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デリバティブ取引に対する不招請勧誘規制等のあり方
デリバティブ取引に対する不招請勧誘規制等のあり方について(概要) 見直しの内容 考え方 金融商品店頭デリバティブ取引 個 人 ・ 投資金額を超える損失が発生するな ど、思いがけない損失発生のおそれ。 店頭取引 ・ 個人にとって商品性やリスクを理解し 仕組債・投資信託 にくい。 (店頭デリバティブ取引に類す ・ 勧誘の態様に係るものよりも、説明不 る複雑性を有するもの) 足によるトラブルが多い。 取引所取引 法 人 ・ 法人は一般に一定の投資判断力を有 し、事業に伴うリスクをヘッジするため ・金融商品デリバティブ取引 に取引を行う場合もある。 ・仕組債・投資信託 (店頭デリバティブ取引に類す ・ 勧誘の態様に係るものよりも、説明不 足や優越的地位の濫用の問題によるト る複雑性を有するもの) ラブルが多い。 個 人 法 人 ・ 一般に周知性のある商品であり、取引 価格は透明性が高く、複雑な商品は存在 しない。 金融商品デリバティブ取引 ཧ⪃㸯 平成22年9月13日 金融庁公表資料 対応方針 ⇒ 法令において不招請勧誘禁止。 ⇒ 適合性の原則等に基づく勧誘の適正化(注) や説明責任等の徹底(最悪シナリオを想定 した損失の説明、確認書(チェックシート) の利用等)を図る(自主規制)。 ⇒ 説明責任等の徹底(最悪シナリオを想定し た損失の説明、優越的地位の濫用がないこ との説明、確認書(チェックシート)の利 用等)を図る(自主規制)。 ※ 店頭通貨オプション取引等について は、現行法令上、法人も不招請勧誘規制 の対象となっているが、これについて は、トラブルがなお多くあり、引き続き これを継続する。 ⇒ リスク説明の徹底を図る(自主規制)。 (なお、ETFについては、今後の商品性 如何によって、リスク説明の徹底を図る) 金融商品取引業者等は、 ・不招請勧誘規制の適用関係、 ・リスクに関する注意喚起、 ・金融ADR機関等の連絡先 等を分かりやすく大きな文字で 記載した簡明な注意喚起文書を 交付・説明(自主規制) 。 (注)勧誘の適正化については、以下①②のような自主規制により適合性の原則等を具体化することを要請。さらに広告等の表示において誤解を生じさせることのないよう、 自主規制を上乗せすることを要請( 「元本確保型」等の名称を使用することを制限)。 ①自主規制の定める基準に基づき、各社において、商品のリスク特性及び顧客の年齢、取引経験、主な収入・資産、投資目的等に照らした勧誘開始基準を定め、当該基準 に合致した顧客に対してのみ勧誘。 ②自主規制の定める基準に基づき、各社において、その参照対象となる株価指数等の変動率との対比で、商品の利回りが適切な水準かどうか等、商品の適切性(合理的根 拠適合性)をチェック。 ※特定投資家(プロ)を相手方とする取引を除く。 ※デリバティブを内包する仕組預金についても、上記の取組みを踏まえた対応を全国銀行協会等に促す。 その他 ○ 金融商品デリバティブ取引、仕組債・投資信託の販売を行う第一種・第二種金融商品取引業者については、証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)にお いて既に苦情処理・紛争解決支援の枠組みが出来ており、実効的な取組みを進めることとしている。金融ADRについても、金融商品取引法・銀行法等に基づく指定紛争 解決機関の立ち上げに向けた取組みが進められている。上記注意喚起文書の配布等を通じて、これらの機関の周知が進むことによって、投資者保護の一層の充実が期待。 ○ 上記の取組みを実施した上で、今後、苦情の状況や自主規制の実施状況等を注視することとし、必要に応じ見直しを適時に行っていく。 参 考 2 デリバティブ取引等に係る投資勧誘規制の見直しについて 平成 22 年 12 月 13 日 金融庁の対応方針 1.適合性の原則等の具体化(勧誘開始基準・合理的根拠適合性) 個人顧客にとって分かりにくい、店頭デリバティブ取引に類する複雑な仕組債や投資信託 については、適合性の原則等を具体化する自主規制ルールの策定を求める。 本協会の対応 ⇒「協会員の投資勧誘、顧客管理に関する規則」(以下「投資勧誘規則」)の改定 ① 合理的根拠適合性の新設 【第3条第3項】 ② 勧誘開始基準の新設 【第5条の2】 (注)商品のリスク特性や顧客の性質に応じて勧誘を行うか否かの基準を設定(勧誘開始基 ⇒ その他、上記①及び②の詳細に関するガイドラインの作成 準)、投資者へ販売する商品としての適否を事前検証(合理的根拠適合性)など。 特に、「勧誘開始基準」については、「投資者の年齢・取引経験」、「投資者の財産の状況 特定投資家(プロ)を相手方とする取引を除く。 (主な収入形態や金融資産の状況)」、 「投資者の投資目的・投資方針」などの要件を踏まえ た、勧誘開始基準を作成するようガイドラインに記載する。 2.顧客に対する説明の充実 ⇒ 「投資勧誘規則」の改定 優越的地位の濫用等に関するトラブルが多い法人向けの店頭デリバティブ取引や、十分 ○ 確認書の徴求の新設 【第8条第2項、第3項】 な説明が必要となる店頭デリバティブ取引に類する複雑な仕組債・投資信託については、 ⇒ 「重要事項」の説明に関するガイドラインの作成 より一層の説明の徹底を図るために自主規制ルールの策定を求める。 「投資勧誘規則」第3条第4項における「重要な事項」として、⒜最悪シナリオを想定し (注)⒜最悪シナリオを想定した損失の説明を適切に行う、⒝法人を相手方とする場合に、 た損失の説明、⒝法人を相手方とする場合に、優越的地位の濫用がないこと等をガイドライ 優越的地位の濫用がないことの説明を適切に行う、⒞顧客からリスク等について説明を ンに定めることにより、説明義務の徹底を図る。 受けた旨の確認(チェックシートの利用)を行う、など。 <投資勧誘規則第3条第4項> 特定投資家(プロ)を相手方とする取引を除く。 「協会員は、有価証券の売買その他の取引等に関し、重要な事項について、顧客に十分な 説明を行うとともに、理解を得るよう努めなければならない。」 3.勧誘方法等に関する注意喚起文書の配布 ⇒ 「投資勧誘規則」の改定 デリバティブ取引全般や、店頭デリバティブ取引に類する複雑な仕組債・投資信託につい ○ 注意喚起文書の交付・説明の新設 【第6条の2】 ては、自主規制ルールにより、 ⒜ 不招請勧誘規制の適用関係 ⇒ 「注意喚起文書」の雛形等の作成 ⒝ リスクに関する注意喚起 ⒞ トラブルが生じた場合の金融ADR機関や証券・金融商品あっせん相談センター(FIN MAC)等の連絡先 等を分かりやすく大きな文字で記載した簡明な文書を配布し、説明を行うことにより、顧客 への注意喚起を行うとともに、金融商品取引業者等による法令違反を予防する。 (注)特定投資家(プロ)を相手方とする取引を除く。 参 考 3 平成 22 年 12 月 13 日 デリバティブ取引に類する複雑な仕組債について ● 本資料は、仕組債の中で、 「適合性の原則等に基づく勧誘の適正化」及び「説明責任等の徹底(最悪シナリオを想定した損失の説明、確認書 (チェックシート)の利用等」を図る必要がある「デリバティブ取引に類する複雑な仕組債」であるかどうか判断するために用いるものと して作成したものです。 ● 「デリバティブ取引に類する複雑な仕組債」であるかどうかは、下表の次の項目ごとに該当性を確認し、判断する。 (1) 商品例 ① 償還(形態・通貨・額)が確定しているものであるか。※1 ② 払込通貨と同通貨で償還するものであるか。 ③ クーポン(通貨・額)が確定しているものであるか。※2 ④ 払込通貨と同通貨でクーポンが支払われるものであるか。 ⑤ クーポンが 0(ゼロ)又は極めてそれに近い水準になるものであるか。 (2) 商品タイプ (3) 主なスキーム (4) リスクの種類と大きさ ※1 「償還額が確定している」とは、100%の償還が確定している、又は、オーバーパーで償還する可能性があることを指す。 「クーポンが確定している」とは利率又は通貨のいずれも変動しないもの(払込通貨と同じとは限らない。)を指す。 ※2 1 商品例 償還 № 1 償還(形 態 ・ 通 貨・額) が確定し ている※1 ○ クーポン 払込通貨 と同通貨 で償還す る クーポン の ( 通 貨・額) が確定し ている※2 払込通貨 と同通貨 で支払わ れる クーポン が 0 又は 極めてそ れに近い 水準にな らない ○ ○ ○ ○ 商品タイプ 主なスキーム リスクの種類と 大きさ SB 、 ス テ ッ プ ア ッ プ 「デリバティブ取引 に類する複雑な仕組 債」であるか否か 仕組債ではない (ダウン)債 1-2 ○ ○ ○ ○ 転換社債及び他社株交 ○ 仕組債ではない 換権付社債 1-3 2-1 ○ ○ ○ ○ ○ × ○ ○ ○ ○ 償還が払込通貨ベ [コール(プット)買 償還時:なし ×複雑な仕組債では ースで 100%を確 い型]円債、同外債 中途売却時:償還時 ない。 保。クーポンは変 に参照している金融 ・ (オプション価値分 動しない 指標等の変動により クーポンは落ちる 価格変動。ただし、 が)償還時元本確 確定金利、元本確保 保型でクーポンが 型のため下限あり 変動しない。 払込通貨で 100% [Libor(Tibor)フロ 償還時:なし ×複雑な仕組債では 償還。クーポンが ーター債、CMT フロー 中途売却時:金利水 ない。 短期金利指標に連 ター債]円債、同外債 準の変動による価格 ・ (クレジットの変化 動する変動利付債 変動は小さい による価格変動は あるが)金利水準 の変動による価格 変動が小さい ※1 ※2 この表において「償還額が確定している」とは、100%の償還が確定しているまたはオーバーパーで償還する可能性があることを指す。 同じく「クーポンが確定している」とは利率または通貨のいずれも変動しないもの(払込通貨と同じとは限らない)を指す。 2 商品例 償還 № 2-2 償還(形 態 ・ 通 貨・額) が確定し ている※1 ○ クーポン 払込通貨 と同通貨 で償還す る クーポン の ( 通 貨・額) が確定し ている※2 払込通貨 と同通貨 で支払わ れる クーポン が 0 又は 極めてそ れに近い 水準にな らない ○ × ○ ○ 商品タイプ 主なスキーム リスクの種類と 大きさ 払込通貨で 100% フロータークーポン型 償還。クーポンが 債(2-1 を除く)円債、 中途売却時:クーポ 株価や為替等の金 同外債 償還時:なし 「デリバティブ取引 に類する複雑な仕組 債」であるか否か ×複雑な仕組債では ない。 ン決定時に参照して ・償還時元本が確定 融指標に連動する いる金融指標等の変 しており、且つク 債券 動により価格変動。 ーポンが一定値よ り低くなることは ないため、価格変 動は大きくない 2-3 ○ ○ ○ × ○ 払込通貨で 100% リバース・デュアルカ 償還時:なし ×複雑な仕組債では 償還。確定クーポ レンシー債(以下、逆 中途売却時:クーポ ない。 ンが異なる通貨で デュアル債という。) ンを支払う通貨の為 ・償還時元本が確保 替レートの影響を受 されており、且つ けて価格変動する クーポンが払込通 支払われる債券 貨ベースで 0 にな る可能性は大きく ないため、価格変 動は大きくない 3 商品例 償還 № 3 償還(形 態 ・ 通 貨・額) が確定し ている※1 ○ クーポン 払込通貨 と同通貨 で償還す る クーポン の ( 通 貨・額) が確定し ている※2 払込通貨 と同通貨 で支払わ れる クーポン が 0 又は 極めてそ れに近い 水準にな らない × ○ ○ ○ 商品タイプ 払込通貨と異なる 主なスキーム デュアル・カレンシー リスクの種類と 大きさ 「デリバティブ取引 に類する複雑な仕組 債」であるか否か 償還時:為替リスク ×複雑な仕組債では 通貨で 100%償還。 債(以下、順デュアル 中途売却時:償還時 ない。 確定クーポンが払 通貨の為替レートの ・償還時点では、外 債という。) 込通貨/償還時通 変動影響を受ける 貨で支払われる 貨建て SB を購入 した場合と同じ ・期中の価格変動イ メージは、外貨建 ての SB の価格を 3-2 ○ × ○ × 円貨換算した場合 ○ とほぼ同じにな る。 4 ○ × × ○ ○ 払込通貨と異なる フロータークーポン型 通貨で 100%償還。 順デュアル債、同逆デ クーポンが株価や 4-2 ○ × × × ュアル債 償還時:為替リスク ◎複雑な仕組債であ 中途売却時:償還時 る。 通貨の為替レートの 為替等の金融指標 変動の影響や、クー に連動して変動す ポンが参照している る 金融指標等の変動の 影響を受ける ○ 4 商品例 償還 № 5 償還(形 態 ・ 通 貨・額) が確定し ている※1 ○ クーポン 払込通貨 と同通貨 で償還す る クーポン の ( 通 貨・額) が確定し ている※2 払込通貨 と同通貨 で支払わ れる クーポン が 0 又は 極めてそ れに近い 水準にな らない ○ × ○ × 商品タイプ 主なスキーム リスクの種類と 大きさ 「デリバティブ取引 に類する複雑な仕組 債」であるか否か 払込通貨で 100% [リバースフローター 償還時:なし ◎複雑な仕組債であ 償還する。クーポ 型、CMS フローター 中途売却時:クーポ る。 ンが金利や為替等 型、パワークーポン型、 ンに組み込まれた仕 の金融指標等の変 ダイレクトクーポン 組みにより、大きく 動により大きく変 型、snowball 型、コリ 価格変動する可能性 動する ドー型、デジタルクー がある ポン型、リースト型] 円債、同外債、同逆デ 5-2 ○ ○ × × × 6 ○ × × ○ × ュアル債 払込通貨と異なる [リバースフローター 通貨で 100%償還。 型、CMS フローター 6-2 ○ × × × 償還時:為替リスク ◎複雑な仕組債であ 中途売却時:一定の る。 クーポンが為替や 型、パワークーポン型、 条件下でクーポンが 金利等の金融指標 ダイレクトクーポン 0(0 に近い状態を含 等の変動により大 型、snowball 型、コリ む)になることで割 きく変動する ドー型、デジタルクー 引債と同様の状態と ポン型、リースト型] なり、年限の長いも 順デュアル債、同逆デ のは大きく値下がり ュアル債 する可能性がある × 5 商品例 償還 № 7 償還(形 態 ・ 通 貨・額) が確定し ている※1 × クーポン 払込通貨 と同通貨 で償還す る クーポン の ( 通 貨・額) が確定し ている※2 払込通貨 と同通貨 で支払わ れる クーポン が 0 又は 極めてそ れに近い 水準にな らない - - - - 商品タイプ リスクの種類と 主なスキーム 大きさ 「デリバティブ取引 に類する複雑な仕組 債」であるか否か 一定の条件により プット売り型 EB(償還 償還時:参照指標の ◎複雑な仕組債であ (元本を下回る価 時等あらかじめ定めら 変動に連動し大幅な る。 値の)現物で償還 れた時限で自動権利行 価格下落(最大無価 される可能性があ 使されるものを含 値化)となる場合あ る債券 む。)、ノックイン型債、 り 償還時に 100%未 償還通貨判定型債、エ 中途売却時:参照指 満で償還される可 クイティ指数リンク債 標の変動に連動し大 能性がある債券 (プット売り型)、クレ 幅な価格下落となる (価格が設定当初 ジットリンク債(単一 場合あり から償還まで、特 の企業等のクレジット 定の指標にレバレ のみを参照し、当該企 ッジ無く連動する 業等のデフォルト発生 ものを除く。 ) 時以外は 100%償還と 償還時通貨が確定 なるものを除く。)など していない債券 ※以上すべて通貨タイ プは問わない 【留意事項】 ・リパッケージ債については、最終的にリパッケージされた商品の商品性でどの項目に該当するかを判断するものとする。 6