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交通システムの特性と計画手順 交通工学(p3) 道路の機能と計画 道路の
交通計画A 第1回 交通の定義と計画の必要性(p1) 交通システムの特性と計画手順 新しい都市交通システム(山海堂)都市交通 研究会著、1997 新 交通機関論(コロナ社)赤木新介、1995 どのような交通システムがあるか,列挙して 分類しよう 人、財貨、情報の場所的移動 特定の目的を持った人間の意思による移動 専用の空間が必要 都市活動(住む、働く、憩う)の空間的な分離 それらをつなぐための交通が不可欠 土地利用計画と都市交通計画の連携 空間の使い分けをおこなう 都市活動の場に人や財貨を集める 1 2 交通工学(p3) 道路の機能と計画 道路交通工学 Traffic Engineering 1930 交通機能と空間機能 道路の階層構成 特定の場所における自動車交通の記述 単路部や交差点の容量の決定 道路街路の設計と交通運営 交通機能と安全性の両立のために 運輸工学 Transportation Engineering 1950 自動車以外の交通機関を含めた総合的検討 移動者から見た安全性、迅速性、快適性(Mobility) 経済性と環境負荷 3 4 道路の機能分類(1.3,p6) 道路の階層構成(1.3.2,p7) 道路の機能 交 通 機 能 整備による効果 トラフィッ 自動車,自転車,歩行 道路交通の安全確保 時間距離の短縮 ク機能 者などの通行 道路の種類 自動車専用道路 完全出入制限 主要幹線道路 都市間・通過交通 出入制限 幹線道路 地区間を連絡 補助幹線道路 地区に入るための道路 区画道路 地区の中のアクセス道路 特殊道路(歩行者・自転車道)緑道・モール 交通混雑の緩和,輸送費の低減 アクセ ス機能 沿道の土地,建物,施 地域開発の基盤整備 生活基盤の拡充 設などへの出入り 土地利用の促進 空間機能 公共施設の収容 電気,電話,ガス,上下水道,地下 鉄などの収容 居住環境の形成 都市の骨格形成,緑化,通風,採 光 避難路,消防活動,延焼防止 防災機能 5 6 1 道路の階層構成:通過交通の排除 ブキャナンリポート(1963)で提案 幹線分散路,地区分散路,局地分散路,アクセス道路 通過交通の排除 上位の道路:通過交通のみ 下位の道路:アクセス交通のみ 段階を飛び越えた道路を 直接連結しない 上位の道路で囲まれた空間 →居住環境地区 7 8 近隣住区論(C.A.Perry)1927 地区道路計画(p9) 小学校区を単位に 居住環境地区(生活の場)に通過交通の車 が入らないようにする 道路の段階構成(入りにくくする) 都市計画的対応(車を使わずにすむ都市に) 地区内の車と歩行者・住民との衝突回避 広幅員幹線道路で囲む 公共建築物を中心に 商業地区(自動車交通が 発生)は周囲に 徒歩の範囲で生活でき るようにする 空間的に分離する(歩車分離) 入ってしまった車をいじめて,スピードを落とさ せる(歩車共存) 9 10 ラドバーン方式(Radburn Layout) • C.Stain I.Wright(1928) • クルドサック (袋小路) • 自動車と歩行者 の動線を完全に 分離 11 12 2 トラフィックゾーン・システム カナダ・カルガリー高架歩道 都心部をいくつかのセルに分割 ゾーン間通過を規制 環状道路への迂回 イエテボリ(Sweden) ブレーメン(Germany) 13 USA ヒューストン 地下歩道 A 6-mile system of underground pedestrian tunnels and sky walks that includes a variety of shops and more than 100 restaurants. Connects 55 buildings with three hotels in the downtown area. The underground area is wheelchair accessible. Tours available. Maps available in banks along route and at Visitor Information Center. Calgary's +15 walkway system 16 kilometers and 58 bridges of elevated climate controlled pedestrian system provides convenient and easy accessibility to over 100 Downtown office buildings. 14 歩車共存(Woonerf:生活の庭) 1972年 オランダ デルフト 15 16 コミュニティー道路・モール(商 業) コミュニティー道路(住宅地) 17 18 3 いろいろな都市の交通システム LRT Light Rail Transit 新しい都市交通システム(山海堂)都市交通 研究会著、1997 新 交通機関論(コロナ社)赤木新介、1995 どのような交通システムがあるか,列挙して 分類しよう システムの概要:専用または分 離された軌道に、加速性・快適 性などを高めた車両が走行する システム 特徴:従来の路面電車の発展型 であり、建設費が安く、乗降が 容易 最大輸送力:1時間あたり 5,000人 表定速度:時速10キロメートル から30キロメートル 導入例:富山ライトレール 19 グルノーブル(1987) 全長33m 両端台車で駆動 中間は独立車輪で低床化 20 ストラスブール(フランス)1994 http://takemaru.free.fr/photos.htm http://eurotram.web.infoseek.co.jp/pg/fr/gr1.jpg 画期的なデザイン、新設での導入 21 AGT Automated Guideway Transit モノレール システムの概要:1本の走行路 の上にゴムタイヤの車両が跨座 (またがる)または、懸垂(ぶ らさがる)して走行するシステ ム 特徴:AGTに比べ、占用空間が 少ない、急曲線・急勾配に対応 可能 最大輸送力:1時間あたり 26,000人 表定速度:時速20キロメート ルから30キロメートル 導入例:多摩モノレール 22 システムの概要:高架などの 専用軌道を、小型軽量のゴム タイヤ付き車両がガイドウエ イに沿って走行するシステム 特徴:完全自動運行システム による無人運転が可能 最大輸送力:1時間あたり 20,000人 表定速度:時速15キロメート ルから30キロメートル 導入例:ゆりかもめ 23 24 4 リニア(小断面)地下鉄 ガイドウェイ・バス システムの概要:動力にリニア モーターを採用し、小型化され た車両を使用する地下鉄 特徴:これまでの地下鉄に比べ、 建設費が安い、急曲線・急勾配 に対応可能 最大輸送力:1時間あたり 現在営業中の路線 35,000人 都営地下鉄・大江戸線 表定速度:時速34キロメート 京都市営地下鉄・東西線 ※ ル 大阪市営地下鉄・長堀鶴見 緑地線 導入例:都営地下鉄大江戸線 大阪市営地下鉄・今里筋線 神戸市営地下鉄・海岸線 25 福岡市地下鉄・七隈線 システムの概要:高架専用軌 道を設置し、ガイドレールに 沿って走行するシステム 特徴:高架部だけではなく、 一般道路も走行できるデュア ルモードシステムである 最大輸送力:1時間あたり 3,000人 表定速度:時速10キロメート ルから30キロメートル 導入例:名古屋市バス 26 ガイドウェーバスのいろいろ その他の新交通システム ゆとりーとライン(名古屋)2001 接触式案内輪方式 ルーアン(フランス)、 白線の光学センサー式 CIVIS マンハイム(ドイツ)1984 接触式案内輪でLRTと共用 アイントホフェン(オランダ) 磁気鋲の読み取り方式 27 ボルドー(2003) 28 ナンシー(2000,2002) ボンバルディア社のTVRガイドウェイトロリーバス(3車体連接の全低床形) 架線レス(第3レール集電式) 堺市HPより 29 ゴムタイヤ+1本レール 集電は2本架線 http://members2.tsukaeru.net/eutram/t/fna/na.html 30 5 ハイブリッド型LRT ディーゼル+電気 ゴムタイヤ式、1本レール トランスロール ノルドハウゼン(ドイツ) 導入予定:クレモンフェラン(フランス) パドバ、ベネチア等(イタリア) ディーゼル発電機を搭載 31 32 都市交通 システムの 特徴 愛知万博IMTS (磁気鋲式自動運転) 33 都市交通 システムの 機能比較 34 都市交通システムの適応範囲 35 36 6 都市交通の必要空間 Vehicleだけでは使えない! 走行空間 交通の3要素 交通手段 交通主体 交通路 ある時間の長さには1つのVehicleが その空間を独占できるような仕組みが必要 高速になれば、その空間は大きくなる Vehicle開発 使う(使える)人がいるのか? 乗降でき、走れる場所があるか? そのほかにも、普及の条件が必要 乗降空間 保管空間 ガスステーション(天然ガス車、燃料電池車) 検査・修理工場のシステム(トヨタプリウス) 免許制度など(デュアルモードバス) 37 38 地下鉄の費用の半分以上は 土木費(トンネル構築費) 交通路に着目した分類 導入空間 路線敷 軌道方式 (走行空間幅) 信号・運転方式 (車頭間隔) 39 公共交通機関の特性 公共交通機関の特性 基本的な設備やVehicleの費用が大きい 建設費:地下250億円/km、高架100億円/km 鉄道車両:1両1億円 旅客が少なくても、必ず一定の固定費用がかかる 費用 平均費用 総費用 可変費用 固定費用分 固定費用 40 公共交通のよさは、利用人員が多いときに発揮で きる。 利用人数が少ないと、一人当たりの費用(平均費 用)が高くなり、サービス水準が下がる その結果、自動車との競争に負け、さらに利用人 数が減る 悪循環に陥る危険性がある 可変費用分 旅客数 旅客数 41 利用に見合った計画を立てることが重要である 42 7 交通計画がなぜ必要か? 道路設計のための必要情報 計画交通量 交通施設の設計のために →道路種別 →車線数・横断構成 →橋梁等の諸元 →用地・工法 →工期・工費 どのぐらいの輸送能力が必要か? →利用量に見合った無駄のない設計 どのぐらい利用されそうか? →収入の見通し→資金計画 他の都市政策との連携のために 北四番丁大衡線 荒巻橋梁 都市開発をしても渋滞が起きないか? 交通施設を生かすような都市開発 都市開発を支える交通条件を提供 ドーピー建設工業橋本共同企業体:http://homepage2.nifty.com/kita4/44 43 都市開発政策との連携 交通課題の変遷 地下鉄などの公共交通機関は,多くの利用者がな いと有利さが発揮できない 公共交通指向型開発(transit oriented development) 駅の周辺に学校・病院などの施設を誘致 沿線に高密度な集合住宅を配置 都市開発を決めるために交通計画が必要 交通施設の計画を前提に都市施設を計画 混雑や渋滞解消のための(道路)施設増強 複数ルート間の適切配分による渋滞緩和 道路交通の逼迫と他機関への再分担 TDM(交通需要管理)施策 施設整備が先行すると,不便になり渋滞も誘発 土地区画整理事業等で,交通施設の用地を捻出 複数の機関の乗継利用(Park&Ride) 出発時刻の調整(時差出勤,Flextime制度) 地球環境問題への関心の高まり 45 都市構造,土地利用の見直し 生活行動様式の見直し(Mobility Management) 46 8