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泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率

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泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率
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泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利
用効率に関する研究
中辻, 浩喜
北海道大学農学部農場研究報告 = Research bulletin of the
University Farm Hokkaido University, 31: 75-128
1999-03-29
DOI
Doc URL
http://hdl.handle.net/2115/13445
Right
Type
bulletin
Additional
Information
File
Information
31_p75-128.pdf
Instructions for use
Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP
北海道大学農学部農場研究報告第
3
1号:75-128 (
1
9
9
9
)
泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料
エネルギーの利用効率に関する研究
中辻浩喜
(北海道大学農学部附属農場生態畜産部門)
(
1
9
9
9年 1月 2
9日受理)
第 I章
緒
目 次
論 …
・
…
.
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・ ・
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・ ・
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・
田
・
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・
・ 7
6
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H
1.研究の背景と目的 .
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・ ・
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・ ・
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・ ・..………………...・ ・-…………ー・・・・ ・ ・-………………………… ・ ・
.
.7
6
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H
2
. 本試験で用いた牛乳生産のエネルギ一利用効率の指標について …一一…..........・ ・
.
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…
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・ ・
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…
…
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・ ・
…
・
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.7
8
3
. 従来の研究 ……・………・…… ・ ・
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・ ・-……・………...・ ・
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・ ・-一一…・ー・…...・ ・
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・ ・ ・・
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・ ・
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・ ・
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.7
9
1) 粗飼料主体飼養による牛乳生産 ・・・・・・・・…・……・・・・…・・・・・・・・・……・・・・・・・・・・…………・・・・・…・・……・・・・・・… 7
9
2)飼料エネルギーの消化率および qに影響する要因 ・・・・・・・・・・・・・・・・・……・・・・・・…・・・……・…・…・・…・・・・・・・・・… 7
9
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H
H
H
H
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H
H
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H
H
H
3)牛乳生産のエネルギ一利用効率に影響する要因 ・・・・・・…・・…・・・・・・・・・…・・・・・・………・・..…・・・……・・…….... 8
0
第I
I章
試験方法
・・…・・・・・・………・…・・……・・…・・・・……・・・・…・・・・・・・・・・・・…・・…・・・・・・・・・・・・…・…・・・…・…・・・・…. 8
1
・・……・…・・…・・・…・・…・……・・・・…・・・・・・・・・-・・・・・・・…・・・・・・・・・・・・…・…・・・…・…・・・・…. 8
1
2
. 試験処理区 ・・・・・・・・・・・・・・・・…・・…・・・・・・・・・…・…・・・・….........・ ・..…・・・・……・・・・・・・・・…・・…・・・・…・…・・・・…. 8
1
3
. 飼料給与基準・・・・・・・・・・・・・・・・…・・・・・・・・・・・・・・…・・・・・・・・・・…・・・・…・・……・・・・…・・・・・・・・・・・・・…・・…・・・・…・・・…・・…. 8
2
4
. 給与飼料 ・・・・・・・・…・・・・・・・・…・…・…・・・・・・・・・・・・・・・・・・・…・・・・・・………・……・…・・…・・・・…・・…・・・・…......・ ・
.
.8
2
5
. 飼料給与量 ・・・・・…・・・・・・・・…・…・….........……・・・・…・・・・・・…...・ ・...……・・・…・・・・…・・…・・・・…・・・・・….... 8
2
1
. 試験期間および供試牛
H
H
H
6
. 飼養管理
・
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…
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・
…
・
・
・
・
…
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…
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…
…
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…
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.
・ ・・・・・・・・・・・…・…・・・……... 8
4
H
7
. 測定項目およひ測定方法
…・…・…・…・…・・・・……・・・・・・・・・・・・・・・・…・・・・…・・・・・……..…・・・・・・…・……・・….... 8
5
1) 飼料採食量・・…………...・ ・-…・……・・・・・・……・・・・…・・…・・・・・・・・・・・…・・・・…・…・・…・・……・・……・・・…・・・
H
8
5
2)飼料成分組成・・・・・…………・・…・……・・…・………・…・・…・・・・・・・・・…・・・・・・…………・…・…・・……・・・・・・… 8
5
3)乳量および乳成分組成 ・・…・・…・……・・…・・・・……・…・…・・・・・・・・・・・…・・・・・…・・・……・…・…ー……・・・…… 8
5
4)体重 ・・…・・・…・・・・・・………・…・・……・・……・……・……・・・・・・・・・・・・…・・……・・・・・・・・・・…・…・・・・・…・・・・・・… 8
5
5)エネルギー出納試験 ・・・・・・・・・…・・・・・・・・・…・…・・・・…・・・……・・・・・・・・・・・・・・・…・・・・・・・・・・・・…・…………・・・・・・… 8
5
第I
I
I章粗飼料多給飼養下における飼料のエネルギー消化率,代謝率および牛乳生産のエネルギ一利用効率
一一エネルギー出納試験成績からの検討一一
・・・・・・・・・…・・……・・・・ 8
6
1
. 目的 …・・…・・・・・・・・・・・・・・・・・…・・・・・…・・…・・・・…・…・・・…・・・・・・…・・・・………...…・・・…・…・・…・・・・…・・…....... 8
6
6
2
. 解析に用いたデータおよび解析方法 ・・・・・・・・・……・・・・…・・・・・・……・………・・・……・・・・…・・…・・・・…・・…・・・…. 8
3
. 結呆 ・・………・・…・・・・…・・・・・…・・…・・…・・・・……ー・・…・・・・・・………・………・ー…・・・・・・・・・…・・・・…・・…・・・…・ 8
7
1)エネルギー消化率, qおよひ牛乳生産のエネルギ一利用効率の平均値とその範囲…・・・…・・…・・・・…・……・…・ 8
7
2)飼料中粗飼料割合とエネルギー消化率, qおよび牛乳生産のエネルギ一利用効率との関係 ・・・・・・…・…・・・・…・ 88
9
3)飼料中 cwc含量とエネルギー消化率, qおよび牛乳生産のエネルギ一利用効率との関係 ・・・・・・…・……・…・ 8
4)飼料中 CP含量とエネルギー消化率, qおよび牛乳生産のエネルギ一利用効率との関係・・・・・…・…・・・…・・…・ 9
0
1
5)飼料中 CWC/CP比とエネルギー消化率, qおよび牛乳生産のエネルギ一利用効率との関係 ・・・…・・・・・・・….. 9
6)エネルギー摂取レベルとエネルギー消化率, qおよび牛乳生産のエネルギ一利用効率との関係
…・・・・・…・・・・
9
2
7l飼養レベルとエネルギー消化率, qおよび午乳生産のエネルギ一利用効率との関係…・・・…・・…・…・・・……... 9
4
8)乳量レベルとエネルギー消化率, qおよび午乳生産のエネルギ一利用効率との関係・・・・・・…・…・・…・・・・・….... 9
5
9)乳期とエネルギー消化率, qおよび牛乳生産のエ不ルギ一利用効率との関係 ・・・・・・・・・・・・…・…一……・・・…・・・ 9
6
1
0
) 産次とエネルギー消化率,
qおよび牛乳生産のエ不ルギ一利用効率との関係
・・・・・・・・・・・・…・…・・……・・…・・・・
9
7
1
1
) 季節とエネルギー消化率, qおよび牛乳生産のエネルギ一利用効率との関係 ・・・・・・・・・・・…・・…・・……・・・…… 9
8
7
6
北海道大学農学部農場研究報告第 3
1号
4
. 考 察 ・・……......……・・・・…・・…・…・…・……・・・……・・・……・・・・・・・・…・・・・…・・・・…・・・・…・・…・・・・…・…・・・…. 9
8
5
. 小 括 ・・・…….....………・…・・…・・…・………・・・…・・・・・・・・…・・…・・ー・・・・・・・・・・・・・・・…・…・…・・・・・・・…・・・・・・・…・ 1
0
2
第I
V章 粗 飼 料 多 給 飼 養 下 に お け る l乳期生産時での牛乳生産のエネルギ一利用効率
1
0
3
飼養試験成績からの検討一一一
・・・・・・・・・・・・・・・……・・… .
1
. 目的 ・・一.............…一日・一一一一一一一一....一一..........・…・・…・…・・・・・・・・・・・・・・・・・・…・…・・…・…・・・・・・…・・… .
1
0
3
0
3
2
. 解析に用いたデータおよび解析方法 ・・・…・・・・・…・……・・…・・・・・・…・・・・…・・・…・・・・・…・…・・…・…・・・…・・・・・…・ 1
3
. 結 果 …・・・・……・・・・…ー…・…・…・・・……・・・・・…・…・…・…...……・・・・…・・・・……・……・・・…・…・・・…・・・・・…・ 1
0
3
1
) 1乳期産乳成績 ・・…・・・…・・・・…・・・…・・・・・・・・…・・……・…・・・…・・・・………・・……・・・・・….......・ ・..…・・・…・ 1
0
3
2
) 1乳期生産時でのエネルギー摂取量および牛乳生産のエネルギー利用効率・・……・…-…・・・・…・…一…・・・…・ 1
0
4
3)乳量レベル別の 1乳期産乳成績,エネルギー摂取量および牛乳生産のエネルギ一利用効率………・・…・・・… .
1
0
4
4)初産,経産別の 1乳期産乳成績,エネルギー摂取量および牛乳生産のエネルギ一利用効率…・・・・…・・・・・・・…・ 1
0
6
5)給与粗飼料構成別の 1乳期産乳成績,エネルギー摂取量および牛乳生産のエネルギ一利用効率 ・・…・・・・・・…・ 1
0
7
6)分娩季節別の l乳期産乳成績, エネルギー摂取量および牛乳生産のエネルギ一利用効率…ー・・・・・・・…・・・・・…・ 1
0
8
a) 春 分 娩 牛 …・…...・ ・-…… ・・-…...・ ・
.
.
.
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・
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…
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・ ・
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・ ・
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.
…
.
.
.
・ ・-…… .
1
0
8
H
e
H
e
H
H
H
H
b) 夏・秋分娩牛 ・…・・・・・……ー・…・…・……・・・・・・・・・……・………・・・・・…・・・・・・・・…・・・・・・…・・・・・・・・……・・…・ 1
1
0
c) 冬分娩牛
・・・・…・・・・・……・・・…・…....・
H
・........……・・………・……・・・・・・・・…・・・・・・・・・・・・・・・・・…・・・・・… .
1
1
1
4
. 考 察 ・・・・…・…………・・・・……・・・…・・…...・ ・...・・・…・・…・・………-……・・・・・・・・…・・・・・・・・・・・…・・・…・・・・・…・ 1
1
2
H
5
. 小 括 ・・・・…・…………・・・・…・・…・…・・………・・・・・・・…・・・…・…...…・……・・・…・・・…・…・・…・…・・・…・・・・・…・ 1
1
5
第 V章
総合考察および、結論
・・・・…・…・・…・…・…・・…・・・・…ー…・・・……・・・・…・・・…・・・・・…・…・・………・・・…・・・…・ 1
1
5
1
. 自給粗飼料多給飼養下における産乳に要する ME量 …・・…・・・…・・・・……・・…・・・・・・………………・・・…・・・…・ 116
2
. 結 論 ・・・・……....……・・・…・・・・・・・・…・…・・・・・・…・..…・・・…...…・・・・………...・ ・-…………...・ ・..…・・・…・ 1
2
0
H
H
摘
要
・・・・・・・…・・・・・口……・…・・・・・・・・・・・……・・・・・・…・…・・・・・……・・・・・・・…・・・…・・……・…・…・・・・…・…・・・・・・・・…・ 1
2
1
謝
辞
・・・・・・・…・…・・・……・…・・・・・・・・・・…・…・・・・・・・……・・・・・……・・・・・・・…・……・……・…・…・・………・・・・・・・・…・ 1
2
2
引用文献 ・・・・・・・…・・・・・・・……・…・・…・…・・……・・…・・…・…・・・・……・・・・・・・・………・…・……・・…・…・・・・・・・・・・・・・・…・ 1
2
2
英 文 摘 要 ・・・・・……・・・・…・・……・・・…・…・・・・・・…・…・・…..…・・・……・・・・・・・・・・・・……・……ー…・……・・・・・・……・・…・ 1
2
7
第 I章 緒
として主要な位置を占めてきた北海道酪農の最大
論
の特徴は,豊富な粗飼料生産基盤を背景にした,
1.研究の背景と目的
自給粗飼料中心の土地利用型牛乳生産であり,本
日本における酪農は過去 3
5年間で急速に発展
少
l
ト西南暖地における,いわゆる濃厚飼料多給型
し,その様相は著しく変化している。乳牛飼養頭
牛乳生産とは一線を画するものである。我が国の
1戸
土地条件および社会条件,さらには,今後,全世
当りの飼養頭数が増加した。生乳生産量は 1
9
6
0年
界的な食糧不足が予想されることなどから,我が
数が増加する一方で、乳牛飼養戸数が激減し
の1
8
9万 tから 1
9
9
6年の 8
6
6万 tへ急増し,個体
国の牛乳生産は輸入穀類に頼らず,反努家畜の消
の泌乳能力も,搾乳牛 1頭当り年間乳量にすると
化特性をいかした粗飼料中心とし,人類の食糧と
1
9
6
0年の 4,
9
0
0kgから 1
9
9
6年 の 8,
3
6
4kgへと
の競合を避けるかたちで,今後とも展開されるべ
向上してきている同点へこの中で,北海道の酪農が
きである。大久保聞は,我が国おける午乳生産の
占める役割は大きく,全国の乳牛頭数の 46%を飼
基本的なあり方として,自給粗飼料中心の土地利
養し,生乳生産量は 4
1%にもおよぶ開局)。
用型牛乳生産を指向すべきことを強調しており,
このように,従来から我が国の「牛乳生産基地」
その中で,生産量のみならず生産効率,特に飼料
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
7
7
エネルギーの利用効率についても考慮すべきこと
ては最も優れていると考えられるが, NEの測定
を指摘している。
方法は MEよりもさらに複雑で、あり,さらに GE
これらのことから,自給粗飼料を中心とし,飼
が NEに転換される効率は,生産の目的により大
料エネルギーを効率的に利用した,栄養生理面か
きく異なる。飼料の NE含量や泌乳牛の NE要求
らも合理的な飼料給与方法および飼養技術を早急
量を表す場合には,維持,泌乳あるいは増体など
に確立することが強〈望まれている。しかし,上
に分けて示さなければならないという煩雑さを考
記のような視点にたち,飼料エネルギーの利用効
慮すると MEのほうが好ましいであろう。
率に影響を及ぼす要因について検討した研究は少
1
9
8
7年版)聞におい
我が国では,日本飼養標準 (
て,エネルギー表示単位として MEを採用すべき
ない。
飼料エネルギーの利用効率に関する研究を行な
との指摘はあったが,その時点では研究データの
っていく場合,まずエネルギーの評価法として何
蓄積が多い TDNを採用せざるを得なかった。
を用いるべきかを考えなくてはならない。我が国
1
9
9
4年に改訂された日本飼養標準刊 l
こおいて,は
では長い間,エネルギーの評価法として,可消化
じめて MEが用いられているが,我が固における
養分総量 (TDN)を用いてきている。しかし, TDN
飼料の ME含量や泌乳牛の ME要求量に関する
は,濃厚飼料にくらべて粗飼料が過大評価される
研究データの蓄積はまだ必ずしも多くない。特に,
等,評価法として科学的精密性に欠けるといった
粗飼料割合の高い飼料給与条件下でのデータ蓄積
問題点が指摘されている。一方,欧米諸国におい
はほとんどないのが現状である。
ては,第二次世界大戦以降,反努家畜のエネルギ
牛乳生産における飼料エネルギーの利用効率を
一利用に関する研究手法として,これまでの飼養
飼料 M Eの利用の観点から考えると,乳牛が飼料
試験に代わって,各種エネルギー出納試験が,特
として摂取した飼料中の GEから MEまでと,摂
にB
e
l
t
s
v
i
l
l
e(アメリカ), Rostock(旧東ドイツ),
取した MEから牛乳の NEまでの 2つに分けて
Wageningen(オランダ)などで盛んに行ーなわれる
考えることができる。
ようになったことも背景にあり,エネルギーの単
飼 料 GE中の MEの割合 (ME/GE)は,エネル
c
a
lまたは J
)で,代謝エネルギー (
ME)または
位(
q
)と呼ばれている。これは GE中の
ギ一代謝率 (
正味エネルギー (
NE)を直接表示する方式を採用
DEの割合 (DE/GE),すなわちエネルギー消化率
するようになってきている。これらの方式は,直
と同様に飼料の質を総合的に表す指標であるが,
接測定された乳牛の各種エネルギ一代謝量が基礎
qのほうが真に吸収利用されるエネルギーの割合
になっており,実際にもよく適合する。
に近い指標である。また,反努家畜では一般に,
G
E
)のうち,消化
乳牛が摂取した総エネルギー (
摂取された GEから MEに至るまでに損失する
されずに糞として損失するエネルギーを差し引い
0-40%,尿とし
エネルギーの割合は,糞として 3
D
E
)である。 DEから
たものが可消化エネルギー (
て 2-8%およびメタンとして 5-8%
程 度 29)刷
さらに消化吸収後利用されずに尿中に排池される
であり,その多くは糞としての損失であることか
代謝産物や,ルーメン内発酵の際,呼気中に排出
ら qはエネルギー消化率に大きく影響される。
されるメタンのエネルギーを差しヲ│いたものが
MEである。従って, MEは DEよりも真に吸収利
泌乳牛における飼料エネルギーの消化率や q
に影響を及ぼす要因には,飼料構成や飼料成分等
用されるエネルギー値に近いため,これを飼料エ
の飼料側の要因,摂取レベル,乳量,乳期,産次
ネルギーの表示単位として用いることは好ましい
等の動物側の要因,および、温度,温度等の環境要
と考えられる。さらに, MEから熱増加を差し百│い
因がある。これらの影響について検討したこれま
た も の が NEであり,
1c
a
lの NEを 摂 取 す れ
での報告は,濃厚飼料割合が高<,単純な飼料構
a
lの畜産物が生産されること
ば,理論的には, 1c
成のもとで行なったエネルギー出納試験の結果か
になる。従って,飼料エネルギーの表示単位とし
ら検討している場合がほとんどであり,粗飼料割
7
8
北海道大学農学部農場研究報告第 3
1号
合が高い飼料給与条件での研究報告は少ない。ま
1
8頭のエネルギー出納試験成績を用いて検討
べ2
た,泌乳牛は乳期の進行に伴い,乳量レベル,体
した(第四章)。さらに,泌乳牛の自給粗飼料多給
重の増減,妊娠の有無等によって生理状態が大き
下における 1乳期生産時での午乳生産のエネルギ
く異なり,さらに実際の酪農現場での飼養条件で
一利用効率とそれらに影響を及ぽす諸要因との関
は給与飼料構成は多様で、ある。従って,泌乳午の
0
8頭の l乳期飼養成績を用い
連について,延べ 1
粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの消化
V章)。さらに,これらの結果をも
て検討した(第 I
率や qに関与する要因について考える場合には,
とに自給粗飼料多給下における 1乳期生産時での
飼料構成が多様な飼料給与条件下で,様々な乳期
牛乳生産に要する ME量の算出を試み,これらを
の泌乳牛を用いたエネルギー出納試験を行い,そ
現行の日本飼養標準 (
1
9
9
4年版)54) の値と比較検
の結果を用いて検討する必要があろう。
)
。
言すした(第 V章
一方,摂取された MEが牛乳の NEに転換され
るまでの効率,すなわち牛乳生産のエネルギ一利
2
. 本試験で用いた牛乳生産のエネルギー利用効
用効率も,通常,ある限られた期間でのエネルギ
率の指標について
ー出納試験の結果から算出されることが多い。実
欧米諸国での牛乳生産における飼料エネルギ一
際の 1乳期飼養時では,泌乳牛の乳期の進行に伴
利用に関する研究は乳生産に対する ME利用効
う生理状態の変佑はもちろんのこと,特に自給粗
率 k,[(ム牛乳エネルギ一生産量)/(ム維持以上
飼料多給条件下では,分娩季節が違うと泌乳初期,
の ME摂取量)]についての検討が主で、ある。しか
中期および後期に給与される粗飼料構成が異なっ
し k,の測定には精密な出納試験を行う必要があ
てくることから,これらのことが 1乳期全体での
るため,大がかりな設備,費用および労力を必要
牛乳生産のエネルギ一利用効率に影響する可能性
とする。
もある。従って,これらに関与する要因について
一方,より生産現場に近い条件下で,多数の泌
考える場合には 1乳期を通じての飼養試験を行
乳牛を対象とした長期的データの蓄積とその解析
い,その結果から検討する必要があるが,これま
nd
も必要で、ある。こうした観点から, BRODY a
でにこのような研究はほとんどない。
PROCTOR8)は牛乳生産のエネルギ一利用効率を
9
8
4年 5月から 1
9
9
3年
以上のような背景から 1
表わす実際的な指標として,牛乳生産のエネルギ
4月までの 9年間にわたり,北海道大学農学部附
G
r
o
s
sE
n
e
r
g
e
t
i
cE
f
f
i
c
i
e
n
c
y
:GEE)を
ー粗効率(
属農場畜産第二部のホルスタイン種泌乳牛全頭を
提唱した。ここで, GEEは以下の式で表わされる。
供試し,自給粗飼料多給飼養下における飼料エネ
GEE(%)=MILKE/MEIx100
ルギーの効率的利用に基づく泌乳牛の飼養方式確
MILKE:生産された牛乳のエネルギー量 (
M
J
)
立を目的として長期的かつ総合的な試験を実施し
MEI:ME摂取量 (
M
]
)
た。試験計画は自給粗飼料の種類,量および組み
合わせの異なる処理群を設定し
1乳期飼養試験
しかし,この指標に基づいた研究報告はきわめ
て少ない。我が国では内藤ら 51) および大久保ら 57)
を行なうとともに,それらの中から乳期,産次お
の研究報告がある。大久保ら 57) は
, GEEは個体,
よび実施時期等を考慮、してエネルギー出納試験を
産次,乳期,乳量レベルおよび給与飼料等の要因
行なった。
によって大きく変動することを指摘し,牛乳生産
本研究では,これら一連の試験から得られた 1
乳期産乳成績およびエネルギー出納試験成績を用
のエネルギ一利用効率に及ぽす諸要因を検討する
指標として活用でき得る可能性を示唆している。
いて以下の解析を行なった。すなわち,泌乳牛の
一方, MILKE と MEIの比である GEEのう
自給粗飼料多給下における飼料のエネルギー消化
ち,分母の MEIから,体維持に要する MEを差し
率
, qおよび、牛乳生産のエネルギ一利用効率とそ
引くことによって,生産に利用可能な ME(ME
れらに影響を及ぼす諸要因との関連について,延
A
v
a
i
l
a
b
l
ef
o
rP
r
o
d
u
c
t
i
o
n
:MEP)22)の牛乳生産
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
7
9
への利用効率を表わすことができる。本論文では,
および放牧地草主体飼養による花田の報告刊な
N
e
t
この指標を午乳生産のエネルギ一正味効率 (
どがある o 手o
泉叫 l
土,出穂始期調製のチモシー主
E
n
e
r
g
e
t
i
cE
f
f
i
c
i
e
n
c
y:
NEE)と定義した。すなわ
体グラスサイレージを多給することにより濃厚飼
ち
, NEEは
,
3
0
5日間)で 5,
0
0
0kg(乳 脂
料無給与でも 1乳 期 (
NEE(%)=MILKE/(MEI-M E
η)
X100
ME
n
, :維持に要する M E量 (M
J
)
で表わすことができる。 NEEを用いることによ
.
7%)以上の乳生産が可能で、あり,さらに,濃
率3
厚飼料を乾物換算で約 2,
0
0
0kg補給することに
0,
0
0
0kgの乳
より粗飼料乾物給与率 67%で約 1
り,体重の異なる個体聞においても,泌乳能力,
生産が可能で、あるとしている o また,坂東4) は,コ
産次および給与飼料の質,量,組み合わせ,ある
ーンサイレージ主体高栄養グラスサイレージ併給
いは給与方法の違いが牛乳生産のエネルギ一利用
飼養によって
1乳期 (
3
0
5日間)の濃厚飼料給与
効率に及ぼす影響を比較検討できると考えられ
.
7t
,粗飼料乾物給与率 7
2%
,
量が乾物換算で約 1
tは代謝エネルギ一利用の部分
る。なお,前述の k
粗飼料 TDN給与率 6
6
.
4%で 8,
0
0
0kg以上の 4
p
a
r
t
i
a
le
f
f
i
c
i
e
n
c
y
)であるのに対して,ここ
効率(
%FCM生産が可能であると報告している。一方,
g
r
o
s
s e
f
f
i
で示した NEEは牛乳生産の粗効率 (
花田 24) は,時間制限放牧にグラスサイレージを組
c
i
e
n
c
y
)であり,両者は基本的に異なるものであ
み合わせた飼養条件下では放牧による養分摂取量
る
。
および乳生産を安定的に維持することができ
1
以上のことから,本研究では牛乳生産のエネル
乳期(
3
0
0日間)約 8,
0
0
0kgの 4%FCM生 産 が
ギ一利用効率を表わす指標として, GEEおよび
可能であることを示唆した。しかし,上記のいず
NEEを用いることとした。
れの報告も,短期的に実施した種々の要因解析試
験の結果から 1乳期産乳可能量を推定したもので
必乳試験を行
あり,必ずしも 1乳期間を通じての 1
3
. 従来の研究
1)粗飼料主体飼養による牛乳生産
ったものではない。
泌乳牛の飼料給与および飼養技術に関するこれ
までの研究は主に濃厚飼料を多用する方向で進め
4山 削 へ 給 与 量 1
8
),
1
9
)
られてきた。濃厚飼料の質 23),
2) 飼料エネルギーの消化率および qに影響す
および給与方法 31),
68),
7叩
飼料エネルギーの消化率に影響する要因につい
1
)
の違いが牛乳生産およ
る要因
び生産効率に及ぼす影響については数多くの報告
ては,従来カかミら,飼養レベル的
6
臥
仰
)
,
以叫
13
がある。
飼料割合,
)
町
9川
川
凶
1
叫
4 ),飼料中の粗蛋白質 (
CP)含量叫,77),牧
一方,粗飼料については,放牧地草川叫問, 751,
草の刈り取りステージ 11) などの飼料側の要因,乳
3
0
)
.
6
0
), グ ラ ス サ イ レ ー
コ ー ン サ イ レ ー ジ 7),
期 15) などの動物側の要因,および環境温度33),
3附
ジ20),
61)
,
83)
,アルフアルフアサイレージ 7),
74) および
などの環境要因等,様々な要因との関連について
乾草 7)刈)等,種々の粗飼料を単独,あるいは組み合
わせて給与した場合叫の摂取量および乳量の比
検討されてきている。また, qについても飼養レベ
ル的
6
臥
削
)
,叫
1
3
較が主ており,牛乳生産効率,特にエネルギーの
連カがf報告されている。しかしこれらの報告はめ
利用効率の面からの検討はなされていない。試験
ん羊や乾乳牛を用いた研究,あるいは泌乳牛を用
1
)
実施方法として泌乳安定期の牛を用い,試験期間
いた報告でも濃厚飼料の給与割合が高<,単純な
も短いものが多い。
飼料構成であり,ある限られた期間で、のエネルギ
また,粗飼料主体飼養による 1乳期間を通じて
の午乳生産について検討した報告は少ない。我が
国ではグラスサイレージ主体飼養による和泉の報
告叫,コーンサイレージ主体による坂東の報告叫
ー出納試験の結果から検討している場合がほとん
どである。
飼養レベルは摂取エネルギー量を維持要求量の
倍数であらわしたものであり, TYRRELL and
8
0
北海道大学農学部農場研究報告第 3
1号
MOE76)は,飼養レベルの増加に伴いエネルギー消
8-30'Cの条件下で,乳量の 3
0
ら3川土環境温度 1
化率は低下し,その低下割合は飼養レベル 1単位
%に相当する濃厚飼料とビートパルプ,イタリア
の増加につき平均で約 4%(2-7%の範囲)であ
ンライグラス乾草およびコーンサイレージを泌乳
ったと述べている。また,その低下割合は飼料中
牛に給与した場合, 3
0
'
C下では,飼料摂取量が減
粗飼料割合が少ないほど大きい聞と報告してい
少したためにエネルギー消化率および qが有意
る。飼養レベルの増加に伴い糞中へのエネルギー
に高くなったと報告している。また,寒冷環境下
損失は多くなるが,逆に尿およびメタンとしての
では採食量は増加するが,反努活動の増加および
エネルギー損失割合は減少する 6) ことから, qに
消化管内容物の通過速度の上昇をまねき,消化率
対する飼養レベルの影響はエネルギー消化率にく
が低下するとの報告叫 81)がある。
らべて小さい刷とされている。飼養レベルの増加
に対する qの低下割合は飼養レべル 1単位の増
加につきl.8%でで、あるとする報告,
)
的
6川
日
1
叫
3
一方,濃厚飼料を多給することが多い我が国の飼
3)牛乳生産のエネルギ一利用効率に影響する
要因
これまで,欧米諸国での牛乳生産のエネルギ一
k
tについての検討が中
料構造における成績叫では,飼養レベル 1単位の
利用効率に関する研究は
増加につき qが 3
.
5%低下することが報告され
心であった。英国では古くから飼養標準以),40)の
ている。
作成の基礎として
飼料中の粗飼料割合との関係について, FLATT
k
tが用いられてきている。ま
9
9
4
た,我が国の最新の飼養標準(日本飼養標準 1
e
ta
l
.15)は粗飼料割合が 20-60%のアルフアルフ
年版)刊においても,産乳に要する M E量算出の
ア乾草と濃厚飼料の混合飼料を給与した場合,摂
基礎として初めて
取飼料中の粗飼料割合を高くするに伴ってエネル
ギー消化率および qが低下したと報告している。
乳牛のエネルギ一利用に関する総説が VANEs
a
n
d VA N d
e
r HONINC80),TYRRELL77)および
ta
l
.9) も,組飼料割合が 10-40
また, BROSTERe
MOE
叫によってまとめられており,いずれの総説
k
tが用いられている。
%の飼料給与条件では,粗飼料割合が高まるにつ
においても主に粗濃比同やエネルギー・蛋白比同
れて消化率は低下することを報告している。
等,飼料構成を変えた場合の
飼料中
CP含量の影響については,
MOE
a
n
d
k
tへの影響について
検討されている。 FLATTe
ta
l
.15)は粗飼料割合が
CP含 量 を
20-60%のアルフアルファ乾草と濃厚飼料の混
14-20%に変化させた(濃厚飼料としての大豆粕
合飼料を給与した場合,摂取した飼料中の粗飼料
をコーンミールで、代替)アルフアルファ乾草主体
割合にかかわらず,乳生産と体蓄積を込みにした
飼料を泌乳初期牛に給与した試験結果から,エネ
k
tはほぼ一定であったと報告している。
TYRREL43) お よ び TYRRELL77) は
ルギー消化率および qは C
P含量の増加に伴い高
また,飼料の質を総合的に表す指標である qが
CP1
7%以上ではその上昇割合が小さ
k
tに及ほ、す影響についても多くの検討がなされ
tはほぽ一定と
ており, qによる影響は小さく , k
40),
80)
,
54¥ qが高くなるにつれて L は
する報告山 5),
くなるが,
くなるか(エネルギー消化率),あるいは低下した
(
q
)と報告している。
乳期との関係については, FLATTe
ta
l
.15)は泌
7日目),中期 (
1
6
7日目)および後
乳初期(分娩後 5
42)
,
79) など,様々である。
上昇するとの報告2),
その他,濃厚飼料の給与回数の影響について検
期(
2
8
4日目)の泌乳牛に粗飼料割合が 20-60%
討した報告では給与回数による影響は小さし
の飼料を給与した場合,乳期が進むに伴ってエネ
はほぼ一定であったとする報告閣 l
こ対して,給与
k
t
ルギー消化率および qが低下したと報告してい
回数を増やすことにより熱発生量の低下が見られ
る
。
k
tは上昇したという報告制点 0) もある。
環境温度との関係については,暑熱および寒冷
しかし,我が国においては牛乳生産のエネルギ
の影響に分けられる。暑熱の影響について,栗原
一利用効率だけでなく,乳牛のエネルギ一代謝に
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
関する研究報告も少ない。 1
9
6
0年代の飼養標準策
定に関する一連の研究m,
26)
,
27)
,
46)
,
47)
,
48),農林水産省
九州農業試験場および畜産試験場での高温環境下
8
1
合給与の場合に効率が高かったと報告している。
そ の 他 の 指 標 と し て ム FCM(kg)/ムMEI
k
g
)/ MEI(MJ)町 が あ る
(
M
J
)叫 お よ び FCM(
が,これらを用いた牛乳生産のエネルギ一利用効
におけるエネルギ一代謝に関する一連の研
67),
73) 最 近 で は , 早 坂 28) の T
MR(Total
究 37),
率に影響する要因についての検討はほとんどなさ
MixedR
a
t
i
o
n
)給与における高泌乳牛のエネルギ
れていない。
ー要求量に関する研究などがある。なお,
日本飼
I章 試 験 方 法
第I
9
4年版)刊における産乳に要する ME
養標準(19
量の算出基礎として,寺田らの報告聞の七=
0
.
6
2が用いられている。
1.試験期間および供試牛
1
9
8
4年 5月から 1
9
9
3年 4月までの 9年間,北
"の測定には大がかりな設備や費用,労
一方, k
海道大学農学部附属農場畜産第二部のホルスタイ
力を要することから,実際の生産現場に近い条件
ン種泌乳牛群(常時搾乳頭数 18-27頭)全頭を対
下での長期的なデータ蓄積が可能な,より簡易な
象として試験を実施した。
8
)
指標も用いられている。 BRODYandPROCTOR
試験は農場の日常的な生産体系の中で実施する
の提唱した GEEを用いた研究報告は,我が国で
ことを基本とした。従って,分娩・乾乳,事故お
は,内藤ら日)および大久保ら聞の報告しか見当た
よび淘汰等による牛の出入りがあるため,年次に
968-73年の東京大学農学
らない。内藤ら刊は 1
よって牛群の産次および乳期構成等は一定ではな
部附属牧場において,初産から 5産までのホルス
1
かった。なお,各年次とも 5月 -10月を夏季, 1
5乳期のデータを解析し 1
タイン種乳牛,延べ 7
月一 4月を冬季とした。
乳期(
3
0
5日 間 )
4% FCM3,578-4,5
1
9kgで
GEE24.6-27.8%を得ている。また,大久保ら 57)
は
, 1
9
7
0年代の北海道大学農学部附属農場におい
2
. 試験処理区
試験処理の概要について図 1に示した。 1
9
8
4年
て,初産から 7産までのホルスタイン種乳牛,延
5月,前述の泌乳牛群をこれまでの北大農場の慣
べ9
1乳期のデータをもとに
C
o
n
v
e
n
t
i
o
n
a
l,C
行法である自給粗飼料中給群 (
1乳期 (
3
0
5日間 )
4
7
4
8-5,
9
6
6kgで
, GEE31
.4-35.9%
% FCM4,
群)と濃厚飼料給与量を減らし粗飼料を多給する
であったと報告している。しかし,両研究報告と
Roughage,R群)の 2群 に 分
自給粗飼料多給群 (
も
, GEEの変動に関わる要因については詳細には
9
8
7年 4月までの 3年間にわたり,この試験
け
, 1
検討していない。
処理を継続した。なお, R群の給与粗飼料は,夏
GORDON e
ta
l
. は,本研究で提唱した NEE
22
)
と同様な M E摂取量から体維持に要する MEを
季では放牧地草および冬季ではコーンサイレージ
を主体とした。
差し引くことによって求めた生産に利用可能な
1
9
8
7年 5月からは粗飼料中給群 (
C群)を廃止
M E(MEAv
a
i
l
a
b
l
ef
o
rP
r
o
d
u
c
t
i
o
n
:MEP)に対
し,粗飼料多給群のみとした。そして給与粗飼料
す る 牛 乳 エ ネ ル ギ 一 生 産 量 (MILKE/MEPX
, R1群と R2群に分け, 1
9
9
0年
構成の異なる 2群
1
0
0
)を指標として,牛乳生産のエネルギ一利用効
4月までの 3年間,試験を実施した。なお, R1群
e
n
e
t
i
cl
n
d
e
x
:
率に対する乳午遺伝指数 (Cow G
は R群と基本的に同様な処理であり, R2群は放
CGI)と飼料給与方法(粗飼料,濃厚飼料混合また
/
2とし,放牧地草不足時に
牧地面積を R1群の 1
は分離給与)の影響を検討した。飼料中粗飼料割
は放牧を制限してグラスサイレージを増給した。
合 が 33-36%と濃厚飼料が多い飼料を給与した
1
9
9
0年 5月以降, R1群および R2群は,給与
結果, MILKE/MEPX100=47-58%なる値が得
粗飼料構成を泌乳期別に設定した粗飼料多給群
られ,遺伝的な泌乳能力が高い牛ほど効率が高く,
(R3群)に同一群としてまとめ, 1
9
9
3年 4月まで
また,飼料給与方法としては粗飼料,濃厚飼料混
の 3年間,試験を行なった。
8
2
年次
季節
北海道大学農学部農場研究報告第 3
1号
」笠L
W S
」笠土
s
.
!
笠L
W S
.
!
笠L
W.S
.
!
笠L
W S
-1笠~
W S
-1塑~
w,
s
.
!
笠L
ws
.
!
笠L
ws
.1盟
w
粗鋼料からの TDN給与量
量
要
九四
L民
ZJ
。
。
。
,
GroupC
お
量
要
GroupR2
ーー卜│﹄
必
必
持ト産
維+拍
齢+生
寺産
事乳
L民
GroupRl
。
@
今
υ
A3
Gr
oupR
s
:夏 季(5-10月)
W:冬季司 11-4月)
図1.試験処理の概要
なお,群分けに当たっては,処理群間で産次,
た。グラスサイレージは出穂始 出穂期 (
5月下旬
乳期および体重ができるだけ同様になるようにし
-6月中旬)のラジノクローパ混播のオーチヤー
た。試験開始後に初産分娩した牛は随時いずれか
ドグラス主体 1番草から調製した。アルフアルフ
の群に振り分けた。また,同一牛については,年
アサイレージは 1
9
8
7年以降に調製利用した。アル
次による試験処理区の変更は行なわなかった。
フアルフアサイレージはアルフアルファ
3
. 飼料給与基準
ρr
a
t
e
n
s
eL.)混播草地から,開花期に年 3-4回刈
(
M
e
d
i
c
a
g
o s
a
t
i
v
a L.)主体のチモシー (Phleum
日本飼養標準 (
1
9
7
4年版)聞の維持および産乳
取った原料草を順次サイロに追い詰めし,調製し
TDNおよび DCP量に基づいて設定し
たものを利用した。いずれのサイレージもスチー
9
8
7年 5月以降は日本飼養標準 (
1
9
8
7年
た。なお, 1
ル製気密サイロ(⑮ハーベストア,直径 5.2mX高
に要する
版)聞を用いた。粗飼料全体から以下に示す
TDN
き 12.2m
,A
.O.スミス社製,アメリカ)を用いて
量を給与し,不足分は濃厚飼料で補給した。
調製した。乾草は, 1984-1988年では,出穂 開
R,R 1
,R2,R3群:維持 +13kg乳生産必要量
花始期(6月中旬 下旬)のラジノクローパ混播の
C群
オーチヤードグラス主体 1番草および 2番草から
:維持 +6.5kg乳生産必要量
維持の要求量は,体重 4
5
0kg
,5
5
0kg
,6
5
0kg
,
7
5
0kgの値を求め,それぞれ 4
0
0kg台
, 5
0
0kg
台
, 6
0
0kg台
, 7
0
0kg台の牛に適用した。
調製して給与し, 1
9
8
9年以降は購入したチモシー
1番刈乾草を用いた。
夏季は放牧地草主体とし,併給粗飼料として 6
月上旬まではコーンサイレージ
4
. 給与飼料
6月中旬以降は
グラスサイレージを用いた。冬季はコーンサイレ
給与粗飼料は,放牧地草,コーンサイレージ,
ージ主体とし,冬季聞を通じて 1984-1986年はグ
グラスサイレージ,アルフアルフアサイレージ,
ラスサイレージを, 1
9
8
7年はグラスおよびアルフ
乾草であり,一部の乾草を除き,これらの粗飼料
アルフアサイレージを, 1
9
8
8年以降はアルフアル
は北海道大学農学部附属農場畜産第二部で生産し
フアサイレージを併給した。乾草は年聞を通じて
たものであった。
給与した。濃厚飼料は市販の乳牛用配合飼料を用
放牧は, 1980-1983年に更新したオーチヤード
し
、f
こ
。
グラス (D
a
c
t
y
l
i
sg
l
o
m
e
r
a
t
aL.)主体のラジノクロ
ーパ (Tr
扮l
i
u
m Repens L
. var.)混播草地5
.
0
-6.0h
aを用いて, 5月上旬ー 1
0月下旬に行なっ
た。コーンサイレージは,黄熟期 (
1
0月上旬
5
. 飼料給与量
夏季の粗飼料給与量を表 1に示した。夏季は基
中
本的に放牧地草多給であり,放牧開始時期,放牧
旬)のサイレージ用 F1 トウモロコシから調製し
時間帯,割当草量等を考慮、して期待食草量を設定
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
8
3
表1.粗飼料給与量(夏季)
年次
処理群
放牧地草 1)
グラスサイレージ
1
9
8
4
8
6
1
9
8
7
8
9
R2
R
1
kgDM/d/cow
1
02)
7-10
3-5
1
0
3
.
5剖
kgFM/d/cow
4-102)
4-18
1
2
.
5
1
7
.
5 7
.
5
1
2
.
5
R
C
adl
i
b
.
'
)
乾草
3
.
5
1
.5
3
3
1
9
9
0
9
2
R3
8-104)
5
)
6-8
4-154)
9-21
'
)
3
1)期待食草量
2
)放牧開始日 -6月2
0日
3
)6月2
1日 放牧終了日
4
)泌乳初期(分娩後 1
1週巨まで)
5
)泌乳中・後期(12
週目以降)
した。体重の違いによる粗飼料給与量の増減はグ
v
s
.
6- 8kgDM/日/頭),異なる草地に放牧した。
ラスサイレージで行ない,乾草は処理群毎に定量
冬季の粗飼料給与量を表 2に示した。冬季は基
給与とした。なお,年次によりグラスサイレージ
本的にはコーンサイレージ多給であり,併給サイ
の代わりにコーンサイレージまたはアルフアルフ
レージの種類,給与回数,給与時間帯等を考慮し,
アサイレージを併給する時期もあった。
目標採食量を追求した。夏季と同様,体重の違い
1984-86年では,期待食草量を C群 で 3- 5
による粗飼料給与量の増減はサイレージで行な
0
kgDM/日/頭としたのに対して, R群 で は 1
い,乾草は処理群毎に定量給与した。
kgDM/日/頭と高く設定し,グラスサイレージ給
1985-87年では,
与量を減らした。
を体重に応じて 21-29kg給与した。一方, R群で
1987-89年は, R1群の期待食草量を放牧期間
C群は,コーンサイレージのみ
9
8
5
はコーンサイレージとグラスサイレージを, 1
を通じて 7-10kgDM/日/頭と R群 と 同 様 に 高
年では 7
0:3
0
(乾物比)で混合したものを, 1
9
8
6お
〈設定したのに対して, R2群ではスプリングフ
7年ではサイレージの混合比を乳期によっ
よび 8
ラッシュまでの草量が豊富な時期には R1群と同
1
て変えて給与した。すなわち,泌乳初期(分娩後 1
様としたが,スプリングフラッシュ以降の草量が
週目まで)では 8
5:1
5(乾物比),泌乳中期 (12-30
.
5kgDM/日/頭に制限
不足する時期には放牧を 3
週目)では 7
0:3
0, 泌 乳 後 期 (
3
1週目以降)では
し,グラスサイレージを自由採食させた。
50:5
0として 36-44kg給与した。
1990-92年の R3群は, R1群と同様に放牧期
1988-90年は,コーンサイレージの併給サイレ
間を通じて放牧地草を多給したが,泌乳初期牛群
ージとして, R1群は 1
9
8
8年にはグラスサイレー
1週目まで)の期待食草量を泌乳中・後期
(分娩後 1
9
8
9および 9
0年にはグラスサイレージと
ジを, 1
1
2週日以降)に比べて高〈設定し (8-10
牛群(
アルフアルフアサイレージを半量づっ混合したも
表2
. 粗飼料給与量(冬季)
1
9
8
5
8
7
年次
処理群
C
コーンサイレージ
ア
/
レ
'
77)レ
ブ
ア
サ
イ
レ
ー
ジ
グラスサイレージ
21-29
乾草
5
1
9
8
8
9
0
R1
R
2
kgFM/d/cow
17-39
1
7
3
9
2
0
3
5
4-15
5-20
4-15
3
3
3
R
1
9
9
1
9
3
R3
2
3
3
4
5-13
3
8
4
北海道大学農学部農場研究報告
のを給与した。 R2群は 1
988-90年を通してアル
第
3
1号
6
. 飼養管理
フアルフアサイレージを給与した。各処理群とも,
夏季における各処理群の放牧方法を表 4に示し
コーンサイレージと併給サイレージを泌乳初期に
た
。 C群は 6牧区に区切った草地で輪換放牧を行
は8
5:1
5(乾物比),泌乳中期には 7
0
:3
0,泌乳後
なった。放牧地の期待利用率を 5
0%,期待食草量
期には 5
0:5
0で混合したものを 30-45kg給与
を 3- 5kgDM/d/cowとして,現存草量から滞
した。
牧日数を計算した。 R群は 1回単位, R1と R2群
1991-93年の R3群はコーンサイレージの併
は 3日単位および R3群は 1日単位の輪換放牧を
給サイレージとして R2群と同様に,アルフアル
行なった。現存草量,期待食草量,期待利用率か
フアサイレージを給与したが,混合比を泌乳初期
ら 1回の放牧に必要な面積を計算し,簡易電気牧
では 8
0
:2
0
(乾物比),泌乳中期では 7
0
:3
0,泌乳
棚
後期では 6
0:4
0と し た も の を 体 重 に 応 じ て
れぞれ必要面積分を区切って放牧した。なお,放
34-41kg給与した。
牧地の乾物草量はコドラート法により推定した現
濃厚飼料給与量および用いた濃厚飼料の
CPと
TDN含量を表 3に示した。乳期を泌乳初期(分娩
(
G
a
l
l
a
g
h
e
r社製,ニュージーランド)を用い,そ
存生草量に赤外線水分計 (
K
e
t
t社製,日本)で測定
した乾物含量を乗じて算出した。
1回の放牧時間は吉田の報告84) を参考に 2
.
5
後1
1週目まで),泌乳中期 (12-30週目)および泌
乳後期 (
3
1週目以降)の 3期間に区分し,給与量を
時間とした。 C群は放牧期間を通じて 1日 1回(朝
設定した。粗飼料からの TDN給与割合の高い R,
0-1
1:3
0
),Rおよび R1群は 1日
の搾乳後, 9:0
R1,R2および R3群の濃厚飼料給与量は最高時
でも乳量の 25-28%であった。
2回(朝の搾乳後, 9:00-11:3
0および夕方の搾
乳後, 17:00-19:30)放牧した。 R2群はスプリ
表3
. 濃厚飼料の給与量および栄養価
1
9
8
4
8
6
年次
処理群
R
25-35
25-35
。
。
-25
-25
15-25
5-20
15-20
70-75
18-20
70-75
11-15
70-71
給与量
経産牛
初産牛
1
9
8
7
8
9
R2
R1
%o
fm
i
l
ky
i
e
l
d
C
1
9
9
0
9
2
R3
13-28
10-22
栄養価
CP(%)
TDN(%)
表4
.放牧方法
年次
処理群
放牧地面積 (
h
a
)
放牧方式
放牧時間
1
9
8
4
8
6
R
C
1
.9-2.2 3.1-3.2
6牧 区 輪 換 1匝 単 位 輪 換
2
.
5
2.5X2
(
h
r
/
d
)
期待食草量
3-5
1
0
5
0
60-80
(kgDM/d/cow)
期待利用率(%)
1)放牧開始日 -6月2
0日
2
)6月2
1日 放牧終了日
1
9
8
7
8
9
R1
R2
1
.7
3
.
3
3日単位輪換
2.5x21)
2.5X2
2
.
52)
1
01)
7-10
3
.
52)
60-701)
40-70
4
02)
1
9
9
0
9
2
R3
2.2-2.8
1日単位輪換
2.5X31)
2
)
2
.
5X2
8-101)
2
)
6-8
6
0
1)
4
02)
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
8
5
ングフラッシュ時(放牧開始日 -6月 2
0日)には
取し,これらを半月毎の代表サンプルとした。採
1日 2回,それ以降 (
6月 2
1日 放牧終了日)には
取したサンプルは直ちに 6
0
'
Cの通風乾燥器で 4
8
1日 I回,朝の搾乳後の放牧のみとした。 R3群
時間乾燥し,室温で 2
4時間以上放冷した後,粉砕
は,泌乳初期牛と泌乳中・後期牛を別々にして,ス
して分析に供した。
プリングフラッシュ時には 1日 3回(朝夕の搾乳
分析は,一般成分を AOAC法 3) で,細胞壁構成
0
),それ以降は 2回放牧(朝
後以外に, 5・00-7:3
物質 (CWC)は GOERING and VA N SOESTの方
夕の搾乳後)した。なお, 7月下旬から 8月末は暑
法 17) により分析した。また,総エネルギー (
G
E
)含
熱の影響を避けるため 9
:00-11・3
0の放牧時間
,島津製作所
量はボンブカロリーメーター (CA-3
:00-7:3
0に変更した。
を5
製
, 日本)を用いて測定した。
夏季の放牧以外の給与飼料として,サイレージ
は 1日 2-3回に分けて牛舎内で,乾草は夕方の
3)乳量および乳成分組成
放牧終了後,屋外パドック(雨天時は牛舎内)で給
, 8
:0
0と 1
6
:0
0に行ない
搾乳は 1日 2回
8:0
0,1
1:3
0,
与した。また,配合飼料は 1日 3回 (
頭毎に乳量を測定,記録した。また,毎月 2回
,
1
5
:3
0
)に分けて給与した。
朝夕の搾乳時に 1頭毎に牛乳を採取し,それらの
冬季ではいずれの飼料も午舎内で給与した。サ
1
0:3
0, 1
5
:3
0
)に分けて,
イレージは 1日 2回 (
7
:3
0に給与した。また,配合飼
乾草は 1日 1回 1
料は,夏季と同様
1日 3回 (
8:0
0, 11:3
0,
1
5:3
0
)に分けて給与した。
1
1日分を乳量比で混合して分析に供した。
乳脂肪率,乳タンパク質率および乳糖率は赤外
M
i
l
k
o
S
c
a
n1
0
4型
, F
o
s
sE
l
e
c
t
r
i
c
線牛乳分析器 (
社製,デンマーク)を用いて測定した。無脂乳図形
分 (SNF)率は乳中灰分含量を1.0%として,乳タ
ンパク質率と乳糖率の合計に1.0を加えた値とし
9
8
4年 5月一 8
6年 4月は,全固形分率
た。なお, 1
7
. 測定項目および測定方法
erber法により
はアルミホイル法,乳脂肪率は G
1)飼料採食量
放牧地草については,コドラート法により推定
した放牧前の現存草量から放牧後の残存草量を差
測定した。 SNF率は全固形分率から乳脂率を差し
5
1いて求めた。
しヲ│いた値を供試牛頭数で除して算出した値を,
1頭当りの食草量とした。 1m X1m のコドラ
ート枠を 1
0a当り 1カ所相当で無作為に置き,枠
4)体重
毎月 2回
, 1
3
:3
0に測定した。
内の牧草を地上高 5cmで刈り取り,これらの重
量の平均値を草量とした。 C群の輪換放牧では,滞
5)エネルギー出納試験
牧日数が 3日を越える場合には 3日毎に残存草量
毎年,夏季に 2-3回,冬季に 1-2回,各処
3日以内の
理群から 2-4頭を選択し全糞全尿採取法によ
を測定し,食草量を推定した。なお
牧草生育量は考慮しなかった。
,
サイレージおよび乾草の採食量は,毎月 2回
I頭毎に 2日間連続で測定しこの測定値を半月
毎の代表値とした。
配合飼料は,試験期間を通じて残食が認められ
なかったため,給与量を採食量とした。
るエネルギー出納試験を行なった。産次および乳
期を考慮し,健康状態が良好で平均的な乳量の牛
を選んだ。
試験期間は 5日間とし,予備期 3日間,本期 2
日間とした。出納試験期間を通じて,供試午を午
舎内のストールに繋留し,通常と同じ時間帯に各
飼料を規定量給与して採食量を測定した。なお,
2)飼料成分組成
夏季の放牧時間帯には,原則としてその期間放牧
放牧地草は現存草量測定時に,配合飼料,サイ
されるべき草地から刈り取った生草を期待食草量
レージおよび乾草は採食量測定時にサンプルを採
給与した。放牧時間終了後,直ちに残食量を測定
8
6
北海道大学農学部農場研究報告 第 3
1号
し,その差を食草量とした。本期 2日間は供試牛
多給飼養下における飼料エネルギーの消化率や q
に糞尿採取のための糞筒および尿簡を装着し,そ
に影響を及ぽす要因について考える場合には,飼
れらによって全糞全尿を採取した。
料構成が多様な飼料給与条件下で様々な乳期の泌
給与飼料と残食のサンプルは毎日採取し
5日
聞の混合サンプルとした。糞尿のサンプリングは
1
2時間毎に行ない,総排池量に対して一定割合を
採取し
2日間の混合サンプルとした。採取した
糞には腐敗防止のため,採取糞 1kg当りホルマ
乳牛でエネルギー出納試験を行い,その結果を用
いて検討する必要がある。
そこで,本章では,自給組飼料多給で飼料構成
が多様な飼料給与条件下で
1乳期間中の様々な
乳期の泌乳牛を用いたエネルギー出納試験成績を
リンを約 5ml加 え た 。 尿 サ ン プ ル は 分 析 ま で
もとに,飼料のエネルギー消化率, qおよび牛乳生
2
0
'
Cで凍結保存した。
産のエネルギー利用効率と,それらに影響を及ぽ
給与飼料,残食および糞のサンプルは風乾およ
す諸要因との関連について検討した。
び粉砕後,分析に供した。尿サンプルは,分析前
4'
cで 2
4時間以上保持して完全に解凍した後,窒
2
. 解析に用いたデータおよび解析方法
GE含量を測定した。窒素含量は K
j
e
l
d
a
h
l法 3) により測定した。 GE含量は,予めエネルギ
18頭のホルスタイン種泌乳牛を供試して実
延べ 2
ー含量を測定したセルロースパウダーに尿サンプ
施したエネルギー出納試験の成績を解析に用い
ルを浸透させ,凍結乾燥器 (
MODUL
YO,E
d
w
a
r
-
1章で述べた通
た。出納試験実施方法の詳細は第 1
d
s社製,アメリカ)で 6
0
'
Cで凍結乾燥した後,ボ
りである。
素含量と
CA-3,島津製作所製,
ンブカロリーメーター (
日
本)を用いて測定した。
第I
I
I章
粗飼料多給飼養下における飼料のエネル
ギー消化率,代謝率および牛乳生産のエ
ネルギ一利用効率
一一エネルギー出納試験成績からの検討一一
1
. 目的
泌乳牛における飼料エネルギーの消化率や q
に影響を及ぽす要因には,飼料構成や飼料成分等
1
9
8
4年 5月から 1
9
9
3年 4月までの 9年間に,
ME摂取量は GE摂取量から糞,尿およびメタ
ンによるエネルギー損失量を差し 9
1いて求めた。
ただしメタンエネルギー損失量は実測しなかっ
n
dCLAPPERTON5)の
たので,下記の BLAXTERa
式を用いて推定した。
メタンエボノレギー損失割合(%0/GE反攻量)=
3.67千 0.062xGE消化率f
忽
ノ
牛乳のエネルギ一価は,下記の関根ら叫の式を
用いて推定した。
と
守!
f
l
のエポノルギ一価 f
勿 !kg)=
の飼料側の要因,摂取レベル,乳量,乳期,産次
0.343x
!
f
l
A
蹴1
J
$
(
%
)十 0.199xSNF
卒f
新 十0
.
0
0
5
等の動物側の要因,および温度,湿度等の環境要
なお,算出にあたっては出納試験に最も近い時期
因などがある。これらの影響について検討したこ
に 分 析 し た 乳 脂 肪 率 お よ び SNF率 の 値 を 用 い
れまでの報告は,濃厚飼料割合が高<,単純な飼
た。また,牛乳のエネルギ一価に乳量を乗じて
料構成のもとで行なったエネルギー出納試験の結
MILKEを算出した。
果から検討している場合がほとんどであり,粗飼
料割合が高い飼料給与条件での研究は少ない。ま
牛乳生産のエネルギ一利用効率を表わす指標
(
第I
I章)としては,次の 2つを用いた。
た,供試牛としては,泌乳安定期などある限られ
GEE(%)=MILKE/
MEIX 100
た乳期の牛を用いている場合がほとんどである。
NEE(%)=MILKE/(MEI-MEm)X 100
増減,妊娠の有無等によって生理状態が大きく異
MEmは日本飼養標準 (1994年版)54) におけ
る 代 謝 体 重 当 り の 成 雌 午 の 維 持 に 要 す る ME
なり,さらに実際の酪農現場の飼養条件では給与
量 :0
.
4
8
6
6MJ(初産牛および 2産牛は,この値の
飼料構成は多様で、ある。従って,泌乳牛の粗飼料
それぞれ, 1
3
0%および 115%の値を適用)と出納
泌乳午は乳期の進行に伴い,乳量レベル,体重の
なお
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
87
試験に最も近い時期に測定した体重の値を用いて
エネルギー出納試験実施時における供試牛の飼
算出した。なお,出納試験期間中に体重の増減は
料摂取および乳生産成績の平均値とその範囲を表
5に示した。摂取飼料中の粗飼料割合は平均 7
1
.0
なかったものとした。
%であった。産次,乳期,乳量および体重も様々
3
. 結果
な牛を用いており,そのため摂取飼料成分含量お
1)エネルギー消化率, qおよび牛乳生産のエ
よびエネルギー摂取レベルも広範囲であった。
出納試験によって得られたエネルギー消化率,
ネルギ一利用効率の平均値とその範囲
エネルギー出納試験供試牛延べ 218頭の処理群
qおよび、牛乳生産のエネルギ一利用効率の平均値
毎の頭数は, C群 45(夏 季 28,冬季 1
7
)
頭
, R群
とその範囲を表 6に示した。エネルギー消化率お
52(夏季 4,冬季 1
8
)頭
, R1群 38(夏 季 27,冬
よび qの平均値は, 65.2および 54.5%であった。
季 1
1
)頭
, R2群 39(
夏 27,冬季 1
2
)頭 お よ び R 3
エ ネ ル ギ ー 消 化 率 お よ び qの い ず れ も 平 均 値 を
群 44(夏季 36,冬季 8)頭であった。夏季では,
中心に上下それぞれ約 1
0% 単 位 の 範 囲 内 に 分 布
季節の進行にともない放牧地草の栄養含量が大き
しており,その変動係数 (CV)は 7.3および、 8.4%
く変化することを考慮し,各年とも 2回以上の出
であった。 GEEお よ び NEEの平均値は 35.6お
納試験を実施したため,貯蔵飼料給与の冬季にく
よび 59.2%
, CVは 24.1および 27.7%とエネル
らべて供試牛が多かった。
ギー消化率および qにくらべ大きかった。
表 5. エネルギー出納試験供試牛の試験実施時における飼料摂取および乳生産成
績の平均値とその範囲 (n=218)
産次
分娩後日数
FCM量 (
k
g
/
d
)
体重 (
k
g
)
粗飼料割合(%)
CWC含量(%)
CP含量(%)
CWC/CP比
GE摂取量 (
M
J
/
M
B
W
l
)
)
飼養レベル2)
l)MBW 代謝体重 (kg •
O 75
平均
2
.
8
1
3
7
2
0
.
7
6
4
0
7
1
.
0
4
8
.
4
1
4
.
1
3
.
4
8
2
.
6
2
2
.
7
0
最小値
2
0
3
.
1
4
4
6
4
2
.
5
3
5
.
5
9
.
6
2
.
1
5
1
.3
1
1
.2
3
最大値
8
3
5
0
3
9
.
1
7
8
9
9
4
.
9
6
1
.1
1
8
.
1
5
.
8
1
3
.
6
2
4
.
3
8
SD
CV(%)
1
.5
8
2
.
5
6
.
9
7
4
.
1
1
0
.
3
6
.
0
1
.9
0
.
7
0
.
4
0
.
6
5
5
.
0
6
0
.
2
3
3
.
3
1
1
.6
1
4
.
6
1
2
.
4
1
3
.
6
1
9
.
9
1
5
.
1
2
3
.
4
)
2
)飼養レベル:維持の倍数
表6
. エネルギー消化率,代謝率および
牛乳生産効率の平均値とその範囲
(n=218)
平均
DE/GE
q
GEE
NEE
6
5
.
2
5
4
.
5
3
5
.
6
5
9
.
2
最小値最大値
%
5
2
.
8
7
5
.
7
4
3
.
7
6
5
.
8
5
.
7
6
2
.
0
9
.
7 1
4
2
.
0
SD
CV
4
.
7
4
.
6
8
.
6
1
6
.
4
%
7
.
3
8
.
4
2
4
.
1
2
7
.
7
8
8
北海道大学農学部農場研究報告
2)飼料中粗飼料割合とエネルギー消化率, qお
よび牛乳生産のエネルギ一利用効率との関係
第
3
1号
効率を表 8に示した。粗飼料割合の高い飼料を摂
取していた牛ほど分娩後の日数が経過しており,
摂取飼料中の粗飼料割合(以下,粗飼料割合)と
FCM量 が 低 < GE摂取量も低かった。エネルギ
エネルギー消化率および、 q との関係を図 2およ
ー消化率は粗飼料割合 60-70%台が 60%未満に
び図 3に示した。エネルギー消化率および qは粗
くらべ有意に高く (
P
<
0
.
0
5
),また, 8
0%以上とく
飼料割合の平均値である約 70%付近を頂点とし
らべても有意で、はなかったが高い傾向を示してい
た負の 2次曲線的傾向を示した。しかし,その曲
た。飼料中組飼料割合と qの関係もエネルギー消
線は有意で、はなく,エネルギー消化率および qは
0-70%
化率との関係と同様で、あり,粗飼料割合 6
粗飼料割合に関係なく平均値を中心に上下それぞ
台が最も高かった。 GEEは 2
7.6-43.5%であり,
れ約 1
0%単位の範囲内に分布していた。
飼料中粗飼料割合が高いほど低い値となった (P<
飼料中の粗飼料割合を 6
0
.
0%未満, 60.0-79.9
l
.1-69.6%であり, GEEと同様
0
.
0
5
) NEEは 5
0
%および 8
0
.
0%以上に分け,粗飼料割合別の飼料
の傾向を示し,飼料中粗飼料割合が高いほど低い
摂取および乳生産成績を表 7に,それらのエネル
P<0.05)。
イ直であった (
ギー消化率, qおよび牛乳生産のエネルギ一利用
80
360
80
1,
.
・:~地l時・.
卜 υ・ 神
1
・
古
・
i
:
[
.・ ・ 脚ι
4J
・圃圃圃巴亘司~ .
..
圃
50
40
40
~ rJ~噌N野宮司・, z.
50
60
70
80
90
1
0
0
40
40
50
60
70
80
図2
. 摂取飼料中粗飼料割合とエネルギー消化率と
の関係
産次
分娩後日数
FCM量 (
k
g
/
d
)
体重(
k
g
)
粗飼料割合(%)
CWC含量(%)
CP含量(%)
CWC/CP比
GE摂取量 (MJ/MBW1))
飼養レベル2)
l) MBW ・代謝体重 (kg O • 75 )
2
)飼養レベルー維持の倍数
1
0
0
図3
. 摂取飼料中粗飼料割合とエネルギー代謝率と
の関係
表7
. エネルギー出納試験供試牛における摂取飼料中粗飼料割合別の飼料摂取お
よぴ手L
生産成績
延べ頭数
90
租飼料割合(%)
租飼料割合(%)
-59.9
3
3
3
.
1:
t1
.5
8
4土 6
4
.
1
2
5
.
6:
t6
.
0
6
3
6土 8
0.
4
5
5
.
0:
t4
.
1
4
3
.
7土 3
.
8
1
4
.
4:
t1
.1
3
.
0
5土 0
.
4
2
.
7
8:
t0
.
3
3
.
1
9土 0
.
5
粗飼料割合(%)
60.0-79.9
1
3
8
2
.
9:
t1
.6
1
2
3:
t7
5
.
2
2
1
.8:
t6
.
4
6
4l
:
t7
5
.
0
7
0
.
0:
t5
.
4
4
8
.
0土 5
.
8
t2
.
0
1
4
.
3:
3
.
4
1土 0
.
6
2
.
6
7:
t 0.
4
2
.
8
0土 0
.
6
80.04
7
2
.
4:
t1
.4
2
17
:
t5
7
.
4
1
4
.
0士 3
.
2
6
37
:
t6
8
.
2
8
5
.
2士 3
.
6
5
3
.
3:
t4
.
5
1
3
.
5:
t2
.
0
4
.
04
:
t0
.
7
2
.
3
4士 0
.
3
2
.
1
0:
t0
.
3
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
8
9
表8
. 摂取飼料中粗飼料割合別のエネルギー消化率,代謝率および
午乳生産効率
粗飼料割合(%)
60.0-79.9
%
6
5
.
8士 4
.
9b
5
5
.
1士 4
.
6b
3
6
.
5士 7
.
3b
5
9
.
4士1
4
.
9b
-59.9
DE/GE
q
GEE
NEE
6
3
.
2土 3
.
4
"
5
2
.
7土 3
.
3
"
4
3
.
5土 8
.
0C
9
.
2C
6
9
.
6土1
80.06
4
.
6土 4
.
7
"
b
5
4
.
0土 4
.
8
"
b
2
7
.
6土 5
.
5
"
5
l
.1
土1
4
.
1a
a
.b
.c:異文字聞に有志、差あり (
pく 0
.
0
5
)
3)飼料中 cwc含量とエネルギー消化率, qお
よび牛乳生産のエネルギ一利用効率との関係
摂取飼料中 cwc含量とエネルギー消化率およ
含量に関わりなく平均値を中心に上下それぞれ約
10%単位の範囲内に分布していた。
飼 料 中 cwc含 量 を 45.0%未満, 45.0-54.9
び q との関係を図 4および図 5に示した。飼料中
% お よ び 55.0%以上に分け, CWC含量別の飼料
c w c含 量 と エ ネ ル ギ ー 消 化 率 お よ び q との聞に
摂取および乳生産成績を表 9に,それらのエネル
は有意な相関関係は認められず,両者とも cwc
ギー消化率, qおよび牛乳生産のエネルギ一利用
80
g
vdf
ソM.
3
6
0
1rftEld-h
晶古川
40
35
45
c
w
c
含量(%)
5
5
65
図 4. 摂取飼料中 c w c含量とエネルギー消化率と
の関係
70
i
:
l
合調客足:
t
40
35
55
45
図 5. 摂取飼料中 c w c含量とエネルギ一代謝率と
の関係
表9
. エネルギー出納試験供試牛における摂取飼料中 cwc含量別の飼料摂取お
よび乳生産成績
延べ頭数
産次
分娩後日数
FCM量 (kg/d)
体重(
k
g
)
粗飼料割合(%)
cwc含量(%)
cp含量(%)
cwc/CP比
GE摂取量 (MJ/MBW1))
飼養レベル2)
l)MBW: 代謝体重 (kg O • 75 )
2
)飼養レベル:維持の倍数
-44.9
6
0
3
.
0i
:l
.6
8
1土6
0
.
6
2
6
.2
i
:6
.
1
6
4
9士7
7.
8
6
4
.
3i
:8
.
9
4
l
.3
土 2
.
6
1
3
.7
i
:1
.8
3
.
0
8i
:0
.
5
2
.
8
9土 0
.
4
3
.
1
7i
:0
.
6
65
c
w
c
含量(%)
CWC含量(%)
45.0-54.9
1
0
9
2
.
8i
:l
.5
1
4
6土8
2.
4
2
0
.
3土 5
.
6
6
3
8士7
5
.
5
7
l
.4
士1
0
.
0
4
9.
4
i
:2
.
8
1
4
.
6i
:l
.9
3
.
4
5i
:0
.
6
2
.
6
0i
:0
.
4
2
.
6
8土 0
.
5
55.03
5
2
.
5士l.7
1
7
4士6
4
.
2
1
5
.
4i
:4
.
5
6
0
9i
:5
9
.
9
7
9
.
8土 6
.
1
5
7
.
4土l.8
1
3
.
8土 2
.
0
4
.
2
7i
:0
.
7
2
.
3
5士 0
.
3
2
.
2
6士 0
.
4
9
0
第3
1号
北海道大学農学部農場研究報告
0
. 摂取飼料中
表1
cwc含量別のエネルギー消化率,代謝率および
牛乳生産効率
cwc含量(%)
4
4
.
9
4
5
.
0
5
4
.
9
55.0-
%
6
4
.
7:
t4
.
8
5
4
.
5土 4
.
6
4
1
.0
:
t7
.
5c
DE/GE
q
GEE
NEE
t4
.
6
6
6
.
0:
5
5
.
1土 4
.
5
3
5
.
3土 7
.
2b
5
8.
6:
t1
5
.0
'
6
4
.
0:
t1
6
.
2b
6
5
.
2:
t4
.
6
5
4
.
7:
t4
.
3
3
0
.7
:
t8
.
3
"
5
5
.9:
t1
9
.0
"
a,b,C 異文字聞に有意差あり (pく 0
.
0
5
)
効率を表 1
0に示した。粗飼料割合と同様, CWC
し
ミf
こ
。
含量の高い飼料を摂取していた牛ほど分娩後日数
飼料中 CP含量を 1
3
.
0%未満, 13.0~15.9 %
が経過しており, FCM量が低< GE摂取量も低
および 1
6
.
0%以上に分け, CP含量別の飼料摂取
かった。エネルギー消化率および qはそれぞれ,
および乳生産成績を表 1
1に,それらのエネルギー
6
4
.7~66.0 および 54.5~55.1 %の範囲であり,
消化率, qおよび牛乳生産のエネルギ一利用効率
飼料中 CWC含量による有意な差はなかった O
を表 1
2に示した。いずれの CP摂取レベルにおい
GEEは 3
0
.7~4 1. 0 %であり,飼料中 CWC含 量
ても CWC含量に差はなかった。また, CP含量の
が高いほど f
s;ぃイ直となった (P<0.05)o NEEは
高い飼料を摂取していた牛ほど分娩後日数が短
55.9~64.0 %であり,
GEEと同様,飼料中 CWC
く
, FCM量が高く GE摂取量も高かった。エネル
2
.
1~68.9 およ
キ、一消化率および qはそれぞれ, 6
含量が高いほど低い値であった (P<0.05)。
び 52.0~57. 7%であり,飼料中
4)飼料中 CP含量とエネルギー消化率, qお
よび、牛乳生産のエネルギ一利用効率との関係
摂取飼料中の CP含量とエネルギー消化率およ
CP含量が高いほ
ど高い値となった (P<0.05)o GEEは飼料中 CP
含量が 1
3%未満の時 3
3
.
8%であったの対して,
13% 以上では 36~37
%と高かったが,その差は
び q との関係を図 6および図 7に示した。飼料中
有意で、はなかった。また, NEEは飼料中 CP含量
CP含量とエネルギー消化率および q との聞には
13%未満の時で 6
0
.
8%であったの対して, 1
3
.
0
有意な相関関係がみられた(
r
=
O.48お よ び
-15.9%および 16.0.%以上ではそれぞれ, 5
9
.
4
0.39:P<O.Ol)。また,どの CP摂取レベルにお
%および 56.3%であり,その差は有意で、はなかっ
いても,エネルギー消化率および qは,平均値を
たが,飼料中 CP含量が増加するに伴って低くな
中心に上下それぞれ約 1
0%単位の幅で分布して
る傾向を示した。
8
0
80
7
0
7
0
••
迫6
0l
:
言
穂
5
0
4
0
9
360
(
r
=
O
.
4
8,
P<O.Ol)
1
1
3
1
5
1
7
1
9
CP含量(%)
. 摂取飼料中 C P含量とエネルギー消化率との
図6
関係
5
0
4
0
9
(
r
=
O
.
3
9,P<O.Ol)
•
Jd
開F軒、・J
Z
1
1
1
3
1
5
1
7
1
9
CP
含量(%)
図7
. 摂取飼料中 CP含量とエネルギ一代謝率との
関係
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
9
1
表11.エネルギー出納試験供試牛における摂取飼料中 CP含量別の飼料摂取およ
ぴ乳生産成績
延べ頭数
産次
分娩後日数
FCM量 (kg/d)
休重(
k
g
)
粗飼料割合(%)
CWC含量(%)
CP含量(%)
CWC/CP比
GE摂取量 (MJ/MBW1))
飼養レベル2)
CP含量(%)
13.0-15.9
1
1
6
2
.
8:
t1
.5
1
3
7:
t8
2
.
7
2
0
.
9土 6
.
7
6
3
8土7
4
.
6
6
9
.
3土1
0
.
8
4
8
.
3土 5
.
9
1
4
.
5:
t0
.
9
3
.
3
5士 0
.
4
t0
.
4
2
.
6
2:
2.
7
3
:
i
:
:0
.
6
-12.9
6
0
2
.
6土1.6
1
5
7:
1
:8
7
.
9
1
8
.
5士 7
.
2
6
44
:
i
:
:7
7.
8
7
5
.
5:
1
:9
.
0
4
8
.
5:
1
:6
.
6
1
1
.7土 0
.
9
4
.
2
4土 0
.
8
2
.
5
6士 0
.
5
2
.
4
8:
1
:0
.
7
16.04
2
3
.
1土1.7
6
.
1
1
0
9土6
2
3
.
2:
t6
.
2
6
3
7士6
8
.
7
6
9
.
5:
t9
.
0
4
8
.
5:
1
:5
.
6
1
6
.
7士 0
.
6
2
.
9
2:
t0
.
4
2
.
7
2:
t0
.
3
2
.
9
6:
t0
.
6
l)MBW: 代謝体重 (kg O • 75 )
2
)飼養レベル:維持の倍数
2
. 摂取飼料中 CP含量別のエネルギー消化率,代謝率および牛
表1
乳生産効率
-12.9
CP含量(%)
13.0-15.9
16.0-
%
DE/GE
q
GEE
NEE
6
2
.
1士 4
.1"
5
2
.
0:
t4
.
2
"
3
3
.
8:
1
:9
.
5
6
0
.
8土1
9
.
0
6
5
.
4:
1
:4
.
2b
.
2b
5
4
.
7土 4
.
3
3
6
.
1士 8
5
9.
4
:
t1
6
.
2
6
8
.
9土 4.F
5
7
.
7:
t4
.
0c
3
6
.
7士 7
.
8
5
6
.
3:
t1
2
.
4
a,
b,
C
:異文字閑に有意差あり (
P
<
O
.
0
5
)
5)飼料中 CWC/CP比とエネルギー消化率, q
3に,それらのエネルギー消
よび乳生産成績を表 1
および牛乳生産のエネルギ一利用効率との関
1~率,
係
4に示した。 CWC/CP比の低い飼料を摂取し
表1
摂取飼料中の CWC/CP比とエネルギー消化率
qおよび午乳生産のエネルギ一利用効率を
ていた牛ほど分娩後日数が短く, FCM量が高〈
および q との関係を図 8および図 9に示した。飼
GE摂取量も高かった。エネルギー消化率および q
料中 CWC/CP比とエネルギー消化率および q と
はそれぞれ, 63.1-67.4お よ び 52.9-56.7%で
の 聞 に 有 意 な 負 の 相 関 関 係 が 認 め ら れ た (r=
あり,飼料中 CWC/CP比が低いほど高い値を示
-0.36および -0.32:P<O.Ol)。また, CWC/CP
した (P<0.05)o GEEは 飼 料 中 CWC/CP比 3.0
比 に 関 わ り な し エ ネ ル ギ ー 消 化 率 お よ び qは平
%未満の時 40.9%であったのに対して, 3.00-
均値を中心に上下それぞれ約 10%単位の幅で分
3.99および 4.00%以上ではそれぞれ 35.1および
布していた。
33.2%を示し, 3.0%未満にくらべて有意に低か
飼料中 CWC/CP比を 3.0未満, 3.0-3.9およ
った (P<0.05)。しかし, NEEは 57.7-63.1%で、
び 4.0以上に分け, CWC/CP比別の飼料摂取お
あり,飼料中 CWC/CP比による差は小さかった。
9
2
北海道大学農学部農場研究報告
8
0
8
0
..
.
.
.
.
.
.
.
~.‘ J_ •
、!3l祖町tI~←.官・
6
0
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1
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0
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3
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5
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5
4
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6
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2
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3
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5
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第3
1号
4
3
5
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圃
•
6
cwc/cp
比
cwc/cP
比
図8
. 摂取飼料中 CWC/CP比とエネルギー消化
図 9. 摂取飼料中 CWC/CP比とエネルギ一代謝
率との関係
率との関係
表1
3
. エネルギー出納試験供試牛における摂取飼料中 CWC/CP比別の飼料摂取
および乳生産成績
CWC/CP比
3.00-3.99
1
1
6
t 1.5
2
.
7:
1
4
3土 7
9
.
1
2
0
.
2士 5
.
9
:
t7
3
.
7
6
37
7
1
.3
土 9
.
3
4
9
.
1士 5
.
0
t 1.4
1
4
.
3:
3
.
4
4:
t0
.
2
2
.
6
2土 0
.
4
2
.
6
6士 0
.
6
-2.99
5
2
3
.
3土1.7
7
2士4
9
.
3
t5
.
7
2
6
.
5:
6
.
4
6
3
8土 7
6
2
.
8士 8
.
0
4
3
.
2:
t4
.
3
1
5
.
8土1.4
2
.
7
5士 0
.
2
2
.
8
8:
t0
.
3
3
.
2
5土 0
.
5
延べ頭数
産次
分娩後日数
FCM量 (
k
g
/
d
)
体重(
k
g
)
粗飼料割合(%)
CWC含量(%)
CP含量(%)
CWC/CP比
GE摂取量 (MJ/MBW1))
飼養レベル2)
4.003
6
2
.
6土1.6
1
8
3士7
4
.
1
1
6
.
5:
t5
.
5
6
2
9:
t7
6
.
8
.
0
8
0
.
3士 8
5
3
.7
:
t5
.
4
1
1
.
6土1.3
t0
.
5
4
.
6
6:
2
.
3
6:
t0
.
4
2
.
3
2土 0
.
5
l)MBW:代謝体重 (
k
gO.75)
2
)飼養レベル:維持の倍数
表1
4
. 摂取飼料中 CWC/CP比別のエネルギー消化率,代謝率およ
び、牛乳生産効率
-2.99
CWC/CP比
3.00-3.99
4.00-
%
DE/GE
q
GEE
NEE
6
7
.
4:
t5
.
0c
5
6
.7
:
t4
.
8c
t7
.
1b
4
0
.
9:
6
.
7
6
2
.
0土 1
6
5
.
4:
t4
.
2b
5
4
.
7土 4
.
0b
a
3
5
.l
:
t7
.6
5
7
.
7土l3.
9
6
3
.
1士 4ーが
5
2
.
9:
t4
.
5a
3
3
.
2士 9
.
2a
6
3
.l
:
t2
1
.5
a
,b
,c 異文字聞に有意差あり (
P
<
O
.
0
5
)
6) エ ネ ル ギ ー 摂 取 レ ベ ル と エ ネ ル ギ ー 消 化
率
, qおよび、牛乳生産のエネルギ一利用効率
との関係
代謝体重当りの
GE摂取量とエネルギー消化率
0および図 1
1に示した。
および qとの関係を図 1
GE摂取量とエネルギー消化率および qとの聞に
は有意な正の相聞がみられた (
P
<
O
.
O
l
)。また,エ
ネルギー消イじ率および qはいずれの GE摂取レベ
ルにおいても平均値を中心に上下それぞれ約 1
0
%単位の範囲内に分布していた。
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
8
0
8
0
7
0
g60
摂
•
5
0
(
r
=
O
.
2
8,P
<
O
.
O
l
)
場
臣
官
会
•
7
0
8宅
b6
0
(
r
=
O
.
2
5,P
<
O
.
O
l
)
5
0
•
圃
40
40
2
3
2
4
GE
摂取量(
M
J
!
M
B
W
)
図
9
3
3
4
GE
摂取量(
M
J
!
M
B
W
)
1
0
.エネルギー摂取レベルとエネルギー消化率と
の関係
図1
1.エネルギー摂取レベルとエネルギ一代謝率と
の関係
代 謝 体 重 当 り の GE摂 取 量 を 2.00MJ未満,
エ ネ ル ギ 一 利 用 効 率 を 表 16に示した。 GE摂 取 量
2.00-2.49MJお よ び 2.50MJ以上に分け, GE
が 高 か っ た 午 ほ ど 分 娩 後 日 数 が 短 <, 飼 料 中 粗 飼
摂 取 量 別 の 飼 料 摂 取 お よ び 乳 生 産 成 績 を 表 15に
,
料 割 合 や CWC含量の低い飼料を摂取しており,
それらのエネルギー消化率, qお よ び 牛 乳 生 産 の
FCM量 も 高 か っ た 。 エ ネ ル ギ ー 消 化 率 お よ び q
表1
5
. エネルギー出納試験供試午における GE摂取量別の飼料摂取および乳生産
成績
延べ頭数
産次
分娩後日数
FCM量 (
k
g
/
d
)
体重(
k
g
)
粗飼料割合(%)
CWC含量(%)
CP含量(%)
CWC/CP比
GE摂取量 (MJ/MBW1))
飼養レベル2)
-1.99
1
4
3
.
1:
t1
.7
1
9
2:
t6
2
.
2
1
4
.
1土 3
.
7
6
5
6士8
8
.
5
7
8
.
7:
t8
.
9
5
3
.
3土 4
.
6
1
2
.
8:
t2
.
3
4
.
3
7士1.0
l
.8
6士 0
.
2
2
.
1
3:
t0
.
4
GE摂取量 (MJ/MBW1))
2.00-2.49
6
5
2
.
4士1.4
:
t7
6
.
7
2
0l
1
5
.
4:
t4
.
5
6
4
1土7
2
.
8
7
6
.
7士1
0
.
0
5
l
.6:
t5
.
5
l
3.
7:
tl
.9
3
.
8
0土 0
.
6
2
.
2
8:
t0
.
1
2
.
2
1土 0
.
4
2.50l
39
3
.
0土1.6
1
0
1士6
3
.
9
2
3
.
8:
t6
.
0
t7
3
.
5
6
3
7:
6
7
.
6士 9
.
1
4
6
.
6士 5
.
5
1
4
.4
:
t1
.8
3
.
2
7:
t0
.
6
2
.
8
5:
t0
.
3
3
.
0
0土 0
.
6
l
)MBW 代謝休重 (kg O • 75 )
2
)飼養レベル維持の倍数
表1
6
. GE摂取量別のエネルギー消化率,代謝率および牛乳生産効率
GE摂取量 (MJ/MBW)
2.00-2.
49
%
6
2
.
7土 4
.
5
"
6
4
.
2士 4
.
5
"
5
3
.
4士 4
.
3
"
5
2
.
4:
t5
.
1
"
3
5
.
6土 9
.
6
"
b
3
l
.3
士8
.
6
"
b
8
0
.
1土2
2
.
8
5
8
.
3:
t1
8
.
7
"
-1.99
DE/GE
q
GEE
NEE
MBW 代謝体重 (kg O • 75 )
a,b:異文字聞に有意差あり (
P
<
u
.
0
5
)
2.506
5
.
9土 4
.
7b
5
5
.
3:
t4
.
5b
3
7
.
6士 7
.
8b
5
7
.
5士1
2
.
7
"
9
4
北海道大学農学部農場研究報告
第
3
1号
はそれぞれ, 6
2.7-65.9および 52.4-55.3% で
関係を図 1
2および図 1
3に示した。飼養レベルと
GE摂取量が高いほど高い値であ
.
5
0MJ以上で,それ未
り,その差は GE摂取量 2
エ ネ ル ギ ー 消 化 率 お よ び q との間には有意な正
の相闘がみられた (
P<0.01)。また,飼養レベルに
P<0.05)o GEEは
満にくらべて有意であった (
関 わ り な し エ ネ ル ギ ー 消 化 率 お よ び qは平均値
GE摂 取 量 2.00-2.49MJの 時 で 3l
.3% と 低 い
を中心に上下それぞれ約 1
0%単位の範囲内に分
傾向にあったが,それ以外は 3
5.6-37.6%であっ
布していた。
あり,両者とも
た
。 NEEは GE摂取量 2
.
0
0MJ未満の時 8
0
.
1%
飼養レベルを維持の 2
.
0
0倍未満, 2.00-2.99
と高い値を示し, 2
.00-2.49および 2
.
5
0MJ以 上
倍および 3
.
0
0倍以上に分け,飼養レベル別の飼料
の時の値, 5
8
.
3および 5
7
.
5%にくらべて有意で
摂取および乳生産成績を表 1
7に,それらのエネル
あった (
P<0.05)。
ギー消化率, qおよび午乳生産のエネルギ一利用
効率を表 1
8に示した。飼養レベルが高かった牛ほ
7)飼養レベルとエネルギー消化率, qおよび
含量の低い飼料を摂取しており, FCM量も高か
牛乳生産のエネルギ一利用効率との関係
飼 養 レ ベ ル と エ ネ ル ギ ー 消 化 率 お よ び q との
80
。
,
(決}節目ギ摂
70
った。エネルギー消化率および qはそれぞれ6
2
.
5
8
0
.
.
:
,
.
晶
量
出
・4
F
L・
(
r
=
0
.
2
5,
PくO0
1
)
目
70
可Y
; 1
戸
.
昨
.
.
.
沢
."!t圃匝~.・.
喜60
U
︽
50
ど分娩後日数が短<,飼料中粗飼料割合や c
wc
Z
0
.
2
3,P<O.Ol)
50
40
40
2
3
2
5
4
飼養レベル{維持の倍数)
3
4
飼養レベル{維持の倍数}
図1
2
. 飼養レベルとエネルギー消化率との関係
図1
3
. 飼養レベルとエネルギ一代謝率との関係
7
. エネルギー出納試験供試牛における飼養レベル別の飼料摂取および乳生産
表1
成績
延べ頭数
産次
分娩後日数
FCM量 (
k
g
/
d
)
体重(
k
g
)
粗飼料割合(%)
CWC含量(%)
CP含量(%)
CWC/CP比
GE摂取量 (
M
J
/
M
B
W
l
)
)
飼養レベル幻
l)MBW: 代謝体重 (kg O • 75 )
2
)餌養レベル維持の倍数
-1.99
2
3
2
.
2土1.5
2
4
5:
t56.4
1
0
.
9:
t2
.
6
6
5
5:
t74.7
8
4
.
2:
t7
.
6
5
2
.
6:
t4
.
8
1
2
.
5:
t1
.8
4
.
3
0:
t0
.
9
2
.
17
:
t0
.
3
1
.7
9:
t0
.
2
飼養レベル2)
2.00-2.99
1
2
4
2
.
5:
t1
.5
1
5
2土7
4
.
7
1
7
.
9士 3
.
4
6
27
:
t7
6
.
2
7
2
.
5士 9
.
1
5
0
.4
:
t5
.
3
1
4
.
2土1.8
3
.
6l
:
t0
.
6
2
.
5
0:
t0
.
3
2
.
4
4:
t0
.
3
3.007
1
3
.
5:
t1
.3
7
5:
t46.6
2
8
.7
:
t3
.
6
6
5
6:
t66.7
6
4
.
3:
t7
.
8
4
4
.
1土 4
.
8
1
4
.
6土1.9
3
.
0
7土 0
.
5
2
.
97
:
t0
.
3
3
.
4
6士 0
.
3
5
9
5
中辻-泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
表1
8
. 飼養レベル別のエネルギー消化率,代謝率および牛乳生産効
率
飼養レベル
2
.
0
0
2
.
9
9
-1.9
9
3
.
0
0
-
%
6
4
.
9i
:4
.
4b
5
4
.
1i
:4
.
3b
3
3
.
7i
:6
.
4b
5
8
.
9i
:1
7
.
2b
6
2
.
5土 4
.
3
"
q
5
1
.9i
:4
.
4
"
GEE
2
4
.
0i
:6
.
2
"
NEE
5
1
.4
土1
9
.
5
"
飼養レベル:維持の倍数
DE/GE
6
6
.
5士 5
.
0C
5
6
.
0士 4
.
6C
4
2
.
6i
:6
.
6c
6
2
.
2土 1
2
.
9b
a,b,C :異文字聞に有意差あり (
pく 0
.
0
5
)
-66.5および 51
.9-56.0%であり,いずれも飼
FCM量を 20kg未満, 20kg台および 30kg以
養レベルが高いほど高い値を示した (P<0.05)。
上に分け, FCM量別の飼料摂取および乳生産成
また, GEEも 24.0-42.6%と飼養レベルが高い
績を表 1
9に,そのエネルギー消化率, qおよび牛
ほど高い値であり,いずれも有意な差であった
0に示した o
乳生産のエネルギ一利用効率を表 2
(P<0.05)。一方, NEEは飼養レベル 2
.
0
0未満で
FCM量が高かった牛ほど分娩後日数が短く,飼
51
.4%と f
g,かったが (P<0.05),2.00-2.99およ
料中粗飼料割合および CWC含量の低い飼料を摂
.
0
0以上ではそれぞれ 5
8
.
9および、 6
2
.
2%と
び3
取しており,その GE摂取量は高かった。エネルギ
ほぼ同様の値を示した。
ー消化率は FCM量 2
0kg未 満 で 6
4
.
0%であっ
0kg以上では 6
6.
4-66.8%と有
たのに対して, 2
8) 乳量レベルとエネルギー消化率, qおよび
Pく 0
.
0
5
)0 q もエネルギー消佑率と
意に高かった (
同様な傾向であり, FCM量 2
0kg未満で 5
3
.
3%
牛乳生産のエネルギー利用効率との関係
1日当りの FCM量とエネルギー消化率および
であったのに対して, 2
0kg以上では 55.7-56.3
q との関係を図 1
4およぴ図 1
5に示した。 FCM量
% と 有 意 に 高 か っ た (P<0.05)o GEEは 3
0.7
とエネルギー消化率および q との聞には有意な
-45.6%と FCM量が高いほど高い値を示し,そ
正の相関関係が認められた (P<O.Ol)。また,どの
7
.
1
の 差 は 有 意 で あ っ た (P<0.05)o NEEは 5
乳量レベルにおいても,エネルギー消化率および
-64.9%であり, GEEと同様, FCM量が高いほ
qは平均値を中心に上下それぞ、れ約 1
0%単位の
ど高い値を示したが,その差は有意ではなかった。
範囲内に分布していた。
.
.
.
.
..
_
.
.
1
.
.
.
.
:・
.
;
.
80
-
n
u
(
渓}岨宵記寝
。
肉
7
0
.
•
..園圃』圃国..... .・四』咽目・・圃・F
1_~1ll晶・事v.....
:
1
.
・
.
.唱
.
..
ー
司
・
ー竺
ー
.
.
.
.
ー
・
.
・司直岡国...
••
幽
(
r0
.
2
7,P<O.Ol)
二
7
0
s
喜
z
s60
.
(
r
=
0
.
2
4,P<O.Ol)
5
0
。
r•
・
80
5
0
。
40
2
0
a_
a
且..
-..
...:主...可邑~~.
..
.
.
.
1
.
.
.
.
..
ー ..
圃.岨r~l.・唱'宮.
岡市圃
40
1
0
・
.
・
圃
.
・
・.
ー . ~!i!i耳i~肩哩~!-...
3
0
FCM量O唱 /
d
)
図1
4
. 乳量レベルとエネルギー消化率との関係
40
1
0
2
0
.
.
3
0
FCM
量(kg/d)
図1
5
. 乳量レベルとエネルギ一代謝率との関係
40
9
6
北海道大学農学部農場研究報告
第3
1号
表1
9
. エネルギー出納試験供試牛における FCM量別の飼料校耳元および乳生産成
高
責
FCM量 (
k
g
)
20.0-29.9
8
6
:
tl
.6
3
.3
8
.
2
9
5土 5
2
5
.l
:
t2
.
9
:
t6
5
.
5
6
47
6
6
.
0土 8
.
3
.
0
4
6
.
1士 5
tl
.9
1
4
.
6:
.
6
3
.
2
1土 0
2
.
8
5土 0
.
3
.
3
3
.
1
1士 0
-19.9
1
1
2
2
.
2:
tl
.3
1
8
4:
t7
5
.
5
1
5
.
0:
t3
.
1
6
2
3土 7
7
.
9
7
6
.
2:
t9
.
7
5
l
.6
土 5
.
0
1
3
.
7士l.9
3
.
8
2:
t0
.
7
:
t0
.
3
2
.
37
2
.
1
9土 0
.
3
延べ頭数
産次
分娩後日数
FCM量 (kg/d)
体重(
k
g
)
粗飼料割合(%)
CWC含量(%)
CP含量(%)
CWC/CP比
GE摂取量 (MJ/MBW1))
飼養レベル2)
30.02
0
4
.
0:
tl
.1
5
5:
t3
2
.
4
.
6
3
3
.
3土 2
7
0
1士4
5
.
8
t5
.
9
6
3
.
7:
4
2
.
4土 5
.
5
1
4
.
4士l.8
3
.
0
0:
t0
.
6
.
3
3
.
0
4土 0
3
.
8
1土 0
.
2
l) MBW: 代謝体重 (kg O • 75 )
2
)飼養レベル.維持の倍数
表2
0
. FCM量別のエネルギー消化率,代謝率および牛乳生産効率
FCM量 (
k
g
)
20.0-29.9
-19.9
30.0-
%
t4
.
3
"
6
4
.
0:
5
3
.
3土 4
.
3
"
3
0
.
7士 6
.
7
"
5
7
.l
:
t1
7
.
5
DE/GE
q
GEE
NEE
6
6.
4
:
t4
.
5b
5
5
.
7:
t4
.
3b
3
9
.
7士 7
.
1b
6
0
.
6:
t1
5
.
6
6
6
.
8:
t6
.
0b
5
6
.
3土 5
.
4b
4
5
.
6土 5
.
2C
6
4
.9:
t1
0
.
2
a,b,c:異文字問に有意差あり (
P
<
O
.
0
5
)
9)乳期とエネルギー消化率, qおよび牛乳生
産のエネルギ一利用効率との関係
を中心に上下それぞれ約 10%単位の範囲内に分
布していた。
分 娩 後 日 数 と エ ネ ル ギ ー 消 化 率 お よ び q との
分娩後の日数により泌乳初期(分娩後 80日ま
関係を図 16および図 17に示した。分娩後日数と
で),中期 (81-210日)および後期 (211日以降)に
エ ネ ル ギ ー 消 化 率 お よ び q との聞には有意な負
分け,乳期別の飼料摂取および乳生産成績を表 21
(
P
<
O
.
Ol)。また,乳期に
に,そのエネルギー消化率, qおよび牛乳生産のエ
関 わ り な し エ ネ ル ギ ー 消 化 率 お よ び qは平均値
ネルギ一利用効率を表 22に示した。乳期が進んだ
の相関関係が認められた
,
80
h
邑 ・4占 ・ .
z
r
ω
(
rニ ー 0
.
1
7,Pく 0
.
0
1
)
幹事Rfdf- :
i
棋惜.1泣き:
ト
5
0
(
r
=ー 0
.
1
3,P
<
O
.
O
l
)
40
o
7
0
5
0
1
0
0
1
5
0
∞
Z
40
2
5
0
3
0
0
分娩後日数
図1
6
. 乳期とエネルギー消化率との関係
3
5
0
o
50
1
0
0
1
5
0
2
0
0
2
5
0
3
0
0 3
5
0
分娩後回数
図1
7
. 乳期とエネルギ一代謝率との関係
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
97
表21.エネルギー出納試験供試午における乳期別の飼料摂取および乳生産成績
延べ頭数
産次
分娩後日数
FCM量 (
k
g
/
d
)
体重(
k
g
)
粗飼料割合(%)
CWC含量(%)
CP含量(%)
CWC/CP比
GE摂取量 (MJ/MBW1))
飼養レベル叫
l)MBW
泌乳期
中期
9
4
2
.
8i
:1
.7
1
4
2i
:3
3
.
8
:5
.
4
1
9
.
8i
6
4
2i
:7
0
.
6
7
1
.7i
:9
.
0
4
9
.
9土 5
.
9
1
4
.
2土1.9
3
.
5
8土 0
.
7
2
.
6
0土 0
.
4
2
.
6
0士 0
.
5
初期
7
3
2
.
9i
:1
.5
4
8土1
5
.
7
2
6
.
1土 5
.
9
6
1
9土8
0
.
9
6
4
.
0士 7
.
3
4
4
.
4士 4
.
6
1
4
.
5士1.8
3
.
1
1士 0
.
5
2
.
87
:
1
:
:0
.
3
3
.
2
2i
:0
.
5
後期
5
1
2
.
8i
:1
.4
:2
8
.
9
2
5
6i
1
4
.
6土 4
.
4
2
.
0
6
6
5土6
7
9
.
9i
:9
.
2
.
3
5
2
.
1士 4
1
3.4士1.9
:0
.
7
3
.
9
1i
2
.
3
0土 0
.
3
.
4
2
.
1
4土 0
代謝体重 (kg O • 75 )
2
)飼養レベル.維持の倍数
2
. 乳期別のエネルギー消化率,代謝率および牛乳生産効率
表2
初期
1
必乳期
中期
後期
%
DE/GE
q
GEE
NEE
6
6
.
0i
:4
.
9
5
5
.
5i
:4
.
5
4
1
.9土 7
.
6C
6
4
.
7士1
6
.
6C
6
5
.
0土 4
.
6
5
4
.
2土 4
.
4
3
4
.
7士 6
.
4b
5
8
.
8i
:1
5
.
3b
6
4
.
4土 4
.
8
.
7
5
3
.
6士 4
2
8.
4
i
: 7ーが
51
.9i
:1
5
.
2
"
a,b
,c:異文字聞に有意差あり (pく 0
.
0
5
)
牛ほど飼料中粗飼料割合および CWC含 量 の 高 い
飼料を摂取し,その
GE摂取量は低く, FCM量も
表2
3
. エネルギー出納試験供試牛における産次別の
飼料摂取および乳生産成績
低かった。エネルギー消化率および qはそれぞ、れ
64.4-66.0お よ び 53.6-55.5%であり,乳期に
よる差は認められなかった。一方,
GEEお よ び
NEEは そ れ ぞ れ 28.4-41.9および、 51.9-64.7
%であり,いずれも乳期が進むに伴い低い値とな
り,有意な低下を示した (P<0.05)。
1
0
) 産次とエネルギー消化率, Qお よ び 牛 乳 生
産のエネルギ一利用効率との関係
エネルギー出納試験供試牛を初産,経産別に分
け,その飼料摂取および乳生産成績を表 23に,エ
延べ頭数
産次
分娩後日数
FCM量 (
k
g
/
d
)
体重(
k
g
)
粗飼料割合(%)
CWC含量(%)
CP含量(%)
CWC/CP比
GE摂取量 (MJ/MBW1))
飼養レベル2)
産次
初産
経産
5
3
1
6
5
1
.0士 0
.
0 3
:1
.3
.
4i
1
3
8士7
4
.
0 1
37
:
1
:
:8
5
.
3
:4
.
3 2
2
.
2土 6
.
9
1
5
.
9i
5
6
9:
1
:
:
6
1
.9 6
6
2士6
2
.
4
7
3
.
5土1
0
.
3 7
:1
0
.
3
0
.
3i
5
0
.
0i
:6
.
3 4
:5
.
8
7
.
9i
1
3
.
6士 2
.
0 1
4
.
3土1.9
3
.
7
2i
:0
.
7 3
:0
.
7
.
4
0i
2
.
5
0i
:0
.
3 2
.
6
6i
:0
.
4
2
.
22
:
1
:
:0
.
4 2
:0
.
6
.
8
6i
l)MBW:代謝体重 (
k
g
O75
. )
2
)飼養レベル維持の倍数
ネルギー消化率, Qおよび牛乳生産のエネルギ一
利用効率を表 24に示した。経産牛は初産牛にくら
FCM量 が 高 <, 飼 料 中 粗 飼 料 割 合 お よ び
CWC含 量 の 低 い 飼 料 を 摂 取 し , そ の GE摂 取 量
べて
も高かった。また,経産牛は初産牛にくらべ体重
が約 100k
g大きかった。
9
8
北海道大学農学部農場研究報告第 3
1号
表2
4
. 産次別のエネルギー消化率,代謝率および牛乳
生産効率
表2
5
. エネルギー出納試験供試牛における試験実施
季節別の飼料摂取および乳生産成績
産次
初産
季節
経産
%
DE/GE
q
GEE
NEE
6
5
.
2土 4
.
0
5
4
.
8土 4
.
0
a
3
1
.7
:
:
!
:6
.8
5
9
.9
:
:
!
:
1
7
.
5
6
5
.
2
:
:
!
:4
.
9
.
7
5
4
.
4土 4
3
6
.
9
:
:
!
:8
.
7b
6
.
0
5
8
.
9土 1
a,b 異文字聞に有意差あり (
P
<
0
.
0
5
)
エネルギー消化率は初産牛,経産牛ともに 65.2
夏季
延べ頭数
産次
分娩後日数
FCM量 (kg/d)
体重 (
k
g
)
粗飼料割合(%)
CWC含量(%)
CP含量(%)
CWC/CP比
GE摂取量 (MJ/MBW1))
%であり差は認められなかった。 qは初産牛およ
飼養レベル2)
び経産牛でそれぞれ 54.8および 54.4%であり,
l) MBW: 代謝体重 (kg O • 75 )
冬季
1
5
2
2
.
8
:
:
!
:1
.5
1
4
3土 8
0
.
0
1
9
.
4
:
:
!
:6
.
2
6
3
4
:
:
!
:
7
4
.
4
7
0
.
6土 1
0
.
2
5
0
.
5
:
:
!
:4
.
9
1
4
.
7
:
:
!
:2
.
0
3
.
4
5土 0
.
6
2.
5
4
:
:
!
:0
.
4
2
.
6
2
:
:
!
:0
.
6
6
6
2
.
9
:
:
!
:1
.6
1
2
1
:
:
!
:
8
6
.
5
2
3
.
6土 7
.
5
6
5
2
:
:
!
:
7
2
.
7
7
2
.
0
:
:
!
:
1
0
.
7
4
4
.
0士 5
.
8
1
2
.
8
:
:
!
:1
.7
3
.
5
4
:
:
!
:0
.
8
2
.
8
0
:
:
!
:0
.
4
2
.
9
1土 0
.
7
2
)飼養レベル:維持の倍数
産次による差はなかった。また, GEEは初産牛お
よ び 経 産 牛 で そ れ ぞ れ 31
.7お よ び 36.9%であ
り,経産牛のほうが有意に高い値を示した (P<
0.05)。一方, NEEは初産牛および経産牛でそれ
表2
6
. 試験実施季節別のエネルギー消化率,代謝率お
よび牛乳生産効率
季節
ぞれ 59.9および 58.9%であり,産次による差は
夏季
なかった。
DE/GE
1
1
) 季節とエネルギー消化率, qおよび、牛乳生
産のエネルギー利用効率との関係
エネルギー出納試験供試牛を試験実施季節によ
冬季
%
q
GEE
NEE
6
5
.
7
:
:
!
:4
.
6b
5
4
.
8土 4
.
4
3
4
.
8
:
:
!
:8
.
6a
5
8
.
6
:
:
!
:
1
7
.
8
6
3
.
9土 4
.
9a
5
4
.
0
:
:
!
:4
.
8
3
7
.
6
:
:
!
:8
.1
"
6
0
.4
:
:
!
:
1
2
.4
a,b:異文字聞に有意差あり (
Pく 0
.
0
5
)
り夏季 (5~10 月)および冬季 (11~ 4月)の季節
別に分け,その飼料摂取および乳生産成績を表 25
に,エネルギー消化率, qおよび牛乳生産のエネル
ギ一利用効率を表 26に示した。夏季および冬季と
4
. 考察
出納試験実施時の摂取飼料中の粗飼料割合,エ
も,供試牛の分娩後の日数はほぼ同様で、あったが,
1,
ネルギー消化率および qの平均値はそれぞれ 7
夏季で C W Cおよび CP含量の高い飼料を摂取し
65および 55%であった。エネルギー消化率およ
ていた。また,夏季は冬季にくらべて GE摂取量が
び qのいずれも,平均値を中心に上下それぞれ約
低<, FCM量も低かった。エネルギー消化率は夏
10%単位の範囲内に分布しており,それらの変動
季および冬季でそれぞれ 65.7および 63.9%であ
係 数 (CV)はそれぞ、れ 7.3および 8.4%であった。
り,夏季のほうか有意に高かった (P<0.05)oqは
本試験では, M E摂取量を算出する際のメタンに
夏季および冬季でそれぞれ 54.8および 54.0%で
よるエネルギー損失量は実測せず, BLAXTER
あり,季節による差は認められなかった。 GEEは
andCLAPPERTON5)の推定式から算出しており,
夏季,冬季でそれぞれ 34.8および 37.6%であり,
それは GE 摂取量の 6.9~8.4 %の範囲であった。
夏季のほうが有意に低かった (P<0.05)o NEEは
G E摂取量に占めるメタンによるエネルギー損失
夏季,冬季でそれぞれ 58.6および 60.4%であり,
割合について, BLAXTERa
ndCLAPPERTON5)は
GEEと同様,夏季で低い傾向を示したが,その差
6.2~10.8
は有意で、はなかった。
%
, M
AFF40)では飼料構成に関わらず
6%
, GORDONe
ta1 21 ) は粗飼料割合が 43~54 %
の飼料で 5.4~6.6 %を報告している。粗飼料割合
中辻.泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
9
9
の高かった本試験での計算値はやや高い値を示し
告制では 39-70%と粗飼料割合の高い給与条件
たが,上記の報告の範囲内であった。また,表に
であった。粗飼料の給与割合が高かったことも粗
平均値
は示していないが, DE/ME(
飼料割合とエネルギー消化率との関係が FLATT
c
vが 2%と小きかったことから,
8
3
.
6%)の
qの変動の大
部分は,消化率に起因するものと考えられた。
e
ta
l
.14)や BROSTERe
ta
l
.9)の報告と異なった要
因のーっかもしれない。また,飼料中の粗飼料割
0%以上であり,飼料
粗飼料給与割合の平均が 7
合と q との関係についても,粗飼料割合が高まる
構成が多様な飼養条件下で 1乳期間中の様々な乳
につれて qが低下したとの報告叫があるが,本試
期の泌乳牛を用いて飼料エネルギーの消化率や q
験の結果とは一致しなかった。これは上記の理由
を求めた研究は,本研究以外に見当たらない。早
により,本試験で、のエネルギー消化率が必ずしも
5% (39-70%)と本試
坂 28) は粗飼料給与割合が 4
{民下しなかったためであろう。
験より低いが,飼料構成の多様な TMRを泌乳初
飼料中 CP含量とエネルギー消他率および q と
期から後期にわたる泌乳牛に給与して, 5
3例のエ
43) および
の関係について, MOE and TYRRELL
ネルギー出納試験を行った結果,エネルギー消化
TYRRELL77)は,濃厚飼料源として大豆粕をコー
6% (34-67%)と,
率は 65%(44-74%),qは 5
ンミールで代替して CP含量を 14-20%に変化
本試験の結果とほぼ同様な値を報告している。粗
させた,アルフアルファ乾草主体の飼料を泌乳初
時化
飼料給与割合が低くなるに伴ってエネルギ -t
期牛に給与して試験を行なった。その結果,エネ
率は上昇する 9).14) が,一方で、エネルギー摂取量の
ルギー消化率および qは CP含量の増加に伴い高
増加に伴ってエネルギー消化率は低下す
くなるが, CP含量が 17%以上になるとエネルギ
る6),叫叫刷ことが報告されている。早坂の報告28)
ー消化率の増加割合が小さくなり,また qは逆に
では粗飼料給与割合は低かったが, GE摂取量が
低下したと報告している。本試験での飼料中 CP
代謝体重当たり 2.9M]と本試験の 2.6M]にく
含量の範囲は 10-18%であり,ほとんどが 1
7%
らべて高かったため両者の影響が相殺され,エネ
未満であったことから, CP含量の増加に伴って
ルギー消化率が本試験と同様な値になったと考え
エネルギー消佑率および qが増加する結果が得
られる。
られたのであろう。
FLA
TTe
ta
l
. および BROSTERe
ta
.
l9) は上
14
)
飼養レベルは,摂取 ME量を維持 ME要求量の
述のように,飼料中の粗飼料割合とエネルギー消
倍 数 で 表 わ し た も の で あ る 。 TYRRELL and
化率の関係について,粗飼料割合が高まるに伴っ
MOE76)は,泌乳牛用の通常の飼料では,飼養レベ
て消化率は低下したと報告しているが,本試験で
ル 1単位の増加につきエネルギー消化率は約 4%
は必ずしも低下しなかった。また,早坂の報告 28)
低下するとしている。また, qについても飼養レベ
においても,本試験と同様に,粗飼料割合とエネ
ルの増加に伴って低下し,その低下割合は飼養レ
ルギー消化率の関係は必ずしも明確で、はなく,エ
ベ ル 1単位の増加につき1.8%で あ る と す る 報
ネルギー消化率および qはそれらの平均値を中
告
別
, 1抑 制 0) がある。しかし,本試験結果では,飼養
0%単位程度の変動が認めら
心に上下それぞれ 1
レベルが高いほどエネルギー消化率および qが
れた。既述のように,エネルギー消化率はエネル
P<0.05)。これは,本試験では飼養レベ
高かった (
ギー摂取量の増加によって低下することか
ルが高いほど粗飼料割合の低い飼料を摂取してお
ら6),川,叫叩),本試験および早坂の報告叫ともに,粗
り,エネルギー消化率が粗飼料割合の影響を大き
飼料割合の高い飼料ほど GE摂取量が低かったた
く受けたためと考えられる。上記の報告6),
1
3
),
7削
めに,消化率への影響が相殺されたと考えられた。
によれば,維持時のエネルギー消化率が 7
0%であ
ta
.
lの報告 14) での組飼料割合の範
また, FLATTe
7
れば,飼養レベルが維持の 2倍での消化率は 6
0
)
, BROSTERe
ta
l
. では 10-40%
囲は 20-60%
%
, 3f
音では 6
4%,維持時の qが 60%であれば,
であったの対して,本試験は 43-95%,早坂の報
9%
,
維持の 2倍での qは 5
9
)
3倍では 58%になる
1
0
0
北海道大学農学部農場研究報告第 3
1号
ことを示しており,これらの低下程度は大きなも
らのことから,本試験の条件では,暑熱および寒
のではない。本試験では,同一飼養レベル内にお
冷の影響は少なかったと考えられる。
いてもエネルギー消化率および qは,平均値を中
このように,飼料構成が多様な粗飼料多給の 1
0%単位の範囲に分布して
心に上下それぞれ約 1
乳期飼養下でのエネルギー消化率および q とそ
おり,これらの変動を飼養レベルの影響のみでは
れらに影響を及ぽす要因との関係は,これまでの
説明することはできない。
報告と必ずしも一致しなかった。飼料中の粗飼料
FLATTe
ta
l
.15)は,泌乳初期(分娩後 5
7日目),
割合が高くなってもエネルギー消化率および q
1
6
7日目)および後期 (
2
8
4日目)の泌乳牛に
中期 (
は必ずしも低下せず,両者ともに,それらの平均
0-60%の飼料を同一摂取レベル
粗飼料割合が 2
5および 55%を中心に上下 1
0%単位
値である 6
になるように給与した場合,乳期が進むほどエネ
程度,
ルギー消化率および qが低下したと報告してい
のようなエネルギー消化率および qの変動には
る。しかし,本試験ではいずれの乳期においても
飼料中粗飼料割合と摂取レベルが大きく関与して
エネルギー消化率および qはほぼ一定であった。
おり,変動の多くはこれら二つの要因で説明する
これは乳期の進行に伴い粗飼料割合の高い飼料を
ことができるであろう。すなわち,通常
摂取し,一方,摂取レベルが低くなったことから,
飼養下では乳量に応じて濃厚飼料を給与するた
消化率に対する影響が相殺されたためと考えられ
め,乳期の進行による乳量の低下に伴い,飼料中
CVで 7-8%程度の変動が認められた。こ
1乳期
の粗飼料割合は高くなる。しかし,その一方で、摂
た
。
初産および経産牛では,エネルギー消化率およ
取レベルは低下するため,エネルギー消イじ率およ
、
び qに差は認められなかった。経産牛では初産牛
び
、 qに対する負の影響である粗飼料割合の増加,
にくらべて乳量が高かったため飼料中の組飼料割
および正の影響である摂取レベルの低下,両者の
合は低かったが,その摂取レベルが高かったため,
影響が相殺され,上記のような変動が生じたと考
消化率に対する影響が相殺されたのであろう。
えられた。
本研究において季節による違いは,一つは給与
GEEは
, BRODYa
n
dPROCTOR8)によって提唱
粗飼料の種類の違いであり,もう一つは気温の違
された牛乳生産のエネルギ一利用効率を表わす実
いである。本試験の主体粗飼料は,夏季は放牧地
際的な指標であり,生産現場に近い条件下で,多
草,冬季はコーンサイレージであり,種類が異な
数の泌乳牛を対象とした長期的データの蓄積とそ
CP含 量 が 高 < GE摂
の解析を行うのに適した指標である。本研究のエ
っていた。夏季では飼料中
GEEの平均値
取量も低かったことから,エネルギー消佑率およ
ネルギー出納試験により得られた
び qは冬季よりやや高い傾向を示したが,粗飼料
5
.
6%であり,粗飼料割合の高い飼料を摂取し
は3
の種類の違いによるエネルギー消化率および q
ていた牛ほど
の差はなかったと考えられた。一方,気温につい
は2
4
.
1%と変動が大きかった。
ては,高温時の乳牛の生産性低下は環境温度
GEEが{止かった。また, GEEの CV
牛乳生産のエネルギ一利用効率について,
GEE
24-27
'
C以上で発現し,その程度は乳量レベルの
を指標に用いて検討した研究報告は少なし我が
高い牛ほど大きいといわれている 16)。また,低温環
4
.
6
2
7
.
8%,大久保ら 57)が
国では,内藤ら 51)が 2
行動が増
境条件下では採食量は増加するが,反事3
3l
.4-35.9%という値を報告している。両報告と
加し,消化管内容物の通過が速くなり,消化率が
GEEに影響を及ぼす要因については必ずしも
詳細に検討していないが,大久保ら 57) は G
EEと
FCM量との問に高い正の相関を認めており,乳
低下するとの報告制, 81) がある。試験期間を通し
0Cを越えることがいずれ
て,夏季には牛舎内が 3
0
も
,
の年においてもある期間あったが,出納試験を実
量レベルが高いほど牛乳生産のエネルギ一利用効
7
'
C以下であった。また,冬季で
施した期間では 2
率が高くなることを示唆している。内藤らの報
o
C以下になることはなかった。これ
は牛舎内が o
告刊では
GEEが低かったのは,解析の対象とし
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
1
0
1
た個体の FCM量 が 1
1.7-14.8kg/日/頭と,本
に初産午は経産牛にくらべ乳量レベルが低いこと
0
.
7kg/日/頭にくらべて低
試験の平均 FCM量 2
から GEEは低くなるであろう。また,初産牛は,
かったためであろう。本試験での FCM量 (X,
まだ成長段階にあり,摂取された MEの一部が成
kg/日/頭)と GEE(Y, %)との関係(図 1
8
)をみて
長にまわされていると思われ,体重増加に要する
みると,両者間に有意な正の相関関係が認められ
エネルギーの補正をしなければ当然 GEEは低く
(r=0.75:P<O.Ol),Y=0.9305X+16.376
(R2=
0
.
5
6
)の式が得られた。これらのことから,
なると考えられる。
本試験においても, GEEの変動には乳量レベルが
では説明できない部分がある。一般に l乳期飼養
大きく関与していることが認められた。
下では乳量の多い泌乳初期牛は栄養要求量が高い
g/B/頭と範囲
本 試 験 で の FCM量は 3-39k
.
••
60
50
一方, CP含量と GEEの関係は乳量レベルのみ
ため,必然的に飼料中の CP含量が高くなる。本試
験でも飼料中 CP含量が高いほど乳量が高かっ
た。しかし,乳量が高くても GEEは必ずしも高く
はならなかった。これは, CP含量の増加に伴う乳
40
量の増加割合が小きかったためである。このこと
誕
百
U』 3
0
は GEEの点からみて適切な飼料中 CP含量があ
c
l
20
Y=O.9305X+1
6
.
3
7
6
R2=O5579
(
r
=
0.
75,P
<
O
.
O
l
)
目
。
。
ることを示唆しているが,本試験では明らかでは
なかった。
NEEは
, MILKE と ME摂取量の比で表され
1
0
20
30
40
FCM量(同I
d
)
図1
8
. 日FCM量と GEEとの関係
る GEEのうち,分母である ME摂取量から体維
持に要する MEを差し引くことによって生産に
v
a
i
l
a
b
l
ef
o
rP
r
o
d
u
c
t
i
o
n
:
利用可能な ME(MEA
MEP)叫 の 午 乳 生 産 へ の 利 用 効 率 を 表 わ し た 指
が広く,そのため GEEの分子である MILK E
本雲である。すなわち, NEEを用いることにより,
(MJ/日/頭)の変動は大きかったと推察される。ー
体重の異なる個体聞においても,泌乳能力,産次,
方,分母にあたる ME摂取量 (MJ/日/頭)全体の
給与飼料の質と量の組み合わせ,あるいは給与方
うち,維持に相当する MEは約 40%である。通
法の違いが牛乳生産のエネルギ一利用効率に及ほ、
常
, 1乳期飼養下での体重変化は乳量変化にくら
す影響を比較検討できると考えられる。
べ小さい。すなわち,上記のような GEEの変動は
本研究のエネルギー出納試験により得られた
ME摂取量の変動にくらべ MILKEの低下割合
NEEの平均値は 5
9
.
2%であった。 GORDON e
t
22
a
.
1 )は NEEという表現は用いていないが,同様
が大きいことにより生じると考えられた。
さらに,出納試験時に記録された乳量は必ずし
に計算された指標 (MILKE/MEPx1
0
0
)を用い
も出納試験時の飼料摂取量のみを反映していると
て牛乳生産のエネルギ一利用効率に対する乳牛遺
は限らず,それ以前の飼料摂取量の影響を多少な
I)と飼料の給与方法(粗飼料,濃厚飼料
伝指数 (CG
りとも受けていると考えられる。飼料摂取量とそ
混合または分離給与)の影響を検討した。給与飼
i
m
el
a
gがあり,数日
れに対応する乳量には必ず t
料の粗飼料割合は 33-36%と本試験にくらべ低
間でのエネルギーの出納では GEEにある程度の
かったが, MILKE/MEPX100=47-58%なる値
変動が生じるのは当然で、あろう。
GEEに対する産次の影響については,経産牛に
が得られ,遺伝的な泌乳能力が高い牛ほど効率が
高<.また,飼料給与方法としては粗飼料,濃厚
くらべ初産牛で GEEが低かったとする大久保ら
飼料混合給与の効率が高かったと報告している o
の報告 57) と同様な結果であった。本試験でも経産
本試験での平均値 5
9
.
2%は GORDON e
ta.
lの報
牛にくらべ初産牛の乳量が低かったように,一般
告 22) にくらべやや高い程度であったが, CVは
1
0
2
北海道大学農学部農場研究報告
第
3
1号
2
7
.
7%と変動が大きかった。本試験での FCM量
産牛にくらべ初産牛で低かったが (
P
<
0
.
0
5
),
と NEEとの関係(図 1
9
)をみてみると,有意な正
NEEには差はなかった。初産牛と経産牛で飼料
の相関関係が認められたが (
P
<
O
.
ol
)
, GEEの場
構成,成分およびその摂取量はほぼ、同様で、あった
合とは異なり,その相関係数 (
r
=
0
.
2
3
)は低かっ
ことから,本試験の範囲内で考えると,初産牛と
た
。 NEEは FCM量にかかわらず,平均値を中心
経産牛とでは NEEは変わらないということがで
にある変動幅をもち一定に推移する傾向にあった
きるだろう。
が
, NEEと乳量レベルとの関係は必ずしも明確
以上,本章ではエネルギー出納試験から飼料の
ではなかった。また, NEEの分母である (MEI
エネルギー消化率, qおよび、午乳生産のエネルギ
M
J
I日/頭)の CVは 3
4
.
6%であり, NEE
MEm)(
一利用効率を算出し,それらに影響を及ぽす諸要
の分子にあたる前述の MILKE と同様に変動が
因との関連を検討した。その結果,飼料中の粗飼
大きかった。すなわち,これらのことは NEEの変
料割合が高くなってもエネルギー消化率および q
動は必ずしも乳量レベルだけに起因するものでは
は必ずしも低下しなかった。また, GEEの変動に
ないことを表わしており,その他の要因として遺
は乳量レベルが大きく関与していたが, NEEの
伝的な泌乳能力の違いも考えられる。
変動は必ずしも乳量レベルだけに起因するもので
さらに, NEEの変動要因として GEEの場合と
はないことが示唆された。本試験では,飼料構成
が多様な飼料給与条件下で 1乳期間中の様々な乳
••
140
120
期の泌乳牛を用いていた。しかしそこで得られ
(
r
=
O
.
2
3,
P<O.Ol)
た GEEおよび NEEの値はエネルギー出納試験
時という限られた期間での効率であり
∞
1乳期生
産時での効率を検討する場合には,これらのみで
1
は必ずしも十分とはいえない。 1乳期生産時での
.
1.
.
.
・
_
.
・
.
巴
80
t
I
.
.-嬢駒子園
40
牛乳生産のエネルギ一利用効率に関与する要因に
ついて考える場合には,さらに 1乳期を通じての
飼養試験成績から検討する必要があろう。これに
ついては,第 I
V
章で論ずる。
5
. 小括
。
D
10
20
30
40
FCM
量(匂/
d
J
図1
9
. 日FCM量と NEEとの関係
飼料構成が多様な飼料給与条件下で 1乳期間中
1
8頭用いて行ったエ
の様々な乳期の泌乳牛延べ 2
ネルギー出納試験の成績を解析し,自給粗飼料多
給飼養下における飼料のエネルギー消化率, qお
同様なことも考えられる。すなわち,出納試験時
よび牛乳生産のエネルギ一利用効率とそれらに影
に記録された乳量は必ずしも出納試験時の飼料摂
響を及ぽす諸要因との関連について検討した。
取量のみを反映しているとは限らず,それ以前の
摂取飼料中粗飼料割合の平均が 7
l
.0%で,エネ
飼料摂取量の影響を多少なりとも受けている可能
ルギー消化率および qの平均値はそれぞれ 6
5
.
2
性がある。本試験で得られた NEEのなかで 1
0
0
%および 5
4
.
5%であり,飼料中の粗飼料割合が高
%を超えるものがみられたが(図 1
9
),これは上記
くなってもエネルギー消化率および qは必ずし
の要因が関連しているのであろう。
も低下しなかった。また,エネルギー消化率およ
NEEを用いることにより,初産牛と経産牛の
び qともに平均値を中心に上下 1
0%単位程度の
1
0
0kgの体重差を考えずに牛乳生産のエネル
変動がみられた。エネルギー消佑率および、 qの変
キ、一利用効率を検討することができる。 GEEは経
動には飼料中粗飼料割合と摂取レベルが大きく関
約
中辻
1
0
3
泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
与していた。通常の 1乳期飼養下では,乳期の進
2
. 解析に用いたデータおよび解析方法
行に伴い飼料中の組飼料割合は高くなる一方で-摂
1
9
8
4年 5月から 1
9
9
3年 4月までの 9年間にホ
取レベルは低下することから,エネルギー消化率
ルスタイン種泌乳牛を用いて実施した飼養試験で
および qに対する両者の影響が相殺され上記の
1乳期を終了したものの中から,泌乳日数が 2
8
0
日以上であった延べ 1
0
8頭の成績を解析に用い
ような変動が生じた。
GEEの平均値は 3
5
.
6%であった。また, GEE
の変動の多くは乳量レベルに起因していた。通常
I章
た。飼養試験実施方法の詳細については,第 I
で述べた通りである。
の 1乳期飼養下では ME摂 取 量 の 変 動 に く ら べ
I
)
は
データの解析にあたり, ME摂 取 量 (ME
乳量の低下割合が大きいことから GEEに変動が
GE摂取量 (GEI)に第皿章で求めた qを乗じて算
生じた。一方, NEEの平均値は 5
9
.
2%であった。
出した。なお, qは飼養試験と同時期に各処理群毎
GEEとは異なり, NEEの変動は必ずしも乳量レ
に行なったエネルギー出納試験で得られた値を?必
ベルだけに起因するものではないことが示唆され
0日まで),中期 (81-210日)およ
乳初期(分娩後 8
た
。
2
1
1日以降)ごとに分け,各乳期に相当す
び後期 (
V章 粗 飼 料 多 給 飼 養 下 に お け る l乳期生産時
第I
での牛乳生産のエネルギ一利用効率
一一飼養試験成績からの検討一一
る牛に適用した。 MEmの算出には 1乳期間の平
I
I章と同様に算出した。また,
均体重を用い,第 I
MILKE,GEEおよび NEEについても第 I
I
I章と
同様に算出した。
1
. 目的
第四章ではエネルギー出納試験から飼料のエネ
ルギー消化率, qおよび、牛乳生産のエネルギ一利
用効率を算出し,それらに影響を及ぽす諸要因と
の関連を検討してきた。そこでは飼料構成が多様
3
. 結果
1
) 1乳期産乳成績
解析に用いた飼養試験供試牛,延べ 1
0
8頭の 1
乳期産乳成績の平均値とその範囲を表 2
7に示し
な飼料給与条件下で 1乳期間中の様々な乳期の泌
1頭
, R群 :
た。処理群毎の頭数内訳は, C群 :2
乳牛を用いて出納試験を行なった。しかし,得ら
2
1頭
, R1群 :2
1頭
, R2群 :2
2頭 お よ び R3
れた GEEおよび NEEの値はエネルギー出納試
群 :2
3頭であった。 1乳期(平均 3
0
0日間)を通じ
験時という限られた期間での効率であり
1乳期
8.1-85.4%
て摂取した飼料中の粗飼料割合は 5
生産時での効率を検討する場合には,これらのみ
の範囲であり,平均 7
4
.
4%であった。濃厚飼料の
では必ずしも十分とはいえない。 1乳期生産時で
乾物摂取量および総乾物摂取量の平均値はそれぞ、
の牛乳生産のエネルギ一利用効率に関与する要因
4
0
4kgおよび 5,
3
9
9kgであり
れ 1,
1日 1頭当
について考える場合には,さらに l乳期を通じて
.
7および 1
8
.
0kgであった。総
りに換算すると 4
の飼養試験成績から検討する必要があるが,これ
乾物摂取量は 1乳期平均体重に対して約 2.8%に
までにこのような研究報告は見当たらない。
340-9,
3
3
8
相当した。 1乳 期 乳 量 は 実 乳 量 で 3,
そこで,本章では,自給粗飼料の種類,量およ
kg,FCM量では 3,
493-8,
2
0
7kgと広範囲であ
びそれらの組み合わせの異なる条件下での 1乳期
1
8
9kgおよび 5,
9
5
1kgで
り,平均でそれぞれ 6,
飼養試験成績に,同時期に行ったエネルギー出納
あった。 1日 1頭 当 り に す る と , 実 乳 量 お よ び
試験で得た q を適用して 1乳期生産時での GEE
FCM量 で そ れ ぞ れ 2
0
.
6kgお よ び 1
9
.
8kgであ
1乳 期 を 通 じ て の 体 重 変 化 量 は , -78
および NEEを算出し,それらに影響を及ぽす諸
った。
要因との関連について検討した。
-+188kgと様々であり,平均 +75kgであった。
0.25kgに相当した。
日増体量にすると +
北海道大学農学部農場研究報告
1
0
4
第3
1号
表2
7
. 飼養試験供試牛における 1乳期産乳成績の平均値とその範囲 (n=108)
平均
2
.
7
3
0
0
6,
1
8
9
5
.
9
5
1
3
.
8
0
8
.
8
6
6
4
5
+75
1,
4
0
4
3,
9
9
5
5
.
3
9
9
7
4
.
4
産次
搾乳日数
乳量 (
k
g
)
FCM量(
k
g
)
乳脂肪率(%)
SNF率(%)
体重 (
k
g
)
体重変化量 (
k
g
)
濃厚飼料摂取量 (
k
g
D
M
)
粗飼料摂取量 (
k
g
D
M
)
総飼料摂取量 (
k
g
D
M
)
粗飼料割合(%)
最小値
1
2
8
0
3,
3
4
0
49
3
3.
3
.
1
4
8
.
2
6
4
9
8
-78
6
7
5
0
4
4
3,
0
6
8
4,
5
8
.
1
2
) 1乳期生産時で、のエネルギー摂取量および
最大値
SD
1
.6
9
3
0
5
8
.
5
2
7
0
.
6
9,
3
3
8 1,
1
8
2
.
3
8,
2
0
7 1,
4
.
8
9
0
.
3
9
.
3
1
0
.
2
7
0
.
7
7
8
4
+188
5
6
.
8
8
9
4
4
5
8
.
8
2,
3
6
1
.
4
4,
9
6
4
6,
9
1
4
5
9
7
.
9
8
5
.
4
6
.
2
CV(%)
6
0
.
0
2
.
8
2
0
.
5
1
9
.
9
8
.
9
2
.
8
1
1
.0
7
5
.
8
3
2
.
7
9
.
0
1
1
.1
8
.
3
3)乳量レベル別の 1乳期産乳成績,エネルギ
ー摂取量および、牛乳生産のエネルギ一利用効
牛乳生産のエネルギ一利用効率
第I
I
I章 で 求 め た q を適用して算出した 1乳 期
率
生産時で、のエネルギー摂取量およひー牛乳生産のエ
1乳 期 産 乳 成 績 を FCM量 に よ っ て 4,
000kg
ネルギ一利用効率の平均値とその範囲を表 28に
未満, 4,
000kg台
, 5,
000kg台
, 6,
000kg台
, 7,
E
Iの 平 均 値 (
C
V
)は 100,524MJ
示した。総G
OOOkg台 お よ び 8,
000kg以 上 に 分 け て 表 2
9に
(
11
.0%), 1日 1頭当りおよび代謝体重当りでは
示した。乳量レベルが高いほど平均産次が高かっ
それぞれ 335および 2.62MJであった。また,総
た
。 1乳期を通じての摂取飼料中の粗飼料割合は
MEIの平均値 (
C
V
)は 54,671MJ(13.2%), 1日
8,
000kg以上で低い傾向を示したが, 64.1-80.5
I頭当りおよび代謝体重当りではそれぞれ 182お
%であり,いずれの乳量レベルの牛も粗飼料割合
よび1.42M
Jであった。 GEEおよび NEEの平均
の高い飼料を摂取していた。濃厚飼料乾物摂取量
,
値は 34.5および 56.8%
CVは 12.8および 13.
は乳量に応じて給与していたことから 873-2,
367
kgと 大 き な 差 が あ っ た 。 総 乾 物 摂 取 量 は 4,
470
6 %であった。
表2
8
. 1乳期生産時でのエネルギー摂取量および牛乳生産効率の平
均値とその範囲 (n=108)
q
平均
最小値
最大値
一一一一一一一ー % 一一一一一一一
5
4
.
3
4
9
.
7
5
9
.
8
SD
3
.
2
MJ
G
E
I
MEI
MEm
MILKE
1
0
0,
5
2
4
5
4,
6
7
1
2
0,
8
2
1
1
8,
9
1
6
3
4
.
5
5
6
.
8
2
2
.
8
3
9
.
2
%
6
.
0
%
5
5
9 1
2
9,
6
2
0 1
1,
1
0
1
.
5
7
5,
0,
3
1
8 7,
4
0
0 7
2
3
0
.
6
3
8,
2
2
0 2
7,
7
6
9 1
.8
2
5
.
6
1
7,
9
4
9 2
6,
5
9
0 3,
7
1
6
.
7
1
0,
1
1
.
0
1
3
.
2
8
.
8
1
9
.
6
%
%
GEE
NEE
CV
4
4
.
1
7
7
.
9
4
.
4
7
.
7
1
2
.
8
1
3
.
6
1
0
5
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
表2
9
. 乳量別の 1乳期産乳成績
9
9
9
-3,
延べ頭数
産次
1
.0
土 0
.
0
搾乳日数
2
9
6土11
.6
乳量 (
k
g
)
3,
7
7
8:
t229.1
k
g
)
FCM量 (
6
6
3士1
6
5
.
5
3,
乳脂肪率(%)
3
.
8
7士 0
.
3
8
.
9
5:
t0
.
2
SNF率(%)
体重 (
k
g
)
t109.3
5
7
8:
体重変化量 (
k
g
)
+98:
t26.0
濃厚飼料摂取量 (kgDM) 8
1
7
.
8
7
3土1
粗飼料摂取量 (kgDM) 3,
5
9
7:
t3
5
5
.5
総飼料摂取量 (kgDM) 4,
4
7
0士4
3
4
.
2
粗飼料割合(%)
8
0
.
5:
t1
.9
4,
000-4,
9
9
9
2
0
1
.4
士 0
.
8
.
8
3
0
0士 7
4,
7
8
7士3
4
8
.
3
4,
6
0
5士2
6
2
.9
3
.
8
1士 0
.
3
8
.
9
1:
t0
.
2
5
8
0:
t63.7
+1
0
8:
t48.2
1,
0
1
9土2
71
.9
3,
7
8
2土2
9
2
.
5
4,
8
0
1士3
9
5
.
9
7
8
.
9士 4.
4
FCM量 (
k
g
)
5,
000-5,
9
9
9 6,
000-6,
9
9
9
2
8
3
0
t1
.4
3
.
0:
2
.
8:
t1
.8
0
l
:
t7
.
8
3
2
9
8:
t10.0
5,
8
04
:
t3
01
.2 6,
7
1
3土4
9
2
.
1
5,
5
3
8:
t264.
2 6,
4
8
8土2
8
7
.
3
.
4
.
8
4士 0
3
.
7
4土 0
.
3 3
.
8
3士 0
.
3
8
.
8
5土 0
.
3 8
t52.0
6
6
3:
6
5
2土6
2
.
2
十6
3:
t65.9
+76士4
5
.
4
1,
3
3
5士3
4
6
.
8 1,
5
4
1土3
5
0
.
0
4,
0
3
7:
t3
61
.1 3,
9
9
7士3
1
4
.
9
5,
3
7
2:
t432.7 5,
5
3
8士3
4
6
.
6
2
.
3:
t 5.4
7
5
.3
:
t5
.
3 7
7,
000-7,
9
9
9
2
0
3
.
7土1.4
3
0
3士 6
.
5
7,
6
4
4士5
3
5
.
8
7,
4
17
:
t2
6
7
.
9
t 0.4
3
.
8
4:
8
.
8
8土 0
.
2
6
8
7土4
3
.
9
t56.4
+63:
1,
6
6
9士3
9
5
.
9
4,
2
2
1:
t315.2
5,
8
9
0土3
4
3
.
2
71
.8:
t 5.6
8,
0004
4
.
0土1.2
3
0
4士1.2
8,
7
5
4士4
2
3
.
7
8,
1
1
4:
t82.0
3
.
5
4:
t 03
8
.
5
8土 0
.
1
6
9
4土5
2
.
4
+14士6
5
.
9
2,
3
67
:
t5
2
6
.
2
4,
1
9
5:
t309.9
6,
5
6
2土3
1
8
.
7
6
4
.
1士 6
.
6
目
-6,
562kg, 1日 1頭当りおよび体重比ではそれ
41-2.96MJとなり,乳量レベルが高い時
よぴ 2.
ぞれ 15.1-21
.6kgおよび 2.65-3.12%であり,
ほど高い値を示した。総 MEIは 42,
956-67,
028
FCM量が多いほど高かった。 1乳期を通しての
MJ,l日 1頭当りおよび代謝体重当りではそれぞ
体重の変化量は +14-+108kgであり,日増体量
れ 145-220および1.24-1
.64MJであり, FCM
にすると十 0.05-十0.36kgとなり, FCM量が多
量が多い時ほど高かった。一方, MEmが MEIに
いほど{5;ぃイ直を示した。
占める割合は FCM量が多い時ほど低い値を示し
乳量別の 1乳期生産時でのエネルギー摂取量お
た
。 GEEは 27.4-38.4%であり, FCM量が多い
よび午乳生産のエネルギ一利用効率を表 30に示
時 ほ ど 高 か っ た (P<0.05)。一方, NEEは 54.7
した。総 GEIは 83,
186-121,
667MJ
,1日 1頭当
-58.7%であり,乳量レベルの違いによる差は認
りおよび代謝体重当りではそれぞれ 281-400お
められなかった。
表3
0
. 乳量別の 1乳期生産時でのエネルギー摂取量および牛乳生産効率
9
9
9
-3,
000-4,
9
9
9
4,
5,
000-5,
9
9
9
FCM量 (
k
g
)
6,
000-6,
9
9
9
7,
000-7,
9
9
9
8,
000-
%
q
GEI
MEI
ME
m
MILKE
5
1
.6
士3
.
2
5
3
.
7土 3
.
1
8
3,
1
8
6:
t8,
5
5
9
.
4
4
2,
9
5
6土4,
2
7
9
.
1
2
1,
9
8
5士3,
0
6
9
.
6
1
1,
6
87
:
1
:
: 5
0
6
.
1
8
9,
3
7
0士7,
2
1
2
.
7
4
8,
0
34
:
t4,
3
6
0
.
0
2
1,
3
8
2:
t2,
0
4
5
.9
1
4,
6
8
5:
t7
9
7
.
4
2
7
.
4土 2
.
8
"
.
9
5
6
.
0土 3
3
0
.
7土 2
.
3ab
5
6
.
2士 7
.
2
.
3
5
5
.
8士 3
.
4
5
5
.
0:
t2
.
8
5
4
.
4士 3
MJ
9
9,
8
6
3士7,
4
6
7
.
81
0
3,
0
6
0:
t6,
9
5
6
.
61
1
0,
0
9
1土6,
0
5
4
.
71
2
,
16
67
:
1
:
:6,
4
5
5
.
9
5
3,
8
3
6士4,
7
3
4
.
1 5
6,
1
9
8:
t5,
2
5
2
.
0 6
1,
4
6
4土4,
5
6
3
.
6 6
7,
0
2
8士2,
9
8
4
.
3
2
0,
8
4
9:
t1,
7
5
3
.4 2
0,
4
9
7:
t1,
8
0
5
.
7 2
0,
4
8
6士1,
1
8
4
.
3 1
9,
9
97
:
1
:
:1,
1
2
2
.
4
1
7,
6
5
2:
t8
5
68 2
0,
5
8
6土 9
0
2
.
8 2
3,
5
34
:
t 9
4
9
.
1 2
5,
5
9
9土 6
6
9
.
4
5
3
.
9土 4
.
7
目
%
GEE
NEE
a,
b,
c
,
d
:異文字聞に有意差あり (
pく 0
.
0
5
)
3
3
.
0土 3
.
2abc
5
4
.
9土 9
.
1
3
6
.
9:
t3
.
6bCd
.
3
5
8
.
7士 8
3
8
.
4:
t2
.
4", d
5
8
.
0土 5
.
9
bCd
3
8
.
2士1.8
5
4
.7
:
1
:
:4
.
6
1
0
6
北海道大学農学部農場研究報告第 3
1号
4)初産,経産別の 1乳期産乳成績,エネルギ
た。総乾物摂取量は, 4,
817と 5,
634kg,1 日 1頭
ー摂取量および、牛乳生産のエネルギ一利用効
当りでは, 16.1と 18.8kgとなり,いずれも経産
率
牛で高かった。しかし,体重比に換算すると初産,
経産牛ともに 2.80%となり,差は認められなかっ
l乳期産乳成績を初産,経産別に分けて表 31に
示した。乳量は初産および経産牛でそれぞ、れ実乳
た
。 1乳期を通じての体重変化量はそれぞ、れ +104
量 4,
842と 6,
731kg,FCM量 4,
683と 6,
461kg
と+63kg,日増体量にすると +0.35と+0.21kg
であり,いずれも経産牛が高かった。
1乳期を通
となり,いずれも初産牛が大きかった。
じての摂取飼料中の粗飼料割合は初産,経産牛の
初産,経産別の l乳期生産時でのエネルギー摂
いずれも 70%以上であり,粗飼料割合の高い飼料
取量および牛乳生産のエネルギ一利用効率を表
を摂取していた。濃厚飼料の乾物摂取量は初産お
32に 示 し た 。 総
132と 1,
514kgであっ
よび経産午でそれぞれ 1,
104,
914MJ, 1日 1頭当りおよび代謝体重当りに
GEIは そ れ ぞ れ 89,619 と
表31.産次別の 1乳期産乳成績
産次
初産
3
1
1
.0士 0
.
0
2
9
9:
t8
.
9
4,
8
4
2土 7
8
3
.
7
4,
6
8
3士7
5
5
.
4
3
.
8
4:
t0
.
4
8
.
9
4:
t0
.
2
5
7
9土 6
7
.
4
+104:
t4
4
.
5
1
3
2土 4
1
0
.
5
1,
6
8
4土 3
0
8
.
6
3,
4
.
8
1
7:
t4
8
3
.
2
7
6
.
9:
t6
.
4
延べ頭数
産次
搾乳日数
乳量 (
k
g
)
FCM量 (
k
g
)
乳脂肪率(%)
SNF率(%)
体重 (
k
g
)
体重変化量 (
k
g
)
濃厚飼料摂取量 (kgDM)
粗飼料摂取量 (kgDM)
総飼料摂取量 (kgDM)
粗飼料割合(%)
経産
7
7
3
.
4土1.4
t8
.
4
3
0
0:
3l
:
t9
9
6
.
1
6,7
6,
4
6
1土 9
0
7
.
4
.
3
3
.
7
8士 0
8
.
8
2:
t0
.
3
6
7
2土 5
2
.
2
+63士51
.7
1,5
14
:
t4
3
2
.9
1
2
0土 3
0
2
.
1
4,
t4
6
6
.
0
5
.
6
3
4:
t5
.
8
7
3
.
4:
表3
2
. 産次別の 1乳期生産時で のエネルギー摂取量および牛乳生産効率
b
産次
初産
経産
%
q
GEI
MEI
ME
n
,
MILKE
GEE
NEE
5
3
.
6:
t3
.
1
MJ
6
1
9:
t8,
9
9
2
.
4
8
9,
0
9
3土4,
9
9
4
.
4
4
8,
2
2,
3
2l
:
t1,
8
1
0
.
6
9
6
0土 2,
4
1
4
.
2
1
4,
%
3
1
.
1
土 3
.
6A
t7
.
2
5
8.
5:
A,B:異文字聞に有意差あり (
P
<
O
.
O
l)
5
4
.
5:
t3
.
3
1
0
4,
9
1
4:
t8,
5
7
6
.
4
3
1
9土 6,
2
4
5
.
7
5
7,
2
17
:
t1,
4
5
3
.
1
2
0,
2
0,
5
0
8土 2,
8
6
3
.
0
3
5
.
9土 4
.
08
5
6
.
1:
t7
.
8
中辻.泌乳午の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
1
0
7
するとそれぞれ 300と 350M], 2.54と 2.65M]
1乳期を通じての摂取飼料中の粗飼料割合は,濃
であり,いずれも経産牛で高かった。総 MEIは
48,
093と 57,
319M]
, 1 B1頭当りおよび代謝体
厚飼料給与レベルが高かった C群 が 60%台と最
重当りに換算すると 161 と 191M ], 1
.37と1.45
た。濃厚飼料乾物摂取量は C群 が 2,
000kg以 上
も低い値を示し,その他の群は 75%以上であっ
M]と,いずれも経産牛で高かった。 MEmが MEI
081-1,
330kgの範囲で
と最も高く,他の群は 1,
に占める割合は乳量の多かった経産牛で低かっ
あった。総乾物摂取量は 4,
910-5,
845kg
,1日 1
た
。
GEEは 31
.1と 35.9%であり,乳量レベルの
高かった経産牛が初産牛にくらべ有意に高い値で
あった
(
Pく 0.05)。一方, NEEは
,
58.5と 56.1%
であり,産次の違いによる差は認められなかった。
頭当りおよび体重比ではそれぞれ 16.5-19.4kg
お よ び 2.73-2.88%の範囲であり,いずれも C
群が最も高く, R 3群が最も低かった。
処理群毎の粗飼料摂取量の内訳は,
C群ではコ
ーンサイレージと乾草が粗飼料全体の 70%以 上
5) 給与粗飼料構成別の 1乳期産乳成績,エネ
を占めており,次いで放牧地草,グラスサイレー
ルギー摂取量および牛乳生産のエネルギ一利
)群は,夏季開を通じて
ジの順であった。 (R+R1
用効率
放牧地草を多給,冬季聞はコーンサイレージを多
1乳期産乳成績を給与粗飼料の種類,量とそれ
給しており,放牧地草とコーンサイレージの割合
C,(R十 R I
)
, R 2および、
はほぼ同じで,両者で粗飼料全体の約 60%を占め
R 3群の 4つの処理群に分けて表 33に示した。な
ていた。その他,グラスサイレージ,乾草,アル
お
, R および R1群は,試験実施時期は異なって
フア/レフアサイレージの順であった。
らの組み合わせの異なる
いたが,粗飼料の種類,量およびそれらの組み合
わせは同じであったので同一群として解析した。
R2群では,夏季の一時期に放牧を制限してグ
ラスサイレージを増給したため,放牧地草は (R+
表3
3
. 給与粗飼料構成別の l乳期産乳成績
処理群
C
延べ頭数
産次
搾乳日数
乳量 (
k
g
)
FCM量 (
k
g
)
乳脂肪率(%)
SNF率(%)
体重 (
k
g
)
体重変化量 (
k
g
)
k
g
D
M
)
濃厚飼料摂取量 (
粗飼料摂取量 (
k
g
D
M
)
コーンサイレージ
グラスサイレージ
アルフアルフアサイレージ
乾草
放牧地草
総飼料摂取量 (
k
g
D
M
)
粗飼料割合(%)
2
1
3
.
0士 2
.
1
3
01
:
:
1
:
:7
.
9
6,
3
87
:
:
1
:
:
,
11
6
4
.
7
6,
1
9
9土 1,
0
4
9
.
3
3
.
8
6土 0.
4
8
.
9
1:
1
:0
.
3
6
7
7:
1
:6
6
.
5
十1
1
1:
1
:4
6
.
68
2,
0
9
9土 3
5
6
.
9
3,
7
4
6土 2
1
3
.
8
,
14
6
9士2
1
0
.
9
(
3
9
)
3
9
1:
1
:1
6
2
.
1(
10
)
,
12
0
5:
1
:2
1
0
.
7(
3
3
)
6
8
1土 1
9
7
.
2
(
1
8
)
5,
8
4
5土 4
6
8
.
1
6
4
.
3:
1
:3
.
6
A,
s 異文字聞に有意差あり (pく 0
.
01
)
)内は,粗飼料摂取量に占める割合(%)
R+R1
4
2
2
.
6:
1
: 1
.6
.
9
3
0
2士 6
2
1
7士1,
3
41
.3
6,
9
1
8:
1
:1
,
2
61
.7
5,
3‘7
1:
1
:0
.
3
8
.
8
0土 0
.
2
0
.
1
6
4
8土 7
+71士5
0
.
7A
2
7
4士2
9
5
.
7
1,
1
4
6:
1
:3
7
7.
9
4,
,
13
4
6:
1
:4
4
6
.
7
(
3
2
)
1
:2
6
6
.
5
(
2
2
)
9
0
9:
1
3
0士2
2
9
.
6(3
)
7
8
.
1(
1
6
)
6
5
7士1
1
0
4:
1
:2
6
7
.
4
(
2
7
)
1,
4
2
0土 5
8
3.
4
5,
1
:3
.
7
7
6
.
7:
R2
2
2
2
.
6:
1
:1
.3
2
9
8土 1
0
.
6
6,
3
9
5土 1,
2
0
7
.
3
6,
1
5
1士1,
1
1
9
.
9
3
.
8
1:
1
:0
.
3
8
.
9
4:
1
:0
.
3
6
5
0土 6
5
.
0
+71:
1
:5
9
.1
'
1
.3
3
0士3
4
0
.
0
4,
1
1
6:
1
:3
2
3
.
2
3
6土 3
6
2
.
8(
3
0
)
1,
1
:3
0
0
.
5
(
2
2
)
9
1
6:
5
3
.
2
(
2
0
)
8
0
9土 3
2
6
.
7
(
1
3
)
5
2
7士 1
6
1
.
9(
15
)
6
2
7士 1
5,
4
4
5士5
6
7
.
5
1
:4
.
4
7
5
.
9:
。
R3
2
3
1
:1
.5
2
.
7:
.
9
2
9
8土 8
5,
7
5
8士1,
2
6
4
.
4
5,
5
9
2:
1
:1
,
1
8
2
.
5
1
: 03
3
.
8
9:
.
3
8
.
8
2土 0
7
.
6
6
0
7土 6
十5
2士61.1A
0
8
1:
1
:1
6
2
.
5
1,
3,
8
2
9:
1
:2
8
6
.
1
6
1土 3
5
7
.
5
(
3
0
)
1,
2
8
.
0(9
)
3
6
2士1
1
:1
21
.
8(
1
7
)
6
6
9:
5
8
1:
:
1
:
:
60
.
5(
1
6
)
1,
0
5
7土 1
8
6
.
2
(
2
8
)
9
1
0:
:
1
:
:3
9
3
.
5
4,
.
3
7
8
.
1士 2
司
。
1
0
8
北海道大学農学部農場研究報告第 3
1号
R 1)群の約 1
/
2量であった。また,冬季ではコー
代謝体重当りではそれぞ、れ, 159-200と1.31-1
.
ンサイレージにアルフアルフアサイレージを併給
56M]であり, R2群が最も高く, R3群で最も低
)群にくらべてアルフアルフア
したため, (R十R1
かった。 MEmが MEIに占めるの割合は R3群が
サイレージの割合が多く,かつグラスサイレージ
41
.3%と最も高<, R2群は 34.5%と最も低かっ
とアルフアルフアサイレージで粗飼料全体の約
た
。 GEEは 32.9-36.8%の範囲であり, R3群が
40%を占めていた。
他 の 処 理 群 に く ら べ て 有 意 に 高 か っ た (P<
R3群は,夏季は (R+R 1
)群,冬季は R2群の
0
.
0
5
)。また, NEEは 50.9-63.0%の範囲であ
処理とを組み合わせた群であり, (R+R1)群と同
り
, R3群が他の群にくらべて有意に高< (P<O.
様,放牧地草とコーンサイレージで粗飼料全体の
0
5
),一方 R2群が有意に低かった (P<0.05)。
約 60%を占めていた。その他,アルフアルフアサ
6)分娩季節別の 1乳期産乳成績,エネルギー
イレージ,乾草,グラスサイレージの順であった。
1乳 期 乳 量 は 実 乳 量 5,
758-6,
395kg
, FCM
摂取量および牛乳生産のエネルギ一利用
量 5,
592-6,
199kgの範囲であり,いずれも R3
効率
全データを分娩季節の違いにより,春分娩(3
群でやや低かったがその差は有意ではなかった。
1乳期を通じての体重変化量は +52-+111kg
,
-6月),夏・秋分娩 (7-10月)および冬分娩
日増体量では十 0.05-+0.17kgであり,濃厚飼
(11-2月)の 3つに分け,処理群別にまとめた。
料レベルの高かった C群が最も高く, R3群 が 最
なお比較を容易にするため,粗飼料給与レベルが
もイ岳いイ直であった。
),R2および、 R3群のみを
同一で、あった (R+R1
給与粗飼料構成別の 1乳期生産時でのエネルギ
解析した。
ー摂取量および牛乳生産のエネルギ一利用効率を
a) 春分娩午
1,
606-108,
112M],
表 34に示した。総 GEIは 9
1日 I頭当りおよび代謝体重当りではそれぞれ
, 1乳期生
春分娩牛の I乳期産乳成績を表 35に
359-307と 2.52-2.71M]の範囲であり,いずれ
産時でのエネルギー摂取量および、午乳生産のエネ
も C群が最も高く, R3群 が 最 も 低 か っ た 。 総
ルギ一利用効率を表 36に処理群別に示した。総乾
MEIは 47,
521-59,
543M],1日 1頭当りおよび
)と R2群
物摂取量は R3群 に く ら べ て (R+R 1
表3
4
. 給与粗飼料構成別の 1
乳期生産時でのエネルギー摂取量および牛乳生産効率
処理群
R+R1
C
R2
R3
%
q
GEI
MEI
MEm
MILKE
5
3
.
4:
t0
.
9
1
0
8,
1
l2:
t9,
4
5
4
.
4
9
7
5土 4,
6
7
4
.
2
5
7,
2
1,
7
7
8:
t1,
6
9
6
.9
7
2
9:
t3,
2
21.3
1
9,
5
8
.
5:
t0
.
9
MJ
1
0
0,
9
4
5土 1
0,
8
6
4
.
3 1
0
1,
8
0
0:
t1
0,
2
5
9
.
3
5
4,
3
8l
:
t 6,
9
7
4
.
0 5
9,
5
4
3土 6,
0
51.4
2
1,
1
3
4土 1,
7
9
6
.
3 2
0,
5
7
2:
t,
19
1
5
.
6
1
8,
7
9
3:
t 3,
9
6
9
.
3 1
7
3
0士 3,
5
9
0
.
0
9,
5
3
.
9士 3
.
4
5
1
.7
土1.3
。
6
0
6土 7,
5
91.7
9
1,
4
7,
5
2l
:
t4,
5
8
9
.
1
9,
6
1
2土 1,
1
9
4
.
2
1
7,
6
1
7:
t3,
6
0
5
.
8
%
GEE
NEE
t3
.
8
"
3
3
.
9:
5
4
.
9土 7
.
1B
:
t4
.
5
"
3
4
.4
5
7
.
3:
t7
.
8B
a,
b
:異文字聞に有意差あり (
P
<
O
.
0
5
)
A,B,
C 異文字問に有意差あり (
P
<
O
.
Ol
)
3
2
.
9士 3
.
5
"
5
0
.
9:
t5
.
2A
3
6
.
8:
t4
.
9b
6
3
.
0土 5
.
1C
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
109
が高い傾向を示した。 FCM量は 4.682-5.622kg
.0-34.3%の範囲で
が最も低かった。 GEEは 31
の範囲であり. R 3群にくらべて (R+R 1
)と R 2
あり,処理群問で差は認められなかった。また,
群が約 1.000kg高かったが,個体聞での変動が大
NEEは 49.5-61
.4%の範囲であり, R 2群 が 最
きしその差は有意で、はなかった。いずれの群も
)および R 3群にくらべて,その
も低く, (R十 R 1
1乳期を通じて +79-+90kgの体重変化があっ
P
<
O
.
O
l
)。
差は有意で、あった (
た。総 GEIと総 MEIは R 2群が最も高く .R3群
表3
5
. 春 分 娩 牛 の 1乳 期 産 乳 成 績
処理群
延ぺ頭数
産次
搾乳日数
乳量 (
k
g
)
FCM量 (
k
g
)
乳脂肪率(%)
SNF率(%)
体重 (
k
g
)
。
。
体重変化量 (
k
g
)
濃厚飼料摂取量 (kgDM)
粗飼料摂取量 (kgDM)
コーンサイレージ
グラスサイレージ
アルフアルフアサイレージ
乾草
放牧地草
総飼料摂取量 (kgDM)
粗飼料割合(%)
R+R1
1
3
2
.
2土1.2
3
0
0士 8
.
9
b
6,
0
8
4:
t1
4
71
.1
6
2
2:
t1269.2
5,
3
.
5
7:
t0
.
2
8
.
7
5土 0
.
3
t65.7
6
2
8:
十7
9士4
4
.
3
2
2
7:
t3
3
8
.
1,
3,
9
4
4:
t4
3
0
.
9
3
8:
t208.0(
2
4
)
9
6
3土3
3
3
.
0
(
2
4
)
1
2
9土2
2
0
.
4(3
)
7
3
6士2
51
.7(
19
)
1,
1
7
8:
t227.
1
(3
0
)
1
7
1土7
1
8
.
7
5,
7
6
.
6土 3
.
6
R2
1
3
2
.
3士1.4
2
97
:
t1
0
.
7
5,
7
3
7:
t1034.5ab
5,
5
4
5土9
6
5
.
6
3
.
8
5士 0
.
2
8
.
9
7:
t0
.
3
6
3
3:
t63.2
+90土5
8
.
3
1,
1
4
1:
t2
8
2
.2
4,
1
0
6士3
7
4
.
8
1,
0
3
1:
t3
1
2
.2(
2
5
)
1,
0
6
2土2
7
2
.
6
(
2
6
)
7
9
9土2
2
8
.
2
(
1
9
)
5
3
7士1
3
0
.
5
(
1
3
)
6
7
6:
t1
4
3
.
2
(
1
7
)
5
.
2
4
6:
t576.6
7
8
.
5士 3
.
7
R3
1
1
1
.8
士1.1
2
9
8士 9
.
4
4,
8
1
3:
t
1
l40.7a
4,
6
8
2土9
7
3
.
3
.
9
6土 0
.
3
8
.
9
3土 0
.
2
5
7
6士7
2
.
0
十8
8:
t51.3
1
.
0
0
6土1
9
3
.
3
3,
6
6
2土3
01
.7
4
8
.
5(
2
3
)
8
4
3士1
4
0
6:
tl34
.9(
1
1
)
6
7
4:
t1
2
9
.
8
(
1
9
)
5
6
0土7
3
.
9(
15
)
1
7
9士1
2
8
.
7
(
3
2
)
1,
4,
6
6
8:
t414.3
7
8
.
5土 2
.
9
。
a,b
:異文字問に有意差あり (
Pく 0
.
0
5
)
)内は,粗飼料摂取量に占める割合(%)
表3
6
. 春 分 娩 牛 の 1乳 期 生 産 時 で の エ ネ ル ギ ー 摂 取 量 お よ び 牛 乳 生 産 効 率
処理群
R+R1
q
GEI
MEI
MEm
MILKE
GEE
NEE
5
4
.
4士 3
.
3
0
9
8:
tl
3
,2
6
6
.
2
9
6,
1
8
9土 7,
4
1
5
.
8
5
2,
6
6
4土 1,
3
9
2
.
3
2
0,
1
7,
9
8
9土 3,
9
9
5
.
1
3
4
.
3士 4
.
5
t7
.
9B
5
8
.
0:
R2
%
5
8
.
4士 0
.
9
MJ
9
8,
0
3
3士1
0,
4
1
4
.
4
5
7,
2
1
3:
t 6,
3
6
4
.
9
2
0,
8
2
8:
t 2,170.0
1
7,
8
2
3:
t 3,180.9
%
31
.0:
t 3.0
4
9
.
5士 5
.
4A
A,B:異文字問に有意差あり (P<O.Ol
)
R3
t 0.9
5
0
.
6:
8
7,
1
7
7土8,
2
0
2
.
3
4
4,
2
7
9士4,
3
0
0
.
0
1
0
6士1,
2
6
3
.
1
2
0,
8
3
7:
t2,
9
8
2
.
6
1
4,
t3
.
9
3
3
.
3:
61
.4:
t 4.9B
110
北海道大学農学部農場研究報告
第 31号
R3群であり, (R+R1
)群 が 最 も
P<O.05)。 体 重 変 化 量 は +9-+79kg
低かった (
の範囲であり, (
R+R1
)群が最も大きく, R2群
b) 夏 ・ 秋 分 娩 午
も高く,ついで
夏・秋分娩牛の 1乳 期 産 乳 成 績 を 表 37に
1乳
期生産時でのエネルギー摂取量および牛乳生産の
3
8に処理群別に示した。
R十 R
1
)と R2
総乾物摂取量は春分娩牛と同様, (
群 が R3群 に く ら べ て 高 い 傾 向 を 示 し た 。 FCM
量 は 5,
2
2
1-7,3
8
8kgの範囲であり, R2群 が 最
エネルギ一利用効率を表
P<O.05)。 総 GEIと 総 MEI
が最も小きかった (
R2群が最も高く, (R+R1
)と R3群 は ほ ぼ 同
l
.8
3
9
.
8%の範囲であり,
様であった。 GEEは 3
R3群 で 最 も 高 <,最も低かった (
R十 Rl)群にく
は
7
. 夏・秋分娩牛の 1乳期産乳成績
表3
処理群
延べ頭数
産次
搾乳日数
乳量 (
k
g
)
FCM量 (
k
g
)
乳脂肪率 (%)
SNF率(%)
体重 (
k
g
)
体重変化量 (
k
g
)
濃厚飼料摂取量 (kgDM)
粗飼料摂取量 (kgDM)
コーンサイレージ
グラスサイレージ
アルフアルフアサイレージ
乾草
放牧地草
総飼料摂取量 (kgDM)
粗飼料割合(%)
R十 R1
8
2
.
4:
t1
.5
3
0
2:
t 4.0
5,
4
1
6:
t804.5a
5
.
2
2
1士7
6
4
.
3a
3
.
8l
:
t0
.
4
8
.
8
6土 0
.
2
t
66.7
6
3
0:
+79士2
5
.
5b
1,
1
3
0:
t225.6
4,
2
3
3土3
6
8
.
,
14
67
:
1
:
:2
0
6
.
0(
3
5
)
9
8
5:
t2
5
0
.
8
(
2
3
)
2
9
0:
t313.8( 7
)
6
6
3土1
9
9
.
5
(
1
5
)
8
2
7土7
2
.
5(
2
0
)
5
.
3
6
3:
t535.2
7
9
.
0:
t 2.7
。
R2
4
2
.
8:
t0
.
5
3
0
5士 0
.
0
c
7,
8
4
9:
t8
0
6
.2
7,
3
8
8土8
0
9
.
0c
3
.
6l
:
t0
.
3
8
.
8
8:
t0
.
3
6
2l
:
t2
8
.
9
+9土3
3
.
9
"
1
.763:
t1
9
6
.7
4,
3
6
1土1
6
0
.
1
1,
5
9
7土1
3
6
.
7
(
3
7
)
7
3
2士3
1
9
.
4(
17
)
1
,
21
0:
t
49
.
1(
2
8
)
4
1
8:
t135.4(9
)
4
0
3:
t92.6 (9
)
6.
1
24
:
t3
2
2
.9
71
.3土1.9
R3
7
3
.
0土1.0
2
9
5:
t1
0
.
1
6,
5
8
0:
t649.1b
b
6,
3
2
5:
t7
31
.7
.
3
3
.
7
7土 0
8
.
7
4士 0
.
2
6
1
8:
t5
4
.
2
十4
9土4
0
.
6ab
1,
1
1
5士9
6
.
3
3,
9
4
0:
t1
2
8
.日
1,
5
3
8:
t95.9 (
3
9
)
t81
.6 (6
)
2
4
8:
7
0
8士ll5.
0(
1
8
)
6
0
1:
t4
2
.
2(
1
6
)
1
4
.
0(
21
)
8
4
5土1
5
.
0
5
5士1
2
7
.
5
7
8
.
0:
t1
.8
a,
b,
c 異文字問に有意差あり (
P
<
O
.
0
5
)
)内は,粗飼料摂取量に占める割合(%)
8
. 夏・秋分娩牛の
表3
効率
1乳期生産時でのエネルギー摂取量および牛乳生産
処理群
R+R1
q
GEI
MEI
MEm
MILKE
GEE
NEE
5
2
.
8:
t2
.
3
4
7
1士9,
6
7
4
.
6
9
9,
5
2,
4
1
0:
t6,
0
9
6
.
8
1
2
2士1,
9
8
3
.
1
2
1,
1
6,
6
1
0:
t2,
3
7
9
.
0
31
.8:
t4
.
4A
5
5
.
1土1
2
.
2ab
R2
%
5
8
.
0士1.2
MJ
1
1
3,
965士5,
8
71
.0
6
6,
073:
t3,
0
4
2
.
4
1
9,
1
6
8士1,
6
9
5
.
9
2
3,
6
2
8:
t2,
4
6
2
.
4
%
3
5
.
7:
t3
.
0A6
5
0
.
5:
t 5.3a
a,
b 異文字聞に有意差あり (
P
<
O
.
0
5
)
A,B:異文字問に有意差あり (P<O.Ol
)
R3
5
2
.
8:
t0
.
1
9
4,
6
3
6:
t2,
5
0
2
.
0
5
0
.0
0
8:
t
1
.313.9
1
8,
8
4
0:
t 945.7
t2.264.8
1
9
.8
9
8:
3
9
.
8:
t 4.06
6
3
.
7:
t 4.7b
中辻.泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
1
1
1
産時でのエネルギー摂取量および、牛乳生産のエネ
らべてその差は有意で、あった (P<O.01)。また,
NEEは 50.5-63.7%の範囲であり, R 3群 が 最
ル ギ 一 利 用 効 率 を 表 40に処理群別に示した。総乾
も高く,最も低かった R 2群 に く ら べ て そ の 差 は
物摂取量は春分娩牛および夏・秋分娩牛と同様,
有意で、あった (P<0.05)。
(R+R1
)
と R 2群 が R 3群 に く ら べ 高 い 傾 向 に
366-6,
738kgの 範 囲 で あ
あった。 FCM量 は 6,
c) 冬 分 娩 牛
り
, R 2群が最も高<, R 1群 が 最 も 低 か っ た が そ
の 差 は 有 意 で は な か っ た 。 体 重 変 化 量 は -20
冬 分 娩 牛 の 1乳 期 産 乳 成 績 を 表 39に
, 1乳 期 生
表3
9
. 冬分娩牛の 1乳期産乳成績
処理群
延べ頭数
産次
搾乳日数
乳量 (
k
g
)
FCM量 (
k
g
)
乳脂肪率(%)
SNF率(%)
体重 (
k
g
)
体重変化量 (
k
g
)
濃厚飼料摂取量 (kgDM)
粗飼料摂取量 (kgDM)
コーンサイレージ
グラスサイレージ
アルフアルフアサイレージ
乾草
放牧地草
総飼料摂取量 (kgDM)
粗飼料割合(%)
R十 R1
2
1
2
.
9士1.8
t6
.
4
3
0
3:
6,
6
0
5:
t1
3
1
8
.
1
6
.
3
6
6土1
2
7
6
.
7
3
.
7
6土 0
.
3
.
2
8
.
8
1士 0
l
.5
6
6
8士7
b
十6
4:
t6l
.1
7
5
.
7
1,
3
5
7土2
0
9
.
6
4
.
2
3
9土3
1,
5
5
2土4
5
7
.
9(
3
7
)
8
4
7士2
2
0
.
9
(
2
0
)
7
4
.
5
(2
)
7
0士1
6
07
:
t8
0
.
1(
1
4
)
1,
1
6
3:
t2
7
5.
4(
2
7
)
61
.9
5,
5
9
6土4
7
5
.
9土 3
.
8
R2
5
3
.
2土1.3
2
9
5土1
3
.
3
6,
9
4
1士2
4
7
.
2
t377.8
6,
7
3
8:
3
.
87
:
t0
.
3
8
.
9
2:
t 0.2
7
1
7土4
6
.
0
十7
1士4
7
.
3b
1,
4
74
:
t9
4
.3
3,
9
4
6:
t103.3
1,
4
8
1土2
0
3
.
9
(
3
8
)
6
8
4士6
5
.
5(
17
)
5
1
6:
t3
6
8
.
8
(
1
3
)
5
8
8:
t50.7 (
1
5
)
6
7
7土9
2
.
4(
1
7
)
5,
4
2
0士1
6
0
.
3
7
2
.
8:
t1
.2
R3
5
4
.
2:
t1
.8
3
0l
:
t5
.
8
6,
6
8
7土4
3
8
.
4
6,
5
7
0士3
2
4
.
2
3
.
8
9:
t0
.
5
8
.
6
8:
t0
.
4
6
6
0土3
9
.
3
-20士3
6
.
2a
1,
1
9
7:
t5
9
.
7
4,
0
4
0:
t2
0
9.
3
1,
3
3
0土2
6
7
.
2
(
3
3
)
4
2
7士3
5
.
1(
10
)
6
0
2士1
0
6
.1
(
15
)
5
9
5:
t4
0
.
7(
1
5
)
1,
0
8
5:
t9
5
.
3(
2
7
)
5
8
.
7
5,
2
3
7士2
7
7
.l
:
t0
.
6
a,
b:異文字聞に有意差あり (
P
<
O
.
0
5
)
)内は,粗飼料摂取量に占める割合(%)
表4
0
. 冬分娩牛の 1乳期生産時でのエネルギー摂取量および牛乳生産効率
処理群
R十 R1
R2
R3
%
q
GEI
MEI
"
,
ME
MILKE
5
4
.
0:
t3
.
9
1
0
4,
5
07
:
t8,
6
1l
.1
5
6,
4
8
9士6,
6
6
0
.
2
2
1,
4
3
0:
t1,
9
5
9.
4
2
0,
1
2
3:
t4,
0
6
8
.
9
5
9
.
2:
t0.2
MJ
1
0
1,
8
6
3土2,
6
9
3
.
1
6
0,
3
7
7士1,
6
1
8
.
5
3
0
.
3
2
1,
0
3
1士 7
t1,
2
3
3
.
6
2
1,
5
6
8:
3
5
.
4:
t4
.
4
5
7
.
8土 5
.
7A
3
5
.
7:
t1.6
5
4
.
8:
t2.8A
5
2
.
6:
t0
.
6
9
7,
1
0
8土5,
6
1
6
.
8
2
5
5
.
2
5
1,
1
7
5士3,
9
4
.
5
1
9,
6
0
9士 8
t 726.3
2
0,
5
4
1:
%
GEE
NEE
A,B:異文字聞に有意差あり (
P
<
O
.
O
l
)
:
t2
.
5
4
0
.3
6
5
.
5土 5
.
8B
1
1
2
北海道大学農学部農場研究報告第 3
1号
-+71kgの範囲であり, R2群が最も大きく, R3
,MILKEお
その CVを求めた。その結果, MEI
群ではマイナスであった (
P<0.05)。総 GEIは処
4
.
9,1
6
.
9およ
よび GEEの変動係数はそれぞれ 1
理群聞に差はなかった。総 MEIは R2群が最も
3
.
1%であり,本試験での CVと同様な値であ
び1
5.4-40.3
高<. R3群で最も低かった。 GEEは 3
った。すなわち, SAAMAe
ta
l
.の報告叫 l
ま泌乳初
%の範囲であり, (
R十 RI)および R2群にくらべ
期のみのデータであることや本試験と飼料構成が
て R3群で高い傾向にあったが,その差は有意で・
異なっていたこともあるが,いわゆる本試験のよ
4.8-65.5%の範囲
はなかった。また, NEEは 5
うなフィールドデータにはこの程度の大きさの変
であり, R3群 が (R+R1)および R2群にくらべ
動が常に存在すること示唆するものであろう。ま
P<O.Ol)。
て有意に高かった (
1
9
7
4年版)聞での養分要求量
た,日本飼養標準 (
は,生物学的な反応に対して理論上必要とする栄
4
. 考察
養素の最小必要量に 10-15%の安全率を加算し
第凹章ではエネルギー出納試験から GEEおよ
た値として示されている。これも実際の飼養条件
び NEEを算出し,それらに影響を及ぼす諸要因
下でのフィールドでは,常にこの程度の変動が起
との関連を検討した。その結果, GEEの変動には
こり得ることを見込んでのことと思われる。
乳量レベルが大きく関与していたが,一方, NEE
一方
1乳期生産時での NEEの平均値は 5
6
.
8
の変動は必ずしも乳量レベルだけに起因するもの
%であり,この値はエネルギー出納試験から得た
ではなしその他の要因として遺伝的な泌乳能力
NEE5
9
.
2%とほぼ同様で、あった。大久保ら 57) に
の違いが考えられた。
本試験での 1乳期を通じての摂取飼料中の粗飼
9
7
0年代の北大農場での報告における牛群
よる 1
0年代の本試験にくらべて平均体重が 4
0kg
は
, 8
4
.
4% お よ び
料 割 合 お よ び FCM量 の 平 均 は 7
程度小さかったことから,体重の影響を取り除く
5,
9
5
1kgであり, GEEの平均値は 3
4
.
5%であっ
た。この値はエネルギー出納試験から得た GEE
の平均値 3
5
.
6%とほほ、同様であった。大久保ら 57)
2
.
8%とな
ために NEEを算出すると NEEは 5
すなわち,飼料中の粗飼料割合が高くなっても
は
, 1
9
7
0年代の北大農場における初産から 7産ま
NEEは必ずしも低下せず,逆に高くなっていた。
り
, 8
0年代の本研究での値にくらべて低かった。
1頭の 1乳期産乳成績を解析し, FCM量
で延べ 9
これは,個体の遺伝的な改良や飼料成分の改善な
2
8
7kgおよ
お よ び GEEの 平 均 値 は そ れ ぞ れ 5,
どによると推察される。 NEEの変動に関しては,
、
び3
3
.
4%であったと報告している。本研究開始以
CVは 1
3
.
6%であり,エネルギー出納試験時の
0年代での飼料給与は本試験での C群 に 相
前の 7
当する,いわゆる北大農場の慣行法に基づいてお
CV27.7%にくらべて変動はかなり小きかった。
大久保ら 5川土 GEEと FCM量との聞に高い相
り,濃厚飼料給与レベルが高かった。しかし,乳
闘があることを認め,乳量レベルが高いほど GEE
'GEEは 80年代の本試験が高かった。す
量およ J
が高くなることを示唆している。エネルギー出納
なわち,飼料中の粗飼料割合が高くなっても GEE
試験で求めた GEEにおいても上記の相聞が認め
は必ずしも低下しなかった。 GEEの変動について
られた(図 1
8
)0 1乳期産乳成績を乳量別に解析し
2
.
8%であり,エネルギー出納試験
みると CVは 1
7.4-38.4%であり,大久保らの
た結果, GEEは 2
から得た CV2
4
.
1%にくらべて約 1
/
2であった。
報告C7) と同様,乳量レベルが高いほど GEEは高
SAAMA e
ta
l
.聞 は , 飼 料 中 の 粗 飼 料 割 合 が
P<0.05)。また
かった (
52-60%の 4種類の飼料を 2
8頭の分娩後 6-14
FCM量 (X,kg/頭)と GEE(Y,%)の関係(図 2
0
)
週の泌乳午に給与して得られた乾物摂取量および
をみてみると,両者聞に有意な正の相関関係が認
乳量等のフィールドデータに NRC標準での ME
rニ 0
.
7
7,P<O.Ol),Y=0.0029X+1
7
.
4
8
4
められ (
および NE価を乗じてエネルギー摂取量および
(
R
2
=
0
.
5
9
) の式が得られた。これらのことから,
午乳生産のエネルギ一利用効率を算出し,同時に
1乳期生産時においても GEEの変動には乳量レ
1乳 期 産 乳 成 績 で の
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
1
1
3
らないことを表している。
5
0
1乳期生産時での初産および経産牛の GEEは
l
.1および 3
5
.
9%であり,初産牛が有
それぞれ 3
40
5
言
V
意に低く (P<
0
.
0
5
),大久保らの報告57) と一致し
w
w
9
0
0
た。初産では経産牛にくらべて FCM量が約 1
c
l
30
y=O0029X+17.
484
目
2
0
R2=0.5854
•
∞ ∞
30
(
r
=
O
.
7
7,PくO0
1
)
体重増加に要するエネルギーを補正していないの
目
∞
∞
5
0
40
7
0
∞
60
∞
8
0
kg低<.逆に体重増加量が約 4
0kg多かったが,
9
α)0
で当然 GEEは低くなったと考えられた。一方,体
重および体重増加分の M Eを差し号│いて求めた
FCM量(kg)
NEEは 初 産 お よ び 経 産 午 で そ れ ぞ れ 5
8
.
5およ
図2
0
. 1乳期 FCM量と GEEとの関係
6
.
1%であり,産次の違いによる差は認められ
び5
ベルが関与していると考えられた。しかし,この
なかった。すなわち,維持要求量以上に摂取され
場合, FCM量が低い牛ほど産次が少なく体重変
た MEの牛乳生産に対する利用効率は,産次に関
化量が多かったことも関連する。すなわち, FCM
係なく変動しないと推察される。
量の低い牛ほど M E摂取量に占める維持の ME
大久保ら 57) は GEEに影響を及ぽす要因につい
に相当する割合が高いことから GEEが低くなっ
て,給与飼料構成等,飼料側の要因についても指
た。また, FCM量の低い個体では摂取された ME
摘しているが実際の解析まで、至っておらず,他に
の一部が成長にまわされており,体重増加に相当
これらについて検討した報告はみあたらない。本
C,(
R+R1
)
, R2および R3群の給与
する M Eの補正をしていないので GEEは低くな
研究では,
ったと考えられた。そこで,体重の増加分を考慮
飼料構成の違いから GEEおよび NEEを比較す
した MEmを差しヲ│いて NEEを求めると
5
4
.
7
-58.7%となり, FCM量の違いによる差は認め
られなくなった。また, 1乳期産乳成績での FCM
2
1
)をみてみると,有意な
量と NEEとの関係(図
r二 0
.
5
2, P<
正 の 相 関 関 係 が 認 め ら れ た が(
0
.
0
1
),GEEにくらべて変動が大きく, NEEは
る場合,次のような 3点からの検討が可能で、ある o
①飼料中の粗飼料割合の違い:
C群
v
s
. (R+R1), R2および R3群
②粗飼料中の放牧地草割合の違い・
(R+R1)および R3群 v
s
. R2群
③コーンサイレージとの組み合わせがグラスかア
FCM量に関係なく,平均値を中心にある変動幅
ルフアルフアサイレージの違い:
をもち,ほぽ一定に推移する傾向にあった。すな
(R+R1
)群
わち,維持要求量以上に摂取された MEの牛乳生
産に対する利用効率は乳量レベルに関わらず変わ
なお,これらのことを検討する場合,各処理群
C群の 26%か
3
3%とほぼ同様で あり,牛群構成とし
b
ては各群ほぽ均等で、あった。
-,
h 7
C群 v
s
. (
R十
飼料中の粗飼料割合の違い (
R1
),R2および R3群)についてみると,飼料中
-EE
..
, GEEは必
の粗飼料割合が高くなっても FCM量
ずしも低下しなかった。一方,
2
1
2 ..
••••
45
﹄
H--F
話
雪
E
弱
z
Ea
65
R3群
中の初産牛の割合が重要で、あるが,
ら R3群の
EF4 ・
・
・
・
・
h
r
r
w
4・
・
・
・
.-f
r
.
.
'
,
・E
圃
・
,
.
,
圃
・
・
・
.
E
.
・・・
7
5
VS.
(
r
ニ0
.
5
2,P<O.Ol)
C群での体重変化量
は他の 3群にくらべて高く,摂取されたエネルギ
ーの一部が体重増加に利用され,そのために GEE
35
4)0
∞ α
30
5
0
∞
∞
60
7
0
∞
∞
80
FCM
量(
k
g
)
図2
1
. l乳期 FCM量と NEEとの関係
∞
90
が低くなっていたと考えられる。また,飼料中の
粗飼料割合の増加に伴って熱発生量が増加すると
の報告65) もあることから, NEEは C群が高くな
1
1
4
北海道大学農学部農場研究報告第
ることも予想されたが必ずしもそうはならず,
3
1号
くらべて低い傾向にあった。春分娩牛の
FCM量
NEEは粗飼料割合の高い 3群でのばらつきが大
は R3群では初産牛が多かったが,放牧地草の割
きカミった。
合に関係なくほぽ同様で、あった。しかし,
GEEお
次に,粗飼料中の放牧地草割合の違い (
(
R
+
よび NEEは放牧地草の割合が低くサイレージの
R1
),R3群 v
s
. R2群)についてみると, FCM
割合が高かった群が低い値となった。このように,
量は放牧地草の割合の違いに関係なくほぼ同様で、
春分娩牛の泌乳初期に,放牧を制限してグラスサ
GEEおよび NEEは放牧地草割
イ レ ー ジ を 増 給 す る こ と は 1乳 期 生 産 時 で の
合が高く,サイレージの割合が低かった群で高い
GEEお よ び NEEの点からみると必ずしも有効
f
直であった。
ではないと考えられた。
あった。しかし,
また,コーンサイレージへの併給粗飼料がグラ
一方,冬分娩牛は概ね泌乳初期が冬季舎飼期,
スサイレージかアルフアルフアサイレージの違い
中 後期が夏季放牧期,後期が冬季舎飼期である。
((R+R1
)群 v
s
. R3群)について検討すると,
FCM量は併給サイレージの違いに関係なくほぽ
EEおよび NEEは,いず
同様であった。一方, G
泌乳初期の冬季舎飼期において,
ーンサイレージにグラスサイレージを組み合わせ
れもコーンサイレージにアルフアルフアサイレー
質のバランスを考慮、してコーンサイレージにアル
ジを併給した群が高かった。
フアルフアサイレージを組み合わせて給与した。
1乳期を通じての給与粗飼料構成が同ーの処理
て給与した。一方,
(R+R1
)群はコ
R3群は飼料エネルギーと蛋白
R+R1
)群は
冬分娩牛の (
2
1頭のうち 5頭 (
2
4%
)
群であっても,分娩季節が違うと泌乳初期,中期
が初産牛であり,全体の平均と同様で、あったが,
および後期に給与される粗飼料構成が異なってく
粗飼料構成別の成績をさらに分娩季節別に検討し
R3群はすべて経産牛であった。そのために各群
, G
EEおよび NEEは全体の平均値に
の FCM量
くらべて高い傾向にあった。冬分娩の FCM量は,
(R+R1)群では初産午が多かったが,サイレージ
5
4
0
) BROSTERandTHOMAS10)は
, 1
た(表 3
の組み合わせに関係なくほぼ同様で、あった。また,
乳期全体での乳生産の変動の 83%は最高乳量で
GEEお よ び NEEはコーンサイレージにアルフ
1乳期全体
アルフアサイレージを組み合わせた群が高い値を
乳期全体での G
EEおよび
る。これらのことが 1
NEEに影響する可能性も考えられるため,給与
0
説明されると報告している。従って
での乳生産にとって,泌乳初期での飼養法が大き
示した。このように,冬分娩牛の泌乳初期では,
く関与すると考えられるため,特に泌乳初期の処
コーンサイレージにアルフアルフアサイレージを
乳期全体での
理が 1
GEEお よ び NEEに及ぼす
組 み 合 わ せ て 給 与 す る こ と が 1乳 期 生 産 時 で
GEEお よ び NEEの点からみると有効であると
影響について検討した。
春分娩牛は概ね泌乳初期,中期が夏季放牧期,
考えられた。
(
R十R
1
)および、 R3群
夏・秋分娩牛は泌乳初期が夏季放牧期の放牧後
では泌乳初期,中期牛に対して放牧期を通じて放
期および冬季舎飼期である。放牧後期は放牧地草
R2群では,草量の豊富
の量や質が低下し,暑熱の影響もある時期であり,
後期が冬季舎飼期である。
牧地草を多給した。一方,
な時期は放牧地草を多給するが,再生草量が低下
夏・秋分娩牛は春分娩牛や冬分娩牛にくらべ,乳
する時期には放牧を制限しグラスサイレージを増
生産にとって季節的に最も条件が悪い。本試験で
給して乾物および栄養摂取量を確保しようとし
の飼養法としては,夏季の放牧地草多給と冬季の
た。春分娩牛中の (
R+R1
)
,
(
R十R1
)
コーンサイレージ+グラスサイレージ (
R2群および R3群
に含まれる初産牛の割合はそれぞれ 3
8,3
8および
群),夏季の放牧制限十グラスサイレージ増給と冬
55%であり,全体の平均にくらべて多く,特に,
R3群は群全体の半数以上であった。従って,各群
, G
EEおよび NEEは全体の平均値に
の FCM量
季のコーンサイレージ+アルフアルフアサイレー
ジ(
R
2群)および夏季の放牧地草多給と冬季のコ
ーンサイレージ+アルフアルフアサイレージ (
R
3
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
1
1
5
3処理である。夏・秋分娩牛での (R+R1
),
R2群および R3群中の初産午の割合はそれぞ、れ
験時にくらべ小きかった。
3
8,2
5および 0 %であり,全体の平均にくらべ,
量レベルが高いほど,また初産牛にくらべて経産
(R+R1)群が多く, R3群には初産牛がいなかっ
た。各群の FCM量 お よ び G
EEは全体の平均値
牛のほうが G
EEが高かった。一方,
)群では初産牛が多かったた
にくらべて, (R十 R1
らずはぽ一定であった。
群)の
GEEは乳量レベルおよび産次の影響を受け,乳
NEEはそれ
らの影響を受けず,乳量レベルおよび産次に関わ
1乳 期 生 産 時 で の GEEお よ び NEEの点から
R2および R3群は高い傾向を示した。
一方, NEEは全体の平均値にくらべて, R3群 で
は高かったが R2群は低い傾向を示した。すなわ
娩牛では夏季の放牧地草多給,冬分娩牛では冬季
ち,夏季は同じ放牧地草多給であっても,冬季の
のコーンサイレージとアルフアルフアサイレージ
コーンサイレージと組み合わせる粗飼料がグラス
の組み合わせ,および夏・秋分娩牛では放牧後期
サイレージよりもアルフアルフアサイレージのほ
の放牧地草多給とそれに続く冬季でのコーンサイ
うが FCM量
,
レージとアルフアルフアサイレージの組み合わせ
めに低く,
GEEおよび NEEが高かった。一
方,冬季のサイレージの組み合わせがコーンサイ
レージ+アルフアルフアサイレージであっても,
夏季に放牧を制限しグラスサイレージを増給する
みて有効な泌乳初期での給与粗飼料構成は,春分
で、あった。
第 V章 総 合 考 察 お よ び 結 論
FCM量は低か
本研究では,自給粗飼料多給下におけるエネル
EEお よ び NEEは高かった。このよう
ったが G
ギー出納試験成績および 1乳期飼養試験成績を解
よりも放牧地草を多給した群で,
ME利用効率と,それらに影響
GEEと NEEを指標
に,夏・秋分娩牛の泌乳初期において,夏季放牧
析し午乳生産の
期の放牧後期には放牧地草を多給し,それに続く
を及ぽす諸要因との関連を
冬季合飼期にはコーンサイレージにアルフアルフ
として検討してきた。我が国では,かねてより
アサイレージを組み合わせて給与することが
1
TDNに代わるエネルギーの表示単位として
ME
乳期生産時で G
EEおよび NEEの点からみると
を用いるべきとの指摘がされてきたが, 1
9
9
4年刊
有効で、あると考えられた。
行の日本飼養標準 54) において,初めて
MEを採用
するに至った。しかし,我が国では牛乳生産にお
5
. 小括
ける飼料エネルギ一利用に関する
MEを用いた
自給粗飼料の種類,量およびそれらの組み合わ
研究蓄積はまだ少ない。特に,粗飼料割合が高い
せの異なる条件下で延べ 1
0
8頭の泌乳牛を用いて
飼料給与条件下での研究報告はほとんどないのが
GEEおよび、
NEEを算出し,自給粗飼料多給下における 1乳
現状であり,本研究が唯ーであろう。
期生産時での牛乳生産のエネルギー利用効率と,
つに産乳に要する
行 っ た 1乳 期 飼 養 試 験 成 績 か ら
それらに影響を及ぼす諸要因との関連について検
討した。
泌乳牛のエネルギー要求量の重要な部分のひと
ME量がある。日本飼養標準
(
1
9
9
4年版)54) では,産乳に要する ME量 は 牛 乳
tで除して求めており,
のエネルギ一価を k
4%
び FCM量 の 平 均 は 7
4
.
4% お よ び 5,
9
5
1kg
,
FCM1kg生産に要する ME量は 4.95MJと算
定されている。この 4
.
9
5MJという値は,濃厚飼
GEEおよび NEEの平均値はそれぞれ 34.5%お
必乳安定期
料割合が高い飼料給与条件下で,かっ 1
よび 5
6
.
8%であり,飼料中の粗飼料割合が高くな
といった,ある限られた乳期の牛で行なったエネ
GEEお よ び NEEは必ずしもイ民下しなか
EEおよび NEE
った。また 1乳期生産時での G
ルギー出納試験聞から求めた kt=0.62を用いて
求められている。一方,粗飼料割合が高い飼料給
はともにエネルギー出納試験での値とほほ・同様で、
与条件下で,かっ 1乳期飼養試験から得られた,
あったが,その変動は両者ともエネルギー出納試
いわゆるフィールドでの実験データから産乳に要
l乳期を通じての摂取飼料中の粗飼料割合およ
っても
1
1
6
北海道大学農学部農場研究報告
する ME量を検討した研究報告はほとんどない。
そこで本章では,総合考察として, 自給粗飼料
多給飼養下における産乳に要する M E量を乳量
第
3
1号
ように体重 1kg増加または減少に相当する ME
量を算出し,それらの値に 1乳期間の体重変化量
を乗ずる。
2
6
/
0
.
9
5
/
k1 MJ/kgg
a
i
n
レベル別,産次別,給与粗飼料構成別,さらには
体重増の場合
分娩季節毎に算出し,これらを現行の日本飼養標
体 重 減 の 場 合 一 26XO.84/k1 MJ/kgl
o
s
s
1
9
9
4年版)刊の値と比較検討した。
準(
ME
p:
1.自給粗飼料多給飼養下における産乳に要する
日本飼養標準(19
9
4年版)54) に基づき,妊娠末期
M E量
4
.
6
9MJ/日に泌
の胎児の発育に要する ME量 :2
1乳期飼養試験成績から産乳に要する M E量
0日間に該当する日数を
乳期間内での妊娠末期 6
を算出した。なお,算出に当たり,以下のように
乗ずる。
日),体重増減に相当す
維持に相当する M E量 (ME
る M E量 (MEf)および妊娠末期の胎児の発育に
1乳期生産時での産乳に要する M E量の平均
相当する M E量 (ME
p) を求め,これらの値を実際
1に示した。 MEIに占める維
値とその範囲を表 4
の MEIから減じて産乳に向けられた M E量を推
4
.
2%であった。体
持に相当する M Eの割合は 3
定した。産乳に要する M E量は,産乳に向けられ
重増減および妊娠に相当する MEの割合はそれ
た M E量を FCM量で除して求めた。
.
2および 0
.
1%であり,両者とも MEIに
ぞ、れ 6
占める割合は小きかった。産乳に要する M E量の
MEm:
平均値は 5
.
5
1MJ/kgであり,日本飼養標準 (
1
9
9
4
日本飼養標準 (
1
9
9
4年版)刊に基づき,代謝体重
当 り の 成 雌 牛 の 維 持 に 要 す る M E量
0
.
4
8
6
6
年版)刊での 4
.
9
5MJ/kgに く ら べ や や 高 か っ
.
9
6
た。また,本試験での値には,範囲として 3
-7.79MJ/kgお よ び CVとして 1
4
.
2% の 変 動
MJに l乳期間の平均体重を乗ずる。
がみられた。この CVの値は 1乳 期 生 産 時 で の
Mι:
GEEにおける CV1
2
.
8%および、 NEEにおける
ARC
2
)に基づき,体組織のエネルギ一価:
CV1
3
.
6%とほぼ同様であった。このような変動
2
6MJ/kg
,泌乳中の体組織エネルギー蓄積効率:
V章で指摘した GEEおよび NEEへの影
には,第 I
k1XO.9
5(
k1=0.
3
5q+O.
42
0
)お よ び 体 組 織 エ ネ
響と同様な要因が関与していると考えられるた
.
8
4を用いて,下記の
ルギーによる乳生産効率:0
め,以下に乳量レベル別,産次別,給与粗飼料構
表4
1
.1
乳期生産時での産乳に要する ME量の平均値とその範囲 (
n
=
1
0
8
)
平均
FCM量
MEI
MEm
ME,
ME
p
産乳に向けら
れた
ME量
最小値
最大値
SD
。
2
3
0
.
6
7
0,
3
1
8 7,
2
1,
9
9
4 l
.6
0
3
.
8
4
6
6
.
0
8,
5
1
7 2,
1
2
4
.
6
8
1
5
1
9
.
9
%
1
3
.
2
8
.
6
7
2
.
5
2
9
7
.
8
3
2,
5
5
6(
5
9
.
5
) 1
7,
0
1
3
5
1,
8
1
4 7,
0
6
8
.
1
2l
.7
1
8
2
.
3
8,
2
0
7 1,
%
MJ!kg
産乳に要する
ME量
( )内は,
CV
%
k
g
5,
9
5
1
3,
4
9
3
MJ
5
4,
6
7
1
4
0
0
3
8,
1
8,
6
7
2(
3
4
.
2
) 1
4,
7
1
7
3,
4
0
1
(6
.
2
) -2,
7
4
4
4
2(0
.1
)
5
.
5
1
MEIに占める割合(%)
3
.
9
6
7
.
7
9
0
.
8
1
4
.
2
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
117
成別,さらには分娩季節毎に産乳に要する M E量
重増減に要する M Eの割合も成長段階にある初
を検討した。
産牛で大きかった。産乳に要する M E量は初産,
乳 量 別 の 1乳 期 生 産 時 で の 産 乳 に 要 す る M E
経 産 牛 で そ れ ぞ れ 5.62お よ ぴ 5.46MJ/kgであ
量を表 42に示した。 MEIに占める維持に相当す
り,産次による有意な差は認められなかった。ま
る M Eの割合は乳量レベルの高い牛ほど低かっ
た,これらの値は日本飼養標準(1994年版)刊での
た。また,体重増減に相当する M Eの割合も,乳
4.95MJ/kgに対して初産,経産牛でそれぞ、れ 114
量レベルが高い牛ほど小さかった。産乳に要する
%および 110%に相当した。すなわち,飼料中粗
M E量は 5.23-5.88MJ/kgであり,統計的には
飼料割合の高い飼料を給与した場合の産乳に要す
000
有意な差はなかった。乳量が極端に少ない 4,
る M E量には産次による差はなしそれらの値は
kg未満,および、体重変化量が他にくらべて極端に
日本飼養標準 (1994年版)刊の十 10-+15%程度
少ない乳量 8,
000kg以上の牛を除いた,乳量が
で、あった。
4,
000kg-8,
000kgの 個 体 で は , 産 乳 に 要 す る
次に,給与粗飼料構成別の 1乳期生産時での産
M E量は 5.23-5.73MJ/kgであった。これらの
乳に要する M E量を表 44に示した。体重増減に
値は,日本飼養標準 (1994年版)刊での値である
相当する M Eの割合は濃厚飼料レベルの高かっ
4.95MJ/kgの 106-115% に 相 当 し た 。 す な わ
た C群が最も高く,他の群はほぼ同様で、あった。
ち,飼料中粗飼料割合の高い飼料を給与した場合
産 乳 に 要 す る M E量は 4.92-6.19MJ/kgの 範
の産乳に要する M E量 は 日 本 飼 養 標 準 (1994年
囲 で あ り , こ れ ら の 値 は 日 本 飼 養 標 準 (1994年
版)54) の値にくらべやや高くなり,これらは乳量
版)54) で の 4.95MJ/kgの 99-125% に 相 当 し
レベルによって変動するが,最大で日本飼養標準
た。処理群の中で産乳に要する M E量 が 最 も 低
(1994年版)刊の十 15%程度の値であった。
<.日本飼養標準 (1994年版)刊とほぽ同様の値で
産 次 別 の 1乳 期 生 産 時 で の 産 乳 に 要 す る M E
あった R 3群 (99%)と最も高かった R 2群 (125
量を表 43に示した。 MEIに占める維持に要する
%)を除いた, C群と (R+R1)群の産乳に要する
M Eの割合は初産牛のほうが高かった。さらに,体
M E量 は 日 本 飼 養 標 準 (1994年版)54) の 111-112
表4
2
. 乳量別の 1乳期生産時での産乳に要する M E量
FCM量
MEI
MEm
M E,
ME
p
9
9
9
-3,
4,
000-4,
9
9
9
3,
6
6
3土1
6
5
.
5
4,
6
0
5土2
6
2
.
9
9
5
6:
t4,
2
7
9
.
1 4
8,
0
3
4士4,
3
6
0
.
0
4
2,
1
6,
9
12
:
t2,
3
61
.
2 1
7,
1
8l
:
t1,
2
3
9
.
0
4,
4
6
6土1,
2
1
5
.
1 4,
8
7
1土2,
1
6
6
.
5
6
7土 1
2
3
.
3
FCM量 (
k
g
)
000-5,
9
9
9 6,
000-7,
9
9
9
8,
0005,
000-6,
9
9
9 7,
kg
8,
5,
5
3
8土2
6
4
.
2
1
1
4土8
2
.
0
4
8
8士2
8
7
.
3
7,
4
17
:
t2
6
7
.
9
6,
MJ
5
3,
8
3
6士4,
7
3
4
.
1 5
6,
1
9
8:
t5,
2
5
2
.
0 6
1,
4
6
4士4,
5
6
3
.
6 6
7,
0
2
8:
t2,
9
8
4
.
3
1
8,
6
9
8:
t1,
4
5
8
.
8 1
9,
1
0
9:
t1,
1
2
0
.
4 1
9,
7
7
6:
t9
9
9
.
4 1
9,
9
97
:
t1,
1
2
2
.
4
8
2
4土2,
3,
4
17
:
t1,
9
5
0
.
8 2,
7
1
6
.
9
8
6
5土2,
8
6
4
.
8 2,
8
52
:
t2,
3
9
9
.
1
1
9土 6
3
7土 1
0
5
.
3
8
3
.
8
7
.
4
6
1士 1
産
乳に向けら 2
れた ME量
1,
5
7
8士2,
7
3
9
.
7 2
5,
9
1
6:
t4,
2
3
7
.
2 3
1,
6
84
:
t4,
4
4
5
.
6 3
4,
1
64
:
t4,
5
5
7
.
9 3
8,
8
1
8:
t5,
2
5
4
.
1 4
6,
2
0
7士5,
1
21
.0
% ofMEI
MEm
M E,
M Ep
産乳に向けら
れた
ME量
3
9
.
4
1
0
.
4
3
58
1
0
.
1
0
.
1
3
4
.
7
6
.
3
0
.
1
5
0
.
2
5
4
.
0
5
8
.
9
目
3
4
.
0
5
.
1
0
.
1
3
2
.
2
4
.
7
0
.
0
3
2
9
.
8
1
.
2
6
0
.
8
6
3
.
1
6
9
.
0
.
7
5
.
2
7土 0
5
.
2
3:
t0
.
7
5
.
7
0士 0
.
7
MJ/kg
産乳に要する
ME量
5
.
8
8:
t0
.
7
5
.
6
3土 0
.
9
5
.
73
:
t0
.
8
北海道大学農学部農場研究報告第 3
1号
118
表4
3
. 産次別の 1
乳期生産時での産乳に要する M E量
産次
初産
経産
kg
6,
4
6
1土 9
0
7
.
4
4,
6
8
3土 7
5
5
.
4
MJ
7,
3
1
9:
t6,
2
4
5
.7
4
8,
0
9
3:
t4
9
9
4
.4 5
9,
2
7
7土 1,
2
5
0
.
9
t1392.8 1
1
7
.
1
7
0:
2,
8
7
5士2,
4
4
9
.
6
4,
7
0
7土 2
0
0
3
.
8
2
1:
t 68.8
9
4土 1
9
8
.
9
FCM量
MEI
MEm
M E,
ME
p
産乳に向けら
れ た M E量
3
5,
1
4
6:
t6,
3
2
8.
2
2
6,
1
2
4土 4
0
9
4
.
1
%ofMEI
恥1E
m
乱IE
f
乱1E
p
3
5
.
7
9
.
8
0
.
2
3
3
.
6
5
.
0
0
.
1
産乳に向けら
れた M E量
5
4
.
3
61
.3
産乳に要する
M E量
5
.
6
2:
t 0.7
MJ/kg
5
.
4
6士 0
.
8
表4
4
. 給与粗飼料構成別の 1
乳期生産時での産乳に要する M E量
処理群
C
R2
R+R1
R3
kg
乱1
E
I
MEm
ME
,
乱1E
p
産乳に向けら
れた M E量
5,
5
9
2:
t1,182.5
9
7
5:
t4,
6
7
4
.
2
5
7,
1
9,
4
1
9:
t1,
3
4
3
.
1
5,
0
27
:
t2,
1
0
0
.
8
9
6土 2
2
0
.
0
1
5l
:
:
l
:1,
1
1
9
.
9
6,
MJ
5
9,
5
4
3土 6,
0
51
.4
5
4,
3
8
1:
t6,
9
7
4
.
0
1
8,
6
2
6士1,
3
6
7
.
2
1
8,
8
6
0土 1,
6
8
0
.
1
2
4
5:
t2,
1
61
.5
3,
1
1
9:
t2,
5
4
4
.
2
3,
t 79.9
2
2土
2
5:
7
0
.
6
4
7,
5
2
1土 4,
5
8
9
.
0
1
7,
6
8
8士1,
4
8
6
.
9
2,4
6
8:
t2,668.0
4
4土 1
1
0
.
6
4
3
2:
t4,
8
1
2
.
4
3
3,
3
2,
2
5
3土 7,
1
2
0
.
0
2
7,
3
2
1士5,
3
61
.
2
3
3
.
5
8
.
7
0
.
1
3
4
.
7
6
.
0
0
.
0
4
31
.3
5
.
2
0
.
0
4
3
7
.
2
5
.
2
0
.
1
5
7
.
7
5
9
.
3
6
3
.
5
5
7
.
5
.
5
"
5
.
4
4土 0
5
.
5
0:
t0.8
6
.
1
9:
t 0.7c
t 0.5A
4
.
9
2:
6,
1
9
9土 1,
0
4
9
.
3
FCM量
5,
9
1
8土 1,
2
61
.7
3
7,
7
7
3士6,
6
2
8
.
3
%ofMEI
ME
m
ME
,
ME
p
産乳に向けら
れた M E量
る文
す異
要:
υ
ハ
く
p
i
nり
,
水
町
音
山
差
有
問
字
一B
に旦皐一仁
乳E
産M 一人
MJ/kg
8
%量であった。すなわち,粗飼料割合の高い飼料
給与粗飼料構成が同一な群内での分娩季節の違
給与条件下での産乳に要する M E量 は 給 与 粗 飼
いと産乳に要する M E量 の 関 連 に つ い て 検 討 す
料構成により変動し,その値は概ね日本飼養標準
るため,春分娩牛(表 4
5
),夏・秋分娩牛(表 4
6
)お
(
1
9
9
4年版)54)の値から +15%程度までの範囲内
7
)に分けて 1乳 期 生 産 時 で の
よび冬分娩牛(表 4
にあるが,給与粗飼料構成によっては日本飼養標
産乳に要する M E量を示した。なお,濃厚飼料給
準(
1
9
9
4年版)刊と同等,あるいは十 1
5%以上の
与レベルが同一で、あった
値となる可能性も示唆された。
び R3群のみを解析の対象とした。産乳に要する
(R+R1)群, R2群およ
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
1
1
9
表4
5
. 春分娩牛の 1乳期生産時での産乳に要する ME量
処理群
R+R1
FCM量
R2
kg
5,
5
4
5:
t 9
6
5
.
6
MJ
5
7,
2
1
3:
t6,
3
6
4
.
9
1
8,
1
8l
:
t
,
13
0
3
.
6
9
4
8土 2,
5
0
9
.
7
3,
0
2
.
0
4
2土 1
5,
6
2
2:
t1,
2
6
9.
2
MEI
m
ME
ME
f
ME
p
5
2,
1
8
9土 7,
4
1
5
.
8
1
8,
3
1
5土 1,
6
4
0
.
7
3,
5
3
1土 1,
9
8
3
.
9
2
3士 8
2
.
2
産乳に向けら
れた ME量
3
0,
3
2
0土 6,
4
01
.0
MEm
MEf
ME
p
3
5
.
1
6
.
8
0
.
0
4
産乳に向けら
れた ME量
5
8
.
1
産乳に要する
ME量
5
.
4
6士 0
.
7A
R3
4,
6
8
2土 9
7
3
.
0
4
4,
2
7
9士4,
3
0
0
.
0
1
7,
0
2
7士1,
6
3
8
.
7
4,
0
4
6士2,
3
0
3
.
7
5
6土 1
3
0
.
7
3
5,
0
4
2:
t5,
5
8
4
.
6
%ofMEI
3
l
.8
6
.
9
0
.
1
2
3,
1
5
0士4,
0
9
2
.
3
1
.2
6
MJ/kg
6
.
3
7士 0
.
88
5
2
.
3
3
8
.
5
9
.
1
0
.
1
4
.
9
9:
t0
.
4A
A,B:異文字問に有意、差あり (
Pく O01
)
‘
表4
6
. 夏・秋分娩牛の 1
乳期生産時で産乳に要する ME量
処理群
R+R1
FCM量
5,
2
2
1士 7
6
4
.
3a
MEI
ME
m
MEf
MEp
5
2,
4
1
0土 6,
0
9
6
.
8
1
8,
4
8
3土 1,
6
31
.5
3,
5
6
1士1,
1
8
0
.
5
2:
t 9
7
.
4
産乳に向けら
れた ME量
3
0,
3
1
4:
t6,
5
3
7
.
6
。
MEm
MEf
ME
p
3
5
.
3
6
.
8
0
.
1
産乳に向けら
れた ME量
5
7
.
8
産乳に要する
ME量
ab
5
.
8
6:
t1
.2
R2
kg
7,
3
8
8:
t 8
0
9
.
0c
MJ
6
6,
0
7
3土 3,
0
4
2
.
4
4
6
6士 6
4
7
.
6
1
8,
t
,
14
0
0
4
5
2:
。.
R3
b
6,
3
2
5:
t 7
31
.7
5
0,
0
0
8土 1,
3
1
3
.
9
1
7,
7
4
4士 8
8
3
.
9
2
.
2
3
6:
t1
.7
5
2
.
4
1
1土
2
8
.
0
4
7,
1
5
6土 3,
4
5
0
.
8
%ofMEI
2
7
.
9
0
.
7
3
0
.0
1
8:
t2
.2
3
8
.
2
l
.4
7
MJ/kg
41
土 0
.
4b
6.
6
0
.
0
3
5
.
5
4
.
5
0
.
0
2
a
4
.
7
9:
tO
.5
a,b,c・異文字聞に有意差あり (
P
<
O
.
0
5
)
M E量の範囲は,春分娩牛,夏・秋分娩牛および冬
の違いによってやや異なり,また給与組飼料構成
分娩牛でそれぞれ 4.99-6.37
,4.79-6.41および
によっては日本飼養標準 (
1
9
9
4年版)刊と同等,あ
4.98-5.54MJ/kgであり,これらの値は日本飼
るいは十 1
5%以上の値となる可能性もあるが,概
養 標 準 ( 1994年 版 )54) に 対 し て そ れ ぞ れ
ね日本飼養標準 (
1
9
9
4年版)刊の値から +15%程
101-129,9
7-129お よ び 101-112%に 相 当 し
度までの範囲内にあると考えられた。
た。すなわち,粗飼料割合の高い飼料給与条件下
以上のように,粗飼料割合が高い飼料給与条件
での産乳に要する M E量は,その範囲が分娩季節
下では, GEEおよび NEEは必ずしも低下しなか
1
2
0
北海道大学農学部農場研究報告第 3
1号
表4
7
. 冬分娩牛の 1
乳期生産時での産乳に要する M E量
処理群
R2
R十 R1
FCM量
MEI
MEm
MEf
ME
p
産乳に向けら
れた ME量
6,
3
6
6:
t1,
2
7
6
.
7
5
6,
4
8
9土 6,
6
6
0
.
2
1
9,
3
4
2:
t
1
.6
5
7
.
3
2,
9
4
8:
t2,
5
5
8
.
1
1
1土
4
8
.
5
3
4,
1
8
8土 7,
5
1
7
.
8
乱1
E
m
ME
,
MEp
産乳に向けら
れた ME量
産乳に要する
ME量
kg
6,
7
3
8:
t 3
7
7
.
8
MJ
6
0,
3
7
7土 1,
6
1
8
.
5
1
9,
9
1
2土 1,
2
9
0
.
1
3,
0
9
8:
t2,
0
6
6
.
0
3
7,
3
6
8土 3,
4
5
9
.
4
R3
6,
5
7
0:
t 3
2
4
.
2
5
1,
1
7
5土 3,
2
5
5
.
2
1
9,
0
67
:
t 8
3
0
.
7
6
7
9:
t1
.3
9
8
.
2
6
4:
t 1
4
3
.
5
3
2,
7
2
3士3,
4
0
5
.
0
%ofMEI
3
4
.
3
5
.
2
0
.
0
2
6
0
.
5
3
3
.
0
5
.
1
3
7
.
3
1
.3
0
.
1
6
1
.9
6
3
.
9
MJ/kg
5
.
4
0:
t0
.
6
.
5
5
.
5
4士 0
4
.
9
8士 0
.
5
ったが,産乳に要する M E量 は 日 本 飼 養 標 準
低下しなかった。また,エネルギー消化率および
(1994年版)54) にくらべてやや高くなった。すなわ
q ともに平均値を中心に上下 1
0%単位程度の変
ち,産乳に向けられた M Eの牛乳生産への利用効
動がみられた。エネルギー消化率および qの変動
率が粗飼料多給により低下したと考えられた。こ
には飼料中粗飼料割合と摂取レベルが大きく関与
れには飼料中の粗飼料割合の増加に伴う熱発生量
していた。通常の 1乳期飼養下では乳期の進行に
の増加問が関与している可能性がある。
伴い飼料中の粗飼料割合は高くなる一方で、摂取レ
また,自給粗飼料多給下の産乳に要する M E量
は乳量レベル,給与粗飼料構成および分娩季節に
ベルは低下することから,両者の影響が相殺され
エネルギー消化率および qに変動が生じた。
よって変動していたが,概ね日本飼養標準 (1994
年版)54)の値から +15%程度までの範囲内にあっ
2)エネルギー出納試験成績から得られた GEE
た。従って,本研究のような組飼料割合が 70%以
の平均値は 35.6%であり,その変動には乳量レベ
上の飼料を給与する際の産乳に要する M E量は,
ルが大きく関与していた。通常の l乳期飼養下で
日本飼養標準 (1994年版)刊の値に 15%程度の上
は M E摂取量の変動にくらべ乳量の低下割合が
乗せが必要で、ある。
大きいことから
2
. 結論
変動は必ずしも乳量レベルだけに起因するもので
本研究は,泌乳牛の自給粗飼料多給飼養下にお
GEEに変動が生じた。一方, NEE
の平均値は 59.2%であり, G
EEとは異なり,その
はなしその他の要因が考えられた。
ける飼料エネルギーの利用効率に関与する要因を
ギー消化率および qの平均値はそれぞれ 65.2%
3
) 1乳期飼養試験成績から求めた GEEおよび
NEEの平均値は 34.5%および 56.8%であり,
飼料中の粗飼料割合が高くなっても G
EEおよび
NEEは必ずしも低下しなかった。また, 1乳期生
産時での G
EEおよび NEEの値はエネルギ一試
および 54.5%であり,飼料中の粗飼料割合が高く
験時での値とほぼ同様であったが,その変動は両
なってもエネルギー消化率および qは必ずしも
者ともエネルギー出納試験時にくらべ小さかっ
明らかにする目的で行なったものであり,以下の
ように結論される。
1)エネルギー出納試験成績から得られたエネル
1
2
1
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
た
。
ぴエネルギー出納試験成績を用いて,泌乳牛の自
給粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利
4
) 1乳期生産時での GEEは乳量レベルおよび
産次の影響を受け,乳量レベルが高いほど,また
用効率に関与する要因を明らかにする目的で行な
った。
初産牛にくらべて経産牛のほうが GEEが高かっ
た。一方,
NEEはそれらの影響を受けず,乳量レ
ベルおよび産次に関わらずほぽ一定であった。
乳期生産時での
1
GEEおよび NEEの点からみて
2
. 延べ 2
1
8頭のエネルギー出納試験成績から得
られたエネルギー消化率および qの平均値はそ
れぞれ,
6
5
.
2%および、 5
4
.
5%であり,飼料中の粗
有効な泌乳初期での給与粗飼料構成は,春分娩牛
飼料割合が高くなってもエネルギー消化率および
では夏季の放牧地草多給,冬分娩牛では冬季のコ
qは必ずしも低下しなかった。また,エネルギー消
ーンサイレージとアルフアルフアサイレージの組
化率および q ともに平均値を中心に上下
1
0%単
み合わせ,および夏・秋分娩牛では放牧後期の放
位程度の変動がみられた。エネルギー消化率およ
牧地草多給とそれに続く冬季でのコーンサイレー
び qの変動には飼料中粗飼料割合と摂取レベル
ジとアルフアルフアサイレージの組み合わせであ
が大きく関与しており,変動の多くはこれら二つ
った。
の要因により説明できた。すなわち,通常
1乳
期飼養下では乳期の進行に伴い飼料中の粗飼料割
5
) 1乳期飼養試験成績から求めた産乳に要する
合は高くなり,その一方で、摂取レベルは低下する。
ME量の平均値は 5
.
5
1MJ/kgであり, 日本飼養
標準(
1
9
9
4年版)54) での 4
.
9
5MJ/kgに く ら べ や
このため,エネルギー消化率および qに対する両
者の影響が相殺されて上記のような変動が生じた
や高くなった。この値は乳量レベル,給与粗飼料
と考えられた。 GEEの平均値は
構成および分娩季節によって変動したが,概ね日
の変動には乳量レベルが大きく関与していた。通
9
4年版)刊の値から +15%程度ま
本飼養標準(19
常の 1乳期飼養下では
での範囲内にあった。
3
5
.
6%であり,そ
ME摂取量の変動にくら
べ,乳量の低下割合が大きいことにより生じると
6)従って,粗飼料割合が 7
0%以上の飼料を給与
NEEの平均値は 5
9
.
2%であ
った。 GEEとは異なり, NEEの変動は必ずしも乳
ME量は,日本飼養標準
(
1
9
9
4年版)刊の値に 1
5%程度の上乗せが必要で
要因が考えられた。
考えられた。一方,
する際の産乳に要する
量レベルだけに起因するものではなしその他の
あると結論した。
摘
要
1
.1
9
8
4年 5月から 1
9
9
3年 4月までの 9年間,
北海道大学農学部附属農場畜産第二部のホルスタ
イン種泌乳午全頭を供試し,
自給粗飼料多給飼養
3
. 延べ 1
0
8頭の 1乳期飼養試験成績から求めた
GEEおよび NEEの平均値はそれぞれ 3
4
.
5%お
よび 5
6
.
8%であり,飼料中の粗飼料割合が高くな
民下しなか
っても GEEおよび NEEは必ずしも f
乳期生産時での GEEおよび NEE
った。また 1
下における飼料エネルギーの効率的利用に基づく
はともにエネルギー出納試験での値とほほ、同様で、
泌乳牛の飼養方式確立を目的として長期的かつ総
あったが,その変動は両者ともエネルギー出納試
合的な試験を実施した。自給粗飼料の種類,量お
験時にくらべ小さかった。 GEEは乳量レベルおよ
よびそれらの組み合わせの異なる処理群を設定し
び産次の影響を受け,乳量レベルが高いほど,ま
て 1乳期飼養試験を行な 7 とともに,それらの供
た初産午にくらべて経産牛のほうが GEEが高か
試牛の中から乳期および産次を考慮して,併せて
った。一方,
エネルギー出納試験を行なった。本研究はこれら
レベルおよび産次に関わらずはぽ一定であった。
一連の試験の中から得られた 1乳期産乳成績およ
1乳期生産時での GEEおよび NEEの点からみ
NEEはそれらの影響を受けず,乳量
北海道大学農学部農場研究報告
1
2
2
第3
1号
て有効な泌乳初期での給与粗飼料構成は,春分娩
をいただいた。さらに北海道大学農学部畜産学科
牛では夏季の放牧地草多給,冬分娩牛では冬季の
家畜飼養学講座(現畜産科学科畜牧体系学講座)
コーンサイレージとアルフアルフアサイレージの
の歴代修了生,卒業生諸氏には本研究の共同研究
組み合わせ,および夏・秋分娩牛では放牧後期の
者として昼夜を問わず試験遂行上数々のご協力を
放牧地草多給とそれに統〈冬季でのコーンサイレ
いただいた。
ージとアルフアルフアサイレージの組み合わせで
ここに,以上の各位に深く感謝の意を表する次
第である。
あると考えられた。
4
. 1乳期飼養試験成績から求めた産乳に要する
M E量の平均値は 5
.
5
1MJ/kgであり, 日本飼養
標準(
1
9
9
4年版)54) での 4
.
9
5MJ/kgに く ら べ や
や高くなった。この値は乳量レベル,給与粗飼料
構成および分娩季節によって変動したが,概ね日
本飼養標準 (
1
9
9
4年版)54) の値から +15%程度ま
での範囲内にあった。従って,粗飼料割合が 70%
以 上 の 飼 料 を 給 与 す る 際 の 産 乳 に 要 す る M E量
は
,
日本飼養標準(19
9
4年版)叫の値に 15%程 度
の上乗せが必要で、あると結論した。
謝
辞
本研究を取りまとめるにあたり,北海道大学大
学院農学研究科教授大久保正彦博士には終始懇切
なるご指導,ご助言をいただき本稿のご校閲を賜
った。また,北海道大学大学院農学研究科教授田
中桂一博士ならびに同助教授近藤誠司博士には本
稿のご校閲と懇篤なご助言をいただいた。さらに,
北海道大学名誉教授朝日田康司博士,同名誉教授
上山英一博士,現鳥取大学農学部教授関根純二郎
博士には研究開始当初から懇切なるご指導,ご鞭
引用文献
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9
7
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g
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o
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.C
4
. 坂東健:トウモロコシサイレージを基本飼料とする
牛乳生産に関する飼養学的研究.北海道立農業試験場
報告, 8
1
: 18
9
.1
9
9
3
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捷を賜った。ここに深甚なる感謝の意を表する。
また,本研究の遂行にあたって,北海道大学農
学部附属牧場助教授秦寛博士,元北海道大学大
学院農学研究科助手諸岡敏生氏,現同助手上回宏
一郎博士には有益なご助言,ご協力をいただいた。
本研究は 1
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4年 以 降 北 海 道 大 学 農 学 部 附 属 農
場畜産第二部で行なわれたものであり,この間の
試験牛の一般管理,飼料の調製など実際の現場に
おいては,北海道大学農学部附属農場畜産第二部
技官岩倉
隆氏,同新海秀史氏,同高橋太郎氏,
元技官西山政治氏,同仁和敏夫氏,同稲見昇氏,
同平中
昇氏,同吉田哲三氏から絶大なるご協力
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養分要求量に関する研究.畜試特報, 2 :7a
.
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. 橋爪徳三・森本宏・増淵敏彦'安部道夫・堀井聡・
浜田竜夫・実川義人・横田千尺.乳牛の飼養標準に関
する研究
VI.乳牛の妊娠時におけるエネルギ一代謝
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.
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堀井
聡・実川義人・横田千尺・山本藤五郎・高橋覚
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第3
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. 森本 宏・橋爪徳三・増淵敏彦・安保庄一郎・高橋正
也・斉藤久弥・布村
稔・前田昭二.{山田久芳・早川
政市・杉原敏広・工藤吉人・宮谷内留行・高野恵三・
石井力夫・松村緑・針生程吉・花坂昭吾・戸塚宏・
石井尚一-犬童幸人・向居彰夫・岡本昌三・牧野敏夫・
今淵宗男・上原邦夫・遠藤
司・野村亀次郎・土田武
エネルギ一代謝に及ぼす環境温度の影響ーサイレー
男・香川壮一・宮本伸昭・石浜克夫・加々見恒夫・大
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. 栗原光規・久米新一・相井孝允・高橋繁男・柴田正貴・
西国武弘:気候温暖化に対応した乳牛の飼養法
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ネルギ一代謝に基づく技術評価一.九州農試報告,
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犬童幸人・向居彰夫・岡本昌三.乳牛の飼養標準に関
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佐藤正・小川昭二・池田森男・佐々木敏夫・佐々木
重人・長岡正三・森田
沢一志・渡辺
修・吉田
稔・高橋敏郎・平
肇・西埜進・曽根章夫・大沢貞次郎・
若原英敏・石栗敏機・和泉康史・図師重孝・橋本専一・
飯野
弘・大神田昭雄・毛利忠男・神谷陸郎・湯山
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松尾完二・市川忠雄・星谷佳功・藤森 進・平賀幸夫・
勝山建郎・斉藤義行・平林栄司・蔵知
毅・小沢宣雄・
加本一久・上原茂喜・清須秀徳・多田昌男・守屋典彦・
小谷順一・山本一朗・河田治茂・成田
宇都宮義文・本村一郎・長沢
弘・山本忠道・
明・久保山義秋・増満
洲市郎・山本文男・加留部誠二・熊丸朋臣:乳牛の飼
養標準に関する研究
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.飼養試験より得た乳生産に
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. 森本宏・橋爪徳三・増淵敏彦・海塩義男.乳牛の飼
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養標準に関する研究
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加藤次男・岡野福夫・小池幸良
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ン種乳牛群のエネルギー粗効率と簡易指数について.
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.
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. 農林水産省農林水産技術会議事務局編・日本飼養標
1
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7年版).中央畜産会.東京. 1
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.
準・乳牛 (
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. 農林水産省農林水産技術会議事務局編.日本飼養標
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4年版).中央畜産会.東京. 1
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京. 1
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計.農林統計協会.東京. 1
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. 大久保正彦・前滝次郎・近藤誠司・関根純二郎・朝日
田康司:北大農場における牛乳生産のエネルギ一利用
中辻:泌乳牛の粗飼料多給飼養下における飼料エネルギーの利用効率に関する研究
効率.北大農場研究報告, 2
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. 大久保正彦.牛乳生産技術の課題と方向. 日畜会報,
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成分含量による牛乳エネルギ一価の推定. 日畜会報,
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.
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. 関根純二郎・森田 茂・花田正明・諸問敏生・近藤誠
司・大久保正彦・朝日田康司
6カ月齢子牛に対する
オーチヤードグラス乾草および混合飼料のエネルギ一
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価査定. 日畜会報, 5
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