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爆風

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爆風
福島第一原子力発電所1/2号機排気筒の
部材損傷に対する原因分析について
平成26年4月16日
東京電力株式会社
目
次
1. はじめに
2. 1/2号機排気筒の損傷概要
3. 1/2号機排気筒の損傷原因の検討
3-1. 地震
3-2. 風
3-3. 水素爆発
4. まとめ
参考1.
参考2.
参考3.
参考4.
1/2号機排気筒の経年劣化
1/2号機排気筒と3/4号機排気筒の比較
風荷重の算定方法
水素爆発荷重の算定方法
無断複写・転載禁止
東京電力株式会社
1
1. はじめに
無断複写・転載禁止
東京電力株式会社
2
1/2号機排気筒の部材損傷に対する原因分析の概要
福島第一原子力発電所の1/2号機排気筒で確認された損傷の原因分析
水平材
として、「地震」・「風」・「水素爆発」の外力に対して検討を行った。
「地震」は、東北地方太平洋沖地震の観測記録を用いた解析を実施した。
主柱材
斜
材
「風」は、建築基準法で定められている基準風速(10分間の平均風速)を
小名浜の最大風速(10分間の平均風速)として読み替えて評価を行った。
「水素爆発」は、爆風による荷重と地動による荷重を同時に作用させて評価
を行った。
PN
解析モデル
無断複写・転載禁止
東京電力株式会社
3
2. 1/2号機排気筒の損傷概要
無断複写・転載禁止
東京電力株式会社
4
点検結果概要
破断箇所
変形箇所
:5箇所(北面:2箇所 南面:2箇所 西面:1箇所)
:3箇所(東面:2箇所 南面:1箇所)
いずれも GL+66m( O.P.+76m)付近の斜材接合部
F
F
F
F
G
G
G
G
H
H
H
H
北側立面
東側立面
南側立面
西側立面
無断複写・転載禁止
東京電力株式会社
5
損傷状況
主な損傷は、水平材と斜材の接合部で破断が確認されている。
塗膜剥離
破
破断
破断
北面
外側
断
破断
北面
内側
無断複写・転載禁止
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6
接合部の詳細
損傷箇所接合部は、水平材側ガセットプレート(厚さ10mm)と斜材側ガセット
プレート(厚さ10mm)を両面からスプライスプレート(厚さ6mm)で挟み込み、
高力ボルトにより接合されている。
破断位置
スプライス
プレート
高力ボルト
10
PL-6
PL-10
PL-10
水平材側
PL-6
ガセット スプライス
プレート プレート
接合部全体図
斜材側
ガセット
プレート
接合部断面図
無断複写・転載禁止
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7
破断状況の分析
ガセットプレート間のスプライスプレート(厚さ6mm)で破断している。
水平材側ガセットプレートに幅広の塗膜剥離が見られることから、接合部に面外
変形を生じた可能性がある。
塗膜剥離
破
塗膜剥離
断
破断
破断
破断
北面
南面
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8
破断状況の分析
純軸応力状態で破断するのであれば、当該スプライスプレートのボルト孔欠損断
面位置①であると想定されるが、実際には破断耐力の大きい②位置で損傷を受け
ているため、純軸応力のみで破断したとは考え難い。
②破断位置 ①ボルト孔欠損部
接合部断面図
無断複写・転載禁止
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9
破断状況の分析
②破断位置 ①ボルト孔欠損部
A
B
A
B
①ボルト孔欠損部
断面積:A=3216mm2
接合部断面図
(B-B断面)
A
B
②破断位置
断面積:A=4320mm2
A
B
(A-A断面)
断面積
(mm2)
①ボルト孔欠損部
3,216
②破断位置
4,320
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10
3. 1/2号機排気筒の損傷原因の検討
無断複写・転載禁止
東京電力株式会社
11
検討フロー
水素爆発固有
G
①斜材の検討
(母材)
②接合部の軸力
+面外曲げ検討
②’ 接合部の 軸力
+面外曲げ検討
+個材検討
H
※破断が確認されたGH間1層分を切り出
したモデルで個材曲げを評価
③接合部の
面外座屈検討
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12
3-1. 地震
無断複写・転載禁止
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13
東北地方太平洋沖地震の観測記録を用いたシミュレーション解析
健全状態での解析モデルに、東北地方太平洋沖地震時の
筒身
観測記録を入力した地震応答解析を実施した。
対象地震
東北地方太平洋沖地震での観測記録
解析モデル
三次元フレーム
解析手法
鉄塔
線形時刻歴応答解析
評価対象
鉄塔(主柱材・斜材・水平材)、接合部
解析モデル図
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14
入力地震動の算定
排気筒
入力地震動の算定フロー
0.P.-200mに位置する地震計の観測記録を用い、
[地盤モデル]
地表面(GL)
O.P.10m
解放基盤表面において、はぎとり波を推定
O.P.7m
E+F
解放基盤表面から地表面までの速度構造を成層
基礎下端位置の応答波を入力
と仮定した地盤モデルを作成
一次元波動論
一次元波動論
による
による
応答解析
応答解析
解放基盤の深さ
206.0m
一次元波動論による地震応答解析を実施
基礎底面位置での地震動を入力地震動(水平・
解放基盤表面
O.P.-196m
鉛直同時入力)とする。
はぎとり波
E0
入
射
波
F0
反
射
波
無断複写・転載禁止
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15
解析結果
①主柱材・斜材・水平材の検討
各部材の評価結果のうち、検定比が最大となる部位及び損傷が確認されたG-H間斜材
水平材
について、検討結果(弾性限に対する検定比)を示す。
部材
N
(kN)
M
(kNm)
A
(×102mm2)
Z
(×103mm3)
主柱材
1,499
28
213.8
2,526.5
G-H
438
-
54.1
-
H-I
563
-
54.1
-
水平材
84
-
38.4
箇
所
鉄 斜
塔 材
記号の説明
N
M
A
Z
sfc
sfb
sσc
sσb
軸力(圧縮を正とする。)
曲げモーメント
断面積
断面係数
圧縮応力に対する許容値
曲げ応力に対する許容値
圧縮応力(N/A)
曲げ応力(M/Z)
主柱材
斜 材
(G-H間)
-
斜 材
(H-I間)

箇
所
部材
主柱材
鉄 斜 G-H
塔 材 H-I
水平材

座屈耐力 降伏耐力 s c  s b
σ
σ
s c
s b
f
f
s c s b
2
Sfc
sfb
(N/mm ) (N/mm2)
(N/mm2) (N/mm2) 検定比
判定
70.1
11.1
228.2
258.5
0.36
≦1
OK
81.0
-
227.5
-
0.36
≦1
OK
104.1
-
227.4
-
0.46
≦1
OK
21.9
-
224.8
-
0.10
≦1
OK
PN
:検定比が最大位置を示す。
応力評価部位
無断複写・転載禁止
東京電力株式会社
16
解析結果
②接合部の軸力+面外曲げ検討
地震荷重に対する斜材端部スプライスプレートに生じる発生応力度(軸応力度+曲げ応力
度)を以下により評価する。
軸応力度
: x 
N
ASPL
曲げ応力度:  b 
 E D SPL
M
EI ・  / L SPL



Z
I / ( D SPL / 2 ) L SPL
2
N 軸力(圧縮を正とする。)
ASPL スプライスプレートの全断面積
M 面外曲げ応力
Z スプライスプレートの断面係数
E ヤング係数
I スプライスプレートの断面二次モーメント
Θ 斜材端部の構面外の回転角
LSPL スプライスプレートの全長
DSPL スプライスプレートの構面外の最外端距離
損傷接合部(G-H間G側)スプライスプレートの
面外曲げ応力を考慮した検討結果(弾性限に対する検定比)
部材
スプライス
プレート
幅
材長
板厚
厚さ
(mm) (mm) (mm) (mm)
180
100
6
22
断面積
(mm2)
軸力
(kN)
4,320.0
438
材端
発生
回転角
応力度
(×10-3rad) (N/mm2)
0.502
検定比
判定
113
0.44
無断複写・転載禁止
東京電力株式会社
≦1
OK
17
解析結果
③接合部の面外座屈検討
地震荷重に対する斜材端部スプライスプレートの面外座屈の検討を以下により評価する。
N lim  min  N lim1 , N lim 2 
N lim1 
N lim 2 
M
M
r
p
r
p
M pr 破断接合部における終局曲げ耐力

M 0r 初期曲げモーメント
 M 0r ar  N crr
 M 0r
 a N   1
1  2 M
1  2 M
g
p
r
g
p
B
cr
N
 M  2M
r
p
 M  2M
r
p
偏心量
ar
r
0
r
0
a
接合部座屈荷重
N crB 材全体の最少弾性座屈荷重

r
B
cr
 a N   1
r
r
cr
M pg
材全長に対する接合部長さの割合
軸力を考慮したGPL面外終局曲げ耐力
損傷接合部(G-H間G側)の面外座屈の検討結果
部材
スプライス
プレート
M pr
M 0r
ar
N crr N crB
(kNm) (kNm) (mm) (kN) (kN)
5.4
0.06
3
34.7
798

0.0294
M pg
(kNm)
(kN)
3.97
562
N lim
発生軸力
N cu
(kN)
検定比
判定
N cu / N lim
438
無断複写・転載禁止
0.78
≦1
東京電力株式会社
OK
18
3-2. 風
無断複写・転載禁止
東京電力株式会社
19
風荷重に対する検討
風荷重に対する検討は、基準風速(10分間の平均風速)を
筒身
最大風速として読み替えて算定した風荷重に対して行う。
算定式
速度圧:q=0.6E・V02 (N/m2)
(建築基準法施行令第87条による)
検討条件
地表面粗度区分※:Ⅱ
基準風速:V0=20.0m/s
解析モデル
鉄塔
三次元フレーム(地震応答解析モデルに同じ)
解析手法
静的解析
評価対象
鉄塔(主柱材・斜材・水平材)、接合部
※:建築物の密度に応じて定める値
解析モデル図
無断複写・転載禁止
東京電力株式会社
20
2013/7/1
2013/5/1
2013/3/1
2013/1/1
2012/11/1
2012/9/1
2012/7/1
2012/5/1
2012/3/1
2012/1/1
2011/11/1
2011/9/1
2011/7/1
2011/5/1
2011/3/1
2011/1/1
2010/11/1
2010/9/1
2010/7/1
2010/5/1
25
2010/3/1
2010/1/1
2009/11/1
2009/9/1
2009/7/1
2009/5/1
風速(m/s)
風荷重に対する検討
排気筒に損傷等が認められなかった前回点検 (2009.5) (参考1.参照) からカメラ撮影終了
(2013.8.29)までの気象庁HP公開データによる最大風速
観測点:小名浜
年月日:2011/9/21
最大風速:20.0 m/s
20
15
10
5
凡例
小名浜
浪江
0
広野
無断複写・転載禁止
東京電力株式会社
21
解析結果
①主柱材・斜材・水平材の検討
各部材の評価結果のうち、検定比が最大となる部位及び損傷が確認されたG-H間斜材
について、検討結果(弾性限に対する検定比)を示す。
部材
N
(kN)
M
(kNm)
A
(×102mm2)
Z
(×103mm3)
主柱材
1,138
17.8
318.7
4,929.9
G-H
203
-
54.1
-
H-I
212
-
54.1
-
水平材
22
-
54.1
-
箇
所
鉄 斜
塔 材
記号の説明
N
M
A
Z
sfc
sfb
sσc
sσb
軸力(圧縮を正とする。)
曲げモーメント
断面積
断面係数
圧縮応力に対する許容値
曲げ応力に対する許容値
圧縮応力(N/A)
曲げ応力(M/Z)
水平材
斜 材
(H-I間)

箇
所
部材
主柱材
鉄 斜 G-H
塔 材 H-I
水平材
斜 材
(G-H間)
主柱材

座屈耐力 降伏耐力 s c  s b
σ
σ
s c
s b
f
f
s c s b
2
Sfc
sfb
(N/mm ) (N/mm2)
(N/mm2) (N/mm2) 検定比
判定
35.7
3.6
236.7
258.5
0.17
≦1
OK
37.5
-
227.5
-
0.17
≦1
OK
39.2
-
227.4
-
0.18
≦1
OK
4.1
-
183.1
-
0.03
≦1
OK
PN
:検定比が最大位置を示す。
応力評価部位
無断複写・転載禁止
東京電力株式会社
22
解析結果
②接合部の軸力+面外曲げ検討
風荷重に対する斜材端部スプライスプレートの発生応力度(軸応力度+面外曲げ応力度)を
以下により評価する。
軸応力度
N
: x 
ASPL
曲げ応力度:  b 
 E D SPL
M
EI ・  / L SPL



Z
I / ( D SPL / 2 ) L SPL
2
N 軸力(圧縮を正とする。)
ASPL スプライスプレートの全断面積
M 面外曲げ応力
Z スプライスプレートの断面係数
E ヤング係数
I スプライスプレートの断面二次モーメント
Θ 斜材端部の構面外の回転角
LSPL スプライスプレートの全長
DSPL スプライスプレートの構面外の最外端距離
損傷接合部(G-H間G側)スプライスプレートの
面外曲げ応力を考慮した検討結果(弾性限に対する検定比)
部材
スプライス
プレート
幅
材長
板厚
厚さ
(mm) (mm) (mm) (mm)
180
100
6
22
断面積
(mm2)
軸力
(kN)
4,320.0
203
材端
発生
回転角
応力度
(×10-3rad) (N/mm2)
0.105
検定比
49
無断複写・転載禁止
0.19
判定
≦1
東京電力株式会社
OK
23
解析結果
③接合部の面外座屈検討
風荷重に対する斜材端部スプライスプレートの面外座屈の検討を以下により評価する。
N lim  min  N lim1 , N lim 2 
N lim1 
N lim 2 
M
M
r
p
r
p
M pr 破断接合部における終局曲げ耐力

M 0r 初期曲げモーメント
 M 0r ar  N crr
 M 0r
 a N   1
1  2 M
1  2 M
g
p
r
g
p
B
cr
N
 M  2M
r
p
 M  2M
r
p
偏心量
ar
r
0
r
0
a
接合部座屈荷重
N crB 材全体の最少弾性座屈荷重

r
B
cr
 a N   1
r
r
cr
M pg
材全長に対する接合部長さの割合
軸力を考慮したGPL面外終局曲げ耐力
損傷接合部(G-H間G側)の面外座屈の検討結果
部材
スプライス
プレート
M pr
M 0r
ar
N crr N crB
(kNm) (kNm) (mm) (kN) (kN)
7.3
0.02
3
34.7
798

0.0294
M pg
(kNm)
(kN)
4.56
609
N lim
発生軸力
N cu
(kN)
検定比
判定
N cu / N lim
203
無断複写・転載禁止
0.34
≦1
東京電力株式会社
OK
24
3-3. 水素爆発
無断複写・転載禁止
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25
水素爆発荷重に対する検討方法
水素爆発荷重による検討は、地震荷重による検討に
筒身
用いた解析モデルに対して、水素爆発荷重を動的に
作用させた時刻歴応答解析を実施した。
対象荷重
①排気筒近傍の地表面の加速度記録を
入力した際の荷重
②爆風圧により上部構造に作用する圧力荷重
解析モデル
三次元フレーム
鉄塔
(地震応答解析モデルに同じ)
解析手法
線形時刻歴応答解析
評価対象
鉄塔(主柱材・斜材・水平材)、接合部
解析モデル図
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26
水素爆発荷重に対する検討方法
水素爆発荷重に対する検討は、爆発の地動による加速度と、爆風による圧力荷重を同時に
考慮して時刻歴応答解析を実施した。
②爆風による圧力荷重
筒身
主柱材
A
B
P1
O.P.+121.0m
P2
P3
P4
P5
C
D
斜材
O.P.+130.0m
O.P.+104.2m
P6
E
F
O.P.+86.4m
P8
G
H
P7
O.P.+64.8m
P9
P10
I
水平材
O.P.+38.9m
J
O.P.+40.0m
P12
K
GL±0m
L
約55.4m
P11
O.P.+10.0m
①地動による加速度
地動
荷重載荷点
無断複写・転載禁止
東京電力株式会社
27
①地動による加速度
1/2号機排気筒に最も近い地表面(O.P.10m)に
設置されている観測点C地震計の水素爆発時の記録
を用い、時刻歴応答解析を実施した。
最大値:2320cm/s^2
3000
加速度(cm/s 2)
水素爆発荷重
2000
1000
0
-1000
-2000
-3000
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
NS
2.5
時刻(s)
3.0
3.5
4.0
4.5
5.0
加速度時刻歴波形(NS方向)
1/2号機排気筒
最大値: 2392cm/s^2
加速度(cm/s 2)
3000
2000
1000
0
-1000
-2000
-3000
0.0
0.5
1.0
1.5
2.0
EW
2.5
時刻(s)
3.0
3.5
4.0
4.5
5.0
加速度時刻歴波形(EW方向)
最大値: 1956cm/s^2
加速度(cm/s 2)
3000
2000
1000
0
-1000
-2000
-3000
0.0
UD
0.5
1.0
1.5
2.0
2.5
時刻(s)
3.0
3.5
4.0
4.5
5.0
加速度時刻歴波形(UD方向)
配置図
注)
加速度時刻歴の横軸は爆発時刻(15時36分)をゼロとして表示
無断複写・転載禁止
東京電力株式会社
28
水素爆発荷重
②圧力荷重の算定条件
上部構造に作用する圧力荷重の算定条件は以下の想定による(参考4.参照)
算定条件
・原子炉建屋内上昇圧:
原子炉建屋5階オペフロの屋根材や壁材の
飛散状況より上昇圧力160kPaと推定
→上昇圧力より、オペフロ上部空間内に
水素が7.5 vol%で一様に分布していると想定
・ピーク圧力:
対象構造物までの距離の2乗に応じて低減
1F1-R/Bと排気筒の位置関係
・力積、到達時間、継続時間:
「2012年度日本建築学会大会(東海)構造力学部門(応用力学)
パネルディスカッション資料
建築物の耐衝撃設計を考える」を参考に設定。
無断複写・転載禁止
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29
水素爆発荷重
荷重
載荷点
算定
部位
P1
P2
P3
P4
P5
P6
P7
P8
P9
P10
P11
P12
②圧力荷重の算定条件
東西面
南北面
ピーク圧
(kPa)
到達時間
(ms)
継続時間
(ms)
ピーク圧
(kPa)
到達時間
(ms)
継続時間
(ms)
筒身頂部
5.0
294
10
2.4
294
10
A-B間
5.7
278
10
2.7
278
10
B-C間
6.2
267
9
3.0
267
9
C-D間
6.9
254
9
3.3
254
9
D-E間
7.8
240
8
3.8
240
8
E-F間
9.3
224
7
4.5
224
7
F-G間
10.9
208
7
5.3
208
7
G-H間
12.7
194
6
6.1
194
6
H- I 間
13.9
185
6
6.7
185
6
I -J間
14.0
181
6
6.8
181
6
J-K間
14.0
185
6
6.7
185
6
K-L間
12.2
198
6
5.9
198
6
注)荷重載荷点の支配面積(見付け)に各算定部位の圧力を乗じて水素爆発荷重を設定
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30
解析結果
①主柱材・斜材・水平材の検討
各部材の評価結果のうち、検定比が最大となる部位及び損傷が確認されたG-H間斜材
水平材
について、検討結果(弾性限に対する検定比)を示す。
部材
N
(kN)
M
(kNm)
A
(×102mm2)
Z
(×103mm3)
主柱材
1,848
28
213.8
2,526.5
G-H
588
-
54.1
-
H-I
765
-
54.1
-
水平材
87
-
38.4
箇
所
鉄 斜
塔 材
箇
所
部材
主柱材
鉄 斜 G-H
塔 材 H-I
水平材
記号の説明
N
M
A
Z
sfc
sfb
sσc
sσb
軸力(圧縮を正とする。)
曲げモーメント
断面積
断面係数
圧縮応力に対する許容値
曲げ応力に対する許容値
圧縮応力(N/A)
曲げ応力(M/Z)
斜 材
(G-H間)
-

斜 材
(H-I間)

s cs b
f
s b
f
f
(N/mm2) s c s b
検定比
sσc
sσb
sfc
86.4
11.1
228.2
258.5
0.43
≦1
OK
108.7
-
227.5
-
0.48
≦1
OK
141.4
-
227.4
-
0.63
≦1
OK
22.7
-
224.8
-
0.11
≦1
OK
(N/mm2) (N/mm2) (N/mm2)
主柱材
判定
PN
:検定比が最大位置を示す。
応力評価部位
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31
解析結果
②接合部の軸力+面外曲げ検討
水素爆発荷重に対する斜材端部スプライスプレートに生じる発生応力度(軸応力度+面外曲
げ応力度)を以下により評価する。
軸応力度
: x 
N
ASPL
曲げ応力度:  b 
M
EI ・  / L SPL
 E D SPL



Z
I / ( D SPL / 2 )
L SPL
2
N 軸力(圧縮を正とする。)
ASPL スプライスプレートの全断面積
M 面外曲げ応力
Z スプライスプレートの断面係数
E ヤング係数
I スプライスプレートの断面二次モーメント
Θ 斜材端部の構面外の回転角
LSPL スプライスプレートの全長
DSPL スプライスプレートの構面外の最外端距離
損傷接合部(G-H間G側)スプライスプレートの
面外曲げ応力を考慮した検討結果(弾性限に対する検定比)
部材
スプライス
プレート
幅
材長
板厚
厚さ
(mm) (mm) (mm) (mm)
180
100
6
22
断面積
(mm2)
軸力
(kN)
4,320.0
588
材端
発生
回転角
応力度
(×10-3rad) (N/mm2)
6.585
検定比
判定
284
1.10
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>1
NG
32
解析結果
②’接合部の軸力+面外曲げ検討+個材検討
G
水素爆発に対するスプライスプレートの個材曲げの
検討を行うために、G-H間1層分を切り出したモデ
ル(左図)を作成の上、静的応力解析を実施した。
検討は、1層切り出しモデルのG側スプライスプ
H
レート部で行った。
個材曲げの検討結果を示す。
損傷接合部(G-H間G側)スプライスプレートの
個材曲げ応力を考慮した検討結果(弾性限に対する検定比)
部材
スプライス
プレート
断面積
(mm2)
断面係数
構面内
(mm3)
構面外
(mm3)
4,320.0 319,680.0 26,309.0
曲げ
軸力
(kN) 構面内 構面外
(kNm) (kNm)
17
2
4
発生
応力度
(N/mm2)
検定比
391
1.52
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判定
>1
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NG
33
解析結果
③接合部の面外座屈検討
水素爆発荷重に対する斜材端部スプライスプレートの面外座屈の検討を以下により評価する。
N lim  min  N lim1 , N lim 2 
N lim1 
N lim 2 
M
M
r
p
r
p
M pr 破断接合部における終局曲げ耐力

M 0r 初期曲げモーメント
 M 0r ar  N crr
 M 0r
 a N   1
1  2 M
1  2 M
g
p
r
g
p
B
cr
N
 M  2M
r
p
 M  2M
r
p
偏心量
ar
r
0
r
0
a
接合部座屈荷重
N crB 材全体の最少弾性座屈荷重

r
B
cr
 a N   1
r
r
cr
M pg
材全長に対する接合部長さの割合
軸力を考慮したGPL面外終局曲げ耐力
損傷接合部(G-H間G側)の面外座屈の検討結果
部材
スプライス
プレート
M pr
M 0r
ar
N crr N crB
(kNm) (kNm) (mm) (kN) (kN)
4.2
0.23
3
34.7
798

0.0294
M pg
(kNm)
(kN)
3.60
511
N lim
発生軸力
N cu
(kN)
検定比
判定
N cu / N lim
588
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1.16
>1
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NG
34
4. まとめ
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35
評価結果
地震荷重・風荷重・水素爆発荷重に対する損傷部の各検討結果を以下に示す。
検討の結果、水素爆発荷重(②、 ②’ 、③)のみ、検定比1を上回った。
検討部材
地震荷重
風荷重
水素爆発
荷重
斜材
0.36
0.17
0.48
②接合部の軸力+面外曲げ検討
スプライス
プレート
0.44
0.19
1.10
②’接合部の軸力+面外曲げ検討+個材検討
スプライス
プレート
※1
※2
1.52
③接合部の面外座屈検討
スプライス
プレート
0.78
0.34
1.16
項
目
①斜材の検討(母材)
※1 地震荷重による ②’の検討は 、水素爆発のような圧力荷重が発生しない。
※2 風荷重による ②’の検討は 、水素爆発と比較して速度圧が無視できるほど小さいため、省略。
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36
原因分析のまとめ
(1)「地震」「風」「水素爆発」の外力に対して、解析による検討の結果、
「水素爆発」のみが検定比1を上回った。
(2)「地震」「風」に対して、当該斜材接合部に引張降伏や座屈が生じた可能
性は低い。
(3)鋼材が破断に至るには、破断耐力以上の引張力が作用するか、塑性ひずみ
が累積する必要があるが、「水素爆発」に対して、破断に至る応力や変形は
生じなかった。
水素爆発による荷重は、地震、風に比べ、不確定性があるため、水素爆発
のみで破断耐力を超過する応力が生じ、破断に至った可能性が考えられる。
水素爆発により、当該斜材接合部に引張降伏や座屈が生じ、その後の余震
や風による繰返し外力を受け、破断に至った可能性も考えられる。
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37
参考1. 1/2号機排気筒の経年劣化
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38
1/2号機排気筒の経年劣化
○工事・点検履歴
平成14年(2002年)3月
高力ボルト、スプライスプレートを全数交換
(約11年経過)
平成19年(2007年)2月
塗装の塗り替えを実施(約6年経過)
平成21年(2009年)5月
外観目視点検を実施
→ 破断部に異常なし(約4年経過)
破断したスプライスプレートは、交換後10年経過しているものの、
地震前の点検で異常が見られないことから、
破断に至る腐食の進行が生じたとは考えにくい。
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39
参考2. 1/2号機排気筒と3/4号機排気筒の比較
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40
配置図
1/2号機排気筒
3/4号機排気筒
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41
立面図(工認図書より)の比較
主要寸法、主材断面はすべて同一だが、1/2号機の上部斜材継手は平継手を
用いている。
斜材継手形状
斜材継手形状
平継手
損傷箇所
十字継手
GL+44,467
十字継手
1/2号機排気筒
3/4号機排気筒
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42
斜材接合部の断面性能比較
1/2号機排気筒の破断箇所の接合部(スプライスプレート)断面性能を、
3/4号機の当該部と比較して表に示す。
1/2号機に比べ3/4号機は接合部の断面性能が大きい。
3/4号機
100
40 180
斜材断面は
φ267.4×6.6
で同一
165
180
継手概要図
備考
165
1/2号機
S.P.L. t=6mm
10
6 6
10
6 6
S.P.L. t=6mm
プレート枚数
4
8
板厚(mm)
6
6
幅(mm)
180
165
断面積(mm2)
4,320
7,920
断面二次モーメント(mm4)
289,440
63,922,320
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43
1R/Bと3R/Bの水素爆発の違い
1/2号機排気筒は、GL+30~40m付近に#1R/B爆発影響と思われる傷・異物が
多い(●部)。
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44
1R/Bと3R/Bの水素爆発の違い
3/4号機排気筒の傷や異物は殆ど無く、#3R/B爆発力は上方向のみであったと
想定される。
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45
1R/Bと3R/B・4R/Bの水素爆発の違い
各号機の5階(オペフロ階)の壁の材料を比較すると,1号は軽い鋼板,3・4号は丈夫なコンクリートで
できている。また,壁と屋根の単位面積重量を比較すると,1号は屋根よりも壁が軽いが,3・4号は壁
よりも屋根が軽い。そのため, 1号の水素爆発は壁材が飛散し水平方向に爆風が抜けたが,3・4号は屋根
が飛散し鉛直方向に爆風が抜けたと思われる。
5F
5F
1号機原子炉建屋
3号機原子炉建屋
1R/B
材料
屋根
壁
5F
4号機原子炉建屋
3R/B
4R/B
厚さ
単位面積重量
材料
厚さ
単位面積重量
材料
厚さ
単位面積重量
コンクリートブロック
+コンクリートスラブ
約140㎜
約0.38 t/m2
コンクリートブロック
+コンクリートスラブ
約160 ㎜
約0.41 t/m2
コンクリートブロック
+コンクリートスラブ
約160 ㎜
約0.40 t/m2
鋼板(1 ㎜)
+グラスロンウール(50 ㎜)
+鋼板(0.4 ㎜)
約50 ㎜
約0.13 t/m2
コンクリート
約300 ㎜
or
約400 ㎜
約0.72 t/m2
or
約0.96 t/m2
コンクリート
約250 ㎜
約0.60 t/m2
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1/2号機排気筒と3/4号機排気筒の比較のまとめ
1/2号機と3/4号機排気筒は、母材等の主要部材は同一(解析モデルも同一)
であるが、接合部は異なる。よって、 3/4号機排気筒は,母材の発生応力は同
一であるが、接合部は全て十字継手を用いており、1/2号機よりも断面積や断
面二次モーメントが大きく断面の性能が高いため、 3/4号機は接合部破断に至
らなかったと考えられる。
1号機原子炉建屋の水素爆発が水平方向に広がってるのに対して,3号機と4号
機の水素爆発は上空へ抜けたと思われ、 3/4号機排気筒は水素爆発の影響が
1/2号よりも小さかったと考えられる。
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47
参考3. 風荷重の算定方法
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48
風荷重の算定方法
風荷重の算定は、「2007年版
導課
建築物の構造関係技術基準解説書(国土交通省住宅局建築指
他)」に倣い以下のように行う。
・風荷重(P)の算定
P=w・A
・高さ方向の分布を示す係数(E)の算定
E=Er2Gf
w :風圧力
Er:平均風速の高さ方向の分布を示す係数
A :見付面積
Gf:ガスト影響係数
ここで、 Erは以下の式による。
・風圧力(w)の算定
w=q・Cf
Er=1.7(Zb/ZG)α (H≦Zb)
Er=1.7(H/ZG)α (H>Zb)
q :速度圧
Zb、ZG、αは、地上面の粗度区分に応じた数値
Cf :風力係数
H :建築物の高さと軒の高さとの平均
(最高高さ、鉄塔部:111m、筒身部:120m)
・速度圧(q)の算定
q=0.6・E・V02
E :高さ方向の分布を示す係数
V0:基準風速
(20.0m/s、検討期間の日最大風速とする。)
また、立地地点の地表面粗度区分はⅡとする。
これと、Hより以下の値が求まる。
Zb:5
ZG:350
α :0.15
Gf :2.0(H>40のため)
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49
風荷重の算定方法
■風荷重の算定結果
鉄塔部
筒身部
速度圧
風力係数 見付面積 風荷重
速度圧
q(N/m2)
Cf
A(m2)
W(kN) q(N/m2)
TOP
風力係数 見付面積 風荷重
Cf
A(m2)
W(kN)
1007.0
0.90
A
983.0
2.06
4.7
10.0
1007.0
0.88
B
983.0
2.03
6.7
14.0
1007.0
0.87
C
983.0
2.00
8.4
17.0
1007.0
0.85
D
983.0
1.97
11.4
23.0
1007.0
0.84
E
983.0
1.91
20.4
39.0
1007.0
0.81
F
983.0
1.85
18.8
35.0
1007.0
0.79
G
983.0
1.77
28.5
50.0
1007.0
0.75
H
983.0
1.67
27.1
45.0
1007.0
0.71
I
983.0
1.55
40.9
63.0
1007.0
0.66
J
983.0
1.40
39.6
55.0
1007.0
0.59
K
983.0
1.18
62.0
72.0
1007.0
0.50
56.0
50.0
55.7
47.0
63.4
51.0
74.7
54.0
87.4
53.0
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50
参考4. 水素爆発荷重の算定方法
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51
水素爆発荷重の算定方法
■原子炉建屋内上昇圧
水素爆発により,外壁は一部で胴縁が残存しているものの,その大部分が胴縁ごと飛散している。
一方,屋根スラブについては,鉄骨トラスと共にオペフロに落下している。
以上のことから,水素爆発時に建屋内部には,外壁は飛散するものの,屋根スラブは飛散しない
程度の圧力が生じたものと推測される。
胴縁一部残存
胴縁飛散
屋根スラブ落下
建屋損傷状況
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52
水素爆発荷重の算定方法
■原子炉建屋内上昇圧の推定
水素爆発による原子炉建屋内の上昇圧力は,以下のようなデータに基づき160kPaと推定した。
① 原子炉建屋の損傷状況に基づく評価:最大160kPa
② 原子炉建屋に近接する1号機開閉所の損傷状況に基づく評価:最大330kPa
③ 類似の条件での水素爆発実験における内圧:60~260kPa
以下に,それぞれの概要を示す。
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53
水素爆発荷重の算定方法
■原子炉建屋内上昇圧の推定
① 原子炉建屋の損傷状況に基づく評価
・静的耐力
爆発時に飛散した胴縁の端部破断耐力と飛散しなかった屋根スラブのスタッド耐力を比較した。
胴縁端部ボルト(2-M16)せん断破壊時換算内圧
:15.9kPa
屋根スラブスタッド(13@500 L=70)コーン破壊時換算内圧
:33.3kPa
以上より,計算においても胴縁の破壊が先行することを確認した。
・動的耐力
変位の静的載荷時に対する動的載荷時の比である動的応答倍率(Df)に基づき,動的効果による耐
力増加を推定した。
動的応答倍率 Df=ω×T/2 (ω: 構造物の角振動数,T: 荷重の継続時間)
屋根トラスの一次固有周期0.34秒より:ω = 2π/0.34 = 18.5
オペフロ中心から屋根面までの高さを音速で除した値より:T = 7.725(m)/340(m/s) = 23ms
以上より Df = ω×T/2 = 18.5×0.023/2 = 0.21
破壊時の変位が静的載荷と動的載荷で同じであるとの前提で,静的耐力に対する動的耐力の比を動
的応答倍率Dfの逆数と考えると,屋根スラブスタッド破壊時換算内圧は,以下のとおりとなる。
33.3/0.21 = 158.6kPa ≒ 160 kPa
以上より,建屋内上昇圧は最大で160 kPa 程度であったと推定される。
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54
水素爆発荷重の算定方法
■原子炉建屋内上昇圧の推定
② 原子炉建屋に近接する1号機開閉所の損傷状況に基づく評価
・損傷状況
1号機原子炉建屋に近接する1号機開閉所は,爆発により外
装材は損傷したが,構造材には大きな損傷は認められない。
・距離による減衰を考慮した原子炉建屋内上昇圧の推定
後述する圧力の距離減衰式に基づき,上記の部材降伏時圧
力wyと原子炉建屋-開閉所間の距離(約165m)から建屋内
上昇圧を逆算すると,約330kPaとなる。
1000
- - - 建屋内上昇圧330kPa時の圧力
ピーク圧力(kPa)
・構造材(間柱)の許容荷重
設計時の風荷重により間柱に生じる応力度から,部材降伏
時の圧力を計算すると以下のとおりとなる。
設計用風荷重
:w = 2.0 kPa
風荷重による応力度:σ = 137 N/mm2
部材降伏時圧力
:wy=(fy/σ)w=(235/137)×2.0
= 3.4 kPa
100
●
部材降伏時圧力
3.4 kPa
◆
建屋内上昇圧
330 kPa
10
1
0
50
100
150
建屋外端距離(m)
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200
55
水素爆発荷重の算定方法
■参考:損傷状況写真
2号機開閉所被害状況
1号機開閉所被害状況
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56
水素爆発荷重の算定方法
■原子炉建屋内上昇圧の推定
③ 類似の条件での水素爆発実験における内圧
・参考文献
松永,茂木,土橋「ガス爆発における容器強度が爆風圧に及ぼす影響」,第46回安全工学研究発表会,
2013年11月
・試験方法
試験体 :ステンレス製のアングルで製作した一辺50cmの立方体に塩ビ板(t=1,2,3,4mm)または
ビニルシート(t=22,18μm)を張ったもの
試験方法:内部に水素を充填して着火し,圧力を測定
・試験結果
試験体の条件にもよるが,試験体の破壊時の圧力
(破壊内圧:下図の横軸)は, 60~260kPaとなっている。
試験体と1号機原子炉建屋では,寸法・外装材の強度等で
相違はあり単純な比較はできないが,前述した建屋内圧の
推定値と試験結果は,圧力のオーダーとして整合している。
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57
水素爆発荷重の算定方法
■ピーク圧力
別途検討より推定した原子炉建屋内の上昇圧力160kPaを建屋外端と荷重算定高さにおける排気筒
中心位置の距離の2乗(表面積比)に応じて低減した。
S
S0
PR  0 P0 
P0
2
SR
S 0  2R( B  D  H )  4R
ここで、 S 0  2( BD  DH  HB ) 、R:建屋表面からの最短距離、B:オペフロ幅、D:オペフロ奥行き、
H:オペフロ高さ
1000
算定
位置
距離減衰式(表面積比)
建屋内圧(ゲージ圧)
最大圧力(ゲージ圧)
ピーク圧力(kPa)
100
10
1
0
10
20
30
40
50
60
建屋外端距離(m)
70
80
90
100
建屋間
距離
最大
圧力
m
kPa
筒身頂部~A
82.0
5.6
A~B
76.0
6.3
B~C
71.7
6.9
C~D
66.9
7.7
D~E
61.4
8.7
E~F
55.1
10.3
F~G
49.0
12.1
G~H
44.0
14.1
H~I
41.2
15.4
I~J
40.8
15.6
J~K
41.1
15.5
K~脚部
45.3
13.5
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58
水素爆発荷重の算定方法
■力積
「2012年度日本建築学会大会(東海) 構造力学部門(応用力学) パネルディスカッション資料 建築物
の耐衝撃設計を考える」に記載されている外部爆発荷重を参考に設定
①
水素爆発エネルギー
・オペフロ上部空間の容積 :B×D×H=40.56m×30.42m×15.45m=19063m3
・水素量
:19063m3×7.5%=1430m3
・水素の燃焼熱
:284kJ/mol
・爆源におけるエネルギー :1430m3×284kJ/mol×1000/22.4=1.81×107kJ
② 換算距離の算定
・力積換算距離
: Rr 
R
( E / P0 ) ( S L / a0 ) 4 / 3
1/ 3
ここで, R :爆源と算定位置の距離
E :水素爆発エネルギー 1.81×107 kJ
P0 :大気圧 101.3 kPa
SL :水素の層流燃焼速度 2.2 m/s
a0 :音速 340 m/s
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水素爆発荷重の算定方法
■力積の算定
力積換算距離(Rr)と力積の関係注1)を近似した下式より求める。
近似式
力積と換算距離の関係
・力積(近似式) : I m  30325  Rr
近似式との比較
0.954
注1) Dobashi et al. (2009): Estimation of the gas explosion blast wave, Proceedings of Safety Engineering
Symposium (In Japanese), pp. 194-197.
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水素爆発荷重の算定方法
■到達時間,継続時間の算定
①到達時間
オペフロ中心位置と荷重算定高さにおける排気筒中心位置の距離を音速で除して算出
②継続時間
荷重-時間曲線に二等辺三角形波を仮定し、力積の2倍をピーク圧力で除して算出
■東西、南北方向荷重(分力)の算定
圧力荷重をオペフロ中心からの水平面に投影した放射方向角を用いて東西、南北方向荷重に分配
(下図参照)
水素爆発荷重の算定結果
算定
位置
筒身頂部~A
A~B
B~C
C~D
D~E
E~F
F~G
G~H
H~I
I~J
J~K
K~脚部
最大
圧力
kPa
5.6
6.3
6.9
7.7
8.7
10.3
12.1
14.1
15.4
15.6
15.5
13.5
爆心
距離
m
100.0
94.6
90.7
86.5
81.6
76.0
70.7
66.1
62.9
61.5
62.8
67.3
換算距離
1.47E+03
1.39E+03
1.34E+03
1.27E+03
1.20E+03
1.12E+03
1.04E+03
9.73E+02
9.26E+02
9.06E+02
9.24E+02
9.92E+02
力積
Pa・s
28.8
30.4
31.6
33.1
35.0
37.4
40.1
42.8
44.8
45.8
44.9
42.0
到達
時間
ms
294
278
267
254
240
224
208
194
185
181
185
198
継続
時間
ms
10
10
9
9
8
7
7
6
6
6
6
6
最大圧力(分力)
東西面
南北面
kPa
kPa
5.0
2.4
5.7
2.7
6.2
3.0
6.9
3.3
7.8
3.8
9.3
4.5
10.9
5.3
12.7
6.1
13.9
6.7
14.0
6.8
14.0
6.7
12.2
5.9
荷重の分配
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