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平成16年度堆肥化調査結果 - 公益財団法人新潟県都市緑花センター
緑のリサイクルについて (財)新潟県都市緑花センター 1.はじめに (財)新潟県都市緑花センターでは、管理を行っている公園で発生する取草、剪定枝のリサ イクルに取り組んでいる。剪定枝はチップ化処理し、マルチング等に利用している。取草につ いては、堆肥化処理を行っているが、各公園のリサイクル施設の状況が異なる為、それぞれ独 自の方法で、堆肥化し、土壌改良等に利用している。 チップ化処理したものは、ほぼ問題なくリサイクルされているが、堆肥化については、堆肥 の品質(雑草の種混入問題、肥料成分)が把握されていない上、堆肥化する量が多く、また、 使用用途が限られている為、作製された堆肥が余剰気味である。堆肥のリサイクルの確立には、 効率的で効果的な堆肥の作製方法、使用方法の確立が不可欠である。その基礎データを得るた めに、堆肥化の方法が堆肥の品質におよぼす影響を調査(①各公園における堆肥化方法の調査、 ②堆肥化学分析、③発芽試験)した。 2.各公園における堆肥化方法の調査 (1)方法 リサイクルについての調査票(下記参照)により、鳥屋野潟公園(スポーツ、鐘木、女池) 、 紫雲寺記念公園、植物園、大潟水と森公園、島見緑地の平成 16 年度の堆肥化方法を調査した。 リサイクルについての調査票 1.年度及び公園名 年 公園 2.堆肥化施設の概要 幅 長さ(奥行き) m× 高さ(塀) m× 屋根の有無 区画 m× 区画 有・無 区画の使用方法 以降、堆肥化の時期、方法など異なる場合、時期、方法ごとに、用紙を変えて記入してください。 「3.堆肥化原料の発生量、時期」と整合させてください。 施設の良い点・悪い点(課題問題点) 3.堆肥化原料の発生量、時期の備考の番号(記号) 番 6.堆肥化の時期、材料等 堆肥化原料の発生時期 堆肥化の時期 3.堆肥化原料の発生量、時期 作業内容 ゾーン・エリア 発生時期、量、種類(主な草種) 作業数 発生量 備考 量 合計 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 堆肥化原料の内訳 7.使用添加剤 品名 堆肥化原料1m3当 3 りの使用量(kg/m ) 使用方法 材料単価 (円/kg) 備考 8.作製方法 ※備考の欄には、最終的に一緒に堆肥化させるものが分かるように分類し、番号(記号)を記入してください。 作製方法概要 4.堆肥の使用時期、量 作業内容 ゾーン・エリア 作業時期 作業数量 使用量 使用量内訳、方法 処理年月日 処理内容 堆肥化原料 処理量(m 3 ) 使用機材 備考(作業方法、堆肥状況) 9.堆肥の温度の経時的変化 月日 備考 5.堆肥化する上での問題点等 温度(℃) 発生材の発生抑制に向けた提案 10.堆肥作製経費 備 考 作 業 員 単 価 7,460円 /人 ・日 堆肥の使用拡大に向けた提案 1 その他(堆肥化方法の改善点、堆肥品質について、堆肥施用後の現場の状況・経過について) 作業員人件費 円 原材料費 円 機械経費 円 委託経費 円 経費合計 円 最終堆肥作製量 m 3 堆肥作製単価(経費合計÷堆肥作製量) 円/m 3 (2)結果 全体の傾向として、4~11 月に発生した取草などは無処理のまま堆積しておき、11 月~3 月に醗酵促進剤などの副資材の添加や切返しを実施していた。 副資材はコーランなどの微生物系の副資材と微生物の活性化のための鶏糞を併用している ところが多かった。単位(m3)当りの副資材経費は 451 円(大潟)から 6,500 円(植物園) と幅があった。 切返し回数は 2 回のところが多く、1 回目に副資材の添加を行い、1 回目の切返し後、1~ 2 ヶ月で切返しを実施していた。表中には示してはないが、処理期間中の堆肥の温度は鳥屋 野潟公園で 20℃~30℃、緑地修景では 40℃~65℃、紫雲寺記念公園、大潟水と森公園では 70℃を超えた。 施設の問題点は以下のようなものが挙げられた。 鳥 屋 野 ( 鐘 木 ):雨晒しで、温度が上がりにくい。施設が狭く作業に困難をきたす。場所 が悪い(景観的に) 鳥 屋 野 ( 女 池 ):鐘木と同じ 紫 雲 寺:施設が良い為、機械作業が容易に出来る。 植 物 園:切返しがしづらい施設である。 大 緑 潟:駐車場脇にあり、景観的に悪い。場所が狭い為 地 修 景:1回の搬入量が多いため 1 回に発生した量を1区画で搬入しきれない。 搬入スペースの確保。 発生材抑制に向けた提案として以下の項目が挙げられた。 「早目の除草により、雑草種子の飛散を防止する。」 「マルチングの厚さを厚くし、雑草の 発生を抑制する。 」「落葉の敷均し区域を増やし、落葉集積量の軽減と雑草抑制を同時に行 う。 」 「芝生刈込は刈芝の収集を行わず、刈りっぱなしとする。」 第2‐1表 各公園の堆肥作製方法等調査結果 公園名 作製年度 堆肥作製方法 原材料集積時期 堆肥化処理時期 堆肥化処理期間 切返し回数 A 堆肥化原料集積量 B 堆肥化処理開始時量 C 堆肥作製量 減容率①(C/A) 減容率②(C/B) 堆肥化原料の主な草種 スポーツ 16年度 鐘木(落葉) 16年度 ①9~2月、②2~3月 10-11月 11月~ ①6ヶ月②1ヶ月 ①2回②2回 ①280②121 ①166.5②- ①0.59 2回 8 - 取草 女池(落葉) 16年度 女池(芝・取草) 16年度 5-10月 11-3月 5ヶ月 2回 ― ― 8 ― ― 10-11月 11-3月 5ヶ月 2回 ― ― 9 ― ― 4-7月、9-10月 10-11月 2ヶ月 2回 ― ― 13.56 ― ― 落葉 3 堆肥の素一番(30kg/m ) 添加剤の種類 鳥屋野潟公園 鐘木(芝・取草) 16年度 3 粒状苦土石灰(2kg/m ) 芝 落葉 3 3 コーラン(1.75kg/m ) コーラン(5kg/m ) 3 鶏糞(5kg/m ) 3 堆肥の素一番(5kg/m ) 芝 3 3 鶏糞(3.3kg/m ) 鶏糞(3.3kg/m ) 3 苦土石灰(3kg/m ) 苦土石灰(3kg/m3) 3 3 堆肥の素一番(6kg/m ) 堆肥の素一番(6kg/m ) 3 添加剤の経費(円/m ) 3 堆肥化経費(円/m ) 公園名 作製年度 堆肥作製方法 原材料集積時期 堆肥化処理時期 堆肥化処理期間 切返し回数 A 堆肥化原料集積量 B 堆肥化処理開始時量 C 堆肥作製量 減容率①(C/A) 減容率②(C/B) 堆肥化原料の主な草種 2,090 14,245 3 544 ― 544 ― 島見 紫雲寺① 紫雲寺② 植物園 大潟 緑地修景 16年度 16年度 16年度 16年度 16年度 5-10月 11-3月 5ヶ月 2回 ― 56 ― ― ― 4-6月 6-10月 5ヶ月 3回 ― 6-11月 11‐3月 5ヶ月 3回 ― ― ― ― ― ― ― 4-3月 ― ― 0回 ― ― ― ― ― 5-9月 9-11月 2ヶ月 2回 30 ― 15m3 0.5 - 6-12月 12-1月 1ヶ月 4回 405 161 122 0.4 0.76 芝 芝・花がら・取草 芝・花がら・取草 花がら・落葉 落葉・取草 苦土石灰(2kg/m3) 添加剤の経費(円/m ) 3 堆肥化経費(円/m ) 2,488 9,482 16年度 堆肥の素一番(40kg/m3) 添加剤の種類 830 6,658 2,765 ― 45 3 コーラン(4kg/m ) 3 油粕(10kg/m ) 1,725 7,195 2 取草・剪定枝・芝・落葉 コーラン(20kg/m3) コーラン(0.2kg/m3) VS34 3 6,500 ― 鶏糞(10kg/m ) 3 油粕(5kg/m ) 451 3,419 1,039 7,143 (3)考察 堆肥化処理は、ある程度草の量が出たら、切返しなどの処理を行い、順次、堆肥化を進め るのが望ましいが、そのためには、多くの区画、面積が必要になる。公園内では専門的な堆 肥化施設を整備することは難しく、また、面積も限られている為、4~11 月までの発生期間 中堆積を続け、11 月以降に処理することが一番効率的と考える。 副資材について、経費的な面では公園間でかなり差があったが、堆肥品質の結果と合わせ て考える必要がある。 堆肥の素一番は嫌気性の微生物資材であり、コーラン、VS34 は好気性の微生物資材であ る。堆肥化処理期間中の温度は、微生物系の副資材の種類や堆肥化原料の種類の差にもよる ものと思われる。 3.堆肥品質試験 (1)方法 平成 18 年 1 月に平成 16 年度に各公園で作製された堆肥を収集し、堆肥の外観(色、香り、 水分、固さ)調査をした。また、篩い試験(2mm、5.6mm) 、化学試験(pH(酸度)、EC(電気伝 導度)、全窒素、全炭素、腐植含量、C/N 比、全カリウム、全カルシウム、CEC(塩基置換容量)) を実施した。 (2)結果 ①外観調査について 色については、どの公園の堆肥も褐色をしており、外観については明らかに未成熟である と判断できるものは無かった。 香りについては、女池(芝・取草) 、島見の堆肥で若干、腐敗臭がしたが、他は特に異臭は しなかった。 水分状態については、スポーツ公園、鐘木(芝・取草) 、島見の堆肥がやや過湿気味であっ た。 固さについて、鐘木(落葉) 、女池(芝)、女池(落葉) 、紫雲寺①、紫雲寺②、植物園、大 潟、街路の堆肥は、水分状態の良い(含水量低め)で、塊があっても、もろく崩れる状態で あった。鐘木(芝・取草) 、島見の堆肥については、含水量が高く、粘土状でかつ、芝の繊維 質があり、崩れにくかった。 その他の点については、未分解の大型イネ科雑草、木質片、芝の塊などが確認できた。 鳥屋野潟公園(スポーツ) 3 鳥屋野潟公園(鐘木 落葉) 鳥屋野潟公園(鐘木 芝・取草) 鳥屋野潟公園(女池 落葉) 鳥屋野潟公園(女池 芝・取草) 島見緑地 紫雲寺記念公園① 紫雲寺記念公園② 植物園 大潟水と森公園 4 緑地修景街路 ②粒径試験 2mm と 5.6mm のふるいに掛け、含有率(重量%)を調査した。スポーツ、鐘木(芝)、大 潟で 2mm 以上の粒径が 30%以上と高い値を示した。女池(落葉)は 3.3%と低い値を示した。 ③肥料成分分析 pH はスポーツ、鐘木(芝・取草) 、島見、緑地修景の堆肥で弱アルカリ性を示し、その他 は弱酸性を示した。樹木が健全に生育する pH の値は 4.5~8.0 といわれている。今回の結果 では、すべての堆肥でこの値の範囲内であった。 電気伝導度(EC)は島見で 3.3(mmS/cm) 、大潟で 2.4(mmS/cm)と高い値を示し、植物園 では 0.095(mmS/cm)と低い値を示した。そのほかは 0.9 から 2.0(mmS/cm)の間の値を示し た。EC は 0.7(㎜ S/㎝)以上であると生育を阻害すると言われている。今回の結果では、女池 (落葉) 、植物園の堆肥を除く堆肥で 0.7(mmS/cm)以上を示した。 全窒素含量は、鐘木(芝・取草)で 5.1%、大潟で 4.4%と高い値を示した。他は 0.96~1.5 の間の値を示した。 腐植含量はスポーツ、鐘木(芝・取草) 、島見、大潟、緑地修景の堆肥で高く 30%以上を示 し、そのほかは 10%代であった。 第3‐1表 各公園の堆肥品質調査結果 鳥屋野潟公園 公園名 鐘木(落葉) 鐘木(芝・取草) 女池(落葉) 紫雲寺 紫雲寺 緑地 島見 植物園 大潟 女池(芝・取草) ① ② 修景 16年度 16年度 16年度 16年度 16年度 16年度 16年度 16年度 16年度 16年度 16年度 スポーツ 作製年度 黒褐色(芝 とスポーツ 明褐色 の中間ぐ らい) 外観(色) 黒褐色 黒褐色(ス 黒褐色(ス 黒褐色(明 黒褐色(明 ポーツと ポーツと 黒褐色 るめ) るめ) 同等) 同等) 外観(香り) なし なし(土臭) なし 外観(水分) スポーツよ やや過湿 やや乾燥 りベトベト 適 感あり 外観(固さ) 崩れない 崩れる、形 崩れる(鐘 崩れる。繊 未分解の もろく崩れ 塊はほと (未分解繊 は残って 木(芝)と比 維質が若 ものあり る んどない 維質) いない 較して) 干残る。 塊が多い 外観(その他) 大型イネ 科雑草が 残る。 篩い試験(2mm、重量%) 篩い試験 (5.6mm、重量%) pH EC 全窒素 全炭素 腐植 C/N比 全カリウム 全カルシウム 塩基置換容量(CEC) 32.1 17.5 8.0 0.99 1.4 17.5 30.2 12.5 0.57 3.1 187 やや腐敗 やや腐敗 堆肥臭 臭 臭 なし やや湿 塊の中に 芝の繊維 が 35.2 18.1 7.5 1.4 5.1 20.2 34.8 3.96 0.49 5.8 90.9 3.3 0.8 7.1 0.59 1.5 11.5 19.9 7.67 0.37 1.2 174 11.2 2.9 7.9 3.3 1.7 12.3 36.4 7.24 0.75 8.0 223 ※太字はH16年度分析値 5 黒褐色 黒褐色 生臭 土の匂い 適 適量 乾燥 塊がある が崩れる 塊がある が崩れる 塊がある が崩れる 松葉、小 未分解の 葉、木質 枝が未分 植物体有 片が残る 解 木質片が 残る 湿土(夏雨 が降り始 土臭 めた時の 匂い) やや乾燥 乾燥 芝の形が 残る、粘 土状 9.0 2.6 6.8 1.7 1.1 8.8 15.2 8 0.65 0.97 113 黒褐色。 12.0 2.4 6.8 1.9 0.73 6.8 11.7 9.32 0.7 0.84 109 18.9 4.6 6.6 0.095 0.96 9.3 16.1 9.69 0.56 0.69 132 35.7 12.4 6.8 2.1 4.4 24.7 42.5 5.61 0.72 4.5 267 9.8 4.2 8.0 0.92 1.3 12.8 30.4 9.85 0.54 3.1 166 (3)考察 ①外観、粒径について 腐熟度は、色から判断すると問題ないようであるが、未分解の木質片、芝の塊、大型イネ 科雑草があり、何か改善策が必要である。また、木質片や塊は作業効率や施肥作業の質を低 下させる。紫雲寺記念公園では堆肥化したもの(紫雲寺②)をシュレッダーにかけ塊を粉砕して いる(紫雲寺①)。紫雲寺①は外観も塊がなく、粒径 2 ㎜以上のものも 9.0%、5 ㎜以上のもの は 2.6%と低い値を示した。シュレッダー処理は堆肥の品質を上げる手段として効果的である が、シュレッダー処理に掛かる経費等を検討していく必要がある。 ②化学分析について EC や全窒素の値が高いものには、添加剤として鶏糞や苦土石灰が使用され、各分析値は 添加剤の種類、量により異なった。添加剤の使用量と出来上がった堆肥の品質(性質)の関係が 明らかになれば、堆肥作製方法に反映させることが出来る。今後も添加剤の使用量、堆肥化 方法と堆肥の性質の関係を継続して調査していく必要がある。 4.発芽試験 (1)材料及び方法 育苗ポットは径 121mm、 高さ 54mm、 容量 300ml の発砲スチロール製の容器を使用した。 供試植物はコマツナとした。処理区は、赤玉土(2mm のふるいに通したもの)100%、各公 園の堆肥 100%(11 箇所分、2mm のふるいに通したもの)、各公園の堆肥 50%(11 箇所分、 2mm のふるいに通した堆肥と赤玉土を容積比 1:1 で混合したもの)の計 23 処理区とした。 平成 18 年 2 月 14 日に1ポット当り 25 粒ずつ播種し、新潟県立植物園 8 号温室で栽培を 行い、温室の最低気温設定温度は 18℃とした。発芽状況と生育状況を 3~4 日置きに調査し、 平成 18 年 3 月 7 日(播種後 21 日後)に茎葉長と地上部生体重、根の状況を調査した。 (2)結果 発芽率は 11 日後の 2 月 28 日にはすべての処理区で 100%となった。 ポットの状況は、紫雲寺①100%、②100%、緑地修景 100%で乾燥気味であった。 2 月 28 日の生育状況の観察を行った結果、 緑地修景 100%、 紫雲寺①100%、 紫雲寺②100%、 島見 100%で葉の色が濃かった。鐘木(落葉)100%、鐘木(落葉)50%、鐘木(芝・取草)50%、大 潟 50%のコマツナの生育は茎が長く、軟弱な感じであった。植物園 100%、植物園 50%は葉 の色が薄く、生育が悪かった。 茎葉長は大潟 100%、女池(芝・取草)100%で高い値を示した。各公園の 100%、50%を比 較すると、100%の方が生育が良かったのは、鐘木(落葉)、鐘木(芝・取草)、女池(芝・取草)、大 潟であった。50%の方が生育が良かったのはスポーツ、紫雲寺①、紫雲寺②、植物園であっ た。女池(落葉)、島見は 100%、50%の生育の差はほとんどなかった。 地上部生体重は茎葉長と同様の傾向が見られた。 雑草の発生状況を観察した結果、植物園でかなりの発生が見られたが、その他ではほとん ど雑草は確認できなかった。 6 (%) 100 Cont スポーツ50 スポーツ100 鐘木(落葉)50 鐘木(落葉)100 鐘木(芝・取草)50 鐘木(芝・取草)100 女池(落葉)50 女池(落葉)100 女池(芝・取草)50 女池(芝・取草)100 紫雲寺①50 紫雲寺①100 紫雲寺②50 紫雲寺②100 島見50 島見100 大潟50 大潟100 植物園50 植物園100 街路50 街路100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 2月14日 2月17日 2月21日 2月24日 2月28日 日付 第 4‐1 図 100 50 発芽率の推移 対照 100 スポーツ生育状況(2 月 28 日) 100 50 50 対照 対照 女池(芝・取草)生育状況(2 月 28 日) 対照 鐘木(落葉)生育状況(2 月 28 日) 100 鐘木(芝・取草)生育状況(2 月 28 日) 100 50 50 対照 女池(落葉)生育状況(2 月 28 日) 7 100 50 対照 島見生育状況(2 月 28 日) 100 50 対照 100 大潟生育状況(2 月 28 日) 植物園生育状況(2 月 28 日) 100 50 対照 50 対照 緑地修景生育状況(2 月 28 日) 第4‐2表 各公園の堆肥がコマツナの生育に及ぼす影響 対照区 茎葉長(㎝) 生体重(g) 4.17 0.1 スポーツ 50 100 鐘木(落葉) 50 100 9.07 0.4 10.22 0.4 島見 茎葉長(㎝) 生体重(g) 50 100 12.38 0.7 12.49 0.7 8.81 0.3 紫雲寺① 50 100 13.07 11.00 1 0.6 鐘木(芝・取草) 50 100 11.77 0.6 10.89 0.7 紫雲寺② 50 100 12.55 0.8 10.43 0.6 12.86 0.8 5.03 0.1 下段左端より島見、紫雲寺①、紫雲寺②、大潟、植物園、緑地修景 8 10.23 0.5 植物園 50 100 上段左端より対照区、スポーツ、鐘木(落葉)、鐘木(芝)、女池(落葉)、女池(芝) 地上部生育状況(堆肥 50%)(3 月 7 日) 女池(落葉) 50 100 4.62 0.1 女池(芝・取草) 50 100 10.67 0.5 12.93 0.7 大潟 50 12.46 0.8 100 14.44 1 14.38 1.1 緑地修景 50 100 12.55 0.7 12.61 0.8 上段左端より対照区、スポーツ、鐘木(落葉)、鐘木(芝)、女池(落葉)、女池(芝) 下段左端より島見、紫雲寺①、紫雲寺②、大潟、植物園、緑地修景 地上部生育状況(堆肥 100%)(3 月 7 日) (3)考察 コマツナの発芽率はすべての処理区で 100%となり、堆肥中には植物の生育を阻害する物 質は含まれていない(含まれていても少量である)ことが確認された。植物園を除く各公園で作 製された堆肥は、対照区より良好な生育を見せた。このことは、各公園で作製した堆肥は、 土壌改良材としても十分利用できることが確認できた。 5.総合考察 (1)堆肥の作製方法について 公園のリサイクル施設の実情(区画が取れない、作業面積が限られている)からみて、春から 秋にかけて発生材(取草、刈芝、落葉)を集積し、冬季間に切返しなどの作業を行うことが効率 的な方法と考えられる。 (2)添加材について 微生物が含まれている添加剤には、嫌気性、好気性のものがある。それぞれの特性を活 かし醗酵させることで、作業の効率化が図られる。各公園の状況に応じた添加剤の選択が 必要である。 その他、鶏糞、油粕、苦土石灰などの添加剤は堆肥の化学的性質に大きく影響を与える ため、使用量の把握と作製された堆肥の関係を今後調査していく必要があると共に、添加 剤に掛かる費用と堆肥化の作業効率、作業品質の関係を明らかにしていく必要がある。 (3)肥料成分分析 土として扱うには、やや EC の高いものは見られたが、コマツナの生育に悪影響を及ぼす ものではなかった。但し、EC や全窒素の値が高いものは、植物の生育に悪影響を与える可 能性がある為、使用の際は、現地土との混合割合を考慮する必要がある。植物を使った生育 試験を実施し、使用基準等を決めていく必要がある。 堆肥の化学成分は、雑草の種類、添加物の種類、量により異なってくる。作製された堆肥 9 の化学成分の数値目標を立てるより、作製された堆肥の化学成分を把握し、使用方法を検討 する方が現実的と思われる。 (4)利用方法について コマツナの生育で 100%混合と 50%混合を比較した場合、50%混合の方が良好な生育を示 した堆肥が 4 箇所分あった。この影響は、物理的なものなのか、化学的なものかは判断でき なかったが、植物を栽培する場合は堆肥だけで培地とすることは無理であることが示唆され た。 雑草の種子の混入について、堆肥化の過程で雑草の種子を死滅させる必要性がある。今回 の調査では、植物園を除き、雑草の発生はほとんど見られなかった。これは、今後芝生の目 土として利用していける可能性を残した。しかし、今回の調査は冬期で温室内の実験であっ た為、夏期の調査も必要であると思われる。 (5)今後の課題 今後の課題として以下の項目が挙げられる。 ①添加剤と化学的品質、物理的品質の関係 ②添加剤の適正使用量 ③添加剤と作業効率 ④粒径を小さくする手段 ⑤堆肥の適正使用方法 ⑥堆肥化施設の効率的な使用方法の検討 ⑦堆肥化施設の改善 これらの検討項目は、互いに関係しており、総括的に考えていけなければならない。調査・ 試験を継続的に続けることにより、より効率的・経済的でかつ高品質の堆肥の作製方法を確 立していけると思われる。 10