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2.16 モザンビーク - 石炭資源情報

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2.16 モザンビーク - 石炭資源情報
2.16
2.16
モザンビーク
モザンビーク
1. 一般情勢
(1) 国名 (英語名)
モザンビーク共和国 (Republic of Mozambique)
(2) 首都 (英語名)
マプト (Maputo)
(3) 面積
79.9万平方キロメートル(日本の約2.1倍)
(4) 民族
マクア・ロムウェ族など43部族
(5) 言語
ポルトガル語、マクア語、シャンガナ語、英語
(6) 宗教
キリスト教(56.1%)、イスラム教(17.9%)、原始宗教
(7) 政治体制
共和制
(8) 人口
約2,649万人、人口増加率2.5%(2014年:IMF)
(9) 人口密度
(10) 名目GDP
32.3人/km 2
156.2億ドル(2013年IMF)、166.8億ドル(2014年IMF)
(11) 一人当たりGDP (名目)
629.8ドル(2014年 IMF)
(12) 経済成長率
7.5%(2014年、IMF、中銀)、6.5%(2015年、IMF)
(13) 物価上昇率
4.2%(2013年:世銀)、4.5%(2014年:IMF)
(14) 外貨準備高 (US$)
14.7億ドル(2014年)(JETRO)
(15) 総貿易額 (US$)
輸出 47.3億ドル(2014年:CIA推定)
輸入 87.5億ドル(2014年:CIA推定)
(16) 日本との貿易
対日輸出1.902億ドル、対日輸入0.554億ドル(2014年:JETRO)
(17) 使用通貨
メティカル(複数形はメティカイス)
(18) 為替レート
1米ドル=44.3メティカル(2015年10月)
(19) 失業率 (%)
22.5%(2012年)
(20) 在留邦人数/在日モザンビーク人数
181人(2014年11月)/39人(2013年6月現在)
出所:「外務省ホームページ」、但し、(9)は(3)と(8)からの計算値、(10),(11)は「国際通貨基金(IMF)ホーム
ページ」、(14)は「アメリカ中央情報局(CIA)ホームページ」より作成
出所:CIA ホームページ
- 739 -
2.16
モザンビーク
2. エネルギー情勢
2013 年の一次エネルギー消費量は、石油換算で 1,078 万トンと、2000 年以降、年率の
伸びは 3.18%である。
一次エネルギー消費量の内訳をみると、その他(79.2%)
、水力
(11.6%)、
石油(7.8%)、ガス(1.3%)で構成されており、現在のところ石炭のシェアは殆どゼロで
ある。バイオ燃料が主体で、水力が重要なエネルギー源の一つになっている。2011 年から
出炭が始まったテテ州の石炭開発が期待される。
ガスは国内で生産されるが殆どを輸出に廻しており、石油はすべて輸入である。なお、
下記のように将来の LNG 輸出能力は世界第 6 位となると予定されている。
発電電力量は 15 TWh と少ないが、100%水力でまかなっており、隣国である南アフリ
カとは大きく異なっている。
(1)エネルギー資源量
出所:国際金融情報センター、「モザンビークがわかる 10 のポイント」
、2014 年 1 月 15 日
- 740 -
2.16
(2)エネルギー政策
モザンビーク
1
モ ザ ン ビ ー ク 政 府 は 2008 年 か ら 2012 年 の 間 の エ ネ ル ギ ー 戦 略 ( Energy
Management Strtegy for the Energy Sector (2008 –
2012))を策定し、この戦略に基
づいて政策を実行している。エネルギー戦略の主な内容は下記の通り。
・電気と液体燃料への持続的なアクセスの増強
・薪や木炭などの持続可能な利用
・新エネルギーと再生可能エネルギーなどの新たなエネルギーソースの促進
・エネルギーの多様化
・輸入燃料に代わるバイオ燃料の生産の促進
・エネルギー開発計画とプログラムの策定
・エネルギーに係る開発計画やプログラムを実施する他部門との共同計画やエネルギー
イニシアティブの統合
・持続可能な発展と環境保護
・エネルギー供給のためのシステムとツールを含む効率の良いエネルギー供給の促進
・適切なステークホルダーとの協議と制度の調整
・SADC(南アフリカ共同体)を含めた国際協調フォーラムへの積極的な関与
・エネルギーの効率的な利用
また、エネルギー戦略には石炭に関する下記の方針も示されている。
・石炭火力発電所の建設を推進する。
・石炭火力発電に利用可能な石炭火力発電技術の研究。研究は SADC 地域に適用する技
術を選定する。
・気候変動を軽減するための炭素固定と貯蔵のための効率的な技術の修得と利用
・エネルギー省は鉱物資源省との緊密な連携により石炭資源を電力供給に有効活用する
ことを確実なものにする。
(3) 石炭政策
2
政府の鉱物資源開発に対する基本方針は民間によるオープンな資源開発の推進である
が、一方で、モザンビークの国民及び企業の参加を推奨するとともに、国家による権益
の確保や公社による資源開発への関与並びに鉱物資源のモザンビーク国内での付加価値
化の推奨など、資源ナショナリズム的な動きも見受けられる。
しかし、現状では投資者の利益を損なうようなあからさまな動きは見られず、むしろ
鉱業法や鉱業規則並びに鉱区管理台帳システムなどにより透明性の高い運営が行われ、
投資者への利益を保証している。今後の政府の政策等は注意深く見守る必要があるが、
現状では問題なく資源開発を行える環境である。
① 政府 5 ヵ年計画(PROGRAMA QUINQUENAL DO GOVERNO PARA
(2010-2014))
1
2
NEDO「平成 18 年度海外炭開発高度化等調査(南東部アフリカ(南ア及びモザンビーク)における石炭
開発計画および輸送インフラ)」、2007 年 3 月、等を参照。
NEDO「平成 18 年度海外炭開発高度化等調査(南東部アフリカ(南ア及びモザンビーク)における石炭
開発計画および輸送インフラ)」、2007 年 3 月、等を参照。
- 741 -
2.16
モザンビーク
5 ヵ年計画には鉱物資源に関するものだけではなく、国家の運営に関わる様々な分
野につていの政策や方針も示されている。現在の 5 ヵ年計画は第 4 次計画であり、2010
年に制定され 2014 年までの政策を示している。この中で資源に関する政策としては
、以下の項目が示されている。
・モザンビークには多様な潜在的鉱物資源のポテンシャルが存在しており、これら資
源の持続可能な利用のための管理を実践する。
・モザンビークでは天然ガス、石炭、ミネラルサンド及びその他の鉱物資源について
豊富な埋蔵量が確認されている。
・政府は国家の発展のためにこれらの資源の合理的な開発と利用を推進する。
<戦略目標>
・地質技術を向上させるとともに、鉱物資源の探査・主題図作成及び地質情報公開を
推進する。
・経済的に採掘可能な鉱物資源の持続可能な開発
・内部市場及び産業の発展を推進するために、モザンビーク国内における鉱物資源の
付加価値化を奨励する
・国家による地質探査と資源開発の事業活動の促進
・小規模又は個人レベルの採鉱の奨励。国内の小規模採掘者を対象とした技術支援や
融資の優遇措置を施し、環境教育や技術研修などの支援も行う
② 地質・鉱業政策(Mining and Geological Policy)
1998 年に制定された地質と鉱山開発に係る基本政策である。現在内容の改定を検討
中であるが、2011 年現在新しい政策の発表はない。主な政策は下記の通りである。
・実施中の国営企業の民営化により、国家の探鉱や鉱業生産への参画を減少する。
・探鉱活動や鉱業活動の振興による税収の増加を図る。合わせて、鉱業分野の効率的
管理監視メカニズムを構築する。
・鉱業行政の効率を向上するため、きわめて専門能力の高いチームを創設する。
・民間企業の関心事を法律に組込むために、民間企業と永続的な対話を実施する。
(4)環境政策
3
鉱業法(Law Nr.14/2002, of June 26)の中で、環境マネジメントについて、以下の
ように言及している。
• 鉱物資源の適切な探鉱および活用と社会・経済・文化的側面を含む環境の保護、
保全との適合性、および廃棄物の発生と天然資源の損失を最小限に抑え自然破壊
を防止する優良な鉱業活動を目的とする。
• 法制上の環境マネジメントツールとして、環境影響評価、環境マネジメントプロ
グラム、環境マネジメントプラン、環境モニタリングプログラム、閉山プログラ
ム、環境監査の 6 種を設定
3
NEDO「平成 18 年度海外炭開発高度化等調査(南東部アフリカ(南ア及びモザンビーク)における石炭
- 742 -
2.16
モザンビーク
• 鉱業活動をレベル 1(機械化方式によらない概査・試掘や個人や協同組合による
小規模鉱山)
、レベル 2(建設材料用鉱物の採掘や採石、機械化設備による採鉱及
び試験操業)
、レベル 3(上記以外の鉱山操業で機械化方式によるものを含む)の
3 つに分類し、レベル 1 の鉱山には基本環境マネジメントルール、レベル 2 の
鉱山に関しては環境マネジメントプラン、レベル 3 の鉱山には環境影響スタディ
を義務付けている。
(5)一次エネルギー消費量
(石油換算千トン)
2000
2005
2010
2011
2012
2013
年平均
伸び率
'00-'13
年平均
伸び率
'10-'13
2005年の
シェア
2013年の
シェア
石 炭
0
0
6
31
10
10
0.00%
18.56%
0.0%
0.1%
石 油
486
496
719
825
788
844
4.34%
5.47%
5.8%
7.8%
ガ ス
1
18
128
80
75
139
46.17%
2.79%
0.2%
1.3%
原子力
0
0
0
0
0
0
0.00%
0.00%
0.0%
0.0%
水 力
830
1,141
1,432
1,446
1,302
1,251
3.21%
-4.40%
13.4%
11.6%
その他
5,860
6,837
7,590
7,892
8,262
8,538
2.94%
4.00%
80.6%
79.2%
合 計
7,177
8,493
9,875
10,273
10,438
10,782
3.18%
2.97%
100.0%
100.0%
出所:IEA, “Energy Balances of Non-OECD Countries 2015”
(6)一人当たりエネルギー消費量
2005
2000
2010
2011
2012
2013*
一次エネルギー消費量
(石油換算百万トン)
7.18
8.49
9.88
10.27
10.44
10.78
人口(百万人)
18.3
21.0
24.0
24.6
25.2
25.8
0.392
0.404
0.412
0.417
0.414
0.418
一人当たりエネルギー消費
(石油換算トン/人)
出所:IEA, “Energy Balances of Non-OECD Countries 2015”
(7)一次エネルギー需給バランス(2013 年)
石 炭
国内生産
石 油
ガ ス
原子力
水 力
電 力
(石油換算千トン)
その他
合 計
3,519
49
3,206
0
1,251
-
8,600
16,625
輸 入
0
1,396
0
0
0
717
0
2,113
輸 出
-2,323
-49
-3,066
0
0
-779
0
-6,217
バンカー
0
-75
0
0
0
-
0
-75
在庫変動
-1,186
-477
0
0
0
-
0
-1,663
一次供給
10
844
140
0
1,251
-62
8,600
10,782
注:
*バンカーとは、国際航空及び外航海運のための燃料
出所:IEA, “Energy Balances of Non-OECD Countries 2015”
- 743 -
2.16
モザンビーク
(8)電力消費
(GWh)
2000
産 業
輸 送
家 庭
業 務
その他
合 計
1,501
0
392
196
0
2,089
2005
8,364
0
533
246
0
9,143
2009
2010
7,640
0
729
223
954
9,546
8,574
0
897
264
96
9,831
2011
2012
2013
8,681
0
1,052
295
113
10,141
9,448
0
1,233
258
0
10,939
9,295
0
1,416
166
404
11,281
年平均
伸び率
'00-'13
年平均
伸び率
'10-'13
15.05%
2.02%
-
-
10.38%
16.44%
-1.27%
-14.33%
-
61.45%
13.83%
4.69%
出所:IEA, “Energy Statistics of Non-OECD Countries 2015”
(9)発電電力量
(GWh)
2000
2005
2010
2011
2012
2013
石 炭
0
0
石 油
42
14
1
0
0
0
ガ ス
2
7
18
20
21
349
0
0
0
0
原子力
0
0
0
0
0
0
水 力
11,841
13,264
16,647
16,810
15,145
14,546
その他
0
0
0
0
0
0
合 計
11,885
13,285
16,666
16,830
15,166
14,896
年平均
伸び率
'00-'13
年平均
伸び率
'10-'13
2005年
のシェア
2013年
のシェア
-
-
0.0%
0.0%
-
-
0.1%
0.0%
48.75%
168.50%
0.1%
2.3%
-
-
0.0%
0.0%
1.60%
-4.40%
99.8%
97.7%
-
-
0.0%
0.0%
1.75%
-3.68%
100.0%
100.0%
出所:IEA, “Energy Balances of Non-OECD Countries 2015”
(10)当該国が策定した将来の電源構成の見通し
モザンビーク電力公社が策定した 2027 年までの電源構成の見通しを示す。2012 年まで
は水力が主体であるが、2014 年からはガス火力が 2 割近くを占め、2016 年からは石炭火
力も導入される。2018 年には石炭火力が約 22%、ガス火力が約 38%、水力が約 39%と
いう構成になる。2021 年以降は再び水力がガスを上回る。また、発電量自体は毎年約 10%
伸びている。
- 744 -
2.16
モザンビーク
出所:METI、三菱日立パワーシステムズ、平成 25 年度エネルギー需給緩和型インフラ・システム普及等
促進事業、「モザンビーク共和国における先進型高効率ガス発電設備に係る事業実施可能性調査」
(11)部門別エネルギー消費(2013 年)
部 門
(石油換算千トン)
最終エネルギー
消費量
産 業
1,816
輸 送
677
家 庭
6,939
業 務
55
農林漁業他
12
非エネルギー
0
その他
33
合 計
9,532
農林漁業 非エネル
ギー
他
その他
0.0%
0.1%
業 務
0.3%
0.6%
産 業
19.1%
輸 送
7.1%
家 庭
72.8%
出所:IEA, “Energy Balances of Non-OECD Countries 2015”
3. 石炭生産、消費動向
IEA Coal Information 2015 に基づくデータは、2014 年の生産量が 614 万トンと前年
2013 年の 548 万トンよりも 66 万トン増加した。
消費量は 1 万 4,000 トンとなっている。
2014 年時点で生産しているのはテテ州のモアティーゼ・プロジェクト(2013 年の生
産量 490 万トン)、ベンガ・プロジェクト(2014 年の生産量 123 万トン)
、チロゼプロ
- 745 -
2.16
モザンビーク
ジェクト(2013 年の生産量 4 万トン)である(プロジェクトの概要を後述)。
(1)石炭埋蔵量
モザンビークの石炭埋蔵量はこれまで 55~60 億トンとされていたが、平成 23 年度に
実施された NEDO 調査により、各社から発表されている資源量を集計すると、300
億トン近くの資源量が確認されている。しかし、モザンビークでは炭量評価基準がな
いため、注意が必要である。
World Energy Council(WEC)は、モザンビークの石炭可採埋蔵量を 2 億 1,200 万
トンと報告しており、その全てを瀝青炭(無煙炭を含む)と分類している。
可採埋蔵量
(百万トン)
瀝青炭
無煙炭
212
(100.0%)
亜瀝青炭
褐 炭
計
212
(100.0%)
出所:WEC, “Survey of Energy Resources 2013”より作成
(2)炭田位置図、主要炭鉱位置図
稼 動 し て い る 炭 鉱 は Moatize 地 域 に 位 置 す る ミ ナ ス ・ モ ア テ ィ ー ズ 炭 鉱 ( 旧
ChipangaXI)炭鉱、ベンガ炭鉱、チロゼ炭鉱の 3 ヵ所である。
出所: NEDO「平成 18 年度海外炭開発高度化等調査(南東部アフリカ(南ア及びモザンビーク)における石
炭開発計画および輸送インフラ)」、2007 年 3 月
- 746 -
2.16
モザンビーク
(3)石炭生産量
(千トン)
2000
2005
2010
2011
2012
2013
2014*
年平均
伸び率
'00-'14
年平均
伸び率
'10-'14
一般炭
16
3
38
342
1,686
2,198
2,378
42.9%
181.2%
原料炭
0
0
0
275
2,844
3,277
3,765
-
-
計
16
3
38
617
4,530
5,475
6,143
53.0%
256.5%
褐 炭
0
0
0
0
0
0
0
-
-
合 計
16
3
38
617
4,530
5,475
6,143
53.0%
256.5%
年平均
伸び率
'00-'14
年平均
伸び率
'10-'14
注:*2014 年は見込み、出所:IEA, “Coal Information 2015”
(4)炭種別石炭消費量
(千トン)
2000
2005
2010
2011
2012
2013
2014*
一般炭
0
0
10
52
16
16
14
-
-
原料炭
0
0
0
0
0
0
0
-
-
計
0
0
10
52
16
16
14
-
-
褐 炭
0
0
0
0
0
0
0
-
-
合 計
0
0
10
52
16
16
14
-
-
注:*2014 年は見込み、出所:IEA, “Coal Information 2015”
(5) 炭鉱開発状況
モザンビークの炭鉱開発プロジェクトの概要(資本、生産予定、埋蔵量等)を以下に
示す。
- 747 -
2.16
モザンビーク
モザンビークの炭鉱開発プロジェクトの概要
Moatize プロジェクト
Benga プロジェクト
権益: ブラジル、Vale社 80% 権益:インド ICVL 65%
(Rio Tintoから買収2014.7.28情報)
三井物産 15%
インド Tata Steel 35%
モザンビーク政府 5%
Zambezeプロジェクト
Tete East プロジェクト
権益:インド ICVL 100%
権益:インド ICVL 100%
(Rio Tintoから買収2014.7.28情報)
(Rio Tintoから買収2014.7.28情報)
出炭開始: 2011年
2012年に377万トン、13年に
382万トン、14年に491万トン、
15年に約500万トンを生産
2012年に29万トンの強粘結炭
2015年に生産開始予定
及び42万トンの一般炭を生産
2023年に原料炭700万トン、
2013年に87万トンの強粘結炭
一般炭500万トンの生産
及び75万トンの一般炭を生産
石炭埋蔵量:22.9億トン
石炭資源量:40億トン
可採埋蔵量:5億トン
石炭埋蔵量:.40億トン
2016年生産量:1,000万トン
2017年生産量:1,500万トン
2019年生産量:1,800万トン
2015年目途に原料炭600万ト
ン、一般炭600万トンを生産
2023年時点で原料炭700万ト
ン、一般炭500万トン生産予
定。
主な事業
MoatizeⅠ
MoatizeⅡ
Nacala Corridor:2015年完了
Sena Beira
Power Plant
フェーズ1生産量:240万トン
(強粘結炭160、一般炭 80)
フェーズ2生産量:1,200万トン
(強粘結炭600、一般炭600)
灰分が10%と多いため、選炭設
備(4,000トン/時)を所有
マーケット長期低迷で採算が 火力発電所: 500~
悪化しているため、増産できる 2,000MWの火力発電所を建
火力発電所: 600~2,500MW かどうかは流動的
設予定
の火力発電所を建設予定
Revuboe プロジェクト
権益:Talbot 58.9%
新日鐵住金23.3%
日鉄住金物産10.0%
POSCO 7.8%
Beacom Hill-Minas de Moatize
Ncondezi Coal Project
権益:Beacon Hill (英) 100%
14年12月に経営破綻し生産停 権益:Ncondazi(英) 100%
止中
2012年に60万トンの一般炭を
2016年出炭開始、2019年年産
生産。2013年に235万トンを生 開発計画中
500万トンを生産予定
産予定
石炭埋蔵量:14億トン
Mozambi Coal
石炭埋蔵量:8,000万トン
可採埋蔵量:5,700万トン
Jindal Songo地区
(Chirodze炭鉱)
石炭埋蔵量:18.1億トン
ETA Star
権益:Mozambi(豪) 70%
権益:Jindal Steel & Power
(印)
2011年に出炭開始
2012年に生産開始。2013年度
2012年採掘権認可
に35万4千トン、14年度に131
500万トンの生産予定
万2千トンの原炭を生産した
石炭資源量:3鉱区合計で49.6
石炭資源量:16.5億トン
~61.9億トン
権益:ETS Star(印) 100%
ENRC (Eurasian Natural
Resources Corp)
権益:ENRC(カザフ) 100%
開発計画中
石炭資源量:3鉱区合計で15
億トン
Coal India
権益:Coal India(印) 100%
インド政府が所有
開発計画中
石炭資源量:20億トン
出所:平成23年度NEDO海外炭開発高度化等調査「モザンビークにおける石炭資源の開発状況よ輸送インフラの整備状況
及び我が国への輸出ポテンシャル調査」。テックスレポート「2015石炭年鑑」、平成26年1月17日、平成27年12月8日他
テテ州における炭鉱開発には大きく、モアティーゼ・プロジェクト(ブラジル Vale 社)、
ベンガ・プロジェクト(Rio Tinto 社⇒ICVL が権益買収)、レブボー・プロジェクト(豪
- 748 -
2.16
モザンビーク
Talbot Group 及び日本、新日鉄住金他)、ベンガに隣接したザンベージ・プロジェクト(Rio
Tinto 社⇒ICVL が権益買収)の 4 つのプロジェクトがある。
① Moatize プロジェクト
三井物産がモアティーズ炭鉱の権益買収。ナカラ回廊プロジェクトの権益も取得へ。
三井物産がヴァーレからモザンビークのモアティーズ炭鉱の権益を 15%取得する。さら
に、ヴァーレが進めているナカラ回廊プロジェクトの権益も取得する。モアティーズ炭
鉱は 2011 年に生産開始され、13 年には精製炭能力が 1,100 万トン/年(強粘結炭:850
万、一般炭:250 万)に高まった。しかし、鉄道やインフラ整備が大幅に遅れており、
13 年における精製炭生産量が 381 万 7 千トン/年(強粘結炭:237 万 3 千、一般炭:
144 万 4 千)、14 年 1~9 月までの精製炭生産量は 347 万 5 千トン/年(強粘結炭:213
万 7 千、一般炭:133 万 8 千)にとどまっている。ヴァーレは今後、2017~18 年の完
了を目指して、ステージ 2 を進め、精製炭生産能力を 2,200 万トン/年(強粘結炭:
1,700 万、一般炭:500 万)に倍増する。一方、ナカラ回廊プロジェクトでは、ナカラ
港に大規模ターミナルを建設するとともに、ナカラ鉄道を整備する。2015 年から本格
操業を開始し、石炭輸送能力は 1,100 万トン/年となる。初期投資は 7 億 6300 万ドル
(約 916 億円)。拡張費を含め三井物産の総投資額は 1,200 億円を越えそうだ。
(2014.12.08 テックスレポートなど)。
本プロジェクトは、
ブラジルの総合資源会社である Vale が首都 Maputo の北 1,700km
に位置する Tete 州で新規に進めている原料炭開発プロジェクトである。2007 年 6 月
には Mining Concession を取得し、炭鉱建設が進められている。
• 露天掘りによる年間 1,100 万トンの石炭生産(原料炭:850 万トン、一般炭:250
万トン)が 35 年間見込まれている。
• 処理能力年間 2,600 万トンの大型選炭工場を建設しており、将来の生産拡張に備
えている。
• 2011 年 5 月に操業を開始した(Bloomberg ,2011.5.8)。
• 生産された石炭は Sena-Beira を経由する 600km の鉄道で、Sofala 州の Beira
港に設けられる新規石炭ターミナルに輸送される。
• 2013 年の生産量 381.7 万トン(強粘結炭 237.3 万、一般炭 144.4 万)、2014 年
上半期の生産量 218 万トン(強粘結炭 130.9 万、一般炭 87.1 万)
。
• 2014 年の生産量は 491 万トン。
• 2015 年からナカラ鉄道およびコール・ターミナルの操業が本格的に開始され、
モアティーズ炭をナカラ港から輸出することができる(能力 2,200 万トン)
。
モザンビークのインフラ工事進捗率が 50%に。鉄道、コール・ターミナルとも年内に
工事完了。・・・ヴァーレが中心になって進めているモザンビークでの大規模インフラ
の総合工事進捗率が現時点で約 50%に達していることが明らかになった。ステージ1で
は北部のナカラ港に大規模コール・ターミナルが建設されるとともに、テテ州炭田とナ
カラ港を結ぶナカラ鉄道が整備・増強される。能力はいずれも 1,100 万トン/年。3 月
末時点の進捗率は、ターミナルが 53%、鉄道が 46%。ステージ1の工事は 2014 年内
に終了し、15 年からは鉄道およびターミナルの操業が本格的に開始される。さらに、ス
テージ 2 の完成は 2016 年内の予定で、能力が 1,800 万トン/年に増強される。モアテ
- 749 -
2.16
モザンビーク
ィーズ炭鉱は現段階で 1,100 万トン/年の精炭能力(強粘結炭 850 万、一般炭 250 万)
がある(2014.5.2 テックスレポート)。
② Benga プロジェクト
本プロジェクトはインドの International Coal Ventures Priviate Ltd.(65%)とイ
ンドの Tata Steel Limited(35%)のジョイント・ベンチャーにより Tete 州(Vale の
Moatize プロジェクト西側に隣接)で実施されるプロジェクトで、最近の試錐調査のデ
ータに基づくと、40 億トンの石炭資源量が見込まれている。
印 ICVL がモザンビークの石炭資産買収へ。R ティントからベンガ炭鉱の権益 65%等を。
インドの International Coal Ventures Private Limited が近く、リオ・ティント社か
らモザンビークの複数原料炭資産を買収する見通しとなった。ベンガ炭鉱の権益 65%に
加え、ザンベージプロジェクトおよびテテ・イーストプロジェクトの権益 100%を約 1
億 800 万ドルで買収する。ICVL は国営企業 5 社が出資する国策会社で、これまで海外
資源を獲得した実績はない。因みに、ベンガ炭鉱の残りの 35%の権益をタタ・スチール
が保有している。また、インド企業では現在、ジンダル・スチール社がテテ州チロゼ炭
鉱を操業中で、生産規模は 150 万トンだが、2020 年以降 650 万トンに引き上げる計画
だ(2014.7.28 テックスレポート)。
リオ・ティントがモザンビーク石炭資産を売却。 リオ・ティントはモザンビークで
保有する石炭資産を、インド政府系企業連合 ICVL に 5,000 万ドルで売却すると発表し
た。同事業はザンベージ川を利用した石炭輸送計画が当局の反対で変更を余儀なくされ
るなど、難航を極めていた。売却するのは、テテ州のベンガ炭鉱でリオが保有する 65
%の権益を含む。リオは 2011 年、豪州リバースデール・マイニングを 40 億ドルで買収
した際に資産を取得していた。同事業は 13 年には 30 億ドルの評価損を計上、CEO の
辞任の引き金にもなっていた(2014.8.4 日刊産業新聞)。
• 新しい情報では埋蔵量が増え、確定炭量(3.46 億トン)と推定炭量(1.56 億トン)
を合わせた初期の採掘対象炭量は 5.02 億トンと見積もられる(2011 石炭年鑑)。
開発初期においては原炭生産量 530 万トン/年(原料炭を主に一般炭も含む)を
目指すが、順次輸送インフラの状況に合わせて 1,000 万トン/年から、最終的には
2,000 万トンに生産を拡大する。
• 2009 年 6 月には仮設現場事務所も完成し、鉱区内の道路建設等の開始が伝えら
れている他、試錐調査も継続されている。
• 将来の生産拡大に備えるために、Sena-Beira を経由する鉄道の限界を考慮して、
Moatize からモザンビーク北部の Nacala 港に輸送するための新規鉄道(約 200km)
敷設と Nacala に石炭ターミナル建設の可能性を調査している。
• 2012 年には 70 万 8 千トン(強粘結炭 28 万 9 千トン、一般炭 41 万 8 千トン)、
2013 年には 162 万 2 千トン(強粘結炭 86 万 8 千トン、一般炭 75 万 4 千トン)
を生産した(テックスレポート 2014.1.17)。
③ Revuboe プロジェクト: 日鉄商事、American Metals and Coal Internationa
(AMCI)、
Broadband(南アフリカのコントラクター)が 2004 年に試掘権を取得し、試錐調査を
- 750 -
2.16
モザンビーク
実施した(平成 16 年度には独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構による
海外炭開発可能性調査補助事業「モザンビーク・レブボー東地区」地質構造調査が実施
された)
。本プロジェクトは、2 度にわたって NEDO の補助金を利用して進められてき
た事業である。2010 年 10 月 27 日、新日鐵(株)は、日鉄商事が 33.3%の権益を保有す
るレブボー炭鉱開発プロジェクトのうち、23.3%の権益に新日鐵が参入することに合意
し、今後、同プロジェクトの本格開発に向けた事業化調査を進めると発表した。中国の
鉄鋼需要の激増に伴い、原料炭価格が高騰しているため、アフリカからの輸送コストを
プラスしても、採算がとれる状況になってきており、安定調達のための調達先の分散と
いう意味もある。
なお、アングロ・アメリカン社が豪 Talbot の権益売買交渉に入った(2011.12.16 テ
ックスレポート)が、アングロの参画が見込めなくなったため、新日鐵住金などは、新
たなプロジェクトパートナーを探さざるを得なくなった。
本プロジェクト関連の 2013 年以降の情報は次の通り。
JOGMEC、モザンビーク政府と覚書を締結。JOGMEC は 1 月 10 日付けでモザンビ
ーク鉱物資源省(DNG)及び地質鉱業研究所(IGM)と、同国における新たな石炭ポ
テンシャル地域の発掘と石炭資源量の評価を目的とした共同調査を行うための覚書を締
結した。平成 24 年 10 月に日本政府からモザンビーク政府に提案されたモザンビーク石
炭産業発展 5 ヵ年プランは、「地質構造調査」、
「人材育成、
「石炭の利用に向けた石炭産
業マスタープランの策定」といった 3 種の事業から構成される。共同調査は 2014 年か
ら 2016 年までの 3 ヵ年実施される(2014.2.10 鉱業新聞)。
モザンビークに 600 億円超の円借款。日本政府はモザンビークの主要港から内陸に伸
びる「ナカラ回廊」などの建設のため、5 年間で 600 億~800 億円を供与する(2014.1.6
日本経済新聞)。
新日鐵住金、モザンビークで採掘権。新日鐵住金と日鉄商事は、モザンビーク「レブ
ボー炭鉱」の採掘権を取得したと発表。2016 年に出炭を開始し、19 年に年産 500 万ト
ンを計画。新日鐵グループの権益は 33.3%のため、フル生産で年間約 170 万トン、新日
鐵住金の年間調達量の約 6%を占める。権益の 58.9%を持つ豪タルボットが英アングロ・
アメリカンに売却すると合意したが、破談となり新たなパートナーを探している。モザ
ンビークではヴァーレが 11 年に生産開始し、14 年に 1,400 万トンに増強予定。リオ・
ティントはベンガ炭鉱で 12 年に生産開始し、15 年に 600 万トンに増やす予定。またリ
オ・ティントは年産 1,000 万トンのザンベージ炭鉱開発を目指しており、2020 年ごろ
には 4,000 万トン規模とカナダを上回る原料炭ソースとなる
(2013.4.5 日刊工業新聞)
。
新日鐵住金などモザンビークで炭鉱開発。モザンビーク政府は事業化の認可を出す見
通しになり、今後、新日鐵住金は輸送インフラ整備状況を見極めて開発に着手し、15
年以降の稼働を目指す。レブボー鉱区開発に、新日鐵住金と日鐵商事が 33.3%、POSCO
が 8%を出資している。59%を出資している豪州企業に代わり、英アングロ・アメリカ
ンが中心となって進める見通し。開発費はインフラを除き 6 億ドル(560 億円)
。レブ
ボー鉱区の事業化にはインフラ整備が不可欠で、隣接する鉱区(11 年に事業化)のヴァ
ーレの協力を得る。ヴァーレはナカラ港の拡張と鉄道の改修を計画している(2013.3.30
日本経済新聞)
。
- 751 -
2.16
モザンビーク
モザンビーク石炭産業、経産省が支援事業に着手。モザンビークに対する経済産業省
の石炭産業支援事業が今月、正式にスタートした。新日鐵住金が原料炭炭鉱の開発を計
画中。同社は研修事業に専門家を派遣するなどして全面協力する。昨年の官民政策対話
で「石炭産業発展 5 ヵ年プラン」の実施が決まり、人材育成プログラムが 2 月と 3 月に
実施される(2013.2.21 日刊鉄鋼新聞)。
レブボープロジェクトの概要
プロジェクト所在地
ブラジルVale社モアティーズ鉱区、豪州Riversdale社ベンガ鉱区、ザンベジ鉱区に隣接
NS Resources International B.V.(日鉄商事の100%子会社)
探査権保有者 (Minas
Talbot Group
de Revuboe Limitada)
POSCO
推定資源量
約7億9,800万トン、うち、露天掘り可能推定埋蔵量は5億5,900万トン
石炭品質
豪州優良強粘結炭並み
33.3%
58.9%
7.8%
沿革・経緯
2004年7月
NSRIが1/3出資した南ア法人が5年間の探査独占権取得
2005年~2006年
NEDOの海外炭開発可能性調査補助事業を利用し、鉱区の職調査完了
2008年10月
上記南ア法人からMinas de Revuboe Limitadaに探査件が移管
2009年
再度NEDOの海外炭開発可能性調査補助事業を利用し、プレFSを完了
開発計画
開発規模
原料炭500万トン/年
開発資金
5~6億 US$(炭鉱のみ、鉄道・港湾等インフラ除く)
今後のスケジュール
2011年12月
企業化調査完了
2012年前半
採掘権取得、開発着手(工期:2~3年) → 2013年に延期
2014~15年
出炭開始 → 2016年に出炭開始、2019年に年産500万トン
出所:2010.10.27 日鐵商事、新日本製鐵ニュースリリース、2013.4.5 日刊工業新聞
④ その他(Zambeze)のプロジェクト:Riversdale Mining Limited は 2009 年 10 月 12
日付で、モザンビークの Tete 州で実施中の Benga プロジェクトの隣接鉱区の取得を
発表した。Riversdale 社は、2010 年 6 月に中国の武漢製鉄集団公司と共同で開発す
ることに合意した(2011 石炭年鑑)
。しかし、2011 年 6 月に Rio Tonto が Riversdale
社を買収した。慶華投資公司がモザンビーク企業 2 社とコンソーシアムを結成し、テ
テ州チャンガラ地区での炭鉱開発を目指す。慶華投資公司が 80%、モザンビーク企業
2 社が各 10%を出資した。
今後当地区での炭鉱開発が可能か否か調査する
(2014.06.06
テックスレポート)。しかし、結果的には、インドの International Coal Ventures
Priviate Ltd.が買収(2014.7.28 テックスレポート)。
- 752 -
モザンビーク
2.16
(6)当該国が報告する消費・生産統計
Moatize、Benga、Revuboe、Beacon Hill、Zambeze、Jindal 、Nconderi の 7 炭鉱の
生産計画を集計すると、生産量は 2015 年には 4,100 万トン(原料炭 2,440 万トン、一般
炭 1,630 万トン)、2020 年には 7,400 万トン(原料炭 4,030 万トン、一般炭 3,360 万トン)
となり、うち 9 割以上は輸出向けとなる計画である。
7 炭鉱合計の石炭生産量と輸出量の計画
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
原料炭
輸出用一般炭
0.9
0.4
6.2
2.5
11.6
4.5
15.5
6.9
24.4
13.0
33.2
19.1
35.2
22.9
37.2
26.0
39.3
29.0
40.3
29.1
41.3
29.2
41.4
29.4
41.4
29.4
国内用一般炭
合 計
0
1.3
0.5
9.2
1.5
17.5
2.8
25.2
3.3
40.8
4.3
56.6
4.4
62.5
4.4
67.7
4.5
72.7
4.5
73.9
4.6
75.2
4.6
75.4
4.6
75.4
(百万トン)
80
70
60
50
国内用一般炭
40
輸出用一般炭
原料炭
30
20
10
0
2011
2012
2013
2014
2015
2016
2017
2018
2019
2020
2021
2022
2023
出所:NEDO「平成 23 年度海外炭開発高度化等調査(モザンビークにおける石炭資源の開発状況)」
BHP Billiton が報告している原料炭供給の予測(第 1 章図 1.3.13-2)によれば、モ
ザンビークの輸出量は将来モンゴルよりも多くなり、2020 年で 2,100 万トン、2025
年で約 4,300 万トンまで増加するとしている。上記の数値とよく一致する。
4.石炭輸出入動向
(1)石炭輸出量(生産量と消費量の差)
IEA Coal information 2015 ではモザンビークの輸出量は記されていないので、生産
量と消費量の差を輸出量とした。2014 年の輸出量は 613 万トンで 6 割が原料炭である。
日本の財務省貿易統計によると、日本へは 2014 年には 17 万トンの原料炭が輸入された
(製鉄分野で試験的に使用)。
- 753 -
2.16
モザンビーク
(千トン)
2000
2005
2010
2011
2012
2013
2014*
年平均
伸び率
'00-'14
年平均
伸び率
'10-'14
一般炭
16
3
28
290
1,670
2,182
2,364
-
-
原料炭
0
0
0
275
2,844
3,277
3,765
-
-
合 計
16
3
28
565
4,514
5,459
6,129
52.94%
284.5%
注:*2014 年は見込み、出所:IEA, “Coal Information 2015”
(2)当該国が報告する統計
(a)石炭輸出量
テックスレポート「2015 石炭年鑑」ではモザンビークからみた輸出量が集計されて
いない。しかし、輸入各国からみた量に基づいて集計したところ、2014 年の上位 5 ヵ
国はインド、オランダ、台湾、韓国、トルコの順である。以下、英国、フランス、日本、
中国、ブラジル、ドイツと続き、11 ヵ国が輸入している。中でもインドは全量の半分に
相当する 214 万トンを輸入している。この範囲内で集計した全輸出量は 2011 年 49 万
トン、2012 年 245 万トン、2013 年 345 万トン、2014 年 432 万トンとなっており、前
記した IEA Coal information 2015 の数値よりも若干少ない。速報として 2015 年の数
値を追加した。輸入国側からみた集計で、インドは 241 万トン、台湾が 42 万トン、日
本も 34 万トンと前年比 2 倍増、韓国は 8 万トンで大幅減、中国はゼロである。ドイツ
はゼロ、EU は 160 万トンであり、総量は 484 万トンで前年よりも少し増加した。
国別の石炭輸出量
(千トン)
相手国
2005
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
インド
44
0
0
0
82
0
5
789
1,050
2,137
オランダ
0
0
0
0
0
0
0
106
223
576
台 湾
0
0
0
0
0
0
0
24
648
495
416
韓 国
0
0
0
0
0
0
0
265
37
197
77
トルコ
43
0
46
25
10
40
341
714
210
177
英 国
0
0
0
0
0
0
0
29
230
176
フランス
0
34
0
0
0
0
103
68
150
171
日 本
0
0
0
0
0
0
0
90
213
169
343
中 国
0
0
0
0
0
0
34
208
456
148
0
ブラジル
0
0
0
0
0
0
0
105
161
70
ドイツ
0
0
0
0
0
0
0
20
38
0
0
3
27
114
0
1,597
486
2,445
3,530
4,316
4,841
他の欧州
合 計
87
34
46
25
92
40
注:2015 年は輸入国側からの集計データ
出所:TEX レポート「2015 石炭年鑑(貿易統計)」の輸入相手国データより作成
- 754 -
2,408
モザンビーク
2.16
(b)主要サプライヤーの石炭生産・販売実績
TEX レポート「2015 石炭年鑑」および「2014 石炭年鑑」に記載されているサプライヤ
ー3 社の情報は以下の通りである。ベンガ・プロジェクトは 2014 年にリオ・ティントか
ら ICVL に売却されたため、年末までの数値ではないが、2014 年の生産量は合計で約 600
万トン強と推測される。
①ヴァーレ
Moatize Mine
(千トン)
2015年
6月まで
2011年
2012年
2013年
2014年
原料炭
275
2,501
2,373
3,124
1,613
一般炭
342
1,267
1,444
1,874
811
合 計
617
3,768
3,817
4,908
2,424
②リオ・ティント→ICVL
(千トン)
2011年
2012年
2013年
2014年
原料炭
0
188
1,128
986
一般炭
0
272
980
911
合 計
0
460
2,108
1,897
Benga Mine
③ビーコン・ヒル・リソーシズ
(千トン)
2011年
2012年
2013年
原炭生産量
83
194
108
精炭生産量
25
54
41
5.鉱業法と関連法制度
(1)鉱業管轄官庁と関連政府機関
a)管轄官庁
• 鉱山資源省(Ministry of Mineral Resources)が鉱業部門を管轄する。下部組
織として、国家鉱山局(National Directorate of Mines)や国家地質局(National
Directorate of Geology)などがある。
- 755 -
モザンビーク
2.16
(2)鉱業法(Law Nr.14/2002, of June 26) 4
③
モザンビーク政府は、海外からの鉱業投資促進を図るために 1994 年に鉱業法を改
定し、さらに 2002 年には概査、試掘期間の延長、鉱業権者に対する保証、零細及び
小企業の支援策等を改正した鉱業法を施行した。この鉱業法の概要を以下に示す。
① 鉱物資源は国家に帰属する。
② 鉱業権の種類
—
Reconnaissance License(概査権)
—
Exploration License(試掘権)
—
Mining Concession(採掘権)
—
Mining Certificate(採掘免許)
—
Mining Pass(採掘許可)
なお、概査権、試掘権、採掘権、採掘免許は国内に居住する国民、外国人の個
人もしくは集団(法人)、採掘許可は特定地域の住人(法人)であることが要
件の一つになっている。
③ 鉱業権は先願優先。
④ 鉱業権の譲渡は可能。試掘権、採掘権の取消しは権者の破産もしくは解散の場
合に生じることがある。
⑤ 鉱業に関する税金
—
生産税(production tax):
ロイヤルティに相当。操業(試験を含む)に
対する課税。閣僚会議(Council of Ministers)で決定(販売もしくは建設
以外の商工業用にした場合、その売上額に対しダイヤモンド、金、銀、プ
ラチナは 10%、その他の鉱物は 5~6%の範囲)。石炭は 3%である。
—
地表税(Surface Tax):
採掘許可を除く鉱業権者に課税され、鉱区面積
に規則に定める税率を乗じた額である。土地使用税とは別に課税される。
—
地方政府税(local government tax):
操業に対して課税(1 米国ドル/ヘ
クタール)
。
—
税の免除:採掘免許、及び採掘許可での操業の場合は鉱産税が免税される。
モザンビークの鉱業権
鉱業権の種類
Reconnaissance
License
(概査権)
Exploration
License
(試掘権)
4
対象行為
独占はできないが、鉱区への立ち入りや空中から
調査ができる。鉱区面積は最大 100,000ha。掘採
は深さ 1m で 3m3 まで、また 1ha につき 12m3 ま
で。試錘は口径 102m以下で 1ha に 4 本まで、機
械化リグは使用できない
最大 25,000ha まで。ただし採掘権とともに有す
る場合は 80ha まで。
独占的に当該区域において試掘権で規定された鉱
種の探査を実施。法規で定められた範囲内での試
料や見本の採集、採掘の可能性を決定するために
着 手
(以内)
有効期間
(以内)
更 新
(以内)
―
2年
無し
180 日 A
5年
5 年/1 回
限り
NEDO「平成 18 年度海外炭開発高度化等調査(南東部アフリカ(南アフリカ及びモザンビーク)におけ
る石炭開発計画および輸送インフラ)」、2007 年 3 月、等を参照。
- 756 -
2.16
モザンビーク
必要な範囲内での鉱石のサンプリングや選鉱試験、
上述のサンプルや見本の販売等が許可される。
Mining
Concession
(採掘権)
鉱物資源の開発・採掘
以下に規定する小規模鉱山の操業
• 鉱区面積 500ha 以内
• 砂鉱床の場合は年産 60,000m3 以内、非砂鉱床
の露天掘りの場合は年産 10,000m3 以内、坑内
掘の場合は深度 20m 以内もしくは掘進長 10m
以内
Mining
Certificate
(採掘免許)
2年B
3年B
25 年
25 年
―
2年
2年
―
1年
1年
• 有毒化学物質やその他の試薬の集中的もしくは
定常的な使用はできない
特定された地域における小規模鉱山の操業
簡単な設備工具を使用した原始的な操業、少量小
規模生産、人力式選鉱・輸送
Mining Pass
(採掘許可)
A 180 日以内に鉱区に境界標を設置しないと試掘権が取り消される。
B 鉱業の実施に必要な認可もしくは許可を取り終えた日から通した開発は 24 ヵ月以内、生産は 36 ヵ
月以内。生産段階においても 5 年間にわたり生産規模が計画の 20%以下であった場合も採掘権を取
り消される。
出所:NEDO「平成 18 年度海外炭開発高度化等調査(南東部アフリカ(南ア及びモザンビーク)における石
炭開発計画および輸送インフラ)」、2007 年 3 月
注:
(3)関連法制度
④
5
鉱業規則(Mining Regulation)の変更
2007 年に鉱業規則の一部に変更があった。大きな変更は、鉱業権を取得したにも関
わらず、1 年以上何らの活動を行わなかった場合には鉱業権は取り上げるようにした
ことである。その他、建材に関する採掘免許は地方政府の管轄に移管したことや、試
掘鉱区境界のくい打ち義務の廃止等がある。
⑤
税制優遇措置
• ロイヤルティは課税対象所得から控除できる。
• 探鉱及び開発期間の費用は、生産の第 1 年度まで繰延べ及び留保が可能。
• 標準法や鉱山寿命による定額法の代わりに探鉱及び開発費用を特別償却できる。
• 生産開始から 10 年間法人所得税(32%)を半分から 24%まで低減できる。
• 非居住外国人下請業者には売上税を免除し、所得税は 15%とする。
• 探鉱及び鉱山設備は、探鉱及び鉱山操業中にはそれらの輸入税を免除する、この
免税は下請業者にも適用される。
• 鉱産品の輸出に関する税を免除する。
• 外国資金ローンの利子返済に対する源泉徴収税を免除する。
⑥
その他
• 環境法(Environmental Law No.20/97)
• 鉱山環境規則(Environmental Mining Regulation)
• 水に関する法律(Water Law No16/91):水の利用及び排出に関する法律
• 海洋法(Ocean Law No.4/96)
5
NEDO「平成 18 年度海外炭開発高度化等調査(南東部アフリカ(南ア及びモザンビーク)における石炭
開発計画および輸送インフラ)」、2007 年 3 月、等を参照。
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2.16
モザンビーク
• 土地所有法(Land Law No.19/97):モザンビークにおいては、土地は国家の財
産であり、この法律は土地の利用と認可に関するものである。
6.輸送インフラの運営・維持管理
モザンビークの新石炭積み出し基地であるナカラ・コール・ターミナルからの石炭輸出
が 8 月に開始される。ナカラ・コール・ターミナルは、ヴァーレが中心となって進めてい
るナカラ回廊鉄道/港湾プロジェクトの一環として、モザンビーク北部のナカラ港に新設
された。テテ州の炭田地帯で生産された原料炭をアジア地域などに大量輸出するため、炭
田地帯とナカラ港を結ぶナカラ回廊鉄道を整備・拡充するとともに、ナカラ港に大型コー
ル・ターミナルを建設しようというもの。ステージ 1 での出荷能力は 1,100 万トン/年。
ステージ 2 では 2,200 万トン/年に引き上げられる。ナカラ回廊鉄道は、隣国のマラウィ
を横断する 912km の石炭輸送用鉄道であり、鉄道新設工事はすでに終了している。能力
増強工事が 2015 年第 3 四半期に終了すれば、ステージ 1 は完了する。ナカラ・コール・
ターミナルからの石炭輸出が本格化すれば、モザンビークでは①セナ鉄道/ベイラ港、②
ナカラ回廊鉄道/ナカラ港、の 2 つのルートが確立される。ベイラ港は水深が浅く、パナ
マックス以上の大型船を受け入れることができないが、ナカラ港ではケープ船も受け入れ
られ、アジア地域に大量に輸出することが可能だ(2015.07.22 テックスレポート)
輸送ルート別輸送インフラ関係組織
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2.16
モザンビーク
出所:NEDO「平成 23 年度海外炭開発高度化等調査(モザンビークにおける石炭資源の開発状況)」
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2.16
7.
モザンビーク
港湾施設
マブート港
フェーズ4でMatra Coal Terminalの拡張計画により、2,000万トン/年の積み出しが可能とな
る。
Nakara港
Valeが1,800~2,000万トン/年の石炭輸送を計画。一部新規に鉄道を建設。
Beira港
2013年にVale、Rio Tintoが350万トン/年の積み出しを行う。将来の拡張で900万~1,800万
トン/年の積み出し能力が必要。推進が浅く、パナマックスサイズが入れないため、35,000ト
ンのトランス・シップメントで沖合まで運び、本選に積み込んでいる。
ジンバブエから輸送する場合
ジンバブエから石炭を運ぶ場合、60万トン/年位ならBeira港であれば問題ないとのこと。また貨車、機関車とも
ジンバブエ側が用意すれば、モザンビークの鉄道(CFM)から鉄道使用量、通貨量からキャッシュバックが可能。
出所:JOGMEC 平成 24 年度海外炭開発高度化等調査「ジンバブエ及びケニアにおける石炭資源の開発状
況、輸送インフラの整備状況及び我が国への輸出ポテンシャル調査」
8.炭鉱の権益獲得に関する最近の情報
モアティーズ炭鉱拡張の進捗率が 93%に。ナカラ回廊鉄道・既設区間の工事は 74%終
了。ヴァーレは 30 日、モザンビークで進めているモアティーズ炭鉱拡張ステージ 2 の総合工事
進捗率が 6 月末時点で 93%に達したことを明らかにした。モアティーズ炭鉱は、2011 年
に石炭生産が開始された。2013 年に拡張ステージ 1 が終了し、生産能力が 1,100 万トン
(強粘結炭 850 万トン、一般炭 250 万トン)に高まった。ステージ 2 は 2015 年内に完了
する予定で、生産能力は 2,200 万トンに倍増する(2015.08.03 テックスレポート)。
Jindal Steel 社のチロゼ炭鉱で 131 万トンの生産。
2014/15 年度(15 年 3 月末まで
の 1 年間)で 131 万 2 千トンの原炭を生産した。前年度比では 95 万 8 千トン(270%)
の増加である。原料炭はインドに輸出され、一般炭は隣接する石炭火力発電所に供給され
る(2015.3 月テックスレポート)。
インド公社が ICVL から脱退へ。インド石炭公社(Coal India)が、ICVL から脱退する
ことガ 3 月初めに分かった。ICVL は、海外での優良資源を積極的に獲得するためにイン
ドの国営企業 5 社が出資して 2009 年に設立した。ICVL には CIL とインド鉄鋼公社(SAIL)
が各 28%、RINL、NMDC、NTPC の 3 社が各 14%出資する。ICVL は 14 年 10 月にリ
オ・ティントからベンガ炭鉱の権益 65%に加え、ザンベージおよびテテ・イーストの権益
100%で、買収額は 5 千万米ドル。しかし、原料炭の安定供給が必要な SAIL/RINL/NMDC
と、原料炭を重視しない CIL/NTPC との間で、モザンビークでの原料炭輸出事業をめぐっ
て対立が表面化していた(2015.05.15 テックスレポート)。
ミナス・モアティーズ炭鉱を操業していた英国の Beacon Hill Resources plc の経営が破
綻し、管財人の管理下におかれている(2015.4.10 テックスレポート)
。
三井物産がヴァーレからモザンビークのモアティーズ炭鉱の権益を 15%取得する。さら
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2.16
モザンビーク
に、ヴァーレが進めているナカラ回廊プロジェクトの権益も取得する。
初期投資は 7 億 6300
万ドル(約 916 億円)。拡張費を含め三井物産の総投資額は 1,200 億円を越えそうだ。
(2014.12.08 テックスレポートなど)。
インドの International Coal Ventures Private Limited が、リオ・ティント社からモザ
ンビークの複数原料炭資産を買収する見通しとなった。ベンガ炭鉱の権益 65%に加え、ザ
ンベージ・プロジェクトおよびテテ・イースト・プロジェクトの権益 100%を約 1 億 800
万ドルで買収する(2014.7.28 テックスレポート)。
モザンビークに 600 億円超の円借款。政府はモザンビークの主要港から内陸に伸びる
「ナ
カラ回廊」などの建設のため、5 年間で 600 億~800 億円を供与する(2014.1.6 日本経済
新聞)。
Vale は Moatize からの 2013 年の石炭輸出目標を約 3 割減となる 340 万トンに下方修正
したことを発表した。2013 年 2 月の大雨による洪水の被害で Sena 鉄道が 2 週間閉鎖され
たことが原因である。2014 年には 640 万トン、
2015 年には 920 万トンに増大する計画で、
生産能力拡大のための投資をしている(2013.5.20 JOGMEC ロンドン)
。
モザンビークで、ヴァーレに対する旧住民の抗議活動が激化。モアティーズ炭鉱の開発
によって立ち退きを強いられた旧住民の抗議活動で、輸送が一時的に中断している
(2013.5.15 テックスレポート)
。
モザンビーク石炭産業、経産省が支援事業に着手。モザンビークに対する経済産業省の
石炭産業支援事業が今月、
正式にスタートした。
新日鐵住金が原料炭炭鉱の開発を計画中。
同社は研修事業に専門家を派遣するなどして全面協力する。昨年の官民政策対話で「石炭
産業発展 5 ヵ年プラン」の実施が決まり、人材育成プログラムが 2 月と 3 月に実施される
(2013.2.21 日刊鉄鋼新聞)。
9.その他
モザンビークにで火力発電。住友商事は IHI と組み、マプト近郊で国営電力公社からガ
ス火力発電所の建設工事を受注。2018 年の完成を目指す。出力は 11 万 kW(2016.2.17
日本経済新聞)
。
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