Comments
Description
Transcript
MANGA CROSS REVIEW Vol.6
けだものにロリポップ タイトル MANGA CROSS REVIEW 作者 掲載誌 初版（1巻） おすすめ人 Vol.6 あらすじ たんこぶ クレロラ みと くねす 仲野えみこ LaLaDX 2015/8/10 たんこぶ 20 けも耳男子とひみつの学 園生活! 内気でクラスで目 立たない、ひまり。成績運 動共に優秀、クレイジーな 言動で人気者の紫園寺く ん。まるで接点のない2人 だが、ある日、白猫が紫 園寺くんになるところを目 撃!秘密を知ったひまり は、なぜか紫園寺くんの 下僕になることに…!? NOIRSTORE BOOKSHELF デッドデッドデーモンズ デデデデデストラクション 魔法自家発電 黒井もやもや Kindle 浅野いにお 週刊スピリッツ 2014/9/30 みと 谷和野 月刊flowers 2015/8/10 くねす 3年前の8月31日。 突如 『侵略者』の巨大な 『母艦』が東京へ舞い降 り、この世界は終わりを迎 えるかにみえた―― その後、絶望は日常へと 溶け込んでゆき、大きな 円盤が空に浮かぶ世界は 今日も変わらず廻り続け る。 ケモノの僕と 天使なキミが 同じ世界にいる奇跡。 クレロラ 24 『巨大な書店とケモノの日 常』 世間知らずなネコの少 女、ノワクーシーと、人を 食ったような態度をとるウ サギの少女、キルシー。 平和で奇怪な世界を舞台 に、彼女たちの日常を描 きます。 26 圧倒的な画力とセンスの良さが縦横無尽に暴れ 狂っている。キャラクターの造形・かわいい小物た ち・硬質な建物と機械・バッキバキにキマったタイ ポグラフ。会話も全部面白くて、何でもかんでもセ ンスよくまとめやがってムカつく！参った！加えてト ンでもないのはこの2010年台の文化・空気感を作 品丸ごとでパッケージングしてしまったという驚異 的な精度の文芸力。これ後で文化論的資料として 絶対役立つって！ 紫園寺くんのキャラを始めとする作品のギャグセ ンスが僕にドンピシャ。ごちゃごちゃ会話ギャグと か台詞の言葉遣いでテンポ良く笑わせる。この ギャグ入りでさくさくお話すすめる手腕は、笑える だけじゃなくてお話と演出にも発揮されていて、1 話は、ギャグを伏線として回収しつつ、主人公が 前髪切ってネコミミつけるのがクライマックス（めっ ちゃかわいい）。2話で更に深みを増してちょっと ほろっとしたり。よくできてんなー。 ケモォォォォォいッ説明不要!!体つきの艶かしさと表 情のかわいらしさは全頁カラーの豪華さも相まって 絶品。見てるだけで幸せな気分になる。「フォントが 逃げちゃうから本を水の中につけて保管する」とかワ ンダーランド感ある世界も素敵。設定資料もいい。非 商業ならではのコダワリが堪能できる分、コマとコマ のつなぎが多少わかりにくかったりと洗練されてない 部分もある、がまあそこは求めてもしょうがないか。 往年の少女漫画っぽさある。BGM流しながら赤い 絨毯を敷き最高にキザな台詞で登場する動物変 身体質のイケメンとか。これで下僕に嫉妬して嫌 がらせをしてくるファンクラブがあれば完璧だが、 それはいない。そういう意味で他の生徒は「紫園 寺様」を純粋にエンターテイメントとして楽しんで いるんだろうな。そしてニヤニヤ漫画としても最高 だった。素直に「下僕がんばろう」が浮かぶ娘を 振り向かすために苦闘する紫園寺様はよ。 ノワちゃんが可愛くて生きるの辛い。ケモ(5段階で3 10年ぶりくらいの浅野いにお。世の中の左も右も真 ～4くらい？)としての造形が好みど真ん中。というか、 ん中ぶってどっちも嘲笑している奴も含め全方位へ 今までケモ属性がなかったんで、評価基準が自分 向けて、浅野いにおメソッドに載せてお送りするノン の中にないところに、完全にデファクトスタンダード ストップ唾吐きかけ漫画。ここまで外野を騒がしくし として君臨してしまったぞ、ノワちゃん。デフォルメと ないと貴様はまともに青春群像撃が描けないのか ケモと美少女性みが高次で融合しているためか、す と、同情の念を禁じ得ない。その青春群像劇部分 るりと落ちてくる感じがある。パンツも尻尾の部分で だけを見てみても、ズッ友だよ的な良い話な2巻の 紐パンになっていたりして、業の深い人なのは間違 後に死を織り込んでくる辺りに逃げられなさを感じ いないんだが。 る。やはり嫌いじゃ。 30 表題作が最も良い。世界が反転した瞬間かなりワク ワクしたし、現実にある問題をファンタジックに置き換 えてみせるのは物語、特にSF・ファンタジーにとって は大事な矜持であり役割だ。大変立派。実は女の子 の意識も拡張されてるのが少女漫画主人公自意識 フェチ的にもグー。ただ全作品共通して、テーマが ちょっと早めに分かってしまうきらいがあり若干食い 足りない。あと半ひねりあればめちゃ好みなので、非 常に惜しい感じがする。 思春期少 ここに爆裂 顔が特に 以上のもの さをきちん 顔と、最後 ルシスを感 典型で特 女の最大 日常と心の機微を読み解き魔法に変える想像力、素 処女単行 敵な言葉選びと物語を流れるように運ぶ詩的センス、 くる辺りが その物語をコマに載せていく画力。これらを兼ね備え、だなと。処 漫画を形作る力は当代屈指のもの。でも、それだけ 次回作の じゃなく、「目の前の人のこともちゃんと見えるように おき、綺麗 なりますからね」天使が呪いをとく言葉に、そっと添 象。個人的 えた彼女自身の願望。この、ほんのささやかな情動 のやりとり を描けること、それを魔法の世界に加えられることこ 高の賛辞 そ高く評価したい。 少女漫画が苦手であるということを再認識させら オシャレでカッコいい！ というのが率直な感想です。 れました。読めば読むほど、フィクションではなく妄 何よりもオチが素晴らしい。あのオチのおかげで全 想を読んでいる気になって辛いです。「糖分が不 てのシーンをニヤニヤしながら読むことが出来るよう 足すると動物になるイケメン」という設定は別にい になった。そして読み直すほど、作者のこだわりが発 い。ただ、それ以外をもっとちゃんと創り込んで欲 見できるという何度でも楽しめる作品でした。尻尾周 しい。服問題や、糖分摂取方法問題。そして、クレ りの服のデザインがホントかわいくてたまりません。 カ問題。妄想ではなくフィクションにお金を出して あのパンツの紐をほどく話とかないのかな……。商 いることを作者には重々理解して描いて貰いたい。 業誌では読むことは出来ないであろうベクトルの作 と思う時点で少女漫画に向いてない件。 品に出会えて感謝です。 今まで日常を描いてきた「浅野いにお」が満を持して フィクションに選んだ題材が「デストラクション」という 素晴らしさ。これだけで本作を推す理由足り得る。た だ、完成度が高すぎるのが少し気になる。日常物と して完成度が高すぎるのは問題ないのだが、デスト ラクション物としては隙がなさ過ぎるのだ。隙がない と非常に考察し辛く、物語の規模が小さくなってしま う恐れがある。出来れば、ドラゴンヘッドではなくエ ヴァが見たい。 発想がちょっと天才過ぎないか？ こういう物の見方 が出来る人が絵を描くことが出来て、それを表現し たいと志したという奇跡に感謝します。作品を語るな らば、やはり「2人時間」がとても好きです。最初はた だただ感心して読み終わったのに、もう一度読み返 すと泣いてしまいました。これからたくさんの人に勧 めることになる作者だと思います。九井諒子以来の 長編が楽しみな作者が出来ました。 糖分が切れると猫になるという設定の必要性を感 漫画としては読みづらいし荒削り。だけど一枚のイ じない。恐ろしくモブ顔の主人公と金髪ロンゲナ ラストとしては魅力のある絵柄で、作者の描こうとし ルシィが学園を歓声と熱狂の渦に巻き込むコメ ている物も絵から読み取れる。もっとコマ割りや台 ディだと思いながら読んでたのに、全く求めてい 詞回しを勉強すればサイッコーな作品が出来ると なかったラブ要素を突っ込んで来るのはマジ勘弁。 思ったけど、Kindle化の際の書き下ろし部分ではそ 主人公の妄想癖設定が途中から無くなったり、ど の辺が結構上達していてかなり読めるものになって う考えても一目惚れ要素の無かった出会いなの いた。どんどん作品を発表して、次は物語の構成力 に一目惚れ云々言い出したり、迷走感が否めな を身につけて欲しい。商業に来てくれるのを待って い。選者の漫力の低さを痛感する1作。 いる。単行本を売りたい作家。 宇宙人との戦後を生きる女子高生たちの日常漫画。 浅野いにお作品を『のんのんびより』の隣で売る日 が来るとはなぁ。ゲーム脳でマッドな言動行動てん こ盛りのおんたんが大好き。浅野いにおを嫌ってる オタクども、これはお前らの大好きな漫画だから読 まないのは勿体無いぞ、クソみたいなプライドは犬 にでも食わせとけ。しかし女子高生の日常漫画も3 巻で一区切り、そして日常は動き出す。はにゃにゃ フワー！ 「○○絶賛」なんて帯は8割くらいは、あっそう。という 自薦 感じなんだけど、これは「萩尾望都絶賛」の帯に違わ ぬ短編集。ハートフルなファンタジーSFだなんて安い 言葉を使いたくないけどまさにその通りで、1作読み 終わると直ぐに次を読まず、暫く余韻に浸りたくなる。 これだけ物語の〆方が上手い作家は久しぶりにみ た。前作短編集よりも独創的な視点が増えて、今後 どういった作品を描くのかが本当に楽しみな作家の 一人。 作者の愛 スッキリし ついて考察 だったこと 最後の作 絵です。こ だったのか なパンツを りも流行る