...

アミノアルコール系

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アミノアルコール系
ア ミ ン
モ ル ホ リ ン 系
ピ ペ ラ ジ ン 系
アミノアルコール系
日本乳化剤株式会社
−2−
ア ミ ン
当社は各種のアミンを製造しており、それらは下記の様に分類されます。
2. ピペラジン系誘導体
R−N
O
HN
R
3. アミノアルコール系
NH
*
CH CH −OH
2
*
N −CH CH − OH , R−N
2
2
R
R:水素又はアルキル基
2
*
CH CH −OH
2
2
*:又は
CH
−
1. モルホリン系
3
−CH CH − OH
2
モルホリンはエーテルを含む環状アミンであり、ピペラジンは環状のジアミン、またア
ミノアルコールは比較的低級のアルキル基を有するアルカノールアミンです。これらの化
合物は無色ないし黄色でアミン臭を有し、アミノアルコール 2 Bを除き水と任意の割合で
混合し、全て塩基性を示します。
アミノアルコールEA、PAは第 1 級及び第 2 級アミンの両方を有するジアミンで、モル
ホリン、ピペラジン、アミノアルコールMMA、MEM、MBM、tBMEAは第 2 級アミンを
有し、アルキルモルホリンN−MM、N-EM及びその他のアミノアルコールは第 3 級アミ
ンを有し、これらアミノ基は一般のアミンと同様の性質を示します。
アミノアルコール MDA、MED、MBD、tBDEA は 2 個、その他のアミノアルコールは
1 個の水酸基を有し、これらの水酸基も一般のアルコールと同様の性質を示します。
この様に特色のある当社のアミンは界面活性剤、医薬・農薬・動物薬、ゴム薬、防錆剤、
清缶剤、塗料、ウレタン発泡触媒等に使用される他、石油精製時の硫化水素、亜硫酸ガス、
炭酸ガス等の吸収剤として使用されます。また反応溶剤としても幅広い用途を有しており
ます。
目 次
頁
凡 例 ……………………………………………………………………………………………… 1
規 格
モルホリン系・ピペラジン系 …………………………………………………………… 2 ∼ 3
アミノアルコール系(EO系・PO系)…………………………………………………… 4 ∼ 7
物理的性質 …………………………………………………………………………………… 8 ∼ 9
反 応…………………………………………………………………………………………10∼12
用 途…………………………………………………………………………………………13∼18
生理的性質…………………………………………………………………………………………19
付 図
蒸気圧曲線……………………………………………………………………………………20
水溶液のpH、ピペラジン水溶液の融点……………………………………………………21
温度−比重曲線、温度−粘度曲線…………………………………………………………22
試験方法……………………………………………………………………………………………23
貯蔵及び取扱…………………………………………………………………………………24∼25
荷姿
表示数値は内容量を表します。
例
表示の意味
内容量 17kgの石油缶詰めです。
17C/N
商品によってはその性質により、内面コート缶、アトロン缶等
となります。
内容量 200kgのドラム缶(通常鉄ドラム)
詰めです。
200D/M
商品によってはその性質により、ステンレスドラムとなります。
化審法No.
50FAD
内容量 50kgのファイバードラム詰めです。
400F/C
内容量 400kgのフレキシブルコンテナー詰めです。
『化学物質の審査及び製造の規制に関する法律』により既存化学物
質として確定公示された際の官報公示番号です。
CAS No.
Chemical Abstracts Service Registry NumberでアメリカのCAS
Chemistry Systemに登録された番号です。
−1−
モルホリン系・ピペラジン系
規 格
モルホリン系
色調
商 品 名
モルホリン
略 称
MOP
Morpholine
N−メチル モルホリン
N−MM
N−Methyl Morpholine
N−エチル モルホリン
N−EM
N−Ethyl Morpholine
組 成
荷 姿
18C/N
Morpholine
HN
O
CH3 − N
O
C 2H 5 − N
O
200D/M
16C/N
N−Methyl Morpholine
N−Ethyl Morpholine
180D/M
16C/N
180D/M
比 重
APHA
全アミン価
第3級アミン価*
水 分
純 度
wt.%
wt.%
wt.%
%
略 称
以下
20/20℃
以上
以上
以下
以上
15
1.001∼1.004
−
−
1.0
99.0
MOP
15
0.917∼0.922
−
−
0.2
99.0
N-MM
15
0.912∼0.916
−
−
0.2
99.0
N-EM
ピペラジン系
ピペラジン 6 水塩※
PIZ−H
Piperazine Hexahydrate
ヒドロキシエチル ピペラジン
Hydroxyethyl Piperazine
OH−PIZ
Piperazine Hexahydrate
HN
NH・6H2O
25FAD
18C/N
Hydroxyethyl Piperazine HN
※ピペラジンは6水塩の他に硫酸、クエン酸、アジピン酸との塩も用意しております。
−2−
N − CH2 CH2 − OH
200D/M
20
***
−
−
1.058∼1.068
融点
**
−
44
−
42℃
PIZ−H
以上
−
−
0.3
98.0
OH−PIZ
*:試験方法 註 1 参照 **:試験方法 註 3 参照 ***:20%水溶液
−3−
アミノアルコール系
規 格
アミノアルコール系(EO系)
色調
商 品 名
アミノアルコール 2Mabs
Amino Alcohol 2Mabs
アミノアルコール 2M
Amino Alcohol 2M
アミノアルコール 2A
Amino Alcohol 2A
アミノアルコール 2B
Amino Alcohol 2B
アミノアルコール EA
Amino Alcohol EA
アミノアルコール MMA
Amino Alcohol MMA
アミノアルコール MDA
Amino Alcohol MDA
略 称
2Mabs
組 成
CH3
>N−CH2CH2−OH
CH3
N, N−Dimethyl Ethanolamine
2M
2Mabsの70%水溶液
2A
C2H5
>N−CH2CH2−OH
C2H5
N, N−Diethyl Ethanolamine
2B
C4H9
>N−CH2CH2−OH
C4H9
N, N−Dibutyl Ethanolamine
EA
MMA
MDA
NH2−CH2CH2−NH−CH2CH2−OH
N−(β−Aminoethyl)Ethanolamine
荷 姿
16C/N
180D/M
16C/N
180D/M
15C/N
175D/M
15C/N
175D/M
18C/N
200D/M
CH3−NH−CH2CH2−OH
16C/N
N-Methyl Ethanolamine
180D/M
CH2CH2−OH
CH3−N<
CH2CH2−OH
N−Methyl Diethanolamine
18C/N
200D/M
比 重
APHA
全アミン価
第3級アミン価*
水 分
純 度
wt.%
wt.%
wt.%
%
略 称
以下
20/20℃
以上
以上
以下
以上
20
0.886∼0.889
−
−
0.5
99.0
2Mabs
20
0.948∼0.958
70∼72
70∼71
−
−
2M
15
0.880∼0.890
−
−
0.2
99.0
2A
70
0.855∼0.865
−
−
0.3
98.0
2B
50
1.028∼1.033
−
−
−
98.0
EA
50
0.938∼0.942
−
−
0.5
99.0
MMA
100
1.040∼1.044
−
−
0.5
99.0
MDA
*:試験方法 註 1 参照 **:試験方法 註 3 参照
−4−
−5−
アミノアルコール系
規 格
アミノアルコール系(EO系)
色調
商 品 名
アミノアルコール MEM
Amino Alcohol MEM
アミノアルコール MED
Amino Alcohol MED
アミノアルコール MBM
Amino Alcohol MBM
アミノアルコール MBD
Amino Alcohol MBD
アミノアルコール tr−BMEA
Amino Alcohol tr−BMEA
アミノアルコール tr−BDEA
Amino Alcohol tr−BDEA
略 称
MEM
MED
MBM
MBD
tBMEA
tBDEA
組 成
荷 姿
16C/N
C2H5−NH−CH2CH2−OH
180D/M
N−Ethyl Ethanolamine
CH2CH2−OH
C2H5−N <
CH2CH2−OH
N−Ethyl Diethanolamine
18C/N
200D/M
C4H9−NH−CH2CH2−OH
16C/N
N−n−Butyl Ethanolamine
170D/M
CH2CH2−OH
C4H9−N <
CH2CH2−OH
N−n−Butyl Diethanolamine
3C−NH−CH2CH2−OH
(CH3)
16C/N
180D/M
16C/N
N−t−Butyl Ethanolamine
170D/M
CH2CH2−OH
(CH3)
3C−N <
CH2CH2−OH
N−t−Butyl Diethanolamine
16C/N
180D/M
比 重
APHA
全アミン価
第3級アミン価*
水 分
純 度
wt.%
wt.%
wt.%
%
略 称
以下
20/20℃
以上
以上
以下
以上
50
0.915∼0.920
−
−
0.5
98.0
MEM
(50)
(1.015∼1.020)
(99)
−
(0.5)
−
MED
50
0.890∼0.895
−
−
0.5
99.0
MBM
50
0.970∼0.974
−
−
0.1
99.0
MBD
97
−
0.5
−
tBMEA
99
98
0.5
−
tBDEA
−
0.5
−
PA
−
0.5
−
2FA
50
50
0.866∼0.876
(50/20℃)
0.962∼0.972
(50/20℃)
アミノアルコール系(PO系)
Amino Alcohol PA
Amino Alcohol 2FA
PA
NH2−CH2CH2−NH−CH2−CH−OH
N−(β−Aminoethyl)Isopropanolamine
CH3
C2H5
>N−CH2CH−OH
C2H5
N, N−Diethyl Isopropanolamine
−
アミノアルコール 2FA
CH3
−
アミノアルコール PA
2FA
17C/N
200D/M
16C/N
170D/M
50
−
50
0.843∼0.853
**
96
★
415∼440
(KOH mg/g)
*:試験方法 註 1 参照 **:試験方法 註 3 参照
(
−6−
−7−
)内は、暫定規格 ★:試験方法 ★参照
物理的性質
略 称
化審法
CAS
分子量
比重
(20/20℃)
沸点
(℃)
760mmHg
MOP
(5)
−859
110−91−8
87.12
1.002
128.3
N−MM
(5)
−860
109−02−4
101.15
0.9213
115.6
N−EM
(5)
−860
100−74−3
115.18
0.9143
138.3
PIZ−H
(5)
−953
142−63−2
194.23
1.0160
(50/20℃)
OH−PIZ
( 5 )−957
103−76−4
130.19
1.0614
246
2Mabs
(2)
−297
108−01−0
89.14
0.8879
134.6
2A
(2)
−297
100−37−8
117.19
0.8851
162.1
2B
(2)
−353
102−81−8
173.30
0.8615
228.7
EA
( 2 )−304
111−41−1
104.16
1.0304
243.7
MMA
( 2 )−295
109−83−1
75.11
0.9414
159.6
MDA
(2)
−300
105−59−9
119.17
1.0418
247.2
MEM
( 2 )−295
110−73−6
89.14
0.918
169
MED
(2)
−2408
139−87−7
133.19
1.015
247
MBM
( 2 )−295
111−75−1
117.19
0.893
195
MBD
(2)
−334
102−79−4
161.25
0.972
265
tBMEA
( 2 )−295
4620−70−6
117.19
tBDEA
(7)
−1357
2160−93−2
161.25
PA
( 2 )−337
123−84−2
118.18
0.988
2FA
−353
(2)
4402−32−8
131.22
0.847
−8−
0.871
(50/20℃)
0.967
(50/20℃)
125∼130
175
270.4
230 以上
158.5
(還流沸点)
蒸留圧
略 称
水 溶 性(20℃, %)
mmHg
( at 20℃ )
in water
water in
屈折率
粘度
mPa・s
凝固点
引火点
(n )
( at 20℃ )
(℃)
(℃)
20
D
MOP
7
∞ ∞
1.4542
2.3
−3.5
32.3
N−MM
17
∞ ∞
1.4352
0.9
−70 以下
17.5
N−EM
6
∞ ∞
1.4415
1.1
−70 以下
33
PIZ−H
易溶
OH−PIZ
易溶
1.5058
(融点)
44∼45
(融点)
−10
123.9
2Mabs
4
∞ ∞
1.4296
3.8
−64
40.8
2A
1
∞ ∞
1.4417
3.5
−47
54.5
2B
0.04
1.4438
7.7
−75
104
EA
<0.01
∞ ∞
1.4863
141
−38
151
MMA
<1
∞ ∞
1.4389
13.2
−4.5
MDA
<0.01
∞ ∞
1.4694
101
−21
140
MEM
<1
易溶
−8.8
71
−50
138
MED
0.4
6.8
易溶
87
73.5
MBM
<0.1
易溶
−3.5
94
MBD
<0.1
可溶
−45
145
tBMEA
∞ ∞
42
88
tBDEA
∞ ∞
45
149
PA
可溶
2FA
可溶
n25
D
1.4738
120
13.5
−9−
44
反 応
モルホリン、ピペラジン、アミノアルコールは全て一般のアミンと同様に塩の生成、ア
シル化、アルキル化、付加反応等を行います。また、アミノアルコールは水酸基も有しま
すのでアルコールとしても反応します。
モルホリンを例にとりアミンの反応を列挙します。
§アミンの反応
●塩の生成
アミンは無機及び有機酸の他炭酸ガス、二硫化炭素とも塩を生成します。
O
NH + HCl
O
NH・HCl
O
NH + RCOOH
O
NH・ HOOCR
O
NH + CO 2
O
NCOOH
O
NH + CS 2
O
NCSSH
●アミドの生成
アシル化はカルボン酸、酸ハライド、酸無水物、エステル等によって行われます。
O
NH + RCOOH
O
NCOR + H 2 O
O
NH + RCOX
O
NCOR + HX
O
NCOR + RCOOH
O
,
NCOR + R OH
O
O
RCO
NH + >O
RCO
,
NH + RCOOR
その他スルホクロリド、ホスフォラスクロリド等により対応するアミドが生成します。
O
NH + RSO 2 Cl
O
= =
O
N−S −R + HC l
O
=
O
O
RO
NH + > P−OH
RO
O
O
OR
N−P < + HCl
OR
O
=
=
O
RO
Cl
NH + > P <
RO
O
O
OR
N−P < + H 2O
OR
− 10 −
反 応
●アルキル化
アミンはアルキルハライド、アルキルサルフェート、アルキルホスフェート等によりア
ルキル化され、更に反応を進めると第4級アンモニウム塩を生成します。その他ロイカル
ト反応、マンニッヒ反応等活性水素を有する化合物によってもアルキル化されます。
O NH + R−X
O N−R + HX
O NH + 2R−X
R
O N< ・X + HX
R
RO
O NH + > SO 2
RO
O N−R + RHSO 4
RO
O NH + RO P=O
RO
O N−R +
O NH + HCHO + HCOOH
O N−CH 3 + H 2 O + CO 2
OH
OH
O NH + HCHO +
R
RO
OH
>P<
RO
O
O N−CH 2 + H 2 O
R
●付加反応
アミンはα、β−不飽和カルボニル、α、β−不飽和ニトリルの二重結合や酸化エチレン
の様なアルキレンオキサイド等と付加反応を行います。
O
NH + CH 2 =CHCOOR
O
N−CH 2 C H 2 −COOR
O
NH + CH 2 =CH CN
O
N −CH 2CH 2−CN
O
NH + CH 2 −CH 2
O
O
N−CH 2CH 2−OH
O
N−COO−CH2CH2−OH
O
CH2 −O
NH + C =O
CH2 −O
CH3
O
NH + CH 3 COCH2CO OR
O
N −C =C H C O OR + H 2 O
− 11 −
反 応
アミノアルコールは前述のアミンとしての反応の他、アルコールとしての性質も有し、
一般のアルコールと同様に反応します。アミノアルコール2Mabsを例にとり反応を列挙
します。
§アルコールの反応
●ハロゲン化
CH 3
CH 3
CH 3
>N−CH 2 CH 2 −OH + SOCl 2
CH 3
>N−C H 2 C H 2 −C l + SO 2 + HC l
●エステル化
CH 3
CH 3
CH 3
CH 3
>N−CH 2 CH 2 −O H + CH 2 = CHCOOR
CH 3
CH 3
CH 3
>N−CH 2 CH 2 −OH + CH 3COOH
CH 3
>N−CH 2 C H 2 −OOCCH=CH 2+ R O H
>N−CH 2CH 2 −OOCCH 3 + H 2 O
●付加反応
CH 3
CH 3
CH 3
CH 3
CH 3
>N −CH 2 CH 2 −OH + CH 2 =CHCN
CH 3
CH 3
>N −CH 2 CH 2 −OH + CH 2 −CH 2
CH 3
O
>N −C H 2 C H 2 −O−CH 2 CH 2 −CN
>N −C H 2 C H 2 −O−CH 2 CH 2 −OH
●その他
その他、アミノアルコールEAは第 1 級アミンと第 2 級アミンを有するジアミンで脂肪酸
と反応してイミダゾリン環を生成します。
H 2 N −CH 2
R−COOH +
N −C H 2
R −C
+ 2 H 2O
N −C H 2
H N −CH 2
CH 2 CH 2 −O H
C H 2 C H 2 −O H
− 12 −
用 途
●界面活性剤
モルホリン、ピペラジン、アミノアルコールに適当な大きさのアルキル基を導入するこ
とによって非常に特色ある界面活性剤が得られます。
この反応例を示します。
1. 塩生成
RCOOH + HN
RCOOH・HN
O
O
2. エステル化
RCOOH + HO−CH 2CH 2 −N <
CH 3
CH 3
RCOO−CH 2 CH 2 −N<
CH 3
CH 3
3. エーテル化
C 2H 5
R −Cl + NaO−CH 2 CH 2 −N<
C 2H 5
C 2H 5
R −O −C H 2 C H 2 −N<
C 2H 5
4. アルキル化
R −Cl + HN
O
R−N
O
5. イミダゾリン
N−CH 2
RCOOH + H 2 N−CH 2 CH 2 −NH−CH 2 CH 2 −OH
R−C
N−CH 2
CH 2 CH 2 −OH
アミン石鹸は主にワックス用乳化剤に用いられ、これを用いたワックスは塗布後、アミ
ンが蒸発し乳化剤としての性能が消失しますので耐水性の優れた塗膜が得られ、家具用ワ
ックス、床ワックス、靴クリーム等各種ポリッシュ関係に用いられます。
また、アミン石鹸は動植物油に対して優れた乳化力、可溶化力を有する他防
力も有
し、切削油、soluble oil、soluble grease、化粧品等の乳化剤として使用されます。その他
アミン石鹸を利用した樹脂の乳剤は優れた防水剤となります。
− 13 −
用 途
エステル化、エーテル化或はアルキル化によって得られた長鎖第 3 級アミンはそれ自体
でも界面活性剤として用いられますが、親油性が強く、塩基性を示すので多くの場合無機
酸或は有機酸で中和するか第4級アンモニウム塩として使用されます。
CH 3
RCOO−CH 2CH 2 −N< + HCl
CH 3
CH3
RCOO−CH 2CH 2−N< ・HCl
CH3
CH3
CH 3
RCOO−CH 2CH 2 −N< + CH 3 Cl
CH 3
RCOO−CH 2CH 2−N −C H 3 Cl
CH3
C 2H 5
R−O−CH 2CH 2 −N < + CH 3COOH
C 2H 5
C 2H 5
R−O−CH 2C H 2 −N< ・CH 3COOH
C 2H 5
C 2H 5
C 2H 5
R−O−CH 2CH 2 −N < + CH 2Cl
C 2H 5
R−O−CH 2C H 2 −N −C H 2 Cl
C 2H 5
R−N
O + ClCH2COOH
O
R
N<
CH 2COO
この様にして得られた陰イオン系、陽イオン系及び両性イオン系界面活性剤は繊維仕上
剤、染色助剤、帯電防止剤、乳化剤、防
剤、殺菌剤、乳化破壊剤等広範囲の用途に使
用されております。
− 14 −
用 途
●塗 料
アルキド樹脂にアミノアルコールを使用することにより、熱硬化性或は常温硬化性の優
れた水溶性塗料が得られます。
多塩基酸、例えばトリメリット酸の如き三塩基酸にエチレングリコール、ペンタエリス
リトール等の多価アルコールとアジピン酸等の二塩基酸を縮合させます。この際三塩基酸
の 1 個のカルボン酸を未反応で残し、これをアミノアルコールで中和することによって水
溶性のレジンが得られます。この水溶性レジンに油脂、合成樹脂等を配合或は変性するこ
とにより水溶性及び油溶性で刷毛塗り、スプレー、浸漬、電着等による塗装が可能で、硬
度、接着性、耐衝撃性、耐薬品性、耐候性に優れた光沢性塗膜が得られます。
●ポリウレタン発泡触媒
ポリウレタンフォームの発泡触媒として第 3 級アミンが用いられます。一般にアルキル
モルホリンは軟質フォームに、分子中に水酸基を有するアミノアルコールは硬質フォーム
に使用されます。これらはその弱塩基性により炭酸ガスの発生を調節し、泡をフォーム中
に均一に分散させる働きをします。また、水酸基を 2 個有するMDA はイソシアネート基
と架橋反応を行いウレタン・コーティングの触媒として使用されます。
●重合触媒
モルホリンはシスポリブタジェン重合用触媒としてCoCl2、Al(C2H5)2Cl、ベンゼン等と
共に用いられます。
その他アミノアルコールはエポキシ樹脂の低温硬化促進剤となります。
●急硬化性樹脂用触媒
金属表面保護物質として急硬化性樹脂−アルケン・ニトリル・シリカ化合物−が用
いられますが、その硬化触媒にご使用されます。
N
N
N −S i −O−C 2 H 5
O
− −
O
− −
O
O
N −Si −N O
N
N
O
O
●ガス吸収剤
モルホリンやアミノアルコールは酸性ガスを吸収し加温により容易に放出するので、石
油精製に於ける脱硫、脱炭酸、化学産業に於けるガス精製に用いられます。
− 15 −
用 途
●防 剤
モルホリン、ピペラジン、アミノアルコールは水に微量混合する事によりpHを弱アル
カリ性に保ち金属の腐蝕を防止します。
MOPまたは2Mを蒸気ボイラー及びその加熱循環系の防
防
剤として用いますと優れた
力を示す他、缶水中及び蒸気中共にその濃度が殆ど変わらない為、特に環水ボイラ
ーでは凝縮水の組成の確認、調整等が容易です。
また、金属部品の発
形で防
を防ぐアミンの特性を活かし、包装紙に含浸させるなど様々の
剤として用いられます。
●溶 剤
モルホリンはアミンとエーテルを持つ複素環化合物であり、一方アミノアルコールはア
ミンとアルコールの特性を有するので、それぞれ染料、レジン、ワックス、シェラック、
カゼイン等の特長ある溶剤となります。
モルホリンは硫化水素を酸化して硫黄を製造する際に用いますと硫黄の粒子を大きく析
出させる作用を示します。また硫化水素、亜硫酸ガス等の吸収にも用いられます。
アルキルモルホリンは酸の発生する反応系に用いると、酸吸収剤として働く他、フェノ
ール類の様な酸性物質の抽出にも使用されます。
●pH調整剤
モルホリン、ピペラジン、アミノアルコールの水溶液は濃度によってアルカリ性側で少
しずつpHの変化を示します。その変化の割合は物によって違いますが、濃度が10倍にな
るとpHは約0.5上昇致します。従って緩衝溶液とは異なりますが、弱アルカリ性領域での
pH調整剤として写真の現像液等に使用されます。
●アクリレート・メタクリレート
アミノアルコール2Mabsのアクリレート、メタクリレート重合体は水性樹脂として使用
され、また高分子重合体にして凝集剤として多用されております。その他燃料油のスラッ
ジ防止剤及び分散剤、合成繊維の改質剤、耐洗剤性のポリッシュ、エマルジョン・ペイン
トのアルカリ安定剤等に用いられます。
CH 2=CHCOO−CH 2CH 2 −N<
CH 3
CH 3
CH 3
CH 3
CH 2=C −COO−CH 2CH 2 −N<
CH 3
− 16 −
用 途
●塗 料
蛍光増白剤の原料として洗濯用洗剤に使用されます。
O
N O
N
N
N
NH
N
CH =C H
SO 3 Na
NH
NH
S O 3 Na
N
N
N
NH
●イオン交換樹脂
アニオン交換樹脂の製造原料として用いられ、強塩基性アニオン交換樹脂となります。
CH3
Resin−CH 2 −N −CH 2CH 2 OH・Cl
CH3
●金属イオン封鎖剤
アミノアルコールEAの酢酸誘導体は重金属イオン封鎖剤として水の軟化用、石鹸の貯
蔵、酸・アルカリ・中性塩類溶液中の重金属不純物の除去等の広い用途があります。例え
ば柑橘類の肥料溶液の鉄可溶化剤、金属イオンの分離、分析及び粘土の凝結防止剤等に用
いられます。
HOOCCH2
CH 2COOH
>N −CH2 CH 2 −N <
HOOCCH2
CH 2CH 2 −OH
●ゴム薬
加硫促進剤の原料として使用されます。
O
N−S −S −N
N
O
S
S−N
OCH 3
O
N
OCH 3
− 17 −
O
用 途
●医 薬
プロカイン(局所麻酔剤)
C 2H 5
COO−CH 2CH 2 −N<
C 2H 5
H 2N
ベナドリル(抗ヒスタミン剤)
C2H3
CH−O−CH 2CH 2 −N<
C2H3
ピペラジン・アジペート(駆虫剤)
HN
CH 2CH 2COOH
NH・
CH 2CH 2COOH
ニューキノロン系合成抗菌剤
O
F
HN
N
CO 2H
N
F
H 3C
C 2H 5
●劣化防止剤
ラテックスの貯蔵時、微生物の作用による劣化防止剤
CH 3
O
N−CH 2 −C −CH 2−N
O
NO 2
●工業中間原料
以上の他モルホリン、ピペラジン、アミノアルコールは反応性に富み各種化学薬品の中
間原料として広く使用されております。
− 18 −
生理的性質
*3
急 性 毒 性
経口
*1
LD50
経皮
*1
*2
吸入
LD50
死亡率
(g/kg)
(g/kg)
飽和蒸気
Rats
Rabbits
MOP
1.60
N−MM
1.96
N−EM
1.78
PIZ−H
11.2
OH−PIZ
略 称
急 性 症 状
皮膚刺激
眼粘膜刺激
Rats
Rabbits
Rabbits
0.50
(ml/kg)
4hr6/6
++
+++
1.24
2hr6/6
+
+
4hr5/6
+
+++
4.0
8hr0/6
+
+++
4.92
5.0 以上
8hr0/6
+
++
2Mabs
2.34
1.37
8hr0/6
+
+++
2A
1.30
0.88
4hr0/6
+
+++
2B
1.07
1.68
8hr0/6
+++
+++
EA
3.00
3.56
8hr0/6
+
+++
MMA
2.34
8hr0/6
+
+++
MDA
4.78
5.99
8hr0/6
+
++
MEM
1.00
0.36
+
+++
MED
4.57
MBM
1.15
+++
+++
MBD
4.25
+
+++
tBMEA
tBDEA
PA
2FA
* 1 .LD50とは実際に供した動物の半数が死亡するときの投与量。
* 2 .吸入死亡率 6 / 6 とは飽和蒸気を吸入したとき実験に供した 6 匹の動物中 6 匹死亡すること。
* 3 .急性症状の刺激性評価
+軽度 ++中等度 +++強度
− 19 −
付 図
蒸気圧曲線
300
MDA
EA
200
2A
MMA
PIZ
N-EM
2Mabs
MOP
〔℃〕
N-MM
MP→
100
0
1
5
10
50
〔mmHg〕
− 20 −
100
500
760
付 図
ピペラジン水溶液の融点
水溶液のpH
100
5
2Mabs
100
EA, 2A
10
N-MM
MDA
MOP
N-EM
5
〔℃〕
〔%〕1
50
PIZ-H
0.5
0.1
0
0
50
〔%〕
0.05
9
10
11
12
13
〔pH〕
− 21 −
100
付 図
温度−比重曲線
温度−粘度曲線
1.10
1,000
500
1.05
100
MDA
EA
EA
MDA
50
1.00
MOP
〔d tt 〕
〔mPa・s〕10
MMA
5
0.95
2M
2Mabs
2A
MOP
MMA
N-MM
N-EM
0.90
1
N-EM
N-MM
0.5
2Mabs
2A
0.85
0.1
0
10
20
30
0
10
20
〔℃〕
〔℃〕
− 22 −
30
試 験 方 法
1.色 調
JIS K 1557(APHA法)
。
2.比 重
JIS K 0061による。
3.水 分
JIS K 0068による。
4.ガスクロ純度
JIS K 0114による。
5.アミン価
A)全アミン価
試料約0.5g(0.005モル)を25pのメタノールの入った100p三角フラスコに精秤
し、指示薬(C項参照)を 2 ∼ 3 滴加え、N/2塩酸エタノール液で緑色が青灰色に
変わるまで滴定する。
B)第 3 級アミン価
試料約0.5g
(0.005モル)
を10pの無水酢酸の入った100p三角フラスコに精秤し、
良く混合後10分間室温に放置した後、指示薬(C項参照)
と25pのメタノールを加
え、上記と同様に滴定する。
C)指示薬
0.20gのMethyl Orangeを蒸溜水50pに溶解した液と、0.28gのXylene Cyanol FF
をメタノール50pに溶解した液とを混合する。
D)計 算
HClp数×1/2× f ×(アミンの分子量)
×100 = アミン価(wt.%)
試料重量(mg)
★HClp数×1/2× f ×56.11
試料重量(g)
= アミン価(KOHmg/g)
(f:N/2塩酸エタノール液のファクター)
註 1 .第 1 級アミン、第 2 級アミンは無水酢酸中に注入すると急激に反応することがあり危険
なので本法による第 3 級アミン価の測定は充分注意をすること。
註 2 .滴定系中への水の混入は指示薬の変色を不明瞭にするので避けること。
註 3 .D)計算に於てアミノアルコールEA、PAとピペラジンは同一分子中に 2 個のアミノ基
(含イミノ基)
を有するので分子量の1/2を掛ける。
− 23 −
貯蔵及び取扱
●貯 蔵
当社のアミンは、一般のアミンと同様に銅及び銅合金を腐食するので、これらの接触は
避けて下さい。
容器は直射日光を避け、冷暗所に貯蔵し、密封して、空気との接触を避けて下さい。空
気中での貯蔵は酸素及び炭酸ガスの影響を受けますので、窒素雰囲気での貯蔵をお薦めし
ます。
消防法上危険物に該当するので、法令に従って保管・貯蔵することが必要です。
●取 扱
アミン類は塩基性であり皮膚にふれると炎症を起こし、特に粘膜を侵しますので取扱は
充分気を付け、眼鏡(ゴーグル)
、ゴム手袋等の保護具の着用を厳守して下さい。
取扱は局所排気装置を設置して換気をはかった場所で行って下さい。高温物、火炎、ス
パークを避け、強酸化剤との接触も避けて下さい。静電気対策を行い作業衣は導電性のも
のを使用して下さい。
取扱い場所の近くに安全シャワー、手洗い、洗眼設備を設け、その位置を明瞭に表示し、
作業後の洗顔や手洗いを励行して下さい。また、飲み込んだりしてはいけません。
容器は丁寧に扱い、転倒させたり、落下させたり、衝撃を与えたり、引きずったりしな
いで下さい。使用済みの空の容器は特定の場所を定めて集積して下さい。
●応急措置
①皮 膚 に 付 い た 場 合:汚染した衣服を脱がせ、触れた部分を大量の水で洗い流す。
皮膚に炎症を起こした場合には医師の手当を受ける必要があ
ります。
②眼 に 入 っ た 場 合:直ちに流水で15分以上洗眼し、医師の手当を受けて下さい。
③蒸気を吸入した場合:患者を直ちに空気の新鮮な場所に移し、安静、保温に努め、
速やかに医師の手当を受ける必要があります。呼吸困難な場
合には酸素吸入を行って下さい。
④誤 飲 し た 場 合:大量の水または牛乳を飲ませて胃の内容物を吐き出させ、直
ちに医師の手当を受けて下さい。患者に意識がない場合には、
気管に逆流するおそれがあるので、口から物を与えたり、吐
かせたりしないで下さい。
− 24 −
●火気に対する注意
当社のアミンは下表の通り消防法上危険物に該当致します。
したがって火気に対しては充分注意を払い、
法令に従って保管・貯蔵することが必要です。
もし引火した場合、消火には注水、泡沫消火器、粉末消火器、炭酸ガス消火器が有効で
す。
危険物第 4 類
指定可燃物
第 1 石油類
N−MM
第 2 石油類
MOP, N−EM
2Mabs, 2M, 2A, 2FA
第 3 石油類
OH−PIZ
2B, EA, MMA, MDA, MEM, MED,
MBM, MBD, tBMEA, tBDEA, PA
可燃性固体
PIZ−H
●輸出貿易管理令該当物質
アミノアルコール2A、アミノアルコールMDA、アミノアルコールMEDは輸出貿易管理
令に該当致します。輸出の際は経済産業省へ輸出許可申請をしてください。
− 25 −
記載された製品は工業用途としてのみ御使用できます。
それ以外の用途に御使用になる場合には、あらかじめ当社に
ご相談ください。
ここに記載された事項は、細心の注意を払って行った実験に
基づくものでありますが、実際の現場結果を保証するものでは
ありません。
また、御使用の際には必ず製品安全データシート(MSDS)を
よくお読みの上、お取扱いください。
− 26 −
日本乳化剤株式会社
本
社
大阪営業部 技術研究所
川崎工場 鹿島工場 〒103-0024
東京都中央区日本橋小舟町 4 番 1 号(伊場仙ビル)
電話(03)5651-5640(代表)
FAX(03)5651-5646
〒541-0041
大阪府大阪市中央区北浜 1 丁目 5 番 5 号(大阪平和ビル)
電話(06)6203-5027(代表)
FAX(06)6202-0804
〒210-0865
神奈川県川崎市川崎区千鳥町 1 番 1 号
電話(044)266-8980(代表)
FAX(044)277-5369
〒210-0865
神奈川県川崎市川崎区千鳥町 1 番 1 号
電話(044)266-8914(代表)
FAX(044)276-1724
〒314-0103
茨城県神栖市東深芝16番地 4
電話(0299)93-8611(代表)
FAX(0299)93-8612
2016年(第 7 版)
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