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LaviStoma大量注入口を用いたハロ酢酸類のFull Scan分析
GC/MS Application Note LaviStoma大量注入口を用いたハロ酢酸類の Full Scan分析 サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社 C&MS応用技術部 編集発行 : マーケティング部 GCMS07008 Key Words y 水道法 y ハロ酢酸類 y PolarisQ y 大量注入 y LaviStoma はじめに 平成16年4月に水道法が改正され、50種類の水質基準項目 が設定されました。ハロ酢酸類(クロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリ クロロ酢酸)の中でもクロロ酢酸は基準値(0.02mg/L)が厳しい 上、GC/MSでの感度も十分でないことから、SIMで測定されて いるところがほとんどです。 今回は、雑賀技術研究所の開発(販売:㈱アイスティサイエン ス)した大量注入口LaviStomaを用い、Full Scan分析を試みま したので報告いたします。 LaviStomaは胃袋型の注入口で、溶媒を排気して大量注入を 行う方法です。ハロ酢酸類は最終溶媒がMTBEのため、保存 状況によっては溶媒によるバックグラウンドが高くなる傾向に ありますので、溶媒排出を行うPTVが向いていると考えられま す。 分析条件 GC TRACE GC ultra Column : TR-5MS 30m×0.25mm I.D. df=1.0um Oven Temp : 40℃(5min)-5℃/min-120℃-20℃/min -240℃(1min) Flow : constant flow 1.2min/min Transferline Temp : 240℃ MS PolarisQ Ion Source Temp : 220℃ Ionization mode : EI Full Scan m/z=50-250 AS TriPlus Injection Volumn : 20μL GC Synchro start : Delayed 注入口 : LaviStoma LVI-S200 Injection Volumn : 20μL Injection mode : PTV Solvent Split Temp : 55℃(0.12min)→120℃/min→260℃(16min) LaviStomaについて LaviStomaは(財)雑賀技術研究所(販売:㈱アイスティサイエン ス)の開発した胃袋型の注入口です。溶媒を胃袋型の注入口 に入れ、溶媒のみを排出して、測定対象成分をカラム内へ導入 します。PTV-LV型の注入口ですが、胃袋型をしているため、 充填剤を一切使用しないのが特徴です。 注入速度 低速 大量注入法工程 ベントモード 150mL/ 1st Stage 注入 1st 注入口温度を溶媒 沸点よりも低めに設 定した状態で試料を 注入し、液体状態で インサート内に保持。 ベントモード 150mL/ スプリットレス モード 2nd Stage 3rd Stage 濃縮 パージモード 50mL/ 4th Stage 除去 導入 2nd ベントモードで揮 発してくる溶媒蒸 気を排出し、イン サート内で試料を 濃縮。 3rd スプリットレスモー 4th パージモードでイ ドで注入口温度を ンサートに残存して 上げ、目的物質を いる夾雑物を排除。 分離カラムへ導入。 図1:LaviStomaの大量注入工程 ハロ酢酸の分析法 検水50mL (pH0.5以下) 溶媒抽出 NaCl 20g MTBE 4mL 誘導体化 2mL/4mL分取 ジアゾメタン0.2mL(30∼60min) 30∼40℃30min加温 内標添加 (1,2,3-trichloropropane) GC/MS メソッド設定画面 試薬 クロロ酢酸メチルエステル、ジクロロ酢酸メ チルエステル、トリクロロ酢酸メチルエステ ル(東京化成工業㈱) ※測定は遊離酢酸に換算して行っています。 溶媒:水質試験用tert-ブチルメチルエー テル [和光純薬㈱] 基準値 化合物 基準値 (mg/L) 基準値の 1/10 クロロ酢酸 0.02 0.002 ジクロロ酢酸 0.04 0.004 トリクロロ酢酸 0.2 0.02 クロロ酢酸類のマスクロマトグラム Full Scanで測定したときのマスクロマトグラムを図2.に示します 。最終検液中25ppbで、検水に換算すると0.002mg/Lに相当し ます。 検量線 標準溶液12.5ppb∼250ppbの検量線を図3.に示します。 (含25ppb, n=5) Chloro Y = 3809.06+490.576*X R^2 = 0.9995 W: Equal クロロ酢酸 m/z=77 140000 NL: 3.78E3 m/z= 76.50-77.50 F: MS LVI_halo_20 uL_02 80 60 120000 100000 Area Relative Abundance RT: 8.29 - 11.29 SM: 7G RT: 9.79 100 60000 40000 GCMS07008 20000 40 9.26 8.55 20 0 0 10.74 9 10 Time (min) 100 200 ug/L 0 サーモフィッシャー サイエンティフィック株式会社 Dichloro Y = -10048.3+2447.7*X R^2 = 0.9999 W: Equal 11 C&MS営業本部 600000 ジクロロ酢酸 m/z=83 横浜本社 045-453-9197 500000 RT: 11.33 - 14.33 SM: 5G RT: 12.83 100 Relative Abundance 80000 80 60 Area 400000 NL: 1.57E4 m/z= 82.50-83.50 F: MS LVI_halo_20 uL_02 大阪支店 06-6863-1551 300000 200000 E-mail [email protected] 100000 0 0 50 100 40 150 ug/L 200 250 Trichloro Y = -8721.34+1207.12*X R^2 = 0.9997 W: Equal 20 13.69 12.13 0 12 13 Time (min) 300000 14 250000 Area 200000 トリクロロ酢酸 m/z=117 Relative Abundance RT: 14.20 - 17.20 SM: 5G RT: 15.70 100 NL: 5.99E3 m/z= 116.50117.50 F: MS LVI_halo_20 uL_02 80 60 40 150000 100000 50000 0 0 50 100 150 ug/L 200 250 おわりに 20 16.48 15.06 0 15 16 Time (min) 17 図2:クロロ酢酸類25ppb(検液中で0.002mg/L) のマスクロマトグラム 再現性 標準溶液25ppbでn=5測定したときの再現性を表1に示します。 File name Chloro- Dichloro- Trichloro- LVI_halo_20uL_02 15440 51109 22019 LVI_halo_20uL_03 15883 52306 21186 LVI-S200の大量注入口とThermo Fisher 製イオントラップ型 GC/MS (PolarisQ)を使用して、ハロ酢酸類のFull Scan測定 を行ったところ、検量線、再現性とも良好な結果が得られまし た。特にクロロ酢酸は基準値と感度の問題でFull Scan測定が 不可能でしたが、大量注入することでFull Scan測定が可能に なりました。Full Scanで測定を行えば、マススペクトルでの確 認をすることができるようになります。またMTBEは開封すると 汚染されやすくなり、GC/MS測定のときにバックグラウンドが 高くなることがありますが、溶媒排出を行うことで、溶媒のバッ クグラウンドを軽減することができます。 www.thermoelectron.jp (日本) LVI_halo_20uL_04 16568 49983 21096 LVI_halo_20uL_05 16266 53089 22006 LVI_halo_20uL_06 17731 53666 22729 16377.6 52030.5 21807.0 STDEV 866.4 1492.7 675.4 %RSD 5.29 2.87 3.10 www.thermofisher.com (グローバル) Average 表1: 25ppbの再現性(0.0002mg/L相当, n=5) ©2006 Thermo Fisher Scientific Inc. All trademarks are the property of Thermo Fisher Scientific Inc. and its subsidiaries. 大量注入装置についてのお問い合わせ先 株式会社アイスティサイエンス http://www.aisti.co.jp/ Specification, terms and pricing are subject to change. Not all products are available in all countries. Please consult your local sales representative for details.