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農業機械をめぐる情勢(PDF:7846KB)
資料1
農業機械をめぐる情勢
平成27年5月14日
生産局 農産部 技術普及課 生産資材対策室
目次
1 我が国農業をめぐる情勢
2 農業機械をめぐる情勢
3 農業機械化に係る今後の施策の展開方向について
4 農業機械等緊急開発事業(緊プロ事業)の概要
1 我が国農業をめぐる情勢
(1) 担い手の高齢化と経営規模の推移
○ 現在、我が国の基幹的農業従事者は、65歳以上が6割、 40代以下が1割(40歳未満は5%)と著しくアンバランス
な状況。
○ 酪農・畜産部門と比較すると、水稲を中心に規模拡大の進展が遅れており、引き続き、担い手への農地集積等
を通じた農業経営の体質強化を図っていく必要。
○基幹的農業従事者の年齢構成(平成26年)
基幹的農業従事者
合計数168万人
(万人)
90
80
○農家一戸当たりの平均経営規模(経営部門別)の推移
65歳以上
106万人
(63%)
60
経
営(
部全
門国
別)
50
40歳未満
8万人(5%)
40
30
20
10
0
0.1万人
(0.03%)
~ 19
2.3万人
(1.4%)
北海道
都府県
50歳未満
16.9万人
(10%)
70
全国
経営耕地
(ha)
5.9万人
(3.5%)
8.6万人
(5.1%)
79.1万人
51.0万人
20.9万人 (30.4%) (47.1%)
(12.5%)
20 ~ 29 30 ~ 39 40 ~ 49 50 ~ 59 60 ~ 69
70 ~
資料:農業構造動態調査(組替集計)
(用語の解説)
水稲(a)
乳用牛(頭)
養豚(頭)
採卵鶏(羽)
昭和40
平成22
比率
0.91
4.09
0.79
57.5
3.4
5.7
27
1.96
21.48
1.42
105.1
67.8
1436.7
44,987
2.2
5.3
1.8
1.8
19.9
252.1
1666.2
資料:農林水産省「農林業センサス」,「畜産統計」,「家畜の飼養動
向」,「畜産物流通統計」
注1:水稲の昭和40年は水稲を収穫した農家または販売農家の数値
であり、22年は販売目的で水稲を作付けした販売農家の数値。
(販売農家:経営耕地面積30a以上又は農産物販売金額50万円以
上の農家)
注2:採卵鶏の平成22年は成鶏めす羽数「1000羽未満」の飼養者を除く。
注3:比率は、平成22年の昭和40年に対する比率。
基幹的農業従事者:自営農業に主として従事した15歳以上の世帯員
(農業就業人口)のうち、普段の主な状態が「主に仕事(農業)」
である者で、主に家事や育児を行う主婦や学生等を含まない。
1
(2) 経営の大規模化・法人化の推移
○ 経営体に着目すると、土地利用型農業においても20ha以上の経営体が耕作する面積の割合が20年前と比較し
て2倍となり、また、100haを超える経営体も多数存在するなど、担い手への農地集積は進展。
○ こうした中、平成26年における法人経営体数は15,300法人となるなど、法人化は着実に進展。
○ 土地利用型農業における20ha以上の経営体が
耕作する面積の割合の推移
○ 法人経営体数の推移
(単位:法人)
18,000
15,300
16,000
14,000
12,511
12,000
10,000
8,700
8,000
6,000
4,986
5,272
4,000
2,000
0
平.7
資料:農林水産省「農林業センサス」、「耕地及び作付面積統計」に基づく試算
注:1)土地利用型農業の耕地面積合計は、「耕地及び作付面積統計」の全耕地面積から、
樹園地面積、田で野菜を作付けている面積、畑で野菜等を作付けている延べ面積を
除いた数値 。
2)平成2(1990)年、平成12(2000)年は販売農家と販売目的の農家以外の農業事業
体を合わせた数値。平成22(2010)年は農業経営体の数値。
3)「20ha以上の経営体が耕作する面積」は、「農林業センサス」の20ha以上の経営体
による経営耕地面積。
4)「20ha未満の経営体が耕作する面積」は、土地利用型農業の耕地面積合計から
「20ha以上の経営体が耕作する面積」を差し引いた数値。
12
17
22
26
資料:農林水産省「農林業センサス」、「農業構造動態調査」により
作成
注:1)法人経営は、農家以外の農業事業体のうち販売目的のもので
会社のほか、農事組合法人、農協、特例民法法人等を含む。
2)平成7年・12年・17年・22年は全数調査、26年はサンプル調査で
牧草地経営体を含む。
2
(3) 雇用労働力の推移
○ 農業経営体数の総数は減少傾向にある中、常雇い・臨時雇い等を雇用する経営体数が占める割合は増加。
○ 雇用者の実人数では、常雇い・臨時雇いともに増加傾向にあり、経営規模の拡大や栽培品目数の増加、6次産
業化などに対応して、家族では賄いきれない部分の労働力を確保している状況。
○ 農業経営体数及び雇用者を雇い入れた
経営体数の推移
○ 農業経営体の雇用者数(常雇い、臨時雇い)の推移
(単位:千経営体)
2,500
3,500.0
2,009
2,929.8
3,000.0
2,000
1,679
1,618
1,564
1,514
2,500.0
1,471
1,500
2,962.0
3,044.1
2,688.3
2,281.2
2,176.3
2,000.0
1,500.0
1,000
500
(単位:千人(実人数))
496
443
467
458
441
429
1,000.0
500.0
0
129.1
153.6
177.5
190.3
196.7
195.2
0.0
H17
H22
農業経営体
H23
H24
H25
雇用者を雇い入れた経営体
資料:H17、H22は農林水産省「農林業センサス」、
その他は「農業構造動態調査」
H26
H17
H22
H23
常雇い
H24
H25
H26
臨時雇い
資料:H17、H22は農林水産省「農林業センサス」、
その他は「農業構造動態調査」
3
(4) 農作業死亡事故の発生状況
○ 農業就業人口が減少する中で、農作業死亡事故件数は、毎年約400件でこれまで横ばいで推移。
○ 依然として高齢農業者における死亡事故が多く、農業機械作業に係る事故が全体の7割程度と
高い水準にあるといった問題。
農作業死亡事故の内訳(平成25年)
農作業死亡事故の発生状況
450
400
413
事 300
故
件
数 250
(
件
) 200
391
397
0
0
0
0
71.9
350
395
116
374
0
0
97
86
111
408
84
297
298
286
366
350
77
0
85
321
296
50
90
77.7 80
0
1
72
77
278
281
272
150
100
350
0
78
324
305
398
農業機械作業に係る
事故
228件(65.1%)
機械・施設以外の作業に係
る事故
110件(31.4%)
熱中症
24件(6.9%)
70
高
齢
60 者
比
率
50 (
%
)
ほ場、道路からの転落
23件(6.6%)
稲ワラ焼却中等の火傷
22件(6.3%)
乗用型トラクター
111件(31.7%)
366
その他
41件(11.7%)
40
350件
34.3 30
18.4
その他
37件(10.6%)
20
(76)
(80)
(93)
(94)
(134) (121)
(106) (121)
(138)
H16
H17
H18
H19
H20
H24
(120)
0
10
農業用施設作
業に係る事故
12件(3.4%)
歩行型トラクター
21件(6.0%)
農用運搬車
33件(9.4%)
0
H21
H22
H23
H25
65歳以上
65歳未満
不明
計
65歳以上の割合
80歳以上の割合
動力刈払機
5件(1.4%)
動力防除機
10件(2.9%)
自脱コンバイン
11件(3.1%)
( )内:死亡事故全体に占める割合
4
(5) 労働時間(水稲作)の現状
○ 水稲作の労働時間は、特に耕起整地、田植、刈取脱穀等の作業については機械化が進んだことから大幅に減少。
○ 一方、管理作業等については、これらの作業ほど労働時間の縮減が進んでおらず、農業者から管理作業の効率化
に資する農業機械の開発の要請が強い。
○ 水稲作10a当たり直接労働時間の推移(全国平均)
(単位:時間/10a)
(時間/10a)
昭45
50
55
昭和45年
平2
5
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
育
平成25年
削減率
苗
7.4
3.1
▲56%
耕起整地
耕起整地
11.4
3.4
▲70%
田植
田
植
23.2
3.3
▲86%
除草
除
草
13.0
1.3
▲90%
管理
管理(※ )
10.8
6.3
▲42%
刈取脱穀
刈取脱穀
35.5
3.2
▲91%
その他
そ の 他
16.5
3.6
▲78%
※畦畔の草刈り、灌漑等の作業
0.0
20.0
40.0
60.0
80.0
100.0
120.0
資料:農林水産省「米生産費統計」から作成
5
(参考) 園芸分野における労働時間と省力化に向け開発された農業機械の例
○ 園芸分野においては、稲作労働時間の25時間/10aと比較して労働時間が長く、特に収穫、調製、出荷の割合
が高くなっており、今後これらの機械化による省力化が必要。
白ねぎ
336時間/10a
その他
34%
ねぎ収穫機
収穫 16%
どの畝からでも自由に収穫でき、収穫・結
束・搬出作業を高能率で実施。能率は約
1.2a/時(1名作業)で、慣行作業(手作
業)の約3倍。
調製 33%
出荷 17%
イチゴ収穫ロボット
いちご
2,092時間/10a
収穫 23%
その他
50%
調製 1%
画像処理で収穫適期の果実のみを摘み
取るロボット。能率は約350株/時で、夜
間も収穫可能。
出荷 26%
たまねぎ
たまねぎ調製装置
139時間/10a
収穫 19%
その他
47%
調製 14%
たまねぎの球以外の部分の自動調製装
置。2名1組で作業を行い、能率は約3,500
個/時で、慣行作業(手作業)の約2倍。
出荷 20%
資料:農林水産省「農業経営統計調査品目別経営統計」(平成19年産)
6
(6) 生産コストの現状
① 米の生産費における農機具費(60kg当たり)(作付規模別)
○ 25年産米の60kg当たり全算入生産費のうち、主要3資材費(農機具費、肥料費、農業薬剤費)の占める割合は
約3割、そのうち、農機具費が約2割、肥料費が約1割、農業薬剤費が約1割。
○ 全算入生産費のうち、労働費は、作付規模の拡大に伴い、農業機械の導入が進み、労働時間が短縮されるた
め、減少。 その一方、農機具費は、作付規模の拡大に伴い、1経営体当たりの所有台数が増加することから、全
算入生産費に占める農機具費の割合は一定。
○ 作付規模別の生産費(平成25年産・全国平均・60kg当たり)【抜粋】
0.5ha未満 0.5~1.0ha 1.0~2.0ha 2.0~3.0ha 3.0~5.0ha
全算入生産費
物財費
24,905
20,053
16,444
14,205
13,531
(単位:円/60kg)
5.0~7.0ha 7.0~10.0ha 10.0~15.0ha
12,228
11,963
11,571
15.0ha
以上
11,424
15,012 (100) 11,823 (79) 9,831 (65) 7,983 (53) 8,009 (53) 6,906 (46) 7,114 (47) 6,748 (45) 7,038 (47)
農機具費 4,593 (100) 3,081 (67) 3,064 (67) 2,293 (50) 2,527 (55) 2,040 (44) 2,168 (47) 1,973 (43) 2,366 (52)
[
肥料費
[
15%]
[ 19%]
[
16%]
[
19%]
1,350 (100) 1,257 (93) 1,107 (82) 1,009 (75) 1,004 (74)
[
農薬費
18%]
5% ]
[
1,008 (100) 938
[
4% ]
6%]
[
(93) 898
[
5%]
7% ]
(89)
[
5% ]
[
831
7%]
(82)
[
6%]
[
790
[ 17%]
972
7%]
(78)
[
6%]
[ 18%]
(72) 1,093 (81)
[
784
8% ]
(78)
[
6% ]
[
888
[ 17%]
986
9% ]
(88)
[
7% ]
(73)
[
807
955
9% ]
(80)
[
[ 21%]
7% ]
(71)
[
782
8% ]
(78)
[
7% ]
労働費
7,361
5,918
4,524
3,897
3,363
3,096
2,792
2,939
2,415
地代・利子
2,805
2,583
2,363
2,601
2,435
2,476
2,287
2,128
2,279
0.5ha未満 0.5~1.0ha 1.0~2.0ha 2.0~3.0ha 3.0~5.0ha
5.0~7.0ha 7.0~10.0ha 10.0~15.0ha 15.0ha以上
1経営体当たりの
0.36
0.72
1.41
2.43
3.87
5.68
作付面積
資料:農林水産省「米生産費統計(平成25年産)」
注:[
]内は全算入生産費に対する各費用の割合、( )内は平均作付規模の値を100とした場合の比
8.26
12.37
19.66
7
② 米の生産費における農機具費(10a当たり)(作付規模別)
○ 作付規模別の生産費(平成25年産・全国平均・10a当たり)【抜粋】
0.5ha未満
全算入生産費
物財費
206,826
(単位:円/10a)
0.5~1.0ha 1.0~2.0ha 2.0~3.0ha 3.0~5.0ha
167,102
144,248
126,817
120,451
5.0~7.0ha 7.0~10.0ha 10.0~15.0ha
110,524
109,735
103,708
15.0ha
以上
101,901
124,694 (100) 98,534 (79) 86,219 (69) 71,284 (57) 71,317 (57) 62,404 (50) 65,239 (52) 60,472 (48) 62,789 (50)
農機具費 38,148 (100) 25,680 (67) 26,887 (70) 20,490 (54) 22,489 (59) 18,435 (48) 19,874 (52) 17,700 (46) 21,105 (55)
[ 18%]
肥料費
15%]
[ 19%]
[
16%]
[
]
19%
[
17%]
[
18%]
[
17%]
[
21%]
11,230 (100) 10,492 (93) 9,704 (86) 9,012 (80) 8,961 (80) 8,788 (78) 10,011 (89) 8,822 (79) 8,522 (76)
[
農薬費
[
5% ]
[
6%]
[
7% ]
[
7%]
[
7%]
[
8%]
[
9%]
[
9%]
[
8% ]
8,376 (100) 7,812 (93) 7,881 (94) 7,415 (89) 7,046 (84) 7,085 (85) 8,138 (97) 7,228 (86) 6,974 (83)
[
4% ]
[
5%]
[
5% ]
[
6%]
[
6%]
[
6%]
[
7%]
[
7%]
[
7% ]
労働費
61,113
49,305
39,694
34,783
29,921
27,997
25,615
26,342
21,531
地代・利子
23,297
21,526
20,741
23,220
21,670
22,375
20,993
19,083
20,328
0.5ha未満
1経営体当たりの
作付面積
0.36
0.5~1.0ha 1.0~2.0ha 2.0~3.0ha 3.0~5.0ha
0.72
資料:農林水産省「米生産費統計(平成25年産)」
注:[
]内は全算入生産費に対する各費用の割合、(
1.41
2.43
3.87
5.0~7.0ha 7.0~10.0ha 10.0~15.0ha 15.0ha以上
5.68
8.26
12.37
19.66
)内は平均作付規模の値を100とした場合の比
8
③ 米における1経営体当たりの農機具の所有台数(作付規模別)
○ 乗用トラクタ、田植機、自脱型コンバインの1経営体当たりの所有台数は、作付規模の拡大に伴い増加。
○ 特に、乗用トラクタ、自脱型コンバインについては、作付規模が7.0ha~10.0haを超えると大型の農業機械を導入。
○ 作付規模別の農機具の所有台数(平成25年産・全国)【抜粋】
(単位:台/1経営体)
0.5ha未満 0.5~1.0ha 1.0~2.0ha 2.0~3.0ha 3.0~5.0ha 5.0~7.0ha
乗用トラクタ
7.0~
10.0ha
10.0~
15.0ha
15.0ha
以上
1.0
1.1
1.2
1.2
1.4
1.5
2.3
2.7
3.5
20馬力未満
0.4
0.3
0.2
0.1
0.1
0.1
0.1
0.2
0.2
20~50馬力未満
0.6
0.8
1.0
1.0
1.2
1.1
1.4
1.4
1.3
50馬力以上
0.0
0.0
0.0
0.1
0.1
0.3
0.8
1.2
2.0
0.6
0.8
0.8
0.9
1.0
1.0
1.2
1.2
1.4
2条植
0.2
0.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.1
0.0
0.0
3~5条
0.4
0.6
0.5
0.4
0.5
0.2
0.1
0.3
0.1
6条以上
0.0
0.1
0.2
0.5
0.5
0.8
1.0
0.9
1.3
0.4
0.6
0.7
0.8
0.9
1.1
1.1
1.0
1.2
3条以下
0.4
0.5
0.6
0.6
0.4
0.5
0.1
0.0
0.1
4条以上
0.1
0.1
0.1
0.2
0.5
0.6
1.0
1.0
1.1
7.0~
10.0ha
10.0~
15.0ha
15.0ha以上
8.26
12.37
19.66
田植機
自脱型コンバイン
0.5ha未満 0.5~1.0ha 1.0~2.0ha 2.0~3.0ha 3.0~5.0ha 5.0~7.0ha
1経営体当たりの作付面積
0.36
0.72
資料:農林水産省「米生産費統計(平成25年産)」を基に試算。
1.41
2.43
3.87
5.68
9
2 農業機械をめぐる情勢
(1) 農業機械の生産、普及・出荷の状況
① 農業機械の生産の状況
○ 農業機械メーカーの団体である(一社)農業機械工業会の会員は68社、平成26年の生産額は5,152億円。
○ 生産額のうち約5割をトラクターが占めており、続いてコンバイン、田植機等の生産額が大きくなっており、稲作を
中心とした土地利用型農業に対応した生産体制となっている。
○ 農業機械の生産実績(平成26年)
耕うん機
192億円
作業機,
344億円
その他
726億円
トラクター
2,617億円
総額
5,152億円
田植機
414億円
コンバイン
859億円
資料:日農工統計(平成26年)
11
② 主要な農業機械の普及・出荷の状況
○ 農家数の減少に伴い、主要農業機械(トラクター、田植機、コンバイン)の国内向け農業機械の出荷台数は年々
減少。
○ 海外向けの輸出額については、一時的には大きく増減したものの、近年は堅調に推移。
○ 主要農業機械の国内向け出荷台数と販売農家
戸数の推移
(万戸)
(千台)
600
600
566
コンバイン
500
495
500
○ 農業機械の出荷額の推移
(億円)
8,000
7,000
6,647
出荷額合計
(国内+輸出)
6,000
400
400
販売農家数
300
200
100
田植機
146
トラクタ
0
5,000
300
4,000
200
3,000
100
5,448
5,092
国内出荷額
3,041
2,873
2,000
輸出額
1,000
2,407
0
S50 55 60 H2 7 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
0
S50S55S60 H2 H7 H12H13H14H15H16H17H18H19H20H21H22H23H24H25H26
資料:農林水産省「農林業センサス」、「農業構造動態調査」、
一般社団法人日本農業機械化協会「主要農業機械の出荷状況」
注1:昭和60年までの販売農家数は総農家戸数である。
資料:(一社)日本農業機械工業会「日農工統計」
財務省「貿易統計」
注2:トラクタは乗用型、田植機は歩行型と乗用型の合計、コンバインは
自脱型と普通型の合計
12
(参考1) 主要な農業機械における規模別の出荷状況
○ 主要な農業機械(トラクター、コンバイン、田植機)の国内向け出荷状況を見ると、それぞれ小型のものの出荷台
数が減少する一方、比較的大型のものは堅調に増加。
(台)
60,000
50,000
トラクター
7,207
6,498
40,000
6,443
7,216
7,858
10,399
9,655
9,006
10,084
30,000
20,000
10,000
12,627
11,480
0
H18
H20
50PS以上
H22
30~50PS
H23
20~30PS
8,851
H24
H25
20PS未満
(台)
(台)
35,000
30,000
45,000
コンバイン
40,000
2,086
35,000
25,000
1,834
1,869
20,000
1,872
1,310
2,698
3,071
30,000
2,634
25,000
2,374
2,659
3,165
18,481
18,432
17,471
20,000
15,000
15,000
10,000
5,000
田植機
1,999
13,843
30,840
25,372
10,000
10,597
9,070
8,542
8,811
8,630
H23
3~4条
H24
2条
H25
0
20,712
5,000
0
H18
H20
H22
5条以上
(出典)農林水産省、一般社団法人日本農業機械化協会「主要農業機械の出荷状況」
H18
H20
H22
8条以上
H23
6~7条
H24
4~5条
H25
13
(参考2) 主要な農業機械における輸出額・輸入額の状況
○ 輸出額は、近年2,000億円程度で推移。また、その内訳を見ると、50馬力未満の小型のトラクターの輸出額が減
少傾向にある中で、大型のトラクターの輸出額は堅調に増加傾向。
○ 農業機械の輸入額も近年増加傾向にあり、そのうち額が大きいのは70馬力以上のトラクタや大型のコンバイン、
モーア等の草刈機となっている。
○ 輸出額の推移
○ 輸入額の推移
(億円)
(億円)
800
3,500
690
700
3,000
600
2,500
2,076
2,000
500
400
1,500
300
1,000
200
500
100
0
0
H18
H20
H22
その他
田植機
トラクター(50ps未満)
H23
H24
コンバイン
トラクター(50ps以上)
H25
H18
H20
H22
その他
トラクター(70ps以上)
モーア等の草刈機
H23
H24
H25
コンバイン
草刈機
(出典)一般社団法人日本農業機械工業会「輸出・輸入実績」
14
③ 農業機械の所有状況(水稲作)
○ 水稲作では、経営規模が小さいにも関わらず農業機械の保有台数が多い状況。
○ 農業機械の集約、効率利用の促進によるコスト縮減を図る観点からも、中心経営体への農地集積や、作業の受
委託等を促進する必要。
1経営体当たりの田の
経営体面積
2.12
ha/経営体
1経営体当たりの
農業機械の保有割合
1台当たりの
平均利用面積
基本方針(※)に示された
利用下限面積
トラクター
1.17
台/経営体
1.8
ha/台
30馬力級
10ha
田植機
0.77
2.8
4~5条
7ha
コンバイン
0.63
3.4
自脱型3条刈
10ha
資料:農林水産省「米生産費統計」(平成25年産)を基に試算
※基本方針: 農業機械化促進法において国が定めることとされており、農業経営の改善のために特定高性能農業機械を計画的に導
入するために必要な利用下限面積などの条件等を示している。
○ 例えば、30馬力級トラクターは導入コストの観点から、10ha程度以上での利用が適当。 しかし ながら、平成25年産の米
生産費統計では、1台当たりの平均利用面積は1.8haとなっている状況。
○ 一方、田植機やコンバインは、トラクターに比べて委託などにより徐々に作業の集約が進み、1台当たりの利用面積は、
それぞれ2.7ha、3.3haとなっている状況。
15
(参考) 作目ごとの機械化の状況
○ 担い手の高齢化や労働力不足の進展にあわせ、作目ごとに農業機械化体系の整備が進められているが、野菜
の収穫作業など未だ機械化が実現していない部分も多く存在。
① 土地利用型
作目
水
稲
・
麦
類
・
大
豆
耕うん・整地・基肥
・プラウ
育苗・移植・播種
・田植機
・ロータリー
追肥・除草・防除
・動力散布機
収穫
・自脱コンバイン
乾燥・調製
・穀物乾燥機
・乗用管理ビークル
・不耕起汎用播種機
・汎用コンバイン
・肥料散布機
・中耕除草機
・耕うん同時畝立て播種機
・溝掘機
16
② 野菜(露地)
作目
葉(
茎キ
ャ
菜ベ
類ツ
)
耕うん・整地・基肥
・ロータリー
葉(
長 ・肥料散布機
茎 ね
菜
ぎ
類)
育苗・移植・播種
・自動移植機
・移植機
追肥・除草・防除
・中耕除草機
・中耕培土機
収穫
調製
・キャベツ収穫機
・ねぎ収穫機
・ねぎ調製装置
・大根収穫機
・野菜調製装置
・ブームスプレーヤ
根(
大
菜 根 ・土壌消毒器
類)
・播種機
・動力噴霧機
17
③ 野菜(施設園芸)
作目
耕うん・整地・基肥
・ロータリー
い
ち
ご
育苗・移植・播種
・育苗センター
追肥・除草・防除
・動力防除機
収穫
・いちご収穫ロボット
調製
・共同選果施設
・畝成型機
平成25年に実用化、
今後普及を図る。
④ 果樹
作目
整枝・剪定
・動力剪定機
り
ん
ご
施肥
・背負式散布機
除草・防除
・スピードスプレーヤ
管理等
・高所作業台車
収穫
調製・選別
・共同選果施設
・高所作業台車
安全性を高めた
機種
18
⑤ 畜産
飼料作
作目
草地更新・施肥
飼養管理
収穫・調製
・プラウ
・汎用型飼料収穫機
・ロータリー
・フォレージハーベスタ
給餌
・自動給餌装置
搾乳
・搾乳ロボット
糞尿処理
・堆肥舎
・ミルキングパーラー
酪農
・ブロードキャスタ
・ロールベーラ
・ベールラッパー
・マニュアスプレッダ
19
(2) 農機具費の低減に向けた業界の取組
① 農機具費低減の3要素
○ 農機具費(円/10a/年)は、①農機具の購入価格、②利用面積、③稼動年数・メンテナンス費用(中古農機の売
価を含む)の3つの要素によって構成。
○ 農機具費の削減には、各要素において農業者、産業界等の関係者の取組を強化していくことが重要。
購入価格(円)+メンテナンス費用(円)-中古農機の売価(円)
農機具費(円/10a/年) =
÷稼動年数(年)
利用面積(a)
農機具の購入価格
・製造 (農機メーカー)
・流通 (流通事業者)
利用面積
・農機1台当たりの利用面積
(農家)
稼動年数・メンテナンス費用
・農業機械の耐久性・メンテナンス
(中古農機の評価額にも関係)
(農機メーカー、農家)
20
(参考) 農業機械費低減に関する農業者の意向
○ 農業資材コストの低減及び農作業の安全確保に関する農業者の意識・意向を把握するため、平成25年に農業
者モニター1,269人に対して調査を実施、同年8月に公表。
○ その中で、農業機械のコストを低減するために行っている、あるいは今後行いたい取組としては、「買い替えまで
の期間を長くする」(稼動年数を長くする)を挙げる農業者が最も多い(7割以上)。
○ 農業者による農業用機械費低減の取組内容
買い替えまでの期間を長くする
38.8%
中古品を購入する
24.1%
19.9%
機械を共同所有または共同利用する
16.8%
9.8%
8.6%
10.2%
使用する農機を安価なものに切り替える
11.4%
6.2%
8.7%
安価に販売している購入先に切り替える
8.7%
11.5%
9.6%
9.0%
(72.0%)
(46.3%)
(28.6%)
(26.3%)
5.7%
(25.8%)
3.5%
リースやレンタルを利用する
7.7%
2.4%
機械作業を外部に委託する
8.7%
(19.9%)
3.4%
6.7%
(12.6 %)
1.8%
その他
2.1%
(5.7%)
回答者:1,074人
(100.0%)
1.8%
3.7%
(3.7%)
特にない
0
0%
10%
20
20%
「農業用機械費低減」の取組として1番目に行っていること
30%
40
40%
50%
60
60%
70%
80 (%)
80%
「農業用機械費低減」の取組として2番目に行っていること
「農業用機械費低減」の取組として3番目に行っていること
資料:農林水産省「農業資材コスト低減及び農作業の安全確保に関する意識・意向調査」(平成25年)
21
○ また、農業機械の購入・利用において、「修理に迅速に対応してくれるなど、アフターサービスに優れている」点
を重視する農業者が最も多い(8割以上)。
○ アフターサービス等によって農業機械のメンテナンスを適切に行うことは、故障による農繁期の作業ロスを減ら
すことに加えて、農業機械の長寿命化の観点から重要。
○ メーカーにおいても、カバー開閉の容易化など、メンテナンス性を向上させた農業機械の製造・販売を推進。
○ 農業者が農業用機械の購入・利用において重視していること
修理に迅速に対応してくれるなど、アフターサービスに優れてい
修理に迅速に対応してくれるなど、アフターサービスに優れている
る
購入先との長年の付き合い
昔から使い慣れているメーカーの製品である
29.4%
14.0%
36.9%
18.8%
20.5%
15.5%
29.5%
16.7%
(81.9%)
(62.2%)
(50.9%)
13.8%
8.3%
他機種と比較して、優れた性能を持つ
23.9%
10.5%
(42.7%)
8.5%
価格が割安である
(29.8%)
10.9% 10.4%
0.3%
デザイン性に優れる
1.5%
(2.7%)
0.9%
1.1%
その他
1番目に重視していると回答
0.9%
0.3%
回答者:1,075人
(100.0%)
(2.3%)
0
20
0%
20%
(%)
2番目に重視していると回答
40
40%
60
60%
80
80%
3番目に重視していると回答
資料:農林水産省「農業資材コスト低減及び
農作業の安全確保に関する意識・意
向調査」(平成25年)
100
100%
22
② 農業機械の価格動向
○ 農業機械の価格は、近年の鋼材の高騰や高機能化などによりわずかに上昇しているが、他の農業生産資材に
比べて変化はあまりない。
○ 他方、その他の農業資材と比較して農業機械は単価が高く、その価格変動は生産費に大きく影響。
○ 農業生産資材、食料の年次別価格指数の推移
○ 主要な農業機械の平均的な価格
H22=100
価格
130.0
機種名
類別
120.0
農機具
110.0
肥料
トラクター
農業薬剤
100.0
飼料
90.0
光熱動力
田植機
資材総合
80.0
自脱型
コンバイン
70.0
H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25
資料:農林水産省「農業物価統計」(平成22年を基準)
30PS級
40PS級
4~5条
6条
3条
4条
5条
利用面積
(千円)
3,497
4,978
1,453
2,442
3,667
6,088
9,254
(ha)
10
15
7
10
10
15
20
資料:(社)日本農業機械化協会「農業機械・施設便覧(2014/2015)」か
ら推計
注:農業機械化促進法に基づく基本方針において提示している機械を
導入するに際して過剰投資とならない利用面積の目安
23
③ 低価格モデルの販売
○ 農機メーカーでは、価格を抑えた農業機械を求める声に応じ、便利な機能を省いた低価格シリーズの提供や、
海外向けの低価格モデルを国内で販売するなどの取組を実施。
○ こうした取組は、「担い手農家の経営革新に資する稲作技術カタログ」への掲載等を通じて、広く普及を図ってい
るところ。
○海外向け低価格モデルの例
○ 低価格シリーズの例
クラス
標準
ト モデル
ラ (例)
ク
タ
ー
低価格
モデル
標準
モデル
田 (例)
植
機
低価格
モデル
標準
コ モデル
ン (例)
バ
イ
ン 低価格
モデル
24
馬力
25
馬力
希望
小売価格
264万円
214万円
4条
123万円
4条
67万円
5条
1,062万円
5条
878万円
主な仕様の差
作業機の高精度水平制
御、作業機昇降動作での
自動停止機能、省エネ運
転サポート機能、オートエ
アコン
など
セルモーター始動、苗補
給レール、枕地旋回整地
ロータ など
伸縮する排出オーガ、負
荷に応じたアクセル自動
制御、自動作業方向制御
など
標準
ト モデル
ラ (例)
ク
タ
ー 海外
モデル
標準
モデル
田 (例)
植
機
海外
モデル
標準
コ モデル
ン (例)
バ
イ
ン 海外
モデル
クラス
希望
小売価格
98
馬力
862万円
97
馬力
685万円
8条
382万円
8条
295万円
6条
1,410万円
6条
1,093万円
主な仕様の差
作業機制御技術、負荷に
応じた自動変速装置、作業
機水平制御、油圧増圧 な
ど
アイドリングストップ、枕地
旋回整地ロータ、ハンドル
操作だけで旋回可能な自
動植付部制御 など
ワンタッチ変速機構、高性
能水平制御(前後左右)、
負荷に応じたアクセル自動
制御、容易にメンテナンス
可能な構造採用 など
24
(参考)海外の農業機械の価格
○ 国内と比較して、海外向けの農業機械は価格が相当安いとの声があることを受け、複数のメーカー・流通業者
からヒアリングを行ったところ、概要は以下のとおり。
海外との価格差
○ 海外向けの農業機械の価格が安いというのはそのとおり。トラクターで言えば、同じ馬力であれば売れ筋の価格帯
は国内と比較して東南アジア向けは3~5割程度、アメリカ向けは1~3割安い。(メーカー)
○ ただし、この価格差は為替要因等を除けば、主として性能の違いに起因。(メーカー)
価格差等の要因
○ アメリカ向けは前輪倍速装置や水平制御等は付いていない。国内では作業効率を向上させるため、顧客から小回
りの利く操作性の高い農業機械を求められる。(メーカー)
○ 東南アジア向けは操作性の面では前輪倍速装置だけでなく、水平制御、無断変速等のオプションはまったく付けて
いない。(メーカー)
○ 東南アジア向けは操作性だけでなく居住性の差も大きい。日本は居住性を重視しているが、東南アジアは振動や
騒音が相当大きい。キャビンも無い場合がほとんど。(メーカー)
○ 国内では、ほぼ農業機械の購入者が利用者だが、東南アジアではオーナーは農業機械を購入するだけで、使用人
に利用させる場合が多いため、安い価格を求める傾向にある。(メーカー)
安価な農業機械を輸入する際の課題
○ 輸入農機はアフターサービスを受けづらく、故障時に迅速な修理ができない。(流通業者)
○ 韓国や東南アジアの農機は排ガス規制に対応できていないこと、日本の農業者の求める機能を満たさない場合が
多いことなどから、国内ではほとんど流通していない。また、最近の円安により価格面のメリットも薄れてきている。
(流通業者)
25
④ 利用面積に応じたリース・レンタルの展開
○ 利用面積に対応した農業機械の有効活用の観点からは、リース・レンタルの活用も選択肢の一つであり、一定程
度利用が進んでいる状況。
○ ただし、特にレンタルについては農作業の特性上、農業機械の使用ニーズが特定の時期(播種時期、収穫時期
等)に集中すること、事業として成立させるためにはレンタル料を一定額以上に設定する必要があることなどから、
拡がりは限定的。
○ 農機レンタルの価格の例
機種
○ リース・レンタルを実施している企業の割合
レンタル料
平成21年3月
平成26年3月
トラクター(26馬力)+ロータリー
31,500円/日
リース
レンタル
リース
レンタル
田植機(4条植)
17,850円/日
15%
11%
26%
24%
コンバイン(3条刈)
91,350円/日
資料:A農協 レンタル農機価格表
資料:全農機商連自主行動計画
フォローアップ調査(平成26年3月現在)
○ 農業者から見たリース、レンタルの主なメリット、デメリット
リース
【メリット】
・ 導入初期負担が軽減される
【デメリット】
・ リース期間中の全体費用はリース会社の手数
料も加わり割高
レンタル
【メリット】
・ 利用する期間が短ければ、購入するより費用が
低減できる
【デメリット】
・ レンタル台数が少ないため希望した期間にレン
タルできない可能性
・ レンタル予定期間中に悪天候の場合には再レン
タルが必要
26
⑤ 農業機械の補修用品の供給年限
○ 農業機械メーカーは、農業機械の長期利用を支援するため、業界団体において、機種別の補修用部品の供給年
数に関するガイドラインを設定。
○ 例えばトラクターでは、製造終了後から12年間はメーカーから補修用部品を供給可能。
○ 主な農業機械の補修用部品の供給年限 ((一社)日本農業機械工業会ガイドライン)
トラクタ
製造終了後から
部品を供給する年限
12
耕うん機
9
田植機
コンバイン
9
9
乾燥機
12
籾すり機
動力噴霧機
スピードスプレーヤー
刈払機
10
9
9
8
機種別部品
27
3 農業機械化に係る
今後の施策の展開方向について
(1) 食料・農業・農村基本計画
○ 平成26年1月より、食料・農業・農村政策審議会及び同審議会企画部会において議論を重ね、平成27年3月31
日に「食料・農業・農村基本計画」を閣議決定。
○ 同基本計画においては、農業の持続的な発展に関する施策として、ロボット技術やICTを活用して超省力・高品
質生産を図るスマート農業の実現に向けた取組や機械化一貫体系の導入、海外向け低価格モデル農業機械の
普及など農業機械に関する施策に加え、安全性の高い農業機械の開発・普及等効果的な農作業安全対策の推
進について位置付けられているところ。
○ 食料・農業・農村基本計画(平成27年3月31日閣議決定)(抜粋)
第3 食料、農業及び農村に関し総合的かつ計画的に講ずべき施策
2.農業の持続的な発展に関する施策
(7)コスト削減や高付加価値化を実現する生産・流通現場の技術革新等
② 先端技術の活用等による生産・流通システムの革新
ア 規模拡大、省力化や低コスト化を実現するための技術導入
高齢化、労働力不足が進む中で、担い手の一層の規模拡大、省力化や低コスト化を図るため、スマート農
業(ロボット技術やICT を活用した超省力生産、高品質生産を実現する新たな農業)の実現に向けた取組
や、次世代施設園芸拠点(地域エネルギーと先端技術を活用して周年・計画生産から調製、出荷までを行う
施設)の整備を推進する。ロボット技術については、ロボット新戦略(平成27年2月日本経済再生本部決定)
に基づき、開発と現場への導入を着実に進める。
大規模経営に適合した省力栽培技術及び作期分散等が可能となる品種の開発と導入、機械化一貫体系
の導入、海外向け低価格モデル農業機械の国内生産者への普及等を推進する。さらに、コントラクター等作
業受託組織の受託作業の拡大、高性能機械や先端技術を駆使した作業受託組織のビジネスモデルの構
築、ハローワークやシルバー人材センター等と連携した一時的な労働力(援農隊)の確保、育成等により、農
作業の外部委託が円滑にできる環境を整備する。
③ 効果的な農作業安全対策の推進
農作業事故防止のため、事故の調査、分析から危険要因の洗い出しを行うリスクアセスメント手法の導
入、研修体制や意識啓発活動の手法の見直し、安全性の高い農業機械の開発と普及など、より実効性のあ
る農作業安全対策を推進するとともに、労災保険制度の周知と加入促進等に取り組む。
28
(参考1) スマート農業の将来像(平成26年3月)
○ ロボット技術やICTを活用した超省力・高品質生産を図るスマート農業を実現するため、経済界等の協力も得て
平成25年11月に「スマート農業の実現に向けた研究会」を立ち上げ、平成26年3月に中間取りまとめ。
○ 今後は、スマート農業の将来像の実現に向けたロードマップ等に基づく研究開発等を着実に推進するとともに、
先端技術の活用に必要な環境整備など残された課題の解決に向けた検討を進める必要。
29
○ スマート農業の検討に当たり、品目ごとの課題を抽出した際には、園芸作物等を中心に、未だ手作業に頼ってい
る部分が多く、こうした分野で引き続き農業機械の開発・普及が求められている。
○ 品目ごとの課題と今後開発が期待される技術(第1回「スマート農業の実現に向けた研究会」提出資料抜粋)
30
(参考2) 日本再興戦略 改訂2014(平成26年6月)
○ 日本再興戦略においては、農地集積・集約の加速化及び省力栽培技術・品種の開発・導入等により、今後10年
間で担い手の米の生産コストを現状全国平均(1万6千円/60kg)から4割低減するとのKPIが掲げられたところ。
○ 農業機械については、生産資材費の低減に向けた一つの方策として、海外向けモデルの国内展開等が例示さ
れているところ。
生産資材費の低減
担い手への農地集積・集約等
● 今後10年間で全農地面積の8割を担い手に集積
・ 分散錯圃の解消
・ 農地の大区画化、汎用化
(参考) 米の生産コスト(23年産)
全国平均
:1万6千円/60kg
15ha以上層:1万1千円/60kg
省力栽培技術の導入
大規模経営に適合した品種
直播栽培(育苗・田植えを省略)
作期の異なる品種の組合わせ
(実証例)
作期を分散することで、同じ人数で作
付を拡大でき、機械稼働率も向上
労働時間
18.4時間/10a→13.8時間/10a
(移植)
(直播)
1日当たり作業量
作業ピークを分散
作業が短期間に集中
費用(利子・地代は含まない)
103千円/10a →93千円/10a
(移植)
(直播)
作業時期
コシヒカリ
鉄コーティング種子
作業のムダを見つけて手順を改善
(実証例)
田植え作業時間
1.62時間/10a→1.15時間/10a
(補植作業時間の削減)
・ 基本性能の
絞り込み
・ 耐久性の
向上
⇒基本性能を絞った海外向
けモデルの国内展開等
(標準モデル比2~3割の低
価格化)
故障リスクに対応した
農機サービスの充実
・交換部品の迅速供給など
故障リスクを軽減するサー
ビスの充実・強化が必要
単収
530kg/10a→700kg/10a
(全国平均)
⇒作業ロスの回避、機械所
有の効率化 (バックアップを想定し
(多肥栽培で単収増)
た複数台数所有の必要性減)
生産費
16千円/60kg(全国平均)
→13千円/60kg(試算)
⇒農業機械の長寿命化
月の光
肥料コストの低減
・土壌診断に基づく施肥
量の適正化(肥料の自
家配合等)
・フレキシブルコンテナの
利用(機械化に
よる省力化等)
⇒土壌改良
資材のフレコン利用
(20kg袋比7%低価格化)
未利用資源の活用
・鶏糞焼却灰等の利用
⇒従来品比
7%低価格化
合理的な農薬使用
多収性品種
無人ヘリの活用も可能
ICTを活用した作業管理
ミルキーサマー コシヒカリ あきだわら
農業機械の低コスト仕様
あきだわら
(稼動年数が1割長くなれば、1年当
たりの農機具費を1割低減させるの
と同等の効果)
・発生予察による効果的か
つ効率的防除
・輪作体系や抵抗性品種の
導入等の多様な手法を組
み合わせた防除(IPM)
⇒ 化学農薬使用量抑制
(農薬費を1割程度低減
させた産地事例あり)
31
(参考3) ロボット新戦略(平成27年1月)
○ 平成27年1月にロボット革命実現会議で決定された「ロボット新戦略」においては、農林水産業・食品産業分野
において、労働力の確保を図るとともに飛躍的な生産性の向上を図るため、ロボット開発・導入を加速化すべき分
野を整理。
○ これらの分野の課題を解決する革新的技術の開発・普及に向けた取組を重点的に推進することとしている。
○ 農林水産業・食品産業分野において重点的に取り組むべき分野
1
GPS自動走行システム等を活用した作業の自動化
○ トラクター等農業機械の夜間・複数台同時走行・自動走行、集材
作業を行うフォワーダの自動走行等により、作業能力の限界を打
破し、これまでにない大規模・低コスト生産を実現
GPS自動走行トラクタ
自動走行フォワーダ
2 人手に頼っている重労働の機械化・自動化
畦畔除草ロボット
○ 収穫物の積み下ろしなどの重労働をアシストスーツで軽労化す
るほか、除草ロボット、畜舎洗浄ロボット、養殖網・船底洗浄ロボッ
ト、弁当盛付ロボット等によりきつい作業、危険な作業、繰り返し
作業から解放する。
アシストスーツ
畜舎洗浄消毒ロボット
3
弁当盛付ロボット
養殖網清掃ロボット
ロボットと高度なセンシング技術の連動による省力・高品質生産
○ センシング技術や過去のデータに基づく決め細やかな栽
培により(精密農業)、作物のポテンシャルを最大限に引き
出し多収・高品質を実現。
生傷自動判別ロボット
施設園芸の高度環境制御システム
36
32
(2) これまでの農業機械化政策
○ 農業就業人口の減少や高齢化の急速な進展等、現下の我が国農業を取り巻く厳しい情勢の中で、農業の体質
強化に向け、農業機械化の果たすべき役割はますます重要。
○ このため、農林水産省では、農業機械化促進法に基づく農業機械の開発・普及等を推進するとともに、業界団
体・農業機械メーカー等の協力を得て取組を総合的に推進してきたところ。
取組内容
主 な 取 組 事 項
○ (国)農研機構生研センターを通じた高性能な農業機械の研究開発の推進
① 農作業の省力化・低コスト化を図り規模拡大等による農業経営の体質強化に資する機械
② 消費者ニーズ等に則した安全で環境にやさしい農業の確立に資する機械
③ 農作業の安全性向上に資する機械 等
高性能農業機械開発
○ 新農業機械実用化促進(株)への助言・指導を通じた開発機の実用化の促進
等
○ 「高性能農業機械等の試験研究、実用化の促進及び導入に関する基本方針」(基本
コスト低減
農作業安全
環境負荷低減
方針)に基づく機械装備の最適化
○ 地域にあった効率的な利用方式の確立に向けた導入計画の策定指導
○ 点検整備の推進や効率的な作業方法の指導等を通じた機械の効率的利用の促進等
○
○
○
○
型式検査、安全鑑定による農業機械の安全性確保の推進
農作業安全確認運動の展開など農業者に対する意識啓発と地域の取組の推進
農作業安全に関する情報の提供
労災保険等補償制度への加入促進 等
○ 農業機械の環境性能向上
○ 「農業機械の省エネ利用マニュアル」の活用による温室効果ガス排出削減に資する
農業機械等の普及促進
等
33
(3) 「農業機械を巡る現状・課題と今後の方向」(中間整理)
○ 平成19年9月、農業資材審議会農業機械化分科会において、農業・農政の展開方向をはじめ、国内外の農業機械
の生産・流通状況、高齢者の農作業事故の増加等、農業機械化を巡る情勢を踏まえつつ、現行の施策を総合的に
検証しつつ、今後の農業機械に関する政策の方向について検討・中間的に整理。
現状と課題
1 農業機械の研究開発
(1)研究開発の基本的な方向
○ 農業生産の更なる省力・低コスト化、規模拡大等の実現に
不可欠である革新的な農業機械の開発・導入がこれまで以上
に重要。
○ 食品の安全と消費者の信頼の確保、環境負荷の低減に資す
る農業の展開等社会的ニーズに対応した機械開発が必要。
(2)開発・実用化に関する公的機関の役割
○ ニーズが高いもののマーケットサイズが小さいこと等から
民間企業の取組が期待できない分野については、基本方針に
基づき、平成5年以降「緊プロ事業」と「実用化促進事業」
を実施。
(3)IT・ロボット技術等先端技術の農業利用に向けた取組の強化
○ 担い手の規模拡大が進む中で国産農産物の高い品質等を維
持発展させていくため、ITやロボット技術を活用した農業技
術の開発に向けた試験研究に本格的に着手する必要。
2
農業機械費の低減対策
○ 供給サイドにおけるより一層のコスト縮減を図るとともに、
農業生産サイドでは、農地集積を通じた稼働面積の拡大と新し
い生産技術の導入等を併せて行うことにより、農業機械費、労
働費等の生産コストの一層の縮減を推進することが重要。
○ トラクターの輸出等が増加傾向にある中で国内市場が縮小傾
向にあることから、農機生産の効率化に向けて国内農機業界の
国際化のさらなる加速化が重要。
今後の方向
1 農業機械の研究開発
(1)研究開発の基本的な方向
農作業における安全性の確保にも配慮しつつ、
①IT・ロボット技術等の先端技術も活用した革新
的な農業機械の開発及び機械化体系の確立、②社
会的なニーズに対応した農業の実現に資する機械
開発、を重点的に推進。
(2)開発・実用化に関する公的機関の役割
国内市場が縮小傾向にあることから、生研セン
ターを中心とした開発・実用化を引き続き実施。
その際、幅広い関係者から意見を聴く場を設ける
等、開発・実用化プロセスの更なる改善が必要。
(3)IT・ロボット技術等先端技術の農業利用に向け
た取組の強化
他分野で広く使われている既存の技術を、農業
機械に応用していく必要。また、他分野の大学・
独法等と分野の壁を越えた連携を図る必要。
2
農業機械費の低減対策
○ 供給面では、国内メーカーの海外展開等を通じ
たものづくり基盤の維持・強化、製造コスト削減
に向けた型式の集約、規格の共通化等の取組を進
める必要。
○ 流通面では、機能を絞った低価格な機械の供給
や安全に留意した上での中古農機の活用等の取組
を一層推進する必要。
34
(つづき)
現状と課題
農作業安全対策
○ 農作業事故を防止するため、①農業機械の型式検査・安
全鑑定の実施及び検査合格機等の普及推進、②農業者等の
安全意識を醸成するための研修会等の開催、③労災保険の
特別加入制度の周知・加入促進、等を実施。
○ こうした取組にもかかわらず、農作業死亡事故は毎年
400件前後発生し、特に高齢者の割合が増加。さらに、新
規就農者や法人の被雇用者に対する安全対策など、新たな
農業情勢に応じた事故防止対策の強化が必要。
○ また、機種によっては今後これまで以上に多様な国々か
らの輸入が大幅に増加することも見込まれることから、輸
入品も含めた農業機械の安全性を確保するための対策を検
討する必要。
今後の方向
3
3
4
4
5
5
農業機械の型式検査
○ 農業機械の安全性能も含めた全般的な性能等について国
が検査を行う現行制度の仕組みは、昭和28年当時、不良品
が出回ることにより導入した農業者の経営に多大な影響を
及ぼすおそれがあったことが背景。
○ 本検査は、農業機械の開発・改良に係る研究と一体的に
実施することにより、農政の方向に即した機械の改良・普
及を促すという指導的役割を担ってきたところ。
環境負荷の低減に向けた農業機械関連対策
○ 今後の我が国農業の持続的な発展に向け、農業分野の地
球温暖化対策の加速化、バイオマス利活用の推進、環境保
全型農業の推進等、環境負荷の低減に資する農業の推進が
不可欠。
農作業安全対策
○ 効率的な農作業安全対策の強化を図る上で、以下の
点に留意する必要。
① 安全面での装備や機能によるリスク低下効果を周
知、型式検査や安全鑑定のあり方について検討
② 安全な機械操作等に係る基本的な技能を習得する
ための研修・指導体制を強化
③ 使用者に対する定期的な点検・整備に係る指導・
啓発等を強化
④ 農業機械の公道走行に当たっての基本的な法律を
周知するとともに、トラクターへの作業機等の装着
による安定性等について検討
⑤ 農業機械士等の現場段階での指導体制の活用等を
通じて、地域の安全啓発運動を盛り上げ
⑥ 死亡事故調査に加え、より広範かつ詳細な事故情
報を蓄積・分析し、迅速かつ適切に情報提供する仕
組みの検討
農業機械の型式検査
○ 今後とも、より効率的な運用となるよう工夫しなが
ら、基本的に現行制度を維持・活用。
○ 農業機械自体の安全性能の確保・向上が求められる
ことから、特に安全性能の確保・向上に資する観点か
ら、どのような見直し・強化が必要かを検討。
○ 環境負荷の低減性能に優れた機械の開発・普及に貢
献できる検査制度のあり方についても検討。
環境負荷の低減に向けた農業機械関連対策
○ 環境負荷の低減に資する農業機械に関する研究開発
を推進。
○ 農業者が直ちに実践できる「農業機械の省エネ利用
マニュアル」の普及・啓発や内容の充実・強化を図る
必要。
35
4 農業機械等緊急開発事業
(緊プロ事業)の概要
(1) 高性能な農業機械の開発
○ 高性能農業機械の開発・実用化は、農林水産大臣が定める基本方針に基づき、(国研)農研機構生研センター及
び民間企業との共同研究並びに新農業機械実用化促進(株)による実用化の体制により促進。
農業資材審議会
農業機械化分科会
農林水産大臣
諮問
農林水産大臣
高性能農業機械等の試験研
究、実用化の促進及び導入
に関する基本方針
生研センター
農業機械等緊急開
発事業(緊プロ事業)
基本方針の制定又は変更に当たって
は、農業機械化促進法第5条の2第
4項に基づき、農業資材審議会から
意見を聴かなければならない。
出
資
実用化
支援
農協団体等
出資
新農業機械
実用化促進(株)
実用化促進事業
効率利用を促進
出
資
農機メーカー等
系統農協・商
系販売店
農業者
流 通
特定高性能
農業機械に
よる農作業
の効率化、
経営の改善
・ 部品の共通化・汎用化
委託研究
共同研究
金型
貸与
製 造
出荷
導入
・ 金型等基本的製造機材
の共有化及び賃貸
・ 機械化栽培様式の標準化
共同研究開発
開 発
特定高性能農業機械導入計画
高性能農業機械
民間委託研究開発
大学
都道府県知事
基本方針に即して導入計画策定
計画認定
交付金、補助、出資
(国研)農研機構
答申
都道府県知事
製 造
購入
賃借
都道府県
36
(2) 農業機械等緊急開発事業(緊プロ事業)
○ (国研)農研機構生研センターを中心に、民間企業、都道府県、大学等が結集し、生産現場との密接な連携の下、
マーケットが小さくリスクの大きい課題や安全性の向上、環境負荷の低減等の政策的な課題等に対応した農業機械
の研究開発を実施。
○ 基本方針で定められた3つの高性能農業機械の開発方針に基づき、官民が共同開発。
開発方針
農作業の省力化・低コスト化を
図り規模拡大等による農業経
営の体質強化に資する機械
対象高性能農業機械(平成26年度に開発完了したもの)
高精度直線作業アシスト装置
【目標】
ほ場でのトラクタ作業において、トラクタに後付け
装着が可能で、ステアリングを自動制御し、目標地点
や前行程のマーカ跡、作業跡に対し、高精度に直線的
に走行する装置を開発
消費者ニーズ等に則した安全
で環境にやさしい農業の確立
に資する機械
チャの直掛け栽培用被覆資材の被覆・除去装置
農作業の安全性向上に資する
機械
高能率水田用除草装置
【目標】
茶園用乗用型機械に装着でき、遮光資材の被覆・除
去作業、資材運搬の各機能を有する被覆作業用ア
タッチメントの開発、および傾斜地茶園への適用性
の検証
【目標】
比較的小規模から大規模農家までが導入可能で、既
存のベース車両等(乗用管理機、乗用田植機走行部
等)に装着して使用することが可能な水田用除草装
置
37
(参考) これまでの開発機種
○ これまでの緊プロ事業において、生研センターで開発された大型汎用コンバインをはじめとする水田用機械、野
菜用の各収穫機など、68機種が実用化。
水田用機械
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
大型汎用コンバイン
水田用栽培管理ビークル
高速耕うんロータリー
穀物遠赤外線乾燥機
軽量紙マルチ敷設田植機
高精度水稲種子コーティング装置
畦畔草刈機
高精度水稲湛水直播機
米品質測定評価装置
高速代かき機
高精度水田用除草機
中山間地域対応自脱型コンバイン
穀物自動乾燥調製装置
土壌サンプル粉砕篩分装置
作物生育情報測定装置(携帯式)
低振動型刈払機
収量コンバイン
高精度高速施肥機
小型汎用コンバイン
乗用型トラクターの片ブレーキ防止
装置
21 自脱コンバインの手こぎ部の緊急
即時停止装置
22 水田用除草装置
野菜・果樹用機械
1 誘導ケーブル式果樹無人
防除機
2 野菜接ぎ木ロボット
3 野菜残さ収集機
4 重量野菜運搬作業車
5 果樹用パイプ式防除
散布機
6 野菜全自動移植機
7 キャベツ収穫機
8 ごぼう収穫機
9 農業副産物コンポスト
化装置
10 汎用いも類収穫機
11 いちご収穫作業車
12 だいこん収穫機
13 ねぎ収穫機
14 野菜栽培管理ビークル
15 軟弱野菜調製装置
16 はくさい収穫機
17 長ねぎ調製装置
18 大粒種子整列は種
装置
19 傾斜地果樹用多目的
モノレール
20 セルトレイ苗挿し木装置
21 追従型野菜運搬車
22 ドリフト低減型ノズル
23 いも類の収穫前茎葉
処理機
24 可変施肥装置
25 高精度畑用中耕除草機
26 環境保全型汎用薬液
散布装置
27 全自動野菜接ぎ木ロボット
28 高機動型果樹用高所
作業台車
29 果樹用農薬飛散制御型
防除機
30 たまねぎ調製装置
31 イチゴ収穫ロボット
32 イチゴパック詰めロボット
33 チャ栽培用資材被覆・
除去装置
畜産用機械
1
2
3
4
5
6
7
家畜ふん尿脱臭装置
簡易草地更新機
搾乳ユニット自動搬送装置
個体別飼料給餌装置
細断型ロールベーラ
高精度固液分離装置
品質管理型たい肥自動混
合・かくはん装置
8 自然エネルギー活用型高品
質たい肥化装置
9 畜舎換気用除じん・脱臭
装置
10 汎用型飼料収穫機
11 乳頭清拭装置
12 牛体情報モニタリングシステム
13 可変径式TMR成形密封装置
38
(3) 緊プロ機の普及状況
○ 緊プロ事業により開発・実用化された農業機械については、これまで農業現場への導入、普及が図られ、その普
及台数は累計33万台(平成27年3月末現在)に達し、農作業の効率化、労働負担の軽減などに貢献。
主な緊プロ機の普及台数
年次別普及台数及び累計
(台)
(台/年)
穀物遠赤外線乾燥機
高速代かき機
畦畔草刈機
高精度水稲湛水直播機
中山間地域対応自脱型コンバイン
ねぎ収穫機
高精度畑用中耕除草機
高精度高速施肥機
細断型ロールベーラ
野菜栽培管理ビークル
(台/累計)
144,518
126,058
40,613
2,007
1,980
1,741
1,535
1,214
981
974
[参考:過去の緊プロ機の目標設定の考え方の事例]
機種名
汎用型飼料収穫機
高機動型果樹用高所
作業台車
目標導入
目標導入台数の設定
普及台数
台数
の考え方
100台
250台
99台
5台
目標導入台数と
普及台数が
乖離している理由
府県コントラクターの
約6割にあたる60団
体と酪農家の共同購
入を想定して設定
(年度)
注:普及台数には、接ぎ木クリップ、セル苗育苗トレイ、パルプモールドセルポット、
家畜ふん尿脱臭装置及びドリフト低減型ノズルは含まない。
当初予定していた価格
開発機1台当たりの平
設定より数十万上昇し、
均負担面積1haとし、
性能や安全面の優位
比較的平坦なりんご
性が相対的に小さく
栽培果樹園の栽培面
なったため、普及が伸
積の約1%と想定して
び悩んでいる。
設定
39
(参考) 開発した農業機械の導入効果について
○ これまでに開発してきた農業機械により、手作業による慣行作業体系と比べて作業時間が短縮した、複数
台の機械で行っていた作業を一台で対応が可能など、機械導入により省力化、低コスト化の効果が出てい
る。
野菜の収穫作業の効率化
汎用利用化
例:小型汎用コンバイン
例:ねぎ収穫機
収穫から搬出までを1名の軽作業で
実現。
畝を低速で自動走行することが可
能で、収穫作業中の操舵が不要。
稲、麦、大豆、そば、ナタネ等雑穀に
1台で対応可能。
4tトラックに積載可能であり、広域的
な利用が可能。
〔導入効果〕
〔導入効果〕
稲・麦用の自脱型コンバインと大豆コンバイ
業)に比べ、「収穫」に要する労働時間を
ンの組合せに比べ、収穫機械の償却費を
約1/5に低減
約3割低減
(40時間/10a→8.3時間/10a)
例:高精度畑用中耕除草機
(H24年度市販化)
(H10年度市販化)
ねぎ栽培の慣行作業体系(2人組収穫手作
除草作業の効率化
(H21年度市販化)
2対のディスクにより中耕除草と培
土を行うことで高速な作業が可能。
土壌の反転作用が強く雑草防除
性能が高い。
〔導入効果〕
従来機(ロータリ式中耕除草機)に比べ、
作業能率は
約2倍
(3km/時間→6km/時間)
40
(4) 平成27年度から開発する機種の概要
(1) 農作業の省力化・低コスト化を図り規模拡大等による農業経営の体質強化に資する機械
分野
機 種 名
開発機の概要
目標
土地利用型
作物
畜産
高速高精度汎用
播種機
稲、麦、大豆およびトウモロコシ等多様な作
物種子を高速高精度に播種することが可能
で、一部不耕起ほ場にも適応する播種機
作業の高速化および耕うん整地作業の省略等によっ
て、播種時期の作業時間を2~4割程度削減する。
(開発期間:平成27年~29年、開発費:5千万円)
園芸作物
野菜用の高速局
所施肥機
高精度に車速に連動し高速で作業ができる
ほか、主にキャベツを対象に、生育に効果的
な位置に局所施肥を行うことで、施肥量の削
減を可能とする施肥機
設定施肥量に対する実施肥量の誤差2%以内、最高
作業速度1.4m/sを目標とする。
(開発期間:平成27年~29年、開発費:4千万円)
軟弱野菜の高能
率調製機
ホウレンソウ等の軟弱野菜を1株ずつ供給す
るだけで根切りと下葉取りが行え、手直しに
よる調製時間が削減できる高能率の調製機
搬送機構の見直し、下葉調製部のブラシや調製ロー
ルの改良により、既存のホウレンソウ調製機より30~
50%高能率化し、きれいに仕上げる。
(開発期間:平成27年~29年、開発費:4千万円)
(2) 消費者ニーズに則した安全で環境にやさしい農業の確立に資する機械
分野
機 種 名
開発機の概要
目標
土地利用
型作物
籾殻燃焼バーナー
穀物乾燥に用いる石油削減のために、籾殻
の燃焼熱を穀物乾燥機に利用することのでき
る籾殻燃焼バーナー
ライスセンターに設置することができる小型の籾殻燃
焼バーナーで、熱出力は418MJ(10万kcal)程度とする。
燃焼となる籾殻の投入や灰の排出および熱風温度の
制御は自動化し、最終的に穀物乾燥に係るランニング
コストを50%削減する。
(開発期間:平成27年~29年、開発費:6千万円)
41
(5) 開発状況
①
農作業のさらなる省力化に資する機械
高性能・高耐久コンバイン(2014年~2016年)
自脱コンバイン
【慣行】
○ 開発機の概要(新旧比較)
【新】
水稲収穫性能の向上
 日本型水稲が収穫できる汎用コンバインとし、5条
刈り自脱コンバインと同等の作業能率を有する。
 刈取り部および脱穀機構等の改良により脱穀所要
動力を低減する。




稲、麦で高性能
刈取り部、脱穀選別部の構造が複雑
収穫作業中につまると、長時間作業を停止
交換部品が多く、メンテナンスに費用大
 自脱コンバインと比較して消耗部品の交換点数を
削減する。
汎用コンバイン
 自脱コンバインと比較して構造が簡素で高耐久
 稲、麦、大豆等多作物の収穫で利用可能
 水稲収穫時の作業速度が低い
汎用コンバインによる水稲収穫面積拡
大による収穫コストの削減
42
② 環境負荷の低減及び農業生産資材に資する機械
乗用管理機等に搭載する水田用除草装置(2012年~2014年)
○ 開発機の概要(新旧比較)
【旧】
① 歩行型では除草効率・労
力が問題。
② 既存の除草機では,株間
の除草効果が低い。
【新】
① ベース車は,乗用で小型・軽量
② 除草機装置のミッドマウント搭
載。確認しながら除草作業。
③ 除草作業速度の高速化。
④ 欠株減少,株間除草効果の向上。
⑤ 安価で導入が容易。水稲有機栽培
規模拡大に寄与。
③ 機械除草では欠株が多い。
④ 大規模栽培の場合,1台
の除草機では除草作業が
間に合わない。
43
③ 農作業の安全に資する機械
~平成26年度より、対応可能機種から随時導入~
乗用型トラクターの片ブレーキ防止装置の開発
開発背景と目的
左右のブレーキペダルの連結、解除
は手動で行う必要があり手間がかかる
ことから、連結・解除操作を省略しが
ちである。
一方、乗用型トラクター事故のうち
片ブレーキが原因と疑われる転落・転
倒事故は13%も占めることから、こ
の新装置の実用化により当該原因によ
る事故を0件とする。
開発期間:2011~2013年
連結解除ペダルを踏んでいる間のみ片ブレーキを使用可能。
連結解除ペダルロックレバーによる切り替えで、解除ペダルの
誤操作を防止。
自脱コンバインの手こぎ部の緊急即時停止装置の開発
開発目的
停止ボタン操作後すぐに
フィードチェーンが止まら
ないことや小柄な作業者に
よっては停止ボタンに手が
届かない型式があることか
ら、巻き込まれによる死亡
事故と負傷事故のうち、入
院が必要な負傷を招く事故
の撲滅を目標とする。
開発期間:2011~2013年
通常作業型
緊急停止ボタンを押すとただちにフィード
チェーンが停止し、こぎ胴カバーが解放
され、手を抜き出すことができる
両手作業型
両手で作業する時のみ
手こぎ可能。
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