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カンボジアの風景から 今回初めてカンボジアを訪問し、街なかの 風景
カンボジアの風景から の時期というのもあるのでしょうが、中韓の 海外旅行熱の高まりを実感しました。 今回初めてカンボジアを訪問し、街なかの 風景から感じたところを紹介していきたいと 思います。 カンボジアへのルート 今回、関西空港からベトナム航空を利用し、 ホーチミンでの乗り継ぎ(2 時間)を含めプ ノンペンまで約 8 時間の旅。現地到着は夕方 で、ちょうど夕食時になりました。 中韓の団体客が多いアンコール遺跡 プノンペンの交通 街なかで多く見かけるのが、バイクと自家 用車で、観光客も利用するトックトック(3 輪 で 4 名分の座席付)やバイクタクシーが多く 見られます。 ベトナム航空便でプノンペンへ到着 福井の企業の皆さんは、小松空港から大韓 航空を使ってソウル経由で訪問される方が多 いようです。 現在、日本からカンボジアへの直行便はな いのですが、年内にはプノンペンへの直行便 が誕生する予定で、益々距離感も近くなるの ではないでしょうか。 バイクとトックトックで混雑する通勤風景 カンボジアと言えば「アンコールワット」 観光地やホテルの周辺には、多くのトック が最も有名で、旅行ガイドでもタイトルがア トックが客待ちをしていますが、代金は交渉 ンコールワットで小さくカンボジアと標記さ 次第というところがあって、ぼられることも れているくらい、日本からの訪問者の 8 割以 多いようです。 上がアンコールワットを訪れているようです。 今回、アンコールワットも訪問しましたが、 中国、韓国からの団体客を多く見かけ、春節 最近、プノンペンで市内の路線バスがスタ ートしたようで、普通のタクシーもあるので すが、あまり台数が多くなくほとんど見かけ ませんでした。 ングの話は聞かれませんでした。 ただ、プノンペン市内の舗装率は高く、郊 外の道路では若干修繕が必要なところみられ るもののホーチミンに近い整備状況に感じら れた。 プノンペンの高層ビルとゴミ メコン川といくつかの河川の合流地点とな るプノンペンは、砂地なのか街全体が砂埃で かすんだ印象です。 農村部からの人口流入 カンボジアの首都プノンペンは 200 万人の 人口を抱え、近年プノンペン市郊外に増加す る工場に働く農村部からの人口流入により急 激に拡大しています。 昨年、プノンペン SEZ に進出した日本のミ ネベアでは、工場拡張に合わせて従業員宿舎 を敷地内に整備し、近隣の農村を回って集団 就職を呼びかけ従業員を募集しているとのこ 晴天でも若干霞みが掛かったような空 とで、プノンペン工場だけで 4,000 人になる。 また、SEZ 以外の工場では、近隣にアパー しかし、市街地は整備が進みつつあり、最 トを共同で借りて通勤する従業員が多く、プ 近は分譲マンションの建設ラッシュとなり、 ノンペン郊外の幹線道路沿いにはアパートも 日系の不動産会社も進出し、あちこちで高層 多く見られます。 の建物が見られるようになっています。現在 プノンペン市内で 70 棟の高層ビルの建設が 進められているとのことでした。 沿道には食材を販売する露店が並ぶ このような共同生活者向けに食材を提供す る露店も朝早くから道路沿いに店をだし、野 イオンモール近くに建設中のマンション 菜や肉などを販売している。ほとんどの従業 一方で、街なかでもゴミの問題が発生して 員の昼食は、近くの露店に出かけるかお弁当 いて、朝に大通りにはゴミが集められ、収集 を持参するかで、ベトナムのようなケータリ 車で回収する様子が見られた。 ジェトロでの話では、まだまだ住民が農村 バイク利用者が増えることが予想され、今後、 での意識のままで、都市生活に慣れていなく 交通ルールやマナーの徹底とともに、道路整 て、都市で必要な公共意識が低く、そのせい 備の強化が求められていきます。プノンペン でゴミが目に付いたり、交通マナーが悪かっ 市内でも、数か所の立体交差が整備されたこ たりするとのことで、これから徐々に向上し とで渋滞が緩和しているとの話も聞かれ、車 ていくのではないかという話であった。 信号が変わるとバイクが突進してくる 街角に集められたゴミを朝、収集車で回収 また、上水道は北九州市の支援で、日本人 やバイクの増加に合せた整備が進められてい くことに期待したいと思います。 が飲める水準にまで浄化されているが、下水 道の整備が遅れていて、プノンペン市街地を 少し離れると水路などにはゴミが捨てられて いる。 イオンがSC文化を創る プノンペン市内にもショッピングセンター は数々あり、まだ市民を対象にした市場も残 っていますが、その中でイオンモールの進出 は、生活行動や消費に変化をもたらす可能性 が高いのではないかと感じます。 これは、ベトナムのイオンを訪問した際に も感じたことですが、新しくきれいでおしゃ れな場所ができることで、買い物はしなくて も食事やデートに利用していくことで、ショ ッピングモールという文化を受け入れるよう メコン川へ繋がる水路はゴミで埋まる になり、更に、それが当たり前(最低限必要 なもの)に感じるように感覚が変化すること で、他のショッピングセンターでは物足りな 活力を感じる通勤風景 バンコクやジャカルタのような渋滞はまだ 見られないプノンペンですが、これから更に くなる現象が起こっていくのではないかと感 じます。 豊富な商品や装飾された売り場、試食販売 など、これまでカンボジアになかった雰囲気 以上に伸びていくことになるので、十分消費 が演出されており、私たちが訪問した平日の の対象に入ってくることになるのでしょう。 夕方でも子供連れのお母さんが多く見られま そんなことを考えながらの進出ではないかと した。 感じます。 一方で、食品や飲食に関しては、十分市場 性はあると思われ、SC内のカフェでは、1.7 ドルの値段がつけられたコーヒーショップに 並ぶ女性客の列が見られました。 イオンの食品売場内の試食販売 ベトナムで見られた「お寿司」のテイクア ウトは見かけませんでしたが、イートインコ ーナーには、中華、韓国、ベトナム料理など コーヒー1 杯 200 円でも行列が バラエティあるメニューが見られ、更に、マ スクや手袋など衛生面での対応もしっかりさ れていて、日本のSCよりも清潔な感じがし ました。 プノンペンにあるスターバックスコーヒー は日本と同じ 350 円くらいの値段でも人を集 め、最近 800 円もするコーヒーショップが開 店したとの話も聞かれています。 最初は食 このように消費市場を狙うなら最初は「食」 が入り易く、福井県の方で、現地で飲食店を 営業している方も何人かいらっしゃるようで す。良質な食材の確保には苦労されているよ うですが、今後、日本やタイとの物流が改善 していくと、更に飲食サービスの進出の可能 イートインコーナーで販売されるお弁当 性は高まるのではないかと感じました。 プノンペンの平均月収が 4 万円程度と考え プノンペンについて、駐在員の皆さんから ると、女性もののブラウス1枚 4 千円という 共通して聞かれたことは、 「安全な街」という のはまだまだ高いものではありますが、GD ことで、もう少し日本でのイメージも良くな Pの 7%成長が続けば、10 年後には所得が倍 ってもよいのではないでしょうか。 (峠岡伸行)