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大北地域 子どもからはじめる生活習慣病予防対策 ガイドライン2016 平成 28年 3 月 子どもからはじめる生活習慣病予防対策推進会議 も く じ はじめに 1 ガイドラインについて ・・・・・・・・・ P1 2 ポピュレーション・アプローチ 3 スクリーニング 4 ハイリスク・アプローチ ・・・・・・・・ P10~13 5 データ管理 ・・・・・・・・・・・・・・ P14~15 6 資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・ P16~33 ・・・・・ P2~3 ・・・・・・・・・・・・ P4~9 ガイドラインについて 大北地域の市町村、市町村教育委員会、小中学校、医療関係者、保健福祉事務所等が協働して 子どもからはじめる生活習慣病予防対策のシステムを構築していく。その際に、この地域で共通 して取組む内容をこのガイドラインにまとめた。 ガイドラインの内容 ① 全小中学生と家庭への健康教育、啓発(ポピュレーション アプローチ) ② 健診の方法(スクリーニング) :検査方法や判定基準の標準化 ③ 保健指導対象の児童・生徒とその家族への支援 (ハイリスク アプローチ) ④ 健診データの管理・活用方法 (データ管理) 生活習慣病予防対策システム(大北地域モデル) 全小中学生と家庭への健康教育、啓発(ポピュレーションアプローチ) ① より良い生活習慣の確立と生活習慣病の知識と啓発活動 ③ ② ガ イ ド ラ イ ン 健 診 検査方法 採血項目 検査手順 判定基準 保健指導 健 市町村保健センター と学校の連携 康 ハイリスク 治 要医療 療 データー管理 専 門 家 の 助 言 医療機関との連携 個人別のデータ活用 ④ 運 用 方 法 の 評 価 と 調 整 学校と市町村保健センターとの共有 集団のデータ活用 大北地域の健診データの統一管理(学校・市町村・圏 域での現状把握、比較データに基づく地域での健康教 育) 研修会による人材育成 対象: 学校関係者、市町村保健センターの保健師、栄養士 等 生涯を通じた 健康づくり 地域の状況に応じた 健康づくり 生活習慣病予防対策システム連携のイメージ図 取り組みの効果 大北地域全体が「生活習慣病予防対策システム」により取り組むことにより、効果的な健診、 保健指導、健康教育や健診データの管理・活用などが図られ、大北地域の未来を担う子どもたち が成人に至っても健康な生活が送れる地域となりうる。 また、子どもを通して家族に働きかけることから、成人の生活習慣病予防の推進も図られる。 2 ポピュレーション・アプローチ (全児童・生徒とその家族への健康教育、啓発) 全児童・生徒とその家族を対象に、健康的な生活習慣や生活習慣病に関する情報を提供し、 家族全員で生活習慣病の予防に取組めるよう働きかけを行う。 1 ねらい (1)児童・生徒 健康的な生活習慣や生活習慣病について理解できる。 成人期以降も健康的な生活習慣を保ち、生活習慣病予防に取組めるように動機づけが できる。 (2)保護者(家族) 保護者自身が生活習慣病の基本を理解できる。 子どもの生活習慣病予防対策の重要性について理解できる。 家族全員の健康増進を目指し、家庭で生活習慣病予防に取組む意識を持てる。 2 内 容 (1)生活習慣病への理解・知識 (2)生活習慣、生活リズム (3)食習慣・食べ方、食事の目安量、おやつの食べ方、お菓子などの砂糖含有量 (4)よく噛んで食べる、歯科保健 (5)運動量、生活活動 (6)その他 3 方 法 (1)学校における啓発 1)児童生徒の発達段階に合った保健学習、指導 身体計測時の保健指導、給食時の食育指導 教科学習(家庭科、生活科、体育科など) 2)児童生徒と家庭に向けた指導、啓発 保健だより、健康だより、給食だよりの活用 学校保健委員会、給食試食会、PTA懇談会、PTA研修会等 個別指導用 等 (2)地域における啓発 1)市町村広報による情報提供、啓発 2)市町村における乳幼児健診、特定健診等の各種健診等の機会を活用 3)地区育成会、PTA地区懇談会等を活用した啓発 4)放課後児童クラブ、地区児童館、公民館活動との協働 4 啓発資料 【P17 ポピュレーション・アプローチ資料一覧、P18 参考書籍等一覧】 対象学年等に応じて現在使われている資料を収集、共有していく。 また、参考文献についても情報を共有していく。 5 参考 学校における保健指導の様子 3 スクリーニング 1 生活習慣病予防健診の実施 (1)健診方法 1)対象者 大北地域の小学5年生及び中学2年生のうち希望者 2)検査項目 学校保健安全法に基づく健康診査(身長、体重、尿検査)に加え、希望者に生活習 慣病予防健診(腹囲・血圧測定、血液検査)を実施する。 大北地域で統一して実施する検査項目 計測 身長、体重、肥満度、腹囲、腹囲身長比 尿検査(学校保健安全法に基づく健康診査の結果を用いる) 蛋白、糖、潜血 血圧 収縮期血圧、拡張期血圧 血液検査 血算:ヘマトクリット、白血球数、赤血球数、血小板数、血色素量、 MCV、MCH、MCHC 脂質:総コレステロール、中性脂肪、HDL-コレステロール、 LDL-コレステロール 血糖: (空腹時)血糖 HbA1c なお、各市町村の健康課題に応じて必要となる検査(尿酸、肝機能等)については、 上記の検査項目に追加して検査を実施する場合もある。 (2)事前準備 健診の実施にあたり、市町村及び学校は次に掲げる事前準備を行う。 なお、それぞれの担当部署については、市町村ごとに学校と検討し決定する。 1)健診の説明と保護者同意(参加申込) 【P19,20 健診通知(例) 、P21 参加確認票】 健診の内容や意義、必要性について事前に保護者へ説明する。 事前説明会の開催や文書配布などの方法を工夫し、保護者の理解を得る。 その上で、次の点について保護者の同意を得る。なお、同意は書面への署名で得る ものとする。 ・ (空腹時)採血の実施 ・保健指導への健診データの活用 ・事業の結果分析を目的とした、地域保健への匿名化データの提供 2)問診の実施 【P22,23 問診票】 健診通知や同意書とともに対象者全員に送付。 内容は、①保健指導に必要な設問(既往歴、家族歴など) 、②生活習慣に関するアン ケート(食事、運動など)の 2 つの要素を含むものとする。 保護者が記入した問診票は、封入して回収する。 3)対象者名簿の作成 同意書の提出の有無、保護者の署名もれや必要事項の記入もれを確認し、必要に応 じて、保護者に再提出(記入)を依頼する。 生活習慣病予防健診希望者の名簿を作成する。 空腹時採血を実施する場合の配慮 ○ 検査前日に注意事項を再周知 当日は朝食をとらないこと、軽食を持参することについて再度保護者に通知する。 ○ 空腹時採血に対応した健康診断実施体制 検査を空腹の状態で行うため、健診当日は学校に軽食を持参し、健診終了後に軽食 をとることになる。授業時間を使用しての軽食摂取となるため、学校長の指導の下、 保健主事、学級担任、養護教諭が連携し、学校全体として健康診断の体制づくりに取 り組むことが求められる。 特に中学生の場合は、朝の部活動の休止や、教科担任との連携等を含め、実施体制 の検討が必要とされる。 (3)健診実施体制 1)検査の安全な実施 ・採血は1時限目に実施し、可能な限り短時間で終了する。 ・児童・生徒の不安を軽減する働きかけを常に念頭に置く。特に配慮が必要な児童・ 生徒については、事前に対応方法を検討しておく。 ・受診者数に見合った十分なスタッフを配置する(特に血液検査)。 ・医師(健診医や学校医)が同席し、不測の事態に備える。 ・空腹時採血の場合は、採血後、なるべく早く補食をとれる体制をつくる。 健診現場でのリスク 空腹時採血における低血糖 採血時のトラブル 誤刺、失神(血管迷走神経反射、低血圧) 、不安 等 2)実施のポイント ①問診、血圧測定 ・血圧測定は、採血より前に実施する。 ・検査前の緊張をほぐすように言葉をかける。 ・児童・生徒の体調を把握する。 低血圧の児童・生徒の情報は、採血担当者に確実に伝達する。 低血圧や体調が悪い児童・生徒の情報は、学校関係者へ確実に伝え、検査の中止 も検討する。 ・採血前に朝食の有無を確認する。 朝食を摂取した児童・生徒には、食事時間を確認する。 ②腹囲測定 ・立った姿勢で、へその高さに巻き尺を水平に巻く。両腕を体の横に自然に下げても らい、普通の呼吸での呼気の終わりに測定する。 ・測定している児童、生徒が周囲から見えないように環境を整備する。 ・計測値を声に出さない。 ・身近な者に測定されることに抵抗のある児童・生徒もいるため、可能な限り第三者 (健診事業者や地域保健関係者など)が測定する。 ③血液検査 ・不安を軽減するため、事前の説明や健診会場での声掛けを丁寧に行う。 ・担任や養護教諭など本人の顔をわかる者が採血管の氏名を確認して手渡す等、採血 管が確実に本人に渡る方法を工夫する。 ・可能な限り採血までの待ち時間を短縮する。 ・他者の採血場面が見えないように環境を整備する(例:パーテーションで仕切る)。 ・寒冷による血管収縮を防ぐため、健診会場を暖かく保つ(蒸しタオルを用意してお くことも有効) 。 ・採血時の急な体調不良に備え、背もたれ(可能であれば肘掛)のついた椅子を用意 できるとよい。 ・臥位で採血する場合に備え、ベッドを用意できるとよい。 ・採血後は体調の変化がないこと、確実に止血したことを確認してから教室へ戻す。 2 健診結果の判定 (1) メタボリックシンドロームの該当者・予備群の定義 1)メタボリックシンドローム該当者 下表のうち、①があって、②から④のうち 2 項目を満たす者 2)メタボリックシンドローム予備群 下表のうち、①があって、②から④のうち 1 項目を満たす者 ① 腹囲:小学生 75cm以上、中学生 80cm以上あるいは腹囲/身長比 0.5 以上 ② 脂質:中性脂肪が 120mg/dl 以上かつ/または ③ 収縮期血圧:125mmHg 以上 ④ 空腹時血糖:100mg/dl 以上 かつ/または HDL コレステロール 40mg/dl 未満 拡張期血圧 70mmHg 以上 *「かつ/または」とはどちらか一方でも該当すれば、ということです。 (2) 血液検査等の判定基準 1)空腹時採血の場合 ア 受診勧奨 検査項目 ① 腹囲 (小学生) 80 cm 以上 (中学生) 85 cm 以上 ② 肥満度 ③ 血清脂質 ④ ⑤ 血圧 受診勧奨 50 %以上 中性脂肪 150 mg/dl 以上 HDL コレステロール 40 mg/dl 未満 LDL コレステロール 140 mg/dl 以上 収縮期血圧 135 mmHg 以上 拡張期血圧 80 mmHg 以上 血糖 100 mg/dl 以上 Ⅰ:上記基準のいずれか 1 項目に該当する者 Ⅱ:メタボリックシンドローム該当者 イ 保健指導対象 ① 肥満度 20%以上 または ② または 腹囲 75cm 以上(小学生) 、80cm以上(中学生) 腹囲/身長比 0.5 以上 血清脂質:中性脂肪 120mg/dl 以上 かつ/または HDL コレステロール 40mg/dl 未満 ③ 血 圧:収縮期血圧 125mmHg 以上 ④ 空腹時血糖:100mg/dl 以上 ⑤ LDL コレステロール:140mg/dl 以上 かつ/または 拡張期血圧 70mmHg 以上 Ⅰ:①のいずれか 1 項目を満たす場合 あるいは ②~④のうち 2 項目以上を満たす場合 Ⅱ:Ⅰに該当しない場合であっても、⑤LDL コレステロール 140mg/dl 以上の場合 2)随時採血(食後2時間以降)の場合 ア 受診勧奨 ※当面、空腹時採血の基準を準用する。 検査項目 ① 腹囲 (小学生) 80 cm 以上 (中学生) 85 cm 以上 ② 肥満度 ③ 血清脂質 ④ ⑤ 血圧 受診勧奨 50 %以上 中性脂肪 150 mg/dl 以上 HDL コレステロール 40 mg/dl 未満 LDL コレステロール 140 mg/dl 以上 収縮期血圧 135 mmHg 以上 拡張期血圧 80 mmHg 以上 血糖 100 mg/dl 以上 Ⅰ:上記基準のいずれか 1 項目に該当する者 Ⅱ:メタボリックシンドローム該当者 イ 保健指導対象 ① 肥満度 20%以上 または ② または 腹囲 75cm 以上(小学生) 、80cm以上(中学生) 腹囲/身長比 0.5 以上 血清脂質:中性脂肪 150mg/dl 以上 かつ/または HDL コレステロール 40mg/dl 未満 ③ 血 圧:収縮期血圧 125mmHg 以上 かつ/または 拡張期血圧 70mmHg 以上 ④ 血 糖:100mg/dl 以上 ⑤ LDL コレステロール:140mg/dl 以上 Ⅰ:①のいずれか 1 項目を満たす場合 あるいは ②~④のうち 2 項目以上を満たす場合 Ⅱ:Ⅰに該当しない場合であっても、⑤LDL コレステロール 140mg/dl 以上の場合 (参考:厚生労働省研究班 『日本人小児のメタボリックシンドロームの診断基準 (6 歳~15 歳) 「2010 年度改定版」 』 愛知県「学童期生活習慣病対策マニュアル」 ) (3)HbA1c(受診勧奨基準) HbA1c(NGSP)≧6.5% (出典:日本小児内分泌学会 受診勧奨基準) (4)やせの判定基準 ① 肥満度≦-15% ② 成長曲線上、体重曲線において、その子にとって自然な上昇曲線から 1 チャンネル (-1SD)以上下方にシフトする。 受診勧奨;①かつ②を満たす者(不健康やせ) 保健指導対象;①のみ該当する者 (参考:厚生労働科学研究(こども家庭総合研究事業)) (5)貧血(受診勧奨基準) 血色素量 12 mg/dl 未満 (出典:WHO 診断基準(6~14 歳) ) 3 判定の流れ 健診実施:健診機関・地域保健 ・健診対象者一覧表を作成。 健診結果入力:健診機関 ・結果一覧表が学校および市町村教育委員会へ送付される。 判定(受診勧奨者・保健指導対象者の判定及び総合判定) :学校医【P24 保健指導対象 者の選定 (例)】 ≪考え方≫メタボリックシンドローム関連項目と貧血等その他の疾患を早期 発見するための項目の二つの側面から評価する。 ・学校から学校医へ結果一覧表を送付し、判定を依頼。 ・受診勧奨者、保健指導対象者を判定。 健診結果送付:学校 ・学校医の総合判定を基に検査結果を通知。(本人・保護者及び市町村へ) 4 結果通知 【P25 健診結果通知(例)】 (1)全児童・生徒とその家族への健康診断結果等の情報提供 ・健診機関から学校へ送付される検査結果を基に、学校医がガイドラインの判定基準に沿っ て判定を行う。 ・学校医の判定を受けて、全児童へ健診結果通知により結果を知らせる。 ・学校から通知する(担任から児童を通して渡す)際には、封筒に密閉して渡す等の配慮を する。 ・学校から受診勧奨者及び保健指導対象者へ、健診結果と併せて受診勧奨及び保健指導参加 についてのお知らせ等を同封する。 4 ハイリスク・アプローチ (保健指導対象の児童・生徒とその家族への保健指導) スクリーニングの結果から保健指導対象となった全児童・生徒とその家族を対象に、自らの 健康状態を把握するとともに、生活習慣の改善等に取組めるよう働きかけを行うこと。 ハイリスク・アプローチは、リスクの高いと思われる児童・生徒に対する介入なので実効性 のあることが必要である。 そのため、 PDCA サイクルによる継続的な改善を図ることが望まれる。 治 療 生 活 習 慣 病 予 防 健 診 ( ス ク リ ー ニ ン グ ) 受 診 勧 奨 受 診 保 健 指 導 対 象 経 過 観 察 異 常 な し 異 常 な し 評 保 価 健 指 ・意識の変化 ・行動の変化 ・身体の変化 など 導 PDCA サイクル ハイリスク・アプローチ PDCA サイクルとは P(Plan)は、目標とともに目指すべき成果やそれに向けた取り組みに関する計画です。 事前の実態調査を綿密に行い、指導計画を立てます。 D(Do)は、計画に基づいた実行 即ち指導です。 C(Check)は、評価です。指導の効果等を評価します。 A(Action)は、評価の成果を踏まえ、修正すべき点は修正をし、さらに次の指導へと つなげ目標達成へ導くための改善です。 1 ねらい 身体検査、血液検査の結果から児童・生徒が自分自身の健康状態を把握するとともに、 自らの食生活などの生活習慣を振り返ることで、偏った生活習慣を改善することができる。 2 内 容 身体検査、血液検査の結果から、健康状態について理解するための働きかけ 自らの生活習慣等の振りかえり、生活習慣改善の目標を立て、実行するための支援 その他 3 方 法 ハイリスク者指導には確立された方法がなく、学校や市町村の規模により対象となる人数や スタッフのマンパワーの問題もあるため、ここで具体的に示すことは難しい。 そこで、このガイドラインにおいては、先進的に実施している4事例を「6 資料」で示す こととし、各学校、市町村は実情に応じて対応し、今後は効果的な事例など情報共有しながら 進めていく。 先駆的市町村の健診フローチャート【P26,27 4事例】 碧南市:小学校では、集団指導(健康づくり教室)と個別指導との並行実施 中学校では、血液検査結果を基にした具体的な健康教育と個別指導 大町市:保健指導対象親子に対する個別指導 池田町:健診受診者すべての親子に対する個別指導 【対応のポイント】 (1)アプローチの方法 1)集団アプローチ 長所:集団への介入で様々な気付きを得られる。 仲間意識でお互いが個人の頑張りを支え合い喜び合う効果。 短所:背景の異なる個人に応じた介入ができにくい。 2)個別アプローチ 長所:個人の様々な背景に応じた介入が可能。 短所:対象人数によっては時間と労力がかかる。 受診勧奨者・保健指導対象者へのアプローチ例 ・医療機関へ受診したかどうか、担任を通して確認する。また、学校の保護者懇談会等の機 会を通して担任及び養護教諭から保護者へ受診勧奨を行う。 ・市及び学校から発送される健診結果の通知に併せて、保健指導参加について勧奨をする。 ・保健指導に参加されない家庭については、学校において定期的に身体計測を行い、保護者 へ連絡するなどの対応を考慮する。 (2)対象者の背景 小学生:食生活をはじめとする生活習慣が家庭に依存。子どもと親とが一緒に理解し て取り組めることが効果的。 中学生:自分の体と生活習慣について結びつけて理解し、自分で考えて行動できるよ う働きかけることが重要。 (3)役割分担 校内における対応はプライバシーやコンプレックスなどへの配慮が難しい。 学校内で難しいことは市町村で対応、児童・生徒への連絡や書類の受け渡しなどは封筒 に入れて学校を通じて行うなどの方法で役割分担する。 (4)評価の実施 該当児童・生徒の事後の変化を評価し、必要な場合は繰り返し介入できるよう、どの ような指標を用いていつ頃どのように分担して評価するのか、学校と市町村とで事前に 決めておく。 今後、健診データー分析支援ソフト(マルチマーカー)や保健指導支援ツール(あな みツール)等の活用についても検討していく。 4 指導教材 (1)保健指導におけるねらいを分かりやすく伝えるための資料 1)身体検査、血液検査の結果から健康状態を把握できる。 2)食生活などの生活習慣を見直すことができる。 3)偏った生活習慣を改善することができる。 (2)対象児童・生徒が、保健指導前後の生活習慣で「意識の変化」 「行動の変化」がなされ たのか客観的に評価できるための教材 (3)児童・生徒が行動変容を継続するための、はげみ表、自己チェック表などの教材 5 評 価 実効性のある介入ができているかを確認するために取り組み前後での変化を評価すること は、対象の児童・生徒にも指導者にも重要である。次に掲げる評価の観点を参考に学校と市 町村の状況に応じて継続的な評価を行うことが望まれる。 例) ・各市町村の実情に応じて、市町村担当者及び養護教諭とでカンファレンスを実施。 ・事業終了時、保護者へのアンケートの実施。 【評価の観点(指導前後の比較) 】 (1)児童・生徒の評価 1)身体検査・血液検査値(アウトカム指標) ア 身長・体重:学校の定期健診時を活用して確認。 イ 血圧・腹囲:市町村で、再検査のできる場を設ける。 家庭でも自己確認できるよう、測定方法を指導する。 ウ 血液検査 :小学5年の再検査は、必要に応じて 1 年後もしくは中学2年時の健診 で確認。 中学2年の再検査は、中学卒業までに再検査することを推奨する。 2)指導内容の実施過程(プロセス評価) 対象者の意識の変化、生活習慣改善度、満足度 (2)ハイリスク・アプローチの評価 1)評価単位 学校毎、市町村毎 2)事業実施量(アウトプット指標) 保健指導参加率、継続率、改善率 3)指導の実施過程(プロセス指標) 指導方法、指導内容、目標の設定、教材の選定 (参考資料:食に関する指導の手引-第 1 次改定版- 文部科学省 平成 22 年 3 月) 5 データ管理 健診結果のデータ活用は、 『個別データ活用』と『集団データ活用』の大きく2つの目的に分か れる。 個別データ活用 学校と市町村保健センターのデータ共有 生涯を通じた 健康づくり データ管理 集団データ活用 大北地域の健診データの統一管理 地域の状況に ・学校、市町村、大北地域の現状把握 応じた健康づくり ・データに基づく地域での健康教育 ※学校と市町村のデータ共有、保健福祉事務所へのデータ提供にあたっては、市町村ごとに データ入力や保管部署等の役割を検討し、決定しておく。 【参考:P28 データの流れと関係機関の役割】 個人情報の取り扱いには十分注意する。 1 個別データ活用 個別データは、健診後の個別指導での活用はもとより、乳幼児健診データと連結して評価 をしたり、成人期での活用を目的として保存していくことで、生涯を通じた保健指導が可能 となる。 同時に、受診者本人が検査データを保存し、生涯の健康管理に活かしていけるよう意識付 けをすることも必要となる。 2 集団データ活用 健診で得られたデータから学校・市町村・大北地域の現状や課題を把握し、地域の実態に そった取り組みを進めるために、集団データを活用する。 (1)保健福祉事務所へのデータ提供について 1)データ提供項目 ①毎年度 ・基礎データ:対象者数、同意者数、受診者数 ・検査データ:身体計測値(肥満度、腹囲、腹囲身長比) 尿検査(蛋白尿、潜血、糖) 血圧測定(収縮期血圧、拡張期血圧) 血液検査 ・メタボリックシンドロームの判定基準による受診勧奨者数・率、保健指導対象者数・ 率、保健指導実施率 ・各検査項目の保健指導者数・率 ・メタボリックシンドローム予備群及び該当者数・割合 ②生活習慣まで含めた報告については、ガイドラインを基に事業推進していく中で引き 続き検討していく。 2)データ提供方法 ・市町村は個別データを集計する。【P29 市町村 血液検査・腹囲血圧測定実施結果】 ・ 「生活習慣病予防健診の実施状況」「市町村別健診有所見者状況」(以下集計データ) を保健福祉事務所に提出する。 【P30~33 報告様式1~3】 3)データ提供の流れ ・データ提供に当たっては、電子データでの提出による。 個別データ 健診機関 学校 個別データ 教育委員会 (個別データ保管) 集計データ 市町村 保健福祉事務所 (個別データ保管・ 集計データ入力) (2)評価 保健福祉事務所は、市町村から提出されたデータを集計し、学校や市町村にフィード バックする。 【P30~33 報告様式1~3(管内分入力済のもの)】