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ブリスベンの人口増加予想と都市計画:予想とトレンド
ブリスベンの人口増加予想と都市計画:予想とトレンド 今年の 11 月に G20 開催予定のブリスベン市はオーストラリアで 3 番目に大きな都市であり、クイーン ズランド州全体の GDP のほぼ半分を担っている。2015 年から始まる LNG の輸出も後押しし、世界の中 でも、今後最も⾼成⻑が期待される街の一つである。経済規模は現在の 1360 億豪ドル程度から、2031 年までには 6 割増えて 2170 億豪ドル程度になると予想されている。⼈⼝と雇⽤の増加も著しく、中⻑期 的なインフラの整備計画に大きく影響を与えるだろう。 2017 年までのオーストラリア vs.クイーンズランド州の GDP 伸び率予測 出典:オーストラリア政府 2013-2014 経済財政アウトルック、 クイーンズランド州政府 2013-2014 州予算、2013-2014 財政経済概況 ブリスベン市 1.人口増加 2010 年までの 10 年で、大都市ブリスベンの⼈⼝は 163 万⼈から 204 万⼈へ 25.2%増加した。今後 20 年間で、大都市ブリスベンの⼈⼝はさらに 82 万⼈増加すると⾒られている。 2010 年から 2011 年にかけて、クイーンズランド州の⼈⼝増加の主な要因は外国からの移住者で、移住 者全体の 81.4%を占めていた。実際に、2006〜2007 年頃からは、外国からの移住者数が州間の移住者 数を上回っている。 直近 5 年間はクイーンズランド州への総移住者数は減少しているものの、クイーンズランド州政府の改訂 2011 年版⼈⼝予測に⽰されているように、ブリスベン市では⼈⼝や雇⽤が今後大きく増加すると⾒られ ている。今後、⼈⼝の増加によって、輸送や社会・文化施設のようなあらゆるインフラの需要、又、水や 電気といった基本サービスの必要性が⾼まるだろう。 表 2.1 はクイーンズランド州政府が 2011 年に発表した地方自治体別の⼈⼝予測の表である。2011 年の 予測は 2010 年に作成されたものなので、2010 年半ば以降に採⽤された BCC 近隣計画は反映していない。 この近隣計画プログラムは都市の収容能⼒を増強し、ブリスベン市の⼈⼝と雇⽤を増加させるだろう。 2031 年までに、ブリスベン市の居住⼈⼝数は南東クイーンズランド(SEQ)全体の 29.0%を占め、2011 年から 2031 年までの SEQ の居住⼈⼝増加数のうち 14%を占めると予測されている。(表 1) 表1 クイーンズランド州南東部(SEQ)各地⽅⾃治体ごとの2006年、2011年及び2031年時点の人口推計 2006 2011 2031 2031 2011-2031 2011-2031 SEQ全体に占め 推定増加⼈⼝ SEQに対する⼈⼝ る割合(%) 増加の割合(%) ブリスベン 991,260 1,085,614 1,272,272 29.0 186,658 14.1 ゴールドコスト 466,433 544,165 798,417 18.2 254,252 19.2 イプスウィッチ 142,477 175,469 461,990 10.5 286,521 21.6 31,932 37,710 63,551 1.4 25,841 1.9 ローガン 260,021 289,010 452,184 10.3 163,174 12.3 モレトンベイ 332,862 390,204 533,170 12.1 142,966 10.8 レッドランド 131,210 145,874 188,471 4.3 42,597 3.2 シニックリム 34,750 39,149 80,364 1.8 41,215 3.1 サマーセット 19,676 22,502 35,245 0.8 12,743 1.0 295,084 338,429 508,177 11.6 169,748 12.8 2,705,705 3,068,126 4,393,841 100.0 1,325,715 100.0 ロッキヤーバレー サンシャインコース SEQ合計 出典:(推計)2011年版クイーンズランド州政府⼈⼝推計(中編) 太字はブリスベンの都市部、統計上の区域 ブリスベンでは、必要な 156,000 ⼾の新規住宅の内、約 138,000 ⼾がインフィル開発や再開発によって 供給される⾒通しだ。インフィル開発や再開発では、既にインフラが提供されていても、需要のレベルの 上昇に合わせ、⾼品質なサービス基準を満たすため、主要なインフラに改良が必要なことが多い。また、 インフィル開発は光ファイバーケーブルのような最新のインフラ技術を導入する機会ともなる。予測され る大都市ブリスベンの居住⼈⼝増加の大部分はブリスベン市外の周辺地域に負うとものと⾒られる。 また、この⼈⼝増加がブリスベンのインフラ、中でも、輸送や、第三次産業の医療と教育、並びに、文化 施設やレクレーション施設への更なる需要を呼び起こすことだろう。インフラ投資によって、ブリスベン 近郊の居住⼈⼝数や SEQ 地域全体の商業活動、旅⾏客や学⽣といった訪問者の数が後押しされるはずだ。 インフラは、ブリスベンに住む年配者が適切にサービスを享受し、都市⽣活を営むというニーズに応えて いくべきである。65 歳以上の年配者の居住者数は 2006 年の 113,421 ⼈から 87%増え、2031 年には 212,486 ⼈になると予測される。特に、80 歳以上の居住者数は予測期間までに約 2 倍に増えると⾒られ ている(80 歳以上の居住者数は 2006 年の 34,785 ⼈から 2031 年には 66,151 ⼈になると予測される)。 ブリスベンに居住する 15 歳未満の子供の数も 2006 年の 175,000 ⼈から、2031 年には 200,000 ⼈へ と僅かながら増加すると⾒られる。⼈⼝や雇⽤の上昇が著しい地域では、需要に即して学校を増設する必 要がある。 ⻑期的に⾒たブリスベンの競争⼒のある優位性は、革新性、そして⽣産性の向上とその持続可能性に懸っ ている。知識やテクノロジー集約型雇⽤への移⾏が続くだろう。今後、ブリスベンの労働者は、幅広いエ ンドユーザー向けの情報の処理や変換に携わると予想される。 今後 20 年の間に、ブリスベンではビジネスサービス分野の雇⽤が最も伸びると予想される。これには、 企業が必要とする知識集約型の技術、専門職やコンサルティングなど多岐にわたるサービスが含まれる。 医療や社会、教育サービスも雇⽤拡大が大きい分野と⾒られる。これもまた知識集約型である。新しい技 術によって、多くの分野でこれまで⼿作業で⾏われていた作業がオートメーション化される中、製造業を 含めた経済全体における知識集約型雇⽤の割合は拡大していくだろう。 知識集約型の事務所を拠点とする雇⽤が増えれば、ブリスベンの職場に近接した場所で公共施設やサービ スを提供するといった労働者へのより優れたインフラサービスの必要性も⾼まる。 ⾼速ブロードバンドのような新しいタイプのインフラもビジネスの利益性や業績にとって極めて重要なも のとなろう。 上位 20 の地域の雇⽤の増加が、2031 年までの全ブリスベンの雇⽤増加の約 80%を占めると⾒られる。 CBD(セントラル・ビジネス・ディスクリクト)とその近郊、そして、オーストラリア・トレード・コース ト(ATC)で雇⽤が最も拡大すると予測されている(図表 1)。 このような地域には、技術労働者獲得、納入業者、ライバル業者、そして顧客との距離、輸送⼿段、そし て調査・情報機関の利⽤といった点で利便性がある。 図表 1 2011 年から 2031 年までの雇⽤の増加したブリスベンの地域トップ20 1-1. CBD とその近郊 ブリスベンの中で雇⽤拡大が最も著しいのは CBD とその近郊と予想されている。CBD の雇⽤者数は 2011 年の 156,600 ⼈から 2031 年には 220,200 ⼈に増加すると⾒られる。2031 年までに、フォティ チュードバレー、ミルトン、南ブリスベン、スプリングヒルやウーロンギャバといったその近郊へビジネ スが拡大しブリスベンでは 64,400 の雇⽤が今後増えると予想される(図表 2)。 図表 2 CBD(ビジネスの中心街)と周辺地域、2011 年から 2031 年までの雇⽤の増加 出典:NIEIR,2009 1-2. その他の雇⽤成⻑地域 CBD 周辺の地域においても、主要輸送ルート、並びに港や空港へのアクセス性、また、土地の広さ、価 格とその建築規制いった様々な利便性により、雇⽤がかなり拡大する予想される。 雇⽤の伸びが著しいと予測される地域を表 2 に列挙した。 このような地域で事業展開を考える産業の多様性が必要インフラの構成に影響するだろう。 表2 CBD,および周辺地域を除く地域別雇⽤の増加 地域 2011-2013 雇⽤の増加 雇⽤増加の上位3産業 ATC 23,203 輸送、政府機関、製造業 ボーウェンヒル 12,604 輸送、ビジネスサービス、、健康・地域関連 マウントグラバット 8,894 教育、小売、健康・地域関連 セントルチア 8,372 教育、ビジネスサービス、サービス チャームサイド 6,705 健康・地域関連、小売、政府機関、 ワコール 5,397 製造業、健康・地域関連、輸送 アケ―シャリッジ 4,857 製造業、輸送、卸売 ロッチデール 4,794 教育、ビジネスサービス、個⼈向けサービス ネイサン 4,352 教育、ビジネスサービス、健康・地域関連、 トゥーヲン 3,713 健康・地域関連、、ビジネスサービス、小売 ウェストエンド 3,691 文化・レクリエーション関連、健康・地域関連、個⼈向けサービス ミッチェルトン 3,275 小売、教育、健康・地域関連 インドゥルーピリー 2,979 小売、教育、ビジネスサービス 2. ブリスベンのインフラ計画と8つの⻑期的な戦略 ブリスベン市は将来的な都市のビジョン(Living in Brisbane 2026)に基づき、経済成⻑、コミュニテ ィー作り、そして環境の整備を⾏っていく計画である。今後、様々な⾏政レベルでの連携のもとで、以下 の8つの戦略が遂⾏される。 戦略1.輸送 戦略2.水環境 戦略3.エネルギー供給 戦略4.通信 戦略5.ごみ処理 戦略 6.社会基盤整備 戦略7.緑化 戦略8.重要地区 2-1.水環境整備について (戦略2) 今後の水インフラへの投資は、企業や住⺠に対し、信頼できる目的にかなった水の供給を促進するだろう。 ブリスベンでは、クイーンズランド・アーバン・ユーティリティが水の供給・地域サービスを⾏っている。 一方、南東クイーンズランドの水道管はクイーンズランド州政府機関によって管理されている。クイーン ズランド州政府はこの機関に対し、今後 20 年の間に新たに大規模な水源を開発することを優先するよう 助言している。また一方で、あらゆる⾏政レベルで、水のリサイクルや有効活⽤を促進する必要があると している。 SEQ の⼈⼝増加に対応するために、早ければ 2021 年までに新たに大規模な水源が必要となる。水源を 分散することによって水の安全性を⾼め、水不⾜の影響を軽減することができる。クイーンズランド州政 府は現在、リットンとマークーラに新しい脱塩施設の建設を計画している。 SEQ の水の安全性は貯水池での水源の管理に懸っている。⻑期的な経済的、社会的、また環境に即した 水の利⽤を保全するためには汚染物質の削減対策を⾏う必要がある。 不動産や政府の資産を守る上で、地表の水流や⾬水の管理が重要となる。 ⻑期的な気候変化の可能性を踏まえ、水の管理⾏政には継続的な⾒直しが必要である。 2-1-1.水の供給 ⼈工増加が予測されること、そして、⾼品質で信頼できる水源に対する社会要請から、今後 20 年の間に 大規模な水供給インフラの建設がさらに必要となる。 クイーンズランド州政府は、脱塩施設の建設が将来の水の安全保障に寄与すると考えている。リットンと マークーラが最初の建設候補地に、また、トゥガンとブライビーアイランドが次点の候補地として発表さ れた。また、脱塩やそれに代わる水源の詳細な研究も⾏われていることも明らかにしている。地域で大規 模な水の供給が必要となった際、この詳細な計画から次の主要な水供給インフラが最終的に決められるこ とになる。 水の再利⽤や目的に応じた水の提供は、飲料水の需要を満たすという目的に寄与する。リサイクル水の利 ⽤、特に工業への活⽤の可能性をブリスベン全体で政府の後押しにより調査する必要がある。 ⽼朽化した水道管を交換、新設するため、そして予想される住宅密度の⾼まりに対応するために、ブリス ベンの水供給施設への投資が更に必要となるだろう。減圧と漏水管理技術を採⽤すれば、水道管の寿命を 延ばし、漏水を減らすことが可能だろう。 相対的な水の不⾜という認識を利⽤者に持たせるために、水の需要を管理するイニシアチブや教育が引き 続き重要な役割を果たすだろう。 表3 水供給対策 供給対策 概要 実⾏機関 W1 配水管網の改良 信頼できる良質の水を提供するために、また、特に クイーンズランド・ア と増設 市街の住宅密集に対応するために必要に応じて、継 ーバン・ユーティリテ 続的に水道システムを改良し強化する。 ィ 既に確定してい 今後の需要に応えるため、様々な新しい水源を調査 州政府 る脱塩施設に加 する。飲料水供給の更なる多様化の確保。 W2 えて、大規模な 水源の調査 W3 リサイクル水の 工業利⽤を含み、リサイクル水の配水網の利⽤及び 州政府/クイーンズラン 利⽤促進 開発を促進させる。 ド・アーバン・ユーテ ィリティ 2-1-2. 下水 ブリスベンの下水網は自然の水路や海洋環境を保全し、住⺠の健康被害を最小限に抑えている。 下水設備は、9 つの水再⽣工場が管理する 7 つの貯水池で構成されている。これらの貯水池には重⼒を活 ⽤して自然に排水が流れこむようになっており、排水の運搬に掛かるエネルギーコストは最小限に抑えら れている。 ブリスベンの下水サービスは、下水網、処理施設、そして、リサイクル及び処理システムから成っており、 家庭排水や産業廃水を収集し、処理している。 ブリスベンの 4 つの下水処理施設が、現在、1 日当たり 220 メガリットルまで処理可能な⻄部リサイク ル水パイプラインに繋がっている。 市内においては、予想される⼈⼝増加や建物の密集に対応するためには、新たな下水インフラと現設備の 改修(下水管の新設と交換)が必要となるだろう。 表4 下水対策 下水対策 概要 実⾏機関 W4 水処理工程やリサ 水質調査の改良や、浄化したリサイクル水の管理体制 クイーンズラン イクルの改良 の監視といった下水の処理工程及びリサイクルを促進 ド・アーバン・ する。 ユーティリティ/ 州政府 W5 今後の需要に備え 予想される⼈工増加と密集に対応するために、下水設 クイーンズラン て下水インフラを 備の安全性や機能性を保つことに重点を置いて、イン ド・アーバン・ 建設する フラを建設、修復する。 ユーティリティ/ 州政府/地方自治 体 2-1-3. 雨水 ブリスベンは氾濫の歴史を持つ川を抱いた堆積平野の上に築かれている都市である。嵐による河川の決壊 や大規模な洪水に対処し、自然水路や海水の汚染を防ぐために⾬水設備は極めて重要なものである。 ブリスベンの⾬水システムには、様々な設備(排水管、下水溝、流量制御施設、⾬水品質改良装置など)と 自然の⾬水経路(水路、陸上の流路、小川、川、モートン湾)がある。 洪水管理戦略により、更に頻繁に起こる悪天候に対処することが可能となるだろう。 また、貯水池管理 の向上はブリスベンを「洪水に賢明」な街とし、異常気象へのより良い対処を可能とするだろう(ただし、 リアルタイムの情報を前提に)。 異常気象や海水の上昇によって被害の及ぶ可能性がある低地の戦略的なインフラ施設は特定され、必要に 応じて保護されるべきである。 都市部が⾼密度化することにより、不透水地域からの水の流入が増えると予想されることから、それに対 処できるよう⾬水設備を改良する必要がある。⾬水を貯めて利⽤すれば、産業や家庭⽤の新たな水源とな り、都市部の土地使⽤が水供給サイクルに及ぼす影響を最小限に抑え、水路の劣化が進むのを防ぎ、⾼品 質な水の供給継続を可能にする。 表5 雨水対策 ⾬水対策 概要 W6 洪水管理の強化 実⾏機関 洪水が起きた際の安全性を⾼め、⼈や建物への被害を クイーンズラン 減らすために、エンジニアリングや土地管理業務など ド・アーバン・ユ の⾼度な洪水管理戦略を作成する。 ーティリティ/ 州 最適処理容量で⾬水処理システムを稼働させ、水路に 政府/地方自治体 流入する汚染物質を除去する。 最も影響が大きい地域の洪水被害を軽減するため、水 の流出を抑える方法を特定する。 W7 ⾬水貯留量を増 やす 新たな又は既存のインフラ開発プロジェクトで、特 地方自治体 に、大規模な屋外での水利⽤や飲料水には使⽤しない 他の水利⽤向けの⾬水貯留を推進する。 ⾬水貯留技術の研究開発へ投資する。 水の表⾯浸透度を最大限にし、⾬水の流出や、都市部 からの汚染物質の流入を最小限にする。 自然の水循環に倣い、自然な水及び環境の流れに対す る変更を最小限に抑える。 W8 W9 戦略的インフラ 重要なインフラが設置されている(例えば ATC)、あるいは 地 方 自 治 体 /州 政 資産の洪水や水 ⻑期的に今後設置されるような場所が、洪水や水位が上昇 府/オーストラリ 位の上昇に対す する頻度が⻑期的に増えることで受けうる影響の査定を⾏ ア政府 る脆弱性を検証 う。 水を考えた都市 インフラを含むあらゆる構築物において、水のサイクルに 地 方 自 治 体 /州 政 設計を推進する 対する都市環境のネガティブな影響を最小限に抑えるよ 府 う、水を考えた都市設計を推進する。 2-2.重要地区の整備(戦略8) ブリスベン市内の重要地区において、インフラの計画・構築を総合的に⾏うことは、市の経済成⻑、環境 整備、そして、コミュニティ形成のための戦略的なインフラ目標を達成することに大きく貢献するだろう。 インフラ計画の目標設定や市内の地域間での調整は、各地域が地域レベルで効率的に機能することを促進 するためには重要である。また、それが市全体の利益となる。 認定されている地域は: ・ 地域全体の成⻑を後押しする⾼い雇⽤の伸びが予想されていること ・ 環境的価値、居住環境的価値又はより広範な環境的価値、そしてコミュニティ価値が⾼いこと ・ ⼈⼝増加率が⾼く、集中的なインフラ対策が必要なインフラの⽼朽化問題を抱えていること これに基づいて、次の地区が優先順位の⾼い地域に認定されている。 ・ 大セントラル・ビジネス・ディスクリクト(CBD) 大 CBD は、2031 年までに 38 万の雇⽤を支えるクイーンズランド州最大の雇⽤の中心地である。 ビジネスサービスが主要な産業である。 ・ オーストラリア・トレード・コースト(ATC) ATC は、今後 20 年の間に更に約 33 千の雇⽤を支え、ブリスベン市の輸出増加の 25%を担うと 予測される。重要な輸出設備であるブリスベンの主要旅客⾶⾏場や港がこの地区にある。 ・ サウスウエスト・インダストリアル・ゲートウェイ(SWIG) SWIG には、ブリスベンで最も重要なロジスティクスや製造業地区がある。SWIG は今後 20 年 の間に市の輸出増加の 19%を担い、2031 年までにはブリスベンの製造業の⽣産⾼の 34%を占 めると予想される。 大 CBD 圏 大 CBD 圏はクイーンズランド州の経済に大きく貢献している。今後の課題は予想されている雇⽤の拡大 を支えると同時にブリスベンの居住性を維持することだ。 大 CBD 圏にはセントラル・ビジネス・ディスクリクトとして知られるエリアの他、フォーティチュード バレー、スプリングヒル、ミルトン、南ブリスベンやウーロンギャバが含まれる(図表 3)。 大 CBD 圏は商業、小売業、文化とエンターテイメント、教育、そして、州の観光の中心地として多様な 活動を⾏える地区である。インフラ・ソリューションが大 CBD 圏の多様な活動を支える必要がある。 その多様な活動を上⼿く機能させるために、大 CBD 圏では、統合された公共交通機関、歩⾏者や自転⾞ に優しい道路や場所、CBD の中心部を迂回する環状道路のネットワーク、公有地、輸送⼿段の開発に⺠ 間を上⼿く活⽤することが必要だ。 CBD 地区で暫定的措置として早急に進められているものには、バスを中心としたシティーグライダー、 バス輸送の供給問題に取り組むサバーブ2シティーバスリンク計画、そして財源の確保を前提に州政府に より発表されたクロスリバーレイルなどの鉄道計画が含まれる。 街の中心部では、近距離移動に輸送施設が活発に利⽤されるだろう。 CBD は SEQ 内の他の雇⽤の中心地にビジネスサービスを提供しているので、これらの場所と大 CBD 圏 とを繋ぐことは最も重要である。 成⻑する CBD の企業の必要に応え、また、住⺠に通勤⼿段を提供するため、リッチランズやロシュデー ルといった主要な⼈工増加地域との間の⾼頻度の公共交通サービスも必要である。 大 CBD 圏の⻑期的な効率性と機能性を支えるためには、エネルギーや通信のインフラが充⾜しているこ とが重要である。双方向通信・光ファイバーネットワークによって⽣産性を⾼めるだろう。 また、光フ ァイバーがブリスベン全体をカバーすれば、⻑期的な在宅勤務を後押しするだろう。商業の中心地でもあ ることから、ネットワークに障害が起きた場合には、継続して安定的なエネルギーや通信のインフラを供 給すべく、十分なバックアップ機能を備えていることが重要だ。 図表 3 表6 大 CBD 圏 大 CBD 圏対策 対策 GCBD1 概要 公共交通網の改 ・ 善 実⾏機関 ミルトン、ウランガバやボーウェンヒルズ等で、複合 州政府/地方 的な交通ハブとインターチェンジを計画し開発する。 議会 これは、コネクティング SEQ2031 で明らかにされた クロス・リバー・レイル・プロジェクトに含まれる。 ・ ラッシュ時や大イベント事により効率的なサービスを 提供するため、バスの駐⾞場や短期間の停⾞場所を確 保する。 ・ バスや鉄道サービスの大規模で⾼頻度の乗客移動をサ ポートするため、ウェストエンド、シティセンター、 フォティチュードバレーを繋ぐ大量輸送機関(シテ ィ・グライダー・サービスの導入)の開発促進をサポ ートする。 ・ 一日 24 時間、週 7 日の公共交通機関の運⾏の需要と 可能性を調査する。 ・ 市内地下鉄を建設する。また、大 CBD 圏の重要地区 を繋ぎ、新たな川を渡る⼿段や駅を建設するため、コ ネクティング SEQ2031 でクイーンズランド州政府が ⽰したクロス・リバー・レイル・プロジェクトをサポ ートする。 ・ 新たなフェリーターミナルの建設。City Cat Fleet の アップグレード。 GCBD2 歩⾏者の最優先 ・ 取り組む道路改良策 化、充実した輸 歩道の改良 送⼿段、公共ス 日よけの増設 ペースの活性化 道を⾒つけやすいように、シグナルや看板で歩 をサポートする ⾏者の動きを優先させる。大交差点(全ての方 案件の特定と政 角に交差する) 策の推進 ・ 地方議会/州 政府 歩⾏者専⽤レーン充実させる。 歩⾏し易いように、オープンスペースを確保する。ま た、レクレーションや静的に利⽤するグリーンエリア や都市エリアを新たに確保する。 ・ 自転⾞ネットワークを拡大する。エンド・オブ・トリ ップ施設に投資し、利⽤を促進する。 ・ 大 CBD 圏を横断する際の代替交通⼿段として、引き 続き自転⾞レンタルスキームを取り入れる。 ・ 交差点に優先的なシグナルや表⽰を設置し、利便性を あげ、交通量を増やす。 GCBD3 通信ネットワー ・ クの充実 ・ 大 CBD 圏に競争⼒のあるハイスピード光ファイバー 全政府機関/ 網を展開する。 ⺠間企業 在宅勤務やテレビ会議、地元の通信勤務センターの普 及を促進する。 ・ 建物設計に次世代送電網を組み入れる。 ・ 光ファイバーケーブルの敷設を前提に、全ての重要な 作業計画にはケーブルを導入する。 公共交通機関 表7 オーストラリア・トレード・コースト対策 対策 ATC4 概要 水の供給に関 ・ する総合的な アプローチの ・ 推進 ・ 実⾏機関 水インフラへの適切な投資のため、水道施設と管理者 クイーンズラン が協⼒する。 ド・アーバン・ユ 水浸透設計や需要の管理を活⽤して、効率的な水の利 ーティリティ/地 ⽤を促進する。 方議会/ATC ラゲッジポイントから ATC セントラルまでパイプラ インでリサイクル水を供給する計画をサポートする。 ATC5 洪水軽減策を ・ 目標とする⾬水貯留の機会を調査する。 ・ ATC を洪水被害から守るための⻑期的な戦略を⽴て 地方議会/州政府/ る。 ブリスベン空港/ 短期・中期的に、ATC 内の埋め⽴てについて総合的 ブリスベン港 練る。 ・ な対策を⽴てる。 ATC6 光ファイバー ・ ケーブルを導 入する ・ ハイスピード光ファイバーネットワークの導入を促進 全政府機関/⺠間 する。 企業 ATC のプロジェクトには、光ファイバーケーブルに 適合した管路を必ず組み込む。 ATC7 オープンスペ ・ ースやコミュ ニティ施設を ⾞道や産業地区と住宅街の間に緩衝スペースを設けう 州政府/地方議会 る場所を抽出。 ・ 提供する ATC 内の企業(製造業、航空、ロジスティクス)と教育 訓 練 施 設 ( 例 、 イ ー グ ル ・ フ ァ ー ム の TAFE/Skills Tech)との繋がりを充実させる機会を探る。 ・ ATC 内の増加する雇⽤のニーズに適したコミュニテ ィ施設を建設する(医療、教育、保育、レクレーショ ン施設など)。 ・ レクレーションや観光目的で川や港を活⽤する(モー トン湾へ向かう川を中心とした統合フェリーターミナ ルの実現性を調査する)。 以上、参考資料:ブリスベンシティーカウンシルによる 2012-2031 ⻑期インフラ計画