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二 つ の 国 の 狭 間 で
二 つ の 国 の 狭 間 で − 中国残留邦人聞き書き集 第4集 − 中国帰国者支援・交流センター 平成21年12月 発刊にあたって 中国残留邦人聞き書き集も本書で第4集となりました。 この第4集では、帰国者11人の方々の体験談を資料収集調査員が「聞き書き」し、掲載し ました。 本書に登場する11人の中国帰国者の方々の体験談は、第3集までと同様に、それぞれに歴 史の荒波に翻弄された波瀾万丈の人生を送ってこられたという点は共通していますが、 決して、 ある一定のモデルストーリーに沿ったものではなく、一人ひとりの文字通り多様な体験を「聞 き書き」したものです。 なお、第3集までに登場する中国帰国者の方々はすべて、1972(昭和47年の日中国交正 常化後に日本に永住帰国された方々でしたが、 本書では、 これまでと同様の方々9人のほかに、 1946(昭和21)年の中国からの集団引揚げ開始された時期に帰国された方(聞き書き□ 10 ) 及び1948(昭和23)年に中国からの集団引揚げがいったん中断された後、1953(昭 和28)年に再開された時期に帰国された方(聞き書き□ 9 )各 1 人を取り上げています。各々 の時代背景の違いを対比しながら、体験談を読み比べていただくことは、「中国残留邦人問題」 を理解する上で、極めて有意義であると思われます。 当センターといたしましては、今後、第5集(最終)を本年度中に刊行することとしており ますが、多くの体験談をまとめ公表することにより、戦争を知らない世代をはじめ、広く一般 国民の方々に当時の生きた体験を提供することができれば、 この上ない喜びと考えております。 ここに、本書の作成にご尽力いただいた資料収集検討会の方々や実際に聞き取りを行った資 料収集調査員の方々、さらにご協力をいただいた各自治体や関係団体の皆様方、そして、何よ りも貴重な体験談を語っていただいた11人の中国帰国者の方々に、心から御礼を申し上げま す。 平成21年12月 中国帰国者支援・交流センター所長 柿 原 洋 二 凡 例 1 本人の語り口や語りそのものを生かすために、 「満洲」 、 「満人」 、 「匪賊」 、 「襲撃」など、今日では使われ なくなった言葉や差別的表現、歴史的には問題が多い言葉もあえてそのまま使用した。 2 「満洲」は、戦後「満州」と記されることが一般的であるが、ここでは歴史的用語としてそのまま「満 洲」という表記を用いた。 3 地名、人名、開拓団名などについては、各聞き書き(1∼11)毎の初出箇所にルビを付した。ただし、 読み方が確認できなかったもの及び中国語での会話が頻出する部分については、ルビを付さないこととし た。 なお、日本語読みは「ひらがな」とし、中国語読みは「カタカナ」で表記した。 4 地名のルビについては、原則として「地名索引」 (厚生省援護局業務第一課(昭和57年3月1日改訂) ) によることとした。ただし、 「哈爾賓」 (浜江省哈爾賓市)について、 「ハルピン」 、 「ハルビン」と記載され ている箇所は、そのまま用いることとした。 5 各聞き書き中の使用文字の大きさは、資料収集調査員の記述部分は12ポイント、中国残留邦人本人の 語り部分や他の資料からの引用部分は10.5ポイントとした。 6 各聞き書き中の数字は、原則としてアラビア数字に統一(熟語の構成部分、他の文献からの引用部分な どを除く)した。 7 用語の解説については、各聞き書きに共通する用語については、用語集(別冊)に登載した。この場合 は、各聞き書き毎の初出箇所に、当該用語の直後に「[用語集→]」と付記した。 なお、特定の聞き書きにのみ登場する用語については、当該用語の直後の[ ]中に解説を直接記載し た。ただし、解説が長文のものなど、一部については、「[注]」として、直後の段落に記載した。 8 本書の著作権は、中国帰国者支援・交流センターにあり、無断引用・転載を固く禁止する。本書中の文 章を引用したり転載したりする場合には、必ず当センターの許可を事前に得ること。 目 発刊にあたって 次 中国帰国者支援・交流センター所長 かき はら よう じ 柿 原 洋 二 凡 例 1 小さな体に、 「日本」を背負って 語り手:近藤 ハツ/聞き書き:資料収集調査員 日下部 慶 -------------------- 1 頁 2 厳しい環境の中から生き抜いて・・・ 語り手:A子(匿名)/聞き書き:資料収集調査員 河本 栄子 ----------------- 13 頁 3 閉じこめられた記憶 語り手:重山 厚/聞き書き:資料収集調査員 小都 晶子 ----------------------- 35 頁 4 失われたものとは何か 5 6 7 8 9 10 11 語り手:増子 静代/聞き書き:資料収集調査員 南 誠 -------------------------- 75 頁 日本・満洲・中国という三つの「国」を生きた「これだけのこと」 語り手:渡辺 フミ/聞き書き:資料収集調査員 南 誠 -------------------------- 111 頁 助けてもらった小さな命 語り手:武田 ちゑ子/聞き書き:資料収集調査員 土谷 明子 ----------------- 143 頁 全てに感謝して生きる 語り手:中澤 槙子/聞き書き:資料収集調査員 高井 登美子 ----------------- 165 頁 父の形見のメダル 語り手:小鹿 秋子/聞き書き:資料収集調査員 松村 雅子 -------------------- 181 頁 心の支え 語り手:鈴木 幸子/聞き書き:資料収集調査員 湯山 英子 ----------------------- 209 頁 いつも気になるのは教え子や残留孤児たちのこと 語り手:岩崎 スミ/聞き書き:資料収集調査員 湯山 英子 -------------------- 231 頁 語り伝えることの困難さ 語り手:亀井 みよし/聞き書き:資料収集調査員 猪股 祐介 ----------------- 251 頁 原稿執筆者・編集スタッフ一覧 ------------------------------------------------------------------------ 280 頁 参考資料(別冊) 1 用語集 2 中国残留邦人に関する略史 3 行動経路図