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ゴリブリ研修会報告書 2016年

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ゴリブリ研修会報告書 2016年
日仏高等学校ネットワーク-­‐コリブリ友の会主催 日 仏 高 等 学 校 ネ ッ ト ワ ー ク -­‐コ リ ブ リ 2016 年 度 研 修 会 報 告 石井陽子 日仏高等学校ネットワーク-­‐コリブリ友の会 事務総長 一昨年(2014 年)より年 1 回開催されている日仏高等学校ネットワーク・コリブリ研修会が本年も 4 月
1 日にパリ日本文化会館のレセプションホールにて開催された。 研修会の報告に入る前に、このネットワークの活動をもう一度確認させていただく。これは日本におけ
るフランス語教育振興政策の一環として在日フランス大使館が考案企画したもので、日本の高校でフラ
ンス語を学んでいる日本人学生とフランスの高校で日本語を学んでいるフランス人学生とがペアとなり
交互にお互いの国のパートナーの家族と生活し、パートナーの学校に通うという交流活動である 。故
に、フランスにおける日本語教育振興にもつながるものである。留学期間は長期(9 か月)と短期(3
週間)があるが、短期留学がコリブリ活動の主体である。短期留学の時期は仏学生は万世節の休暇を利
用して 3 週間日本滞在、日本の学生は 3 月の休暇を利用しての 3 週間フランス滞在となっている。この
交流のオーガナイズは、日本側とフランス側の両国で同様に活動する組織によってなされており、「日
仏高等学校ネットワーク-­‐コリブリ友の会」はフランス側の組織である。この活動は 2005 年度に開始さ
れ、本年度(2015-­‐2016 年)は 10 周年にあたる。2015-­‐2016 年度の参加学生は日仏各 50 名、計 100 名、
50 のペアの交流となった。尚、このネットワークの加盟校になるにはコリブリ憲章に校長が署名するこ
とが必要である。現在フランスの加盟校は 23 校で日本の加盟校は 30 校である。(http://reseaucolibri-­‐
francejapon.org/accueil/) さて、今回で 3 回目を迎えた研修会は昨年と同様総計 30 名の参加者のもと開催された。まず第 1 回研
修会よりいつも会場を提供してくださっているパリ日本文化会館の杉浦館長よりご挨拶をいただいた。
その概略は以下の通りである。当会館の政策事業の一つである日本語講座を通して、日本語教育ならび
に日仏文化交流の振興を目指しているが、日仏関係の将来を担う若い世代、特に高校生に期待してい
る。3月5日のスピーチコンクールでのコリブリ学生の発表の素晴らしさに印象深くした。日仏高等学
校ネットワーク・コリブリの活発な活動には大いに敬意を表し、協力を惜しまない。その意志の具体化
として国際交流基金安藤理事長とパリ日本文化会館杉浦館長の名のもとに「国際交流基金さくらネット
ワークメンバー」である証書がコリブリ-フランスの須貝会長に授与された。 次にまず参加者が各自自己紹介をし、須貝会長の司会のもと、本研修会の本題に入った。 ◆ コ リ ブ リ ・ フ ラ ン ス の 現 状 に つ い て ♦ 現在のフランス・コリブリ加盟校は 23 校である。さらに、ロリアンのサン・ルイ高校が加入を希望
しているが、加入の際には翌年の研修会に担当教師が出席し、コリブリが何であるかをよく理解し、コ
リブリメンバーと交流できる状態になることが必須条件である。 ♦ このようにフランスの加盟校の増加に伴いフランス人の交換留学希望学生はさらに増加する可能性が
ある。それに比して、日本人学生の候補者が少ないのが問題である。さらに、フランスのテロの問題も
加担し、フランス人学生の交換留学のチャンスが少なくなる恐れがある。日本側の加盟校の増加を期待
したい。 ♦交換留学終了後、提出が義務付けされている日本滞在レポートに関する今年の問題点は、バカロレア
の NOTION に関連付けたレポートでなければならないことだった。それは決して簡単なことではない
が、結果的にはかなり成功したレポートがあった。 ♦ 昨年よりコリブリ交換留学した学生より選抜された 4 名の学生がパリ日本文化会館のスピーチコンク
ールの場で日本滞在についての発表をしているが、昨年も今年も当会館より非常に良い評価をいただい
ている。そして、パリ日本文化会館は将来的にコリブリ向けの何らかのイベントを開催したい意向であ
る。この種のプロジェクトは学生のモチベーションを高めるものであり、我々としてはもちろん協力を
惜しまない。しかし、コリブリ学生の発表はコンクールの枠内で行われるのが望ましい。それのほう
が、一般に向けてのインパクトがある。イベントが 2 日続けば素晴らしい。このような相乗的な協力関
係はたいへん喜ばしいことである。 1
♦ 2016 年度の新企画について:日本へ出発する前日に、学生のための一日研修を組織する。交換留学
参加学生全員が出発前日にパリに集合し、パリ日本文化会館を会場にしての研修を受ける。この研修目
的は日本での留学に出発する前に、もう一度全員でコリブリ精神また諸事項について確認することであ
る。この研修により学生たちの各種情報の認識の一致を図る。また学生同士の交換もできる。全員一緒
に夕食を取り、翌朝バスで空港へ向かう。これにより、地方から来る学生の問題、遅れる学生の問題が
解消されるという利点がある。このプロジェクト実施のため、日本語の企画書予算書を作成し、国際交
流基金に申請したところ、申請額全額を助成してくださるとの知らせを本日受け取った。 ◆ コ リ ブ リ 日 本 加 盟 校 訪 問 に つ い て の ジ ュ ー ル ・ ゲ ー ド 高 校 の 寺 田 真 紀 ア グ レ ジ ェ 教 諭 発 表 2015 年度の新企画としてコリブリ日本加盟校訪問を実施した。初めての試みで、ジュール・ゲード高校
の寺田真紀アグレジェ教諭が担当した。このプロジェクトの趣旨は日本の各校の校則など各種情報並び
に受け入れたフランス人生徒に関する印象を収集し、フランス人学生の留学準備をより効果的に行うこ
とにある。この事業を始めるにあたって、まず訪問校の各校の調査を記入する調査票を作成した。そし
て、2015 年度の 50 名の学生とともに 10 月 17 日に出発し、11 校を訪問、11 月 7 日に学生とともに帰仏
した。寺田教諭の発表では、記入された各校の調査票から「学校の特色」「制服」「校則」」「生活の
様子」「時間割」「交流」に関して訪問校(11 校)の主な情報をかいつまんで話された。尚、記入され
た各校の調査票には各校の貴重な情報が満載されており、教師にとって非常に有益且つ貴重な資料であ
る。調査票は教師が見たいとき見ることができるように、コリブリのサイトの教師用イントラネットに
載せることになっている。この事業は仏教育省(DREIC)並びにパリ日本文化会館の助成により実施さ
れたことを記しておく。 この日本加盟校訪問についての発表に次いで、当教諭は OECD の「日本イノヴェーション教育ネットワ
ーク」(http://innovativeschools.jp/)の第 2 のプロジェクトである「地方創生イノヴェーションスクール
2030」の紹介をし、最後に「2015 年度の日本コリブリ総会」についての報告を行った。 次いで、コリブリ交流実施における様々な問題点に関して参加者間で活発な質疑応答・討議がなされ
た。 ◆ プログラムの最後にコリブリ事業とは関係なく、筆者(石井陽子)による「 バ カ ロ レ ア 後 の 日 本 語
学 習 継 続 の 可 能 性 」 というテーマで、日本語教育を行っている高等教育機関と学校外教育機関並びに
教育課程の紹介があった。(http://reseaucolibri-­‐francejapon.org/japonais-­‐apres-­‐baccalaureat/) ◆ 研修会の締めくくりとして、在仏日本大使館文化広報部一等書記官の大川晃平氏とフランス国民教育
省国際関係協力局(DREIC)次長のジュディカエル・レニョー氏よりお言葉をいただいた。以下のその概略
を記す。 在 仏 日 本 大 使 館 文 化 広 報 部 一 等 書 記 官 大 川 晃 平 氏 の ご 挨 拶 DREIC のレニョー次長および中等日本語教育の振興に貢献している研修会参加者へ敬意を表した後、
2013 年にオランド仏大統領の日本訪問の際、安倍首相との共同コミュニケの中の 2 国間特別パートナー
シップの枠内でコリブリが挙げられたが、コリブリ・ネットワーク活動が日仏 2 国間における日仏語教
育の強化促進に貢献していることに敬意を表する。さらにコリブリで交流した若者たちが 2 国間の様々
な分野での交流の発展に貢献することを期待する。 次にフランスでの日本語教育の現状に触れた。フランスにおける日本語学習者数は 1980 年代よりヨ
ーロッパにおいては第 1 位を占めており、その数は継続的に増加している。が、フランス国内の日本語
教育の問題は日本語コースの数が少なく日本語を学びたい青少年の要求を満たしていないことである。
需要に対して供給が追い付いていない。また、日本語コースの全くない地域があり、地域差が大きい。
また、上質の日本語教育を担当できる十分に養成された教師の数の問題もある。フランスにおける日本
語教育の発展を阻んでいるこのような問題を解決していかなければならない。日本語教師の皆さま方が
日々努力なさっていることに敬意を表する。今回 INALCO にて日本語教師養成講座マスター2 が開講され
たことは大変時宜を得た措置であり大いに評価される。日仏特別パートナーシップがフランスの日本語
2
教育を効果的に支援することを祈る。コリブリの活動は日仏語教育にとって非常に重要なものであるこ
とは言を待たない。更なる発展をお祈りする。 フ ラン ス 国 民 教 育 省 国 際 協 力 関 係 局 (DREIC)次 長 ジ ュ デ ィ カ エ ル ・ レ ニ ョー 氏 の ご 挨 拶 昨年の 11 月のユネスコのイベントに始まり、12 月の COP21、さらに日本で行われる 5 月の G7-­‐教育大
臣会合と重要なイベントが続き、それに伴い日仏教育大臣が話し合う機会ももたれ、フランス教育省と
日本大使館とはダイナミックな協力体制に入った。そして、昨年 11 月の両大臣の会議に立ち会う機会
を得たが、双方とも日仏言語教育の協力を強化する意思を表明している。というのは 1990 年代には日
仏間の言語教育協力はとても盛んであったが、その後、世界情勢が変わり、フランスでは中国語、韓国
語などのアジア言語の台頭、日本でも 1980 年代にはフランス語は英語に次ぐ 2 番目の外国語であった
が、中国語、韓国語などに追い越されている。しかし、日仏両国政府は言語教育協力を強化しようとす
る意志を強くしているので、再度有利な状況になりつつある。 実際、フランスにおいて日本語への要求は大きく、それに反して、日本語のオファーは十分でない。
それは国の予算との関係もある。しかし、現状を改善するには日本語教師のための国家試験を新設する
ということが必要かもしれない(注 1)。近い将来日本語の視学官との話し合いも予定されており、ま
た、G7-­‐教育大臣会合で両国の教育大臣の会議も持たれることになっており、現状改善に向けて具体的
な提案がなされ得るなど、見通しは明るい。 先ほど須貝会長が言及したが、G7 ジュニア・サミット参加学生の選抜の件では、非常な失望を与えた
(注 2)。DREIC 内の部長クラスの人事異動、特にアジア・アフリカ部長の交代により、教育省より矛盾し
たメッセージが発信された。大変遺憾に思っている。この失策をどのように挽回できるか、日本大使館
とともに選抜された優秀な学生に対して何かを企画するかなど、どんな形かで挽回の機会を作るよう努
力するつもりである(注 3)。 また、コリブリ外のことで、日本語インターナショナル・セクションはすでに存在しているが、日仏
2 国政府間での正式な協定が未だ結ばれていない。この件でも、日本大使館と話し合いが進められてい
る。 大川書記官と同様、この研修会に参加できて非常にうれしい。コリブリネットワークは日仏共同声明
でも言及されており、ささやかなネットーワークだがエネルギッシュな活動で発展している。教育省は
このネットワークがさらに発展するように、助成金を増額するなど支援し続けるつもりである。 研修会の報告は以上であるが、研修会後、コリブリ・フランスの定例総会が行われた。その後、日本大
使館、パリ日本文化会館、さらに須貝会長の援助により、カクテル・パーティーがもたれ、参加者間の
なごやかな懇親の場となった。 2016 年 6 月
****************************************************************************** ( 注 1) 5 月 14 日にベルカセン仏教育大臣が日本語 CAPES externe の新設を発表。http://www.ambafrance-­‐
jp.org/Creation-­‐du-­‐CAPES-­‐externe-­‐de-­‐japonais
( 注 2) 「G7 ジュニア・サミット in 三重」が本年の 4 月 22 日から 28 日にかけて日本で行われたが、このサミッ
トにフランスを代表する学生 4 名を選抜するよう教育省よりコリブリ・フランスに依頼がなされた。それを受け
て、コリブリ・フランスは英語の堪能な優秀な学生を選抜するよう加盟校に働きかけ、18 名の候補者から 4 名を
選抜し教育省に学生リストを提出した。が、教育省より他のルートでも依頼がなされてあり、結局他のルートか
らの学生がフランスを代表することになった。 ( 注 3) 本研修会後、コリブリによって選抜された 4 名の学生をねぎらうため、5 月 15~16 日に倉敷で行われた
G7 教育大臣会合に出席するためベルカセン仏教育大臣が日本訪問をするのに合わせて、4 名の学生を日本に行か
せるよう教育省よりコリブリ・フランスに指示があった。須貝会長のイニシアチブで「G7 ジュニア・サミット in 三重」のテーマ「次世代につなぐ地球、環境と持続可能な社会」に則って、「日仏環境教育の比較研究」をテー
マに日仏コリブリ学生計 9 名が報告書を作成。在日フランス大使館がベルカセン仏教育大臣と馳文科大臣を迎えて
5 月 17 日にレセプションを開き、その機会にコリブリ学生が日仏教育大臣に報告書を提出した。この事業は仏教
育省(DREIC)並びにパリ国際交流基金/日本文化会館の助成により実施されたことを記しておく。 (http://reseaucolibri-­‐francejapon.org/g7-­‐de-­‐leducation-­‐mai-­‐2016-­‐rapport-­‐reseau-­‐colibri/) 3
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