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性遊戯
日心第71回大会 (2007) 大学生のQOLと性格傾向(1) ―QOSL(学生生活の質)尺度と5因子性格検査― ○田沢晶子 井上徹 (大阪大谷大学 人間社会学科) Key words: QOL、5因子モデル、性格傾向 群は Low 群よりも、統制性、愛着性、遊戯性が高かった(p<.01)。 「III 生活・経済環境」では、High 群は Low 群よりも、愛着 性、統制性、遊戯性が高かった(愛着性、遊戯性は p<.05、 統制性は p<.01)。 「IV 大学内環境」では、High 群は Low 群よ りも外向性、愛着性、統制性、遊戯性が高かった(統制性は p<.05、それ以外は p<.01)。「Ⅴ社会的関係」では、すべての 超特性で High/Low 群間に有意差が認められた。すなわち High 群は Low 群よりも外向性、愛着性、遊戯性、統制性が高く(統 制性は p<.05、それ以外は p<.01)、情動性は低かった(p<.01)。 「VI 自己効力感」では、High 群は Low 群よりも外向性、愛 着性、統制性が高く(p<.01)、情動性は低かった(p<.01)。 「VII 未来的展望」では、High 群は Low 群よりも、愛着性、統制 性が高く(p<.01)、遊戯性でも高い傾向がみられた(p<.10)。 また情動性は低かった(p<.01)。最後に「VIII 全体的充実感」 では、High/Low 群の間にすべての超特性で有意差が認められ た。High 群は Low 群よりも外向性、愛着性、統制性、遊戯 性が高く(p<.01)、情動性は低かった(p<.05)。 考 察 本調査において、QOSL のすべての領域で有意差が認め られたのは、愛着性という超特性であった。この因子は5因 子の中で分離―愛着の次元を表している。愛着性が高い人は、 他者に信頼や愛情を持ち、共感的行動を示すことができ、協 調的である(辻ら、1998)。学生相談に持ち込まれる相談内容 のうち、最も多いものの1つが学内の人間関係の悩みである ことを考えると、仲間と協調的に楽しみながら大学生活を送 れることが、充実感や満足度と深く関わっていることが窺え る。 また統制性でも、High/Low 群間ですべての領域に有意差が 見られた。統制性が高いことが学生生活の満足感と関係して いる。はっきりとした目的意識を持ち、その目的を目指して 学生生活を意識的にコントロールすること、そして、まじめ に学業に励むことができる状態であることが、大学生活を充 実させるもうひとつの大きな要因と考えられる。このような 結果を踏まえ、学生生活の質を高めるために効果的な支援を 行う必要がある。 引用文献 峰松修 2002 大学生の生活の質(Quality of Student Life)に 関する研究-「大学生活調査カタログ」の開発- 平成 12 年度~平成 13 年度科学研究費補助金 基盤研究(c)(2) 田沢晶子・田中亜裕子 2003 本学学生に対する QOL 調査 ―「学生生活チェックカタログ(Ver.3)」 の実施― 甲南 女子大学学生相談室年報,4,33-38. (TAZAWA,Shoko) + P<.5 *P<.05 **P<.01 ***P<.001 目 的 大学には以前にも増して多様な学生がそれぞれのニーズを 持って入学してくるようになった。複雑化する社会に個とし て身を置き、物事を判断し、選択する基本的な力が身につけ られるよう、学生の立場に立った大学づくりが求められてい る(文部科学省 大学における学生生活の充実に関する調査 研究会答申、2000)。多くの情報が溢れるなか、現状や適性の 吟味が充分に行えないまま将来への不安を強く感じてしまっ たり、対人関係での不全感を訴える学生は多い。このような 現代の多くの大学生に対して、どのような関わりが有効且つ 適切かを模索することは重要であろう。本調査は、一般大学 生の実態を把握し、その生活の質に基づいた支援を行う手が かりを得るため、3 つの尺度を用いて検討した。 方 法 被験者:兵庫県の 4 年制大学生 191 名。分析にかけたのは、 記入漏れなど 16 名を除いた 175 名(男:54 名、女:120 名、 性別無記入:1 名)。 調査票の構成 大学生の QOL と性格特性との関係を調査す るために以下の3尺度を用いた。 ①学生生活チェックカタログ(Ver3) :峰松(2002)により作 成された大学生活の質(Quality of Student Life;以下 QOSL) を測定する尺度 127 項目。 「I 心身の一般的不調(18 項目)」 (得点の処理上「心身の一般的健康」とする)「II 学業・知的成 長(18 項目)」 「III 生活・経済的環境(15 項目)」 「IV 大学内 環境(22 項目)」「Ⅴ社会的関係(21 項目)」「VI 自己効力感 (15 項目)」 「VII 未来的展望(15 項目) 「VIII 全体的充実感(5 項目)」の 8 領域からなる。4 点尺度として使用した。 ②5因子性格検査(Five-Factor Personality Questionnaire;以下 FFPQ) :辻ら(1997)によって作成された尺度 50 項目。 (回 答は 5 点尺度) ③楽観主義尺度:戸ヶ崎・坂野(1993)により作成された日本 語版 Life Orientation Test 8 項目。楽観主義的な傾向を測定す る(回答は 5 点尺度、以下 OPT とする)。 手続き 大学の講義時に調査票を配布し、その場で回答した (2007 年 2 月)。調査票の表紙に年齢、学年、性別の記入を求 めた。回答時間は 15 分から 20 分であった。 結 果 QOSL の8領域の High/Low 群をとり、FFPQ の得点を比較 した(表 1)。 「I 心身の一般的健康」では、High 群は Low 群よりも、外 向性、愛着性が高く(外向性は p<.05、愛着生は p<.01)、情 動性は低かった(p<.01)。「II 学業・知的成長」では、High 表 1 QOSL 得点 High/Low 群における FFPQ 平均値の比較 QOSL FFPQ 愛着性 平均値 | SD 分離性 t値 統制性 平均値 | SD 自然性 t値 心身の一般的健康 学業・知的成長 生活・経済環境 大学内環境 社会的活動 自己効力感 未来展望 Hi(38) Hi(36) Hi(36) Hi(35) Hi(35) Hi(40) Hi(36) Lo(37) 38.21 34.65 4.982 4.721 -3.176**df=73 32.11 29.24 6.517 6.559 -1.895+df=73 Lo(39) 39.39 33.13 5.473 5.832 -4.783***df=73 35.06 26.33 6.360 5.957 -6.132***df=73 Lo(36) 39.19 33.47 4.910 5.634 -4.594***df=70 33.11 30.17 6.752 5.475 -2.032*df=70 Lo(35) 40.00 33.00 5.714 5.703 -5.130***df=68 32.69 29.14 5.630 7.228 -2.288*df=68 Lo(36) 41.09 32.81 3.951 5.706 -7.089***df=69 32.69 28.97 6.781 6.992 -2.271*df=69 Lo(35) 39.93 34.03 4.768 5.294 -5.075***df=73 34.65 27.11 6.367 6.659 -5.005***df=73 全体的充実感 Lo(37) 40.14 34.30 5.758 4.396 -4.880***df=71 34.78 27.03 6.795 5.664 -5.299***df=71 Hi(39) Lo(31) 39.41 34.52 5.139 4.999 -4.006***df=68 33.79 28.58 6.602 7.393 -3.113**df=68