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RISHデータ解析講習 - 超高層大気長期変動の全球地上ネットワーク観測
RISHデータ解析講習 担当:新堀淳樹(京大RISH) 1. 講習内容 (1) 地球大気の鉛直構造とその観測測器 (2) 京大生存研の保有する観測測器とそのデータについて 赤道大気レーダー、信楽MUレーダー、 インドネシアの流星・MFレーダー (3) データ解析の演習 (各種論文に記載されている図の再現 インドネシアの流星・MFレーダーの長期解析) 2. 地球大気の鉛直構造とその観測測器 熱圏 中間圏 成層圏 対流圏 2. 地球大気の鉛直構造とその観測測器 3.京大生存研の保有する観測測器 <赤道大気レーダー(EAR)> 赤道大気レーダーの諸元 位置: 東経100.320度、南緯0.204度、 海抜865m 中心周波数: 47.0 MHz 送信出力: 100 kW アンテナ形式: 略円形アクティブ・フェーズド・アレイ (直径約110m, 3素子八木ア ンテナ560本) アンテナビーム幅、方向: 3.4度 (-3 dB, 片道)、任意 (天頂角30度以内) 観測高度: 1.5km-20km (大気乱流)、 90km以上 (電離圏イレギュラリティ) 3.京大生存研の保有する観測測器 <インドネシアのMF、流星レーダー群> Meteor radar Kototabang (2002-) Regional network in Indonesia (1992- ) 流星レーダー (Jakarta, Koto Tabang) MFレーダー (Pontianak, Pameungpeuk) Meteor radar Jakarta (1992-1999) MF radar ★ MF radar Pontianak (1995- ) ★ ★★ MF radar Pameungpeuk (2004-) 3.京大生存研の保有する観測測器 <コトタバン流星レーダーについて> Meteor radar Kototabang (2002-) コトタバン流星レーダーの諸元 位置: 東経100.320度、南緯0.204度、 海抜865m 中心周波数: 37.7 MHz 送信出力: 12 kW 観測高度: 70km-110km (中間圏・下 部熱圏風速) 5本のアンテナの干渉計で全天の流 星飛跡の方向を計測 レーダーの原理図 3.京大生存研の保有する観測測器 <インドネシア赤道大気観測所での重要研究テーマ> 赤道大気・流星レーダー等を用いた研究内容 1.高精度の風速ベクトル測定 ⇒積乱雲の生成と消滅による風速変動の微細構造の解明 2.赤道大気の長期連続観測 ⇒大気波動と大気循環の関連を 明らかにする 3.地表付近から電離層にわたる観測 ⇒赤道大気の力学的 上下結合の解明 (CPEA特定領域研究:2001-2007) 以上の観測を総合することで、オゾンや二酸化炭素など大気微量成分の 全球 輸送の様子やエルニーニョ現象などの気候変動につながる地球大気の変動を 明らかにできる 3.京大生存研の保有する観測測器 <赤道大気レーダー(EAR)のデータベース> 1.対流圏・成層圏標準観測 http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/ear/data/index.html 実データ:CSV、NetCDF形式、時間分解能:10分 風速3成分、エコー強度、スペクトル幅 画像データ:高度-時間プロット(1日、1月) 風速3成分、エコー強度、スペクトル幅 2. 電離圏FAI観測(E領域、E/F領域、V領域、F領域) http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/ear/data-fai/index.html 実データ:CSV、NetCDF形式、時間分解能:観測モードに依存 Doppler速度、エコー強度、スペクトル幅、ノイズレベル 画像データ:高度-時間プロット(1日、1月) エコー強度 3.京大生存研の保有する観測測器 <インドネシアのMF、流星レーダーのデータベース> 1.流星レーダー(コトタバン、スルポン) http://database.rish.kyoto-u.ac.jp/arch/iugonet/data/mwr/ 実データ:スルポン(1992/10-1999/08)、コトタバン(2002/11~現在) 風速に変換したデータ⇒テキスト、NetCDF形式、時間分解能:1時間 オリジナルデータ⇒テキスト形式 流星イベントに対応した視線速度などのデータ 2. MFレーダー(パムンプク) http://database.rish.kyoto-u.ac.jp/arch/iugonet/data/mf/ 実データ:パムンプク(2004/04~現在) バイナリー、NetCDF形式、時間分解能:104秒 NetCDF形式:風速3成分のみ バイナリー形式:上記に加えてレーダーのstatusデータ ※赤字のデータ:UDAS解析ソフトに対応 4.EARデータ解析演習 <電離圏FAI観測データ解析> 課題: 赤道大気レーダー(EAR)の電離圏FAI観測で捉えられた昼間側赤 道電離圏150kmの電離圏不規則構造の解析 ●演習に用いるEAR観測データ 2007年8月25・26日10:00-15:00 (LT)のFAI観測モードデータ ●EARの観測モード V-regionモード(fai150p8c8b 、fai150p8c8d、fai150p8c8e) fai150p8c8b (Az: 180.0, Ze:21.2) fai150p8c8d (Az: 165.0, Ze:21.7) fai150p8c8e (Az: 195.0, Ze:21.9) 4.EARデータ解析演習 <本日の講習会の到達目標> 左図に示されるような、赤道大気レー ダー・電離圏FAI観測モードで得られた 昼間側電離圏不規則構造の高度-時 間プロットを完成させる 日時:2007/08/25 03:00-08:00 観測高度範囲:130-170 km 時間分解能:8分程度 上段:エコー強度 中段:スペクトル幅 下段:視線方向のドップラー速度 観測ビーム方向: fai150p8c8d (Az, Ze) = (165.0, 21.7) Patra et al., 2008 4.EARデータ解析演習 <電離圏FAI観測データ解析> 演習の流れ: (1) FAI観測データ解析 2007年8月25・26日10:00-15:00 (LT)のFAI観測モードデータ 視線速度、スペクトル幅、エコー強度の高度-時間プロットの作成 平均値の計算、平均場の除去、移動平均 (2) 他のデータとの比較解析 京大・名大・九大の地磁気データとの比較 赤道ジェット電流の変化と電離圏不規則構造の出現との関係 (3) 解析後のプロット等の保存 作成したプロットをpsやpngファイル等へ保存 4.EARデータ解析演習 <電離圏FAI観測データ解析> (1) FAI観測データ解析 ●日時を指定して高度-時間プロットを作成する > timespan, ‘2007-08-24’, 3 ,/day (2007/08/24から3日分のデータの日時指定) > iug_load_ear, datatype = ‘v_region’, $ parameter1 = ‘150p8c8b’ > tplot_names (tplot変数名の確認) > tplot, ‘tplot変数名’ ⇒プロットが出力される ※複数のプロットをしたい場合: > tplot, [‘tplot1’, ‘tplot2’,…] 4.EARデータ解析演習 <電離圏FAI観測データ解析> (1) FAI観測データ解析 ●高度と時間範囲の変更 [高度範囲の指定] > ylim, ‘ tplot変数名’, (下限値), (上限値) 下限=130、上限=170 [時刻範囲の指定] > tlimit, ‘tplot変数名’, ‘2007-08-25 00:00’, ‘2007-08-25 12:00’ <電離圏FAI観測データ解析> (1) FAI観測データ解析 ●平均処理、平均場の差し引き、移動平均 [平均処理] > avg_data, ‘ tplot変数名’, (平均する時間幅、単位は秒) ex. 平均する時間幅=600 [平均場の差し引き] > tsub_average, ‘tplot変数名’ [移動平均] > tsmooth_in_time, ‘tplot変数名’, (平均する時間幅、単位は秒) ex.移動平均する時間幅=3600 4.EARデータ解析演習 <電離圏FAI観測データ解析> (2) 他のデータとの比較解析 ●京大・名大・九大の地磁気データとの比較 [210度地磁気データのロード:コトタバン] > erg_load_gmag_mm210, site = ‘ktb’, datatype = ‘1min’ [京大WDC地磁気データのロード:グアム] > iug_load_gmag_wdc, site = ‘gua’, datatype = ‘1min’ [平均場の差し引き] > tsub_average, ‘tplot変数名’ [移動平均] > tplot, ‘tplot変数名’, [‘tplot1’, ‘tplot2’,…] 4.EARデータ解析演習 <電離圏FAI観測データ解析> (3) 解析後のプロット等の保存 ●作成したプロットをpsやpngファイル等へ保存 [psファイルへの保存] [pngファイルへの保存] > popen, ‘ 保存するファイル名’ > makepng, ‘保存するファイル 名’ ex. popen, ‘test.ps’ ex. makepng, ‘test.png’ > tplot > pclose 4.EARデータ解析演習 <対流圏・成層圏標準観測データ解析> [発展課題] 赤道大気レーダーの対流圏・成層圏 標準観測モードでとらえられた熱帯域 の成層圏下部から対流圏の風速の高 度時間プロットの作成 日時:2001/11/01-2001/12/31 観測高度範囲:2-20 km 時間分解能:10分 上段:東西風 中段:南北風 下段:鉛直上向き風 下部成層圏(15-20 km)で赤道ケルビ ン波に伴う周期10日程度の東西風変 動が観測されている Fukao et al., 2002; Hashiguchi et al., 2002 4.EARデータ解析演習 <対流圏・成層圏標準観測データ解析> [発展課題] (1) 対流圏・成層圏観測データ解析 ●日時を指定して高度-時間プロットを作成する > timespan, ‘2001-11-01’, 61 ,/day (2001/11/01から61日分のデータの日時指定) > iug_load_ear, datatype = ‘troposphere’, $ > tplot_names (tplot変数名の確認) 風速3成分、各ビーム毎のスペクトル幅等のtplot変数がロードされる > tplot, ‘tplot変数名’ ⇒プロットが出力される ※複数のプロットをしたい場合: > tplot, [‘tplot1’, ‘tplot2’,…] 5.コトタバン流星レーダーデータ解析演習 <中間圏・熱圏下部の風速データの長期解析> (1) 水平風速データの解析(1か月) ●日時を指定して高度-時間プロットを作成する > timespan, ‘2003-10-01’, 31 ,/day (2003/10/01から31日分のデータの日時指定) > iug_load_meteor_rish_nc, site = ‘ktb’, $ parameter = ‘h2t60min00’ ※h2t60min00:高度2㎞分解能、-30~30分のデータを平均 h2t60min30:高度2㎞分解能、00~60分のデータを平均 h4t60min00:高度4㎞分解能、-30~30分のデータを平均 h4t60min30:高度4㎞分解能、00~60分のデータを平均 5.コトタバン流星レーダーデータ解析演習 <中間圏・熱圏下部の風速データの長期解析> (1) 水平風速データの解析(1か月) ●平均場の差し引き、移動平均、時間幅の変更 [平均場の差し引き] > tsub_average, ‘tplot変数名’ [移動平均] > tsmooth_in_time, ‘tplot変数名’, (平均する時間幅、単位は秒) ex.移動平均する時間幅=86400 > tlimit, ‘tplot変数名’, ‘2003-10-11’, ‘2003-10-21’ ※南北風に波の位相が2日程度の赤道域慣性重力波がこの場合、 はっきりと出現していることがわかる 5.コトタバン流星レーダーデータ解析演習 <中間圏・熱圏下部の風速データの長期解析> (2) 水平風速データの解析結果(1か月) 1日移動平均 3日移動平均 5.コトタバン流星レーダーデータ解析演習 <中間圏・熱圏下部の風速データの長期解析> (1) 水平風速データの解析(2003/01-2010-12-31) ●日時を指定して高度-時間プロットを作成する > timespan, ‘2003-01-01’, 365*8 ,/day (2003/01/01から8年分のデータの日時指定) > iug_load_meteor_rish_nc, site = ‘ktb’, $ parameter = ‘h2t60min00’ ※h2t60min00:高度2㎞分解能、-30~30分のデータを平均 h2t60min30:高度2㎞分解能、00~60分のデータを平均 h4t60min00:高度4㎞分解能、-30~30分のデータを平均 h4t60min30:高度4㎞分解能、00~60分のデータを平均 5.コトタバン流星レーダーデータ解析演習 <中間圏・熱圏下部の風速データの長期解析> (1) 水平風速データの解析(8年分) ●平均場の差し引き、移動平均、カラーバー範囲の変更 [平均処理] > avg_data, ‘ tplot変数名’, (平均する時間幅、単位は秒) ex. 平均する時間幅=86400 [平均場の差し引き] > tsub_average, ‘tplot変数名’ 5.コトタバン流星レーダーデータ解析演習 <中間圏・熱圏下部の風速データの長期解析> (1) 水平風速データの解析(8年) ●移動平均(1月、1年) [移動平均] > tsmooth_in_time, ‘tplot変数名’, (平均する時間幅、単位は秒) ex.移動平均する時間幅=86400*30 86400*365 ⇒1月 ⇒1年 ※1月、1年移動平均データに見られる大気現象 1月⇒東西風(SAO)、南北風(AO) 1年⇒東西風(準2年周期変動:QBO) 5.コトタバン流星レーダーデータ解析演習 <中間圏・熱圏下部の風速データの長期解析> (1) 水平風速データの解析結果(8年) 1月移動平均 3月移動平均 5.コトタバン流星レーダーデータ解析演習 <中間圏・熱圏下部の風速データの長期解析> (1) 水平風速データの解析結果(8年) 6月移動平均 1年移動平均