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Title 恥骨骨折片を核とせる膀胱結石の症例 Author(s)
Title Author(s) Citation Issue Date URL 恥骨骨折片を核とせる膀胱結石の症例 安藤, 真名; 山田, 瑞穂 泌尿器科紀要 (1957), 3(4): 279-282 1957-04 http://hdl.handle.net/2433/111439 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 279 泌 尿 紀 要3巻4号 昭 和32年4月 恥骨 骨 折 片 を核 とせ る膀 胱 結 石 の症例 京都大学医学部皮膚科教室(主 任 安 藤 山本教授) 真 名 国立京都病院皮膚泌尿器科(主 任 大矢 医長) 山 Un Cas du Calcul Vesical 田 瑞 穂 Dont le Noyau est an Morceau du Pubis Masana ANDO CliniqueDermatologiquede l'Universitê de Kyoto (Directeur : Prof. T. Yamamoto) Mizuho YAMADA Clinique Urologique de l' HOpital National de Kyoto (Directeur : Dr. Z. Oya) Le calcul vesical est une maladie vulgaire, mais it est rare de trouver un calcul dont le noyau est un morceau d'os. observe un cas de calcul vesical dont le noyau X la suite, d'une contusion du bassin a êtait un morceau du pubis. OBSERVATION : Il s'agit d'un malade 'age de 29 ans, it y a 7 ans, quand it travaillait a l'abattage de bois, it fut pris sous un grand tronc et it recut une forte contusion a la symphyse pubienne et a l'articulation de la hanche gauche ; apres une annee, it commenca a sentir des douleurs a la miction et a manifester de l'hematurie cependant ces symptOmes s'apaisaient par le repos sans aucun traitement special. Depuis quelques mois, la pollakiurie, la douleur apres la miction et l'hernaturie terminale ont commence. L'êtat general est mediocre. L'abdomen inferieur est sensible a la pression, et le membre inferieur gauche est modifie. Cystoscopie par rachianesthêsie : Il y a hyperemie diffuse et tumefaction oedemateuse de la muqueuse, et it se trouve un calcul de grandeur double d'un doigt sur le trigone. La chromocystoscopie est normale (le dote droit est 3'50", 5'10" ; le eke gauche est 4'25", 4'50"). Examen d'urine : L'albumine est positive ; it y a beaucoup d'erythrocytes et d'epitheliums pavimenteux dans le sediment. Radiographie : Le radiogramme simple de la vessie, donne une image d'un calcul de grandeur double d'uu doigt, et une image du deficit cuneiforme large comme un doigt a la partie gauche superieure du pubis. Resultat de l'intervention chirurgicale : Sectio alta comme le modele et extraction du calcul de la vessie. Ce calcul est isole de la paroi de la vessie, mais la partie gauche anterieure de la vessie forme adherence avec 安藤,山 田一恥骨骨折片を核 とせる膀胱結石 の症例 280 la partie creuse du pubis. La dimension du calcul est de 3cm x2.6cmx1.2cm ; le poids est de 8.3g ; la couleur est grise cendree jaunatre ; la surface est grossiere ; et brise le noyau montre un morceau d'os large comme un petit haricot ; et d'autre elements sont fragiles, du phosphate de chaux et du phosphate de magnesium. Les suites operatoires sont favorables. Le patient quitte notre service en exellent etant de sante. Cependant aucun traitement n'est fait en ce qui concerne l'articulation de la hanche gauche. Je crois que le malade a recu une forte contusion et a eu une fracture du pubis ; un morceau d'os a ate separe par cette fracture est entre dans la vessie. Le calcul s'est forme autour ce morceau. Le calcul vesical est une maladie banale, mais le calcul vesical qui en relation avec un os est tres rare. Au Japon, on n'a signalê dans les publications que neuf cas ; 1) 2) os du kyste dermoide dans la vessie (par Dr. Maeda, et par Dr. Yamamoto, Omori) ; 3) un morceau d'os de boeuf mange par la malade (par Dr. Asakura) ; 4) 5) des morceaux d'os de foetus restes apres un avortement artificial (par Dr. Endo, et par Dr. Tofukuji, Yamakawa, Shoji) ; 6) 7) 8) un morceau du sequestre du femur par l'osteomyelite (par Dr. Tamura, et par Dr. Irizawa, et par Dr. Okui) ; Des calculs se sont formês sur tour ces morceaux d'os. 9) Enfin, calcul adherent a la paroi dans la vessie a la suite d'une contusion a cause d'un pubis saillant (par Dr. Takahashi, Akiyama). J'ai ajoutè un autre cas produit par une contusion. 1緒 敏 で,左 下肢 に変 形 を 認 め る.即 ち 右 に 比 して左 脚 は 言 約5Cm短 膀 胱 緒 石 は ご く あ り ふ れ た 疾 患 で あ る が,骨 片 を 核 と し た も の は 稀 と さ れ て い る.本 邦 に於 て は い ま だ 数 例 が 報 告 さ れ て い る に 過 ぎ な い. 私 は 骨 盤 部 打 撲 症 の 後,恥 骨 々折 片 を 核 と し た と思 わ れ る膀 胱 結 石 の症 例 を経 験 した の で報 告 く,股 関 節 は 約10度 の内 転 位 を と り,屈 曲 は45度 位 まで に制 限 さ影,外 転,外 旋 は障 害 され て い る.膝 蓋 腱 反射 は左 側 の み充 進 して い る. 膀 胱 鏡 所 見:無 麻 酔 で は 耐 容 量 は僅 か に数ccで, 全 く何 も見 る こ とが 出 来 ない,0.3%ペ 1.2cc腰 麻 で行 うと,耐 容 量 は150cc以 ル カ ミyS 上 粘膜 は 全 般 的 に 充 血 し,浮 腫状 に 腫 張 し,三 角 部 の左 側 に栂 す る. 指 頭 の2倍 大 の 結 石 が あ り,イ ンヂ ゴ カル ミシ の排 泄 ∬ 患 者 は29才 男 子,7年 症 例 試 験 は 左3分50秒 前 に シベ リヤ で木 材 の伐 採 作 業 中 に,大 き な木 の 下敷 に な り,左 股 関 節 よ り恥 骨 縫 際 に か け て強 い打 撲 を受 けた,約1年 後,排 尿痛,血 尿 を来 た した が,抑 留 中 の こ と とて 特 別 の 治療 も受 け ず,臥 豚 す るの み で軽 快 した.こ の間1回 骨片 と思 わ 初 発,4分50秒 初 発,5分10秒 濃青 色,左4分25秒 濃 青 色 とな り,全 く正 常 で あ る. 尿 中蛋 白質 陽 性,沈 渣 中に 白 血 球,赤 血球,扁 平 上 皮 細 胞 を多 数 認 め る. X線 像:膀 胱 部 単 純 撮 影,膀 胱 部 中央 に栂 指 頭 の2 倍 大 の結 石 陰 影 を 認 め るが,な お こ の 外 に,恥 骨 に 於 れ る も のが 尿 と共 に尿 道 よ り排 出 した こ とが あっ た. て縫 際 よ りや や 左 方 上縁 に,掴 指 頭大 の懊 形 の陰 形 欠 数 ケ 月前 よ り尿 意 頻 数,排 尿 終末 痛,終 末 時血 尿 を 来 損 を 認 め る(第1図 た した.7年 よ る変 形 性 股 関 節症 の所 見 を 認 め るが,骨 陰 影 欠損 は 前 に こ の外 傷 を 受 け た 他 には 特 記 す 可 き 既 往 症 は な く,家 族 歴 中 に も特 別 な も のは ない. 全 身所 見:特 に異 常 は 認 め られ な いが,下 腹 部 は圧 参 照)左 股 関 節 部 で は,骨 折 に 認 め られ な い. 手 術 時 の 所 見:型 の如 くに恥 骨 上 高 位 膀 胱 切 開 を行 安 藤,山 田 一恥 骨 骨折 片 を核 とせ る膀 胱 結 石 の症例 い,膀 胱 内 よ り栂 指 頭 の2倍 大 の結 石 を 取 り出 す.こ の結 石 は膀 胱 壁 とは 全 く遊 離 して 居 り,壁 固 蒼 で は な い.一 方,膀 胱 壁 の左 前 の一 部 分 は恥 骨 と癒 着 し,た め に膀 胱 は や や 不 整形 を な して い る.即 ち左 恥 骨 上 内 側,恥 骨 縫 際 よ り約1横 指 左 方 に,栂 指 頭 大 の 陥 凹が 例,③ 28! 飲込 ん だ牛 の骨 片 が 盲腸 部 よ り膀 胱 え潜 入 した朝 倉氏 の例,④ ⑤妊 娠 中絶 手 術 で取 残 し た胎 児骨 片 が膀 胱 内 で結 石 を生 じた遠 藤 ・安 岡 氏 の例,東 福 寺 ・山 川 ・庄 子 氏 等 の 例,⑥ 骨 騎 あ り,こ こで膀 胱 壁 と恥 骨 が 癒 着 して居 り,容 易 に剥 炎 後 腐 骨 と なつ た大 腿 骨 頭 が 自然 に 排 出 した 田 離 し得 な い,こ れ を剥 離 す る と,膀 胱 壁 は こ の部 分 で 村 ・宮 付 氏 の例,⑦ ⑧ そ の様 な腐 骨 が 壁 固 着 性 は薄 くな っ て い る.型 の如 くに縫 合 し,術 を 終 っ た. 結 石 を 生 じた 入沢 氏 の例,奥 井 ・増 田 ・児 玉 氏 の例,⑨ 膀 胱 内 に嵌 入 した恥 骨 に基 く壁 固 着 性 取 出 し:た結 石 は,3cm×2.6cm×1.2cm,重 さ8.39で,灰 白帯 黄 褐 色 で,表 面 は 粗雑,"部 穎粒 結 石 の高 橋 ・秋 山氏 の例,の9例 に於 て膀 胱 内 状 で 凹 凸不 平 で あ る.割 っ て見 う と,中 央 に 略 々大 豆 に骨 が あ り結 石 を形 成乃 至 は作 りか か つ て いた 大 の骨 片 を核 とし て居 り,そ の 外 側 は 輪 層状 を な さず こ とを報 告 して い る.皮 様 嚢 腫 に よる もの2, に,比 較 的 脆 い部 分 か ら成 っ て い る.こ の主 成 分 は燐 酸 石灰 及 び マ グ ネ シ ウ ムで あ る(第2図 術 後 順 調 に 経 過 し た が,3週 参 照) 問 後,突 然 高熱 を 発 し,腎 孟 腎 炎 を 来 た し,サ ル フア剤 の投 与 に よ り軽快 食 事 に よ る も の1,人 2.骨 に よ る もの1で,私 傷 の症 例 は これ に加 え られ る 可 き1例 で あ る. した. 尚,左 変形 股 関 節症 は,整 形 外科 に於 て治 療 が 可 能 で あっ た が,患 語 IV結 者 が そ 牙しを敢 え て希 望 し な かっ た の 29才 男 子,7年 で,行 わ なか っ た. 前 に 受 け た 骨 盤 打 撲 に よ り, 恥 骨 骨 折 を 来 た し,こ 皿 考 按 れ る膀 胱 結 石 の1例 本 症 例 は シ ベ リヤ抑 留 中 の 外傷 で あつ た た め,受 傷 時 の状 況 及 び 当 時 の病 歴 は不 明 で 全 く 治 療 ら し い治 療 も受 け な か つ た が,ひ るが え つ て想 像 して見 る と,強 い直 達 外 力 を骨 盤 に 受 け た が,幸 工 妊 娠 中絶 に よ る もの 髄 炎或 は結 核 の 腐 骨 に よ る もの3,外 いに軟 部 に対 す る影 響 は軽 微 で,眺 骨 の 骨 片 を 核 と し た と思 わ を 報 告 し た. (本 症 例 は 昭 和30年11月,第6回 中部 連 合 地 方 会 の 席 上 口述 し た) 又,同 1例,原 席 上,前 田 氏 に よ り,腐 因 不 明 の1例 の2例 骨 に よ る もの の 骨 片 を核 と し た 膀 胱 結 石 の症 例 が 追加 され た 。 献 V文 の 一部 に骨 折 を来 た し,後 にX線 写 真 で 見 た恥 骨 の 陰 影 欠損 の 如 き骨 片 が剥 脱 され,こ れ が遊 1)前 田:皮 尿 誌,21:601,大10. 離 して 膀胱 壁 に 嵌 入 し,数 年 の 間 に膀 胱 壁 を通 2)山 本,大 森:日 過 して,膀 胱 内 に遊 離 し,こ れ を核 とし て結 石 3)朝 倉:日 泌 尿 会 誌,3:168,大3. が生 じた も の と思 わ れ る.左 股 関 節 部 は強 い外 4)遠 藤 ・安 岡:皮 力 に よ り,大 腿 骨 頭 が 圧 挫 され た もの と思 わ れ 5)東 福 寺 ・山 川 ・庄 子;臨 る が,こ の もの が膀 胱 内 に到 達 し た とは考 え難 C)田 村 ・宮 村 ・日泌 尿 会 誌21・572・ く,恥 骨 骨 折 片 が 結 石 の核 と な つ た と考 え る方 7)入 沢:皮 8)奥 井 ・増 田 ・児 玉 ・臨 抹 皮 泌 ・5・480・ 9)高 橋 ・秋 山 ・外 科 の 領 域 ・i・632・ が 妥 当 か と思 う. 膀胱 結 石 は決 して珍 らし い もの で は な いが, 異 物結 石,壁 固 着 結 石等 は稀 と され,異 物 の 中 で も骨 と関 係 を有 す る も の は稀 有 な 症 例 で あ る.即 ち,本 邦 に於 いて は,① ② 皮 様 嚢 腫 の 内 容 の骨 と し て,前 田氏 の例,山 本 ・大 森氏 の 泌 尿 会 誌,23:224,昭9。 膚 紀 要,38:254,昭16. 肱 皮 泌,8'15,昭29 昭7・ 尿 誌,31:572,昭6 10)大 矢 ・ILI田=泌 1!)前 田:泌 尿 紀 要 ・2:374・ 尿 紀 要,2:374・ 昭28 昭28・ 昭31・ 昭31 (御 高 閲 を 賜 わ つ た 稲 田 慰 受に 篤 く感 謝 の 意 を 表 す) 安藤,山 田一恥骨骨折片を核 とせる膀胱結石 の症例 282 第1図 第2図