見を述べるものではありません。リテール投資家が、本信用格付に基づいて投資判断を
するのは危険です。もし、疑問がある場合には、フィナンシャル・アドバイザーその他の専門家に相談することを推奨します。
7
AUGUST 8, 2012
クレジット・オピニオン:フロンティア不動産投資法人
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