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平成23年度電子経済産業省推進費

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平成23年度電子経済産業省推進費
平成23年度電子経済産業省推進費
協働型の電子政府構築手法に関する調査研究
(震災からの復旧・復興にかかる公共システムの在り方に関する調査研究)
最終報告書
2012 年 3 月 30 日
株式会社 三菱総合研究所
目 次
1.調査の目的と方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 2
(1)調査の目的 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
(2)調査方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 4
2.分析結果 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(1)東日本大震災における情報通信技術活用の実態について ・・・・・・・・・・・・
(2)今後の復旧・復興における情報通信技術が果たす役割について ・・・・・・・
(3)オープンガバメント推進策の在り方について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
1
18
19
27
34
1.調査の目的と方法
2
1.調査の目的と方法
(1)調査の目的
・本事業全体の内容は下表のとおりである。本報告書は、このうち、(1)文献調査・ネット調査、(2)キーパ
ーソンへのヒアリング結果などもとに、「東日本大震災における情報通信技術活用の実態」「今後の復旧・
復興における情報通信技術が果たす役割」「オープンガバメント推進策の在り方」についてとりまとめたも
のである。
・その他の事業内容や成果については、別添の資料編を参照されたい。
表1 本事業全体の実施内容(実施計画書より)
項目
(1)文献調査・ネット調査
内容
・東日本大震災後の被災者支援ニーズ及び、情報通信技術が果たした役
割、課題等について、関連する調査や記録等を収集・分析する。
(2)キーパーソンへのヒアリング
・東日本大震災後に被災地等で支援活動を行っている団体、IT を活用して支
援活動を行っている企業・団体、関連する調査を実施している団体・有識者
などを対象に、計 100 件以上のキーパーソンへのヒアリングを実施する。
(3)被災者の方々への直接調査に
よる実態調査・ニーズ調査
(4)インターネット上の大量データ等
の解析による調査
(5)ウェブを活用したソーシャルマー
ケティングの実施等
・(1)及び(2)の成果を最大限に活用し、被災者への直接の取材・調査は、原
則実施しないが、必要な場合は最小限の補足的な調査を行う。
・Twitter データや(2)の成果などをもとに、被災者支援ニーズの可視化・定量
化などを目的とした解析手法の研究及びツールの開発を行う。
・ネットアクション 2011 の主旨や活動を広く国民に周知するため、現在のウェ
ブサイトの拡充(一般向けサイトの立上げなど)、被災者とのバスツアーや
震災復興支援関連のアプリやウェブサイトなどの表彰や、ソーシャルメディ
アを活用した口コミでの伝播を図る。
・英語版コンテンツの作成や国際会議での発表などを通して、海外への情報
発信を行う。
(6)収集した情報の分析及び調査
研究報告書の作成
・(1)、(2)で収集した情報などもとに、東日本大震災における情報通信技術
活用の実態や、今後の復旧・復興における情報通信技術が果たす役割、オ
ープンガバメント推進策の在り方に関する分析を行い、最終報告書としてと
りまとめる。
(7)中間調査研究報告書のとりまと ・平成 24 年 1 月 20 日までに中間調査研究報告書をとりまとめる。
めとラップアップ会議の開催
・平成 24 年 3 月中に、調査研究の締めくくりと成果の共有を目的としてラップ
アップ会議を実施する。
(8)システムの開発・導入等
・(1)~(7)の実施に当たり必要な情報システム(例:ネットアクション 2011 一
般向けサイトなど)の構築・運用を行う。
3
(2)調査方法
①文献調査・ネット調査
・ウェブに公開されている東日本大震災関連の調査・文献の中から、主に被災者ニーズに関係するものを中
心に計 44 件を収集した(表2、図2)。
・収集した関連調査・文献情報は、ネットアクションサイト(http://netaction.openlabs.go.jp/)で紹介した(図
1)。
図1 ネットアクションサイトでの関連調査・文献の紹介(例)
4
表2 収集した関連調査・文献一覧
No.
件名・発表時期・調査実施主体
概要
応急仮設住宅の入居者の居住環境を中心に課題を把握し、関係各府
1
応急仮設住宅の居住環境等に関 省庁・関係地方自治体が連携して構ずべき対応策を検討するため、
応急仮設住宅設置 50 市町村および、50 市町村から抽出された 3,231
するアンケート調査
世帯の入居者を対象に実施したアンケート調査結果(有効回答 2,013
(2011.09.30:厚生労働省)
2
東日本大震災による産業・雇用
への影響(2011.7:(独)労働政
策・研修機構)
3
「新しい公共」による被災者支援
活動等に関する制度等のあり方
について(2011.0614:内閣府)
4
東日本大震災における避難行動
等に関する面接調査(住民)分析
結果(2011.08.16:内閣府ほか)
5
地方公共団体の防災対策及び東
日本大震災における災害対応等
(2011.06.17:消防庁)
6
多賀城市震災区域被災者アンケ
ート調査(2011.8:多賀城市)
7
東北地方・太平洋沖地震、津波
に関するアンケート調査分析速報
(2011.05.07:NPO法人環境防
災総合政策研究機構)
8
東日本大震災に関する調査(被
災者アンケート)(2011.07.27:
国土交通省・気仙沼市)
9
被災者の声に基づく課題分析(ス
テークホルダー分析)調査
(2011.04.21:松浦正浩)
世帯)。
幅広い業種に被害が及んだ東日本大震災に対し、独立行政法人労働
政策・研修機構の調査・解析部が、大日本水産会、石油連盟、日本製
紙連合会、日本百貨店協会、日本民営鉄道協会、全日本トラック協
会、日本工作機械工業会の 7 つの業界に取材し、被災状況や、被災
地・被災企業への支援、復旧への取組みなどについてとりまとめ、機
構の月刊誌「ビジネス・レイバー・ビュー」7 月号に特集として掲載。
「新しい公共」推進会議に設けられた震災支援制度等ワーキンググル
ープ報告に、推進会議委員の意見・知見を加味し、被災者の支援や
被災地の今後の復旧・復興に向けて「新しい公共」の力が発揮される
よう、見直すべき制度や構築すべき支援のしくみ等を 5 つの提案として
まとめた報告書。
「東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震・津波対策に関する専門調
査会」第7回会合(平成 22 年 8 月 16 日開催)に提供された、岩手県、
宮城県、福島県の被災 3 県の 870 名に対する「東日本大震災における
避難行動等に関する面接調査(住民)」の資料。
「第 1 回地域防災計画における地震・津波対策の充実・強化に関する
検討会」(平成 23 年 6 月 17 日)に消防庁が提出した資料。
岩手、宮城、福島の被災 3 県内市町村における、災害時点での津波
震災予測図やハザードマップ、津波避難計画、避難勧告等の発令基
準の有無や、防災行政無線、自主防災組織など住民に対する伝達手
段の整備状況などを整理。加えて、宮城県内沿岸市町村へのヒアリン
グにより、大津波警報発令時における避難伝達手段の活用状況を調
査。
多賀城市の「復興計画」(10 年計画)策定に際し、被災市民の今後のま
ちづくりへ意向を把握するため、津波浸水区域の居住全世帯(5,187 世
帯)を対象に実施したアンケート調査(回答 2,611 世帯、回答率 50.3%)
の結果。
釜石市および名取市の避難所の被災住民を対象に、津波来襲時の
被災者の意識と行動を明らかにし、厳しい被災経験の中から今後の
教訓に生かせることを探る目的で、NPO法人と大学研究室が独自に
行ったアンケート調査結果をもとに、地域特性の違いを加味して分析。
国土交通省および気仙沼市が被災地の復興計画策定にあたっての
基礎資料作成過程における情報収集の一部として、気仙沼市の避難
所および仮設住宅の被災住民を対象に実施した震災直後からの避難
行動に関するアンケート調査結果を速報として公表したもの。
被災者のニーズや関心を踏まえた被災地域での生活支援や復興に
向けた活動を行うことを目的として、朝日新聞の「被災者の声」欄に掲
載された 210 名(185 件)の被災者の声をもとにステークホルダー分析
を行うことで被災者の声を類型化し、被災者のニーズや関心を抽出、
整理している。
5
No.
件名・発表時期・調査実施主体
10
復旧の現状と復興への取組
(2011.12.05:東日本大震災復
興対策本部)
11
「東日本大震災に学ぶ 今後の
ICT 活用のあり方」に関する調査
報告(2011.08.04:情報化推進
国民会議)
12
東日本大震災後の福島県いわき
市南部地域の状況~「風評」問
題に翻弄された被災地の記録~
(2011.04.11:小田隆史)
13
14
15
16
概要
東日本大震災復興委対策本部が逐次更新発表する資料の 12 月5日
版で、「Ⅰ 復旧の現状と主な課題への取組状況」、「Ⅱ 復興に向け
た取組」で構成されている。
避難者数、避難所および仮設住宅への入居状況や、沿岸市町村の災
害廃棄物の撤去状況、主なインフラの復旧状況などのデータを示すと
ともに、仮設住宅入居者に対するアンケート調査を実施し(被災 3 県約
3,000 世帯に配布し、6 割以上の世帯から回答)、寒さ対策や買い物支
援等に対する対応状況が報告されている。
東日本大震災における安否確認等への ICT の活用状況や、今後の復
興に向けて ICT がはたすべき役割などについて、情報化推進国民会
議の中にプロジェクトチームを設置し、加盟企業・団体等へのヒアリン
グなども踏まえて検討した結果の報告。
災害フェーズを①災害発生時、②災害発生直後、③復旧期、④復興
期の 4 つに分類し、各フェーズで得られた教訓や改善に向けた視点を
分析・提案。
御茶ノ水大学の小田隆史氏が福島県南部の被災地に入り、被害状況
や被災後の通信、情報交換や情報収集の実態、福島原発事故にとも
なう風評被害の状況等を調査し、東北地理学会の東日本大震災の緊
急公募サイトに投稿した現地レポート。地震発生後の現地での通信・
放送の状況や情報の伝達状況、風法被害の状況などについて報告。
被災者が、必要な情報をどのように入手・発信したか、あるいは利用
できなかったか、それらの要因は何であったなどの情報行動につい
て、震災当日、1週間まで、1ヵ月まで、3ヵ月までの時系列および、内
東日本大震災 情報行動調査
陸部・沿岸部などの被災地域を軸に調査・分析。
(速報版)(2011.07.26:情報支
震災当日、最も利用された情報源、最も役に立った情報源はともにラ
援プロボノ・プラットフォーム)
ジオ。停電や通信インフラ障害の影響が大きい。インフラの復旧に伴
い、1 週間を過ぎた頃からテレビやインターネットが上位に返り咲く結
果となっている。
経団連及び情報通信関連諸団体の呼びかけにより、被災者・被災地
の復旧支援を目的に設立された「東日本大震災 ICT 支援応援隊」の
約 4 ヶ月弱にわたる支援活動の成果を取りまとめた報告書。
東日本大震災 ICT 支援応援隊活 被災地避難施設、仮設住宅集会所、医療施設、学校および被災者支
動報告書(2011.07.29:東日本 援を行う公的機関やNPOの支援業務を対象に、応援企業がノートパ
ソコン、周辺機器、ソフトウェア、通信関連装置、一定期間の無償ネッ
大震災 ICT 支援応援隊)
ト接続サービスを提供。現地支援団体が、被災者・被災地のニーズや
状況の把握と支援要請、現地での機器設定や保守管理等を支援した
こと等を報告。
福島県仮設住宅団地周辺環境
調査分析結果の報告(2011 年 8
月時点)(2011.09.02:ふくしま
連携復興センター)
北上市内の避難者の生活課題に
関するヒアリング調査分析(概
要).(2011.11:きたかみ復興支
援協働体)
仮設住宅団地が広範囲に分散し実態把握が難しい福島県において、
ふくしま連携復興センターが「第一次福島県仮設住宅周辺環境調査
(7 月時点)」の結果を分析。
岩手県沿岸地域から北上市への避難者 593 人を対象に、福祉協力員
による全戸訪問聴き取り方式により調査し 451 人から回答を得た。調
査の実施において対象者の把握の困難さも指摘している。
6
No.
件名・発表時期・調査実施主体
17
岩手県仮設住宅団地周辺環境
調査分析結果の最終報告
(2011.07.13:岩手県、いわて連
携復興センター)
18
宮城県石巻市仮設住宅周辺環
境調査分析(2011.07.07:石巻
復興支援ネットワークほか)
19
つなプロ避難所アセスメント 分
析速報(2011.04.11~
2011.07.04:被災者を NPO とつ
ないで支える合同プロジェクト)
20
東日本大震災の概況と政策課題
(2011.04.26:国立国会図書
館)
21
災害時における情報通信の在り
方に関する調査結果
(2012.03.07:総務省情報通信
国際戦略局)
22
データが語る被災 3 県の現状と
課題 - 東日本大震災復旧・復
興インデックス(2012 年 3 月更
新)-(2012.03.08:総合研究
開発機構)
23
東日本大震災の被災地への神戸
市支援活動記録誌の中間報告
(2012.01.11:神戸市)
24
被災地域における水産加工業の
現状と課題(2012.02.21:独立
行政法人 中小企業基盤機構)
概要
岩手県といわて連携復興支援センターが、被災6市町の仮設住宅団
地を対象に行った現地環境調査結果の報告。
宮古市、釜石市、陸前高田市の特に 25 戸以下の小規模団地におい
て集会施設が不足、市内の公共交通機関が回復していない陸前高田
市では市内の移動支援が、市町村間の公共交通機関が回復していな
い大槌町では市町村間の移動支援がそれぞれ必要、陸前高田市、大
槌町では病院・診療所、理美容店への移動支援が必要などと指摘し
ている。
「被災者とNPOとつないで支える合同プロジェクト(つなプロ)」の一環と
して、特定非営利法人石巻復興支援ネットワークと一般社団法人 RCF
震災復興支援チームが共同で、石巻市の仮設住宅団地入居者を対
象に実施した、仮設住宅周辺環境に関する調査結果の概要。
仙台・東京・関西を中心とするNPOネットワーク「被災者を NPO とつな
いで支える合同プロジェクト(つなプロ)」が、3月末から6月末にわたり
延べ 400 人のボランティアを派遣して、宮城県内 600 か所の避難所の
実態を調査。
国立国会図書館(調査及び立法考査局)が、2011 年 4 月 13 日時点に
おける東日本大震災の概況や政府の対応、直面する主要課題などに
ついてとりまとめたもの。「調査と情報(第 708 号)」に掲載。
政府の対応は時系列で整理。主要課題については、生活支援、がれ
き処理、住宅対策、インフラ復旧、医療、雇用など 9 項目に分けて整理
している。
総務省が㈱三菱総合研究所に委託し実施した東日本大震災の発災
時から平成 23 年 4 月末頃までにおける被災者・ボランティア(行政、企
業・産業、NPO、住民等)の情報行動やICTの活用状況についてのイ
ンタビュー調査結果。震災時に利用したメディアの評価をはじめ、地震
発生後の時間経過と情報収集手段の変化や防災無線、携帯電話、イ
ンターネット等メディアごとの活用状況、ICT環境に対する具体的な要
望やニーズ、事業継続に対する影響、個人情報の取り扱いや高齢者
への配慮等について分析。
NIRAが、東日本大震災からの復旧・復興の状況の全体像を把握する
ことを目的に9月から定期的に公表してきた「東日本大震災復旧・復
興インデックス」を更新・改良するとともに、インデックスを用いて被災 3
県の状況を、①被災地での生活を支えるインフラの総合的な復旧度を
示す「生活基盤の復旧状況」指数、及び②被災した人々やその地域の
生産・消費・流通などの状況を時系列に把握する「人々の活動状況」
指数から掘り下げて分析。
あわせて災害時における国や地方自治体の統計データの政策への
反映の意義と重要性について提言。
神戸市が阪神・淡路大震災当時の経験と教訓を生かした東日本大震
災被災地支援への取り組みうち職員派遣の経験・教訓の検証・分析を
行うとともに、これらを踏まえて、今後の大規模広域災害における広域
支援のあり方などを検討した「支援活動記録誌(中間報告)」。
派遣職員を対象とした 15 回のワークショップ、受け入れ側6自治体10
部局職員へのヒアリングによる検証をふまえ、「今後の大規模広域災
害における広域支援に向けた対策(中間提言)」として公表。
(独)中小企業基盤機構が、宮城県石巻地区で水産加工業企業に対
して複数回実施した詳細なヒアリング調査結果から被災地の復旧・復
興に向けての取り組みとその過程における課題についてとりまとめ中
小機構調査レポートとして公表した報告書。
東日本大震災による水産関係施設の被災状況をはじめ、宮城県の被
災現況、地域的な特徴と水産加工業、また、復興に向けた被災地の
水産加工企業の取り組み、復興過程における課題について報告。
7
No.
件名・発表時期・調査実施主体
25
東日本大震災からの復旧・復興
の取組に関する中間的な検証結
果のまとめ(第一次報告書)
(2011.12.23:文部科学省)
26
東日本大震災に係る県内企業被
害調査報告(第1回 追跡調査)
(2011.09:青森県)
27
「東日本大震災に関わる影響調
査」報告書
(2011.07.08(2011.07.14.修
正):独立行政法人中小企業基
盤整備機構)
28
東日本大震災被災地における教
育状況調査中間報告 Vol1
(2012.02.07:公益社団法人日
本フィランソロフィー協会)
29
「東日本大震災における被災者・
被災地支援アンケート」調査結果
<速報版>(2011.12.13:(社)
日本経済団体連合会)
30
東日本大震災 先遣隊フォロー調
査報告(2011.08:日本災害看
護学会)
31
被災地における医療従事者のニ
ーズ調査(2011.10.06:日本トラ
ウマティック・ストレス学会 ファイ
ザー株式会社)
概要
文部科学省省内検証チームが、東日本大震災から半年以上が経過し
た時点で、復旧・復興に関する取組の課題、教訓等を整理し、今後の
危機管理等の取組に活用するため、文部科学省の取組について緊急
時対応体制をはじめ、被災地・被災者への緊急支援、学校における教
育活動等への支援、教育施設の復旧・復興への支援、科学技術分野
の支援、文化・スポーツ分野の支援、原子力災害への対応の7項目に
分類し、各部局による自己検証と全職員から意見募集を実施した中
間的検証結果。
青森県が4月の訪問調査で把握した県内企業の直接・間接被害の状
況等を定期的にフォローアップし、県内企業の早期復興に向けた支援
施策の周知と活用促進、適切な支援施策の実施を目的に実施した追
跡調査の報告。
復旧・復興に当たっての課題としては、自粛ムードの払拭、電力の安
定確保、運転資金の調達、原材料・商品等の確保等、また、必要な支
援策としては、自粛ムードの払拭と観光客誘致、電力の安定供給、金
融支援の充実・強化、風評被害対策等について報告。
独立行政法人中小企業基盤整備機構が実施した中小企業への影響
調査結果。電力供給の不安定、消費自粛による売上や利益率の減
少・低下、原材料・部品の調達が困難等の視点から大震災の影響を
分析したほか、大震災後の開発・生産・販売動向、大手取引先の震災
後の動向、中小機構の支援メニューへの関心等について報告。
公益社団法人日本フィランソロフィー協会が被災地の子ども達の教育
環境を整えるために教育現場の現状を把握し、客観的指標で評価を
行なうとともに支援企業や市民団体に対しバックグラウンド情報を提
供するために実施した調査結果の中間報告。
現地ヒアリング調査にもとづくニーズマッピング手法により、被災影響
度、対策状況、支援優先度を評価し、今後の課題や展望について報
告。岩手県大槌町と福島県相馬市のニーズについても比較分析。
(社)日本経済団体連合会が会員約 1500 社・団体を対象に、震災発生
直後から9月末までの支援活動について実施したアンケート調査(回
答 511 企業・団体)結果の速報。
企業・団体による支援金の実績をはじめ、金銭寄付を実施した企業
数、現物寄付を行った企業数、社員等が被災者・被災地支援活動(ボ
ランティア活動)等に参加した企業数、企業人によるボランティア活動
等の参加延べ人数等について報告。
日本災害看護学会が3月から4月に実施した先遣隊活動のフォロー
調査として、被災後4ヵ月半が経過した宮城県、岩手県、福島県の被
災地や避難先を訪問し、発災から4ヵ月半後の被災者の暮らしの現
状、被災地の健康ニーズと課題、行政機能ごと移転した地域の保健・
福祉のニーズなど被災者の健康ニーズや看護ニーズについてアセス
メントを行うとともに、中長期的な支援活動に対する検討を目的に行っ
た調査活動の報告。
東日本大震災の被災地に向けた支援のひとつとして、被災者への
PTSD(Post-traumatic Stress Disorder:心的外傷後ストレス障害)の
治療を支援することを目的に「東日本大震災 こころのケア支援プロジ
ェクト」を展開する日本トラウマティック・ストレス学会とファイザー株式
会社)が、医療従事者を対象に実施したニーズ調査結果。医療従事者
が必要としている情報、被災地における医療従事者のニーズ等につ
いて報告。
8
No.
32
33
34
35
36
37
38
件名・発表時期・調査実施主体
概要
産経新聞社が震災から6ヶ月後に、大阪市立大学の協力を得て、仙
台市宮城野区、若林区と岩手県宮古市田老地区の仮設住宅で暮らす
被災者を対象に行ったアンケート調査結果。
高台移転希望をはじめ、プレハブ仮設住宅の満足度、緊急時に頼るこ
とができる人、仕事・就業についての評価等について報告。
産経新聞社が大阪市立大学の協力を得て、仙台市、岩手県宮古市田
老地区及び陸前高田市の避難所で暮ら被災者を対象に行ったアンケ
ート調査結果。
東日本大震災被災者アンケート
被災した土地に残りたいかどうかの意向をはじめ、足りなかったもの
(2011.06.10:産経新聞社)
や困ったこと(1ヶ月経過毎)、仕事への影響、義援金を受け取る被災
者に適切な配分方法、仮設住宅への入居意向等の設問について集
計結果を報告。
日本財団が個人、団体、NPO、企業など多様な主体が被災地・復興の
ためのプラットフォームとして立ち上げた「ROAD プロジェクト」の 10 ヶ
月間の支援活動の歩みをとりまとめ、毎月報告されていたマンスリー
ROAD プロジェクト活動報告(マン レポートを集約し、「ROAD プロジェクト活動報告・マンスリーレポート
スリー・レポート 2012 年 1 月号) 2012 年 1 月号」として発表。
民による民のための支援活動について、災害にかかる支援活動助成
(2012.01:日本財団)
プロジェクト、臨時災害FM局支援プロジェクト、聴覚障害者に対する
支援拠点プロジェクト、避難所の仮設トイレ衛生環境改善プロジェクト
等 36 事例を紹介。
東洋大学PPP研究センター長根本教授をリーダーとする調査チーム
が、岩手県南部の被災地に赴き、被災自治体と近隣及び遠隔の自治
体が被災自治体を支援する後方支援業務の実態調査(遠隔自治体に
東日本大震災被災地自治体に対 は別途訪問)の結果をとりまとめ発表した調査レポート。
する後方支援業務のあり方調査
被災自治体では、山田町、釜石市、紫波町、大槌町、陸前高田市、大
報告書(2011.06.10:東洋大学 船渡市における被災状況や行政の復旧への取り組み状況についての
現地での聞き取り調査を報告。支援自治体では、沿岸 6 市町に後方
PPP研究センター)
支援を行う遠野市、住田町(社会福祉協議会)、現地に職員を派遣し
後方支援を行う北九州市、大阪市、静岡県への聞き取り調査の結果
を報告。
若手起業家などが東日本大震災の復興を加速する目的で立ち上げた
一般社団法人RCF災害支援チームがメールマガジンを通じて発表し
た大学の震災支援の取組みに関する分析結果。東北福祉大学をはじ
大学の被災地支援モデル
め、早稲田大学、松本大学、福島大学・福島県立医科大学、京外語
(2011.07.26:RCF 災害支援チ
大、工学院大学、東北大学農学部、グロービス経営大学院、関西学院
ーム)
大学の活動事例のほか、被災地自治体(いわき市、石巻市、八戸市、
仙台市)と被災地大学(いわき明星大学、石巻専修大学、八戸工業大
学、仙台学長会議)の復興協定等の事例について概要を報告。
株式会社帝国データバンクが、岩手、宮城、福島3県沿岸部の津波の
東北 3 県・沿岸部「被害甚大地
被害が大きかった地域と原発事故による立入禁止区域・計画的避難
域」5000 社の現地確認調査
区域に本社がある 5004 社の内、集計可能な 4280 社を主な対象に、
(2011.07.08:株式会社帝国デ
震災後の活動状況、今後の事業継続方針について、6 月 6 日~6 月
ータバンク)
30 日に現地聞き取り調査を行った結果。
東日本大震災により、あらためて BCP(事業継続計画)の必要性に注
目が集まっているなかで、株式会社帝国データバンクが、それまで国
BCP(事業継続計画)についての
内の企業の取り組みはどのような状況にあったのかまた、震災を受け
企業の意識調査(2011.06.27:
て取り組みに対する意識は変わったのかを探るべく、同社景気動向調
株式会社帝国データバンク)
査の登録企業(全国 2 万 2,240 社)を対象に実施したアンケート調査
(回答 1 万 769 社)の結果。
東日本大震災6ヶ月 仮設住宅
入居者200人アンケート
(2011.09.10、11 産経新聞
社)
9
No.
件名・発表時期・調査実施主体
39
東日本大震災後の安否確認シス
テム導入意向に関する調査結果
2011(2011.06.29:株式会社
矢野経済研究所)
40
41
42
43
44
概要
株式会社矢野経済研究所が、売上高 1 億円以上の同社ユーザー企
業 600 件に対し、5 月時点で東日本大震災後の安否確認システム導
入意向について実施した Web アンケート調査結果の概要。
詳細な集計結果等については、「東日本大震災後の災害対策ソリュー
ション市場~ニーズの変化とビジネス動向~」(2011 年 6 月 15 日発刊
(有料販売))に掲載。
株式会矢野経済研究所が、BCP(事業継続計画)策定についての意
向や国内遠隔地へのバックアップ拠点の設置の意向などについて、
東日本大震災後の BCP(事業継 売上高 1 億円以上の同社ユーザー企業 600 件を対象に実施した Web
続計画)に関する調査結果 2011 アンケート調査、およびITベンダー13 社に対し実施した直接取材調査
(2011.07.05:株式会社矢野経 の要旨。
詳細な集計結果等については、「東日本大震災後の災害対策ソリュー
済研究所)
ション市場~ニーズの変化とビジネス動向~」(2011 年 6 月 15 日発刊
(有料販売))に掲載。
インターネットリサーチのマイボイスコム株式会社が、自主企画として
自社のアンケートモニターを対象に東日本大震災の災害情報等をど
災害時の情報収集
のように収集したかについて実施したインターネットアンケート(11,682
(2011.06.01:マイボイスコム株 名が回答)の結果。
震災に関する情報収集源・役に立った情報収集源をはじめ、震災時の
式会社)
情報収集・連絡のツール、震災後ソーシャルメディアの利用頻度など
について報告。
(株)サーベイリサーチセンターと(株)東日本放送が、共同自主調査と
東日本大震災「宮城県沿岸部に して宮城県沿岸部 8 市町村 18 避難所の被災者を対象に個別面接調
おける被災地アンケート」
査を実施し、有効回答サンプル 461 の分析結果の概要を 4 月 28 日W
(2011.428:株式会社東日本放 EB上で発表。
津波来襲の確信度と到達までの時間的余裕の見通しをはじめ、必要
送、株式会社サーベイリサーチセ
な情報、震災に関する報道の問題点、ボランティアに望む支援、行政
ンター)
に望む支援、今後の居住などについて報告。
(株)ウェザーニューズ社が、同社が展開するインターネットサイト及び
携帯サイト「ウェザーニュース」およびスマートフォンアプリケーション
「ウェザーニュースタッチ」の全国の利用者の協力のもと、東日本大震
全国 8 万 8 千人の津波・地震発
災が起きた際にどのようなエリアの人がどのような行動をとっていたか
生時の行動・意識を分析
「東
を明らかにするために実施した全国 88,604 人(うち被災地 9,316 人)を
日本大震災」調査結果
対象とした調査の結果。
(2011.04.28:株式会社ウェザー
被災地で地震発生から津波の情報を知るまでにかかった時間、津波
ニューズ)
警報を最初に入手したメディア、被災地での災害に関する情報の入手
先、地震発生後、家族や友人と連絡が取れた時間などについて集計
分析。
近年企業の事業継続を脅かすリスクの顕在化により BCP(事業継続
東日本大震災を受けた企業の事 計画)策定はじめさまざまな対策が講じられてきた中、東日本大震災
業継続に係る意識調査
を受け、企業にどのような影響が及び、何が課題であったのか、BCP
(2011.07.19:株式会社 NTT デ をはじめとした既存の対策は有効に機能したか」等について「gooリサ
ーチ」が全国の登録ビジネスモニターを対象に行った非公開型インタ
ータ経営研究所)
ーネットアンケート調査結果。
10
文献調査・沼ット調査 全体マップ
IT以外
復旧の現状と復興への
取組(2011.12.05:東日本
大震災復興対策本部)
東日本大震災の概況と
政策課題(2011.04.26:
国立国会図書館)
地方公共団体の防災対
策及び東日本大震災に
おける災害対応等
(2011.06.17:消防庁)
「東日本大震災における
被災者・被災地支援アン
ケート」調査結果<速報
版> (2011.12.13:(社)
日本経済団体連合会)
被災地における医療従
事者のニーズ調査
(2011.10.06:日本トラウ
マティック・ストレス学会
ファイザー株式会社)
東日本大震災からの復
旧・復興の取組に関する
中間的な検証結果のまと
め(第一次報告書)
(2011.12.23:文部科学省)
東日本大震災被災地に
おける教育状況調査中
間報告Vol1(2012.02.07:
公益 社団法人日本フィ
ランソロフィー協会)
大学の被災地支援
モデル
(2011.07.26:RCF災
害支援チーム)
ROADプロジェクト活動
報告(マンスリー・レ
ポート2012年1月号)
(2012.01:日本財団)
「新しい公共」による被災
者支援活動等に関する
制度等のあり方について
(2011.0614:内閣府)
支援者
東日本大震災 先遣
隊フォロー調査報告
(2011.08:日本災害
看護学会)
応急仮設住宅の居住環
境等に関するアンケート
調査(2011.09.30:厚生
労働省)
BCP(事業継続計画)に
ついての企業の意識調
査(2011.06.27:株式会
社帝国データバンク)
東日本大震災後の福
島県いわき市南部地域
の状況~「風評」問題
に翻弄された被災地の
記録~(2011.04.11:小
田隆史)
データが語る被災3県の
現状と課題 - 東日本大
震災復旧・復興インデッ
クス-(2012.03.08:総合
研究開発機構)
宮城県石巻市仮設住宅周
辺環境調査分析
(2011.07.07:石巻復興支援
ネットワークほか)
北上市内の避難者の生活
課題に関するヒアリング調
査分析(概要).(2011.11:き
たかみ復興支援協働体)
福島県仮設住宅団地周
辺環境調査分析結果の
報告(2011年8月時点)
(2011.09.02:ふくしま連携
復興センター)
多賀城市震災区域
被災者アンケート調
査(2011.8:多賀城
市)
「東日本大震災に関わる
影響調査」報告書
((2011.07.14.修正):独立
行政法人中小企業基盤
整備機構)
東日本大震災を受けた企
業の事業継続に係る意識
調査(2011.07.19:株式会社
NTTデータ経営研究所)
東日本大震災に係る県内
企業被害調査報告(第1
回 追跡調査)(2011.09:
青森県)
被災地域における水産加
工業の現状と課題
(2012.02.21:独立行政法
人 中小企業基盤機構)
東北3県・沿岸部「被害甚大
地域」5000社の現地確認調
査(2011.07.08:株式会社帝
国データバンク)
東日本大震災に関する
調査(被災者アンケート)
(2011.07.27:国土交通
省・気仙沼市)
東日本大震災「宮城県沿
岸部における被災地アン
ケート」(2011.428:株式会
社東日本放送、株式会社
サーベイリサーチセンター)
東日本大震災における避
難行動等に関する面接調
査(住民)分析結果
(2011.08.16:内閣府ほか)
被災者
東日本大震災 情
報行動調査(速
報)2011.07.26:情
報支援プロボノ・
プラットフォーム)
全国8万8千人の津波・地
震発生時の行動・意識を
分析 「東日本大震災」調
査結果(2011.04.28:株式
会社ウェザーニューズ)
東日本大震災後の
BCP(事業継続計画)に
関する調査結果2011
(2011.07.05:株式会社
矢野経済研究所)
東日本大震災後の安否
確認システム導入意向
に関する調査結果2011
(2011.06.29:株式会社矢
野経済研究所)
災害時における情報通
信の在り方に関する調査
結(2012.03.07:総務省情
報通信国際戦略局)
IT
図2 収集した関連調査・文献の分類
11
東日本大震災被災者ア
ンケート (2011.06.10:
産経新聞社)
東北地方・太平洋沖地震、
津波に関するアンケート調
査分析速報(2011.05.07:N
PO法人環境防災総合政
策研究機構)
「東日本大震災に学ぶ今
後のICT活用のあり方」に
関する調査報告
(2011.08.04:情報化推進
国民会議)
東日本大震災ICT支援
応援隊活動報告書
(2011.07.29:東日本大
震災ICT支援応援隊)
岩手県仮設住宅団地周辺
環境調査分析結果の最終
報告(2011.07.13:岩手県、
いわて連携復興センター)
東日本大震災6ヶ月 仮
設住宅入居者200人ア
ンケート (2011.09.10、
11 産経新聞社)
被災者の声に基づく
課題分析(ステークホ
ルダー分析)調査
(2011.04.21:松浦正
浩)
東日本大震災による
産業・雇用への影響
(2011.7:(独)労働政
策・研修機構)
東日本大震災の被災地
への神戸市支援活動記
録誌の中間報告
(2012.01.11:神戸市)
東日本大震災被災地自
治体に対する後方支援
業務のあり方調査報告書
(2011.06.10:東洋大学P
PP研究センター)
つなプロ避難所アセスメ
ント分析速報(2011.04.11
~2011.07.04:被災者を
NPOとつないで支える合
同プロジェクト)
災害時の情報収集
(2011.06.01:マイボ
イスコム株式会社)
②キーパーソンへのヒアリング
・被災地に入って支援活動をしている団体、東京などから後方支援している団体、被災した自治体や学校関
係者、漁業、農業、商業関係者など、計 110 名へのヒアリングを行った(表3、図4)。
・ヒアリングした結果をもとに計 92 件の記事を執筆し、ネットアクションサイトで公開した(図3)。
図3 ヒアリング結果をもとに作成した記事の紹介(例)
12
表3 ヒアリング調査対象一覧
No.
1
2
3
4
記事タイトル
Hack For
(1/4)
Hack For
(2/4)
Hack For
(3/4)
Hack For
(4/4)
ヒアリング対象
取材日
Japan 及川さん、冨樫さん対談
Japan 及川さん、冨樫さん対談
Japan 及川さん、冨樫さん対談
Hack For Japan 及川卓也氏、冨樫俊和氏
12 月 10 日
Japan 及川さん、冨樫さん対談
5
遠野の人々
6
釜石の店が動き出していた
7
情報発信と情報共有が不可欠
8
支援に頼り過ぎないように
9
市民の総力で後方支援
10
自治体同士のご近所付き合いが大切
11
大切なのは各自が役割を理解すること
12
「二次避難は温泉旅館でお受けします」
13
自分たちの「安全」を伝えなさい
14
長崎市から福島市への派遣職員
15
避難所運営から日常に戻る支援への転換
16
育ててもらった福島で、商人を続けたい
17
「福島は元気です」と伝えたい
18
復興ボランティア情報交換会 in 石巻
19
せっかくできたつながりを絶やさない
20
支援は現場で実行して初めて支援になる
21
きれいになって、想いを口にして
22
Hack For Japan の活動紹介
23
新たな関係構築への第一歩
24
25
漁業の再生に学ぶ
煙草でコミュニケーション
26
想いがあれば連携できる
-(遠野を訪れた際、商店街の人々などに伺
った話)
-(釜石を訪れた際、商店街の人々などに伺
った話)
遠野市社会福祉協議会 佐藤正市氏
岩手県釜石市市民生活部防災課 山田守
氏、猪又博史氏
岩手県遠野市沿岸被災地後方支援室 菊池
保夫氏、小向浩人氏、刈谷俊介氏、菊池永
人氏
岩手県沿岸広域振興局経営企画部 熊谷正
和氏
社会福祉法人大槌町社会福祉協議会 多田
左衛子氏、川端伸哉氏
松島屋旅舘・飯坂温泉旅館協同組合 高橋
美奈子氏
福島市政策推進部危機管理室放射線総合
対策課 島田清隆氏
福島市政策推進部危機管理室放射線総合
対策課 半澤一隆氏、福島市政策推進部企
画経営課 二瓶芳信氏
「LIFEKU」プロジェクト実行委員会 薮内義久
氏
福島商工会議所青年部・佐藤マシナックス工
商株式会社 佐藤雅一氏
-(復興ボランティア情報交換会 in 石巻の総
括記事)
石巻災害復興支援協議会 中川政治氏
ピースボート災害ボランティアセンター 山本
隆氏
NPO 法人ソシオキュアアンドケアサポート
光江弘恵氏
Hack For Japan 及川卓也氏、関治之氏、小
泉勝志郎氏、吉田信也氏、鈴木亮氏
-(復興ボランティア情報交換会 in 石巻にお
けるディスカッション)
Hack For Miyagi 小泉勝志郎氏
Hack For Iwate 鈴木亮氏
岡山県消防防災航空隊 貝原勝敏氏、北本
有作氏
13
12 月 24 日
12 月 23 日
12 月 8 日
12 月 7 日
12 月 8 日
12 月 7 日
12 月 7 日
12 月 9 日
12 月 9 日
12 月 9 日
1 月 22 日
12 月 9 日
12 月 18 日
12 月 18 日
12 月 18 日
12 月 18 日
12 月 18 日
12 月 18 日
12 月 18 日
12 月 18 日
12 月 28 日
No.
記事タイトル
27
介護事業者による自主的な体制づくり
28
「コード」は「行動」
30
「被災地を元気にする」のではなく「被災地が
みんなを元気にする」
会社として動いた方が大きなことができる
31
後方支援は、現代の伊能忠敬たち
32
使いやすさで繋げるラストワンマイル
33
活動できる環境があったからこそ
34
35
現地のニーズを把握できる仕組みを
その都度できることを考え判断し行動する
36
頑張って恩返ししないと
37
細く長く支援することが大事
オープンにして、ぶつかり合って、お互いを理
解する
テレワークはこれからもサービスインフラにな
る
PC を教えることだけがサポートじゃないんです
よ
社内のみんなが本気で受け止めてくれた
被災地に産業の再生を、全国に受援者とし
ての仕組みづくりを
29
38
39
40
41
42
ヒアリング対象
取材日
医療法人福寿会 秋山正史氏
「RADIATIONDOSE」開発・運営 清水俊之介
氏
「復興支援メディア隊 For Our Children」 榎
田竜路氏
Hack For Japan 高橋憲一氏
一般社団法人 OpenStreetMap Foundation
Japan 三浦広志氏
ICT ソーシャルアクションミーティング・株式会
社 42 田原大生氏
岡山県保健福祉課 亀山明高氏、大野鶴代
氏、備前保健所保健課 美甘妙子氏
岡山県産業労働部産業企画課 劔持政己氏
岡山県県民生活部国際課 中山尚美氏
漁師(気仙沼市在住) 佐々木夫一氏、フレン
ズインターナショナルワークキャンプ 富田潤
氏
社団法人 RCF 復興支援チーム 藤沢烈氏
ボランティア情報ステーション・株式会社 NTT
レゾナント 藤代裕之氏
株式会社いわきテレワークセンター 会田和
子氏
12 月 27 日
1 月 13 日
12 月 27 日
12 月 28 日
12 月 29 日
2 月 15 日
2 月 23 日
1 月 19 日
12 月 20 日
1 月 18 日
研究結果を実践に生かす
45
しごとをつくる、あしたをつくる
46
被災者の同士として進める地方行政研究
47
48
49
50
防災はソフトとハードの両面で
目で見て、心で聴く
「つなぐ」設備は自分の子ども
できるだけ正確な情報をとどける
51
行政が保有する情報は宝の山
52
54
電気が無いなら電気を作れ
オープンソースを使って組み合わせて、急ごし
宮城県多賀城市総務部総務課 田畑裕一氏
らえ
Hack For Japan 石野正剛氏
「観察」を IT に活かして価値あるものに
55
スリランカ発「Sahana(サハナ)」の挑戦
57
58
59
1月6日
日本マイクロソフト株式会社 龍治玲奈氏
神戸市産業振興局企業誘致推進室 松崎太
亮氏
iSPP(information Support pro bono
Platform) 会津泉氏
防災科学技術研究所 長坂俊成氏
キャッシュ・フォー・ワークジャパン 永松伸吾
氏
東北大学大学院情報科学研究科 河村和徳
氏
東京経済大学 吉井博明氏
復興支援メディア隊 石山静香氏
NTT 東日本 河野真之氏、滝口英樹氏
助けあいジャパン 佐藤尚之氏
東京大学空間情報科学研究センター 関本
義秀氏
岩手県山田町企画財政課 船越海平氏
44
被災地から情報を発信し、全国・世界とつな
ぐ
携帯電話網復旧の最前線
震災復興支援サービス大賞
「福幸きらり商店街」(岩手県大槌町)の皆さ
2 月 13 日
1 月 18 日
被災地の視点に立った情報支援活動を
56
1 月 20 日
NPO 事業サポートセンター 池本修悟氏
43
53
1 月 11 日
Sahana Japan Team fuga 氏、榎真治氏、吉
野太郎氏
復興支援 IT ボランティア 小杉卓氏
株式会社NTTドコモ東北支社 深瀬和則氏
-(震災復興支援サービス大賞の総括記事)
大槌「福幸きらり商店街」 山崎繁氏、佐々木
14
1 月 24 日
12 月 27 日
12 月 26 日
1 月 18 日
1 月 26 日
1 月 17 日
3月7日
1 月 30 日
2 月 13 日
2月1日
2月2日
2月1日
12 月 21 日
1 月 17 日
3月7日
1 月 27 日
3月8日
3月7日
No.
記事タイトル
62
ん
保護者が求めていたのは、こんなささやかな
「生きた情報」だったのか
学校からのメールは今でも週に 1 度、家庭に
届けられている
子どもたちの勇気、元気、希望を伝えたい
63
海苔養殖業に改革を。若者たちの決意。
60
61
65
「おおつちブランド」で売れる水産加工業を目
指す
地元で獲れたものは地元で活かそう!
66
人々をネットに繋げることに専念
67
再起不能からの再起
68
訓練された要員と情報システムをあらかじめ
準備しておき、被災地に投入すべき
64
69
70
71
72
73
74
75
76
77
78
79
80
81
82
83
84
絆に支えられたシステム復旧
行かないと必ず後悔する、だから揺れるサー
バルームに駆け込んだ
「仙南 119」をたちあげよ
支援者と被災地を結びつける繋ぎ役となり、
情報を繋いだ
農業辞めたくなかったんすよ
遠い親戚が山元町にいる、そう思ってもらい
たい
地震発生の 4 時間後「sinsai.info」が立ち上
がった(関さん 1/3)
新しい公共とオープンソース(関さん 2/3)
地方自治の役に立つ情報通信技術を(関さ
ん 3/3)
励まされるのが仕事
将来の世代のために、戻れる'ふるさと'をつく
ることが大人の務め
転校してしまった子どもたちに、母校のみん
なの様子を伝えたい
除染を 10 回以上実施した、雪解けとともに
もう一回やり直しだね
学校にともしびを
『IT で解決できること』を考えて発信していき
たい
被災しているはずの東北の方々が、おにぎり
と飲み物を差し入れてくれた
85
紙とコピーから情報の滞りニーズが見えた
86
流したい情報はたくさんあります
写真はつながりの証。地域の力で写真を返
す。
87
ヒアリング対象
取材日
嘉一氏、境田隆一氏、高木正剛氏
福島県桑折町立伊達崎小学校 丹治睦雄氏
千葉県浦安市富岡小学校 原早苗氏
岩手県大船渡市立第一中学校 石山宣昭氏
奥松島月浜海苔生産グループ「月光」 山内
良裕氏、小野真義氏、小野裕俊氏、小野誠
氏、鈴木光博氏、山内健史氏
立ち上がれ! ど真ん中・おおつち 浦田克
利氏
株式会社ドリームゲート 澤田竜一氏
宮城県山元町「思い出サルベージ」プロジェ
クト 田代光輝氏
気仙沼ケーブルネットワーク株式会社 梶原
英義氏
「東日本大震災被災地自治体 ICT 担当連
絡会(ISN)」事務局・仙台市情報政策課 今
井建彦氏
福島県国見町役場企画情報課 半澤一隆氏
テクノ・マインド株式会社 天野寛氏、小野寺
正憲氏
ジェットインターネット株式会社 晋山孝善氏
トライポッドワークス株式会社 佐々木賢一
氏
寺坂農園 櫻井芳仁氏、寺坂祐一氏
宮城県山元町「おてら災害ボランティアセンタ
ー」 藤本和敏氏
「sinsai.info」・Georepublic Japan 関治之氏
-(気仙沼を訪れた際、商店街の人々などに
伺った話)
福島県大熊町災害対策本部生活環境課 石
田仁氏
福島県飯舘村立飯舘中学校 稲川竜寿氏、
遠藤哲氏
福島県二本松市立小浜中学校 大野勝彦
氏、味原悦雄氏
「ともしびプロジェクト」 豊福晋平氏
Hack For Iwate 岩切晃子氏
NTT コミュニケーションズ株式会社 春木博
志氏、佐野勝彦氏
株式会社リコー震災復興支援室 二宮倫明
氏、黒田裕芳氏
おおふなとさいがい FM 佐藤健氏
宮城県山元町「思い出サルベージアルバム・
オンライン」プロジェクト 柴田邦臣氏
15
2 月 28 日
2月8日
2 月 23 日
3月2日
3月7日
2 月 15 日
2 月 11 日
2月3日
1 月 23 日
1 月 23 日
1 月 19 日
1 月 20 日
2月8日
2月1日
2 月 22 日
12 月 19 日
2 月 14 日
3 月 16 日
3月2日
3月5日
3 月 19 日
3 月 13 日
3 月 13 日
1 月 10 日
1 月 21 日
1 月 27 日
No.
記事タイトル
88
なによりも人命が大切だった、必死になって
取り組んだ
89
全員で減災に取り組むまちへ
90
情報はオープンに
91
平常時からのネットワーク作りを
92
地震でできた湿地を保全、環境教育・雇用
創出に
ヒアリング対象
岩手県陸前高田市 高橋良明氏
茨城県高萩市総務部総務課災害復興総合
支援室 鈴木享氏
茨城県北茨城市総務課 鵜沼聡氏、柏豊嬉
氏、北茨城市消防本部 澤田清氏
千葉県県民交流・文化課交流企画室 中村
敏彦氏
NPO 法人「森は海の恋人」・牡蠣漁師(気仙
沼市在住) 畠山信氏
16
取材日
1 月 18 日
3 月 15 日
3 月 16 日
3 月 14 日
12 月 1 日
キーパーソンへのヒアリング調査 調査対象マップ(代表例)
IT以外
・漁師(気仙沼市在住) 佐々木氏
・寺坂農園(北海道富良野市) 櫻井氏、寺坂氏
・「福幸きらり商店街」(岩手県大槌町) 山崎氏ほか
・奥松島月浜海苔生産グループ「月光」 山内氏ほか
・松島屋旅館(福島市飯坂温泉) 高橋氏
・福島商工会議所青年部 佐藤氏
・岩手県遠野市沿岸被災地後方支援室 小向氏ほか
・岩手県遠野市社会福祉協議会 佐藤氏
・福島市政策推進部 島田氏、半澤氏、二瓶氏
・遠野、釜石、気仙沼の街の様子、商店街等の声
等
・助けあいジャパン 佐藤氏
・RCF復興支援チーム 藤沢烈氏
・復興支援メディア隊 榎田氏、石山氏
・ボランティア情報ステーション・NTTレゾナント 藤代氏
・宮城県山元町「おてら災害ボランティアセンター」 藤本氏
・岩手県大船渡市立第一中学校 石山氏
・福島県飯舘村立飯舘中学校 稲川氏、遠藤氏
・キャッシュ・フォー・ワークジャパン 永松氏
・東北大学大学院情報科学研究科 河村氏
・岡山県からの派遣職員(防災ヘリ、保健師、事務職員等)
等
復興ボランティア情報交換会in石巻
支援者
被災者
・Hack For Japan 及川氏、冨樫氏、関氏、岩切氏ほか
・「RADIATIONDOSE」開発・運営(個人) 清水氏
・iSPP 会津氏
・OpenStreetMap Foundation Japan 三浦氏
・NTTコミュニケーションズ株式会社 春木氏、佐野氏
・NPO事業サポートセンター 池本氏
・日本マイクロソフト株式会社 龍治氏
・復興支援ITボランティア 小杉氏
・宮城県山元町「思い出サルベージ」プロジェクト 田代氏
・東京大学空間情報科学研究センター 関本氏
等
・岩手県山田町企画財政課(ICT担当) 船越氏
・宮城県多賀城市総務課(ICT担当) 田畑氏
・福島県国見町企画情報課(ICT担当) 半澤氏
・いわきテレワークセンター 会田氏
・「LIFEKU」プロジェクト実行委員会 藪内氏
・テクノ・マインド株式会社(データセンター運営) 天野氏
・ジェットインターネット株式会社(災害SNS運営) 晋山氏
・トライポッドワークス株式会社(ITサービス提供)佐々木氏
・気仙沼ケーブルネットワーク 梶原氏
・NTTドコモ東北支社 深瀬氏
等
IT
震災復興支援サービス対象
キーパーソンへのヒアリング調査 ポイント等
IT以外
・政府の出す情報も、サイトの深いところにある。文章を書
き直すなど、人手をかけながら整理する必要がある。
・「復興支援期」に入り、地域の人達が復興活動の中心と
なる。コミュニティ単位の細く長い支援が必要。
・避難のため地域を離れてしまった人達に、もっと情報を伝
えたい。街や学校などの些細な情報も必要とされる。
・伝えることに加え、まず「聴く」ことが重要ではないか。
・介護事業者同士・防災航空隊同士など、日頃からのネッ
トワーク構築が必要。
・医療施設等は、医療などの当該業務の拠点だけでなく、
地域社会の拠点になる。
等
・水産業・農業など、もともとからの地域産業、商売を続け
ることが必要。従来は秘匿としていた「企業秘密・こだわ
り」を持ち寄り、共同で事業を行う方法もある。
・市職員が地域の行事に参加するなど、日頃から関わるこ
とで距離が近くなり、発災時のニーズの把握にも繋がる。
・飯坂温泉における、旅館での二次避難の受け入れの実
現にも、常日頃からの市役所と関係があったことが影響。
・ボランティアセンターでは毎日情報共有を行う必要がある。
情報発信も必要だが、人手・ノウハウが足りない。
・支援に頼り過ぎないことが必要。避難所運営から日常に
戻る支援への転換を意識する必要がある。
等
支援者
被災者
・発災当初は「ITが役に立つのか」という想いもあったが、
「ITで解決できること」は必ずある。例えば今後は、風化防
止・アーカイブ等は重要になる。
・政府や公的機関の公表データへのニーズは高い。CSVや
APIでの提供はもちろん、同じ形で出し続けることが重要。
・「オープンソース」の概念のように、今後は「組織的な繋が
り」から、組織を越えた「ネットワーク的な繋がり」が重要に
なってくるのではないか。
・「オープンソース」の概念は、新しいパブリックそのもの。公
開することで、他の人たちからの手助けが受けられる。
・行政が保有する情報は宝の山だが、「マシンリーダブルな
データ」と「外部提供のルール作り」といった課題がある。
等
・情報は食料や水にも並ぶ重要なもの。行政職員は、情報
展開のリーダーであると自覚を持つことが必要。
・システム業者との信頼関係はかけがえのない財産となる。
・あらかじめ訓練された要員と支援業務に必要な情報シス
テムを準備しておき、被災地に投入すべき。
・データセンターは「ノンストップで稼働するのが当たり前」。
その想いで発災後もセンターに駆け込み、運営を続けた。
・大きい避難所では物資が余り、小さいところで不足する
等、安否確認も物資提供も情報共有ができていなかった。
・地域情報を発信するウェブサイトのコンセプトワークや取
材、編集作業を通して、街の良いところを発見し、悪いと
ころは直す、と街のブランドを高める活動だと気づいた。
等
IT
図4 キーパーソンヒアリングの概要
17
2.分析結果
18
2.分析結果
(1)東日本大震災における情報通信技術活用の実態について
・東日本大震災における情報通信技術活用の実態に関しては、総務省情報通信国際戦略局が 2012 年 3 月 7
日に公表した「災害時における情報通信の在り方に関する調査結果」で詳しく取り上げている。同調査は、
岩手県宮古市・大槌町・釜石市・大船渡市・陸前高田市、宮城県気仙沼市・南三陸町・石巻市・仙台市・名取
市、福島県南相馬市・いわき市で、被災した人やボランティア等の活動をしている人を対象に、計 306 件のイ
ンタビュー調査(フェースシートアンケートを併用)を実施した結果をとりまとめたものである。(以下、①~⑤
のグラフの出典はすべて同調査結果 最終取りまとめ。)
災害時における情報通信の在り方に関する調査結果 最終取りまとめ
http://www.soumu.go.jp/main_content/000150126.pdf
①防災無線
・防災無線に関しては、約 6 割が聞こえなかったと答えている。聞こえなかった人の中には、近くに防災無線が
なかったり、聞こえた気がするが耳に入らなかった人がいる。
図5 防災無線の利用状況
19
②安否確認手段
・発災直後は、携帯電話が約 2/3、携帯メールが約 1/2 と、携帯機器を使った安否確認が主だが、避難後は、
避難所等での対面など、直接確認が約 1/2 を占めるなど、安否確認手段が多様化している。
・なお、避難時に身近に持っていた情報端末としては、携帯電話が 95%と圧倒的に多い。
図6 安否確認手段の変化
※先進ユーザー:Twitter や SNS をよく利用すると回答した人
図7 避難時に身近に持っていた情報端末
20
③通信手段の利用状況
・発災後、固定電話やインターネットメールなどの多くは利用不可になったが、携帯メールや携帯インターネッ
トは比較的利用可能だった。
図8 通信手段別利用可能状況
④避難後の生活情報収集手段
・避難後の生活情報収集手段としては、口コミが最も多く、次いでラジオ、インターネットなどとなっている。
図9 避難後の生活情報の収集手段
21
⑤インターネットの活用状況
・SNS や Twitter などのソーシャルメディアは、NPO・ボランティアや被災者のリーダーなどが、情報収集や情報
発信によく利用している。ただしデマ情報や情報弱者の問題も指摘されている。
図10 インターネットの活用状況
22
⑥利用された情報ツール/機器
・非営利団体「情報支援プロボノ・プラットフォーム(iSPP)」が 2011 年 7 月に実施したアンケート調査(有効回
答:2815 件)によると、発災直後はラジオが最も利用され、1 週間後まではよく利用されたが、電気や通信回
線などのインフラ復旧が進むにつれ、テレビやパソコンによるインターネットの利用率が上がっている。
「東日本大震災 情報行動調査」(速報版)
http://www.ispp.jp/archives/653
(%)
N=2815
図11 利用された情報ツール/機器
出典:「東日本大震災 情報行動調査」(速報版)(http://www.ispp.jp/archives/653)
23
⑦支援者等による情報通信技術の活用
・⑤に示したように、支援者や被災者のリーダーを中心にインターネットがよく利用されている。今回取材した
中でも、多くの支援活動などに情報通信技術が用いられており、情報通信技術なしでは不可能な支援活動
も多い。以下に活用例を紹介する。(※文章は全てネットアクションサイト掲載記事(ネットアクション事務局
作成)から抜粋転載。)
・情報通信技術の主な活用方法としては、「情報発信」「情報の可視化・わかりやすく」「コミュニティ」「支援物資
の管理や被災者名簿」「モノ(物資)や人(ボランティアなど)のマッチング」などが挙げられる。
表4 支援者等により情報通信技術活用事例
事例・記事タイトル
sinsai.info
内容
・地震発生の 4 時間後には「sinsai.info」が立ち上がっていた。このスピード
「地震発生の 4 時間後
は背景にオープンソースを活用する技術者のコミュニティがあったから
「 sinsai.info 」 が 立 ち 上 がった 」
だ。オープンソースを使ったクライシスマップの運用をハイチの地震で経
http://netaction.openlabs.go.jp
験していた仲間が「日本でも使えるはずだ」と震災の数週間前にインスト
/20120328-3.html
ールしていた。それを活用して有志たちで日本語化を終わらせていた。
おおふなとさいがい FM
・8 時、11 時、14 時、17 時の 1 日 4 回放送される 1 回 2 時間の番組では、
「流したい情報はたくさんありま
給水や入浴、炊き出しについての情報や、市が毎日開いている記者会見
す」
の発表資料、大船渡・気仙地区の新聞からピックアップした情報などを読
http://netaction.openlabs.go.jp
み上げた。番組の時間をオーバーすることも多かったという。「ニュースの
/20120328-12.html
内容とかける音楽のバランス、言葉遣いやトーンにはデリケートになりま
した。自分も被災者なので聞き手の気持ちがよく分かりますから、淡々と
読むようにしていました」。
・2 ヶ月、3 ヶ月と時間が経つとともに、お店の再開やイベントの開催につい
ての情報が集まるようになった。税務や暮らしの相談、融資の案内などの
お知らせも増えていったという。「市役所が設置した放送局であるため、
自由に何でも放送できるという訳ではありませんが、流すべき情報はたく
さんあります」。
桑折町立伊達崎小学校
・丹治先生は大切な思いのために 2011 年 11 月から毎日欠かさず実施して
「保護者が求めていたのは、こ
いることがある。それはブログ機能を使った学校ホームページでの情報
んなささやかな「生きた情報」だ
発信である。自らデジタルカメラを片手に学校内を歩く。そして、学校の日
ったのか」
常を記事にしてブログで紹介する。今日の給食、今日の授業、ごくごく日
http://netaction.openlabs.go.jp
常の学校の様子、そして学校の線量、一日に 6〜7 件もの記事をアップロ
/20120321-2.html
ードして紹介している。
・震災以後、学校に子どもたちを送り出す保護者には、目に見えないものに
対する言葉にならない不安がある。それゆえ学校での出来事、学校生活
を正しく、わかりやすく伝えていくことがいっそう重要になった。学校ホー
ムページには、毎日 100 件ほどのアクセスがある。児童数103名、75 家
庭なので、保護者が毎日のようによく見てくれているようだ。
・「学校の中のささやかな出来事を毎日学校ホームページで発信しています
24
事例・記事タイトル
内容
が、保護者の方からは、学校への見方やイメージが変わったという声が
聞こえてきました。保護者が求めていたのは、こんなささやかな生きた情
報だったのかと思いました」と丹治先生は語る。
助けあいジャパン
・「政府の出す情報もそれぞれのサイトの深い所にあるとわかりませんよ
「できるだけ正確な情報をとど
ね。だから人力で全て見て歩いて、最前線で活躍しているコピーライター
ける」
たちが、わかりやすい文章に書き直して掲出しつづけました。今も、毎日
http://netaction.openlabs.go.jp
続けてくれています」という。「今日の政府・今日の省庁情報」は被災地の
/20120314-3.html
復興に必要な情報を毎日丁寧にコピー化している。
風@福島原発
・今回開発した「風@福島原発」についても、最初は単に、福島原発からの
「「観察」を IT に活かして価値あ
距離を示すような簡単なアプリだったが、利用者や様々な人から「自分の
るものに」
住んでいる地域の放射線量や福島原発からの風向が知りたい」というニ
http://netaction.openlabs.go.jp
ーズを得て、政府から公開されている放射線量のデータを読み取ろうと
/20120314-7.html
試みた。しかし、放射線量のみならず、官公庁と自治体から公開される情
報のほとんどは PDF による提供に限られていたため、プログラムによって
解釈することができなかった。そこで石野さんは、PDF からデータを読み
取るプロジェクトを立ち上げて、Hack For Japan の参加者と共に解決し、
アプリに多くの地点の放射線量を表示することができた。石野さんにとっ
ては、利用者からの声が機能追加や改善を続けるモチベーションだとい
う。
Sahana(サハナ)
・岩手の陸前高田市では、支援物資の管理に使われた。当初、避難所は
「 ス リ ラ ン カ 発 「 Sahana ( サ ハ
80 か所以上。避難者は何人いるのか、何が必要か、自衛隊が回って聞
ナ)」の挑戦」
いて、翌日に食糧や物資を配布していた。しかし、これは本来の自衛隊
http://netaction.openlabs.go.jp
法に基づく業務ではない。そこで、Sahanaを使ってもらうことにした。避
/20120314-8.html
難所にタブレット端末を置き、人数と必要な物資を入力してもらう。自治体
の職員と配送業者が物資を届けて回ることにした。
・山形では被災者の名簿作りに使われた。福島から避難してこられた方々
は、最初は避難所に、次はホテル、あるいは借り上げ住宅へと移ってい
く。どこへ行ったかわからなくなるので、その情報をトラッキングするため
に利用した。
ボランティア情報ステーション
・藤代さんがリーダーを務めた被災地支援の取り組み「ボランティア情報ス
「オープンにして、ぶつかり合っ
テーション(以下:VIS)」も同じだと感じた。「助けが欲しい人」の思いをデー
て、お互いを理解する」
タベースとしてまとめ、「ボランティアをしたい人」へ提供することで思いと思
http://netaction.openlabs.go.jp
いを繋ぐのが VIS だ。散在しているボランティア情報を収集し、整理、提供し
/20120307-3.html
た。情報の収集には人海戦術を用いたそうだが、それは、システム開発に
時間をかけるより、とにかく早く使えるものにしなければという思いからだっ
た。
e コミュニティ・プラットフォーム
「研究結果を実践に生かす」
・「震災から 3 日目、3 月 14 日には宮城県に入って、「e コミュニティ・プラット
フォーム」を宮城県沿岸地域の社会福祉協議会とボランティアセンター用
25
事例・記事タイトル
内容
http://netaction.openlabs.go.jp
のグループウェアとして使ってもらいました。実はこれ、もともと 3 月 16 日
/20120307-9.html
に仙台で宮城県内の社会福祉協議会を対象とした災害ボランティアセン
ターの情報発信等の説明会を予定していたもので、それをそのまま活
用。次に、被災自治体の情報支援のため、陸前高田、大槌、大船渡、気
仙沼、と、庁舎等の被害が大きく首都圏から地理的に距離があって支援
が入りにくいところから順に展開しました」
RADIATIONDOSE
・イタリア語への翻訳活動を続けている中で、多くの人が、放射能、放射
「「コード」は「行動」」
線、放射性物質の違いをよくわかっていないことを知ります。「何デシベル
http://netaction.openlabs.go.jp
らしいよ」と単位がちがう人まで。
/20120229-3.html
・小さい頃から目に見えないものを頭の中に描く習慣があり、自分では放射
線量を頭の中で見えるものとして扱っていたのが、他の人には見えてお
らず、見えないから怖いのだと。化学と WEB の両方の知識や技術を持つ
自分ならできると、3 月末ごろには放射線量がひとめでわかるサイト
「RADIATIONDOSE」を立ち上げました。これを見ると、花崗岩が多い山口
県でも日ごろの放射線量はある程度の数値を示しています。平常時と現
在の値の差もわかるように工夫しました。
・みんなに落ち着いてもらいたくて、このサイトを立ち上げました。
復興支援メディア隊
○
「「被災地を元気にする」のでは
・そんな復興の過程を、世界中の人たちに伝える、そのために、情報制作
なく「被災地がみんなを元気に
配信の専門家である映像情報士を派遣し、現地の人々が、現地の情報
する」」
を収集・整理・配信するためのサポートを行うというのが、榎田氏が代表
http://netaction.openlabs.go.jp
を務める特定非営利活動法人 映像情報士協会が創設した「復興支援メ
/20120229-4.html
ディア隊 For Our Children」だ。
・子供たちが撮った写真に、お母さんたちがキャッチコピーと説明をつける。
一枚の写真がコピーと合体することで、メッセージ性が高まる。プロの写
真家ならコピーは要らないだろう。だが、被災地の子供が自分で見た景
色を写真にすることに意味がある。そこに住む人がその写真にコピーを
つけることで、プロのカメラマンが取った写真以上のメッセージを未来に
残す。復興支援メディア隊とは、現地の情報発信力をはぐくむことで復興
を支える活動だ。
26
(2)今後の復旧・復興における情報通信技術が果たす役割について
①被災3県の復旧状況
・総合研究開発機構(NIRA)が 2012 年 3 月 8 日に公表した「データが語る被災 3 県の現状と課題-東日本大
震災復旧・復興インデックス(2012 年 3 月更新)」によると、生活基盤の復旧状況は、2012 年 1 月時点で、岩
手県、宮城県は 83~84%、福島県が 76%である。
データが語る被災 3 県の現状と課題 - 東日本大震災復旧・復興インデックス(2012 年 3 月更新)
http://www.nira.or.jp/pdf/1106report.pdf
図12 「生活基盤の復旧状況」指数の動き(震災前=100)
出典:「データが語る被災 3 県の現状と課題-東日本大震災復旧・復興インデックス(2012 年 3 月更新)」
http://www.nira.or.jp/pdf/1106report.pdf
27
・
「人々の活動状況」については、震災で宮城県が最も大きく落ち込んだ。2011 年 12 月時点で岩手県
は全国と同水準の 92%まで回復したが、落ち込みが大きかった宮城県と放射線被害の影響がある福
島県は、ともに 83%の回復にとどまっている。
・構成要素別では、瓦礫処理率と貸出金の回復が大きく遅れているほか、特に岩手県では鉄道復旧度が
低くなっている。
図13 「人々の活動状況」指数
図14 指数の各構成指標の状況(2012 年 1 月) (震災前=100)
出典(上下とも):「データが語る被災 3 県の現状と課題-東日本大震災復旧・復興インデックス(2012 年 3 月更新)」
http://www.nira.or.jp/pdf/1106report.pdf
28
②復旧・復興に向けて情報通信技術が果たす役割
・今回取材した中では、復旧・復興に関する取り組みや提言、示唆などを多く得られた。主なものを以下に紹介
する。(※文章は全てネットアクションサイト掲載記事(ネットアクション事務局作成)から抜粋転載。)
・これらの取材結果から得られる示唆としては、「細く長く支援を続ける」「そのためには地域とつながっている
必要がある」「ソーシャルメディアが有効」「被災地からの情報発信」「地域の人が中心」。また、産業復興に
向けて「誘致より地元企業の再生」「観光も重要なテーマ」「被災地支援ファンド」「国の補助金に頼らない」。
地域の将来像に関係することとしては、「子どもたちにネットの楽しみかたを教える」「子どもたちの情報発信
力を高める」「被災体験ではなく生徒の勇気・元気・希望を伝える」「交流が深まること自体が財産」「単に元
の姿に戻すのではなく新しい地方自治の仕組みをつくる」などがキーワードとして挙げられる。
表5 復旧・復興に向けて情報通信技術が果たす役割
記事タイトル
内容
Hack For Japan 及川さん、 ・これからの地域の復興を考える際、観光は重要なテーマのひとつだと思
冨樫さん対談(2/4)
います。今はボランティアや工事の作業員などが現地に来ていますが、こ
http://netaction.openlabs.go.jp
れからは純粋に観光目的で来てもらうことも考えるべきではないでしょう
/20120216-9.html
か。石巻での情報交換会でも、現地の方からそのような意見が出ていま
した。(及川)
・以前訪問した、岩手県の遠野市や釜石市にも、小さいけど優れた観光資
源がたくさんあります。これらの地域の観光資源を今後どう活かしていく
かも重要ですね。(冨樫)
・IT 産業という視点で見ると、私の知り合いに東北でウェブ制作を手がける
会社を起こした若い社長がいます。地方都市は家賃や物価も安いので、
それほど儲からなくてもやっていけるそうです。プライベートな時間も取
れ、ボランティア活動にも参加できます。雇用を生むのはなかなか難しい
ですが、まずは個人事業として行うことなら可能かもしれません。現地に
飛びこむ覚悟は相当なものだとは思いますが。(冨樫)
・事業の支援という面では、すでに多くの被災地支援ファンドが立ち上がっ
ていますが、例えば、一定額は寄附して、それ以外はファンドとして投資
し、事業の成否によりリターンを得る仕組みが考えられます。被災地の事
業を投資対象とする場合は、リターンとして現地の名産品などが送られて
きてもいいと思います。石巻の情報交換会で Hack For Miyagi の小泉さん
が紹介していた漁業を支援する仕組みはいいですよね。同じく石巻で紹
介された「寄附のしっぽ」も参考になると思います。(及川)
・漁の場合、船一艘あれば現金収入が得られます。配当は獲れた魚(笑)。
一方、牡蠣の養殖などはすぐにはお金にならないので、ファンドや寄附
も、長い目で見ないといけませんね。(冨樫)
遠い親戚が山元町にいる、そ ・「これからこそ情報発信が必要なんです」。
う思ってもらいたい
http://netaction.openlabs.go.jp
・「山元町から避難して、離れて暮らしている人も多い。そのような方に○○
さんの畑で大根が採れたとか、○○でお花が咲いたとか、些細なことでも
29
記事タイトル
/20120328-2.html
内容
伝えたい。少しでも山元町の状況を知って『山元町は確かにある』と思っ
ていただきたいんです」
・「今は情報発信が全然足りない。本当は情報発信専業のボランティアメン
バーが欲しいぐらいです」。
・ボランティアに来てもらった人にも情報を伝えたい。
・「泥出しやがれき撤去などの作業が終われば次の場所に行くというのがボ
ランティアのあるべき姿では無いと思っています。一人一人の方に寄り添
って長く続けて欲しい。例えば畑で野菜を作ることを手伝えば毎年関われ
る。そんな姿が良いんじゃないかと思っています。そうすると、現地に来ら
れない時もまちの姿を知りたくなる。情報を発信していきたい」。
・「遠い親戚が山元町にいる。そう思ってもらいたい」。
転 校し てし ま っ た子 ど もた ち ・1 月に CMS(コンテンツマネジメントシステム)が導入されると、遠藤校長先
に、母校のみんなの様子を伝
生が先頭に立って、学校の様子をホームページで紹介し始めた。以降、
えたい
毎日何本もの記事がアップされている。なにも特別な行事の紹介ばかり
http://netaction.openlabs.go.jp
ではない。大雪の時の登校の様子、給食の写真と献立、本日の部活、数
/20120328-6.html
学の授業など、そして校庭と校舎内の線量が、写真とともに紹介されてい
る。「保護者は学校の日常を知りたいのです」と遠藤校長先生は言う。
・そして、稲川教頭先生は付け加える。「転校してしまった子どもたちのため
にも、母校のみんなの様子を伝えなくてはならないのです。子どもたち
は、さよならを言って別れたわけではないのですから」。
『IT で解決できること』を考えて ・「楽しみをもたらすことも IT の役割。被災地の子どもが希望をもてる社会に
発信していきたい
したい。世の中には面白いこと、楽しいことが沢山あるのだということをネ
http://netaction.openlabs.go.jp
ットで知ることができる時代。自分の周りをみると嫌になることもあると思
/20120328-9.html
うから、子どもたちにネットの楽しみ方を教え、世界がどんなに広いのか、
それがパソコンの中から感じられることを見せたい」。
・プログラミング教育など子どものための IT 技術育成支援も考えている。現
状を悲観するのではなく、『IT で解決できること』を自分たちの目線で考え
て発信していきたい。
子どもたちの勇気、元気、希 ・「今後は生徒たち自身がデジカメで撮り、生徒たちが考えたメッセージを添
望を伝えたい
えてホームページやブログに掲載していきたい。被災体験を伝えるので
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はなくて、生徒たちの勇気、元気、希望を伝えることが目的だ。他の学校
/20120321-4.html
との心のふれ合いもできて心が豊かになるはずだ。交流が深まること自
体が財産である」。
できるだけ正確な情報をとどけ ・「やっと短距離走から長距離走の体制に、昨年の 11 月ぐらいからなれた
る
んですよ」。自分の仕事を持つ人々、情報発信のプロたちが手弁当で集
http://netaction.openlabs.go.jp
まって、休日や業後に業前に睡眠時間を削って運営してきた。やっと専従
/20120314-3.html
職員をふたり雇用した。今春からは寄付控除を活用できるようになり、企
業などからも寄付しやすい体制にする。今まではまずやることが大切だっ
30
記事タイトル
内容
たが、これからはつづけることが大事だという。
・震災直後、被災地ではネットを見ることができなかった。「必ず来る次の災
害のときには、どうやって被災地と繋がるのか、それを考えなくてはなら
ないんです」。
細く長く支援することが大事
・「復旧・復興はもう第三段階にはいっています。『緊急支援期』はピースボ
http://netaction.openlabs.go.jp
ート災害ボランティアセンターなど被災者支援団体が中心に活躍しまし
/20120307-2.html
た。『生活再建期』には連携復興センターなどつなぐ役割のところが中心
になりました。これからの『復興支援期』は地域の人たちが中心にならな
いといけません」(図15参照)。
・「これからの支援は、県や市の単位ではなく、地区の単位で行うのがいい
と思います。例えば、南三陸町を支援しているといっても、地元の人から
みると、南三陸町のどこを支援しているのかわからない。長く続けるには
顔が見える支援が必要なんです」。
・「今では、ソーシャルメディアやブログなどで、自分が関心を持った地域の
情報を比較的容易に入手できます。また、『東北復興新聞』のように、被
災地や支援団体を『横につなぐ』メディアも登場しています。これらのメデ
ィアを利用して、縁のあった地区とのつながりを維持し、年に一回でもい
いので訪問するなど、細くても永くおつきあいできるといいですね」。
・「産業復興に迅速に取り組んだ例として、宮古市が挙げられます。東京か
ら最も時間距離が遠い自治体ですが、以前から行政と地元産業の連携
がしっかりとれていました。避難生活が終わった後、産業が復興してゆく
過程で必要な資金などの手だても見えていたんですね。震災後、どの企
業にどんな支援が必要か、固有名詞でわかっていたので、国や県の支援
策を待たずにすぐに必要な対策を講じています。いまだに、国の補助金
を待って、対策を止めている自治体があったらそれはだめですね」
・「例えば、東日本の水産業は冷凍技術などが大変進んでいます。代表例
は気仙沼。中国に工場を作るなど、海外にも進出しています。しかし、中
国に企業移転しようとは思わない。気仙沼で育った企業なので、気仙沼
から出るつもりはないんです。地元企業はグローバルに地域と世の中の
関係を見ています。産業誘致より地元企業の再生に力を入れるべきで
す」
・「今回の震災を機に、地方の人々と接する機会が増えました。そしてその
中で、地域ごとに個性や顔があり、単純に『都市』と『地方』といった一律
の区分はできないことを再認識しました」
・「震災前から地方分権の動きはありますが、これからの復興は、単に元の
姿に戻すのではなく、新しい地方自治を創る取り組みだと思います」
「被災地を元気にする」のでは ・「復興の仕事で気仙沼に行ったとき、漁師さんが水揚げしたばかりの魚を
なく「被災地がみんなを元気に
食べてきなよ、ってご馳走してくれたんだけど、背筋がぞくぞくっとしたね、
31
記事タイトル
内容
する」
おいしくて。それを日本中の人に届ける方法はないかと思ってたら、あっ
http://netaction.openlabs.go.jp
たのよ、氷感っていう方法が」。
/20120229-4.html
・「ボクが住んでるところは、世界で一番おいしい魚を世界で一番優れた技
術で届ける町なんだぜ」って、子供たちが自慢する町ってすごいと思わな
い。そういう町にしたいわけよ」。
・被災地の子供が自分で見た景色を写真にすることに意味がある。そこに
住む人がその写真にコピーをつけることで、プロのカメラマンが取った写
真以上のメッセージを未来に残す。復興支援メディア隊とは、現地の情報
発信力をはぐくむことで復興を支える活動だ。自分たちの情報を自分たち
で伝える技術を学んだ子供たちは、やがて日本を世界に発信する旗手と
なる。
目で見て、心で聴く
・「また来てね」と声を掛けられ、再び訪れ、元気を貰う。その繰り返し。で
http://netaction.openlabs.go.jp
も、貰ってばかりではいられない。被災地から気付かせて貰った「日本の
/20120314-1.html
底力」や「元気」を、今度は伝え、守り育てていく。これが皆で出来る「復
興」・「再盛」支援ではないだろうか。
育ててもらった福島で、商人を ・「売上げは落ち込み、土曜・日曜の週末の街は、以前と比べても人出が減
続けたい
り、閑散としています。しかし、嘆いてばかりはいられません。私たちは協
http://netaction.openlabs.go.jp
力して助け合い、そして生き抜いていかなければいけないと思っていま
/20120222-5.html
す。避難をされた方、移住をされた方がまた福島へ戻って来た時に、元気
で活気のある福島でありたいと強く思います。ここで生まれ、育ててもらっ
た福島で、私たちは商人を続けていきたい」。
・既存の商店街の枠組みをこえて感性で呼び合う店主達が、互いの店の魅
力を取材しあい、記事を載せている。地元のデザイナーがその心意気に
共鳴して参画した。今後、福島の歴史や文化、自然を紹介し、商業の振
興と社会貢献を同時に行おうとしている。「福島は商人同士が仲が良い」
ので共同して「私たちのセンスやスタイルを県内外へ発信」したいとしてい
る。
32
図15 2 年目の支援変化(上)と 2 年目こそ必要な復興支援(下)
出典:「2 年目にこそ必要な復興支援とは」(一般社団法人 RCF 復興支援チーム)
http://rcf311.com/wp-content/uploads/2012/02/entrepreneurgathering_2012.pdf
33
(3)オープンガバメント推進策の在り方について
①取材結果から得られる示唆
・今回の取材では、オープンガバメントや行政保有データのオープン化、さらには IT 企業が持つオープンマイ
ンド、オープンイノベーションの文化・風土の一般企業への波及・拡大などの示唆を含む内容があった。また、
国や自治体から住民への情報提供だけでなく、地域の情報をいかに集めて発信するかや、被災者やボラン
ティアなどのニーズ把握、さらには避難所等での個人ニーズ把握などに関するものもあった。
・以下に、今後のオープンガバメント推進に資する内容を抽出・掲載する。(※文章は全てネットアクションサイ
ト掲載記事(ネットアクション事務局作成)から抜粋転載。)
表6 オープンガバメント推進策に関する示唆
記事タイトル
内容
Hack For Japan 及川さん、 ・これまでは、企業がテクノロジーやデータを独自に開発・集約することが本
冨樫さん対談(4/4)
流でしたので、私の本業のデベロッパーリレーションのような分野の取り
http://netaction.openlabs.go.jp
組みは、あまり見られませんでした。しかし、様々なテクノロジーがどんど
/20120216-11.html
んオープン化する中、もはや企業の中で閉じているのは不可能で、どの
企業も外部のエンジニアの力を必要とする時代になりつつあります。(冨
樫)
・Hack For Japan は、震災をきっかけに集まりましたが、人類の進歩に貢献
したい人の集まりでもあります。みんな、目の前の利益でなく公共的な利
益を追求したいと考えています。その想いが震災をきっかけに表に出まし
た。従って、復興の後方支援という Hack For Japan の現在の枠組みが将
来取れたとしても、震災以外でも貢献したい、日本を Hack したいというメ
ンバーはたくさんいると思います。(及川)
・「Hack」の的確な日本語訳は難しいですが、あえて言えば、「創意工夫で
変えること」でしょうか。変えるためには既存の枠組みを壊さなければなら
ない場合もあります。また、スピード感も違います。3年かかるようなこと
は Hack とは言いません。一気にやってしまうのが Hack です。こういった
文化は、今後の日本に必ず必要です。日本のエンジニアの 1/10 でも参
加すれば、日本を変えられます(笑)。(及川)
・ヤフーもグーグルもアマゾンも、何か起きたらすぐにサービスを立ち上げま
す。それができる会社とできない会社の違いは大きい。ネット企業の動き
がアジャイル型でスピードが速いのに対し、従来の大手企業は動き出す
までに少々時間がかる気がします。
新しい公共とオープンソース
・「情報を公開する人のところに情報が集まってきます。いい情報を出せ
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ば、いい情報が入ってきて、ギブ&テイクの形が起こって、信頼関係が生
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まれます。そのやり取りが、この人はこういう人だというブランドに成長し
ます。この前提としてコミュニケーションのリテラシーが必要です」。これが
新しいパブリックだという。世界をまたぐ大きな「ムラ」ができるようだ。
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記事タイトル
内容
・この公共感を「ネット上のツールの発達に応じて、使いながらコミュニケー
ションを通じて身につけた世代」なので、その中で自然にリテラシーを身
につけた。この後の世代には、この新しい公共空間でのリテラシー教育
が必要。
・「最近ではオープンソースソフトウエアのほうが市販のものよりクオリティ
が高いですね。技術者の世界の独特の関係性があって、リーダーがいな
いわけではないのですが、トップダウンというよりはボトムアップで物事が
進むんです。自発的にやるべきことを自分で決めて、成果を公開して共
有してゆくんです。
地方自治の役に立つ情報通 ・地域単位で、そこに暮らしている方々が自らその地域を良くする。そのお
信技術を
手伝いをしたいですね。例えば、地元の地図をみんなでつくるんです。マ
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ッピングパーティを行うんです。週末に集まって、その地域の情報を徹底
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的に地図に載せてしまうんです。これって、楽しみながら地域を知る活動
につながりますよね。その延長上に、人々が自分たちの地方自治にちゃ
んと参加できるシステムを作りたいと思います」
・「日本の地域社会はシチズンシップに欠けているといわれることがありま
す。政治、地方自治は他人がやるもので、アクションはクレームぐらいだと
いう指摘があるんですね。私も子どもが生まれて、やっと自分自身が自分
たちの街のことを知らないってことに気がついたんです。子どもの面倒を
みてくれるサービスがどこにあるのか、街のお祭りにどうやったら参加で
きるんだろうとか、町内会に入っても、その活動の中身がなかなか把握で
きないなんてことも感じました。海外を見ると、ウェブサービスで地域のコ
ミュニケーションがうまくいっている事例もあります。ガバメント 2.0 といわ
れる流れが生まれています」。
・「会社経営をしながら、地域経営、新しい公共の概念で地方自治を変えた
いと思います。まだ三人の会社だけど。永い時間かかると思うんですよ。
自分の会社だけでは絶対できないので、いろんな方々と力を合わせて活
動します。若い人の投票率を上げたりもしたいですね」。
目で見て、心で聴く
・media の語源は medium で「媒体」という意味。最も大切なことは、伝えるこ
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とよりも、まず「聴く」ことだと私はこの活動を通じて実感した。一方的に聞
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くのではなく、(相手の話を)聴く。聴くことで、共感、そして信頼関係が生
まれる。だからポスターのことも、私は「目で見て、心で聴いて」と伝える。
できるだけ正確な情報をとどけ ・「例えば、原発の問題でも、政府はローデータ、つまり生のデータを出すべ
る
きなんです。自分で「安全」を解釈してはいけない。機械に読めるデータに
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して公開して、民間に解釈を委ねるべきだと思います。安全かどうかは、
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国民や企業がそれぞれ判断する。政府の判断もその中の一つ。それが
ガバメント 2.0 です。税金をつかって集めた情報なんだから、出してあたり
まえなんですね。それを活用して分かりやすく伝えるのは民間のほうが上
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内容
手です」。
行政が保有する情報は宝の山
・行政は、都市計画図や地質調査結果、森林関係情報、道路工事情報な
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ど、共有することで仕事の効率があがる情報をたくさん持っている。しか
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し、その情報の提供形式は、XML や CSV のような汎用性のあるものとは
限らず、PDF だったり HTML だったり、あるいは個別システムだったりと、
行政機関によってバラバラだ。そうなると、本来、高度な分析に人と時間
を割くべき大学が、その元となる情報の収集と整理に多くの時間を割か
ねばならなくなってしまう。
・情報を出すルールが整備されていないのも問題。ルールがないことを理
由に情報を提供してくれない行政機関もあるからだ。情報を出してもら
い、使いやすい形に加工し、活用したい人に提供する「コーディネーター」
が必要だ。
・「行政が保有する情報は宝の山だと思っています。もちろん民間が保有す
る情報も」。そう話す関本さんは、2011 年 9 月に立ち上げた「社会基盤情
報流通推進協議会」をベースに、官民の情報共有に取り組んでいるとこ
ろだ。
・これからの課題は、「マシンリーダブルなデータ」と「外部提供のルール作
り」だと、関本さんは語った。行政の持つデータは税金で作られたもの。う
まく共有して宝の山を活かしたい。
オープンにして、ぶつかり合っ ・「厳しい意見かもしれませんが、被災地の人々をよりオープンにしていく契
て、お互いを理解する
機にしないといけないんじゃないかと思います。特に今回の震災のような
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悲惨な状況下では、被災地側がオープンにしてくれないと外部の人は中
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に入って行きづらい。当然、外部の人が入っていくことで摩擦も起こると思
う。でもそれを覚悟して受け入れ、外部の意見や考えに耳を傾けることが
必要でしょう。そしてその間を繋ぐ、大局観を持った地域プロデューサー
のような人がいれば、被災地復興だけでなく、地域力をもっと高めること
にも繋がると思います」。
・「広く交流することで知識や考えの円を大きくし、時にはぶつかり合い、相
互理解を深めながら前に進んでいく」ことの重要性を藤代さんは実感し、
多くの人にもその重要性に気付いて欲しいと考えている。だからこそ藤代
さんは言う。「この大震災を、変わるきっかけにしたい」。
「コード」は「行動」
・データは行政機関などの公表データを活用していますが、データ形式など
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が途中からどんどん変わるため、プログラムを直す時間もなく、手作業で
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対応しました。データは利用されることを前提に出すべきであり、CSV や
API はもちろんのこと、同じ形で出し続けることが重要。
後方支援は、現代の伊能忠敬 ・地図データで商売したいわけではない。地図を通じてコミュニティを作り、
たち
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人々のつながりを作るのだ。
・日常的なコミュニティ・マッピングにも活用したい。安心・安全マップ、お祭
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内容
りマップ、商店街アピールマップなど。普段の地域コミュニティづくりが「い
ざ」というときに役に立つのが理想だ。使ったことがないツールは、使えな
いのだから。
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②今後のオープンガバメント推進策の在り方について
・今回取材した関治之氏のアイデアによると、オープンソースコミュニティへの参加の動機付けの段階は、下記
のようなケースが考えられる。まず最初に①何が起きているのかを知る(例:オープンソースのコードの公開
など)、次に、そのコードが優れたものかどうか、開発者への共感・信頼はあるかなど②共感する段階、共感
を持ったら次に③評価を意思表示し(例:開発コミュニティへの参加表明など)、そして実際にプログラムの改
善など④行動する段階、となる。
・情報を得てから行動するまでの間に、動機付けのポイントとして「共感」がある点が重要である。
・コードの公開
①何が起きているのかを知る
・優れたコードかどうか
・プログラム作成者への共感・信頼
・ギブアンドテイク→コミュニティへの信頼感
②共感する
・コミュニティへの参加表明
③評価を意思表示する
・プログラムの改善
④行動する
図 オープンソースコミュニティへの参加の動機付けの例
(関治之氏のアイデアをもとに作成)
・この考え方は、オープンガバメントの進め方においても参考になる。情報の公開は、単に情報を知るだけでな
く、その後の参加・行動へとつなげる必要がある。
・オバマ大統領が提唱するアメリカ連邦政府のオープンガバメント政策については、「透明性」「参加」「協働」が
3 本柱になっている。この3つの柱と、上記の4つの段階図を重ね合わせると、次図のようになる。
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・ローデータの公開
・官民による多角的視点からの分析
①何が起きているのかを知る
透明性
・ここの仕組みが必要?
・「自分ごと」として捉える
・国は単位が大きすぎる?
・自治体や地域単位
②共感する
?
・評価を助けるしくみ
・気軽に意思表示できる仕組み
③評価を意思表示する
参加
・身近なところから、できる範囲で
・気軽に行動できる仕組み
・細く長く続けられる
④行動する
協働
図 オープンガバメントが目指すもの
・「①何が起きているのかを知る」は「透明性」、「③評価を意思表示する」は「参加」、「④行動する」は「協働」に
それぞれ対応させて考えられる。「②共感する」に該当するものがない。
・今回の取材において、被災者支援への関心の高まりの理由のひとつに「自分ごととして考えられるかどうか」
が挙げられた。これまでの大規模災害の際は人ごとのように感じられて、寄附程度の参加だったのが、今回
は被害規模が大きく、親族や知人に被災者が出た人も多いことから、「自分ごと」として感じる人が多かった
と思われる。この「自分ごと」かどうかが、「情報を知る」から「参加表明」につなぐ「共感」部分に大きく影響し
ていると考えられる。
・「自分ごと」として捉えられるかどうかは、これからの地域活動においても重要になる。行政にすべてお任せ
の地域活動・自治活動では、今の財政難や住民ニーズの多様化(全員が納得する正解がない)する時代に
おいて、地域経営が立ち行かなくなる。お任せ自治から協働へと大きく転換するためには、①情報を知る、
②共感する、③意思表示、④行動(協働)へと段階を踏むことが必要となるが、②の共感するにおいて、地域
のことを「自分ごと」として捉える必要がある。
・今回のプロジェクトに編集アドバイザーとして参加した杉山幹夫氏が、以前編集長を務めた札幌観光サイト
「ようこそさっぽろ」においても、記事の取材・編集の際の考え方として、「離れたところに住む知人に自分の
地域のことを伝える」ことを念頭においていた。これは地域のことを「自分ごと」と捉えるための工夫である。
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①何が起きているのかを知る
ネットアクション
・動画、写真
・ローデータ、客観的データ
・全体(マクロ)と身近(ミクロ)
・当事者による情報発信
・ソーシャルメディア
・「自分ごと」として捉える
→親族や知人が被災
・自分の状況や意見に近い人
②共感する
③評価を意思表示する
・評価を助けるしくみ
・気軽に意思表示できる仕組み
・様々な選択肢の用意
・行動を支援する仕組み(ボランティア情報など)
・短距離走から長距離走へのシフト
・細く長く(特定地域とのつながり継続)
④行動する
図 被災地(者)支援の動機付けの例
・自分が住んでいる地域のことを知る
①何が起きているのかを知る
②共感する
・住んでいる地域に関心を持つ
・住んでいる地域を好きになる
③評価を意思表示する
・地域への関心表明
・好きなところ
・悪いところが気になる、直したくなる
④行動する
・地域の情報の取材・編集・発信
・編集会議(行動のハードルを下げる)
・地域活動への参加
図 地域経営への参加(これからの地方自治)の動機付けの例
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・このように、単に情報を公開するだけでなく、行動に至る4つのステップを常に意識し、次のステップに導くた
めの仕組みや支援策などを用意することが、オープンガバメントの推進には必要と考えられる。
・また、もうひとつの大きなポイントとして、異なる主体間のぶつかり合いから生まれる化学反応やイノベーショ
ンも重要である。多くの IT 技術者や支援者が取材の中で述べていたように、これからは囲い込み型ではなく、
オープンにすることで、よりよい情報や技術を入手したり化学反応を誘発することができる。また、内部だけ
では気づかなかったニーズや解決策を発見できる場合もある。
・オープンガバメントは、単に情報の公開=オープンに留まらず、外に向かって開き、外からの血を受け入れる
「オープンマインド」や、化学反応を誘発する「オープンイノベーション」による地域振興、産業振興も視野に入
れた取り組みとすることが望ましい。
・今回の東日本大震災では、多くの被災者を出し、今だに 30 万人以上が避難生活を強いられている。被災者
の一日も早い日常生活の回復を図ることが最優先課題であるが、加えて震災後に起きた様々な出来事(中
でも、通常は制度などや意識の壁に阻まれてできなかったことが、非常事態を理由に壁が低くなり、本質的
な行動が生れたことなど)は、これからの日本の社会を考える上で極めて貴重な経験である。
・取材結果や文献からは、まだまだ得られる知見やヒントがたくさんある。この記事自体がクリエイティブコモン
ズ・ライセンスにより二次利用を自由に認めていることから、様々な視点や立場での分析に活用され、新た
な発見や知識の蓄積が生れることを期待したい。
・最後に、今回、取材にご協力いただいた多くの方々に感謝の意を表します。
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平成23年度電子経済産業省推進費
協働型の電子政府構築手法に関する調査研究
(震災からの復旧・復興にかかる公共システムの在り方に関する調査研究)
最終報告書
2012 年 3 月 30 日
株式会社 三菱総合研究所
(担当:村上、前田、田渕、川村、佐藤、森崎、宮下、小関、福島、武田、羽田)
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