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インプリント技術の実装応用

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インプリント技術の実装応用
インプリント技術の実装応用
産業技術総合研究所
集積マイクロシステム研究センター
高橋 正春
1
National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
はじめに
近年,MEMS分野に於いて,微細な機能デバイスの加工と回路基板を組み合
近年,MEMS分野に於いて,微細な機能デバイスの加工と回路基板を組み合
わせた製造技術が検討され,レジストパターニングやドライエッチングなどの半
わせた製造技術が検討され,レジストパターニングやドライエッチングなどの半
導体製造技術を応用した,作成方法が主に取り入れられています。しかし,使用
導体製造技術を応用した,作成方法が主に取り入れられています。しかし,使用
する装置が高価,工程数も多く,コスト高であるため,安価で容易な作成手法が
する装置が高価,工程数も多く,コスト高であるため,安価で容易な作成手法が
望まれており,多くの研究者が新しい製造手法を検討しています。その対応策
望まれており,多くの研究者が新しい製造手法を検討しています。その対応策
のひとつとしてナノインプリント技術が注目を集めています。
のひとつとしてナノインプリント技術が注目を集めています。
MEMSデバイスや集積回路などにおいて配線の高密度・微細化の要求に対し,
MEMSデバイスや集積回路などにおいて配線の高密度・微細化の要求に対し,
これまでの材料とは異なる低誘電率材料(樹脂)と銅との組み合わせによる新し
これまでの材料とは異なる低誘電率材料(樹脂)と銅との組み合わせによる新し
い微細パターニング手法も検討されています。
い微細パターニング手法も検討されています。
MEMSデバイスに於ける微細パターンの一例としてここでは,熱インプリント成形
MEMSデバイスに於ける微細パターンの一例としてここでは,熱インプリント成形
加工とダマシン法を併用する銅/低誘電率パリレン-C薄膜の配線に関する研究を
加工とダマシン法を併用する銅/低誘電率パリレン-C薄膜の配線に関する研究を
紹介いたします。
紹介いたします。
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
MEMSにおけるナノインプリントの歴史
「型を用いたコストダウン」
・1995年、ミネソタ大学のChou教授ら、
・1995年、ミネソタ大学のChou教授ら、 MEMS工学の分野に於ける型を用いた成形技
MEMS工学の分野に於ける型を用いた成形技
術として高分子膜に10nmパターン転写いたしました。
術として高分子膜に10nmパターン転写いたしました。
・型はシリコン酸化膜に電子ビーム露光とドライエッチングによるものが用いられました。
・型はシリコン酸化膜に電子ビーム露光とドライエッチングによるものが用いられました。
・ナノ構造をプリントするので「ナノインプリント」と言います。
・ナノ構造をプリントするので「ナノインプリント」と言います。
・シリコンモールドに替わるニッケル電鋳金型によるポリマー系材料の転写成形。
・シリコンモールドに替わるニッケル電鋳金型によるポリマー系材料の転写成形。
型を用いた成形技術は、微細パターンを一気に創生でき、同じ形状のものを精度よく繰
型を用いた成形技術は、微細パターンを一気に創生でき、同じ形状のものを精度よく繰
り返し作成できます。
り返し作成できます。
・マスター型は高価でも、コピーが大量に作れればコストダウンに繋がる技術です。
・マスター型は高価でも、コピーが大量に作れればコストダウンに繋がる技術です。
ディスペンサ
加圧・樹脂充填
紫外線硬化樹脂
基板
(a)
(b)
紫外線源
紫外線照
射
離型(転写完成)
(c)
(d)
光ナノインプリント
熱ナノインプリント
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
インプリント技術の実装応用:現状と課題
光インプリント
ナノ配線応用に適合
(エポキシなど光硬化性材料)
高精度加工/位置合わせ(熱影響なし)
現状
・半導体分野応用に適用
(22nmflashメモリ)
・単層配線(メモリ)応用は可能であるが
位置合わせが必要なナノ配線(LSI)応用は困難
課題
・より微細化
・EUVレベルの生産性(高速充填)
・欠陥低減
・高精度位置合わせ
・低誘電率材料開発
・評価法
LSI応用のためには装置・素材・プロセスなどの総
合的な発展および組み合わせが必要
熱インプリント
マイクロ~センチレベル回路形成に適合
(耐熱性樹脂、ガラス、金属など実装材料)
・幅広い成形材料
(耐熱性樹脂、ガラス、金属など実装材料可能)
・製膜手法の選択性
現状
・加工精度(数十ナノレベル)
・熱問題
位置合わせ制御の制限
(150℃以下で1マイクロレベル)
サンプルの反り
・LSIなど積層ナノ配線への適用は無理
課題
・被成形素材の多様化に対応できる型技術
・熱応力対策
・成形温度を低くできる方案
・欠陥低減
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
型加工技術
・型
・型
成形パターンの形状、寸法(品質:精度)
成形パターンの形状、寸法(品質:精度)
生産性
生産性
・成形素材の多様化(熱インプリント)
・成形素材の多様化(熱インプリント)
樹脂(高ガラス転移点:Tg)、ガラス、金属、Si
樹脂(高ガラス転移点:Tg)、ガラス、金属、Si
・型素材の多様化
・型素材の多様化
耐熱性、耐久性、熱膨張係数、加工性、化学的安定性
耐熱性、耐久性、熱膨張係数、加工性、化学的安定性
・型加工技術の多様化
・型加工技術の多様化
型素材
加工技術
成形素材
適用プロセス
Si型
ドライエッチング(+電子ビーム描画、stepper, contact
aligner)、集束イオンビーム加工
樹脂、金属
熱インプリント
室温加圧式インプリント
Ni型
Si型製作プロセス+NI電鋳
樹脂
熱インプリント
集束イオンビーム加工、機械加工、レーザー加工、ドライエッ
チング(+電子ビーム描画、stepper, contact aligner)
ガラス、金
属、樹脂
熱インプリント
石英型
ドライエッチング(+電子ビーム描画、stepper, contact
aligner)、熱インプリントによる複製
樹脂
低Tgガラス
光インプリント(メイン)
熱インプリント
樹脂型
熱インプリントによる複製
樹脂
光インプリント
熱インプリント
非晶質
カーボン型
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
実装分野への応用事例
デュアルダマシンプロセスへの適用
立体配線基板
工程数の短縮=コストダウン
平成16年度NEDO報告書
「ナノインプリント技術の調査」より引用
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
パリレンCフィルムへの銅配線工程
Fig. Process layout for metallization of copper on parylene-C
film micro-patterned by hot-embossing.
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
小型熱ナノインプリント装置
(最高加熱温度:700℃、最大加圧力2kN)
加熱冷却が速いので商品開発などの研究開発向き
樹脂材料から耐熱性ガラス(650℃)の成形も可能
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
o
o
P (kgf), TL( C) , TU ( C) , DU ( μm)
熱インプリント工程
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
A : Applied force, P (kgf)
o
B : Temp. of lower press-head, TL ( C)
o
C : Temp. of upper press-head, TU ( C)
D : Displacement of upper press-head, DU ( μm)
A
C
D
0
B
1000
2000
3000
Elasped time (s)
4000
Fig. Typical imprinting conditions history.
加熱→加圧・保持→冷却→離型
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
ニッケル電鋳型
ダミーパターン
成形パターンの周囲に
材料流動防止
Fig. SEM images of the micro patterns in the Ni molds; (a) pattern with 25μm height
and 10 μm width/spacing, (b) pattern with 10 μm (partially 30 μm) height and 10
μm width/spacing.
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
パリレン樹脂への配線パターン形成
パターンサイズ:15ミクロン
アスペクト比:1
モールド:ニッケル
絶縁性の高い材料への配線パターニング
(隣接する配線との絶縁性を考慮)
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
酸素プラズマによる密着性改善
(a) 熱インプリント後
(b) 酸素プラズマ処理 (200 W, 50 Pa、2min)
Fig. SEM images of embossed surfaces before and after O2 plasma treatment.
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
ダマシン配線
(b) 銅メッキ
(a) Parylene surfaces imprinted
(c) CMP
Fig. Optical and SEM images of micro-scale gap-filled Cu lines in parylene-C
surface after chemical mechanical planarization (CMP) process.
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
まとめ(パリレンC)
・ホットエンボス加工(熱インプリント)とダマシン法による銅/低誘電率パリ
レン-C薄膜の配線技術について紹介した。
・パリレン-Cと異種材料(Siウェーハ,バリア層)の密着性向上方法を検討
した。
・パリレン-C薄膜に深さ25μm幅10μmのラインアンドスペースパターン
部を転写させるホットエンボスプロセス条件の最適化。
・エンボス成形したパリレン-C薄膜上にメタルバリア層Ta,銅シード層を薄
く形成し,めっきCuを堆積した後, CMPによる平坦化処理を行った。その
結果, アスペクト比2.5の微細銅パターンをパリレンC薄膜に形成すること
ができた。
・集積回路の微細化に伴い銅/低誘電率薄膜配線技術の重要性はどんど
ん高まっている。
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
低誘電率パリレンーC薄膜に代わる
SU-8による微細配線パターン形成
・SU-8(化薬マイクロケム社)は耐薬品性,耐熱性に優れ,各
種MEMSデバイスへ応用されているエポキシ系レジスト材料で
ある。 UV(紫外線)硬化性樹脂であるため,MEMS微細加工技
術におけるUVフォトリソグラフィ基盤技術に利用されている。
・熱硬化性樹脂でもあるSU-8は,完全硬化後のガラス転移温
度 (Tg) が200℃であり耐熱性素材でもあるが,完全硬化前の
プリベーク温度が約60℃であるため,型を用いるインプリント
成型が容易である。この特性を生かせば,多層構造成形に活
用 が可能。
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
SU-8光硬化性樹脂の熱および電気特性
Table. Thermal and electrical properties of SU-8.
Crosslinked (cured)
200
Uncrosslinked (uncured)
60
Glass transition temperature, Tg
(℃)
Thermal stability (℃@5% wt. loss)
300
Coefficient of thermal expansion,CTE (/℃)
5.2x10-5
Dielectric constant @ 1GHz
3.28
Bulk resistivity (Ω.cm)
7.8x1014
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
SU-8光硬化性樹脂の光・熱併用
Fig. Process flow of UV-assisted thermal imprinting using non-transparent mold.
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
Siマスターとニッケル電鋳型
(a) Si master with self-aligned Si trench and via structures
(c) Electroformed Ni mold
Fig. SEM images of self-aligned two-tiered Si master and electroformed Ni mold
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
SU-8へのUV照射時間による転写形状
30s
(a)
20s
(b)
10s
(c)
8s
(d)
Fig. SEM images of the imprinted SU-8 sample surfaces pre-treated
with UV light for different exposure time. (a) 30s, (b) 20s, (c) 10s, (d) 8s
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
SU-8へのUV照射および熱による転写形状
Fig. SEM images of the SU-8 surface patterned by UV-assisted thermal
imprinting with Ni
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
Si基板上SU-8への配線形状転写とCu鍍金
SU -8/Si sample
Plate -type polymer spacer
(a) Photograph of imprinted SU-8/Si sample.
A plate-type polymer was used as a spacer.
(Temp.:90℃,2.2MPa,HT:300s)
(c) Partial area magnification of patterned filed.
(b) SEM image of patterned field.
(d) After CMP process
Fig. The SEM images of the micro pattern replicated by thermal imprinting the un-cured
SU-8 resist pre-treated by UV light for 8s.
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
Si基板上SU-8への配線形状
Fig. Photo and SEM images of Cu/SU-8/Si sample
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
SU-8からSiO2
Fig. Photo and SEM images of Cu/SiO2/Si sample
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
SU-8からSiO2(4inウェハ)
Fig. Size dependence of Cu dishing amount
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
まとめ(SU-8)
・熱インプリント技術を用いて,SU-8薄膜にマイクロパターンを形成するプ
ロセス研究について紹介した。
・熱・O2プラズマ・UVによる硬化前のSU-8の表面処理がインプリント成形
での転写性に及ぼす影響を調べた。
・その結果としては,SU-8の前処理としてUV照射時間8秒のサンプルが
一番良好な転写結果を示し ,アスペクト比2.5の微細パターンをSU-8薄
膜に形成することができた。
・配線溝部については,めっきにより銅を堆積した後,CMPにより平坦化
を行うことで,複雑形状の配線がきれいに作成される。
・物理的に型を押し当てて形状転写するため,量産化,低コスト化には型
寿命(型に負荷がかからない)について配慮が必要であり,実用化には,
成形対象となる材料の選択や,高集積化対応として多層構造のデバイス
製作可能な材料についてもまだまだ検討が必要である。
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National Institute of Advanced Industrial Science and Technology(AIST)
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