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意味拡張における二種類の方向性: 着点動作主動詞と身

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意味拡張における二種類の方向性: 着点動作主動詞と身
Kobe University Repository : Kernel
Title
意味拡張における二種類の方向性 : 着点動作主動詞と身
体領域(Two Types of Directionality in Semantic
Extension : Goal-Agent Verbs and Body Space)
Author(s)
夏, 海燕
Citation
神戸言語学論叢 = Kobe papers in linguistics,8:35-45
Issue date
2012-03
Resource Type
Departmental Bulletin Paper / 紀要論文
Resource Version
publisher
DOI
URL
http://www.lib.kobe-u.ac.jp/handle_kernel/81003804
Create Date: 2017-03-30
衿戸言語学論叢第 g
2
0
1
2年(平成 2
4年)3.FJ
3
54
5頁
Kob
器P
a
p
e
r
sinL
お1
9u
i
s
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i
c
sVo
l
.8
M轟r
c
h
2
0
1
2
.
35
4
5
p
p
意味拡臓における二種類の方向性
一税収動作主動詞と身体領域一
夏海燕
神戸大学大学段
1
.f
ま乙めに
本務究では異なる身体様犠による意味拡張の方向性の遠いをみる。動作主の身体蔀{立を
者点とする動観において、務点が手であるか、手以外の身体部{立であるかによって、異な
る拡張方向が観察される。手がえ安点になる動詞には、主語にとって有利な出来事へ、
字以外の身体部伎を着点とする動簡には主語にとって不利益な出来事へ、という対照的な
拡張方向が見られる。本研究では、それぞれの拡張方向を明らかにした上で、このような
違いを導いた原因を探る。
2
.動作主の身体部位を鷲点とする識調
能動詞の場合、動作は動作全から出発し、対象物をもって終結させるのがその典裂である。
カの伝達としては、護主{学金吋{道具)→援護主作主という流れである。 (
1
)をいおg
a
c
k
e
r(
1
9
9
0
)
の行為連鎖モデル〈語.
c
t
i
o
n
c
h
a
i
ゑr
n
o
d
e
存で表すと、以下のようにその主向性を親譲に示せる。
l
o
y
db
r
o
k
告め母 w
indoww
i
t
ht
h
e治 綴 泌 総
(
1
) F
F
l
o
y
d
window
h
a
r
n
r
n
e
r
w
i
n
d
o
w
'
間1
.(
1
)の行為連鎖モデル
しかし、一部の動認は能動翻でありながら、動作主から出た動作は対象輸は及び、最終
的立動作主のところに蔑ってくるという能言語欝の典型から離れた意味的特教をど持つ九街え
ば
、 f
食べる j という動作は、動作が〈箸やフ太一クなどの食器を使って〉食物に働き
かけることによって、食物辻義書作業に向かつて移動し、動作の結果、対象物が動作業の身
体部設である口〈更に体内〉記入る。この場合は、密 2が示しているよう
動作主昌身 i
こなる。
幽
3
5
幽
夏海燕
宇中。4
(
U
t
e
n
si
1s
)
Agent
F
o
o
d
図2
. 飲食の行為連鎖モデ、ノレ
本研究ではこのような動作主の身体部位が着点になる動詞に注目する。まずはこれらの
動詞を、着点は手であるか、またはそれ以外の身体部位かによって、大きく 2種類に分け
る。そして、タイプ Eのほうは更に下位分類する。
タイプ 1 手が着点になる動調
とる、つかむ、つかまえる、とらえる、つまむ、持つ、握る、入手する
タイプ 1
1
:手以外の身体部位が着点になる動調
i.着衣動調 2.着る、かぶる、こうむる、はく、まとう
i
i
. 負荷動調負う、背負う、しよう、担う、担ぐ、抱える、いだく、だく
温.摂食動詞 3.食う、食らう、喫する、なめる、飲む、食べる、吸う
お.感覚動調:見る、聴く、嘆ぐ、会う 4
以下では、このような 2種類の動調の意味拡張における方向性を検討する。第 3節では
タイプ Iの、第 4節ではタイプ Eの動調の意味拡張を考察し、第 5節では 2種類の動調の
比較を行い、更に異なる拡張方向を引き起こす原因を究明する。
3
.手が着点になる動調の意味拡張
手が着点になる動詞は、先ほど挙げたタイプ Iの「とる J r
持つ J r
っかむ J r
握る J r
と
つかまえる J r
つまむ」及び「入手する」という 8つの動詞が挙げられる。こ
らえる J r
れらの動詞の意味拡張を観察すると、以下のような拡張方向が見られる。
方向①:<手で物を獲得する>ことからくものを自分の所有にする>ことへ
<物が手元にある>ことから<自分が所有する>ことへ
方向②:<手で物を獲得する>ことから<理解する>ことへ
以下では、これらの拡張方向について、詳しく見ていく。
3
.
1
. <手で物を獲得する>ことからくものを自分の所有にする>へ/<物が手元にある>
ことから<自分が所有する>ことへ
っかまえる J r
とらえる J r
とる J r
入手する」には
タイプ Iの動調は、 「っかむ J r
<自分の所有物にする>、 「握る J r
持つ」には<所有する>という拡張義を持っている。
3
.
1
.
1
. r
っかむJ r
つかまえる J r
とらえる J r
とる J r
入手する」
例えば、 「っかむ」は<対象物に向けて手を伸ばし、五指を内側に折り曲げながら力を入
2
)のように、<機会など人から
れ、対象物を獲得、または保持する>という基本義から、 (
逃げてしまうものに積極的に働きかけ、獲得する>という意味へと拡張をしている。
-36-
意味拡張における二種類の方向性
(
2
) {大金/証拠/,情報/機会/成功/挙運/良議/幸せ/タイミング}をつかむ
この意味で喪う「っかUJ が取る目的語i
こ関して、国広(
1
9
7
5
)で誌 f
普通はなかなか入手
幸せを逃ナJ r
チャンスを迭すJ r
タ
しにくい、追求の対象j であると鎗摘している。 r
イミングを遺すj などがあるように、跨詩語にくるの辻、しっかり?っかまない j と逃げ
てしまうものが多い。
そして、 r{機会/経拠}香どつかまえる J 、 r{チャンス/機会/情報}をとらえる j
などの言い方から分かるように、類蝕する意味拡張辻「つかまえる j と fとらえる j にも
見られるが、現在ではこの鷺味での使用例は少ない。
(
3
) そういう考えを持って、これからもいろんな機会をつかまえまして粘り強く北朝鮮の
当局と交捗してもらいたいと思います。
(BCCWJ閥会会構錬:第 1
3
9回国会)
(
4
) 各省設置法を新たに制定するという千載一遇のチャンスをとらえ、この際、設置掛か
(BCCWJ~議会会議鎌:第
ら権限規定を削除すべきであります。
139 田国会)
?とる j は r{金メダル/休み/免許/資格/学位/天下/政権/(試験で)溝点}そ
とる j のように、く[ (主に議分が手i
こ入れたい〉ものさと〕特定の懇議または鐙入から護
得する>という意味へ拡獲している。
この意味で使われる顔、 fとる JI
まく特定の経織または綿入から>という規定がある。
侠i
えば、 ?学位をとる Jは新潟する大学または研究機関から、 f
政権をとる j は与党から、
っかかJ r
っかまえる J r
と
というような意味特徴をと持っている。これは先ほど挙げた f
らえる j と異なる。したがって、この意味で捜われる「とる j は f
幸せj など特定の存在
場所のないものを間的諮にとれない。
。
) 憂主~Q か、
(
5
)の f
夢を取る j と f
霊祭せ告と敢る j は「夢/幸せをつかむJ とj
潟じ意味にならず、< [
自
分の夢と普遠の幸せからどちらかを]選ぶ>という意味になる
fとる j に比べて、 「っかかj の密鈴語にくる f
チャンス j や f
幸運 j などは存主場揮
がはっきりしないものである。なぜこのような違いが生乙たかというと、基本義で痩われ
る時、 fとる Jは r(馨欝さから)箸をとる j などのように、対象物は静止状態か、また
は間定している物が多い。それに比べて、 「っかむ j 、 f
っかまえる j 、 fとらえる j の
ほうは先ほど述べたように対象物は動いているものが多い。問定している物辻元の場所が
纏認されやすいが、動いている物は元の場所が分らないか、磯部しにくい。基本義に見ら
れるこのような違いは拡綴織においても保たれている。
Q
3
.
1
.
2
. r
握る Jと「持つ J
更に、基本義においてく動仲金供j
への龍投移動>という意味が薄い「握る j と「持つ jは
、
<物が手元にある>ことからく自分が所有する>へという共通する拡張方向が観察される。
まず「握る j のほうむ器、く〔権力などを]銭入に奪われないように告分の支配領域に
絞める>という意味が晃られ、 f
持つ j のほうはく罪有する>という霊堂味へ拡張している。
〈め畠. {政権/権力/主機/実権/権勢/支記撞/主導権/政掲の鍵}を握る
b
. {国内生産の要/艶拠/相手の謡点}を握る
C
. {多大の利議/お金/財布のひも/家計}を撰る
-37-
笈海燕
(
7
)a
. {
J
3
J
I
荘/大金/資格}を持つ
b
. {繕脊の高さ/震主力/不思議な美さ/陸本らしさ/競争力/議議}を持つ
Jと f
持つ」は開方とも f
夜有する J という拡譲義があるが、 f
握る j 的ほうは、
<地人に奪われないようにしっかりと>、という対立読点がある。このような相違も基本
らきたものであると考えられる。 r
持つ j はただく対象物を手中 l
こ収めて保持する>
握る J のほう辻、<五指を内側へ掛り曲げ、手のひらと指で物を包み込むような形
が
、 f
で、指に力を入れ、物に カをかける>という意味で、所持物にくカを入れる>というの
は、きちんと保持し、棺手に奪われないようにという合意が読み取れる。このよう
は拡強畿 i
こち保持されている。
a
3
.
1
.
3
.比較
タイプ Iの動締役全体的にいうと、 「っかむj や fとる j などはく手で物を穫得する>と
いう意味からくものを吉分の所有にする>へ、 f
援る J と「持つ j にはく物が手元にあ
る>ことからく自分が所有する>へと意味拡張している。つまり、藤本義に見られる使役
移動の有無は拡張義にも反映されているということである。 (
8
)と(町役比較してみる。
(
8
)a
. 三年前に免許を取った。
匂.三年前に免許を持った
(
9
)a
. 今免許宏監ヱエヒゑ。
b
. 今免許惑と豊ヱエじゑ。
0
(
8
a
)は容認できるが、(柿)が勢認できないのは、 ?取る」はく所有していない状蟻から所
有するよう i
こする>動作であるが、 f
持つ j のほうは、<按有する>そのものぞ表してい
協)と(拘)は両方とも雲言えるが、 (
9
a
)のほう註 f
免許J をまだ手に入れ
るからである。一方、 0
9
b
)のi
ま
うi
まf
免許J を所有してい
ておらず、強得しようとしている動作を表しているが、 (
ない状態から所有している状態へという状議変色を表していて、それぞれ意味が違う。
このように、タイプ Iの動翻において、 f
っかむJ r
っかまえる J r
とらえる J r
とる j
「入手する j に辻<自分の所有 i
とする>、 「握る J r
持つ Jにはく所有する>という拡張
がある。更に、再乙く物告と手に入れる動作でありながら、慕本義における縮かい意味上の
それぞれの拡議離に反映している a
3
.
2
. <手で執を獲得する>ことからく理解する>ことへ
「つかむj 、 f
っかまえる j 、 ?とらえる j 及び fとる j は、<理解する>という共通の
拡張義を持っている。
決ず、 ?っかむ j は 、 < [容易に表面に現れない物事の要点や真実などを]環解する>
という意味へ拡張している。
(
1
0
)
こっ/本紫/気持ち/核心/要点/真梧/現実/繋締/大意}をつかむ
<しっかりつかまないと逃してしまう>という意味特徴はここでむ見られ、簡単につか
めないものを自的語にとることが多い。
(
1
1
) 教科書や授業だけでは見えてこない、条文の背後にある礎実をつかむことができるた
め(後略) 0
(
h
旬:
/
l
h
o
u
.
s
o
k
a
.
a
c
.
j
p
/
伽 66_'
∞側e.htmI
)
(
12
) その裏や真欄をとらえようとし、実際 i
こ付き合いを盤ねていく中で、その墜茎主ヱ主
んでいきます。
伍匂:/I
a
m
e
b
l
o
.
j
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/
d
u
p
∞d
t
l
i
邑 往 時1
0
5
6
0
4
5
3
2
0
2
.
h
凶〉
-3
8
剛
意味拡獲における二議類の方向性
「つかまえる Jは f
つかむJ と類似の意味を持っていたが、今ではそれ時ど使われてい
ない。 w日本悶鵡大紳典Jには、以下の実例と共に、<物事の意味や、他人の意図などを
確かに現解する>という意味を挙げている。
(
1
3
) 天地関然の環といふもの宏、しっかりとヱ主主ヰエ、農は斯うなうではならぬ事と、
みづからさし機むる稜のこたへがない。(カ日麟祐一:文明開化)
(
1
4
) なんだか接点が檎(ツカ)まへにくいやうで。(背文庫森鴎外:青年)
}パス (BCCW
J)にも少数ながら、以下のような例が見つかる。
現代日
(
1
5
) 奄美なら後美、沖縄なら沖鶏という堂界がもっていた全体畿、
くて誌ダメだと患いますね。
(BCCWJ高桑倉吉/務)
1
1健一:沖縄・
(
16
) そういった綾稼・予言島社会のダイナミック
れらをつないだ権上交還を重視していかざるをえない。
した還送主
と日本〉
やはり、そ
{湾上〉
?とらえる JI
こはく〔物事の本費・舟容などを〕理解する>という拡餐畿がある。
(
1
7
)a
. 意味をと的磯にとらえる/特離をうまくとらえ
b
. 事件の真相をとらえる/情報の本質をとらえる
とらえる
f
とる Jはく理解したり、判断したりする>という意味がある。
(
1
8
) a 文学どおりにとる
b
. 事態/物事を態くとる
C
. 私は彼の苦言葉を不承知ととった
d
. 鍛なまじめにとる
1のよう
「とる」が持つく理解する>という
も見られる。
り
の たったミ討すの鑑い文語から蓋主翠ι
ゑのは、ざっとそれくらいのことである。
(BCCWJ鈴木史接:警のたのしみかた〉
となると、相手の顔色や態度を見ながら性格を鑑み艶芝、そのつどそれに怠じた出方
で対処していかなければならない。
(BCCWJ上前淳一郎:人・ひんと・ヒット)
(
2
1
) はたして一度耳にして文意が盟主盈主主か。
(BCCWJ長野正:日本語の音声表現)
ο
2
) 轍粛の上からは格調に主力を置かずに着用者の意閉そ議ゑ盟ゑか、作域の珍奇さを璽
であろう。
(BCCWJ鰭間良彦:甲脅鑑定必携)
(
2
め
手の動作からく認識>への拡張は先行研究でも指摘 dれている。 S
w
e
e
t
s
e
r(
1
9
9
0
)では (
2
3
)
のような例そ挙げ、 「物理的な手の操作」と「滞解Jとの結びつきは概めて広く行きわたっ
ていると述べている。
帽
3
9-
夏海燕
(
2
3
)a
. ラテン轄の co
鍛 p
r
e
h
鐙 d
e
r
eくつかむ>からフランス轄の c
o
m
p
r
e
d
r
eく理解する>へ
b
. ギリシャ翻の同副総banoくつかか>から訟t
a
l
a
m
b
a
i
n
o<理解する>へ
c
. 英語にも g
r
a
s
paco
郎容がくある概;念を把握する〉
c
a
t
c
ho
n
t
oa
ni
d
e
a くある考えを理解する>
喜0も
cha(フランス懇のj'a
i詞 i
s
iも)く摺揺している>
っかみどころがない話j などのように、物理約鎌触を表す語が震楼
日本語においても、 f
心理的プロセス念表すようになることもある J(続出・深田 2
0
0
3
)0
しかし、このメタブア}が「物理的な手の操搾と理解」の閉め写像欝係であるかどうか
は疑問である。少なくとも日本語 i
こ眼ってみると、 f
物理的な手の操作j は題点領域とし
て、適切とはいいがたい。備えば、 f
物理的な手の操i
1
むといえる f
擦る J r
持つ J、更
なでる j などにく理解する>という意味への拡張が見られないむ一方、<区
に「触る J r
民ずる>ことを f
分ける Jで表現したり、更に、 「想、い出すj 、 f
思い艇とすj 、 f
患い遮
ダ
ヲj 、 f
思い合わせる j 、 「思い浮かべる J、 「思い措く j 、 f
思い切る j 、 f
患い詰め
るj など、思考鴻護者を物体操作で表したりする表現が多くみられる。概念メタファーとし
て定着させるために、起点領域と務点線壌の対J;t;関係者とより機密に競定する必要があると
考えられる。
ここで誌、 ま思考活動は物体操作である》という上控メタファーの下に、 《理解は手に
よるま獲得である》という下位メタファーを設定する。これらのメタファ…は、 IDEAS(OR
制 EANINGS)AREOBJECTS(
R
e
d
d
y1
9
7
9
) とし、う存在メタフア}と平行している 6
ここまではタイプ Iの手合着点とする動詞の拡張方向性を見てきたが、次節では、字以
外の身体部伎が着点になる動詞の意味拡援立おける方向性を検討する。
4
.字以外の身体部位が着点になる識調
字以外の身体部位が務点になる動習は、更に下位分類できると第 2節で述べた。まずは着
衣動調、摂食動語、負荷動澗、感覚書訪韓の各動翻類は具体的にどの身体部設に離着するか
宏明らかにする。
4
.
1
.各鍛錦の具体的な務藷部最
着衣議書類は吉野・呂 (
2
0
0
3
)が述べたように、“X 鵠 嚇e
syt
omovet
oz
,whぽ ex agen
,
t y=
c
l
o
t
h
e
s
,
z=body
(
pa
r
t
)
へつまり、<動作主(口坊が衣譲 (
"
'
y
) を体(あるいは体の一部分)や吟
に移動させる>という意味構造をなしている。身体部設について具体的な考察を行った研
1
9
8
0
) では着衣欝認の意味は次の 3つの基準で特徴付けられると議じてい
として、彰1lJ(
る
。
(
2
4
) 畠.対象物が‘衣類'である。
b
. 特定の身体部分が関与する。
c
. (話者によって誌)特定の動作様揺が饗求される。
ま下半身(影山 (
1
9
8
0
)で泣「思J という用語を使っている)
身体部位については、 「はく Jf
念頭部に、 「着る j は劇体 i
ことそれぞれ衣類をつけるが、ス}ツのズボン
に
、 「かぶる Jf
をはいている時に、 「スーツをはく J とは震えず、「着る jという動詞を使うことから、
るj は必ずしも鯛体に議定されているもので誌ないとしている。スーツ、ワンピ…ス、パ
ジャマ、オーパーオール、フード(付き)ヤッケなどは「着る j を使うことから、以下の
ように、Gru
b
e
r(
1
9
7
6
) の'Pr包c
i
p
l
eo
fd
i
材開.
c
t
i
v
ed
e
l
i
m
i
包t
i
o
n
' を修正し、 「特定頃自彊先の
条件J を導入して分析告と行った
組
40-
意味拡張におけるニ積類の方向性
(
2
5
) 最小指定の条件を満たす 2舗の錨議案項思 P,Qが存在する場合、ある謀本範曜につい
て Pの議定の方が Qの指定より多ければ、 Pが Qに彊先して器禁挿入惑と受ける。足だ
かぶる j がより鍾先されるが、その以外の場合は f
着る j
けのfIまく j と頭だけの f
の 後 患 範 躍 に な る 。 ( 欝 l - l J1980:
3
3
)
り、議だけが指定されると fかぶる j 、足だけが指定されると f泣く j が襲用され
るが、それ以外の場合住肉体のみ、sI母体十類、鯛体十足)に辻 f
着る j が発動すると考え
るのがよいとまとめている。
摂食動簡のほうは、動作主が飲食物は働きかけ、飲食物を動作識の体の一部である口に
入れる。回に見える移動の者点は動作主の体の一部である口までであるが、実際に飲食物
は獲に体内への移動もある。
負荷動詞は、 「負う J r
背負う J r
しよう J と「抱える J r
いだく Jなど、パリ
ェ…ションに富んでいるが、その瀧いは主に附着する身体部位にある。 r
負う j は「荷物
うj のように、<背中に[人やものの議みを]うける>という
そして、 「
背i
こ負う J という意味の f
背負う j 、更に「背負う j からさ
乙である。これらの勤務と選って、 f
撞える j 法背中ではなく、著点となる身体
部誌は嬢であったり、議であったりする。つまり、<物を懇で謹むようにして勝で支えた
り、脇の下に挟んだりして持つ>のである。…方、 九、だく JI
まく調務会認して物を体の
中心に支え持つ>というのが基本畿であり、対象物の着点試鞠である。
最後拭感覚動詞で、感覚動翻において共通の拡張方向が見られるの試讃党動錦である。
視覚淡現は虚構移動として議論されてきた (τalmy 1
9
9
6,2000,松本 2004参照) 0 調党の
成f
tには「光エネルギ}→問一→視覚野叫漉合野」という情報処理パラダイムが必讃である。
外界物質から反射された光が瞳手しな過して、網膜に達し、眼球の奥にある光受容細胞に吸
収され、最初の光処理を始める。つまり、視覚において光の着点は闘で、もっと正確に言
えば光受容細胞である。
以上のように、手以外の身体制l
訟をと務点とするタイプ豆の動詞樹務部伎の詳細を明らか
4
.
2
.鷺隷拡議の方向性
タイプ nの動認には、<主語にとって不制益が生じる>という意味へ拡張する額指が晃
られる〈夏 2
0
1
0
) 訴えば、著衣動搬の「着る J r
カミぶる J r
こうむる j の 3つは、とも
にく[好ましくないことを]身に受ける>という意味;こ拡張している。
0
(
2
6
) しかし自分が悪い覚がないのに、むやみに是主差ゑなあ、どうしても日の性質として
き な い 。 ( 育 指 文 庫
闘激石:坑夫)
でi
(
2
η このことを声高 i
こ申しますと、余計に不利詩を被る、さらに偏見が拡散されるという悪循
擦に陥るために、あまり強調されてき?でおりませんが、このことで悩む人は今も少なくあ
(BCCWJ 萱野茂'他;アイヌ諾が閥会に響く)
りません。
f
みる jも、基本義として後う場合は?テレどをみるん「夜室長をみる jなどのよ
こ伴いく〔ある出来事を〕経験する>という意味で
うに議味鈴にや立である一方、意味拡強 i
{憂き呂/痛い自/抄どいお/辛い聞をみる j やr{ばか/泣き/地獄/
う場合には、 r
耳討をみる j などのように、 「いい関をみる j のような例外i
まあるものの、共議する沼釣語
のほとんどがネガティブなものとなる。タイプ立の動諒の意味拡張におけるく主語にとっ
て不利益が生じる>という意味は表 2のようになる。
組
4
1
幽
海燕
. 各動織の謀本義・ネガティブな拡張義及びその使用例
表2
霊
訪
飼
基本暴露
造
寄
る
下ーセットあるいは上下一体の衣類
を]}身につける
被る
[
1
綴
そF
な
e
:
'
t
-l
頭部につける
{上半身 iこ{次護軍事~]/体全体に[上
こうむ
る
f
カガフルj の転,
r
者
支 QJ と湾重量
鍋
嶋
.
〔喜重などを]自分の身i
こ受ける
汚名、怒潟、き革委襲、災難、罪
ー
.
.
.
,
砂
E
費径やま雲など請け事│告7受ける、三長
たはS
きに費量げる
、
襲 影響、 水答、 委
主
義
変
高
察
出
品
、 Z
ー..
〔災害撃など妻子ましくないことを] 打型襲、不興、損害、
身l
こ受ける
議、戦災
[負:f.!l..傷害・恨みなど心身的に
緩ましくない奉安]Jきに受ける
灸う
背中に{ものの議み会]うける
網闘争
背負う
背中に[ものの緩みを〕うける
棚網
しょう
背中に[ものの重みを;うける
抱える
抱く
例
{
拡張義
・
9
ー→
E
負担など告と]身 l
こ受ける
E
負援など惑と〕身 l
こ受ける
〔負ま援になるもの、厄介なもの、
敬語普告としなければならないもの
を]自分の身に引き受ける
E
王
i
車、後
費任、負担、債務、恨み、危
険
、 図幾、 重
量
綴
ロ}ン、借金、察、負担、不
索、責任、殺緩
食後、損害事
事毒殺態告で臨むようにして燐にだいた
り、脇の下に挟んだりして持つ
.
.
前腕を隠して物をとやにかかえこむ
ωφ
[今えや気持ちを],むのIjll
こ持つ
畏
不信、不滅、不安、耳恐怖、 f
み、絡み、芸達葬号、反感
仰や
[爽{佳や負担になることさと]うけ
る
責任、費用
開闘争
E
攻童書えとど安]受ける
号、叱苦言、不意打、小言、
主
幹f
総書握、渡銭、罰金
幾重章、妻童書号、ストレス、赤字、
f
悩み、借金
持つ
[対象物語旨}手ゃに絞めて保持する
食う
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ロ1
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:入れ、かんで体内に
達金事込む
食らう
[飲食物を]口に入れ、突に体内 i
と送
哲込主F
ー
.
.
.
,
砂
[攻噴誌などを}受ける
…童書、攻撃、説教、不霊安打、
…意義、爆撃
のむ
[主に液体状の飲食物会]ロに入れ、
み
をf
更に体内に送事 i
ω今
[緩ましくないもの安]妥協して
受け入れる
条件、婆求
喫する
重量める
免る
寄人寄っ
初
食べる、童文む、吸う
[物の着陸産自身]舌の先でき患れる
こ燃す/段
[者葬物を]視界に入れて箆 i
ずと綴界に入ってくる物療がおに狭
る
お互いに対節して、[;j(諸手を;霊意書義す
る/偶然出くわナ
側
聞
.
[失数や心理的な t
r
毒患を〕警をける
惨敗、敗花、緩き、
降四今
〔つらい事を]十分に経験する
楽
器
費
、 事告しみ、 苦苦痛、苦労、
苦
手
務
一今
[いやな銭安祭事を]経験する
主義、翁炎、不幸、失禁文、泰弘
泣き、若手い毘
[いやな術来事を]豪華襲業する
いじめ、変湾、摘、被害寄、災
費量、事数、警告い鼠
。
向
恐慌
5
.方向犠の比較及び原器擦求
第 3鱗と第 4節では、それぞれタイプ Iとタイプ廷の動詞の意味拡擦をみてきた。二つの
異なるタイプの動詞は意味拡張の方向において簸著な差が見られる。手が着点になる動翻
はく自分にとって有利なものを童謡的に取り入れる>という意味へ、手以外の身体部イ立が
まく主簡にとって不幸Ij議が生じる>へとそれぞれ拡張している。つまり、
となる動詞 i
齢者辻積械的民有料なものを取り入れるが、後者の場合は不興益なものを抵抗できず、受
け身的に設けざるを得ない。
手以外の身体部イ立を者点とする動簡が<主義にとって不利益が生じる>というネガティ
主体領域の侵害j 、及び意味拡張における
ブな意味へ拡張するのは、基本義に見られる f
J
i
i
iから考えられる〈詳報は夏 2010参惑〉。
「縁関性の潜失」という二つの傍I
こ存寵していた事物が主体領域内に
タイプ豆の動翻は、基本義において、く治体領域外 i
入ってくる>という共通の意味要素を持っている点が揺撲できる。吏に、タイプ立の動詞
のうち、 「見る Jと f
会う j は基本義において意図的事象でも非意図的事象でも費えるが、
それ以外の動昔前は荷れも意図的事象を選好する。しかし、動作主が意罰的に対象に犠きか
制
42“
意味拡張における二種類の方向性
けるプロセスが意味拡張において薄まることが観察される。残るの辻、<対象物が動作主
の領域に入ってきて、動停主が移動の影響を受ける>という結果的意味要素である。
快適領域内記入って
る事物が、主言善治主要幹意層的な状態である場合に主体の s
主体にとっては領域の慢害であり、縄張り意識が作動した結果<綾饗
じると解釈される。
となる動顎は<自分にとって有利なものを意思的立取り入れる>という
ィブな意味へ拡張している。手も重己領域i
こ嘉するものであるが、なぜ越の身体部
る拡張方拘が生じたかというと、それは身体蔀位における手の能動性・饗設性か
ることができる。
手は物理的な環境との意密約なふれあいの中で、一番重要な器宮であり、もっとも用識
まうが有能
の広い道具と箆てよい。触覚の器宮以外の全ての感覚器官段、人鍔より動物の i
であると携嬢され、拶l
t
えば、ワシやタカ、ガゼノレ、ネコ族の援の完成度、翠禽離やイヌ、
オオカミ、ハイエナでは嘆覚が驚くほど鋭い。しかし、手による綾覚だけは、人簡がほか
の議毒物に対する譲位性を持っと謡議されている(Be
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3
3
)
。人類の進化も上肢の霞街化が
ている。歩行の道具から生産の道具にかわり、手の働きが重婆になってくる。 r
手j
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土
、 (
2
8
)のように人轄にとっての重要性が窺い知れる。
(
2
8
)a
. くその動停をする人>:嬢のもらい手、語り手、麗き手
b
.く労{動力>:入手が走りない、女手一つで子供を育て上げる
c
. く取りかかる>:手を付ける、着手する
d
.く所有範間>:人の手に渡したくない
e
. く支艶>:ライバル会社の手の者、き巨人の手から人質を救う
f
. <手段>:手を尽くす
手の能動性は神経心理学の成果からも証拠付けられている。大脳皮質の機能分担に接づ
念、われわれな聞む環境を p
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に分ける(図 3参照)。
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鍔SONAL
EXTRAPE
糸線81ENT
EXT
著
者:
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∞〉が最も基本な機能であ
殺も密接な欝係を持つ領域では、手の動き (
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狩め。これは手が銭の身体部{立が比較できないほど能動的であるこ
ると述べられている仔'
こ自分の意怠によらない他者の侵入は不快感をもたらすが、もっ
とを物語っている。この範密内 i
とも能動性の高い手の動さだけ異なる傾向をみせる。
冊
4
3-
海燕
6
.終わりに
本研究は、動作全の身体安s
f
立が饗点になる動誤に著書し、手、そして手以外の身体部{立を
務点とする動読は、意味拡張において異なる拡張方舟を示すことを現らかにした。さら
人錆の縄張り意識、及び身体繋般における手の鍾笹性から、なぜこのような違いが金じた
こ影響されるということを明ら
か 、 そ の 原 器 を 究 萌 し 、 意 味 変 誌 が こ の よ う な 身 体 詩 基 盤i
かにした。本議で検討したことは、護言語の身体基盤性を証拠付ける具体醗になると考えら
れる。
謝辞
本稿の内容に関して、松本機先生、岸本秀樹先生、田中真一先生に貴重な w
摘をいただいた。また秋岡喜美氏、鈴木楽平氏、そして研究室の方々に有益なコメントを
いただいた。ここで深く感謝の殺そ申し上げたい。尚、本稿の不備は全て筆者に帰ナるも
のである。
注
1 扱う動詞の範盛に途いはあるが、 M
量
器i
c
a(
19
7
6
)、仁尽 (
1
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)、村木(19
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3
)、双∞k紛 dP
絞d
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主i
、夏 (
2
0
1
0
) などにおいて、これらの勤務の特殊性について言及されている。
(
2
0
0
9
)
2
若衣動翻j について、影山(I録。}などの先行研究では f
主要約者衣勤務j と?ニ次的表衣
動議 J (はめる、かける、結ぶ、巻くなど〉という区別会まなされてきた。ここでは「主事要約務次勤務j だ
けを援して使用する。
3 授食勤務〈知事総括v
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器対とは、先行研究では概ね狭義的な見方 (
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ω など)
と広豪華約な見方 (
M
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畠 1
9
7
6)など)の 2滋りの考え方があるようである。狭義の f摂食勤務JI
念、日本務
の f食べる/食う/飲むj な~、絞食行為に関係、のある動諮(以降は EAT' D
RlNKで雲是認する)だけを指
i
c
a(
1
9
7
6
)が代表的である。 M昌s
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1
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6
)では、 i
拍車総勧告 v
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こ線して、
すむ一方、広義的なほうは M昌s
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eなどを挙げ、これらの動詞は物正義的、淡いは心渡的
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こ何かを吸収するという共通性殺持っているとした。ここでは狭義の見方を取る。
4
会う j は元々感覚動簡ではないが、 i
*友達に会ったが気づいてくれなかった Jどいう文の非
容認性から分かるようにく対節してお笈いを認織する>という意味要素が含まれており、他の感覚動綱と
の共通点が見出せる。
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6 書籍の制約聞に優先般位が設けられるという考え方は、最適性環論 (
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現代日本詩書き言葉均衡とコ…パス(BCCWJ:
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