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第69回地方会一般演題05
子宮、卵巣、乳腺に節外病巣を形成した びまん性大細胞性リンパ腫の一例 埼玉医科大学総合医療センター放射線科 渡部渉、清水裕次、柳田ひさみ、大野仁司、岡田武倫、 中田桂、長田久人、山野貴史、西村敬一郎、本戸幹人、 高橋健夫、本田憲業 症例:35歳女性 現病歴 8ヶ月前に帝王切開術施行 5ヶ月前頃から性器出血が出現 2ヶ月前、 1ヶ月前にそれぞれ性器出血にて近医 受診 2008年1月14日性器出血にて近医受診 内診時、頚管から膣内に充実性腫瘤を認め用手 剥離を試みたところ動脈性出血が生じ、当セン ターに救急搬送となった 骨盤MRI T1-WI T2-WI 造影MRI 骨盤MRI T1-WI T2-WI 造影MRI 経過 骨盤MRIにて子宮および右卵巣腫瘤の存在 を確認したが、出血が持続 Hb:6.4 g/dl、Plt:105×1000/μl 緊急手術(単純子宮全摘術および右付属器 切除術)が施行された 摘出子宮 摘出右卵巣 病理組織像(HE染色) 右卵巣 右卵巣実質にリンパ腫のびまん性増殖像をみる 免疫染色 CD20(+) CD3(−) 経過 病理結果は子宮、右卵巣ともに Diffuse large B-cell lymphoma で治療目的に当センター血 液内科に紹介 右乳房の腫脹を指摘 4~5ヶ月前頃(不整性器出血自覚時頃)より結節 が存在し増大してきたとのことであった 胸部CT、ガリウムシンチグラフィを施行 胸部造影CT ガリウムシンチグラフィ 経過 生検にて右乳房腫瘤もDiffuse large B-cell lymphomaであることが確認され R-CHOP療法 を開始 右乳房腫瘤は縮小 FDG-PET/CTを施行 FDG-PET/CT 症例のまとめ 子宮、卵巣、右乳房に節外病巣を形成したDiffuse large B-cell lymphomaの症例 検索範囲内では同様の症例は認めず 受診時、性器出血のコントロールが困難で骨盤MRI のみ施行:子宮および右卵巣腫瘤を指摘 ガリウムシンチグラフィにて右乳房腫瘤が悪性リン パ腫である可能性を指摘 FDG-PET/CTにて治療効果を確認 考察 女性生殖器原発悪性リンパ腫:節外性リンパ腫 の数%と稀 卵巣: 非ホジキンリンパ腫中0.5%(0.2~0.5%) 卵巣腫瘍中1.5% 子宮: 悪性リンパ腫中0.007%(0.01%未満) 子宮悪性腫瘍中0.05% 考察(卵巣原発悪性リンパ腫) 両側性発症:36~71% 全年齢にみられるが若年から中年の発症が 多い 初発症状:卵巣腫大に伴う腹痛、嘔気・嘔吐 Diffuse large B-cell lymphomaが大半を占める 考察(子宮原発悪性リンパ腫) 頚部原発が体部原発よりも多い(80~90%) 発症年齢:体部原発(平均年齢52歳)に比べ 頚部原発(平均年齢44歳)が若年発症 主訴:大部分が不整性器出血 Diffuse large B-cell lymphomaが大半を占める 考察(卵巣原発悪性リンパ腫MRI所見) T1-WI低信号、T2-WI低信号∼軽度高信号、 造影MRIでは軽度∼中等度の増強効果 病変辺縁部に正常の濾胞が取り残される 他の卵巣腫瘍との鑑別点となる 考察(子宮原発悪性リンパ腫MRI所見) T1-WI低信号、T2-WI高信号、内部は均一で びまん性対称性の腫大を呈することが特徴 考察(乳房原発悪性リンパ腫) 節外性リンパ腫の約2% 乳房原発性悪性腫瘍の0.04~0.5%(0.12~0.53%) 好発年齢:50歳代と30歳代の二峰性を示す 乳癌と比べ、両側発生が多く(20%前後)、約 30%で急速増大を示す 結語 子宮、卵巣、右乳房に節外病巣を形成した Diffuse large B-cell lymphomaの症例 検索範囲内では同様の症例は認めず、非常に 稀な症例 受診時、性器出血のコントロールが困難で骨盤 MRI のみ施行されたが、ガリウムシンチグラフィ にて右乳房腫瘤が悪性リンパ腫である可能性 の指摘がなされ、治療効果確認にFDGPET/CTが有用であった 血液性化学検査 TP:4.6 g/dl Alb:2.2 g/dl LDH:200 U/l CRP:4.5 mg/dl WBC:4×1000/μl Hb:6.4 g/dl Plt:105×1000/μl 子宮内膜 子宮内膜間質に腫瘍の浸潤性増殖を認める 子宮筋層 異型性を有する大型のlymphoid cellのびまん性増殖像。血管壁を侵しfibrin血栓をみる。 乳腺生検材料 異型性を有する大型Lymphoid cellのびまん性増殖 腫瘍細胞膜にCD20の発現をみる