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台湾が参与する気候変動枠組条約 (UNFCCC)

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台湾が参与する気候変動枠組条約 (UNFCCC)
台湾が参与する気候変動枠組条約
(UNFCCC)
環境保護署
行政院 中華民国 (Taiwan)
台湾の人々は環境に関心を持っています。そして私たちは世界の人々とこの環境を共有していること
も理解しています。人口が密集し、しかも世界の中で地質と気象が最も敏感な地域の一つである島嶼
として、加速する地球環境の変化の脅威を特に容易に受けてしまう事を私たちは明確に認識していま
す。これらの理由に基づき、私たちは国連 (UN) が気候変動枠組条約 (UNFCCC) と気候変動に関する
政府間パネル (IPCC) を通じて設立した世界的組織の一員となることを早くから希望してきました。こ
れによって私たちは私たちの技能と専門知識を貢献すると共に、私たちのリスク管理の支援を求める
ことも望んできました。しかし私たちの独特な政治環境のためにこれらの願いは未だ叶えられていま
せん。
しかしながら、変化は進みつつあります。2008 年の選挙後、台湾の新政権は着実かつ建設的な方法
によって海峡の両岸、そして周辺の世界に積極的に参与しています。この新たな方法は理想的な成果
をすぐにもたらしました。今年の少し前、国連加盟国は初めて台湾を世界保健機関 (WHA) の正式オ
ブザーバーとして受け入れる事を決定しました。これはマイルストーンとして意義のある決定で、私
たちの願いを極めて大きく鼓舞するものです。この積極的な先例がいつか私たちが加入を渇望する気
候変動枠組条約 (UNFCCC) と気候変動に関する政府間パネル (IPCC) においても類似する進展をもたら
すことを期待しています。
私たちの環境への約束
台湾の人々はこれらの利益が得られるべきだと固く信じています。過去 30 年間において、私たちは
開かれた思想と系統的な環境保護の枠組みの確立に努力してきました。この期間私たちは、環境基本
法を含む 417 項目の環境保護の法律と法規を発布及び実施すると共に、国連の全ての環境条約及び議
定書の規則を統合しています。 また現在でも環境保護の業務は我が国政府の中で部レベル ( 省庁レ
ベル ) にまでその扱いを高めると共に、環境と自然資源及び世界環境を十分統合する計画が進められ
ています。
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台湾が参与する気候変動枠組条約 (UNFCCC)
私たちならではの弱点
私たちは第一線の経験から気候変動の苦しみを知っています。2009
年 8 月に南台湾を襲ったモーラコット台風 ( 平成 21 年台風第 8 号 ) が、
その激しさの典型的な例です。モーラコット台風は未曾有の破壊をも
たらしました。洪水、土石流そしてその他の気象現象は、ある地域に集
中して 3 日間で 3 メートル近い降水量が発生するという史上例を見ない熱帯
低気圧であり、700 人を超える死亡と計り知れないその他の損失が起きました。多くの人はこのよう
な気象はただの幕開けに過ぎないと心配しています。世界の温暖化に伴って、嵐の強さがよりその強
さを増していくことは確実です。しかもこれは私たちにとり、唯一の故郷であるこの島も海面上昇、
厳しい熱波、旱ばつや水資源の欠乏、気候によって引き起こされる疾病や伝染病、そして、私たちが
発見した貴重な生物種、クロツラヘラサギ、タイワンマスなどの生物多様性の喪失という脅威にさら
されつつあります。私たちにとって、国際的な支持と援助を得る必要性は何時にもまして大きなもの
となっているのです。
私たちが貢献できることは何か
台湾人は仕事に対して、これまで常に大変努力してきました。そして、私たちはより多くの場で国際
社会に貢献できると信じています。前世期半ばの未開発の状態から、私たちは無数の挑戦を乗り越え
て今日多くの人に知られている、イノベーションとテクノロジーの経済体を築き上げてきました。し
かし、工業化の過程において、自らの環境と生態系にも極めて大きな負担をもたらしました。台湾が
擁する経験と教訓は成功と困難とに関わらず、全て世界における多数の発展中の経済体が、その経済
的福利を高めようと努力する時に経験するものであるかもしれません。この意義において、私たちは
経済的発展や環境管理においても多くの事をそのような国々と分かち合うことができ、しかもその発
展の過程において協力することができます。私たちが国連に参加することに同意する全ての組織の中
で、私たちは非常に積極的な役割を果たすことができると私たちは確信しています。
私たちの要求
私たちは国際社会に対し、私たちの要求に耳を傾け、国連の気候変動枠組条約 (UNFCCC) と気候変動
に関する政府間パネル (IPCC) への正式な参加を受け入れてもらえるよう促しています。私たちの環境
保護における得難い成果と、私たちが変動を加速する気候に向き合った時における独特の弱点は、台
湾がその一員となるべきであり、またその価値があるという事をすでに示しています。世界保健機関
(WHA) の先例ですでに明確に示されている通り、これは全ての関連する局面について有利となる方法
で実行することが可能なのです。私たちは貴方の支持が必要であり、また最適の考慮を行ってくださ
ることを切望しています。
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付録
台湾の環境に対する努力
I. 私たちの環境保護に対する努力
台湾はすでに環境に関する法律と法規を全面的かつ厳格に制定していると同時に、各種措置の実施推進に大きく力を入れて、環境と生態系の保護に
全力を尽くしています。
1. 制度の確立
6. 水質汚染の防止
台湾は過去 30 年間常に全面的かつ開かれた思想による系統的な環境
保護の枠組みの確立に努力してきました。1987 年に政府によって設
立された環境保護署 (EPA) は、汚染物の管理と防止を使命としていま
す。1997 年、行政院が招集した内閣閣僚レベルの国家の持続可能な
発展委員会 ( 国家可持続発展委員会 ) では、経済発展と調和しながら
尚且つ環境要素を十分に考慮しています。現在に至るまで、環境基
本法を含む合計 417 件の環境に関する法律と法規が制定及び実施さ
れています。また現在も計画及び起草中であり、環境問題を政府の部
会レベルまで引き上げ、環境保護ばかりではなく、水、土壌、鉱産、
環境地質、国家公園、湿地と海岸資源、林業、気象、生態系と生物多
様性を含む環境と自然資源の管理と任務を統合しています。
台湾環境保護署はすでに各種の措置を通じて、重大に汚染されてい
る河川の割合を 2001 年における全河川に占める割合の 13.2% から、
2008 年には 4.2% に減少させています。これらの措置は水質汚染源
管理に対する資格発給、汚水処理系統の全面的網羅、海岸地帯の水
汚染処理、湿地の保護及び改善、非農場地域と流域内の牧畜場移転
補償の実施などであり、汚染の無い河川部分も 2001 年の 61.7% か
ら 2008 年には 65.2% に増加しました。
2. 環境モニタリング
台湾は環境モニタリングにおいて空気、水、地下水から海洋まで豊富
な経験を有しています。1994 年以来、すでに計 76 か所の空気品質モ
ニタリングステーションを相次いで設立しています。この他にも、5
つの PM 2.5 スーパーサイト及び 8 か所の光化学アセスメント監視ス
テーションが 2002 年より稼働しています。2009 年、台湾環境保護
署は米国と提携し、共同してプラタス島に遠距離移動する水銀をモニ
タリングするための空気品質モニタリングステーションを建設しま
した。また台湾は、これまで常に米国国立海洋大気圏局 (NOAA) と提
携して微小汚染物のモニタリングとその地域を越える移動のモニタ
リングも行っています。1976 年以来、台湾の川、貯水池、地下水、
及び海洋ではすでに系統的なモニタリングが行われており、しかも定
期的な水質モニタリングネットワークが進められています。このネッ
トワークには千か所を超えるサンプル採取ステーションが含まれて
います。
3. 環境情報システム
空気、水、固体廃棄物と毒性物質の統合資格発給及びデータベースと
システムの管理、そして固体廃棄物の回収と再利用の情報交流プラッ
トフォームとしての全面的な電子データ管理システムがすでに整っ
ています。これらの電子情報システムは効果的な汚染の管理制限とコ
スト削減を強化します。この他、環境空気と水のモニタリングデータ
も必要な予測と早期の警戒のために提供されます。潜在的なリスクと
危害を防止するため、一般の人々は随時インターネットを通じて環境
品質が理解できる情報を得ることができます。
4. 環境影響評価 (EIA)
台湾は 1994 年にすでに環境影響評価法を公布しています。この法律
台湾は 1994 年にすでに環境影響評価法を公布しています。この法律
は 11 件の大型開発プロジェクトのジャンルから任意のプロジェクト
について、環境影響評価を行うことを要求するもので、しかもこれら
の評価報告は必ず開発プロジェクトの実施が許可される前、審査と認
可が行われる前でなければなりません。更に、9 大分類の政府政策に
ついても環境影響評価が求められています。これら政策の環境影響評
価報告も、当該政策が発布される前に審査され、認可されなければな
りません。今日に至るまで、計約 1,000 件の大型開発プロジェクトと
5 件の政府政策について、環境影響評価が進められています。 これ
らの評価は環境と開発のバランスの考慮に効果的であり、ウィン =
ウィンの成果をもたらすことが期待されています。
5. 空気品質管理
台湾環境保護署はすでに空気品質の管理と改善についての数種類の
行政的手段を開発しています。それらには排出許可証、空気汚染防止
費、利用可能な最高管理技術 (BACT)、新車両模型審査、定期車両検
査、燃料品質標準などが含まれています。台湾環境保護署で採用して
いる多くの排出基準は先進国のものと同様です。劣悪な空気品質の日
数の百分比 (PSI が 100 より大きい ) は 1994 年の 6.83% から 2008 年
の 2.87% へと減少し、実際に改善されていることは注目に値します。
7. 固体廃棄物管理
計 26 都市において、可燃性の生活ごみを処理する固体廃棄物焼却
炉がすでに建設されています。これらの固体廃棄物のうち、99.9%
を超える部分が適切に処理されています。革新的な「ごみを落とさ
ない」、「廃棄物の強制分類と強制回収」、そして「製造業の義務
の拡大」計画の実施後、廃棄物の回収率は 2008 年にすでに 42% に
達しています。この割合は、日本と米国で記録された割合よりも高
いものとなっています。工業廃棄物の管理については、発生から消
滅までの追跡体制を実施しています。そこで網羅する商業実体の中
で、人数が 22,000 を超える者に関しては、その製品の種類、生産
量と処理される廃棄物の数量を報告する必要があります。この他、
全てのごみ収集車には全地球測位システム (GPS) が必ず設置されて
おり、走行路線のモニタリングや不法投棄の防止に用いられていま
す。このため、工業廃棄物の回収率はすでに 75% に達しています。
私たちの最終目標は「減量」、「回収」、「再利用」などの政策を
徐々に実施し、「廃棄物ゼロの社会」を築くことです。
8. 毒性物質管理
毒性物質を管理する制度はすでに確立されており、毒性化学品の使
用と操作について、効果的な管理と制限が行われています。総計
259 種類の物質が毒性化学品として分類されています。環境の内分
泌かく乱物質も管理制限される物質に分類されています。この他に
も「毒性化学品災害の予防と救助計画」がすでに確立されており、
項目ごとに説明されているマニュアルを提供し、潜在的または災害
の実際の影響を最低まで減少します。「毒性災害予防」マニュアル
は開発と配布がなされており、公衆が必要とする防災知識を提供し
ています。
9. 環境衛生
台湾環境保護署は国民総動員体制を設けています。このモットー
は、私たちの生活環境品質の衛生条件を維持するというものです。
毎年環境保護署は、全面的に住民が行うデング熱を媒介する蚊が孵
化する場所の清掃と公衆トイレの清潔の維持などの普及推進活動を
行っています。これらの活動は、私たちの生活環境品質と公衆の健
康を大いに高めています。2009 年 1 月から 10 月までのデング熱の
個別発生件数は 2002 年のピーク数 5,336 件という案件数から 202
件にまで減少しています。環境衛生と防疫におけるこの貴重な経験
について、私たちは世界のその他の国々と分かち合いたいと願って
います。
10. 自然保護
台湾は自然の保護と保存に大きな努力を払っています。この島では
森林が全島面積の 100 分の 60 を覆っています。この他、台湾は原
則を遵守すると共に、国連による国際条約に従って生態系と野性生
物の種、自然景観、海洋資源と地質資源を保護しています。現在と
未来の世代の人々は自然保護において進歩を続けているのです。特
に台湾内陸のタイワンマス、タイワンジカ、タイワンツキノワグ
マ、タイワンザルなどは、いずれも成功した例です。私たちのこう
した努力は、貴重な天然資源を保存するだけではなく、水土保全を
強化すると共に、私たちの後の世代の生活品質も守り、改善してい
ます。
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台湾が参与する気候変動枠組条約 (UNFCCC)
II. 私たちの国連環境条約と議定書の原則に対する努力
政治環境の事実に関わらず、現在まで、台湾の国連環境条約と議定書への正式な参加は妨げられていますが、台湾はすでにこれらの条約と議定書の
原則の実施を全面的に推進することを選択しています。
1. 気候変動枠組条約 (UNFCCC) と京都議定書
京都議定書のメンバーではありませんが、台湾は非添付文書一の国家政府として「永続的エネルギー政策綱領」を策定すると共に、自主的に
温室ガスの排出量削減目標を公布した最初の国家です。また同時に「温室ガス減量法」も公布し、現在立法機関にて立法手続きが行われてい
ます。当該法は、費用対効果の排出権取引と補償のように、部門を基礎とする排出量削減と適応に影響する多くの気候変動条約の原則と体制
を遵守しています。すでに採用されている措置としては、初期の温室効果ガス (GHG) 削減戦略及び行動計画があります。これは最終使用部門
のエネルギー効率を改善し、全国的範囲におけるエネルギー節約と CO2 を削減するというものです。2008 年、CO2 排出量はついに過去 20 数
年以来初めて減少しました。その減少比率はマイナス 100 分の 4 となっています。
2. ウィーン条約及びモントリオール議定書
世界の先進国が設定した厳しい管理措置と削減量スケジュールに従い、台湾はすでに統合したオゾン層破壊物質 (ODS) を「空気汚染管理制限
法」の管理制限範囲に組み入れています。これらの行動はすでに 1994 年にはハロン (Halon)、1996 年にはクロロフルオロカーボン (CFCs)、四
塩化炭素 (CCL4) などのその他のオゾン層破壊物質 (ODS) の淘汰を導いています。その後、私たちは「ヒドロクロロフルオロカーボン (HCFCs)
消耗量管理条例」を通過させて排出量削減の目標を達成しようとしています。その時から代替フロンの使用はすでに 1989 年の水準の 25% に
まで減少しています。
3. バーゼル条約
条約の規定に従い、台湾はその公約の精神を採用して廃棄物処理法の中に組み入れました。破棄物の処理量について、その後の管理制限を進
めると共に、工業危険廃棄物の輸出申請について厳しく監査し、並びに、追跡監査体制を実施しています。私たちはすでに積極的に更なるグ
レードアップ処理と再利用技術の推進を進めることにより、一般工業廃棄物について回収と再利用を進め、廃棄物の最終処理量を効果的に減
少させています。台湾政府はその他の国と積極的に協議して二国間協定を締結し、効果的な廃棄物の輸出と輸入の管理制限を進めています。
4. ストックホルム条約
台湾は積極的に「残留性有機汚染物質 (POP) 国家実施計画」を実施しています。「毒性化学物質管理法」、「環境における薬品使用管理法」、「農
薬管理法」の利用を通じて、私たちは DDT を含む 8 種類の有機塩素系農薬と、9 種類の化学薬品の使用を禁じています。また、ダイオキシン、
フラン、ポリ塩化ビフェニル (PCBs) を含むこれらの物質はいずれもこの条約によって管理物質に列せられています。同時に私たちも残留性有
機汚染物質の源泉の管理と汚染事故に対する緊急対応措置を厳格に進め、無毒の生活環境を確立すると共に、台湾の環境汚染リスクを低下さ
せることを期待しています。そこで 1997 年からこれらの管理措置の実施を始めて以来、2008 年現在、ダイオキシンの排出水準はすでに 78%
に減少しています。
5. 絶滅の危機に瀕した野生動植物の国際貿易に関する条約
台湾はワシントン条約の成員ではありませんが、国際社会の一員として条約に従い、農業と林業製品には監査管理による規則を設けています。
台湾も積極的に国際会議に参加し、条約の発展について効果的に注意を払い、私たちの生態環境を保護する決心を守り、また貫徹しています。
6. ロンドン条約 1996 年議定書
条約と議定書の規定に従って、台湾は 2006 年に「海洋汚染防止法」を制定すると共に「海洋投棄物質分類」の内容を更新しました。浚渫汚泥、
砂及び 7 項目の物品の海洋投棄を除き、その他全ての物品については一切禁止されています。これらの法案は条約締結国と海洋への廃棄物の
不当な投棄の管理に注力し、汚染を防ぐ歩みを一致させるものであり、島型経済体の私たちにとり、その最も貴重な資産である海洋をより効
果的に保護することができるのです。
7. 生物の多様性に関する条約
この条約の 3 つの目標 - 「生物多様性の保全」、「生物資源の持続可能な利用」そして「資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分」に
基づき、台湾はすでに 7 か所の国立公園、17 か所の自然保護区と野生動物保護区、33 か所の重要な野生動物居住環境及び 9 か所の国立森林自
然保護区を指定しています。これは総土地面積 701,611 畝 (46,766 ヘクタール )( 重複部分は含まず ) に達し、台湾の総土地面積の 19.5% を占め
ています。これらの行動は、条約が公布した「生物多様性の保全」、「生物資源の持続可能な利用」という目標を台湾が遵守しようというこ
とを証明するものです。条約の「資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分」について、台湾のバイオテクノロジー産業は新世代のバ
イオテクノロジーの研究と開発に積極的に取り組んでいると共に、現地で得られた生物資源から獲得した利益は現地の団体と共有するべきで
あるということも理解しています。
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