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手術に役立つ頚椎3次元ーMRI/CT fusion Imaging 作成の試み

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手術に役立つ頚椎3次元ーMRI/CT fusion Imaging 作成の試み
 手術に役立つ頚椎3次元ーMRI/CT fusion Imaging 作成の試み
慈風会 白石病院
放射線部 ○加藤 修 森實 辰則
脊椎スポーツセンター 鴨川 淳二 羽藤 泰三
・Introduction
当院ではH21年、1,5TのMRIと、Workstationを導入
した。脊椎外科医より、CT、MRIをFusionさせた脊椎
領域の3D image作成の依頼があり、医師、機器メー
カー協力のもと、Fusion image作成に着手した。
Virtual Anatomy(仮想的解剖学)で、脊椎領域の新し
い診断方法である。
作成目的は、一般的には異なるmodalityを、Sideby-Sideで画像評価をし、白黒で2次元表示の画像
を、頭の中でイメージ、構築させているが、それを一
目で分かりやすく簡単に評価できるようにすることで
ある(図1)。 H24年6月、当院手術室改装に伴い、
脊椎領域の手術が開始され、手術時、特に固定術時
に3D fusion imageを活用するようになった。
る。当院では見えない部分を、Hidden imaging zoneと
名付けている(図3)。
C6
図1
・3D fusion imagingの作成は、腰部から始めた。
その取り組みは欧州のtextbook SCOLIOSISに取
り上げられた(図2)。
図2
図2
・Fusion imagingで評価したい部分は神経根が走っ
ている外側陥凹部である。外側陥凹部は臨床所見
が多く手術では重要となるがmyelo 3D 画像では評
価できない。評価したいのは、神経根、脊柱の変形、
すべり、側わん、回旋変形、Re-opeの評価などであ
図3
・使用機器
MRI:ECHELON Vega 1.5T(HITACHI)
CT:Asteion Super4 (TOSHIBA)
Workstaison:Shinapse Vincent(Fuji Film)
・MRI撮影シーケンス(3D,MPR,MIP用)
スポイルドグラジエントエコー(8分05秒)とSSFP系
(7分39秒)、2種類の撮影を行っている。頚部MRI検
査でルーチン化しており、検査時間はトータルで約30
分となっている。
シーケンス名 SSFP系
スポイルドグラジ
エントエコー
撮影時間
7分39秒
8分05秒
Slice Plane
COR 3D
COR 3D
FOV
250mm
267mm
TR
9.8ms
21.0ms
TE
4.9ms
9.9ms
FA
45°
10°
Thickness
1.6mm
1.6mm
Slice
45枚
45枚
Ricon Pitch
0.8mm
0.8mm
Ricon Slice
90枚
90枚
Receiver Coil CTL
CTL
Receiver Mode CTモード
CTモード
・MRI撮影による神経根画像
図4:MRI Myelo MIP像、SSFP系、T2強調画像。
主に脳脊髄液を見ているが、神経根の走行はよく分
からない。丸の部分に淡く走行が見られる。
図5:MRI MIP像、スポイルドグラジエントエコー、T1
強調画像。神経根は描出されているが、1断面での
評価はできず各断面を流しながらの評価となる。
図6:MRI 3D画像。2つの3Dデーターを合わせ抽出
作業を行い神経根を描出させた。任意の方向から
一目で神経根の形態的評価が可能である。
C5根
C7根
C6根
①CT,MRIの重ね合わせ
C
図4 図5(1,2)
図6
・Workstationでの3D fusion imaging作成方法(図7)
①CT、MRIのFusion、重ね合わせを行う。MRIデーター
とCTデーターをMPR像3方向から重ね合わせを行う。
②CTデーターより各椎体の分離、isolationを行う。脊
椎変形の高度な場合などは、分離の難しいケースも
ある。椎体分離のメリットは、関節面や脊柱管の中か
らというように、普通には見ることの出来ないアングル
から、立体的に評価が出来るというところである。
③MRIデーター(SSFP系)より、MPR像にて硬膜管の
抽出作業を行う。
④MRIデーター(スポイルドグラジエントエコー)より、
各神経根の抽出作業を行う。MPR像にて、各神経根
の走行にそった断面にし、CPR表示より、中心編集、
輪郭編集を行う。また脊椎変性が高度な場合など、
CPR表示から抽出が困難な場合は、MPR像から断
面を変えながら、手作業で抽出作業を行う。
⑤MRIデーターより、抽出した硬膜管と各神経根を
重ね合わせ、CTデーターより分離した椎体の重ね
合わせを行う。神経根の描出は、臨床所見の多い
C6,7根を最優先に、次にC5,8根を行っている。C1~
4根は基本描出していない。
⑥頚部神経根3D画像
(医師評価)
・椎体分離や半透明化が可能。
・神経根や骨の位置関係などが、簡単に評価可能。
・情報の共有が可能。
・術前に、手術イメージがつかめる。
・術中で簡単に評価可能。
・関節面の
評価。
・脊柱管の中
から評価
②椎体分離isolation
CPR
中心編集
③硬膜管抽出 ④神経根抽出
輪郭編集
⑤硬膜管+神経根 ⑥頚部3D画像
図7
・Case
70歳代 男性、仕事中3mの崖から左肩の方から滑
り落ち来院。主訴:左肩に放散痛、麻痺(-)
頚椎X-P正面:右側に斜傾(図8)
頚椎X-P斜位:C6,7左椎間関節間隙に離開(図9)
頚椎CT:C7右上関節突起骨折、C6,7左椎間関節
間隙に離開(図10)
C6
図8
図9 図10
MRI検査も行ったが脊髄損傷は見られなかった。
診断:頚椎第6,7脱臼骨折(Dislocation fracture of C6/7)
C6/7間で不安定化しており、C6/7 1椎間、後方固定
術となる。
作成した3D fusion image(図11)
3D化し、椎骨、脊髄、神経根、椎骨動脈などの形態的
評価を術前に行った。
離開
骨折
図13 右上関節突起骨折 図14 離開
3D fusion imageと術中写真(図15)
椎骨、神経根など、ほぼ同じ像となった。神経根の近
位にペディクルスクリューを打つため、神経根の評価
が重要となる。術前、術後に3D fusion imageで確認
出来ることで、手術の確実性、効率が上がる。
C6
C6
C7
C7
C6
C6
神経根
神経根
図15
術後像(図16)
第6,7頚椎の神経根にスクリューを入れ固定。C7,8
の神経根の障害を出さずに手術が遂行された。術後
も順調で術後1ヶ月で退院。現在通院にて経過観察
中。
図11
手術angle(背側)から観察することで、手術イメージ
を術前につかむことができた(図12)。
C6
C7
図16 X-P
図12 椎弓、神経、神経根 椎骨動脈
CT
結語
MRI,CTデーターを用い、頚部の3D Fusion imageを
作成した。
Workstationを活用すれば、手術に役立つ頚椎の神
経根の形態評価が可能である。
腰椎の神経根と異なり、頚椎では神経根が細く、走
行が複雑であるため、神経根の同定(MRI)が画像成
功の鍵となる。
頚部MRI画像は、腰部に比べ画質が不安定であり
撮影法、プロトコールの改良が今後も必要である。
中心編集
輪郭編集
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