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国家公務員制度改革の理念(案) (国家公務員に関する問題の所在) ① 国家
資料1−4 「公務員制度の総合的な改革に 関する懇談会」第3回資料より 国家公務員制度改革の理念(案) (国家公務員に関する問題の所在) ① 国家公務員は、時代の要請の中で、政治が示す方向性を具体化し、実 現していく役割を担っており、そのために必要な機能を備えた国家公務 員システムを構築していくことは極めて重要なことである。 ② 国家公務員は、戦後から高度成長期においては分掌・分業システムに より国民と国家の繁栄のため積極的な役割を果たしてきたが、その後 の社会的・経済的環境の変化を経たスピード重視のグローバル化した 世の中には迅速かつ的確に対応できていない。 ③ 一方で、職場としての魅力が低下しており、近年、国家公務員を志望す る学生が大幅に減少するとともに、比較的若い年齢層の離職が増加す るなど、人材の公務員離れが進んでいる。このような状況を放置するこ とは、公務の担い手である国家公務員の質の低下、ひいては行政機構 の機能が一層低下するおそれも懸念されるところである。 ④ これらの原因としては様々なことがあげられるが、まず、国家公務員の 世界が外部に対し閉鎖的な共同体的状態に置かれているため、省益優 先・組織維持に傾き、人事選抜は共同体内での評判に偏ったものとなり、 また、職員の任免や業務の評価に関する責任の所在も不明確になって いる。さらに、各府省の枠内でのいわゆるジェネラリストに偏重した画一 的な内部育成により人材の多様性を欠いている。このため、現在の国家 公務員制度では、府省を跨る問題を解決する機能が不足するとともに、 過去の成功体験に依存する結果、限られた経験内での先例主義にとら われるといった問題もある。 (改革の方向性) ⑤ 今回の国家公務員制度改革は、このような問題を解決しつつ、国民の 生活をより活気のあるものとし、ひいては我が国の国際競争力を向上さ せるため、国益と国民本位の効率的な行政を実現し得る明治維新的大 改革を図るものである。 ⑥ 具体的には、国家公務員制度の面で、外部に対して閉鎖的な共同体的 状態を排し、年功序列と仲間内評価による人事を止め、能力・実績主義 の徹底による客観的な評価に基づく適切な競争などにより、新たな時代 における多様な行政需要に対して適切かつ迅速に対応し、公務以外の 面でも国際的に通用し得る人材を揃え、現在の社会にふさわしい組織を 実現する。 ⑦ また、国家公務員の多様な活動や政と官のあるべき在り方を踏まえつ つ、幹部の早期選抜・育成はもとより、多様な経験を有する人材の中か ら、国家公務員に求められる役割に対応する人材の効率的・効果的な 育成・確保を行う。そのような公務員のグループとしては、例えば、ⅰ) 個別分野における政策の企画立案・実施の部隊を適切に編成するマネ ジメント能力を有する職員、ⅱ)スペシャリストとして特定の専門分野に おける経験や知識を有し、ライン職員を支援する専門スタッフ、ⅲ)閣僚 の高度な戦略策定を支える「国家戦略スタッフ(仮称)」(官邸スタッフ、大 臣スタッフ)、ⅳ)法令で定められた行政事務を確実かつ迅速に自らの 業務を遂行する職員、などがありうる。 (参考)⑥・⑦に関連する検討項目案 ○採用、採用試験のあり方 ○公募制の導入 ○能力・実績主義の徹底 ○採用試験区分に代わる幹部候補育成の仕組み ○幹部公務員の人事管理のあり方 ○専門スタッフ職や「国家戦略スタッフ(仮称)」のあり方 ○国際機関の幹部候補者の育成 ○公務員の能力向上方策(自主的能力開発支援など) ⑧ 国家公務員の終身雇用的囲い込み概念を廃止し、民間や学界との人事 の垣根を排除した開放的な国家公務員制度とする。そのため、官民交 流のスキームや公募などを活用しつつ、公務の経験と知識を持つ者が 民間に、民間人としての経験と感覚を持つ者が公務に加わり、官・学・民 の深い理解に基づいた行政を展開できる国家公務員制度を確立する。 (参考)関連する検討項目案 ○官民交流の抜本的拡大 ○公募制の導入[再掲] ○公務員の能力向上方策[再掲] ⑨ 以上のような人事管理を的確に実施するため、ワーク・ライフ・バランス の実現、働き方に応じた処遇等、我が国全体の労働市場の状況を踏ま えた優秀な人材の確保・育成策を講ずるほか、我が国全体の雇用シス テムの変化に対応した公務員における労使関係や国家公務員の人事 管理体制を適切に整備する。また、少子・高齢化社会に対応し、国家公 務員の退職のあり方を見直す。 (参考)関連する検討項目案 ○有為な人材を公務に確保するための方策(働きに応じた処遇、ワー ク・ライフ・バランスの実現など) ○労働基本権の見直し(専門調査会の結論を聴取した上で検討) ○人事管理体制のあり方 ○定年延長(高齢期の処遇・活用を含む) ○公務員の能力向上方策[再掲] (21世紀にふさわしい国家公務員) ⑩ 以上の新たな国家公務員制度の下では、国家公務員が、国益を追求す る高い気概と使命感、責任感、国家公務員としての職業倫理を持ち、か つ、社会で役立つ知性と技能を磨くことが出来る仕組みを確立するとと もに、国家公務員が誇りを持って働き、世の中でその職業倫理と能力の 故に高く評価されるような21世紀にふさわしい国家公務員制度とする。 ⑪ また、これらの改革を通じて、公務員を特別なものとして捉えるのではな く、「官の人」、「民の人」といった官民の区別を意識しなくなるような環境 が実現されることが期待される。