Comments
Description
Transcript
項目別対比表とパラメータシート、 どっちを使ったらよいか?
第一講 項目別対比表とパラメータシート、 どっちを使ったらよいか? 塾長 では、さっそく本題に入りましょう。海 外に製品を輸出する場合や、非居住者に技術を 提供する場合に、その製品や技術が規制の対象 になるか否かをチェックする書式って何だか分 かりますか? 生徒Y はい。製品や技術が、輸出令別表第1や外為令別表で規制されてい る貨物や技術に該当しているかを判定し、その結果を記載する書式の一つと しては、『パラメータシート』と『項目別対比表』があります。 塾長 その通りです。どちらも、輸出許可・役務取引許可申請を行う際、添 付書類として、当該貨物の形状、寸法、材質及び性能その他の特性を示す諸 要素を証するに足る書類とされています。 生徒M でも、どうして2つも同じ書式があるのでしょう?項目別対比表は 1冊で、パラメータシートは何冊にも分かれていますよね。どうせなら項目 パラメータシート 項目別対比表 1 別対比表を買ったほうが一冊にまとまっていますし、貨物が複数項で規制さ れているんでしたら、項目別対比表のほうがお得かなという気がします。 生徒Y また、項目別対比表は全部カバーしていて、パラメータシートは特 定の品目だけしか対応していませんよね。 塾長 表1を見て下さい。項目別対比表とパラメータシートの違いを判定項 番と構造で説明しています。そもそもこういった書類が必要なのかはどこに 規定されているかというと、「輸出許可・役務取引許可・特定記録媒体等輸 出等許可申請書に伴う添付書類等について(お知らせ) 」に書かれています。 項番や仕向地(提供する外国)ごとにどのような書類を添付したらよいのか が書かれています(表2)。表2の①に「対比表」とありますが、必ずしも項 目別対比表やパラメータシートでなければならないと言うことではありませ ん。企業によってはオリジナルの対比表を作成しているところもありますよ。 ただ、ご自分で新たな対比表を作成する際は、最新の法令を熟知している 該非判定の専門家による帳票のチェックが必要ですよ。そもそも、判定手順 が間違っていたり、古い法令に基づいて作成したりしていれば、その書類は 現行法令に基づくエビデンスにはなりません。項目別対比表やパラメータシ ートが、いつ施行された政省令に対応しているかは、右上に○年○月○日施 行政省令等対応と記されているので確認してください。貨物を通関する際に、 税関から該非判定の書類の提出を求められることがありますが、時々、古い 帳票を用いて該非判定をしている事例があるようです。 生徒Y 書類として残すとなるとやっぱりきちんとしたものがいいですね。 表1 項目別対比表とパラメータシートの違い 項目別対比表 パラメータシート 判定できる順番 リスト規制全部 関連する品目毎に判定すべき順番をまとめたもの 1.化学製剤原料関連 2.先端材料関連 3.エレクトロニクス 4.コンピュータ 5.通信・情報セキュリティ 6.音響センサー・レーダー(一部) 7.別表第2 (一部) 構造 1.政省令の条文そのもの 1.フローチャート形式 2. 分野毎に変わりはなく、 2.各分野の専門家が作成しており、条文を熟知 シンプルな構造 していなくても一通りの判定ができる構造 (出所)CISTEC HP〔輸出管理基本情報〕FAQ 2 第一講 ◇ 項目別対比表とパラメータシート、どっちを使ったらよいか? 表2 輸出許可・役務取引許可・特定記録媒体等輸出等許可申請書に伴う添付書類等について(お 知らせ)から抜粋 1 添付書類 盧アイスランドを仕向地とし、輸出令別表第1の3の項盪7及び盪9並びに4の項盻、 眛、眸2、眸4、睇及び睹に掲げる貨物の輸出(2の項の中欄に該当するものに限る。) 又は当該貨物の設計、製造若しくは使用に係る技術の提供を目的とする取引を行う場合 添付書類 ① 輸出令別表第1又は外為令別表の規程と当該貨物又は技術の仕様(形状、寸法、材 質及び性能その他特性を示す諸要素)との対比表 ② カタログ、仕様書等の貨物又は技術の仕様(形状、寸法、材質及び性能その他の特 性を示す諸要素)を証する資料 ③ 「大量破壊兵器関連貨物・技術の輸出管理について」 (平成4年7月31日付け4貿局 第283号) (以下「大量破壊兵器通達」という。 )の別記3の1に従った書類及び別 記4の1のA又は2のAの誓約書 外為法改正により、規制されている貨物の輸出または技術の提供に関する文 書は、貨物が輸出された日または技術が提供された日から起算して、大量破 壊兵器関連は最低7年間(その他は5年間)は保存する必要がある、となり ましたし。それにこうした書類をメーカーとやり取りすることで「ここはど うなってるの?」といった感じでコミュニケーションがとりやすくなるとい うことも聞いています。 塾長 パラメータシートは、詳細な解釈が書かれてありますから、初めて該 非判定を行う人向けです。また、コミュニケーションという観点では、例え ば取引先の該非判定と自分の判定が違う場合、相手に詳細な判定根拠を要求 したいならば、詳細な解釈が書かれてありますから、パラメータシートを使 うことをおすすめします。 項目別対比表は、法令の規定がそのまま掲載されていますから、法令に熟 知しており、判定できる方向けです。先ほども言いましたが、貨物又は技術 の仕様と該当する省令が分かる企業独自の対比表を 新たに作成してもいいんです。 生徒M 基本的な質問をして良いですか?該非判定 は、いつ行ったらよいのでしょうか。取引が成立し た後?それとも、もっと早い段階で、製品化した後 3 に作成しておけばよいのでしょうか? 塾長 原則は、輸出又は技術提供を行なう前に該非判定を完了させなければ なりません。ある企業では、設計の時点からその製品が「該当」にならない よう、例えばリスト規制該当の組込み技術を使用しない等、気をつけている ようです。これは“デザインアウト”という考え方ですね。企業によって方 法は異なりますが、許可の取得には時間がかかる場合がありますので、でき れば余裕をもって判定しておくことをお勧めします。 生徒M ということは、製品がリスト規制該当貨物で、個別輸出許可の取得 が必要であることが分かった時点で、許可申請を行えばいいのですね? 塾長 いいえ、そうではありませんよ。「輸出貿易管理令の運用について」 (運用通達)には、輸出許可申請に必要な書類として契約書1通、と書かれ ています。契約締結前では、契約内容が確定していないため、許可申請はで きません。ただし、契約書には、政府の許可が得られるまで契約は発効しな い旨の規定を盛り込んでおく必要があります。 生徒M なるほど。それで、全ての輸出貨物、技術について行わないといけ ないのですか? 塾長 今回のテーマから少し離れますが、平成22年4月1日に「輸出者等遵 守基準を定める省令」が施行されました。この省令は外為法第55条の10に基 づいています。これは、「業として輸出・技術提供を行う者」すなわち、輸 出や技術提供を反復継続して行う者が最低限行うべき輸出管理の基準です。 . 生徒Y 業として?? 塾長 あまり聞きなれない言葉だと思いますが、この場合は輸出等を反復、 継続して行うという意味です。例えば、海外の企業や研究機関と共同研究を 行う場合、図面やデータの送付といった技術提供を行いますよね。あるいは、 新興国向けのマーケット拡大で、新たな輸出を計画している場合など、この ような場合は輸出者等遵守基準を遵守する義務が課せられるのです。これま では、輸出管理社内規程(CP)(※現在は輸出管理内部規程)がありました が、輸出者等遵守基準が定められたことによって、該当品や該当技術の有無 にかかわらず、中小企業や大学・研究機関も例外ではなく、組織的な対応が 求められるようになった、ということです。 生徒M 4 内部規程と遵守基準は、どう違うのですか?