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- 1 - 1599.歴史が教える教訓 未来のリーダーになれる人の 3条件
3条件
1599.歴史が教える教訓 未来のリーダーになれる人の3
DIAMOND Online 2013.4.26. 鈴木博毅
(傍線:吉田祐起引用)
今と同じように、大きな変革、未来のリーダーが求められていた幕末・明治期。 古いパラダイム
を壊し、新しい未来をつくれた人にはどんな共通点があるのか?福沢諭吉という驚くべき“近代
人”の「突破法」から、今日本人に必要な「リーダーの条件」を考える。
4月末までにやっておくべき研修とは?
新社会人に、4
支配的な思考や考え方を「パラダイム」と呼び、特定の業界や社会体制が長びくとそのパラダ
イムはやがて固定化されていきます。
書籍『パラダイムの魔力』の著者であるジョエル・パーカーは、パラダイムを新しく変えること
ができる人を、以下の4つに分類しています。
1)研修を終えたばかりの新人
(1
2)違う分野から来た経験豊富な人
(2
3)一匹狼
(3
4)よろずいじくりまわし屋(なんにでも好奇心をもつ人)
(4
ちょうど4月半ば、スーツ姿が初々しい社会人1年生は長い研修を受け、現場の仕事を見学
する忙しい毎日を過ごしている時期ですが、パラダイムを新しく変えることができる分類に「研修
を終えたばかりの新人」が含まれることに、驚くビジネスマンもいるのではないでしょうか?
彼らがその可能性を持つのは、既存のパラダイム(支配的な考え方)を外からフレッシュな視
点で見ることができるからです。逆に私たちは業界のパラダイムにすでに長い時間浸かり、半
ば常識としてできることとできないことの境界線を明確に理解しています。
ところがそのような「業界の常識としての限界や発想」を知らない新人は、時に会社や業界が
本来直面している問題を、新しい視点や枠組みで解決する発想を得ることがあるのです。
したがって「研修を終えたばかりの新人」には、彼らが業界の古いパラダイムに毒されないう
ちに、以下のような質問への提案論文を書かせるのがいいでしょう。
・わが社が直面している大きな課題をどう解決するか?
・業界自体の問題や現状を打破する新しいアイデアを出せ
・景気の問題、人口問題がある中での新規事業の発案
ビジネスの右も左もわからない新人が、何をほざくと馬鹿にするのは簡単です。しかし、彼ら
に自社の課題へ当事者意識を持たせておくことは、パラダイムを打ち破る新しいアイデアを醸
成させるために、重要なチャンスでもあると考えるべきでしょう。
ちなみにジョエル・パーカーは少し皮肉を込めて、最高のアイデアを思いつくときは、
1. 入社したての新人時代 2. その会社を辞める直前
の2つの時期だとしています。
新人時代は、フレッシュな視点で入ったばかりの会社や業界を眺めることができる から。そし
て会社を辞める直前は、斬新なアイデアを持っても頭のカタイこの会社では、新たなアイデアを
事業化するだけの懐も、柔軟性もないと気がつく からです(本当に斬新なアイデアを持った人
は、硬直化した組織の会社を辞めて独立してしまう)。
-1-
鉄は熱いうちに打て、ということわざもあります。新入社員の頭脳が柔らかいうちに、斬新な
発想を彼らから引き出すため、大きな課題を「質問形式」で彼らにぶつけることを、ためらわない
ほうがいいでしょう。役職が上がっている頃には、すっかり古いパラダイムに毒されているかも
しれないのですから。
3つの条件
福沢諭吉が教える、未来のリーダーをつくる3
福沢諭吉は19歳の頃、ペリーの黒船が来航したことでオランダ語を学ぶことを兄から勧めら
れ、長崎に遊学したことがのちの大活躍につながりました。
ある意味で大きな変化に直面したことが、彼自身に新たな能力を身に付けさせることにつな
がったのです。その後、諭吉は長崎と大阪で蘭学書を読み研究する生活を続けることになりま
すが、彼は海外を知り、江戸幕府の視野の狭さを痛感していきます。
日本の歴史初のアメリカ使節団として、咸臨丸に同乗したのはあまりにも有名ですが、その
後渡欧(1862年)、そして再度の渡米(1867年)をしています。
幕末の当時としては、極めて珍しく諭吉は「外側から日本のパラダイムを見る」体験を積んで
いることがわかりますが、先駆者として彼は多くのメリットを得ることになります。以下の3つの
条件を満たす人こそ、未来のリーダーになれるのです。
1)新しい知識や変化を集団に導入できる人
(1
蘭学を学び、海外渡航の経験を持つことで、下級武士の家に生まれた諭吉は、その知識と経
験を買われて中津藩、あるいは幕府内でも重要な役割を担うことになります。
彼が1863年に書いた著作『西洋事情』は、当時珍しい世界の事情を詳しく教えてくれる書と
して飛ぶように売れ、のちの大政奉還や明治維新の呼び水となったと言われています。
2)古いパラダイムに毒されず、見えないものが見える人
(2
諭吉は米国や欧米各国を歴訪することで、先進国の進んだ文明の科学技術が、一般庶民で
ある中産階級からどんどんと生まれていることを理解します。
何でも御上(江戸幕府)任せの古い日本社会では考えられないことで、維新後に書いた『学問
のすすめ』では、国民全員が国家の進歩に貢献できることを特に強調しています。
3)山積みの問題を解決する、新たなパラダイムを発見できる人
(3
諭吉は、複式簿記や西洋の保険制度を日本に最初に紹介した人物としても知られています。
明治維新後の議会政治についても、その導入に尽力しています。
古いパラダイムは、そのパラダイムでは解決できない問題を明確にしていきますが、日本を
外から眺めることで、どのようなパラダイムに侵されているかを諭吉は理解したのでしょう。
現代では自らの会社やビジネスを外から眺める経験が、新しいブレイクスルーを生み出すの
と同じ意味だと考えることができます。
吉田松陰、高杉晋作、福沢諭吉、誰もが世界の事情を知ることを目指した
萩の「松下村塾」で知られる吉田松陰は、明治維新の精神的な起点となった人物として知ら
れます。彼は諭吉とわずか5歳しか変わらない人物(1830年生まれ)ですが、ペリーの黒船来
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航によって、海外渡航を企てます。理由は海外の最新技術や知識を得るためです。
長州藩で討幕のきっかけを作った高杉晋作は、1862年に藩命で上海に渡航しています。そ
こで見た清国の半植民地化の現状や西洋列強の武力などに衝撃を受けて帰国しています。
大変革期に内側にこもり続けることは、古いパラダイムの中に浸り続けることに似ています。
その枠組みからアタマが抜け出せないならば、問題解決力が向上せず、結果として古いパラダ
イムと共に衰退してしまいます。
内側に閉じこもるだけでは、すでに山積みの問題を解決できないとき、私たちは一体どのよう
に行動したらいいのでしょうか。これまでの習慣的なビジネスの進め方で海外メーカーとの競争
に負けてしまうならば、新しい付加価値を生み出せないならば、どうすべきでしょうか?
諭吉は書籍『西洋事情』や『学問のすすめ』で、日本の古いパラダイムを外から眺める経験を
日本全国の人たちに勧めています。大きな集団でも小さな組織でも、古いパラダイムに苦しむと
き、新たな視点を外側から集団に持ち込む人こそが必要とされるのです。
『学問のすすめ』は140年前、変われない日本人と日本社会を変えるために書かれた書籍で
す。時代が変わるたび、リーダーに求められる素養も変わると言われていますが、大変革期を
体験している今だからこそ、新たなパラダイムを組織や集団に導入できる人物こそが、未来のリ
ーダーになる時を迎えているのではないでしょうか。(第7回に続く)
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この連載の著者・鈴木博毅さんが、『学問のすすめ』を現代の閉塞感と重ね合わせながら、維新
の「成功の本質」を23のポイント、7つの視点からやさしく読み解く書籍が発売されました。歴史
的名著が実現させた日本史上最大の変革から、転換期を生き抜く方法をご紹介します。変革期
に役立つサバイバルスキル、グローバル時代の人生戦略、新しい時代を切り拓く実学、自分の
アタマで考える方法など。140年前と同じグローバル化の波、社会制度の崩壊、財政危 機、社
会不安などと向き合う転換期の日本人にとって、参考となることが満載です。
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ヨシダコメント:
「リーダーの条件」をグーグルで検索すると3百万件以上。「リーダーの3条件」で66万件出まし
た。ほかでもありまえせん、前職時代は「総合物流・経営コンサルタント」時代に講演や寄稿論
文でしばしば引き合いに出したのが「21世紀型リーダーの3条件~洞察力・説明責任・動機付
け~」でした。かの竹中平蔵慶応大学教授のオリジナルでした。
本稿におけるそれは、(1)新しい知識や変化を集団に導入できる人 (2)古いパラダイムに毒さ
れず、見えないものが見える人 (3)山積みの問題を解決する、新たなパラダイムを発見できる
人ですが、偶然にも、本記事を勉強する過程で前出の竹中平蔵教授提唱の「21世紀がリーダ
ーの3条件」に出会ったことから、本稿の直後に編集します。
No.1(1-300) No.2(301-400) No.3(401-500)
No.7(996-1100)
No.4(501-700)
No.5(701-900)
No.6(901-996)
No.8(1101-1300) No.9(1301-1500) No.10(1501-1700)
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