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陽極酸化法による MIS 形 Si 太陽電池の試作
Title Author(s) Citation Issue Date 陽極酸化法によるMIS形Si太陽電池の試作 南條, 淳二; 山本, 秀和; 長谷川, 英機 北海道大學工學部研究報告 = Bulletin of the Faculty of Engineering, Hokkaido University, 105: 65-73 1981-07-31 DOI Doc URL http://hdl.handle.net/2115/41692 Right Type bulletin (article) Additional Information File Information 105_65-74.pdf Instructions for use Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP 北海道大学工学部研究報告 Bulletin of the Faculty of Engineering, 第105号 (昭禾「156年) Hol〈kaido University, No. 105 (1981) 陽極酸化法によるMIS形Si太陽電池の試作 南條淳二*山本秀和**長谷川英ec** (昭和56年3月31β受理) Si MIS Solar Cells by AnodizatioR JuRji NANJo Hidekazu YAMAMoTo Hideki 1−IAsEGAwA (Received March 31, 1981) Abstract The formation of thin insulating layers by anodic oxidation was investigated in the present paper as an alternative way of fabricating low−cost silicon MIS solar cells. Anodization was performed both in constant voltage mode and in constant current mode, using a ethylene glycol solutio簸of KNO3. The film thickness was care魚lly determined by aR ellipsometer at the wavelength of 6328 A. Evaluation of MIS cell perforrnance was made by compariRg the open circuit cell vol£age Vo, and the short一 一circuit current density lsc under illumination with a tungsten lamp and those of the bare Sehottky cells (without anodization). It was found that anodization in either mede can increase Voc without reduction of Isc, but that anodization in the constatnt voltage mode is more controllable and rnore reproducible than that in the constant current mode. A maximum of Voc of e.52 V as compared with that of e.37 V of the Schottky cell was achieved at the empirical optimum formation voltage of O.5 V in the constant voltage mode. A brief discussion on the mechanism of Voc increase is also made. 1。緒 言 石油資源の枯渇によりエネルギー危機が警告され,現在,世界的な規模で新エネルギーの開発 が行なわれている。その中で太wa Xネルギーは無公害,無尽蔵の代表的なXネルギー源であり, これを利用した光Xネルギーを直接電気エネルギーに変換できる太陽光発電は,クリーンエネル ギー体系の一つとして大きな注目を集めている。この太陽光発電の唯一の実用化例は,単結晶シ リ=ンを主とした太陽電池であるが,残念ながら発電コストが高い。したがって,現在の太陽電 池研究の主力は多結晶シリコンやアモルファスシリコンなどの低価格材料を用い低プロセスコス トで高効率電池を作製することによって抜本的に発電コストを低減することにある。最も基本的 なρ一π接合形太陽電池はその製造工程が複雑で=ストも必然的に高くつく。このため,低コスト *窒蘭二]1二業大学電子工学科,昭和55年5月1日より昭和56年2用28日まで文部省内地研究員として電1tc .1:lll:学 禾斗馨竃気物{生二工学講座に辮苔ギ薮 ** d気工学科 電気物性::1二学講座 66 2 南條淳こ・山本秀和・長谷川英機 表1 M至S構造の製作法 Semiconductor si tl Time Method hot HNO, 一v Wmin boilingH20 10−percent HF in H20 〈Imin 11 SiO2 in 40−percent HF 1.5−2min rk 11 anodi乞a亡iG韮 1! evaporation of SiO 5−70h 5−60min 15−30min !1 150“C in air tl 4ee“C in air tt 620“C in air IX 420”C jn dry exygen ユOmin !f 420“C in wet oxygen rf 514“C in oxygen 5−40min 12min ll 450’C in wet nitrogen t! 450eC in N2/02 // 480−500“C in N2/02 15−30min P0min R0mjn t! 700−900“C in steam 〈5min GaAs evaporation of Sb203 一一 一一・ lo−2es 11 0xygen plasma 11 anodization in buffered 3−percent H3PO4 f! anodization in acetone/KMnO4 〈lmin tl 120eC in ozone 20min tl 250C in H20/02 ll 105“C in air 50−100h 7eh 一一 P0min 化の具体的な方策の1つとして,ショットキー障壁形太陽電池の作製が試みられている。これは, 半導体表面に金属を蒸着するだけの簡単な製造法であるが,障壁電位がP−n接合に比較して低い ために開放電圧が小さくi)効率がP−n接合形に比して低くなる。そこで,これを改善させるため に,シ・ットキー障壁形太陽電池の金属と半導体との闘に薄い絶縁層を挿入することにより短絡 光電流を変えることなく開放電圧を増加させるMIS(Metal−lnsulator−Semiconductor)形構 造の太陽電池が近年数多く研究されている2>。 MIS形構造に於ける絶縁層の作製法には,表一13)に示す様に,(1)酸素や窒素ガス,又はこれら の混合ガス気流中で行なわれる熱酸化法 (2)数百度で長時間,空気中で加熱する方法 (3)硝酸等 を用いた化学的方法 (4)蒸着などのデポジッシ・ン法等があげられる。 本研究は,これまでほとんど試みられていない陽極酸化法で薄膜絶縁層を形成し,MIS形太陽 電池の作製を試みたものである。陽極酸化法は,非常に簡単な装置で電気的に正確に膜厚を制御 でき,しかも,低温で短時間に作製でき経済的であるところに大きな特徴がある。また,本研究 は陽極酸化の効果を基礎的に調べるため単結晶材料を対象として行なわれたが,多結晶やアモル ファス材料に陽極酸化を行なう場合には,厚い不働態膜で結晶粒界等の材料欠陥を不活性化する ことも行ない得る可能性がある。 硝酸カリウムのグリ=一ル溶液を電解液とする陽極酸化法を用いてMIS形太陽電池を試作した 結果,シ・ットキー障壁形太陽電池に於ける短絡光電流を変えることなく開放電圧を増加させる ことが出来,効率の改善が行なわれ陽極酸化法が有効であることが判明したので,ここに報告す る次第である。 2.実 験 方 法 用いた試料はp形シリコン単結晶の(111)面で比抵抗は約14Ω一cm,キャリア密度は約10iscm’3 3 陽極酸化法によるMIS形Si太陽電池の試作 67 である。比抵抗は四探針法で測定し,キャリア密度は1rvi留のグラフより推定した。試料の裏面 はカーボランダムで研摩した後アルミニウムをIS 2000A蒸着し,520。C,15分間ア=一リングを 施してオーム性接触を得た。一方,酸化すべき材料表面は粒度1μmのアルミナで振動形研摩した 後,硝酸,フッ酸,酢酸の混合溶液で化学研摩して鏡面仕上げした。 陽極酸化に先立ち,酸化する面に形成されている自然酸化物はフッ酸処理して除去した。陽樋 酸化は定電流法と初期電流を直列抵抗で制限する定電圧法で行なった。陽極酸化には,Xチレン グリ:一ルに硝酸カリウム0.04mo1〃加えたものを電解液とした。図一1に陽極酸化セル模式図 を示す。シリコン試料はピセイソでテフ1=ソ製のホルダに固定した後,試料の縁端部分をもピセ インで注意深く蔽い縁端部が薩接電解液にふれるのを防止した。電流はテフロンホルダの孔を通 して裳面から供給した。陽極酸化膜の評価には,エリプソメータ(溝尻光学DV−36)を用い,膜 厚と屈折率を決定した。陽極酸化の後,障壁金属としてアルミニウムを真空蒸着した。これは光 を透過させる都合上,薄ければ薄い程好ましいが,反面薄すぎると光を取り出すときの直列抵抗 分となり,太陽電池の出力低下をもたらすため,ある程度の厚さが必要である。結果としてStirn ら2}の報告に従って約30Ω/sq。の面抵抗を与える膜厚になるよう制御した。その後,引き続き, 厚さ2000Aのアルミニウムを蒸着し集電極を形成した。 太陽電池の電気的特性を評価するため,開放電圧V。。,短絡電流為。,負荷に取り出し得る最大 電力と開放電圧と短絡光電流の積の比とし定義される繭線困子EE(fill factor),理想ダイオー ドからのずれを示す理想因子nおよび障壁の高さφBを測定した。光照流下での特性の評価には, タングステンランプの平行光線を用い,その照度は60,0001xとした。 十 reference etectrode が,i。g(覧㈲ P{ cathode 絶戸on holder Si aiTiode coEimated. tight sourcct to vacuum pump tight−tight”box etectrotyte fnagnetic stirrer 図一1陽極酸化一ILrルの摸式図 3.実験結果および考察 3.1 定電流酸化法によるMIS形太陽電池 図一2に定電流酸化を行なった場合のセル電圧の時間変化を電流密度の種々の値について示した。 セル電鷹は最初の立上りの後,短かい間の平坦部を経て,次に時潮に対して直線的に変化する部 分に移行していき,かつ,直線部分の傾きは,電流密度が大きいほど急峻になっている。このセ ル電圧の増加率を電流密度に対してプロットすると,図一3のようになった。これからわかるよう に電圧増加率は電流密度に比例している。次に,エリプソメーータにより電流密度0。5mA/cm2で定 電流酸化する場合の酸化膜厚と最終セル電圧(便宜上,以下では化成電圧Vfとよぶ)との関係を 調べた結果en 一4のようになった。これらの結果は,酸化の過程が,ほぼ次式に従うことを示し 68 4 南條淳二・山本秀和・長谷)II英機 」=i・ompvlcrK a7s 20 Q625 0s a3rs :. 8 蚤 9 O.25 . 1o 団 。 O.125 o 30 60 90 ANODヨZA丁10N 了1 ME(sec) 図一2 定電流酸化におけるセル電圧の時闘変化 1げ 140 p−Si 120 p一一si o j =O,5 mA/cm2 き ’z の}OO 豊 t(} 隻80 薯 S,g A/v ¥ o 奮 o o 無 墓60 9 6 40 20 藝 o 邑 図一4 奮 10 20 30 FORMATION VOLTAGE (V) 酸化膜厚と化成電圧の関係(定電流法) 蓄 航二_____L一一L一__ ldi 1げ CURREトごr◎ENS韮TY(mA’cr霧) 図一3 定電流酸化におけ』るセル電圧上昇 率と電流密度の関係 ている。 V=AEoxfa (tww td) 十 Vr−F rbfa ここに (1) x= A/a (t nt td) 十Xo (2) dV/dx=Eox (3> V :セル電日三 :膜 厚 :電流密度 Eox :酸化膜中の電界強度 :化成率(単位陽極面積に単位電荷を通すとき形成される膜厚) t :時 間 5 陽極酸化法によるM正S形Si太陽電池の試作 69 td :遅れ時間 Yr:平衡電位 rb :単位陽極面積あたりの電解液の抵抗 x。 :初期模厚 式(3)よりE。xの逆数は単位電圧あたりの膜厚増加率を与えるが,これは図一4に示したようにfa= 0.5mA/cm2で3.9A/Vとなった。この値は, Schmidtら5)がNメチルアセ5アミドを電解液と してSiを酸化したときの値とほぼ等しい。 定電流法で製作したMIS形太陽電池の光照射下での特性の代表的例の3例を図一5に示した。 図中にSchottkyとして示したのは,化学研摩の後,フッ酸で表面処理したのち陽極酸化を行なわ ずに作成した太陽電池の特{生である。陽極酸化はすべて電流密度0.5mA/cm2で行なった。実験 結果によると,図のVf=・3.3Vの場合のように短絡電流密度み。を減らすことなくSchottky形よ り開放電圧V。。の増加する良好な場合もあったが,V.= 2.8Vの例のようにF. Eの劣下するも のや,Vf=3.9Vのように異常な特性を示す場合もあり,全体に再現性にとぼしいことが判明し た。この原園としては,酸化膜形成に有効に使われる電圧(Vf一 Vr一 rh71a)を制御することが, 種々パラメーータの変動のため困難であるので,同じ条件でも,最終膜厚がぼらつくことが考えら れる。有効電圧を正確に知るためには,ゐをかなり大きくとる必要があり,するとうすい膜を形成 しようとすると膜ぱ数秒で化成されるため,電圧は制御しにくく,また,膜自体も緻密でなくな ることも予想される。そこで,次に定電圧法を検討した。 ぐ∈ り 、 く E ) 一 0 一1.0 −0.8 一〇.6 一〇4 一Q2 Q2 Q6 α8 玉0 V(VOlts) 10 Schottky V催3.3V 0 2.8V 3.9V 30 図一5 定電流法によるMIS形の太陽電池の特性 3.2 定電圧酸化法によるMIS形太陽電池 図一6は定電圧法に於ける陽極酸化蒔間対電流密度の関係を示したものである。回路は直流可変 電圧源に初期電流密度ゐを制限する直列抵抗Rsを入れた簡単な圓路である。電流密度は急激に減 少し,以後徐々に酸化が進行している。この場合の電流密度ノおよび酸化膜厚κの時間変化はほ ぼ次式に従うと期待される。 ゐ漏(ノ}一1,)exp(一t/τf)÷fd (4) x=Jtbo (1−exp(一t/Tf)) (5) 7e 6 南條淳ニニ・山本秀和・長:谷J9英機 p−si 塗2 野 馳 :三 }書 2 器 髪 毘 鋸 u o 董 2 3 4 ANOBIZA了ION TIME{min.) 図一6 定電圧法による電流密度の時間変化 60 p−Si tw ji ..1.5 x 1 O”2mAlcm2 e21’50 済 di o tw の 睾40 6 バ 葎30 20AfV tw 国 9 o raethanot 0×20tutwater O’@一hEI.12 o.4 o.6 Qs 10 FORMA丁10N VOLTAGE(V) 図一7 酸化膜厚と化成電圧の関係(定電圧法) 為畦(Va−Vr)(1一窒) ここに (6) ゐ:初期電流密度 fd:膜の溶解に対応する最終電流密度 tS:最終膜厚 Tf = (rs 一t一 rb)/Eo.A 7。== 1∼。5(s:陽極面積) 次にエリプソメータで酸化膜厚を調べたところ,;図一7の結果を得た。図一7では,化学研摩して からフッ酸で自然酸化膜を除去した後,脱イオン水で洗浄した場合(醗)とメタノールで洗浄し た場合(○)とを比較してある。これからわかるように,メタノール処理の場合の方が,化成電 圧と膜厚の直線性が良好であることがわかる。これに対して,脱イオン水処理では,酸化前から かなりの厚さの膜が存在し,化成とともにそれが減少したのち,再び増加していくことがわかる。 これは,脱イオン水処理により,水酸化物または,脆弱な酸化物が形成されており,それが化成 7 71 陽極酸化法によるMIS形Si太陽電池の試作 により陽極溶解または変質し,正常な膜の成長に移行していくことを示唆している。いずれの場 合も,島♂は,10−20 A/Vとなっており,これは,定電流化成の場合よりもかなり大きい値と なっている。この理由として最終電流密度が10’‘mA/cm2程度またはそれ以下の値となっており, 定電流化成の場合に比較して,非常に小さいため,島κが低下していることが考えられる。Xリプ ソメータによる酸化膜の屈折率は約1.5でF.F. Duffekら6>の約1.47よりも大きい。以上の結果 から著老らの得た定電圧酸化膜は,酸化がゆっくりと進行し緻密な膜が形成されていると考えら れ,また膜厚の再現性,制御性も定電流法の場合に比較して非常に良好である。 に,定電圧法によるMIS形太陽電池の特性を図一8に示した。図には単結晶の場合の他,多 シリ=ンに関する予備的実験例も示してある。いずれの場合もSchottky形と比較して,短絡 密度fscを同程度に保ちながら,開放電圧Yocの増加が得られている。ことに,単結晶太陽電 場合,それがいちじるしく,陽極酸化法が効率改善に非常に有周であることがわかる。mp 一9に }Eイオン水処理の場合の化成電圧巧と開放電圧V。,の関係を示した。Vf=0.5V近傍に最適 FORWARD VOL了AGE (V) A 8 二 0 言 02 α6 α4 1 蓬 10 Poしy o島 董 弩 Schot鰍y Slng竃e l…s o含 Scho疑ky Q0 ll$ 四一8 定電圧法によるMIS形太陽電池の特性 A> p一一 si 一 G6 MOS CELL タ o 謬Q5 oo 琶 9 o.4 5 o o o o 星α3 器 。.2 8 o.i o o.2 o.4 o.6 as 1.o FORMATION VOLTAGE Vf 〈V) 図一9 化成電ぼと騰放電圧の関係 72 南條淳二・山本秀和・長谷川英機 値があるが,これは図一7に於ける層厚最小点付近に対応するのは興味深い。 また,図一8において,単結晶MIS形太陽電池の曲線因子F. F.を:求めると0.513となり,ショッ トキー障壁形の値0.537に対してO.024小さい。これはMIS形太陽電池の直列抵抗または理想因 子nの増大に起因していると考えられる。W, A. Anderson’)によれぽ,5Ωの直列抵抗は,ショッ トキー太陽電池では理論曲線園子を0.67から0,42に減少させると報告している。また,MIS形 にすることによってη値が増大する機構としては,Yamamotoら8)が提唱している表面フェルミ 準位のピンニングの酸化による緩和が考えられる。 図一10ぱシ・ットキー障壁形太陽電池とMIS形太陽電池の暗中に於ける順方向lnl 一V特性を 示したものである。この図に於いて理想因:i nは 巻諾 (・) また,障壁の高さφBは 伽÷・(A* T2) (・) で表わされる。ここで,q:電子電荷, k:ボルツマン定数, T:絶対温度, A*:リチャードソン 定数ノ』:飽和電流密度である。同図に於いて,シ・ットキー障壁形太陽電池ではn・=1.17,φB= 葉6 1“, pti r / t af tl 戸 t 轟戸 蓉, 〆ノ1 lii A 薫 A 姦 ll 2 d) 岩 〆葺 single 妄1げ f〈’ si1 A Schottky 田 o M!S poly { 属 砦 り { A Schottky e M!S 尽り 1び q av n=闇_一_ 拶 ?,,s k丁∂(lnI) 碍・㈱ 6 100 200 300 400 500 600 700 FORWARD VOLTAGE V(mV) 図一10MISおよびSchottky形太陽電池の暗中 での電流電圧特性 8 9 73 腸極酸化法によるMIS形Si太陽電池の試作 0.735eV,一方, MIS形太陽電池ではn・・1.95, diB =O.85 eVが得られ, MIS形太陽電池の方が 両者とも大きな値を得た。またMIS形太陽電池では低い順バイアスのところで電流値が直線性か らずれて過剰な値を示しているが,これに対して,H. Matsunamiら9}はシリコン表面に生じた反 転層により,伝導帯から金属へ向って流れる電子電流が関与していると報告している。 次に,開放電圧V。。は 賑誠旱1・(fscA* T2)+争 (・) で表わされる。これから,MIS形太陽電池の開放電圧が増大したのは,ショットキー障壁形太陽 電池よりも理想因子と障壁の高さが増加したことに起因している。表一2に,今回得られた太陽電 池の諸パラメータをまとめて示した。 4.結 論 シリコンMIS形太陽電池の絶縁層をエチレングリ=一ルを電解液として定電流法と定電圧法で 陽極酸化して得た。酸化膜の評価をエリプソメトリー法とMIS形太陽電池の性能比較とにより行 なった結果次のことが明らかとなった。(!)定電圧酸化法により屈折率約L5の緻密な膜が制御 1生再現性よく形成できる。(2)この酸化膜を用いたMIS形太陽電池の障壁の高さおよび理想困 子は,ショットキー障壁形太陽電池のものより大きく,その結果短絡光電流を変えることなく開 放電圧を増大させることができ効率改善に非常に有用である。 なお,本研究では単結晶を主として対象としたが,今後は多結晶,アモルファス材料の検討を も行なう予定である。 本研究の一部は,文部省科学研究費「エネルギー特別研究」の補助のもとに行なわれた。 表2 太陽電池パラメータのまとめ c−Si poly・ ri %c Isc iV) imA/cm2) Schottky 0.35 22.5 0.54 lls O.52 Q1.5 O.51 P.95 O.85 Schottky 0.32 10.1 0.50 1.5−2.0 0.72 O.34 W.2 O.48 P.6−2.0 O.74 lIS F.F. η φβ ieV) 1.17 1ight source : collimated W−lamp 6.0×10“.lx 参 考 文 献 1) 高橋清他,「太陽光発電」,森北出版 2) 例えば,R.」. Stirn et a1, Appl. Phys。 Lett.,27,2,15,(1975) 3) David L Pulfrey, IEEE Trans., ED−25, 11, (1978) 4) S. M. Sze, rPhysics of Semiconductor devicesj,p. 43 5) P. F. Schmidt et al, J. Electrochem. Soc., le4, 4, (1957) 6) E. F. Duffek et al Electrochemical Technology 3, 3−4, (1965) 7)Wayne A. Anderson et a1, PrQc. of the肥EE, January,(1975) 8) H. Yamamoto et al, J. 」. A. P., 20, Suppl. 20−2, 87, (1981) 9) H. Matsunami et al, J. J. A. P., 19, Suppl. 19−2, 27, (1980) 0.74