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H-ⅡAロケット再点検専門委員会 説明資料

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H-ⅡAロケット再点検専門委員会 説明資料
参考資料1−2
H−ⅡAロケットの再点検について
【H−ⅡAロケット再点検専門委員会 説明資料】
資料14−1 H−ⅡAロケット再点検の状況について(その3)
資料14−2 H−ⅡA固体ロケットブースタ(SRB−A)改良型の
開発結果について
平成17年2月1日
宇宙航空研究開発機構
三菱重工業株式会社
資料14-1
H-ⅡAロケット再点検の状況について(その3)
1
平成17年1月28日
宇宙航空研究開発機構
三菱重工業株式会社
報告内容
1.H-IIAロケット打上げ再開に向けた再点検の処置結果について
「打上げ再開初号機に向けて対処する課題」のうち、第13回H-IIAロケット再点検専門委
員会(平成16年11月29日)の時点で、射場における対処を残していた課題及び継続作業と
なっていた項目への処置結果について報告する。
2.要処置事項への回答
2
第13回H-IIAロケット再点検専門委員会等における要処置事項に対する回答を報告する。
1)H-IIAロケットの実証度について
2)ヒューマンファクターへの取組みについて
ヒューマンファクターに対する取組みについては、JAXA、各メーカにて行っているが、三菱重工
業(株)での取組みを代表例として報告する。
1
1.H-IIAロケット打上げ再開に向けた
再点検の処置結果について
3
説明者 宇宙航空研究開発機構
H-ⅡAプロジェクトチーム
サブマネージャ 虎野 吉彦
2
再点検における打上げ再開初号機への対処項目
第13回再点検専門委員会(平成16年11月29日)において報告した「打上げ再開初号機に
向けて対処する課題」77件の対処のうち、射場における対処を残していた課題及び継続
作業となっている項目についてのステータスを報告する。
4
・機体への反映項目と射場における対処を残す課題等
(内、射場における対処を残していた課題4件)
・地上設備への反映項目
・解析・試験等による確認項目
打上げ再開初号機(RTF#1)に向けて対処する課題
計
機体反映
設備反映
解析・試験での検証
77
29
21
27
3
射場における対処を残していた課題等
第2段エンジンコントロールボックス(ECB)の交換・点検【完了】
・クロック回路異常に対する対策を実施した。単体による認定試験、エンジン燃焼試験による実装確認を実施後、
射場において、現装品と交換し機能試験にて健全性を確認した。
技術テレメータ取得(強化)機器の交換・点検【完了】
・技術テレメータデータ取得強化のため、第1段とSRB-A用データ収集装置を既存品に機能追加した。
・認定試験を実施後、射場において機体に艤装、機能試験にて健全性を確認した。
改良型電波航法機器の交換・点検【完了】
5
・現行機器の代替のための改良型電波航法機器を開発した。飛行実証を再開初号機にて計画。
・プロトフライトモデルの認定試験後、射場において現装品と交換し機能試験にて健全性を確認した。
艤装確認 【完了】
・射場における機体組立状態での確認を要する部分の最終確認を実施した。
(参考)
フェアリング断熱材の再施工【完了】
・吹き付け施工方式(従来方式)と貼り付け方式の確認試験を実施した。
・試験結果を評価し、従来方式を選定した
・実機反映への施工を完了した(テストピースによる強度確認の一部は実施中)。
4
地上設備への反映項目
打上げ再開初号機に対して地上設備に反映すべき項目21件(下記)については、射場における
改修作業およびシミュレータを使用した設備単体の検証、設備系統確認試験、機体との組み合わ
せ等によるエンド・ツー・エンドの検証を完了し問題のないことを確認した。
(参考)[第13回再点検専門委員会で報告]
9 不適合等への対応 (合計12件)
6
¾衛星系設備
2件 (衛星空調、高周波回線設備ノイズ対策)
¾推進系設備
5件 (配管・バルブの補修、安全弁追加等)
¾電気系設備
3件 (射点電気系AGE緊急停止機能の改修、補用品の整備)
¾飛行解析・飛行安全系設備
2件 (ソフトウェア改修)
9 メカニズム・動作余裕の確認 (合計1件)
RFリンク解析(SSB噴煙損失評価)の結果、内之浦受信局でも基本テレメータを受信する
9 安全に係る対応 (合計8件)
飛行安全関連設備の信頼性向上
5件 (電気回路、電源系統の冗長性改善等)
地上での作業安全性向上
3件 (作業者の安全確保、人為的ミスからの搭載機器の保護)
5
解析・試験等による確認項目
打上げ再開初号機に対して解析・試験等により現状のシステムにおいて十分な信頼性が確保
されていることを確認する項目27件(下記)については、全て完了した。
データ評価の結果、打上げ再開初号機に対して反映すべき項目が無い(現状で問題がない)
ことを確認した。
(参考)[第13回再点検専門委員会で報告]
9 構造・機構系
6件 (耐環境条件確認 5件、機構品作動余裕確認 1件)
7
9 1段推進・LE-7A系
12件 (過去に顕在化した不適合対応 8件、メカニズム解明 4件)
9 2段推進・LE-5B系
3件 (過去に顕在化した不適合対応-強度余裕再評価等)
9 SRB-A系
1件 (材料特性データの充実)
9 アビオニクス系
4件 (電子部品の動作保証 3件、アンテナパターン解析見直し)
9 その他
1件 (飛行安全解析の関連)
6
まとめ
z 機体反映項目のうち射場作業における対処を残した課題については、射場整備
作業における各系統点検(推進系統点検、電気系統点検等)において健全性を
確認した。
z 地上設備に反映すべき項目については、設備系統確認試験及び機体との組み合わ
せによるエンド・ツー・エンドの検証により健全性を確認した。
8
z 解析・試験等により現状のシステムが十分な信頼性を確保していることを確認する項
目については、全て完了し、実機・地上設備へ設計変更を要する反映項目がないこと
を確認した。
z 今後、総合機能点検(フライトシミュレーション;1/29予定)、極低温点検(リハーサル;2/6予
定)等において最終的な確認を行い、打上げに臨む。
7
9
2.要処置事項への回答
1)H-ⅡAロケットの実証度について
説明者:宇宙航空研究開発機構
H-ⅡAプロジェクトチーム
主任開発部員 沖田耕一
8
内容
(1)H-ⅡAロケット機体(フライト品)の実証
10
(2)設計・開発および実証の評価(これからの取組み)
9
開発における実証プロセス
開発の各フェーズで製造・検査プロセスを確立していく。
調査
研究
検討
実証方法
開発
コンポーネント・サブシステム開発
•試作試験
•設計解析
•認定試験
•耐久試験
CFT/GTV
地上における
システム試験
•各段
•全段
11
b:開発試験により検証
製造・検査
プロセス上
の位置づけ
【検証例】
推進系
b1:試験条件がフライトで検証できている
b2:試験条件が解析のみで設定されている
運用
Test Flight
改善・改修
飛行試験
フィードバック
a:フライト実証
a1:フライト環境計測有り
a2:フライト環境計測無し
c:解析により検証
項目
ランク
【1段】
LOXタンク加圧系
a1, b1,c
LH2タンク加圧系
常温ヘリウム系
補助エンジン系
開発
コメント
◆LOXタンク加圧ヒストリ:
実機システム試験(GTV-1)により実証データを取得し、解析と有意差ないことを確認済み。(a1, b1, c)
◆OSCV:
GTV-1, F6迄のフライトで作動に異常ないことを実証済み。(a1, b1)
a1, b1,c ◆LH2タンク加圧ヒストリ:
GTV-1, エンジン組み合わせ試験により実証データを取得し、解析と有意差ないことを確認済み。(a1, b1, c)
◆FSPV:
GTV-1, エンジン組み合わせ試験により、異常ないことを実証済み。(a1, b1)
◆FSCV:
エンジン組み合わせ試験を含めた単体QTにより、対策品に対する機能確認を実施完了。(b1)
a1, b1, c GTV-1, BFT-1, BFT-Aにて実証データを取得し、解析と有意差ないことを確認済み。
a1, b1, c GTV-1, BFT-1, BFT-Aにて実証データを取得し、解析と有意差ないことを確認済み。
10
フライト品の実証プロセス
フライトする製品の健全性を保証するためのプロセス
機器の機能を直接確認できるもの
⇒ 直接実証
機器の機能を直接確認できないもの ⇒ 間接実証 (例:構造、火工品、固体モータ)
直接実証
間接実証
12
A
極低温点検
B
システム機能試験(End to End)
C2
単体機能試験+環境試験
C1
単体機能試験
LAT(抜き取り検査)
E
製造プロセスコントロール
E
D
【検証例】
項目
常温ヘリウム系
推進系
補助エンジン系
地上パージ系
(含む、地上予圧系)
推薬フィードライン系/注排液系
エンジン部
エンジンカバー
分離機構
(含む、火工品)
ランク
B, C2
フライト品
コメント
F6から変更なし。
単体機能試験、エンジンAT, 及び飛島工場での機能試験(バルブ作動点検、エンジンシーケンス点検)により、レギュレータ調圧
C2, E F6から変更なし。
単体機能試験、エンジンAT, 及び飛島工場での機能試験(バルブ作動点検, 内部漏洩点検)により、補助エンジンバルブと
流量、温度条件に異常ないことを確認。(C2)
ノズルは、オリフィス径が図面指示どおりに製作されていることを確認。(E)
A, C2, E F6から変更なし。
単体機能試験、エンジンAT, 及び飛島工場での機能試験(エンジンシーケンス点検、バルブ作動点検, 内部漏洩点検)によ
り、系統内構成品の作動に異常がないことを確認。
地上予圧、PSD GHe充填機能は、F-0にて最終確認する。
A, C2 F6からの変更点は、推進薬オーバーフロー対策(センサ故障時の対応)と、排液時の排液完了ステータス監視設定値の変更
であり、いずれもインプット定数上の変更のみ。F-0で最終確認する。
単体機能試験、飛島工場での機能試験(バルブ作動点検, 内部漏洩点検)により、系統内構成品の機能が異常ない
E
F6から変更なし。工程検査、寸法検査を実施。
E
F6から変更なし。エンジンカバー及び全面ブランケットともに工程検査、寸法検査を実施。
C1,D 分離スプリングにつていは個々にエネルギ特性を確認。
火工品についてはLATを実施し確認。
SADのみ改良型に変更。
11
フライト品の実証(直接実証)
直接実証
単体機能試験
機体システムの機能確認
機体への取付け
①機体に装着したインタフェース箇所の機能点検,システム点検
②総合機能点検,極低温点検のシステム点検で最終確認
段階的な試験を通じて、システム機能のEnd-To-Endの確認を行う。
End-to-End確認実施例-2段誘導制御系(ジンバル制御系)
射場にて電池搭載後に確認
(試験機1号機までは総合システム点検でも確認)
工場/射場の総合システム点検で確認
13
エンジン電源
電池
外部電源
(エンジン系)
【システム機能の例】
・タンク圧力制御機能
・姿勢制御機能
・エンジン始動・停止制御機能
・火工品点火機能
・飛行中断機能
(指令破壊,早期分離破壊)
電力分配器
コントロール
電源電池
慣性センサ
ユニット
~
搭載計算機/
搭載ソフトウェア
コントローラ
外部電源
(コントロール系)
アクチュエータ
エンジン
~
分割した確認範囲を互いにオーバラップさせることで
全体としてEnd-to-Endの正常作動を保証
工場での極性点検で確認
(開発試験機では,アクチュエータ実作動まで確認)
12
フライト品の実証(間接実証)
間接実証
○プロセス管理
開発段階で確立した製造・検査プロセスを厳密に管理することで製品の健全性を保証する。
製造・検査プロセスは、フライト、実機製作において得られるデータを反映し、継続的に改善を
行っている。
・段間部、エンジン部、中央部、ノーズコーン、タンク(耐圧試験を実施)
・SRB-A推進薬、ノズル
・断熱カバー 等
14
○ロット受入れ試験(LAT)
火工品等については、製造・検査プロセスコントロールに加えて抜き取り検査によるロット受入れ試験
(LAT)を実施し、製造ロットに対して健全性を保証している。
・火工品(分離系、指令破壊系、点火系)
・SRB-A駆動用熱電池
製造・検査プロセスの改善
フライト実証
実機製作
¾製造のばらつき、検査
データのトレンド評価
¾実フライト環境の把握
¾実フライト環境下での
作動特性、機体挙動の把握
開発試験
¾予測フライト環境下での
作動の解析保証、実証
地上試験・解析による
予測とのずれを修正
¾製造プロセスの妥当性確認
(材料、各種製造パラメータ、検査方法)
¾フライト環境条件等、製造スペックの
妥当性確認
LAT(Lot Acceptance Test)
ロット受入れ試験
火工品のような1SHOTアイテムなどで、当該
品そのものを直接作動させて機能確認ができ
ないものに対して、同一ロットで製造したものの
中からサンプルを抜き出し、試験をすることに
よって、ロットしての健全性を保証する試験。
13
フライト品の実証(間接実証)
【例】固体ロケットモータの実証
固体ロケットモータについては、小型モーター試験等による原材料のスクリーニング試験、
中間工程におけるプロセス管理試験片の検査を含む製造プロセス管理を積み上げ、
最終形態での抜き取り検査を不要としている。
単体点検
プロセス管理
LAT
機能試験
○
-
-
○
-
-
○
-
○
耐圧試験
○
-
-
構造系 構造部品
ノズル
推進系 モータケース
15
推進薬
工場システム点検
(サブシステムレベル)
射場システム点検
(全機レベル)
○
導通・絶縁点検
システム機能点検
(ENDtoEND点検)
○
システム機能点検
(ENDtoEND点検)
SRB-A
システム機能
・電力分配機能
・姿勢制御系
電気系 ・計測系
・指令破壊、早期分離破壊
搭載機器、センサ・ハーネス
-
-
【ノズル】
複合材料工程、接着工程についてプロセス管理を実施。
〔検査〕
Oリングシール部気密検査、超音波検査(内部欠陥)、接着検査
○
単体機能試験
↑
【推進薬】
製造・注型についてはプロセス管理を実施。
〔検査〕
X線検査(内部欠陥)
【モータケース】
複合材料工程、についてはプロセス管理を実施。
〔検査〕
耐圧試験(機能確認)
14
設計・開発および実証の評価(これからの取組み)
【目指すところ】
・設計・開発の達成度、実証度の『体系的』かつ『見える形』での評価
・今後のH2A標準型打上げ運用での継続的な信頼性向上活動
16
15
設計・開発、実証のサイクル
「設計・開発、実証」のサイクルのなかで評価すべき事項の抽出
設計・開発
地上実証
(開発試験)
フライト実証
機能設計の理解度
17
①環境条件に対する理解度
①環境条件の模擬レベル
①環境条件の確認
②機能設計に対する理解度
(原理・メカニズムの把握)
②機能確認
②機能確認
信頼性設計の理解度
③マージン設定の適切さ
③実証レベル(AT,QT,限界)
※AT:領収試験、 QT:認定試験
フライト品の実証
直接実証
・機能単体の領収試験(単体機能試験、耐環境性試験)
・システム機能点検の設定(END to END)
間接実証
・製造・検査のプロセス管理
・抜き取り検査(製造ロットによる実証)
16
評価の観点
評価の観点
設計・開発
①環境条件に対する理解度
環境条件(フライト/運用)について 根拠ある設定ができているか?
②機能設計に対する理解度
機能原理(メカニズム・支配パラメータ)が理解できているか?
③マージン設定の適切さ
材料特性、ディレーティングなどを考慮し、適切なマージン設定ができているか?
18
地上実証(開発試験)
①環境条件の模擬レベル
設計段階で想定した環境条件(運用/フライト)をどれだけ模擬できているか?
②機能確認
設計で意図したとおり機能したか?
③実証レベル(AT or QT or 限界)
どれだけのレベルの実証を行ったか(AT or QT or 限界)?
フライト実証
①環境条件の妥当性確認
想定した環境条件(運用/フライト)と一致していたか?
②機能確認
設計で意図したとおり機能したか?
17
具体的な取り組み
継続的なH-ⅡAロケット標準型の信頼性向上
H-ⅡA標準型ロケットに残存するリスクの抽出およびその評価
【詳細FMEAを核とした評価体系】
機能展開
詳細FMEA
FTA
課題抽出
リスク評価(実証度・検出度・発生時の影響)
19
【今後の具体的な活動】
☆全機システムからの機能展開
対策
目指すところ
H-ⅡAロケットの
実質的な信頼性向上
⇒機能要求・信頼性要求の体系的な整理を行う。
☆FTA、詳細FMEAの充実
⇒再点検で作成したFTA・詳細FMEAの更なる充実化を行う。
⇒機能展開整理結果の反映
☆リスク・実証度の評価
⇒詳細FMEAベースでのリスク評価(理解度・実証度・発生時の影響)
⇒具体的な対策が必要な事項の識別
信頼性評価技術・手法
の習得
開発の基礎データ
ベースの充実化
☆対策の立案・実施・評価
⇒リスク評価に基づく対策の立案、実施、評価
⇒リスク評価に基づく フライトでの計画的な技術データ取得
新規開発事項への適用
18
実証度の評価について
STEP1
それぞれの評価指標を段階評価し、総合点での評価を行う。
=評価指標案=
・設計(環境条件・機能・信頼性)の理解度
・開発試験での実証度
現在の評価指標
20
A1
フライト実証済
フライト環境の計測・評価確認
A2
フライト実証済
フライト環境の計測・評価未
B1
開発試験(QT、燃焼試験等)により検証
フライトにより試験条件の妥当性確認済
B2
開発試験(QT、燃焼試験等)により検証
試験条件は解析のみで設定
C 解析により検証
各指標を4段階程度のレベルで格付け(スコア)
を行い総合的な評価を行う。
これからの評価指標
A
B
C
D
A
B
C
D
環境条件の理解度
機能に対する理解度
A
B
C
D
A
B
C
D
信頼性に対する理解度
開発試験での実証度
STEP2(将来的に目指すところ)
上記指標等を定量的に取り込んだ形での、総合的な信頼性の評価手法の
構築を目指す。
19
2.要処置事項への回答
2)ヒューマンファクターへの取り組みについて
21
説明者
三菱重工業株式会社
宇宙機器技術部
主幹プロジェクト統括 浅田 正一郎
20
1 MHI作業要員の構成と教育
A) 要員の構成
z
z
工場:経験者を中心にした要員構成
射場:経験年数にバランスの取れた要員構成
射場要員の経験年数度数分布
22
工場要員の経験年数度数分布
組立・試験
品証
技術
<5
5-10
10-15
15-20
ロケット経験年数
20 <
<5
5-10
10-15
15-20
20 <
ロケット経験年数
21
1 MHI作業要員の構成と教育
B) 工場作業者の再教育
STEP①~②により、長期間ロケット製造を離れていた作業者の机上復帰
トレーニングを実施
STEP③~⑥により、作業者全員に実作業で直接有効となり得る全ての
トレーニングを実施
23
STEP
トレーニング項目
トレーニング概要
①
ノウハウ集見直し/まとめ
②
ノウハウ集による復習
機能試験フックアップ時やバルブ操作時等の要点をまとめたノウハウ集を見直さ
せることで、職場復帰者に短期間で効率良く作業概要/勘所を復習させる
③
システム勉強会
システム原理を理解することで実試験時における不具合予知能力を育成する
④
作業手順書読合わせ
FTP/PIR BOOKの読合わせにより正規手順の流れ、指揮系統を確認する
⑤
過去自責不適合確認
自責不適合を実機と照らし合わせながら再レビューし再発”0”化に繋げる
⑥
試験/評価
機能試験、艤装作業の要マークポイント(過去不適合対策等)に対する認識評価
※FTP:機能試験手順、 PIR BOOK:作業手順書
22
1 MHI作業要員の構成と教育
C) 工場内不適合の要因分析
– 再点検による設計見直しに基づくものが主体
– 1年間のブランクによる作業不良は少ない
作業再開後
作業中断前
7%
2% 1%
8%
作業不良
検査・購入品不良
14%
41%
12%
36%
24
設計不良
加工外注不良
20%
治工具不良
作業指示書不良
35%
24%
[件数]
TF#1
H-IIA工場内不適合の号機別推移
TF#2
F#3
F#4
F#5
後)
前)
F#6
再開
中断
業
業
作
作
(
(
F#7
F#7
23
1 MHI作業要員の構成と教育
D) 射場作業者の再教育
教育資料の見直し
教育資料の見直し
・作業手引書
・作業手引書
・タスク毎不適合情報票
・タスク毎不適合情報票
25
教育実施
教育実施
・
・工場要員の射場作業事前準備/教育
工場要員の射場作業事前準備/教育
・射場現地社員の射場教育
・射場現地社員の射場教育
適正な人員配置
適正な人員配置
・要員の力量評価
・要員の力量評価
24
1 MHI作業要員の構成と教育
E) 射場作業の不適合撲滅活動の概要
リハビリ教育
活追
動加
適正な人員配置
26
過去不適合事例の徹底
不適合予知トレーニング
加圧マップの活用とハンドブック型手順書周知
射場作業事前準備/教育
作業手引書整備、タスク毎不具合情報票整備
TF#1
4
TF#2
6
F3
2
F4
2
F5
4
F6
13
継
続
し従
て来
いよ
るり
活
動
F7
× :ブランク期間(月)
25
2 MHI品質評価活動
A) 活動の概要
品質評価の流れ
F7打上げ再開初号機
重点評価項目
非定常作業の
健全性評価
他社担当部品の
評価
27
手順書,治具の再確認
射場保全作業の品質評価
設計による作業立会いポイントの明確化
工場作業結果に対する技術評価
(H-Ⅱ F8号機~)
F3 号機
F4 号機
F5 号機
F6 号機
F7 号機
26
2 MHI品質評価活動
B) 評価体制
社長
航空宇宙事業本部長
社内判定委員会
委員長:所長
技術本部長
技術本部SRB-A
対策評価委員会
品質評価チーム
(第1次判定)
28
リーダ:技術部主幹
評価結果報告
・技術部次長
作業指示書/作業
試験・検査データ
技術部
工作部/研究部
工作/品証/発射整備隊
全体システム評価責任者
品質評価支援チーム
誘導制御系評価責任者
・特別顧問
・OB
・社内委員
構造系評価責任者
機体システム
品質評価とりまとめ
技術要求
推進系評価責任者
電気・電子系評価責任者
設備系評価責任者
発射整備全般評価責任
エンジン ・
その他機器評価責任者
各責任組織にて品質を評価
評価報告
技術/品証/発射整備隊
各
系
統
毎
に
完
全
で
あ
る
こ
と
を
評
価
項
目
と
実
機
で
確
認
27
2 MHI品質評価活動
C) 活動計画
•
•
主要イベント前に社内判定委員会 を実施
主要作業前に第1次判定委員会 を開催
9月
10月
F6打上げ
11月
12月
工場出荷前
1月
2月
打上げ
29
各段組立 休止期間
改修作業
活動方針の整理
再機能点検
全機試験
出荷準備
射場作業
(各フェーズ/状況に合わせた評価)
改修作業の評価結整理
28
3 信頼性確認活動
A) 信頼性確認活動の概要
– 当面の3機についてMHIも他社の工場・射場作業を監督
JAXA
開発責任者として監督
MHI
IHIエアロスペース
30
RSC
MHI各社毎
各社毎
各社毎
専任チーム
専任チーム
各社毎
専任チーム
各社毎
・技術
・技術
専任チーム
・技術
専任チーム
・品証
・品証
・技術
・品証
・技術
・工作
・工作
・品証
・工作
・品証
・工作
・工作
発注者として監督
石川島播磨重工業
川崎重工業
プライム会社の視点で点検
日本電気
–設計/製造/品証の各部門の経験
NEC東芝スペースシステム
–システム要求との適合性確認
日本航空電子
三菱プレシジョン
三菱スペースソフトウェア
29
3 信頼性確認活動
B) 信頼性確認活動の実施状況
H16年
6月
7月
8月
9月
キックオフ
H17年
10月
11月
12月
工場内機能試験
出荷作業
点検
評価
電気系コンポーネント(MTSAT-1R)製作/改修
2月
射場作業
各社の立会
評価 まとめ
手順書点検
中間評価
各社の立会
まとめ
31
火工品 製作
1月
点検
射場作業(MTSAT-1R)
点検
評価
フェアリング/衛星分離部 製作
点検
SRB-A 及び 搭載機器 製作
点検
新仕様搭載機器 製作
点検
評価
評価
評価
平成16年7月以降の作業に関して、調査可能な範囲においては、 7号機の
打上げ機体の製作に問題の無いことをMHIも確認した。
30
資料14−2
H−ⅡA 固体ロケットブースタ(SRB−A)
改良型の開発結果について
平成17年 1月28日
宇宙航空研究開発機構
三菱重工業株式会社
説明者
宇宙航空研究開発機構
H−IIAプロジェクトチーム
主任開発部員 中村 富久
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1. はじめに
SRB-Aについては、H-ⅡA 6号機打上げ失敗の直接原因への対策とし
てのノズル及びモータの設計変更並びに連鎖事象への対策として指令破壊
系・分離系等の艤装の設計変更などを行っている。
SRB-A改良型の開発については、H-Ⅱロケット再点検専門委員会報告
書(平成16年9月)にて取りまとめられた内容に沿って、具体的な設計変更を
進め、3回の実機大モータ地上燃焼試験(平成16年9月16日、11月9日、平
成17年1月12日)、艤装の設計変更に係る各種検証試験等を実施して、設計
及び製造・検査工程の妥当性を確認してきた。
前回、11月29日のH-ⅡAロケット再点検専門委員会において、SRB-A
改良型開発の進捗状況報告として、11月9日に実施した実機大モータによる
認定型地上燃焼試験(その1)の評価結果及び艤装変更に係る検証試験の進
捗状況について報告を行った。
その後、平成16年12月1日、平成17年1月6日に実施した認定試験後審
査により、各種試験結果は良好であり、設計変更の妥当性が確認できたことを
踏まえ、設計及び製造・検査工程の妥当性を最終的に確認するために、平成
17年1月12日に認定型モータ地上燃焼試験(その2)を実施した。
現在、認定型モータ地上燃焼試験(その2)の試験後の調査等はほぼ終了し
て良好な結果を得ており、平成17年1月25日に実施した認定試験後審査(そ
の3)により、SRB-A改良型の設計及び製造・検査工程の妥当性を確認でき
たものと考えている。
以下に、認定型モータ地上燃焼試験(その2)の評価結果等、SRB-A改良
型の開発について取りまとめた結果について報告する。
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2. 認定型モータ地上燃焼試験(その2)の評価結果
フライトモータと同一仕様の認定型モータにより、SRB-A 改良型の設計及び
製造・検査工程を最終的に確認することを目的として、地上燃焼試験を実施し
た。図-1に改良型モータ及びノズルの概要を示す。
(1)全般
モータの推進特性、推力方向制御系の動作は正常で、推力、燃焼圧力、ノ
ズルの温度、歪等の計測データを良好に取得した。また、燃焼後のモータ、ノ
ズル及び設備に異常はなかった。主要推進特性は、規格を満足しており、予測
とも一致し、良好であった。
項目
予測値/規格値*
最大燃焼圧力[MPa]
10.5
最大推力[k N]
2020
全燃焼時間[秒]
115
真空比推力[秒]
282.5±3
*:規格値は、真空比推力に対するもの
(注)予測値、実測値ともに推進薬温度は20℃の値
実測値
10.5
2035
114
284.0
(2)ノズルの評価結果
①断熱・耐熱機能の評価
・ ライナアフト部の表面後退量の最大値・平均値は、これまで4回のベル型
ノズルの燃焼試験結果(平成15年4月、16年2月、9月、11月)と比較
して、同程度であり、コニカル型ノズルによる燃焼試験結果と比較して、
半減している。
・ また、改良型ベル型ノズルを用いた9月及び11月の試験結果と比較して、
表面後退量の平均値は、非常に良く一致していること、表面後退量の最
大値についても、一箇所浅い局所エロージョンが発生しているが、11月
の結果と同程度であることから、良好な再現性を有している。
・ ライナアフト部の積層面と加熱面のなす角度は一定角度以上であり、層
間剥離は発生していない。
・ インレット部(前方)の表面後退量は、これまでと同程度であり、特異な状
況はない。
・ スロートインサートの後端の欠け・割れは認められず、燃焼試験後の内
径は、これまでと同等であり、特異な状況はない。
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・ 今回も、前回(11月:QM1)と同様にスロートインサートがラジエーション
シールダとともに前方に移動していた。スロートインサート背面のホルダ
Aの歪データの変動から燃焼終了後約300秒時点で移動したと特定で
きることから、燃焼終了後に発生するものであり、モータやノズルの機
能・性能に影響を及ぼすことはない。
・ 燃焼試験前の非破壊検査において、剥離状指示が認められた2重構造
ライナ部後端付近の金属ホルダとライナの接着部については剥離等の
異常は認められず、接着・組立工程が良好であることを確認した。剥離
状指示が検出された原因については、引き続き調査・検討を実施し、非
破壊検査技術の向上を図る。
②シール部の評価
すべてのOリングシール部について、燃焼ガスの漏れ、Oリングの焼損・傷は
なく、健全性を確認した。
(3)QM2評価のまとめ
QM2のライナアフト部表面後退の状況及びその量は、これまで4回のベル
型ノズルの実機大モータ地上燃焼試験結果と同程度であり、良好な再現性が
得られている。また、その他のノズル各部の機能・性能も良好であった。さらに、
モータ推進特性、推力方向制御系等の機能・性能も再現性を含め、良好な結
果が得られている。
これまでのベル型ノズル実機大モータ地上燃焼試験結果を踏まえ、改良型
ノズル設計変更の妥当性を総括した結果を表―1に示す。
これらのことから、SRB-A改良型のフライトモータの設計及び製造・検査
工程の妥当性を最終的に確認することができたと考える。
3. 艤装設計変更に係る検証結果
(1)概要
SRB-A改良型では、ノズルからの高温ガス漏れに対する連鎖事象への対
策として指令破壊系・分離系等の艤装の設計変更等を行っている。
この設計変更においては、指令破壊系/電力系機器の搭載位置、分離用
導爆線および電気配線の艤装経路の変更などを行うため、後部アダプタ、前
部アダプタ、システムトンネルなどの構造・艤装の変更を実施した。図―2に艤
装変更の概要を示す。
また、技術データの充実を図るため、従来は左側SRB-Aのみで実施して
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いた技術テレメータ計測を右側SRB-Aについても実施することとして、センサ
及び配線を追加した。
(2)検証結果
前回の平成16年11月29日のH-ⅡAロケット再点検専門委員会において、
設計変更の具体的内容、その検証計画及び後部アダプタ及び前部アダプタの
強度・剛性試験及び音響試験結果について報告を行った。
その後、艤装確認試験及び認定型モータ地上燃焼試験(その2)による確認
を実施し、平成17年1月に認定試験後審査(その3)により、設計の妥当性を
確認した。
以下にそれらの検証結果の概要について示す。
①後部アダプタ、前部アダプタ
・ ダミー導爆線、電気配線、機器及び実機構造を用いた艤装確認試験
を実施して、妥当性を確認した。その結果を実機の組立・整備作業に
反映し、良好に作業を完了している。
②システムトンネル
・ 艤装及びモータケースの伸びに対する追従性について、ダミー導爆
線・爆破線、電気配線等を用いてQM2にて、妥当性を確認した。
・ QM2の結果を踏まえ、指令破壊用爆破線端部の追従性を確保する
機構について、より信頼性を高める改善を実施することとし、実機のへ
の反映作業を良好に完了している。
③技術テレメータ計測の充実
・実機を用いた艤装性確認試験を実施し、良好に作業を完了している。
・工場でセンサ及び配線の艤装後の電気的な点検を実施した。さらに、射
場にてテレメータデータ収集装置を含めた計測系統の電気的点検を実
施し、良好に作業を完了している。
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4. SRB-A改良型開発結果のまとめ
SRB-A改良型開発結果のまとめは、以下のとおりである。
○ 3回のSRB-A改良型実機大モータ地上燃焼試験を含む、5回のベル型ノ
ズルでの地上燃焼試験結果は全て良好であり、ノズル・ライナアフト部の表
面後退量は再現性を有している。これにより、SRB-A改良型ノズルの設
計、製造・検査工程の妥当性を確認した。
○ 艤装設計変更に関する各種開発試験結果は良好であり、設計の妥当性及
び改善点を確認した。SRB-A改良型実機の組立・整備作業への反映を
実施し、作業は良好に完了している。
以上のことから、SRB-A改良型の設計及び製造・検査工程の妥当性が確
認でき、開発を完了できたものと考える。
以上
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モータの概要
モータケース
推進薬
φ2.5m
点火
モータ
ノズル
9.6m
SRB-A改良型ノズルの概要
ラジエーションシールダ
ライナインサート製造方法変更
ライナアフト部 FRP 2重構造ライナ化・
板厚増大
初期立ち上がり角増加(ベル型化)
スロートインサート後端伸長
図-1 SRB-A改良型モータ及びノズルの概要
38
39
期待される効果
5回のベル型ノズルの燃焼試験による評価
③スロートインサート範囲拡大
◇3D C/C でライナアフト ◇3D C/C 伸長範囲背面のライナアフトは表面後退しておら
(3次元カーボン/カーボン複合材(3 をカバーする範囲の拡大
ず、伸長分だけ3D C/C でカバーされる範囲が拡大してい
D C/C)製スロートインサート範囲を下
ることを確認した。
流側に拡大)
◇スロート後端の欠け・割れは認められず、3DC/C材料の
信頼性が確認できた。
④ライナアフト部板厚設計の見直し
◇ライナアフト板厚設計の ◇ 2重構造ライナによる板厚増大の設計変更は、再現性を有す
(十分な信頼性を確保するためCFR
信頼性向上
る改良型ベル型ノズルにおける表面後退量に対して、十分な
Pの表面後退の最悪量モデルを作成し、
板厚余裕を有していることを確認した。
これに板厚余裕を加えた新たな板厚設
◇ 3回の改良型ベル型ノズルの試験結果から、2重構造ライナ
計基準を設定しこれに基づき板厚を増
の強度・接着に問題のないことを確認した。
大)
⑤製造・検査工程の改善等
◇ 製 造 ・ 検 査 工 程 の 安 定 ◇表面後退量の低減などノズルの機能・性能が良好なことか
(CFRP 原材料と製品の材料特性管理強 化、潜在的不適合要因に対
ら、製造・検査の改善は有効であることを確認した。
化、部材の非破壊検査強化、ライナアフ する改善
トの組立工程毎の非破壊検査の実施 等)
①燃焼パターンの見直し
◇表面後退量の低減
◇表面後退量は平均値及び最大値ともにSRB-Aのコニカル
(SRB-A に対し平均燃焼圧力を低減さ
(加熱率の低減)
型ノズルに比し半減しており、また、それらの量とばらつき
せて燃焼時間を延長させる燃焼パター
は5回の試験結果が同程度で、再現性を有していることから、
ン)
ベル型化の効果及び平均燃焼圧力低減の効果を確認した。
◇CFRP積層面と加熱面のなす角は一定角以上となってお
◇表面後退量の低減
②ノズル形状の見直し
り、層間剥離は生じていないことを確認した。角度分布の状
(加熱率の低減、及び層
(ノズル開口部の初期立ち上がり角を
況は、5回の結果から、再現性を有していることを確認した。
間剥離・脱落の排除)
増加させたベル型ノズル)
項目
表―1 SRB-A改良型ノズル対策効果評価サマリ
圧力センサ
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後部アダプタ
図-2 SRB-A改良型艤装設計変更の概要
点火用電池
電力分配器、セーフアーム装置
電気配線、導爆線
電動アクチュエータ
駆動用電池
駆動用電力分配器
音響ビーコン
※電気配線・導爆線
の艤装経路を分配
変更前
前部アダプタ内部
↑
メイントンネル
↑
後部アダプタ内部
↑
↑
結合構造部
結合構造部
↑
↑
後方ブレス
後方ブレス
艤装経路
前部アダプタ
電動アクチュエータ
駆動用電池
駆動用電力分配器
音響ビーコン、シーマーカ
前部アダプタ内部
↑
↑
メイントンネル
サブトンネル
↑
↑
後部アダプタ内部
↑
↑
↑
結合構造部
結合構造部
↑
↑
後方ブレス
後方ブレス
※飛行安全系機器を前部アダプタに移設
圧力センサ
点火用電池
電力分配器、セーフ・アーム装置
電気配線、導爆線
音響ビーコン、シーマーカ
変更後
(参考)
SRB-A改良型設計変更の概要
1.ノズル設計変更の概要
● 基本方針
局所エロージョンの発生を極力排除するとともに、原因の可能性が否定でき
なかった要因について対策の検討を行い、信頼性の高い設計変更を行うことを
基本方針とする。
● 対策の方向性
燃焼圧力の低減とノズル部の設計変更により、局所エロージョンやそれを加
速する層間剥離等を考慮した上でも十分な信頼性を確保可能な設計方式を採
用したSRB-A改良型の開発を行う。
SRB-A改良型は、打上げ能力は低下するものの、今後予定されているミッ
ション要求に対応できるものを目指す。
● 設計変更の内容
上記方向性に沿って、各種設計検討、実機大モータ、サブサイズモータ燃焼
試験等の各種試験及び解析の結果に基き、次の①~⑤の設計変更等を実施
した。
① 燃焼パターンの見直し
SRB-Aに対して、平均燃焼圧力を低減させて燃焼時間を延長させる燃
焼パターン
② ノズル形状の見直し
ノズル開口部の初期立ち上がり角を増加させたベル型ノズル
③ スロートインサート(3次元カーボン/カーボン複合材:3DC/C)範囲拡大
スロートインサート範囲を下流側に拡大
④ ライナアフト部板厚設計の見直し
板厚設計における十分な信頼性の確保のため、CFRPの表面後退につ
いて最悪量モデルを作成し、これに板厚余裕を加えた新たな板厚設計基
準を設定、これに基づき、板厚を増大。
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⑤ 製造・検査工程の改善等
・ CFRP原材料と製品の材料特性管理を強化
・ CFRP及び3DC/C部材の欠陥に係る検査強化
・ 2重構造ライナ化に伴い、CFRP材と金属ホルダとの接着も含め工
程毎に非破壊検査を実施
・ ライナインサート製造方法の変更 等
2.艤装設計変更の概要
● 基本方針
・信頼性を高めるために、ミッション不達成に繋がる連鎖事象の排除を可能な
限り優先する設計変更を検討する。
・実績ある艤装設計を踏まえつつ、新たな技術課題を最小限にして、より信頼
性が高まる設計変更を検討する。
● 対策の方向性
・指令破壊系/電力系機器の搭載位置については、トレードオフを実施した
結果、熱・振動等の搭載環境が有利で、かつノズル部周辺からの高温ガス
漏れから機器を保護するため搭載位置を前部アダプタ内へ変更する。
・分離用導爆線および電気配線の艤装経路については、トレードオフを実施し
た結果、SRB-A後部アダプタ内部と外部から2つのシステムトンネルを経
由した2系統に分けた艤装変更を行う。
・後部アダプタ内部に搭載する推力方向制御系については、FTA/FMEAに
よるトレードオフを含めた検討を行い、ノズル部からの高温ガス漏れに対す
る耐性向上のため、フィードバック制御用電気配線に耐火電線を用いる。
以上
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