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「先遣隊ロールプレイング演習による初期防疫体制の整備」(PDF:156KB)
先遣隊ロールプレイング演習による初動防疫体制の整備 宮古家畜保健衛生所 ○小田 葉子・有田 由美・屋冨祖 昇 2010 年の口蹄疫発生後に作成された宮崎県の口蹄疫防疫マニュアルでは、各専門分野 のメンバーを事前に現場へ派遣し、防疫活動を計画させる先遣隊が明記され、また国の防 疫作業マニュアルにも事前の農場調査の重要性が明記されている。そこで今回、管内の和 牛繁殖農場で口蹄疫が発生したと想定し、先遣隊による農場現地調査及びロールプレイン グ形式での演習を行ったので、その概要を報告する。 演習を実施するにあたり、発生想定農場は自己埋却地を所有する農場と所有しない農場 の2農場とし、先遣隊関係機関と全体的な調整会議を3回行った。先遣隊関係機関は宮古 家保、宮古農林水産振興センター、同農業改良普及課、同農林水産整備課、宮古島市、J Aおきなわ、農業共済組合、建設業協会、磁気探査協会である。会議で互いに意見交換し ながら先遣隊の作業についてシミュレーションを行いとりまとめた。 先遣隊の出発前に把握すべき事項として、発生農場の飼養状況、発生状況、位置情報、 埋却予定地の水道水源への影響や磁気探査実施状況がある。これらの情報を基に先遣隊の 立ち入りルート、仮の防疫ラインの設定、埋却予定地やその輸送ルートなどを大まかに検 討することとした。現地調査で農場や埋却予定地に立ち入り、周辺の防疫ラインの設定、 殺処分場所やその手順、埋却溝の掘削計画を具体的に決定し、その情報を基に必要資材、 機材、重機、人員を試算する。最終的にこれらの結果をまとめ報告書を作成し、現地対策 本部へ報告することとした。 防疫作業を検討する条件として、輸送車両や重機と人の動線が交差しない進入ルートと 作業ゾーンの設定や、ウイルス拡散防止を念頭においた殺処分法や輸送ルートを考えた。 殺処分後の家畜輸送用トラックや道路消毒用車両は農場周辺道路状況、殺処分や埋却作業 用の重機は畜舎構造を確認しながら選定した。埋却予定地下に琉球石灰岩層があり深く掘 削できない場合、崩れないような盛土を施すことで対処。一方表土は軟らかく崩れやすい 土質であることから、埋却溝の法面の勾配は緩やかにすることとした。また磁気探査は金 属探知のみであるなら1時間で 400 ㎡の探査ができるため、掘削と同時並行で速やかに行 えることがわかった。 以上をふまえて県内全地域の先遣隊メンバーによる農場現地調査(1日目)と管内先遣 隊メンバーによるロールプレイング形式(2日目)の2段階による演習を行い、内容を確 認した。演習参集範囲は先遣隊関係機関および農家等とし、延べ 110 人程度の参加があっ た。演習後のアンケート調査で、ほぼすべての参加者が先遣隊の役割やその内容を理解ま たはやや理解できたと回答していることから、この方法による演習には大きな効果があっ たと思われた。課題としては、先遣隊を農場(牛舎)内に立ち入らせるべきか否かの検討、 小規模農場密集地での地域一帯の殺処分の検討などが挙げられた。 今回の演習によって、初動防疫体制の整備がより前進した。課題を検討しながらこのよ うな演習を継続し、今後も初動防疫体制を万全に維持していきたい。