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インタラクティブGAによる 仮説的な蛾の目玉模様の研究
東京大学工学部システム創成学科シミュレーションコース平成16年度卒業論文 インタラクティブGAによる 仮説的な蛾の目玉模様の研究 Interactive GA Based Generation of Hypothetical Moth Eyespots 30777 梅城 崇師 2005年2月10日研究室内プレゼン用資料 目的 蛾の目玉模様の生成 目玉模様を仮説的に定義 遺伝的アルゴリズムを適用 クロスジキシタメダマヤママユ 有り得たかもしれない模様 これまで・・・CGで自分の作りたいものを作るには、 手動で変数を少しずつ調整する必要 本研究・・・手続き的な目玉模様生成という選択 肢を提案し、簡単に鮮やかな模様を手に入れる 蛾の目玉模様 目玉模様は大きく2つ(今回対象は前者) 単一の大きな目玉 蛾の一種 (綺麗な蛾もいる) ヤママユ科の蛾に多い 天敵(鳥)を驚かせるため 複数の小さな目玉 アゲハ蝶などに多い ダミー攻撃対象(頭を守る) 翅脈 前翅 後翅 蛾と蝶は「昆虫網−鱗翅目」に属し明確な区別なし 鱗粉に覆われた翅が特徴の、大規模な昆虫群 鱗粉(色素を持った粉サイズの瓦状物質)により模様 翅は前翅と後翅に分かれ、翅脈で種類も区別 対象∼仮説的な目玉模様 本来の翅模様 発生・生物学的(蛾の遺伝子から発現) 本研究 図形集合とみなして条件に従い生成 変数数を減らし、GA適用を簡単にする 後翅のみを、2次元で表現 左右対称で、翅脈などは無視 目玉模様はおおよそ一箇所 モデリング:翅形状 指定点を通るスプライン補間で表現 少ない変数で表現可能 翅形状、ハート型:8点 円:4点 指定点は輪郭上の点 輪郭上なので簡単に指定 モデリング:(目玉+背景)模様 楕円4つの組合せ テクスチャ 扇形 透明度を加え 楕円2つに減 円環 ぼかした長方形の組合せ モデリング完成 GA:交叉・選択 遺伝アルゴリズム(GA) 本研究での評価:インタラクティブGA Hollandが生物進化から着想を得て提唱 (1975)した、確率的最適値探索アルゴリズム 交叉・突然変異・評価によって成り立つ 感性に基づくような、評価関数を定義できない 問題に対し、人間が直接評価を行う 本研究での交叉・突然変異 変数ひとつひとつに対して独立に行う グレイコードへの変換は行うが染色体はない 結果:変異率25%の第一世代 結果:75%の第一世代(翅固定) 結果:怒り顔1 結果:怒り顔1:拡大 結果:怒り顔2 結果:無から顔の生成 結果:無から綺麗模様生成 結果:面白い個体例 人の顔 泣き顔 研究総括 結論 目玉模様を含む蛾の後翅をモデリングできた 翅形状をスプライン曲線を用いて表せた 翅模様を円形と、長方形を基調として表せた 容易に多様な模様を生成できた インタラクティブGAの有効性が示された 既存蛾を初期値とすることでGA高速化を図れた 評価環境の違いにより同目標でも違う結果ができた 課題 種々の前提条件解除:前翅・翅脈や3次元化 生物ごとに見られる揺らぎなど自然要素の導入 仮説的から現実的へ:生物学的発生 疲れないインタラクティブGAの開発 意味を見いだしすぎたサル 『仮面性の進化論』という擬態研究本で用いられた言葉。 「『目玉模様』を作る」と躍起になると何でも目玉模様に見る 何も知らない人が見ると、そんなに目玉模様には見えない 結果の中で私と意見が違うなら→私が意味を見いだしす ぎた インタラクティブGAよろしく主観的な世界で動いている研 究 意味を見いだしすぎることを回避することは難しい 無意味なものから意味を見出すことから科学は始まる → 無意味なものではない 私は蛾ではないので、そもそも翅の模様が天敵である鳥 の目玉を擬態しているかどうかもわかない しかし、GAにより綺麗な模様ができることだけは確実