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調査報告書「本編」(PDF:6.17MB)

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調査報告書「本編」(PDF:6.17MB)
目
Ⅰ
次
調査の要領
1.調査の目的 ························································1
2.調査期間 ··························································1
3.調査内容 ··························································1
Ⅱ
調査結果
1.医療・福祉機器の市場性・成長性の分析
(1)医療機器の市場性・成長性 ········································2
(2)中国地域の医療機器生産動向 ······································10
(3)福祉機器の市場性・成長性 ········································11
(4)福祉機器の流通形態 ··············································15
2.医療・福祉機器の要素技術
(1)医療・福祉機器の技術開発の動向 ··································16
(2)医療・福祉機器の要素技術 ········································19
3.医療・福祉関連産業の技術ニーズ調査結果
(1)アンケート調査の概要 ············································20
(2)回答事業所の概要 ················································21
(3)医療・福祉機器等への取り組み ····································22
(4)医療・福祉機器等の高度化・新規開発への取り組み ··················26
(5)産学官連携について ··············································28
(6)機器等の高度化・新規開発における問題点・要望 ····················30
(7)技術ニーズ調査結果のまとめ ······································32
4.研究機関等へのヒアリング調査結果 ··································33
5.情報関連産業・電気機器関連産業の技術シーズ調査結果
(1)アンケート調査の概要 ············································36
(2)回答事業所の概要 ················································36
(3)医療・福祉分野におけるIT利用への期待 ··························38
(4)技術シーズの状況 ················································38
(5)注目されている技術 ··············································39
(6)情報技術を活用した製品・サービス ································41
(7)産学官連携による技術開発への意向 ································44
(8)共同開発テーマ、支援ニーズ・技術課題等 ··························45
(9)ITを活用した医療・福祉機器等の開発への意見 ····················46
(10)技術シーズ調査結果のまとめ ······································47
(11)IT関連産業におけるニーズとシーズ ······························47
6.インテリジェント・メディカルインダストリーの創出可能性
(1)情報技術ニーズ ··················································50
(2)情報技術シーズ ··················································50
(3)ニーズとシーズのマッチングシステム ······························51
(4)創出可能性のある分野 ············································51
(5)アンケート回答からみた地域別の可能性 ····························55
(6)地域市場の動向 ··················································59
(7)新産業創出に向けて ··············································61
資料編
1.医療・福祉関連産業向け調査票 ······································63
2.情報関連産業・電気機器関連産業向け調査票 ··························66
3.第 16 回日本エムイー学会秋季大会論文一覧(中国地域の研究者) ·······77
4.情報技術と医療・福祉機器の関連一覧(中分類・細分類) ··············81
5.IT関連産業の技術ニーズ一覧(事業所の注目する技術) ··············85
6.IT関連産業の技術シーズ一覧(事業所の保有技術) ··················89
7.日常生活情報リアルタイムセンシングシンポジウムの概要 ··············93
8.地域の産業技術例 ··················································99
1.調査の目的
情報技術を必要とする医療・福祉機器は、医療現場での遠隔医療システム、電子カルテやMR
I等の画像診断機器といった最先端医療システム、医療機器から歩行者用携帯ナビゲーション等
の各家庭における介護支援の福祉機器まで多様である。
現在、医療・福祉機器の多くで機器制御のため情報技術が不可欠となっており、医療・福祉機
器産業からもIT(情報技術)の応用による新たな商品展開が期待されている。中国地域ではI
T関連産業の中でも、情報分野において技術力の高い企業が数多く存在しており、画像処理技術
や高速データ処理技術等を医療・福祉関連産業の技術力と融合させることにより、地域における
医療・福祉関連産業の活性化が期待される。
このようにITとME(医療工学)の融合によるインテリジェント・メディカルインダスト
リーは、成長が期待できる産業分野である。本調査では、医療・福祉産業の情報技術ニーズ、
研究機関における研究内容、情報関連産業における技術シーズを調査することにより、地域
のインテリジェント・メディカルインダストリー創出のポテンシャルを分析し、情報関連産
業の医療・福祉分野へ展開を促進するための方策の検討を行う。
2.調査期間
平成 14 年 9 月∼平成 15 年 3 月 31 日
3.調査内容
①中国地域の医療・福祉関連産業の技術ニーズ調査
②中国地域の研究機関における医療・福祉機器、医療システムに関する研究実態調査
③中国地域のIT関連産業、電気機器関連産業の技術シーズ調査
④医療・福祉関連産業、研究機関のニーズとIT関連企業のシーズのマッチングの検討
⑤中国地域における医療・福祉分野でのIT関連産業の参入実態の検討
−1−
1.医療・福祉機器の市場性・成長性の分析
(1)医療機器の市場性・成長性
医療機器の生産額の動向は、平成 10 年に 1 兆 5,214 億円でピークとなり、その後、平成 11 年に
は 1 兆 4,879 億円、平成 12 年には 1 兆 4,862 億円と近年では横ばいで推移している。
医療機器の生産額(H5-H12)
(億円)
15,500
15,140 15,214
14,879 14,863
15,000
14,561
14,500
14,000
13,500
13,348
13,366
13,177
13,000
12,500
12,000
H5
H6
H7
H8
H9
H10
H11
H12
(年)
(資料)厚生労働省医政局編『薬事工業生産動態統計年報』(各年版)より作成。
大分類別に平成 12 年の医療機器の国内生産額をみると、構成割合の最も大きいものは「画像診断
システム」が 2,776 億円であり、全体の 19%を占めている。また、「画像診断用 X 線関連装置及び
用具」では平成 11 年と比較した際の伸び率が 7.7%と最も高く、今後も画像診断等のITに関係す
る医療機器の安定的な市場が存在すると考えられる。
大分類別生産金額(H12)
H 12大分類
H12(百万円) 対H11 構成割合
画像診断システム
277,638
-6.9%
18.7%
処置用機器
207,547
6.8%
14.0%
生体機能補助・代行機器
183,717
12.4%
12.4%
生体現象計測・監視システム
161,276
-6.3%
10.9%
家庭用医療機器
画像診断用X線関連装置及び用具
歯科材料
眼科用品及び関連製品
139,707
111,031
92,739
90,263
-7.9%
7.7%
2.2%
3.0%
9.4%
7.5%
6.2%
6.1%
医用検体検査装置
88,410
3.9%
5.9%
治療用又は手術用機器
59,297
-4.1%
4.0%
33,648 -5.9%
28,383 -2.4%
8,371
3.6%
4,240 -35.5%
1,486,266 -0.1%
2.3%
1.9%
0.6%
0.3%
100.0%
歯科用機器
施設用機器
鋼製器具
衛生材料及び衛生製品
総数
主な品目
診断用X線装置、医用X線CT装置、超音波画像診断装置、磁気
共鳴画像診断装置及びその関連用品等
注射器具、チューブ、カテーテル、採血・輸血用、輸液用器具及
び医薬品注入器、
縫合糸、縫合針、ギブス包帯、副木等
人工臓器、心臓ペースメーカ、人工血管等
患者監視用装置及び関連機器、視覚・知覚・運動機能検査装
置、医用内視鏡等
家庭用マッサージ器、家庭用吸入器、補聴器、コンドーム等
体温計、血圧計、聴診器、心電計、脳波計等
歯科用金属、義歯床材料等
視力補正用眼鏡、視力補正用眼鏡レンズ、コンタクトレンズ等
免疫反応測定装置、血球計数装置、赤血球沈降速度測定装
置、尿検査装置等
低・高周波治療器、マッサージ器、レーザ手術装置、結石破砕装
置等
歯科用鋼製器具、歯科用電動治療台等
医薬品噴霧、吸入用器具、医療用吸引機、医療用照明器等
刀、のこぎり、ピンセット等
ガーゼ、避妊用具、手術用手袋等
(資料)厚生労働省医政局編『薬事工業生産動態統計年報』(平成 12 年版)より作成。
−2−
医療機器の市場性・成長性を分析するため、品目別の生産、輸入、輸出の動向を平成 10 年まで
の旧分類によって分析すると、機器別の市場動向は次の表のように分けられる。
国内市場・海外市場
ともに成長
国内市場が成長
市場規模の
大きな機器
−
−
成長性の
高い機器
−
手術用品,外科・整形外科用品
及び関連製品
生体現象監視用機械器具及び
市場規模は
装置
小さいが
成長性のあ 医用検体検査機器
る機器
歯科材料
海外市場が成長
処置用機械器具
−
横ばい
−
診断用機械器具
医用放射線関連装置及び製品 機能検査用機械器具及び装置 歯科用機械器具及び装置
生体機能補助・代行器
-
手術用機械器具及び装置
−
その他
画像診断用装置
治療用粒子加速装置
−
医科用鋼製器具
生体電気現象検査用機械器具
及び装置
理学診療用機械及び装置
眼科用品及び関連製品
家庭用治療器
衛生材料,衛生用品他に分類さ
れないゴム製品,ビニル製品及
び関連製品
診療施設用機械装置及び付属
器具
生体物理現象検査用機械器具
及び装置
放射性同位元素治療装置及び
医療用密封放射性同位元素
各科用品及び関連製品
検査用核医学装置
その他
このうちターゲットと考えられる医療機器はわずかなシェア獲得でも市場規模の大きな機器と、
市場の成長がみられる機器と考えられる。
①市場規模の大きい機器
処置用機械器具
画像診断用装置
生体機能補助・代行器
画像診断用装置
診断用 X 線装置(一般 X 線装置、X 線断層投影装置、X 線 CT 装置等)、画像診断用核医学装置、核磁気共鳴 CT 装置(MRI 等)、
画像診断用超音波装置、画像診断用赤外線装置(医用サーモグラフィ装置等)
処置用機械器具
注射器及び穿刺器具、チューブ、カテーテル、医科用洗浄機、吸引器、整形用機械及び装置、医薬品注入器具、採血・
輸血・輸液用器具、医療用散粉器、噴霧・吸入用器具
生体機能補助・代行器
人工心肺、心臓ペースメーカ、血液回路、血液浄化器及び装置、人工腎臓装置及び透析器、呼吸補助器、人工膵臓、補
聴器
②成長がみられる機器
生体現象監視用機械器具及び装置
医用検体検査機器
歯科材料
また、医療機器と貿易収支との関係をみると、日本において生産額は伸びているものの、貿易収
支が赤字となっている機器は、治療技術、機能代行・補助技術の分野であり、「市場規模の大きい
機器」に該当する。今後こうした分野での日本の医療機器の世界シェアが伸びると予想される。
−3−
医療機器の市場性・成長性
成長性(H12・生産:対H5伸び率)
150%
手術用品,外科・整形外科用品及び関連製品
100%
治療用粒子加速装置
手術用機械器具及び装置
生体電気現象検査用機械器具及び装置
生体現象監視用機械器具及び装置
医用検体検査機器
理学診療用機械及び装置 診断用機械器具
50%
処置用機械器具
生体機能補助・代行器
歯科材料
医用放射線関連装置及び製品
画像診断用装置
医科用鋼製器具
眼科用品及び関連製品
歯科用機械器具及び装置
家庭用治療器
衛生材料,衛生用品他に分類されないゴム製品,ビニル製品及び関連製品
診療施設用機械装置及び付属器具
機能検査用機械器具及び装置
0%
-50%
生体物理現象検査用機械器具及び装置
放射性同位元素治療装置及び医療用密封放射性同位元素
各科用品及び関連製品
-100%
0
100
200
300
400
500
市場性(H12・生産+輸入:億円)
国内市場と海外市場の成長性
海外市場の成長性(H12・輸出:対H5伸び率)
250.0%
手術用機械器具及び装置
200.0%
150.0%
処置用機械器具
100.0%
50.0%
歯科材料
医用検体検査機器
診断用機械器具
歯科用機械器具及び装置
生体現象監視用機械器具及び装置
医科用鋼製器具
0.0%
-50.0%
生体機能補助・代行器 医用放射線関連装置及び製品
画像診断用装置
機能検査用機械器具及び装置
理学診療用機械及び装置
手術用品,外科・整形外科用品及び関連製品
眼科用品及び関連製品
診療施設用機械装置及び付属器具
衛生材料,衛生用品他に分類されないゴム製品,ビニル製品及び関連製品
家庭用治療器
生体電気現象検査用機械器具及び装置
生体物理現象検査用機械器具及び装置
-100.0%
-40.0%
-30.0%
-20.0%
-10.0%
0.0%
10.0%
国内市場の成長(H12・(生産-輸出+輸入)/生産:対H5伸び率)
−4−
20.0%
30.0%
H5-H10
手術用品,外科・整形外科用品及び関連製品
眼科用品及び関連製品
歯科材料
衛生材料,衛生用品他に分類されないゴム製品,ビニル製品及び関連製品
各科用品及び関連製品
家庭用治療器
医科用鋼製器具
処置用機械器具
診療施設用機械装置及び付属器具
診断用機械器具
生体電気現象検査用機械器具及び装置
生体物理現象検査用機械器具及び装置
生体現象監視用機械器具及び装置
機能検査用機械器具及び装置
理学診療用機械及び装置
手術用機械器具及び装置
生体機能補助・代行器
歯科用機械器具及び装置
医用検体検査機器
画像診断用装置
検査用核医学装置
放射性同位元素治療装置及び医療用密封放射性同位元素
治療用粒子加速装置
医用放射線関連装置及び製品
H11-H12
処置用機器
生体機能補助・代行機器
歯科材料
衛生材料及び衛生製品
生体現象計測・監視システム
家庭用医療機器
処置用機器
処置用機器
施設用機器
生体現象計測・監視システム
生体現象計測・監視システム
生体現象計測・監視システム
生体現象計測・監視システム
生体現象計測・監視システム
生体機能補助・代行機器
生体機能補助・代行機器
生体機能補助・代行機器
処置用機器
医用検体検査装置
画像診断システム
画像診断システム
治療用又は手術用機器
画像診断システム
治療用又は手術用機器
生体機能補助・代行機器
眼科用品及び関連製品
家庭用医療機器
鋼製器具
鋼製器具
施設用機器
歯科用機器
生体機能補助・代行機器 治療用又は手術用機器 鋼製器具
家庭用医療機器
医用検体検査装置
治療用又は手術用機器
治療用又は手術用機器
家庭用医療機器
歯科用機器
画像診断用X線関連装置及び用具
医用検体検査装置
画像診断用X線関連装置及び用具 治療用又は手術用機器
(注)1.平成 12 年ベースで国内市場(生産+輸入−輸出)が 100 億円以上の医療機器について示した。
2.機器の開発等に伴い、平成 11 年から『薬事工業生産動態統計年報』での医療機器の分類が変えられているため、
『医療用具の一般的
名称と分類 1999 年版』を基に機器ごとに旧分類を検討し、下記表のように置き換えを行っている。
(資料)厚生労働省医政局編『薬事工業生産動態統計年報』(各年版)、薬事審査研究会(監)『医療用具の一般的名称と分類 1999 年版』を基に
作成。
<参考>市場動向
1.人工臓器関連
(1)人工心臓弁・弁輪:機械弁は減少。生体弁は 3,000 個をこえ続伸。生体弁の比率は 30%へ。
(2)人工血管:トータルマーケットは 01 年 75 億円,4.3 万本。部位別マーケットサイズを推定。
①ポリエステル:01 年 28,600 本(55.4 億円)。ライフラインが 36%でトップへ。ゲッツも急伸。
②EPTFE:01 年 14,400 本(19.9 億円)。透析用の比率が 60%へ。グッドマンが続伸。
(3)人工肺:01 年 41,180 個。OFF PUMP 手術への手技料加算でマーケットは不透明。テルモのシェア 25%へと拡大。
(4)人工心肺回路:01 年 41,650 セット。バクスターの追い上げ急。泉工医科のシェア 23.3%へ減少。
(5)人工心肺装置:泉工医科の「HAS型」が好調(ローラーポンプ)。遠心ポンプ(ハード)はテルモのシェア 60%。
(6)補助循環(IABP):バルーンは 01 年 20,550 本。東海メディカル製品シェア 21%に拡大。
(7)心臓ペースメーカ及び関連製品。①植込型ペースメーカ:01 年は 38,155 個へ拡大。マーケットリーダーのメドトロニ
ックが続伸。ライフライン,ゲッツも過去最高。②心臓ペーシングリード:01 年 4.1 万本(88 億円)。
(8)心筋焼灼術用カテーテル:01 年 10,970 本(18.8 億円)。マーケットは安定成長へ。
(9)植え込み型除細動器(ICD):日本メドトロニック「GEM DR」がマーケットを拡大。02 年はガイダント,ライフラインが急追。
(10)ダイアライザー:01 年 3,285 万本。旭メディカルのシェア 23.9%でトップへ。02 年のマーケットは 3,467 万本を予想。
(11)人工透析用回路:川澄化学 1,040 万セットで独走。日機装 590 万本,02 年は 650 万本へ。
2.整形インプラント
(1)人工股関節:01 年 413.6 億円(61,590 ユニット)。ユニットは 5.2%増。ユニットシェア日本ストライカー26.5%,ジンマ
ー21.4%。
(2)人工膝関節:01 年 199.4 億円(33,215 ユニット)。ユニットシェアはジンマー33.1%,日本ストライカー23.0%。モバイル
タイプ増加。
(3)CHS(DHS):01 年 81 億円(51,825 ユニット)。ユニットは 3.4%増。日本 MDM のシェア 36.0%。ガンマネイルへの移行が
進む。
(4)髄内釘:ガンマネイルタイプは 66.2 億円(20,890 ユニット),ユニットは 14.5%増。02 年は日本MDM,ジンマー参入で競
争が激化。ガンマネイル以外は 71.4 億円(27,055 ユニット)で日本MDMのユニットシェアは 30.7%
(5)脊椎固定システム:01 年 11,810 億円(19,265 ユニット)。ケージの症例数は17%増で拡大は継続。
3.診断機器
(1)非観血血圧計:01 年 63.6 億円。21,800 台。マーケットの縮小続く。日本コーリンのシェアは 62.3%に。
(2)心電計:01 年 141.6 億円。金額シェアはフクダ電子 56.7%,日本光電で 26.0%で 2 強体制変わらず。
(3)生体情報モニタ:01 年 216.5 億円。マーケットは 6.6%増で順調に回復。日本光電のシェアは 31.9%。
(4)X線CT装置:01 年 508 億円,1,195 台。トータル台数減少するもマルチの比率高まり金額は横ばい。
(5)MRI:01 年 531.2 億円,462 台。GEYMSの台数シェア 36.2%,日立,東芝が続く。
(6)核医学装置:01 年は 95.3 億円。マーケットは 6.9%縮小。FDG-PET 保険適用で 02 年は拡大か。
(7)診断用 X 線装置:01 年は上位 6 社で 715.7 億円。マーケットは微減傾向続く。東芝のシェア 38.4%。
(8)超音波診断装置:01 年 464.4 億円, 10,040 台。再編一段落するも低価格化が続く。東芝の金額シェア 25.8%。
(9)医用内視鏡:01 年電子スコープ 273 億円。オリンパスのシェア 71.4%。フジノン・東芝が新会社設立。
(10)消化器内視鏡用処置具:01 年 200 億円マーケット。BSJのシェア 36.5%,オリンパスが 30.2%で続く。
①PEG(ガストロストミーカテーテル):01 年 14 万本,25.2 億円。数量は 13.9%増。メディコンの金額シェア 62.3%に。
②胆管メタリックステント:01 年 1.4 万本(3.4 億円)。経内視鏡の比率 4 割超す。BSJの金額シェア 55.5%。
③生検鉗子:01 年 19.2 億円,30.7 万本。金額シェアはオリンパス 46%,BSJ40.7%で 2 強体制。
④高周波スネア:01 年 15.8 億円,11.3 万本。オリンパスは金額で 60.8%,数量で 42.4%のシェアを占める。
(11)骨塩定量分析装置:01 年は 46.2 億円。アロカのシェア 34.8%。超音波法測定器の急成長続く。
−5−
4.インターベンション関連製品
(1)コロナリーインターベンション(冠動脈形成術):01 年のマーケットサイズは 882 億円。02 年は 920 億円へ拡大。年間症
例数 01 年 13.9 万症例。うちステントが 64%。
①コロナリーステント:01 年 11.8 万本。メドトロニックのシェア 32.8%に拡大。02 年はガイダント,J&Jが大幅増へ。
②PTCAバルーン:01 年 19.6 万本。ボストンのシェア 30.2%へ低下。グッドマンのシェア 13.3%へ。
③ガイディングカテーテル:01 年 17.6 万本。4F マーケットでメドトロ強し。02 年はBSJ,J&Jが巻き返しへ。
④ガイドワイヤー:01 年 21.8 万本。ガイダント強し。シェア 46.9%。ゲッツ急伸。
⑤ニューデバイス:ロータブレータ 40 億円,DCA14 億円へ拡大。
(2)PTAバルーンカテーテル:01 年 3.5 万本(3.4 億円)。ボスト
ンのシェア 58%。透析分野の伸び高し。
(3)末梢血管用メタリックステント:01 年 6,300 本(13.2 億円)。ボストンの「ウォールステント」保険適用でマーケットは
拡大。
(4)マイクロカテーテル:01 年 11.2 万本。頭部 2.2 万本,腹部 9 万本。頭部はBSJ,腹部はテルモのシェア高い。
(5)マイクロ用ガイドワイヤー:01 年 10.3 万本。テルモのシェア 68%。
(6)塞栓コイル:01 年 14 万本。ボストンのGDC2.7 万本。ヒラタのDCSは 6,100 本へ拡大。
(7)下大静脈フィルター:01 年パーマネント 2,910 本,テンポラリー5,120 本。ヒラタの「キャンター」が大幅増。
(8)スネアカテーテル:01 年 3,320 本(1.9 億円)。メディコンとメディコスヒラタがシェア 2 分。
5.ディスポ・カテーテル類
(1)血管造影用カテーテル:トータルマーケットは 01 年 211 万本,107.2 億円。テルモ 01 年 11%増でシェア 18.7%に。
①心臓血管造影用:01 年 140 万本,73.3 億円。テルモ 13%増でシェア 22.6%に。クリニカルサプライも 15%増。
②腹部血管造影用:01 年 46.7 万本,21.3 億円。クリニカルサプライのシェア 23.6%に。
③脳・頸部造影用:01 年 23.9 万本,12.7 億円。2 位のメディキットのシェア 16%へ。
(2)サーモダイリューションカテーテル:01 年 26 万本,78.7 億円。心カテ室 17.6 万本に減少,ICU/オペ室/病棟 8.4 万本。
(3)血管内超音波プローブ:01 年 4.8 万本(84.4 億円)。グッドマン,ボストン合計で 3.3 万本。テルモ 5,600 本。
(4)電気生理検査用カテーテル:01 年 5.2 万本(58 億円)。日本光電のシェア 37.5%。ゲッツが急伸,シェア 22%。
(5)中心静脈用カテーテル:シングルルーメン 01 年 141 万本。マルチルーメン 46.1 万本。
(6)EDチューブ:01 年 60.4 万本,9 億円。日本シャーウッドはシェア 60%をキープ。
(7)カテーテルアクセスポート:01 年 3.4 万個。メディコンと東レ・メディカルでシェア 66%。
(8)携帯型ディスポーザブル持続注入ポンプ(インフューザー):01 年 118 万個。大研医器 25%増でシェア 15%へ拡大。
(注)特に市場の成長に注目すべき点に下線を付けた。
(資料)㈱アールアンドディ『医療機器・用品年間 2002 年版(市場分析編)』
−6−
医療機器俯瞰図
大分類
技術
中分類
リスク・クラス分類
ニーズ分類
Ⅰ
健康増進
予防技術
成人病予防
老化防止
痴呆防止
早期発見
重大疾患診断
Ⅱ
生体現象データ処理装置
(判断・評価・診断機能のないもの)
生体物理現象検査
血圧計
(アネロイド式・水銀柱式)
癌・心臓病
脳血管病等
新生児診断
Ⅳ
健康診断システム
電子観血血圧計
多用途測定記録装置
視覚機能検査用機器
医用内視鏡
内視鏡用医用電気機器
画像診断
医用サーモグラフィ装置
心電計
脳波計
パルスオキシメータ
呼吸機能検査用機器
生体磁気計測装置
(心磁計・脳磁計・筋磁計)
心臓カテーテル検査装置
アンギオ検査装置
磁気刺激装置
内視鏡
(電子・硬性・超音波)
診断用X線装置
医用X線CT装置
診断用核医学装置・関連機器
PET、SPECT
シンチレーションカメラ
核医学データ処理装置
(診断機能有)
RI動態機能検査装置
診断技術
生
命
支
援
技
術
Ⅲ
深部体温計
RI骨密度測定装置
画像診断用X線関連装置
超音波画像診断装置
磁気共鳴画像診断装置(MRI)
診断用X線画像処理装置
医用検体検査
医用分光光度計
電気泳動装置
免疫反応測定装置
血球計数装置
血液像自動分析装置
検査用核医学装置
免疫希釈判定装置 尿化学分析装置
グルコース分析装置
ラクテート分析装置
根治治療
重大疾患及び難病治療 治療または主術
放射線治療関連装置
手術用顕微鏡
治療技術
放射線同位元素治療
ガンマナイフ
治療用粒子加速装置
レーザー治療
マイクロ波手術器
超音波手術器(超音波メス)
マイクロ波ハイパーサーミア装置
処置
チューブ&カテーテル
チューブ&カテーテル(血管用)
(消火器用・呼吸器用・泌尿器用)
輸液ポンプ
血液バッグ
身
体
機
能
等
障
害
支
援
技
術
機能代行・
補助技術
自立支援
技術
在宅医療
技術
(注)
身辺自立
排泄行為
着脱行為 入浴行為 食事行為
歩行 意思疎通 意欲
生体機能補助・代行
人工血管
人工関節
人口骨
超音波ネブライザー
霧吹式ネブライザー
理学療法
温熱療法用機器
マッサージ器
家庭用医療機器
各種補聴器(空気電動式のみ)
光線治療器
低周波治療器
家庭用マッサージ器
治療浴装置
家庭用電気・光線治療器
日本において生産規模が大きく貿易収支が黒字傾向にある機器
日本において生産額が伸びているものの、貿易収支が赤字傾向にある分野
(資料)特許庁総務部「医療機器に関する技術動向調査」(平成 13 年 5 月)
−7−
携帯式心臓ペースメーカ
ステント
透析器
人工心肺装置
人口肺装置
人工呼吸器
除細動器
腹膜灌流用装置
腹水濾過濃縮器
人工心臓弁 人口弁輪
心臓ペースメーカ
ステント
人工血管
人口膵臓
植込み型医薬品注入器
医療機器の国内市場(生産+輸入−輸出)についてみると、注射器、チューブ、カテーテルとい
ったディスポーザーブルな製品の多い「処置用機器」が 3,256 億円と最も市場規模が大きく、次い
で人工臓器や人工血管、人工骨といった「生体機能補助・代行機器」が 3,064 億円、「眼科用品及
び関連製品」が 1,454 億円、「家庭用医療機器」が 1,315 億円、「生体現象計測・監視システム」が
1,194 億円となっている。
「家庭用医療機器」、「生体現象計測・監視システム」等ではITが機器の制御技術等として使用
されている場合が多く、2,000 億円以上の国内市場があると考えられる。
また、ITと関連の深い機械、器具、装置システムに関わる医療機器は「医用電子機器」と呼ば
れており、用途別に分類すると 9 種類に分けられる。一部には、日常の家庭看護で使われる機器も
含まれているが、機能的に医療機器として取り扱われている(生体物理現象検査用機器、生体電気
現象検査用機器、生体機能補助・代行機器等)。
医療機器の国内市場規模(平成 12 年)
ユーザー
用途
単位:億円
専門医師等
一般病院・開業医等
一般家庭等
用品・用具
ディスポ品
歯科材料:371
眼科用品及び関連製品:1,454
衛生材料及び衛生製品:86(H11)
処置用機器:3,256
機械・器具
施設用機器:298
歯科用機器:345
鋼製器具:347
家庭用医療機器:1,315
生体機能補助・代行機器:3,064
画像診断システム:2,318
装置・システム
画像診断用 X 線関連装置及び用具:1,064
生体現象計測・監視システム:1,194
医用検体検査装置:709
治療用又は手術用機器:882
(注)1.国内市場=生産金額−輸出金額+輸入品金額
2.衛生材料及び衛生製品は平成 12 年の輸出金額が不明のため平成 11 年の数字を示した。
(資料)厚生労働省医政局編『薬事工業生産動態統計年報』(平成 12 年版)を基に作成。
−8−
医用電子機器の分類
医用電子機器
生体現象計測・監視機器
生体物理現象検査用機器
体温計、血圧計、補聴器、生体磁気計測装置、心拍出量計、
血流計、眼圧計、その他関連装置
生体検査用機器
心電計、脳波計、筋電計、その他検査用機器
生体現象監視用機器
呼吸機能検査用機器、視覚機能検査用機器、知覚検査用機器
生体電気現象検査用機器
一人用患者監視装置、多人数用患者監視装置、
その他の患者監視機器、医用テレメータ
画像診断装置
X 線診断装置、核医学診断装置、超音波診断装置、磁気共鳴診断装置、内視鏡診断装置
生体機能補助・代行機器
視覚機能補助装置、生体機能制御装置、血液体外循環装置
治療及び手術機器
治療装置、手術器
医用情報システム
医療支援システム、地域医療情報システム、病院管理システム、健康管理システム
その他のシステム
医療用ソフトウェア使用システム
各種データ処理装置、医用テレビビジョン、記憶・記録装置等
(資料)木村雄治『医用工学入門』などを基に作成。
−9−
(2)中国地域の医療機器生産動向
地域別の医療機器生産額をみると、関東越静地域が全国の 57%を占めており、中国地域は全国の
4%となっている。都道府県別にみると 3 大都市の周辺都道府県での生産額が高くなっており、栃
木県が 1,586 億円と最も高く、次いで東京都が 1,553 億円、静岡県が 1,538 億円となっている。ま
た、3 大都市周辺ではないが、旭化成工業の人工臓器を中心とした生産により、大分県がこれらに
続き 1,016 億円の生産額となっている。
中国地域 5 県の生産額をみると、岡山県が 182 億円で全国 20 位、広島県が 141 億円で 21 位、山
口県が 138 億円で 22 位、鳥取県が 95 億円で 25 位、島根県が 39 億円で 38 位となっており、ほぼ
全国の中位に位置している。
都道府県別医療器機生産金額(H11・H12)
東京都
愛知県
H12
H11
H12
H11
大阪府
地域別医療機器生産額
地
(資料)厚生労働省医政局編『薬事工業生産動態統計年報』
(平成 12 年版)より作成。
域
総 数
北 海 道
東
北
関東 越静
東海 北陸
近
畿
中
国
四
国
九
州
−10−
(単位:百万円,%)
製造所数
生産金額
(月平均)
12年
11年
2,117 1,486,266 1,487,903
12
5,996
5,669
66
111,280
110,554
1,346
842,200
884,032
189
106,039
99,152
354
212,801
218,264
51
59,589
49,563
27
15,494
13,903
72
132,866
106,766
構成割合
12年
11年
100.0
100.1
0.4
0.4
7.5
7.4
56.7
59.5
7.1
6.7
14.3
14.7
4.0
3.3
1.0
0.9
8.9
7.2
また、中国地域 5 県における医療機器製造業者数についてみると、広島県が全国 23 位で 29 社、
岡山県が 25 位で 20 社、山口県が 36 位で 9 社、鳥取県、島根県が 41 位で 6 社となっており、現在、
中国地域 5 県で 70 社が医療機器製造業の許可を受けている。
107.1%
366.7%
医療機器製造業数(H12)
50.0%
700
40.0%
20.0%
0.0%
200
-20.0%
100
29 20
6 6
沖
青
鹿
児
長
和
歌
島
鳥
岩
大
徳
佐
山
香
熊
愛
秋
宮
石
山
北
海
山
宮
岡
奈
広
新
三
富
福
高
福
滋
栃
京
群
福
兵
長
静
岐
茨
千
神
奈
愛
埼
大
東
0
9
縄
森
島
崎
山
根
取
手
分
島
賀
口
川
本
媛
田
崎
川
形
道
梨
城
山
良
島
潟
重
山
島
知
岡
賀
木
都
馬
井
庫
野
岡
阜
城
葉
川
知
玉
阪
京
製造業社数
製造業
鳥 取
島 根
岡 山
広 島
山 口
中国地域計
全国
6
6
20
29
9
70
2,774
対H11成長率(%)
対H11(%)
0.0%
0.0%
0.0%
3.6%
0.0%
1.4%
2.7%
輸入販売
専業修理
販売業
賃貸業
業
業
0
2,092
10
31
0
2,175
24
31
6
5,252
81
84
16
8,923
73
136
4
4,703
52
73
26
23,145
240
355
1,270 306,947
17,954
3,852
(資料)厚生労働省医政局編『薬事工業生産動態統計年報』(平成 12 年版)より作成。
(3)福祉機器の市場性・成長性
福祉用具の研究開発及び普及を促進するため、平成 5 年に交付された「福祉用具の研究開発及び
普及の促進に関する法律」(福祉用具法)によると、福祉用具とは「心身の機能が低下し日常生活
を営むのに支障のある老人又は心身障害者の日常生活上の便宜を図るための用具及びこれらの者
の機能訓練のための用具並びに補装具」となっている。福祉用具の中には機械部分をもつ製品も多
く、本調査では便宜的に「福祉用具」に含まれる機械製品を「福祉機器」と考える。
福祉用具は昭和 24 年に成立した身体障害者福祉法により、補装具給付制度が設けられ、給付と
いう形態により、これまで流通してきた。
近年では、平成 12 年よりスタートした介護保険制度において福祉用具貸与は、要支援、要介護
度別に定められた支給限度額の範囲において、訪問介護等他の居宅サービスと組み合わせて行われ
ており、福祉機器のレンタル市場や在宅用機器の市場といった分野が考えられるようになった。
平成 12 年まで福祉機器の流通は公的給付制度が主流であったため、民間市場での小売価格、公
的給付における価格、施設向けの価格という 3 つの価格があるといわれてきた。特に公的給付では
−11−
地方自治体等が設けるガイドラインの基準価格が上限となり、価格が硬直化していたため、福祉機
器市場の拡大に対する期待も薄かった。
福祉機器(狭義の福祉用具)の市場について、経済産業省の推計では平成 12 年度に 1 兆 1389 億
円になると考えられている。品目別にみると 1,000 億円を超える市場をもつ機器としては、眼鏡等
(2,606 億円)、温水洗浄便器(1,137 億円)、かつら(1,079 億円)、家庭用治療器(1,071 億円)
であり、家庭用治療器等はITを活かせる分野である。また、ITと関連の深いコミュニケーショ
ン機器のその他の分野は 95 億円となっており、社会施設用機器システムでは 77 億円の市場が見込
まれていること等からも、ITの有効性の高い福祉機器市場は 1,000 億円程度あると考えられる。
福祉機器市場の成長(H5-H12)
(億円)
12,000
10,000
8,000
11,425
11,389
10,690
9,428 10,409
7,731
8,047
H5
H6
8,641
6,000
4,000
2,000
0
H7
H8
H9
H10
H11
H12
年度
市場規模・市場の成長性からみた場合、次にあげる分野はターゲットとなる福祉機器であると考
えられる。福祉機器は、アイデア次第でITを機器制御面に活用することができる機器が多く、コ
ミュニケーション機器、建築住宅設備、その他福祉機器等を連携し、システム化する技術として用
いることが考えられる。
①市場規模の大きな機器
家庭用治療器
②市場規模がある程度あり市場の成長性が高い機器
福祉車両等
③市場規模は小さいが成長性の高い機器
福祉施設用機器システム、車いす用品、排泄関連機器、電動三(四)輪車
−12−
福祉機器の分類
福祉機器
移動機器
車いす、電動三輪車・四輪車、介助車、杖、歩行器・歩行補助車、
ストレッチャー、リフト、自動車運転補助装置等
ベッド用品
ベッド、マットレス等
入浴用品
浴槽等
トイレ・おむつ用品
ポータブルトイレ、便器・便座、おむつ等
日常生活用品
いす、テーブル、キッチン、食器、調理器、着脱衣補助機器等
コミュニケーション機器
補聴器、緊急通報・警報装置、OA 入力・操作補助機器、
拡大読書機器、福祉電話・FAX・携帯会話補助機器、誘導システム、ソフトウェア等
建築住宅設備
エレベーター、階段昇降機器等
施設用設備
洗濯機・乾燥機、消毒機、脱臭機、空気清浄機等
その他の機器
歩行等訓練機器、義肢・装具、リハビリ用機器
福祉用コンピューターシステム等
(資料)保健福祉広報協会カタログ、各種ホームページなどを基に作成。
福祉機器の市場性・成長性
成長性((H12:対H9伸び率)
200%
領域B(福祉施設用機器システム)
成長性(H12対H9伸び率)
1,600%
150%
福祉車両等
車いす用品
1,400%
その他
段差解消機
乗用車(座席シフト)
その他排泄関連
100%
椅子、座位保持装置
1,200%
1,000%
義肢・装具(狭義)
電動三(四)輪車
その他コミュニケーション機器
電動車いす
その他パーソナルケア関連
階段昇降機
50%
杖
ストーマ用品
補聴器
褥瘡予防用具
コンピューター関連機器・ソフト
領域C(社会参加支援機器など)
手動車いす
0%
ホームエレベータ入浴関連
手すり・握りバー
歩行器・歩行車
警報システム
リフト
シルバーカー
ポータブルトイレ
800%
600%
おむつ
その他在宅等介護関連分野
義歯
かつら
ベッド
温水洗浄便器
家庭用治療器
その他家具・建物等
400%
-50%
0
200
400
その他移動機器等
600
800
1,000
1,200
市場性(H12:億円)
200%
眼鏡等
0%
-200%
0
500
1,000
1,500
市場性(H12:億円)
−13−
2,000
2,500
3,000
福祉機器の市場規模
分 類
単位:億円
H5
H6
H7
H8
福 祉 用 具 (狭 義)
7,731
8,047
8,641
9,428
領 域 A
家庭用治療器
義肢・装具(広義)
義肢・装具(狭義)
かつら
義歯
パーソナルケア関連
おむつ
入浴関連
入浴用品
福祉施設用入浴装置
排泄関連
ポータブルトイレ
温水洗浄便器
ストーマ用品
その他排泄関連
その他
移動機器等
杖・歩行器
杖
歩行器・歩行車
シルバーカー
車いす
手動車いす
電動車いす
電動三(四)輪車
車いす用品
福祉車両等
乗用車(座席シフト)
その他
リフト
その他
家具・建物等
ベッド
ホームエレベータ
その他
椅子、座位保持装置
階段昇降機
(斜行型)
(いす式階段昇降機)
段差解消機
手すり・握りバー
その他
コミュニケーション機器
眼鏡等
補聴器
その他
コンピューター関連機器・ソフト
警報システム
その他
在宅等介護関連分野・その他
褥瘡予防用具
その他
その他
領域B(福祉施設用機器システム)
領域C(社会参加支援機器など)
7,697
1,021
1,415
296
543
480
1,416
256
103
901
156
304
17
175
72
40
400
270
60
70
2,697
2,521
156
20
414
30
18
16
8,011
1,061
1,592
312
700
580
1,583
290
133
1,028
132
325
20
189
86
30
490
317
70
103
2,497
2,305
166
26
423
40
22
14
8,583
1,113
1,757
327
760
670
1,758
328
187
1,108
135
380
27
225
108
2
19
608
414
91
103
2,489
2,283
173
33
428
50
27
31
9,375
1,236
1,829
343
636
650
2,013
445
218
1,252
1,152
98
505
34
257
183
9
21
765
470
130
165
2,538
2,293
193
52
438
51
30
23
(資料)http://www.fukushiyogu.com/sangyo1_4.htm(2002.10.21)
−14−
H9
H10
H11
H12
H12/H11
10,409
10,690
11,425
11,389
99.7%
10,342
1,327
1,958
342
916
700
2,319
612
208
1,355
25
1,244
69
17
144
594
55
12
12
31
270
193
17
46
14
241
17
28
23
5
857
474
134
249
18
41
7
79
105
2,826
2,534
209
83
10
45
28
441
54
387
20
31
36
10,601
1,320
2,001
339
1,023
639
2,233
746
217
90
127
1,164
26
1,024
77
37
106
678
59
15
13
31
281
193
18
49
21
311
122
27
23
4
844
442
120
282
24
43
9
34
13
92
110
3,050
2,730
223
97
10
41
46
437
53
384
38
41
48
11,344
1,279
2,161
343
1,046
772
2,538
855
242
105
137
1,288
26
1,110
84
58
153
1,004
60
14
12
34
325
229
19
54
23
592
181
27
24
3
931
565
133
233
24
43
11
32
14
95
57
2,900
2,568
245
87
11
43
33
488
62
426
43
44
37
11,268
1,071
2,271
347
1,079
845
2,539
860
231
107
124
1,285
25
1,137
89
34
163
997
58
15
12
31
331
214
21
72
24
582
249
26
23
3
906
533
131
242
29
53
14
39
11
77
72
2,959
2,606
258
95
11
47
37
491
72
419
34
77
44
99.3%
83.7%
105.1%
101.2%
103.2%
109.5%
100.0%
100.6%
95.5%
101.9%
90.5%
99.8%
96.2%
102.4%
106.0%
58.6%
106.5%
99.3%
96.7%
107.1%
100.0%
91.2%
101.8%
93.4%
110.5%
133.3%
104.3%
98.3%
137.6%
96.3%
95.8%
100.0%
97.3%
94.3%
98.5%
103.9%
120.8%
123.3%
127.3%
121.9%
78.6%
81.1%
126.3%
102.0%
101.5%
105.3%
109.2%
100.0%
109.3%
112.1%
100.6%
116.1%
98.4%
79.1%
175.0%
118.9%
(4)福祉機器の流通形態
介護保険制度が始まるまで、福祉機器の主な流通形態であった公的交付対象の福祉機器について、
その市場規模を身体障害者・身体障害児童の補装具交付の面からみると、平成 12 年の全国での公
費負担額、自己負担額の総額は 305 億円となっている。中国地方では 12 億円であり、収尿器、座
位保持いすの割合が全国の 7%を越えており、相対的に高くなっている。
身体障害者・身体障害児童の補装具交付(平成 12 年)
補装具
全国件数 金額(百万円)
金額計(百万円)
−
305,633
件数計
1,089,382
−
義手
2,348
3,173
義肢
義足
7,723
23,969
下肢
35,361
29,976
靴型
11,049
8,849
装具
体幹
1,508
952
上肢
746
477
普通型
5,053
10,621
座位保持装置
その他
2,838
7,366
盲人用安全つえ
7,536
306
義眼
1,516
824
色めがね
354
42
矯正眼鏡
1,958
469
眼鏡
遮光眼鏡
1,437
471
コンタクトレンズ
324
49
弱視眼鏡
563
140
点字器
945
91
標準型箱形
7,116
2,639
標準型耳掛形
12,759
6,155
高度難聴用箱形
4,352
2,590
補聴器
高度難聴用耳掛形
14,660
11,850
挿耳型(レディメイド)
121
92
挿耳型(オーダーメイド)
1,728
2,404
耳導型
153
161
笛式
43
3
人工喉頭
電動式
1,923
1,387
普通型
27,602
38,031
車いす
その他
14,410
22,229
電動車いす
3,629
15,774
座位保持いす
788
244
起立保持具
757
208
歩行器
2,788
990
頭部保護帽
2,203
332
頭部保持具
176
13
排便補助具
37
3
収尿器
1,511
122
ストマ用装具
850,999
87,911
歩行補助つえ
11,805
801
その他
48,563
23,918
中国地域 対全国割合
12,133
4.0%
50,056
4.6%
140
6.0%
382
4.9%
1,039
2.9%
132
1.2%
54
3.6%
18
2.4%
245
4.8%
138
4.9%
280
3.7%
79
5.2%
18
5.1%
103
5.3%
64
4.5%
18
5.6%
24
4.3%
30
3.2%
321
4.5%
593
4.6%
247
5.7%
642
4.4%
6
5.0%
53
3.1%
10
6.5%
0
0.0%
109
5.7%
1,048
3.8%
544
3.8%
171
4.7%
59
7.5%
10
1.3%
144
5.2%
75
3.4%
3
1.7%
2
5.4%
115
7.6%
42,111
4.9%
468
4.0%
561
1.2%
鳥取県
1,431
5,985
13
31
91
16
5
1
30
16
28
11
3
9
7
4
1
1
39
91
20
54
0
1
0
0
8
150
58
26
10
2
18
10
0
1
6
5,182
37
5
島根県
2,048
8,707
15
40
176
12
9
6
40
25
30
11
2
23
17
3
4
2
74
177
48
127
1
18
3
0
24
155
68
48
4
0
17
7
0
0
32
7,389
77
23
(注)座位保持いす、起立保持具、頭部保持具、排便補助具は身体障害者児童のみの項目
(資料)厚生労働大臣官房統計情報部『平成 12 年度 社会福祉行政業務報告(福祉行政報告例)』
公的介護保険制度の対象品目
購入費支給品目
レンタル品目
住宅改修費
支給対象となる改修
腰掛便座
特殊尿器
入浴補助用具
簡易浴槽
移動用リフトのつり具の部分
車いす
車いす付属品
特殊寝台
特殊寝台付属品
褥瘡予防道具
体位変換器
手すり
スロープ
歩行器
歩行補助つえ
痴呆性老人徘徊感知装置
移動用リフト
手すりの取付け
段差の解消
滑りの防止及び移動の円滑化等のための床又は通路面の材料の変更
引き戸等への扉の取替え
洋式便器等への便器の取替え
その他の前各号の住宅改修に附帯して必要となる住宅改修
(資料)(社)日本機械工業連合会『近畿地域の福祉機器産業の事業活動推進に関する調査』
−15−
岡山県
2,729
11,233
45
89
308
15
14
2
59
46
55
12
3
14
17
2
8
2
53
115
44
138
0
13
1
0
29
258
89
29
0
4
28
22
0
1
30
9,320
138
230
広島県
2,634
12,496
28
94
105
10
2
0
53
24
71
33
7
30
13
4
6
13
70
34
62
85
0
7
2
0
25
204
176
34
0
1
15
11
0
0
19
11,094
66
98
山口県
3,292
11,635
39
128
359
79
24
9
63
27
96
12
3
27
10
5
5
12
85
176
73
238
5
14
4
0
23
281
153
34
45
3
66
25
3
0
28
9,126
150
205
2.医療・福祉機器の要素技術
(1)医療・福祉機器の技術開発の動向
a.医療機器産業技術戦略
平成 12 年 4 月に発表された国家産業技術戦略では、医療・福祉分野は情報や環境といった分野
と同様に重要な分野であると考えられ、日本での先端技術開発のための指針をまとめている。その
中で医療機器に今後、新たな付加価値をもたらし、市場を創造する技術として、情報(ネットワー
ク)技術、システム(統合化)技術、バイオテクノロジー、マイクロマシン技術(ナノテクノロジ
ー)があげられており、2010 年を目標として、こうした技術を使用して、医療の生活化・日常化、
低侵襲・無侵襲化、高度化を目指していくことが求められている。
品目ごとに細かく機器や技術についての動向をみると、医療の現場からは、ほとんどの機器、技
術に対して一層の利便性向上、技術発展を望む声がある。また、一方で技術トレンドを踏まえ、今
後の高付加価値が期待される機器、技術としては大きく次のようにまとめられている(「国家産業
技術戦略(一次とりまとめ)」)。
①DNAに関するバイオ技術
②人工臓器等に関する機器の生体適合化(生体適合性技術)
③個別の機器をシステム化した手術・治療システム
④在宅医療を念頭に置いた医療現場機器、技術の簡易化・小型化
⑤遠隔医療システム、生活活動モニタシステム等の情報技術を利用した支援システム
このように、今後の医療・福祉機器にとってITが最も活かせる分野はシステム化の分野である
と考えられる。
b.医療機器長期開発プロジェクト
経済技術総合研究所(旧通商産業省工業技術院)では平成 7 年度より、医療福祉機器に関する長
期的な研究開発プロジェクトとして次の 6 つのプロジェクトを推進した。
①血液等微量採取/微量分析システム開発プロジェクト
②高精度三次元画像診断システム開発プロジェクト
③低侵襲手術支援システム開発プロジェクト
④人工臓器総合開発プロジェクト
⑤ヒューマンフレンドリー介護支援知能機器開発プロジェクト
⑥在宅福祉機器システム開発プロジェクト
このうち在宅福祉機器システム開発プロジェクトは日本各地のウェルフェアテクノハウスにお
ける実証研究にゆだねられ、調査では①から⑤のプロジェクトでの技術発展の方向性が検討されて
いる。
−16−
医療機器長期開発プロジェクトでの要素技術
プロジェクト
技術分類
現在(H6)の基本技術
バイオセンシング技術
光センシング技術
血液化学成分センシング技術
センシング技術
血液等微量採取/
微量分析システム
分析技術
その他
無侵襲三次元
リアルタイム画像
撮影技術
高精度三次元
画像診断システム
低侵襲手術
支援システム
人工臓器
RNAをDNAに変換する
逆転写酵素の活性を分析する技術
モノクロナール抗体の開発技術
微量サンプリング装置
表面プラズモン顕微鏡
マイクロマシン技術
三次元計測技術
高速信号処理技術
高速画像再構成技術
高速三次元表示技術
高速計測技術
IVR対応診断技術
術中計測対応技術
衛生保持技術
セキュリティ保護技術
個人病歴管理技術 高速データ検索技術
マイクロマシン技術
光化学反応技術
レーザー技術
治療器技術
超音波技術
局所放射線治療技術
ナビゲーション技術
三次元画像構成技術
立体視技術
オペレーション技術 立体撮影技術
内視鏡手術支援技術
マニュピュレーター技術
アクチュエーター技術
生体適合性技術
マイクロマシン技術
バッテリー
−
センシング技術
バイオ
アクチュエーター技術
ヒューマン
フレンドリー
介護支援機器
−
−
発展が期待される技術
高感度検出技術
高精度微量分取・送液技術
高精度希釈技術
マイクロマシン技術
ハンドリング技術
半導体微細加工技術
液滴形成技術
分取細胞捕獲技術
分光計測技術
解析ソフトウェア
高感度検出技術
マイクロマシン技術
生体適合性技術
光信号光源・検出技術
多層コーティング技術
生体適合性技術
表示技術
高速信号処理技術
無侵襲センサ技術
信号処理技術
画像処理分野での
パターン認識・照合システム
自動解析システム
既存技術の発展
既存技術の発展
マイクロマシン技術
センシング技術
機器制御技術
フィードバック技術
画像処理技術
通信技術
既存技術の発展
センシング技術
人工知能
音声・画像認識技術
アクチュエーター技術
画像伝達技術
自動解析診断技術
低コスト生産技術
(資料)(社)日本機械工業会・技術研究組合 医療福祉機器研究所『平成 6 年度
医療機器の研究開発に関する調査研究報告書』
医療分野における省力化/低コスト化を図るための
低侵襲手術支援システムの現状と方向性
要素技術
治療器技術
現状
2010年
体外からの照射
血管内での照射
深部臓器内での照射
レーザーメス
自動式動脈内レーザー手術技術
レーザー技術
高出力短波長半導体レーザー
結石破砕装置
光音響科学的癌治療装置
超音波技術
超音波ホットナイフ
癌治療用ハイパーサーミア
光化学反応技術
光化学反応癌診断・治療手動装置 光化学反応癌診断・治療自動装置
局所放射線治療技術 治療用ポータブル放射線発生装置
本体体外設置型
微細血管サイズ
操作機器技術
マニュピレータ技術
アクチュエータ技術
小型非磁性アクチュエータ
高解像度画像・三次元画像
画像系後術
計測技術
関連画像技術
ナビゲーション技術
インターフェイス技術
表示技術
内視鏡技術
オープンMRI
視覚によるインターフェイス
精密定位技術
臓器運動・変形対応技術
超小型位置・姿勢計測デバイス
三次元表示
画像加工技術・画像送信技術
各種画像合成
小型化
血管への体内アプローチ
遠隔制御技術
三次元機能表示
リアルタイム三次元画像
高精度・高速計測
手術進捗状況監視装置
視覚と触覚によるインターフェイス
視覚・触覚フィードバックナビゲーション
高画質化・操作性向上・マイクロ化
内視鏡下内手術
自動挿入式・自走式内視鏡
内視鏡下内手術機器
内視鏡技術
三次元画像による患部臓器特定
手術計画・シミュレーション技術
管腔臓器への体内アプローチ
力感覚・感触センシング技術
多自由度・多感説
血管内操作型
超小型アクチュエータ
2020年
微細血管・神経の治療
遠隔操作による治療
自律的ナビゲーション
手術支援システム
内視鏡下マイクロ手術支援ナビゲーション
手術シミュレーション
機能表示三次元画像による患部位置精密特定 最適手術法の自動決定
仮想現実下インターラクティブシミュレーション
(資料)(社)日本機械工業会・技術研究組合 医療福祉機器研究所『平成 6 年度 医療分野における省力化/低コスト化を図るための
医療機器の研究開発に関する調査研究報告書』、『医療機器システム白書』、学会発表等を基に作成。
−17−
c.福祉機器開発プロジェクト
経済産業省では平成 2 年 6 月に「高齢者・障害者等情報処理機器アクセシビリティ指針」公表し
た。平成 7 年、12 年にこの指針は改訂され、メーカーに対する製品開発を促している。また、現在、
ITの開発・普及事業として「ITバリアフリープロジェクト(H12∼H14)」が進められており、各
種福祉機器をITにより連携させ、健康情報管理サービスを行うヘルスインフォマティクス産業の
創出が図られている。このように現在、センシング技術、マイクロマシン技術を活かした福祉機器
開発が盛んに行われている。
ITによるバリアフリー効果
フィジ ュカ ルバリ アフリ ー
新しい
医療・福祉機器
IT利用
医 療 ・ 福 祉機 器
機能拡張
↓
製品付加価値
コミュ ニケ ーショ ンバリ アフ リー
参加
参加
円 滑な 情 報交 換 →参 加 型社 会
参加
参加
サービス事業
(資料)新谷文夫・高村茂編著『ITバリアフリーのすべて』
各医療・福祉機器開発のプロジェクトに共通する要素技術としては以下のものがあげられる。こ
うした要素技術は今日の先端医療・福祉機器でも更なる発展が望まれている技術である。
①生体適合性技術
②センシング技術
③高速画像処理、データ処理技術
④三次元画像再構成、表示技術
⑤高速データ通信技術
⑥アクチュエータ技術
⑦マイクロマシン技術
−18−
(2)医療・福祉機器の要素技術
福祉分野も含めたME(医用生体工学)の領域について、既存資料によると、以下の表のように示
されている。
MEの領域
・医用計測
生体検査
検体検査
環境検査
1.循環系
心電計
心臓血管血液・ 心音計
リンパ
血流計
血圧計
プレチスモグラフ
超音波診断装置
血球計数器
2.呼吸系
呼吸系(スパイロ
メータ)
オキシメータ
A
ガス分析機
3.消化系
内視鏡
循
医用カプセル
環
4.泌尿系
浸透圧計
系
膀胱鏡
5.内分泌系
6.神経系
熱像カメラ
脳波計
眼振計
7.運動系
筋電計
・医用情報
処理・記録
心電図自動診断体
表面心電図
X線写真画像処理
・生体モデル工学
シュミレーション
・生体作用工学
・生体代行
人工臓器
補綴
ロボット
循環系の解析心音シュミレータ 心臓ペースメーカ 補助循環
高圧酸素量法
人工心臓
除細動器
人工弁
人工血管
人工血液
呼吸音シュミレータ
ガス交換モデル
X線テレビ
歩行解析
1.地域医療
麻酔濃度計
患者モニタ
超音波胎児心音
計・陣痛計
分娩モニタ
人工肺
ガス透過膜
人工えら
レスピレータ
胆石破壊
人工肝臓
吸着財
固定酸素
透過膜
吸着財
麻酔訓練用シュミレータ
歯用接着剤
歯石除去器
滅菌器
蘇生術訓練用
患者ロボット
拍動ポンプ
生物電池
移植腎登録システム
パーセプトロン
人工音声
文字読取機
リハビリテーショ マニプレータ
ン訓練
軟体機械
手術の安全
麻酔の安全
胎児への安全
義歯
薬剤処方器
病院自動化・ICU
健康機器
救急医療システム
僻地医療
遠隔医療
建築・配管
薬剤情報
防疫
病院工学技師
健康教育 健康化学
テレメータ
環境モニタ表示
5.動植物学
・ME 教育工学 ・生物工学バイオニクス
気象医学予知システ
ム
身障者用インター 車椅子
フェイス
義肢
人工骨・関節
人工子宮
人工卵管
電気メス
レーザメス
凍結手術
保育器
問診器
自動細胞診断装置
自動化学分析装置 細菌コロニー検査器
画像伝送
医療需要予測モデル
ファクシミリ
C
2.スポーツ医学
そ
3.人間工学
の
4.産業医学
環境測定
他
・医用安全工学
人工膵臓
低周波治療器
補聴器
麻痺肢刺激装置 人工眼
神経モデル
8.生殖系
1.外科
手術
B 麻酔
2.産婦人科
診
療 3.歯科
系
4.病院
・医用システム工学
抗血栓性材料メカ 心電図伝送システム ミクロショック
ノケミカル系
輸血血液備蓄システ マクロショック
ム
酸素テント
膀胱ペースメーカ 人工腎臓
脳波周波数解析
・医用材料
金属・無機・有
機・複合
職場システム
バイオテレメータ
植物栽培工場
バイオプラスチック エコロジー
安全教育
災害防止
健康教育
バイオセンサ冷発光
(資料) (社)日本エムイー学会 ME 技術教育委員会監修『ME の基礎知識と安全管理』
MEの領域及び前述の各医療・福祉機器開発のプロジェクトに共通する要素技術を踏まえて要素
技術を俯瞰すると、次の図のようになる。IT(情報技術)は全ての社会的ニーズに関連する技術
であると考えられる。これらの要素技術を念頭に置き、中国地域でのITとME(医療工学)の融
合によるインテリジェント・メディカルインダストリーの創出可能性について検討していく。
医療・福祉機器の要素技術
Devices
社会的ニーズ
予防・健康増進
材料
要素・部品
バイオテクノロジー
Techniques
機器
システム
Concepts
情報
技術評価
社会適合
画像情報処理
材料技術
(含むバイオテクノロジー)
Ⅰ
診断
生体情報処理
治療
マイクロマシン
生体制御
機能代行補助
アクチュエータ
パワーソース
Ⅱ
自立支援
メカトロニクス・
制御技術
移動制御
介護支援
Ⅲ 生活支援
情報技術
メカトロニクス
ヒューマン
インターフェイス
環境制御
家屋設計
管理技術
生体情報
音声情報
画像情報
情報通信・管理
(資料) 高島征助教授(岡山大学)の図を基に作成
Ⅳ 社会活動支援
−19−
3.医療・福祉関連産業の技術ニーズ調査結果
(1)アンケート調査の概要
a.目的
中国地域において、
「医療・福祉機器等」の事業に取り組んでいる事業所の事業の高度化を目指し、
高度化や新規の機器開発等における技術のニーズを把握することを目的とする。
(注)本調査における「医療・福祉機器等」とは、医療機器・福祉用具、IT(情報技術)を活かしたITバリアフリー等、医
療・福祉の分野で利用されるソフトウェアや通信関連サービス等を含むものとし、広く考える。
b.調査実施時期
平成 14 年 12 月 4 日(水)∼12 月 18 日(水)
c.調査対象と回収結果
中国地域において医療・福祉機器等の事業に現在取り組んでいる事業所及び同分野に進出可能性
が高いと思われる事業所、309 所を対象にアンケート調査を行った。
全体の 32.7%(101 所)の事業所からの回答が得られ、比較的高い回収率を得ることができた。
アンケート調査対象数と回収結果
県名
鳥取県
島根県
岡山県
広島県
山口県
総計
発送数
12
25
91
113
68
309
回収数
3
13
29
32
24
101
回収率
25.0%
52.0%
31.9%
28.3%
35.3%
32.7%
−20−
(2)回答事業所の概要
各事業所の主業についてみると、一般機械器具製造業が 18%で最も多く、ついで情報サービス業
が 12%、金属製品製造業が 8%となっている。その他の産業は医療・福祉機器製造を専業で行って
いる事業所である。
事業所形態としては 8 割を超える事業所が本所、本所、本店である。また事業所の従業員数をみ
ると 10 人以上 30 人未満が 40%で最も多く、ついで 50 人以上 100 人未満が 20%、5 人未満が 12%
となっており、全体の 6 割は従業員 30 人未満の事業所である。資本金についてみると 1,000 万円
以上 5,000 万円未満が 49%と約半数で最も多く、3 億円未満の事業所が全体の 8 割を超えている。
これより、事業所の多くは中小企業基本法における「中小企業」であることがわかる。
主業(n=100)
(%)
一般機械器具製造業
情報サービス業
金属製品製造業
電機機械器具製造業
その他の製造業
精密機械器具製造業
繊維工業
衣服・その他の繊維製
プラスチック製品製造業
輸送用機械器具製造業
化学工業
木材・木製品製造業
家具・装備品製造業
鉄鋼業
その他の産業
0
5
10
15
20
25
事業所形態(n=97)
30
18.0
12.0
支所・支社・支店
19.6%
8.0
7.0
7.0
6.0
本所・本社・本店
80.4%
3.0
3.0
3.0
3.0
2.0
1.0
1.0
1.0
25.0
研究員数(事業所・n=70)
従業員数(事業所・n=93)
50人以上
100人未満
20.4%
30人以上
50人未満
9.7%
100人以上
300人未満
8.6%
300人以上
1.1%
5人未満
11.8%
5人以上
10人未満
8.6%
10人以上
30人未満
8.7%
30人以上
50人未満
2.9%
5人以上
10人未満
14.5%
5人未満
69.5%
10人以上
30人未満
39.8%
資本金(n=100)
3億円以上
16.0%
300万円未満
2.0%
1億円以上
3億円未満
12.0%
5,000万円以上
1億円未満
7.0%
300万円以上
500万円未満
8.0%
500万円以上
1,000万円未満
6.0%
1,000万円以上
5,000万円未満
49.0%
−21−
50人以上
100人未満
4.4%
(3)医療・福祉機器等への取り組み
a.医療・福祉機器等への取り組み状況
現在の各事業所の医療・福祉機器等への取り組み状況をみると、既に医療・福祉分野で事業を行
っている事業所が 53%であり、事業化はしていないが具体的に計画・検討中であるといった進出意
欲をみせる事業所が 11%となっている。これより、1 割の事業所では近い将来、新規事業展開を行
うものと期待できる。
医療・福祉関連事業への取り組み(n=92)
事業化していない
し、具体的な計画
もないが、
関心はある
35.9%
事業化している
53.2%
事業化していない
が具体的に
計画・検討中
である
10.9%
b.医療・福祉機器等の内容
(a)特徴のある機器等
現在、医療・福祉機器等に取り組んでいる事業所に対して、機器等の具体的な新規性、独自性等
といった特徴を尋ねたところ、47 の事業所から 90 の医療・福祉機器等について特徴があげられた。
傾向として、全般的に次の点で機器等に新規性、独自性等の特徴がある。
①小型、携帯性優れている
②利用者にあわせた使用が出来る(オーダーメイド製品等)
③通常、他の用途に広く用いられる製品をカスタマイズし、医療・福祉機器等としている
−22−
(b)機器等の分類
機器等の分類についてみると、全般的に医療機器よりも福祉用具の範疇に含まれるものが多くな
っている。医療機器では施設用機器が 11%で最も多く、福祉用具では日常生活用品が 19%で最も
多い。このように、医療・福祉機器等では使用者の日々の生活に関わる機器等の需要が高いことが
うかがえる。今後、福祉用具等ではユニバーサルデザイン等の普及により、一層の市場規模の拡大
が期待できる。
機器等の分類(複数回答・n=73)
医療機器
福祉用具
(%)
施設用機器
家庭用医療機器
生体機能補助・代行機器
医用検体検査装置
衛生材料及び衛生製品
歯科材料
治療用又は手術用機器
画像診断システム
眼科用品
歯科用機器
処置用機器
生体現象計測・監視システム
画像診断用X線関連装置及び用具
鋼製器具
日常生活用品
移動用機器・用品
コミュニケーション関連製品
ベッド関連製品
入浴関連製品
建築住宅設備
トイレ・おむつ関連製品
福祉機器その他
0
5
10
6.8
5.5
5.5
4.1
2.7
2.7
1.4
1.4
1.4
0.0
0.0
0.0
0.0
5.5
15
20
11.0
12.3
11.0
9.6
15.1
15.1
19.2
12.3
(注)本質問での n とは回答のあった機器等の数であり、回答事業所数は 41 所である。
−23−
25
c.機器等に利用されている技術
(a)中核となる技術
特徴をもつ医療・福祉機器等に利用されている中核となる技術について尋ねたところ、41 の事業
所から 58 の機器等に関して中核となる技術があげられた。各機器ともに、使用する環境を想定し
機能に変更を加えてあり、各事業所が持つ独自の技術を活かして機器等が製造されている。
問3・機器等
歯科用咬合紙(歯および義歯の咬合わ
せを見る)
補助用具
段差解消機
車椅子に取り付ける段差解消補助装置
問4①・独自技術
オートマティックのシーケンスによる部分がない。ローテクの中の熟練を要する技術の製品と
考えられたい。
負荷荷重の移動を少なくすること
摩擦抵抗を少なくすること
車椅子の段差解消をする際に、水平な状態を維持する為に、水平制御装置を開発し、アクチュ
エーターと連結させている。
緊急通報センターシステム
緊急通報センターシステム:ライフケアを含めた緊急通報ソフト
糖尿病診断装置
液体クロマトグラフィーの専用装置(UV法)、分離カラムの優位性(イオン交換)
免疫診断装置
メカトロ技術
カテコールアミン分析装置
液体クロマトグラフィー専用装置(蛍光検出)
ウォルナットハープ
長調・短調各3和音にアレンジした曲が特徴。一般的な楽譜がなく色シートによる伴奏。
リハビリ機器
リハビリに音楽を導入した。電子ドラムからのデータがパソコン上でリハビリの成績が表示さ
れる
家庭用電位治療器
DC、DCコンバーター利用により直流低電圧から高圧の交流重畳直流を作り出している。
1本ビス止めブラケットの手すり
一本ビス止めブラケットの手すり。新しい技術はありませんが、ビスの形状・強度等のテスト
を行い、開発した。
コルクコーティング材を用いた手す コルクコーティング手すり・すのこ。コルクコーティングの方法等は、混合物も含めて、外部
り・すのこ類
の専門会社に開発を依頼した。
分割型すりつけスロープ
分割型手すり付スロープ。新しい技術はありませんが、形状の研究をした。
ベットマット・ふとん用の除菌乾燥機 蒸気式除菌乾燥技術:大気圧においての蒸気による除菌。活性炭により外部へニオイを出さな
い。
椅子式ダンボール製トイレ
・加重耐圧、400㎏以上のダンボール製組立式トイレ ・食添用殺菌剤と高分子吸水ポリ
マーの融合 ・おしりに負担のかからない簡単にふき取れる便座シート
携帯用トイレ
・加重耐圧100㎏以上の小型組立式ダンボールトイレ ・85gの軽さでどこでも持ち歩け
る
鼻炎治療器
静電放電回路
車椅子用姿勢(体幹)保持具(大人 ・各パーツが、背ベース部、L型パッド(体幹部)、L型パッド(腰部)で構成。背ベース部
用・小児用)
を先ずセット致し、利用者の症状、体型等に合わせて自由に調節可能。・L型パッドは、マ
ジックテープを一面に施し、背ベース部もマジックテープの役目をする特殊な素材を有してお
ります。
特殊入浴装置
機械的な構造に関わる技術:入浴時には搬送車の台車部が自動的に分離して浴槽下部に収納
し、退浴蒔には自動的にドッキングさせる。
全身用マッサージ器
メカトロニクス技術:患者の体形をセンシング∼メモリし、マッサージ時には体形と同一の軌
道になるようにマッサージ機構の移動動作を制御する。
介護用床づれ防止マット
抗菌繊維の紡出、立体織物
薬品管理庫
大きさの異なる薬品を確実に整列収納すると共に、収納効率を上げる。
カルテ管理システム
在庫管理を確実に行う。
人工乳房(乳がん術後用)
1人1人異なる体形を手作業によって、採型・修正加工しながら完成品にしている。
家庭用電気マッサージ器
肩位置検出装置:身長の異なる被施療者の肩位置を検出して、被施療者の指圧点を抽出し、希
望のマッサージコースにおいて適切な部位をマッサージする。
電子カルテシステム
スクリーンジェネレーター技術、プログラミング技術
地域医療情報システム
ネットワーキング技術、分散DB技術
レポーティングシステム
プログラミング技術
ALS患者用意思伝達支援ソフト
スキャンカーソル技術:1スイッチでの操作を可能にするカーソル制御方式
障害者・高齢者用インターネットソフ ホームページデータの解析:受信したホームページデータを解析し、1スイッチで操作できる
ト
形式に編集して画面に表示する。
介護スタッフ用ユニフォーム
施設という環境と、介護という仕事に合わせ、施設のイメージ作りと同時にそれぞれのシーン
に合わせたユニフォーム
高齢者用のレクリエーション遊具
遊びを通じて身体的機能維持を図るとともに「笑宇」ことによる感情の表現や心の健康を取り
戻すこと、また他者との競争によるモチベーションの向上など。
布団・マットレス等殺菌乾燥装置
1,乾燥技術 2,殺菌、消毒技術
測定機能付き自力運動訓練装置
脈拍測定技術:感知した人体の脈拍を測定し、脈拍の変動に合わせ、運動装置の負荷をコント
ロールする。
高工調整機能付連結手摺り
高さ調整機能付連結手摺り:端部が嵌入する受け部と該受部と直交している縦手摺りに同じピ
ンチでタップを切り、H型に取り付けることにより、ドライバー1本で高さ調節できる。
位置調節機能付可動手摺り(前だし 位置調節機能付前だし手摺り:必要とした時、壁と平行にある手摺りを回転させて取り出し、
式)
体の前面で持って立ち上がる。不要なときは回転させ、壁と平行にする。
位置調節機能付可動手摺り(はね上げ 位置調節機能付はね上げ式手摺り:狭い場所では、壁面までの巾がないので、前だし手摺りが
しき)
取り付け不可能になるが、この商品は直上に持ち上げるので、前面の広さが不要である。
歯科材料、歯科用機器関連製品
有機・無機複合材料技術:歯科材料開発の基幹技術である。
臨床検査試薬及び検査装置
1,臨床検査分析技術2,自動化制御技術:検査室の自動化のために、ハード&ソフト共自社開
発。
視力補正用眼鏡レンズ
レンズ重合成型技術:レンズモノマーをポリマーがする工程で型離れさせず、目的の重合度を
得る。
すべり止めマット
座位保持、すべり止め技術
歩行器
自立支援、転倒事故防止技術
点滴台
フル装備、歩行型点滴技術
−24−
(b)技術開発の経緯
各機器等の中核となる技術の開発経緯について尋ねたところ、6 割を超える機器等は自社単独で
開発されており、各事業所の主体性がうかがえる。また大学や公設試等との共同開発や医師、看護
婦、現場関係者との共同開発による技術もあわせて 4 割を超えており、産学官連携により中核とな
る技術の開発が行われた経過から、今後の医療・福祉機器開発にとっても幅広い連携が必要である
と考えられる。
技術開発の経緯(複数回答・n=70)
(%) 0
10
20
30
40
50
25.7
大学や公設試等との共同研究により開発
15.7
医師、看護婦等、現場関係者との共同開発
7.1
他社との共同開発
他社への委託開発
70
61.4
自社単独で開発
他社からの技術・製品の購入
60
5.7
1.4
(注)本質問での n とは回答のあった技術の数であり、回答事業所数は 42 所である。
(c)部品等の調達方法、外部委託企業の立地動向
機器等の中核を成す部品等の調達方法について尋ねたところ、内製化部分と他社で製造している
部分が併存する機器等が 4 割を越え、次いで外部企業で製造しているが 38%、自社で内製化してい
るが 21%となっている。また、外部企業等の立地地域をみると、県内が 46%と概ね半数に上って
おり、次いで中国地域 5 県の県外企業で製造している割合が 21%となっている。このように医療・
福祉機器等において概ね 8 割の機器等は企業間連携により製造されており、中国地域全体に亘って
企業間連携が行われている。
外部企業等の立地地域(複数回答・n=57)
部品等の調達方法(n=66)
内製化部分と他
社で製造している
部分が併存する
40.9%
自社で内製化して
いる
21.2%
(%)
0
10
30
19.3
17.5
7.0
東海地域
5.3
海外
東北地域
50
21.1
関東地域
外部企業で製造
している
37.9%
40
45.6
県内
中国地域5県(県外)
近畿地域
(注)本質問での n とは回答のあった技術の数であり、回答事業所
数は 41 所である。
20
3.5
北陸地域
1.8
九州・沖縄地域
1.8
(注)本質問での n とは回答のあった技術の数であり、回答事業
所数は 36 所である。
−25−
(4)医療・福祉機器等の高度化・新規開発への取り組み
a.高度化・新規開発への取り組み状況
医療・福祉機器等の高度化・新規開発への取り組み状況を尋ねたところ、現在取り組んでいる事
業所が 43%であり、具体的に計画・検討中である事業所とあわせると 5 割を越えている。各事業所
とも自社製品の高度化や新規事業展開への取り組みを活発に行っていることがわかる。
高度化・新規開発への取り組み(n=84)
関心がない
23.8%
現在、既に
取り組んでいる
42.9%
具体的な計画は
ないが、
関心はある
25.0%
事業化していない
が具体的に
計画・検討中
である
10.9%
−26−
b.新規導入・開発の検討対象技術
(a)新規導入・開発の検討対象技術
機器等の高度化や新規開発の際、他社からの導入や共同研究開発を検討している技術について尋
ねたところ、50 の事業所から 62 の技術があげられた。このうち具体的に内容が示されている技術
が 33 種類あげられていた。技術の内容から、全般的に機器等の制御、利便性の向上の面において
IT(情報技術)が重要な役割を果たすと考えられる。
新規導入・開発の検討対象技術
現在取り組んでいる事業
導入・開発を検討したい技術
関連技術
現在の装置は半自動化のもので、将来的には全自動化にしたも システム制御技術 動力
車椅子に取り付ける段差解消
のに変化させる為、下記の技術シーズを必要とする。(車椅子 (アクチュエーター)技術
補助装置
の自動先行可能経路システム導入)
ロボット技術
バイオテクノロジー 生体
適合性(材料)技術 クロー
マイクロアレイ用基板、培養骨用多孔体
ン技術 小型化(マイクロ
マシン)技術
センシングをシステム化する技術、独居及び障害のある高齢者
の安全確認をする為に家電製品の使用状況を電線ケーブルの磁
情報通信技術(IT) システ
緊急通報センターシステム
場からセンシングするシステム。これをWebのサーバーシステ
ム化技術 センシング技術
ムに取り込み加入者がインターネット及びiモード携帯電話で見
る。
1本ビス止めブラケットの手 障害者用自転車の試作テストをしている。量産型を制作したい
加工組立技術
すり
ができていない。
保湿性の高い材料 ・少しのショックや手を加える事により、
椅子式ダンボール製トイレ
一定の湿度の保てる素材-10∼0℃位を8時間位、+45∼6 生体適合性(材料)技術
0℃を8時間位
情報通信技術(IT) 画像処
センシング技術、信号処理技術 心身の状態を反映するセンシ
理技術 小型化(マイクロ
ングとして、種々な診断用機器があるが得られるデータに埋も
マシン)技術 計測技術 セ
れてしまっている微弱な信号を抽出する技術
ンシング技術
静音技術:防水シートを介して噴流を人体に噴出させる治療器
特殊入浴装置
その他
において、治療室内で使用出来るレベルに噴出音を抑えたい。
情報通信技術(IT) システ
センシング技術、判定技術、システム化技術、アンテナ技術: ム化技術 システム制御技
ベット又は布団での異状発生 リアルタイムセンシングの基本となるアンテナを改善して、セ 術 小型化(マイクロマシ
探知装置
ンシング技術を向上させ、判定システムをプログラムに反映さ ン)技術 周辺機器(デバイ
せるシステム
ス)技術 計測技術 センシ
ング技術
医事会計システム、電子カルテシステム:WEB技術による地域連 情報通信技術(IT)
薬品管理庫
収納物品のカウント技術
計測技術
実際に人工肛門など、医療用具の使用体験がある。患者さんか
人工乳房(乳がん術後用)
その他
らの意見聴取し、その声を反映できる制作システム作り
人の手に近い感じのマッサージ機構。遠隔操作を用いたマッ
情報通信技術(IT) 機器操
家庭用電気マッサージ器
サージ制御。体型や状態からプログラムを組み立てる制御。
作技術 センシング技術
バイオテクノロジー 画像
電子カルテシステム
生体認証
処理技術 センシング技術
情報通信技術(IT) 画像処
ALS患者用意思伝達支援ソフ
日本語OCR技術、音声認識・合成技術
理技術 加工組立技術 セ
ト
ンシング技術 その他
車いすの連結移動
システム化技術
情報通信技術(IT) システ
センシング技術、判定技術:人体への非接触あるいは排出物に
ム化技術 計測技術 セン
よる生理データ収集、蓄積による判定
シング技術
情報通信技術(IT) 画像処
理技術 システム化技術
システム制御技術 加工組
手(KB、マウス)以外のコンピュータI/F
立技術 動力(アクチュ
エーター)技術 ロボット
技術
測定機能付き自力運動訓練装
システム化技術 システム
センシング技術:運動装置の負荷を計測するためのセンサー
置
制御技術 計測技術
高工調整機能付連結手摺り
手摺りのコーティング
その他
歯科材料、歯科用機器関連製 生体適合性材料
生体適合性(材料)技術
画像処理技術 小型化(マ
歯科材料、歯科用機器関連製
画像処理技術、マイクロデバイス化技術、ロボット技術
イクロマシン)技術 ロ
品
ボット技術
情報通信技術(IT) 画像処
医療情報データベース、医療機器データベース、福祉GIS
理技術 その他
リフト付車椅子
構造の簡素化
加工組立技術
A・D・Lに対応した形態認識を画像化し、デザインをする。(身
パンツ
画像処理技術 計測技術
障者・高齢者の体型把握に必要)
ベッド用マットレス
ポリエチレン発泡材で、シート状(連通気泡)の開発中
生体適合性(材料)技術
体位分散マット(床ずれ予防マット)でポリエチレン発泡材で
ベッド用マットレス
生体適合性(材料)技術
商品開発中
センシング技術、判定技術:「独居高齢者の生活状況遠隔モニ
タリング」というテーマで独居高齢者宅の各部屋に設置した赤
外線センサで検知した被験者の歩行や体同に関する情報から、 計測技術 センシング技術
健康状態を推測する。当社では、解析手法にDPマッチング手法
を取り入れたプログラムを担当。
機器操作技術 動力(アク
電動車椅子・三輪車・四輪車における操作性の向上
チュエーター)技術
−27−
(b)技術の分類
導入・開発を検討したい技術を技術分野別にみると、情報通信技術が 30%となっており、次いで
計測技術が 23%、システム化技術、センシング技術がともに 21%となっており、これからの医療・
福祉機器等の開発においては、情報をどのように機器等の運用に反映させるかがポイントとなると
考えられる。その他の技術としてはデザインやデータベース技術等があげられている。
導入・開発を検討したい技術(複数回答・n=56)
(%)
情報通信技術(IT)
計測技術
システム化技術
センシング技術
システム制御技術
画像処理技術
ロボット技術
加工組立技術
バイオテクノロジー
生体適合性(材料)技術
機器操作技術
動力(アクチュエーター)
周辺機器(デバイス)技術
小型化(マイクロマシン)
クローン技術
放射線技術
その他
0
5
10
15
20
25
30
35
30.4
23.2
21.4
21.4
17.9
16.1
16.1
12.5
10.7
10.7
10.7
10.7
8.9
7.1
1.8
0.0
19.6
(注)本質問での n とは回答のあった技術の数であり、回答事業所数は 48 所である。
(5)産学官連携について
a.技術開発における産学官連携の意向
全ての事業所に対して、今後の産学官連携、企業間連携による技術開発への意向を尋ねたところ、
大学との共同研究を積極的に検討したいと考えている事業所が 57%と半数を超え、最も多く、次い
で地方自治体の公設試等の支援を活用することを検討したいとする事業所が 43%、他社との共同研
究を検討したいとする事業所が 40%となっている。
あわせて産学官連携の場への参加意向を尋ねたところ、機会があれば参加したいとする事業所が
8 割を超えており、提案を希望するプロジェクトテーマを持ち、積極的に参加したいとする事業所
も 2%(1 所)ある。
このように産学官連携、企業間連携による共同開発を望む事業所は 4 割以上に達し、今後の医療・
福祉産業の振興にあたって、共同研究等、多くの連携の場を創出することが、新たな技術開発の実
現につながっていくと思われる。
産学官連携、企業間連携による技術開発(複数回答・n=60)
(%)
0
10
20
30
40
50
56.7
大学との共同研究や委託研究を積極的に検討したい
43.3
地方自治体等の公設試の支援を積極的に検討したい
40.0
他企業との共同研究を検討したい
26.7
自社の研究開発部門単独で挿入・開発を進めたい
13.3
他企業からの技術の購入を検討したい
11.7
他企業への委託開発を検討したい
外部からの研究者招聘により、
自社の研究開発部門で導入・開発を進めたい
その他
60
8.3
10.0
−28−
産学官連携の場への参加(n=57)
関心がない
17.5%
積極的に参加し
たいと思うし、
提案したい
プロジェクト
テーマがある
1.8%
機会があれば
参加したい
80.7%
c.関心のあるテーマ
産学官連携の場に機会があれば参加したいとする事業所に対して、関心のあるテーマを訪ねたと
ころ、具体的に 33 のテーマがあげられた。全般的にセンシング技術に関連するテーマや、バリア
フリーに関連した、住宅、施設等に関するテーマが多くあげられている。
企業所在県名
鳥取県
島根県
島根県
島根県
岡山県
岡山県
岡山県
岡山県
岡山県
岡山県
岡山県
岡山県
岡山県
岡山県
岡山県
岡山県
広島県
広島県
広島県
広島県
広島県
広島県
広島県
広島県
山口県
山口県
山口県
山口県
山口県
山口県
山口県
山口県
−
問9・関心のあるテーマ
健康状態を定量的に測定すること。マッサージの効能効果を 目で見てわかるようにすること。
福祉の和室での移動の容易
介護用ロボットに関心はある。
医療分野における高精度加工の応用
医療情報システム
医療計画を地域内医療機関が共同で立案し、その計画に基づいた医療を実施する。医療計画を
地域で第三者が認定することにより、医療情報への活用を図ること。健康づくりに関するこ
と。
「遊び」という要素の中で生まれるメンタル的な機能維持。理学療法的側面からの遊具開発。
じょくそう防止のための衣料品の開発
ユニバーサルデザインで、企業で使用する機器、電気、油圧、空圧、電子制御などの技術を必
要とするテーマ
センサー技術に関して興味がある。
要介護者、高齢者の家族や地域住民が連携しての本人に対する生きがいづくりや、周りの人々
に対する活動を支援できる地域情報化システムの構築。ボランティア団体、NPO,自治体との連
携実現等。
福祉関連機器、介護機器全般
障害者・高齢者の移動支援装置、高齢者の遠隔モニタリング装置
プロダクトデザイン
・再生医療・バリアフリー
医療生活空間生活整備
施設内での感染対策
介護、福祉に関連したユニバーサル商品の開発
予防分野(心身共)
・埋もれた信号の抽出技術 ・小型/低コストのハード製品化
コンピュータを利用した福祉用具。介護または生活支援用ロボット
医療情報、福祉GIS
介護衣服、介護機器、創作、サポート
高齢者等用の住宅設備・器機
情報処理関連(ネットワーク、データベース等の利用技術)
コンビナトリアルサミストリー、M−TAS、Lab,On a Chip
Webサーバーの構築
独居老人、在宅看護システム等。
紙オムツに関する素材情報
1,低浸襲の医療器具の開発 2,DNAの検査装置
1,車いすの連結制御装置 2,入浴、洗髪の自動化 3,車いすの自動運転
PT、OT関連(リハビリ、機能障害支援)、センサ(体液)
障害のある方の職業訓練(パソコン等)
新エネルギー、自然エネルギーの高度利用技術開発
−29−
d.提案したいテーマ
積極的に提案したいテーマについて尋ねたところ、7 社から日常生活用品のユニバーサル化やリ
ハビリ機器等のテーマがあげられた。
企業所在県名
鳥取県
岡山県
広島県
広島県
山口県
山口県
山口県
山口県
問9・関心のあるテーマ
-
問10・積極的に提案したいプロジェクトテーマ
弊社開発の呼気分析用ガス質量分析計の応用展開
(今すぐにはできませんが)無菌水の段階的定量加湿器の施設内
空調への応用について∼施設内インフルエンザ感染の予防∼
一般の人にも高齢者にも、又、障害を持つ人にもやさしく便利の
良い、日常生活便利グッズの開発
介護衣服(自立支援衣服・用品)ユニバーサルファッションの中
での自立支援衣服
携帯電話によるパケット通信でセンシングデータをWebサーバーに
取り組む。
施設内での感染対策
介護、福祉に関連したユニバー
サル商品の開発
介護衣服、介護機器、創作、サ
ポート
Webサーバーの構築
1,車いすの連結制御装置 2,入
浴、洗髪の自動化 3,車いすの
自動運転
PT、OT関連(リハビリ、機能障害
支援)、センサ(体液)
障害のある方の職業訓練(パソ
コン等)
1,車いすの連結制御装置 2,入浴、洗髪の自動化 3,車いすの自
動運転
PT、OT関連(リハビリ、機能障害支援)、センサ(体液)
障害のある方の自立と職業訓練
(6)機器等の高度化・新規開発における問題点・要望
a.高度化・新規開発における問題点
医療・福祉機器等の高度化・新規開発において、難しいと考えられる事項について評価してもら
ったところ、多くの事業所が難しいと感じている項目は、機器等の薬事法の認可取得や JIS 規格へ
の適合であり、難しさを感じている事業所は 5 割に達している。またこの他、新規市場開拓の難し
さ、医療・福祉現場からのニーズの把握について、多少とも難しさを感じている事業所はともに 66%
となっており、今後、機器等の製造に至るまでの手続き上の簡素化や生産者と使用者の間のネット
ワークの構築が課題であると考えられる。
高度化・新規開発における問題点
0%
①類似特許等、特許に関する
情報収集が難しい(n=77)
10%
20%
30%
31.2
40%
50%
60%
27.3
70%
80%
20.8
②自社独自の特許として成立するか
どうかの判断が難しい(n=75)
38.7
21.3
21.3
③薬事法等が規定する認可の必要な
機器かどうかの判断が難しい(n=69)
39.1
20.3
23.2
④薬事法の認可、JIS規格の承認等、
手続きが困難である(n=72)
⑤医療・福祉の現場では、従来から取引のある
企業の製品が圧倒的な競争力をもつ傾向にあり、
新規市場開拓が難しい(n=77)
15.3
50.0
40.3
26.0
⑥新規参入企業にとって、医療・福祉の現場の
ニーズを把握する機会・窓口が少ない(n=77)
37.7
28.6
⑦試作品の評価を行う医療・福祉の
現場へのアプローチが難しい(n=78)
38.5
25.6
そう
思う
どちらかといえば
そう思う
−30−
どちらとも
いえない
90% 100%
11.7
9.1
8.0
10.7
8.7
26.4
2.8 5.6
22.1
2.6 9.1
18.2
16.7
8.7
6.5 9.1
10.3
どちらかといえば
そうは思わない
9.0
そうは
思わない
医療・福祉の世界で大きい間違いは、毎年毎年費用UPが余りにも多く、金は人のものだという
考え方が強い様に思う。その為に毎年費用UPがある。これを押え効果UPを図る考え方が薄
い。もっと効果UPし、費用全体を削減する考え方が肝要ではないか。この様な調査も無駄にな
らぬ様に。
特に、福祉機器関係は、もっと単価を低くすべきである。開発はされ、販売はされているけれ
ど、購入がむつかしいのはこの点に原因があると思う。状況次第では、いくらかの補助金制度を
限られた品目だけでなく全体的に検討してもらいたい。
医療・福祉等については、数年前に当社でも事業化の可能性を検討したことがありましたが、こ
れまで行ってきた事業の技術との接点がなく、また個人ユーザーの安全性など思いの外、難しい
問題が山積されており、市場への参入をとりやめた経緯があります。
近い分野であれば教えていただきたい。(予防分野)
福祉関係のルートに販売し度いので、それを指示、指導して貰い度い。
医療であれば、病院の規模に応じた診断・治療における現実的ニーズを公的な第3者機関の立場
から調査して欲しい。医師や診療料や規模によって、ニーズにバラツキが大きすぎて事業化の
ターゲットを絞りにくいのが現状です。
発想を具体化する原資の調達が困難。
できるだけ独自性を持った製品の開発に努力してゆきたい。
褥瘡予防マット、または、普通のベットマットで体重が測定できるもの。パソコンなどを通し
て、介護・医療・福祉を相談→回答・アドバイスしてもらえるシステム作り。本人好み、疾患
名、一般状態を入力すれば、食事メニュー・調理方法がわかるもの。
医療の閉鎖性を打破する仕組みが必要。(無限責任の有限化)
デジタルデバイドの解消等コンピュータを利用した福祉用具の開発を行っているが、高齢者・障
害者のニーズは多種多様である反面、その市場規模は小さいため、開発を奨励する補助金等の充
実が望まれる。国の補助金が大企業に偏っているように思えるのもまた問題である。
安易に他社のコピーをすることが商品の開発と思っている企業が多く、しかも現行の特許実用新
案などは、申請が面倒な割に抜け道が多く、結果専門家に頼らざるを得ず、それがコストUPや開
発の遅延につながっています。またユーザー側の意識が、福祉=ボランティア=無料的な発想に
あり、利益率が低く、事業化が難しい原因の一端に名手います。さらに助成金・補助金の問題
も、あまりに偏りがあるのではないでしょうか。
開発予算の補助(範囲、金額)の拡充
開発補助費で開発・製品化されても、販路の開拓が困難で、ほとんどの製品が世に出ることな
く、従って補助金が死に金となってはいませんか?本当に役立ち、良い製品を認定し、それを販
売する企業には税制面で何か恩恵を与えるとか、国策として強く必要性を感じる。
自立支援、自立保持・前進をサポートするソフト・ハードのサポート態勢を充実していただきた
今後の製造メーカーは、最終処分までを管理しなければならないと思う。グリーン購入法の現状
把握。
重障の感染症等が発生した場合、入室が難しいようなことが障じた時に、物品等の交換と消毒を
行いながら、室外で各館出来る機器を開発したいと考えています。その他
医療器具の認可について、行政サイドの専門家(申請)紹介の窓口をつくっていただければあり
がたいと思います。
b.具体的要望
高度化・新規開発における具体的な要望としては、新たな医療・福祉機器開発における承認許可
の手続き面、新規市場開拓の面での難しさが比較的多くあげられている。医療・福祉分野における
新規事業展開を促進するためには、技術開発から販路開拓までに亘る幅広い支援体制の確立が必要
であると考えられる。
また、医療・福祉機器等の開発の全般に関わる意見、要望としては、傾向的に開発資金確保での
難しさについて多くの意見があげられている。こうした面で、RSP事業等の公的支援の活用を幅
広く普及させることが必要であり、事業に取り組むにあたって特別な手続きが必要となる医療・福
祉機器等は専用の情報窓口の設置が望まれる。
<参考>
医療機器に関する薬事法の承認・許可については、薬事制度改正案が平成 14 年度通常国会において衆参両議
院とも全回一意で可決されている。
現在、厚生労働省医薬局で見直し案が策定されており、平成 15 年 8 月までには安全性を考慮した新たな医療
機器のクラス分類が告示される予定である(「薬事日報」2002.10.23)。これにより、医療機器の分類にはこれま
で 4 つのリスククラスが使用されていたが、3 つに簡素化される。また、承認・認可についても、低リスクの医
療機器のうち厚生労働大臣の定めた品目については、厚生労働大臣の承認は不要となる。代わりに承認・認可の
効率的な業務実施を図るため、第三者認証機関が基準への適合性を認証する制度が導入される。第三者承認機関
としては独立行政法人(医薬品医療機器総合機構)が担う。認証基準については平成 15 年 3 月以降、順次通知
される予定である。
−31−
問11(具体的内容や改善の要望)
法的制約を規制する機関の担当者が、その現場に対しての認識がなく、書類だけでの調査になっ
ているため、現場の状況をあまりにも知らなさすぎるのではないかと思われる。その点、もっと
真剣に調査・検討をお願いしたいものである。
商慣行等で問題があり、後発の中小企業の参入は困難と思われるので中小企業でも参入しやすい
窓口等の改善をして欲しい。
当社はローテイの商品であるからあまり注目されていない。しかし、福祉分野では独自の商品を
出していると思います。名ばかりの会社ですが目にかけていただきたい。
商品の新規機種に係る内容の流が速すぎて、改善等に資金がついて行けない事が多い。(特に中
小企業にあってはそう思われます)
元来、ネームバリュウーの高いメーカーの新製品は市場が受け入れ易くなっている傾向が強い。
新規参入企業は比較対象にもしてもらえない状況化ではないでしょうか。弊社は、メーカーPR
を独自にしていたお陰で、新製品の開発時には現場の声を反映し、又試作品でのモニターテスト
等を可能にしているので良いが、多くは(新規参入)そうはいかない状況化だと考えられます。
新規医療用具の薬事承認を奨励、支援する施策が望まれる。
末端の現場でのテストや意見交換については全く問題はないと思っていますが、やはり専門的な
研究機関での「臨床テスト」による効果の発表がなければ、普及促進が困難なようです。しかも
全くの異業種参入の場合には、ネットワーク(人脈)がなく、どのようにアプローチして良いの
かわかりません。
情報サービスからの参入にとって薬事法の関係や医療現場の情報は分かりづらく、ハードルが高
い。相談窓口がほしい。
介護保険,適用器の大臣告示が甘すぎます。歩行器等では三輪まで認められており、モーメント
からも転倒しやすく、安全性を重視してほしい。また、歩行はできてもトイレまで入り込めな
い。そのうえ立ち上がり、つまり自立支援を視野に入れてほしい。はいばるだけでは介護保険の
意味がない。介護認定を受けている人達は、障害を持っている人たちです。まず自立支援、転倒
事故防止が最も重要な課題では。
大学・地方自治体等がテストまたはモニターをサポートしていただけると、研究が進む。
現在使用されている施設のマットの廃棄が、どのようになされているか、またはその結果は?地
域によって変わるが、廃棄税の問題等。
1,特許申請して公開までの時間(1年半)は長すぎる。2,特許庁の電子図書館で検索方法を改善
して欲しい。3,一部企業のシェアに対して、より自由に参入できるシステムを設定して欲しい。
4,各種の法規制についての解説書が欲しい。
(7)技術ニーズ調査結果のまとめ
医療・福祉関連産業に対する技術ニーズ調査の結果としては、大きく以下の4点に整理できる。
①各事業所とも独自の技術を活かした機器等の開発を行っている。中核となる技術開発の経過から
産学官連携、企業間連携の果たす役割は大きく、医療・福祉機器等の高度化にあたっては、更な
る連携の場の創出が望まれる。
②今後の機器等の高度化にあたっては、機器等の制御、利便性の向上の面においてIT(情報技術)
が重要な役割を果たすと考えられる。特に情報通信技術、計測技術、システム化技術、センシン
グ技術が各企業から注目されている。
③医療・福祉機器等に取り組んでいる事業所の多くは「中小企業」であり、機器開発にあたっての
資金面で難しさを感じていることから、幅広い支援体制の構築が必要である。
④薬事法の承認等、機器開発に関わる手続きの簡素化、医療・福祉現場との人的ネットワークの形
成が今後の課題である。
−32−
4.研究機関等へのヒアリング調査結果
中国地域の各大学のフォーラム等へ参加し、医療・福祉現場の研究者や医療・福祉機器開発に携
わる研究者から下表のような意見を得た。
結果としては大きく次のようにまとめられ、今後のマッチングにより、産業化が可能な分野が多
いと考えられる。
①全般的に既存機器の代替として、より安価で高精度な構造や手法を研究者側で考案されている機
器が多くみられる。
②既存の医療・福祉機器の小型化・携帯化、センシング技術を活用した機器、最先端医療機器が求
められている。
③機器の制御、データの収集等、ITの活用が期待される機器が多く見られる。
また、地域の先端的な医療・福祉機器に関する研究動向として、日本エム・イー学会秋季大会で
発表された論文をみると、中国地域の 55 名の研究者が発表を行った中で 24 名(44%)は情報ネッ
トワークの開発に関する発表を行っている(センシング技術及びME学会発表論文については資料
編参照)。
−33−
−34−
−35−
5.情報関連産業・電気機器関連産業の技術シーズ調査結果
(1)アンケート調査の概要
a.目的
中国地域の情報関連産業及び電気機器関連産業(以後、両産業をあわせて「IT関連産業」とす
る)の技術シーズを把握し、医療・福祉分野への展開の可能性を検討することを目的する。
b.調査実施時期
平成 15 年 2 月 27 日(木)∼3 月 10 日(月)
c.調査対象と回収結果
中国地域の情報関連産業 300 社、主要な電気機器関連産業 60 社(資本金 1000 万円以上、従業員
100 人以上)を対象にアンケート調査を行った。
全体の 32.8%(118 社)からの回答が得られ、比較的高い回収率を得ることができた。
アンケート調査対象数と回収結果
県名
岡山県
広島県
山口県
鳥取県
島根県
総計
情報関連産業
発送数
回収数
回収率
71
22
31.0%
121
45
37.2%
36
10
27.8%
43
14
32.6%
29
10
34.5%
300
101
33.7%
電気機器関連産業
発送数
回収数
回収率
19
4
21.1%
16
6
37.5%
4
1
25.0%
15
3
20.0%
6
3
50.0%
60
17
28.3%
発送数
90
137
40
58
35
360
総計
回収数
26
51
11
17
13
118
回収率
28.9%
37.2%
27.5%
29.3%
37.1%
32.8%
(2)回答事業所の概要
業種としては、受注ソフトウェア開発が 35%で最も多く次いで電気機械器具製造業が 25%、情
報処理サービスが 22%となっている。
事業所の従業員数についてみると、100 人以上 300 人未満が 26%で最も多く、次いで 10 人以上 30
人未満が 23%となっている。また、事業所の位置づけで本所、本社、本店である事業所についての
従業員数でも、この規模の事業所は多い。企業全体の従業員数をみると 300 人以上の企業は 15%
となっている。
資本金についてみると、資本金 1,000 万円以上 3,000 万円未満が 51%で最も多く、その他では、
300 万円が 2%、5,000 万円以上 1 億円未満が 16%、1 億円以上が 25%となっている。資本金が多
い事業所が 4 分の 1 を占めており、大手メーカー等の子会社が多いと考えられる。
以上のように、回答した事業所は中堅の株式会社、もしくは大手メーカーの子会社であり、ソフ
トウェア開発を業務の中心とする企業が多い。
−36−
業種(n=116)
0
(%)
10
20
30
40
35.3
受注ソフトウェア開発
25.0
電機機械器具製造業
21.6
情報処理サービス
7.8
ソフトウェアプロダクツ
システム等管理運営委託
2.6
各種調査
0.9
データベースサービス
0.0
その他
6.9
事業所従業員数
0%
合計(n=106)
10%
12.3
本所・本社・本店(n=91)
14.3
支所・支社・支店・工場等(n=15)
13.3
10人未満
20%
10人以上30人未満
30%
22.6
24.2
6.7
30人以上50人未満
40%
50%
13.2
60%
70%
19.8
14.3
16.5
40.0
1,000人以上
9.6%
10人未満
9.6%
300人以上
500人未満
11.5%
100人以上
300人未満
25.0%
50人以上
100人未満
7.7%
90%
50人以上100人未満
100%
25.5
6.6
24.2
6.6
33.3
6.7
100人以上300人未満
企業全体の従業員数(n=104)
500人以上
1,000人未満
5.8%
80%
300人以上
資本金(n=116)
1億円以上
25.0%
10人以上
30人未満
20.2%
30人以上
50人未満
10.6%
5,000万円以上
1億円未満
15.5%
−37−
100万円未満
1.7%
300万円以上
1,000万円未満
6.9%
1,000万円以上
5,000万円未満
50.9%
(3)医療・福祉分野におけるIT利用への期待
医療・福祉分野に対する期待について尋ねたところ、医療・福祉分野でのITの利用は今後も増
加すると予想している事業所が、全体の概ね 7 割となっている。多くの事業所から新規分野として
期待されている。一方で、分野として注目はしているものの、参入の可能性に対して疑問視してお
り、あまり期待していないとする事業所が概ね 2 割存在する。これより、IT関連産業における医
療・福祉分野への期待は大きいが、一部の事業所は参入の際に問題があると考えていることがわか
る。
医療・福祉分野におけるIT利用への期待(n=114)
医療・福祉分野にお
けるIT関連分野へ
の参入は可能であ
るが、医療・福祉分
野自体の市場性・成
長性は疑問であり、
それほど期待してい
ない
0.9%
判断が難しい
7.0%
その他
5.3%
医療・福祉分野には
注目しているが、IT
関連分野に参入でき
るかどうかは疑問で
あり、それほど期待
していない
19.3%
ITバリアフリー、電
子カルテといった医
療・福祉分野でのIT
利用は今後も増加
すると考えられ、市
場性・成長性に注目
している
67.5%
(4)技術シーズの状況
各事業所が保有している医療・福祉機器に関連した情報技術(28 項目)の保有状況について尋ね
た。事業所の中核となる技術、もしくは関連する技術を保有しているとされた技術についてみると、
院内情報の統合が 38%で最も多く、次いで病院・診療所間の情報ネットワークの構築が 34%、安
全性の高い院内無線ネットワークの構築が 30%、認証技術、暗号化技術が 17%となっている。こ
のように上位 4 位までは全て医療情報ネットワークの構築に必要な技術である。
また、これら技術に次いで画像、動画、音声に対応する検索アルゴリズムが 12%、画像、動画、
音声を取り入れたデータベースが 9%となっている。このように、ネットワーク構築技術に次いで、
多様なデータに対応した医療情報データベースの構築に関する技術を保有している事業所が多い
ことがわかる。
−38−
(5)注目されている技術
各事業所で保有はされていないものの注目されている技術についてみると、認証技術、暗号化技
術、画像、動画、音声を取り入れたデータベースがともに 55%となっており、最も多い。次いで画
像、動画、音声に対応する検索アルゴリズムが 49%、大量データの圧縮が 48%となっている。
これらに次いで 4 割を越えている技術としては安全性の高い院内無線ネットワークの構築、画像
のパターン認識、患者誘導システムの構築、病院・診療所間の情報ネットワークの構築、生体情報
の無拘束センシング、3 次元データの捕捉・抽出があげられる。
このように各事業所の技術ニーズとしても考えられる、注目されている技術においても医療情報ネ
ットワーク、医療情報データベースに関する技術が上位を占めている。こうした中で生体情報の無
拘束センシング等、直接の技術応用分野として医療・福祉分野が念頭に置かれる技術に 4 割以上の
事業所が注目していることは特徴的である。
その他の注目すべき情報技術として具体的にあげられていた技術としては、医療情報ネットワー
ク、医療情報データベースに関する技術の他、PDAを利用した看護支援システム、骨格電動によ
る音声認識等の入力インターフェイスの技術があげられていた。
近年、厚生労働省の「保険医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン」が示されたことによ
り、医療機関では電子カルテの導入が進められている。また、医療・福祉分野に限らず電子政府の
構築にとって情報セキュリティの確保は重要な技術的課題として考えられている。認証技術、暗号
化技術は、こうした背景から最も注目されているものと考えられる。さらに多様なデータに対応し
たデータベースの構築や効率的な情報伝達、格納を目指した新たな圧縮技術は、IT関連産業の事
業展開を左右する技術となっていることがわかる。
−39−
技術シーズの状況
(%)
0
5
C-①患者受付登録・予約、医事会計、患者監視、病歴管理、電子カルテ等、院内情報の統合(n=117)
10
15
20
9.4
10.4
C-②診療所用電子カルテの開発等、病院・診療所間の情報ネットワークの構築(n=115)
C-⑤携帯端末等を利用した安全性の高い院内無線ネットワークの構築(n=117)
35
40
23.9
4.3
D-①画像、動画、音声に対応する検索アルゴリズム(n=118)
30
23.5
6.0
C-④データ共有の際のセキュリティ確保のための認証技術、暗号化技術(n=117)
25
28.2
12.8
2.5
9.3
D-②画像、動画、音声を取り入れたデータベースでの統計的パターン認識(n=117) 0.9
8.5
A-⑧計測データの長時間連続記録(n=117)
8.5
B-②X線CT(コンピューター断層撮影法)等、放射線の計測・画像処理(n=117) 0.9
4.3
B-③磁束計、MRI(磁気共鳴撮像法)等、磁界の計測・画像処理(n=117) 0.9
4.3
B-⑦2次元の断層像を重ねて3次元を表示するボリュームレンダリング等、3次元表示(n=116) 0.9
4.3
B-⑩医療画像等、大量データの圧縮(n=116) 0.9
4.3
B-①超音波診断装置等、音波の計測・画像処理(n=116) 1.7
3.4
E-②院内の患者誘導(歩行者ナビゲーション)シス テムの構築(n=118) 1.7
B-⑤生体画像の画像の鮮明化、色画像処理(濃淡改善、コントラストの修正、辺縁抽出等)(n=118)
3.4
5.1
A-⑤レーザー等、光の計測・制御(n=117) 0.9 2.6
A-①心電計、脳波計、筋電計等、生体からの電気信号の計測(n=118)
3.4
A-③呼吸ガス濃度計測装置等、気体成分の計測(n=117)
3.4
B-④3次元データ補足・抽出(イメージングの高速化)(n=117)
3.4
C-③生体情報の無拘束センシング(生体情報と家電製品の利用状況の関係把握といったセンシングアルゴ
3.4
リズムの解析)(n=117)
B-⑧3次元画像を利用した手術シュミレーション等、VR(仮想現実)処理(n=116) 1.7 0.9
E-③視点、脳の血流量等、手以外の入力インターフェイス(n=117) 0.9 1.7
B-⑥3次元画像を再構成するためのアルゴリズム解析(n=117)
2.6
B-⑨診断支援のための画像パターン認識(n=117)
2.6
A-⑥生体信号計測時のノイズ除去(n=117) 1.7
E-①車椅子等の移動機器の自動運転システムの構築(n=117) 1.7
A-②血圧計等、生体内圧力の計測(n=117) 0.9
A-④サーモグラフィ等、体温の計測(n=117) 0.9
A-⑦生体信号からの波形の抽出、波形データの圧縮(n=117) 0.9
当事業所の中核となる技術である
関連する技術を保有している
注目されている技術
(%)
0
10
20
30
C-④データ共有の際のセキュリティ確保のための認証技術、暗号化技術(n=117)
D-②画像、動画、音声を取り入れたデータベースでの統計的パターン認識(n=117)
60
49.2
B-⑩医療画像等、大量データの圧縮(n=116)
48.3
C-⑤携帯端末等を利用した安全性の高い院内無線ネットワークの構築(n=117)
45.3
B-⑨診断支援のための画像パターン認識(n=117)
44.4
E-②院内の患者誘導(歩行者ナビゲーション)シス テムの構築(n=118)
42.4
C-②診療所用電子カルテの開発等、病院・診療所間の情報ネットワークの構築(n=115)
C-③生体情報の無拘束センシング(生体情報と家電製品の利用状況の関係把握といったセンシングアルゴ
リズムの解析)(n=117)
B-④3次元データ補足・抽出(イメージングの高速化)(n=117)
41.7
41.0
40.2
39.0
B-⑤生体画像の画像の鮮明化、色画像処理(濃淡改善、コントラストの修正、辺縁抽出等)(n=118)
E-③視点、脳の血流量等、手以外の入力インターフェイス(n=117)
37.6
36.8
C-①患者受付登録・予約、医事会計、患者監視、病歴管理、電子カルテ等、院内情報の統合(n=117)
B-⑥3次元画像を再構成するためのアルゴリズム解析(n=117)
35.9
B-⑦2次元の断層像を重ねて3次元を表示するボリュームレンダリング等、3次元表示(n=116)
34.5
B-⑧3次元画像を利用した手術シュミレーション等、VR(仮想現実)処理(n=116)
34.5
E-①車椅子等の移動機器の自動運転システムの構築(n=117)
33.3
B-③磁束計、MRI(磁気共鳴撮像法)等、磁界の計測・画像処理(n=117)
32.5
31.0
B-②X線CT(コンピューター断層撮影法)等、放射線の計測・画像処理(n=117)
30.8
A-④サーモグラフィ等、体温の計測(n=117)
29.9
A-⑦生体信号からの波形の抽出、波形データの圧縮(n=117)
29.9
A-①心電計、脳波計、筋電計等、生体からの電気信号の計測(n=118)
29.7
A-②血圧計等、生体内圧力の計測(n=117)
50
54.7
D-①画像、動画、音声に対応する検索アルゴリズム(n=118)
B-①超音波診断装置等、音波の計測・画像処理(n=116)
40
54.7
29.1
A-⑤レーザー等、光の計測・制御(n=117)
27.4
A-③呼吸ガス濃度計測装置等、気体成分の計測(n=117)
27.4
A-⑥生体信号計測時のノイズ除去(n=117)
27.4
A-⑧計測データの長時間連続記録(n=117)
26.5
(注)
「技術シーズの状況」、
「注目されている技術」は同一設問で尋ねたものである。両グラフ中の割合に「判別できない・関心がない」とされた回
答の割合をあわせて計 100%となる。
−40−
問2 その他
レセプト、電子カルテ等の電子データを利用したネットワーク
独居老人の屋内移動管理、独居老人の日常生活の主たる居間等のリモート監視。
音声認識車いす等
歩行者支援システム(ITS)、障害者用コンピューターキーボード、環境制御装置
遠隔医療のための高精細映像伝送技術
医薬品の効能、副作用の体系を知識ベース化し、医師の処方支援並びに処方のチェックを行う基
本技術
離床センサー(ワイヤレス)/病内ラン
PDAによる看護支援システム
・自動BOD測定装置 ・自動SS(水不溶の懸濁粒子)測定装置
インターネット利用の在宅診療技術の応用範囲の拡大
医療画像の遠隔診断、病診連携
少子高齢化に伴い、独居宅の増加が、家庭内での事故・病気、ひいては孤独死の増加につなが
る。そこで、ブロードバンドを活かしたようなコンテンツとして、家の各所(廊下、居間、キッ
チン、etc)にセンサーを設置し、センサーに反応した時間をグラフ化し、グラフに異常があれ
ばあらかじめしていしておいた場所へ自動通報し、安否の確認を行う。また、ネットワークカメ
ラにより、画像配信をする。
盲人の画像認識、前方障害物探知、聴力障害者への骨格伝導による音声認識
遠隔手術のためのバーチャルリアリティ技術
高周波ノイズ除去技術
(6)情報技術を活用した製品・サービス
情報技術を活かして既に事業化されている製品・サービスについて尋ねたところ、計 65 の事例
があげられた。内容としては医事会計システム、電子カルテ、遠隔画像診断システム等、医療情報
ネットワークに関する技術を活用した製品・サービスが多くみられた。大きくは次のように分類で
きる。
①電子カルテ、オーダリングシステム:20 件(31%)
②医事会計、薬品管理、患者受付管理等の院内の情報化:16 件(25%)
③医療機器の制度向上に関する活用:9 件(14%)
④福祉関連情報システム、福祉機器の利便性向上に関する活用:20 件(31%)
−41−
情報技術活用製品(1/2)
医療情報システムの開発、オーダリングシステム、電子カルテ等。但しメーカー・ベンダーより
の請負開発
情報の発信という意味で、電子掲示板システムを開発し、病院内の待合室等で、情報の開示を行
う。
血液浄化装置
看護婦のスケジュール管理をWEBで管理しました。
レントゲンフィルムの画像情報化(デジタルイメージ・マイクロフィルム)
モバイルホームヘルパー支援システム:ホームヘルパーが事業所へ立ち寄ることなく介護スケ
ジュールや諸情報をPDA端末と携帯電話により入手。また、結果を送信することができるシステ
ム。事業所側のソフトウェアも用意されている。
自治体業務での福祉関連システムの構築
医事会計システム
電子カルテシステム、オーダリングシステムおよび医事会計システムのパッケージによるシステ
ム構築
カルテのファイリングシステム
診察支援、オーダリング情報処理システム
健康管理システム(院内情報の統合) 検査システム、ドックシステムデータの集約・分析
当社では医療オーダーエントリーシステム、電子力ルテシステム(UNICARE等のパッケージ)の
導入、及び運用サービスを行っています。
病院内における臨床検査システム、健診システム、オーダリングシステム、電子カルテシステム
院内物品管理システムパッケージ:院内の全物品(薬品,診材,消耗品,検査試薬,麻薬,血液
製剤,ME機器,滅菌物,など)をバーコード活用した受払管理(在庫管理),及び契約管理(入
札・契約,発注,仕入,など)
医療滅菌器の「処理条件」を「プリンター」に直結して、貼付メモを作成。システムを商品化。
薬品・物品管理システム(販売中):仕入れから在庫までを一連の流れとして管理
福祉分野 「24時間365日の安全と安心」を提供する、緊急通報・生活サポートシステム
で、緊急通報サービスを基本サービスとし、付加サービスとして、生活サポートサービス(①安
否確認サービス ②徘徊老人のための位置探査サービス)を行うサービスで、既に、山口県東部
において商品化し稼動中です。
PDAによる看護支援システム
弊社の九州支社にて 在宅介護サービス事業所向けに介護保険請求業務等を支援するASPサービ
スをご提供しております。
障害者・高齢者用のホームページ閲覧と電子メールソフト。H12∼13年度NEDO補助金で開発、H14
年製品化。
介護保険システム(市町村向けパッケージ)
製品:モバイルホームヘルパー支援システム 内容:携帯端末を利用したホームヘルパー(在宅
介護)支援システム
保健薬局システム:調剤薬局向けレセコンで年間500台販売している。
患者受付管理システム(登録・予約)
医事会計システム
ナースコールシステム
自社製品・サービス ・遠隔画像診断支援システム・地域医療情報ネットワークシステム・診療
所用インターネット対応電子カルテシステム・医療情報システム機能運用ビデオライブラリ・介
護計画システム・介護報酬システム・医療機関情報共有システム・医療情報ネットワーク対応型
健診システム
知的障害者施設向け事務トータルシステムの開発と販売を行っています。
ネットカルテ 電子カルテを含む統合型の医療業務支援システム
ロータスノーツ/ドミノの高度なテクノロジーに5年以上にわたる実証実験と医療現場からの
フィードバックを加えることで誕生し、強固なセキュリティによって保護された患者情報データ
ベースを中心にあらゆる情報が関連づけられ、記録され、再利用されることにより、効率的で質
の高いチーム医療を実現できる。
ホスピタルコミュニティ:病室内でのインターネット利用、ホビーコンテンツの配信とそれらに
関わるインフラ構築、課金管理
Webアプリケーション 空床情報共有システム:病院空床情報を、消防・医院にてWebもしくは専
用クライアントに照会
−42−
情報技術活用製品(2/2)
外出中はモードの切り換えにより防犯セキュリティーシステムとして機能する。
方向判別音声案内:視力障害者が白杖に赤外センサーをつけて、点字ブロックを1m前で判別。
その光を標石で受け、4又別で各方向の案内をする。
医用画像表示装置:MRU,CT,CR・・・など画像診断装置からのデータを表示し、読影また患者
さんへの説明として用いている。
住宅内情報監視制御システム:本システムは、インターネット経由で外出先や遠隔地から携帯や
パソコンなどを用いて、①留守宅内の状態(例えば介護の必要な在宅者の安否など)を映像や
データで確認する。 ②電機製品の入切やカギの開閉などの制御を行う。 ③センサーなどと連
動して異常を連絡する。 等をおこなうものである。
病院内待合室投薬待ち情報LED表示システム
障害者向けの岡山県内施設情報検索システム
居宅介護システム
被介護者位置情報検索システム製品の事業計画(検討中)
家政婦紹介所システムの開発・販売
医療用酸素濃縮装置
カルテ、レセプト等のイメージ化と検索システム
オーダリングシステム
自社パッケージと、病院内部内システム(検査、放射線、薬局などの他社製)による総合医療情
報システムの構築
電子カルテ情報処理システム
院内物流管理システムパッケージ:業務カバー範囲は「管理名人」に同様ですが,電子カルテ・
オーダリングと同期した物品管理システム
検診システム(検討中)
ALS患者向け意思伝達支援ソフトウェア
レセプトチェックシステム:レセプト提出する前に内容チェックし、返却・減点を減らすシステ
ム。
薬袋システム
他社製品・サービス ・病院用電子カルテシステム・病院用電子カルテシステム(JAVA
版)・病院用給食ライブラリ・病院用カルテ印刷ライブラリ・医療分析・病院経営システム
遠隔画像診断:医療画像のIDCと専門医による診断
ORCA等のIP技術支援
万事万端(ネットワーク情報端末):IPテレビ電話に血圧計を取り付け、た遠隔療養システム。
在宅者が保健婦からテレビ電話により健康相談を受けることができる。
手摺点字案内:病院の手摺りの案内点字に手を触れると行き先etcをFMで案内する。
遠隔画像診断用通信制御装置:遠隔画像診断サービス(当社業務提携先)用として、遠隔地から
の画像送受信を行う装置。
病院内(TV,ランドリー他)プリペイドカードシステム
インターネットを活用し、ユーザーが任意の居住地を設定する事により、データベースから生活
圏内の病院・医院その他福祉施設の詳細情報を検索できるシステム。
医療画像の圧縮技術
介護施設向けの各種パッケージ販売
医事会計情報処理システム
健康管理増進システム:保険者にて、レセプトをデータベース化し、被保険者への指導を通じて
健康管理を促進する。
オーダリングシステム
電子カルテシステム構築技術
−43−
(7)産学官連携による技術開発への意向
今後、ITを高度に活用した新たな医療・福祉機器等の開発を目指して、大学・研究期間の研究
者、地域の関連企業が参加する研究会やワークショップといった産学官連携の場を設置することが
一つの方法として考えられる。
こうした産学官連携の場への参加に対する各事業所の考えを尋ねたところ、参加したいと考える
事業所は 3 割を越えていた。参加の意向を示す事業所の中には、プロジェクトの中核メンバーとし
て活動してもよいといった積極的な参加意向を持つ事業所も 5%(5 所)みられた。地域別の内訳
としては岡山県で 2 所、鳥取県、島根県、広島県で 1 所となっている。
また、4 割の事業所では、参加したいと思うが、現在、取り組んでいる事業の制約から実際の参
加は難しいと考えており、産学官連携の場の設置に対するニーズは 7 割を越える事業所で認識され
ていることがわかる。
研究会やワークショップ等への参加意向(n=110)
産学官連携の有
効な手法であり、
関連した内容で
あればメンバー
の一人として参
加したい
31.8%
研究会やワーク
ショップ等の活動
には関心ない
21.8%
積極的に参加し
たいと思うし、プ
ロジェクトの中の
中核メンバーとし
て活動してもよい
4.5%
参加したいとは思
うが、現在取り組
んでいる事業の
制約から実際の
参加は難しい
41.8%
−44−
(8)共同開発テーマ、支援ニーズ・技術課題等
産官学連携による共同開発等を行う場合に提案できるテーマ及び支援ニーズ・技術課題等につい
て尋ねたところ、18 のテーマと 9 の支援ニーズ・技術課題があげられた。
テーマの傾向としては、地域医療ネットワーク、救急医療ネットワーク、遠隔医療に関するもの
が 7 件、医療情報の情報化、標準化に関するものが 4 件となっている。また、支援ニーズ・技術課
題等については、情報の標準化(2 件)医院連携等(2 件)があげられていた。このように具体的
なテーマでも医療情報ネットワーク構築に関するものが多くあげられている。
問5-テーマ
問5-支援ニーズ・技術課題等
救急医療のためのネットワーク構築、遠隔医療のためのネット
−
ワーク構築
歩行者支援システムの開発
国土交通省、総務省、警察、自治省にて、2010年までに歩行者
バリアフリー化の方針となっている。各省庁がバラバラであ
り、方針をつかみにくいので、施策について指導。
医療分野におけるペーパーレス化
−
1.医薬の知識ベース構築:毎年大量の新薬が開発されるた
め、医薬知識はダイナミックな複雑系である。医薬の効能、成
分、副作用に注目した知識ベースを構築して、グラフカルに表
現する。さらにこの知識ベースを利用して、医師の処方を
−
チェックすることが可能である。 2.インプラントなど生体
加工の最適条件の研究開発:歯科インプラントの生体加工は、
医学と工学の狭間にあり、最適化技術は放置されている。工学
的にメスをいれ、施術方法の強度と、施術装置の開発が必要。
弊社は移動通信の会社であり、医療や福祉といった分野でのノ
ウハウは非常に少ないが、この分野では無線通信(移動体通
信)の更なる活用に関しては、十分なノウハウを所有している
−
と思われるため、システム構築に当たっては支援が可能と思わ
れる。
高速ネットワークシステムでの実時間医療情報(心電計データ
−
等)解析の構築および判定技術の開発。
問3で回答したように、弊社は幸いなことに、既に大学・病院
と連携ができ、お互いのニーズを提供できる環境はできてい
る。したがって、たちまち他との共同開発のテーマは思いつか
−
ないが、現時点ではケア・リハビリ関係に偏っており、他の医
療分野と弊社のネットワーク技術を融合するためのテーマを探
す活動は行いたい。
地域医療連携に関連するソフトウェアに関するもの
−
現在,標準化が進展している「HL7」
画像連携を主体に検討がなされていますがオーダリング,及び
物流に関する標準化が遅れており早急に標準化を進めるべきと
考えます。
院内情報の統合(受付管理システムと電子カルテの統合)
現在弊社で受け付け管理システムをすでに事業化しています
が、他社が保有する電子カルテのデータフォームが公開されに
くい又は標準化されていない点が自社の中での課題としてあげ
られます。
地域イントラネット
−
地域医療ネットワークとの連携方式の検討 ・電子カルテまた ・多数の医療機関の参画推進・連携で扱うコンテンツ内容、技
はオーダリングシステムで地域医療ネットワークに参加する場 術的評価・行政的な計画への反映
合の院内連携方式(インタフェース、院内システム変更点、セ
キュリティ、院内運用)の検討を行い当該地域内の 医療機関
が統一仕様で連携できる仕組み作り。・検査センター、薬局、
訪問看護、介護センター等との連携方式
筋ジストロフィー患者等の手足の不自由な人から、微細な筋肉
の動き等から発せられる微弱な電気により、家電機器等をコン
−
トロールし、有意義な生活を営んでもらう。
救急および医療福祉施設およびサービス情報の共有を実現する
−
マッピングシステム(GIS)
セキュリティ機能付カードリーダシステム応用製品
−
インターネットを活用し、アンケート形式で症状の問診を行う 医院連携・データベース/システム開発資金
事により、対処方法等が導き出せるバーチャル問診機能を有す
るバーチャル医院の開設。その症例に対処可能な現存の病院・
医院を居住地別に紹介できる情報提供システム。
医療データの共有化
セキュリティ対策(技術よりもモラル)
酸素濃度による生体への影響
酸素濃度アップ技術商品(40%までを開発中)
−
インターネットによる患者受付・予約
無線通信技術、とりわけ近距離無線通信(Bluetooth)技術の応用
−
(注)塗りのあるテーマ、ニーズ・課題は、産学官連携の場で中核メンバーとして活動してもよいという考えを示し
た事業所の回答。
−45−
(9)ITを活用した医療・福祉機器等の開発への意見
ITを活用した新たな医療・福祉機器等の開発について自由に意見を求めたところ、19 の具体的
な意見があげられた。そのうち 7 件はテーマ提案ともいえる内容であり、今後、こうしたテーマに
ついては産学官連携の場において議論、研究されることが期待される。
問6
安全性(セキュリティ)と電磁波を心配しています。
医療の過去のデータ(画像・治療歴等)をデータベース化し、病気の早期発見、誤診断を防ぐ、
等に活用できないでしょうか。
1.電子カルテの実用化が図られているが、単純に電子貼票化して、データマイニングする段階
で満足するべきでない。カルテの内容を分析する能力を備えた情報システムにすべきと考えま
す。医薬の知識ベースを構等して、(1)医師の処方支援(医薬の相互作用を表示するなど)
(2)処方箋を分析して標準的処方で検証する。(3)医学生の教育(e-learning)に活用すべき
時代といえます。 2.これまで情報技術はテンタ形式にこだわって発達してきましたが、これ
では企業の基幹業務のような形式化された分野では力を発揮したでしょうか。人間の知的作業を
要する分野では全く無力です。医療分野のIT化には是非とも知識ベース化を導入し、ルーティー
ンな知的作業をコンピュータで代替することを考えるべきと思います。
①車いすの高度化(位置情報などの有効利用、車などを停止するための技術) ②データベース
等へアクセスする際の認証(携帯電話の認証を赤外線などを利用して、PC等へ送信し、PC側で利
用する。)
弊社はコンソーシアムで長時間心電計の開発を行いました。医療関係は製造業と違って制約があ
り、特に臨床実験を行うには簡単ではありません。時間がかかって研究が進みにくく、「ものづ
くり」の観点からは異質の文化のような気がします。低コスト、高品質に向かえば、医療技術が
もっと進むでしょう。自宅で瞬時に医療検査ができれば、病気の予防ができ、コスト削減にな
り、国家の力が生まれる。高齢化社会に突入する前に進めたい。
確実に高齢化社会を迎えるに当たり、施設や病院に入れない住宅で、ケアを必要とする人たちが
確実に増えてくる。そのような人々に恩恵を与えるのはネットワーク技術である。人によって
は、高齢者とパソコンなどを含めたネットワーク技術は遠い関係にあるという人もいるが、それ
は逃げの口実に他ならない。技術は人を幸せにするためにあるもので、遠いと思われる人たちに
こそ、その恩恵を利用できる環境を技術者は考えるべきである。
地図を使用した老人や病人の自宅での情報管理やコミュニケーションシステム
開発に当たっては、ユニバーサルデザインの視点が必要であると考えています。
病院マットへの「離床センター」や「人体センサー(血圧・脈など)」のワイヤレス送信
弊社は医療・福祉機器の直接開発・製造は行っておりませんが、昨今ITを利用(対応)可能な
これら機器がシステム化されるにつれ、各機器間のデータのやり取りやデータのDB化、また可視
化の為の技術が非常に早いスピードで進化しています。これらの技術に関する情報の集中と発信
の為の組織機関がこの広島に設置されることを強く望みます。
在宅を意識した医療機器と病院システムとの連携が必要となっているのではないか。
医療関係でのIT活用はPS/PLの問題がさけて通れません、それに対する各種規制への対
応。又、問題の整理と、問題に確実に対応できるシステムの確立が必要と思います。
オープンソースの流れから、導入コストの圧縮が当然という風潮があり、オープンソースのいい
とこ取りのようであり、逆に質的な問題を感じる時がある。
過疎化の進む町村では医療・福祉機器等の普及率も悪く、多くの問題を抱えています。医療・福
祉には関わりは少ないかもわかりませんが、携帯やパソコンを使って外出の困難な方や介護を必
要とする世帯を結んで、暮らしやすいまちづくりを進めているところです。お年寄りの方々に、
いかに「ITは難しくない」と理解してもらえるかが課題です。
現在、各家庭へブロードバンド環境が整いつつある。また、独居老人世帯が増加する中、いかに
安全に安心して健康に暮らすことができるかが時代のニーズであるとかんがえる。そこで、一人
暮らしでもITまたはブロードバンドコンテンツetcをうまく活かし、遠方でくらす子や孫が身近
に感じられ、また医療機関とのインターネットによるネットワークで、今までITに縁のなかった
高齢者にも自分の生活のなかで恩恵を受けることができる。機器なりシステム作りが必要である
思う
福祉機器のうち、視力や聴力に関するものについては、公共側にも設備を施すシステムが多く、
これ等については各自が開発することは無駄が多く、官側で方向性を決めてそれに従って開発す
べきである。悪い例で、盲人歩行支援システムなどは、6種類以上も開発され、自治体ごとに互
換のない別のシステムを採用している。困るのは使用者である。
高額な機器、製品が多いと思うが、医療機関の独自性がでてしまい、どうしても低価格になりに
くい。(電子カルテシステム等) 標準化が進み、同じようなソフトを同じような運用で使えれ
ば、医療機関のIT化が進み、グランドデザインの目標達成が可能である。しかし現時点では目
標達成は無理だと思う。
医薬品メーカー・医療機器メーカー・行政などからの資金援助・補助金などの仕組みがあればお
知らせ下さい。
今後ITを活用した新たな医療・福祉機器のニーズは増加すると予想しているが、当社のような中
小企業の場合、そのニーズをつかむ力に欠けている。(得意・不得意分野も影響) それらを補
うニーズ・シーズの情報提供を学官に期待。都合の良い話ではあるが。
(注)塗りのある意見はテーマ的色合いが強い意見と判断したもの。
−46−
(10)技術シーズ調査結果のまとめ
IT関連企業に対する技術シーズ調査の結果としては、大きく以下の5点に整理できる。
①7 割を越える事業所で医療・福祉分野でのITの利用が今後も増加すると予想されており、新規
事業展開分野としての期待が大きい。
②ネットワーク構築技術、多様なデータに対応した医療情報データベースの構築に関する技術を保
有している事業所が多い。
③注目されている技術においても医療情報ネットワーク、医療情報データベースに関する技術が上
位を占める中、医療・福祉分野に直接繋がる生体情報の無拘束センシング技術も 4 割を越える事
業所から注目されている。
④情報技術を活かして既に事業化されている製品・サービスについてみると、電子カルテ、オーダ
リングシステム、福祉関連情報システム等に対する活用事例が多い。
⑤産学官連携の場の設置に対するニーズは 7 割を越える事業所で認識されており、5%(5 所)の事
業所ではプロジェクトの中核メンバーとして活動してもよいといった積極的な参加意向を持っ
ている。具体的なテーマとしては地域医療ネットワーク等のネットワーク構築に関するものや医
療情報の情報化、標準化に関するものがあげられた。
(11)IT関連産業におけるニーズとシーズ
さらに、アンケート結果から得られた情報をもとに、IT関連産業のポテンシャルと各医療・福
祉機器との対応について検討した。まず、医療・福祉関連産業、研究機関等における医療・福祉機
器に対するニーズを踏まえて、情報技術と各医療・福祉機器の関連についてまとめた(別紙「情報
機器と医療・福祉機器の関連」を参照)。これに基づき、IT関連産業のシーズ調査において、事
業所が「注目している技術」を技術ニーズ、
「保有している技術」を技術シーズとして考え、医療・
福祉分野の市場性に期待する事業所、産学官連携の場への参加意向をもつ事業所ごとのクロス集計
を行った。
次にこれらの回答事業所数を点数化し、各機器の関係する情報技術の得点から平均点を求め、機
器ごとに最高得点に対する得点率を求めた。この得点率が高いほどニーズが強い、あるいは多様な
シーズが存在すると考える。
−47−
IT関連産業のニーズとシーズ
IT関連産業の技術シーズ調査
「注目している技術」≒技術ニーズ
「保有している技術」≒技術シーズ
①クロス集計
保有する技術
医療・福祉分野に期待する事業所
回答事業所数
若しくは
産学官連携の場に参加意向を持つ事業所
得点化
マッピング
②情報技術と医療・福祉機器の関連
各技術
各医療・福祉機器
満点に対する得点率
平均点
↓
ニーズ:70%以上
シーズ:50%以上
注目
上記、図のようなフローに基づき、ニーズにおいては得点率が 70%以上を注目度が高い機器とし、
シーズにおいては得点率が 50%以上をポテンシャル技術の高い機器と考えた。結果は、次のように
まとめられる。
a.ニーズ
①医療・福祉分野の市場性に期待する事業所の注目する技術
・可変プログラム形計算機:94%
・データ処理装置:93%
・監視用テレビジョン:90%
・その他医用システム(地域医療システム等):85%
・総合健診システム:84%
・血液検査装置(自動血液像分類装置等):80%
・病院情報システム(オーダリングシステム、薬剤管理システム等):77%
・データ通信(LAN等):76%
・人体機能補助装置関連機器(聴覚障害者用の補助装置等):75%
・多人数用患者監視装置(患者データ処理装置、院内データ転送システム等):72%
・医用カラーテレビジョン応用装置(内視鏡用カラービジョン等):72%
・周辺機器とインターフェイス:71%
・画像処理装置:71%
・人工肢体(義手、義足等):71%
−48−
②産学官連携の場への参加意向をもつ事業所の注目する技術
・可変プログラム形計算機:97%
・データ処理装置:93%
・監視用テレビジョン:86%
・血液検査装置(自動血液像分類装置等):83%
・MRイメージング装置:76%
・画像処理装置:75%
・医用カラーテレビジョン応用装置(内視鏡用カラービジョン等):76%
・超音波画像検査装置:75%
・RI画像検査装置(ETC専用装置等):72%
・内視鏡装置および医用テレビジョン(超音波内視鏡等):71%
・補聴器:72%
・発声発語訓練器:72%
・超音波洗浄装置:72%
・総合健診システム:71%
b.シーズ
①医療・福祉分野の市場性に期待する事業所の保有する技術
・データ通信(LAN等):77%
・その他医用システム(地域医療システム等):68%
・病院情報システム(オーダリングシステム、薬剤管理システム等):63%
②産学官連携の場への参加意向をもつ事業所の保有する技術
・データ通信(LAN等):66%
・その他医用システム(地域医療システム等):58%
・病院情報システム(オーダリングシステム、薬剤管理システム等):54%
c.IT関連産業におけるニーズとシーズ
ニーズ側をみると、可変プログラム形計算機、データ処理装置、監視用テレビジョン、その他医
用システム、総合健診システムといった、医療情報ネットワーク関連技術の市場性が注目されてい
ることがわかる。また、産学官連携の場に対して参加意向を持つ事業所では、これらに加えて、血
液検査装置、MRイメージング装置、画像処理装置、医用カラーテレビジョン応用装置、超音波画
像検査装置といった最先端の高度医療機器に関する参入志向が強いことがうかがえる。
シーズ側をみると、中国地域ではデータ通信、病院情報システム、その他医用システムといった
分野の関連技術を保有している事業所が多く、注目される技術であることからも、この分野での競
争が盛んであると考えられる。
一方で、MRイメージング装置、画像処理装置、超音波画像検査装置等といった最先端の高度医
療機器に対するシーズは少なく、今後、既存シーズの応用及び充実が期待される。
−49−
6.インテリジェント・メディカルインダストリーの創出可能性
(1)情報技術ニーズ
医療・福祉関連産業へのアンケート調査より、医療・福祉関連産業が機器の高度化のために求め
る情報技術は、情報技術は、大きくセンシング技術、計測技術、システム化技術、情報通信技術で
あり、医療機器では次のような情報の利活用が考えられる。
①生体情報をセンシングする技術
②センシングしたアナログ情報をデジタル計測する技術
③デジタル情報を利用した治療・診断・手術システム
④治療・診断・手術システムで生体情報を円滑に利用するための情報通信技術
また、ヒアリング結果より、医療現場では小型化・携帯化された機器が求められている。特に情
報技術では円滑な機器制御、データ収集の実現が期待されており、ニーズは医療・福祉関連産業と
同様の方向にあり、上記③、④への志向が強い。
IT関連産業では、全般的に医療情報ネットワーク関連技術については注目されている。また、
産学官連携の場に対して参加意向を持つ事業所では、最先端の高度医療機器に関する分野への関心
も高い。
(2)情報技術シーズ
IT関連産業の技術シーズ調査から、中国地域にはデータ通信、病院情報システム、その他医用
システムといった医療情報ネットワーク関連技術を保有している事業所は多いものの、MRイメー
ジング装置、画像処理装置、超音波画像検査装置等といった最先端の高度医療機器に対するシーズ
を保有している事業所は少ないことがうかがえた。
一方で、研究機関等ではヒアリング調査で得られたように医療情報ネットワーク関連技術から最
先端の高度医療機器に関連する研究シーズも存在している。
中国地域では他にも「微小循環血流動態解析」
(川崎医科大学・小笠原研究室)、
「脳波時間・空間
的性質の解明とモデル化およびその医用工学的応用」(山口大学・西藤研究室)といった生体情報
の解明に関わるテーマや「3 次元X線CTの実時間再構成アルゴリズム」
(岡山大学・森川研究室)、
「ファジィ理論の医療への応用」(川崎医療福祉大学・堀研究室)といった画像診断機器の発展に
つながるテーマが研究されている。またこの他にもMRイメージング装置や画像処理装置の発展に
つながる動画像の認識技術応用分野や高度動画像コンテンツ関連分野でのシーズが多くあげられ
ている(デジタルコンテンツ産業等の創出可能性調査)。
研究機関等のシーズ
動画像の認識技術応用分野
目視検査の自動化に関する研究(岡山大学・山根研究室)
高分解分光イメージングシステムの開発とその応用(広島工業大学・藤本研究室)
動画像処理による速度場の検出(徳山工業高等専門学校・杉村研究室)
画像処理による計測手法に関する研究(宇部工業高等専門学校・橋本研究室)
画像処理による状態認識システムの研究(松江工業高等専門学校・小堀研究室)
視覚情報処理メカニズムに関する研究(広島工業大学・湯尻研究室)
視覚情報量の数理理論的研究(福山大学・小林研究室)
高度動画像コンテンツ関連分野
実写画像からの大規模広域 3 次元形状復元とその応用(広島市立大学・浅田研究室)
画像の高能率符号化に関する研究(岡山大学・山根研究室)
カラー画像処理および画像活用ヒューマンインターフェースに関する研究(倉敷芸術科学大学・浜田研究室)
近接画素ブロックの凸凹係数変換を用いた新しい画像処理アルゴリズム(広島工業大学・佐藤研究室)
自己縮小画像でコードブックを構成したベクトル量子化(広島工業大学・佐藤研究室)
−50−
(3)ニーズとシーズのマッチングシステム
中国地域の現状として医療・福祉機器に対する情報技術のニーズとシーズは存在する。内容とし
て医療情報ネットワーク関連技術は広く保有されている。一方で最先端の医療・福祉機器開発に繋
がるシーズは研究機関等に多く存在しているが、開発を実施する際の実働部隊となるIT関連産業
でのシーズの研究開発は遅れている。
IT関連企業へのアンケートでも、産学官連携の場の設置に対するニーズは 7 割を越える事業所
で認識されているものの、参加する事業所は 36%であることから、IT関連産業で医療・福祉機器
開発が主たる事業領域として捉えられていないという側面があると考えられる。
このためインテリジェント・メディカルインダストリーの創出のためには、医療・福祉関連産業、
IT関連産業、研究機関等のネットワークを強化し、実働部隊であるIT関連産業をまきこんだ開
発を行う必要がある。
中国地域の現状
情報技術ニーズ
医療・福祉関連産業
研究機関等
IT関連産業
将来的に
IT関連産業の情報技術シーズ
研究機関等の情報技術シーズ
(4)創出可能性のある分野
a.分野設定
これまでのアンケート、ヒアリング等の調査結果を踏まえて、インテリジェント・メディカルイ
ンダストリーの創出可能性が高い分野は次のような分野であると考えられる。
①医療・福祉情報ネットワークの構築
・ニーズ・シーズの照合で、中国地域で技術ポテンシャルの高い分野はデータ通信、病院情報シス
−51−
テム、その他医用システムで用いられる情報技術である。
・厚生労働省の「保健医療分野の情報化に向けてのグランドデザイン」では、2006 年に 400 床以
上の病院の 60%で電子カルテを導入することが目標とされている。
・今後の医療・福祉分野ではEBM(Evidence-Based Medicine)が求められ、従来の医療事務シ
ステムに加えて、オーダリングシステム、電子カルテ等にあわせて多くのサンプルに基づく医療
データベース等の必要性が高まる。
○テーマ事例
・地域医療ネットワークの構築
ORCAプロジェクト等を含め、地域での医療情報の共有を目指した電子カルテの普及
<ORCAプロジェクト>
IT化を進める日本医師会の研究事業プロジェクトであり、ネットワーク端末としても利用できるレセプトコン
ピューター(医療報酬を受けるための専用コンピューター)の開発、医療情報データベースの公開等を行っている。
・遠隔医療の実現を目指したデータ圧縮技術の開発
医療・福祉で対象とする生体情報は、可視化のために大量の情報を必要とする場合が多く、デ
ータの効率的な転送のために圧縮技術が必要となる。
・多様なデータ形式に対応するデータベース及び検索システムの構築
IT関連企業のアンケート調査において全回答のうち注目されている技術で 2、3、4 番目に多
い回答はデータベースに関連の深い技術である。様々な症例データを基に判断を求められる医
療・福祉分野では、データとして基礎代謝分析データ、センシングされた生体情報、音声、画像
等、様々なデータ形式が考えられる。電子カルテ等にもこうした多様なデータを横断的に検索す
る必要が生じる。
・無拘束センシング技術の開発による遠隔監視システムの開発
医療・福祉分野では侵襲性、装着感のない生体情報の取得が求められている。人間の行動や各
種病理との関連の解明により、医学の発展が期待される。
<齢者在宅データ解析アルゴリズム開発コンテスト>
MEとバイオサイバネティクス研究会(電子情報通信学会、日本エム・イー学会、IEEE EMBS Japan Chapter)で
は、電機機器の使用状況等、本人が意識することなく計測された高齢者の生体情報や活動状況に関するデータから、
健康状態を推定する解析アルゴリズムの開発をコンテスト形式で行っている。
・入力インターフェイスの開発
現在、ASL患者用の意思伝達装置の視点による入力、脳血流量による意思伝達等、様々な入
力インターフェイスの開発が進められている。電子政府の実現においてもITバリアフリー化の
進展は必要である。
・既存機器のデータの出入力部分の小型化・携帯化
既存の医療機器においてもディスプレイ部分、入力端末等、データの出入力部分の小型化・携
帯化が求められている。また、臨床等、医師、看護士側で移動することが必要な現場ではPDA
等の携帯端末を用いた診療・看護支援システムの構築も望まれている。
②画像処理技術の向上
・ニーズ・シーズの照合で、産学官連携の場に参加意向をもつ企業は、最先端医療機器における画
像処理技術等への関心が高い。
・遠隔医療等の医療・福祉情報ネットワークの構築のためには、電送したデータによる判断が必要
−52−
である。また、画像診断用装置は市場規模が大きく、新たな情報技術開発による報酬も十分見込
める。
○テーマ事例
・3 次元データの捕捉・抽出方法の開発
現在、体外から体内のデータを捕捉するため様々な方法が考案されている。3 次元データは的
確な診断等のため医療・福祉分野で普及している。体内データを把握するための医療・福祉機器
の理想としては、全く侵襲がないものであり、超音波画像、フォトニック生体技術等の発展が期
待される。
・3 次元画像を活用した手術シミュレーションシステム、看護支援システムの開発
3 次元画像の構成技術を発展させることにより、手術のシミュレーションシステムの開発や情
報ネットワークの構築に伴う看護支援システムの開発を行うことが可能となる。VR(仮想空間)
の表現技術は、中国地域の研究者側のシーズもみられる(「デジタルコンテンツ産業等」の創出
可能性調査参照)。
・新たな生体画像の鮮明化、色画像処理方法の開発
医療・福祉分野では的確な判断を必要とするため、色画像に対する要望が多い。
この他、画像処理技術の向上は、映像に関する様々な機器への応用が可能である。例えば広島大
学の升島教授(大学院医歯薬学総合研究科)は、地域の企業 5 社と共同で、タンパク質の解析に用
いるビデオ顕微鏡と質量分析器を組み合わせた製品「ビデオマススコープ」を開発しており、2 年
後にはプロトタイプが完成する予定となっている(「日刊工業新聞」平成 14 年 8 月 6 日)。
また、ナノテクノロジーと医療の関係では、現在経済産業省が中心となってナノカプセルにヘモ
グロビン成分を包み込むことでウイルス感染や血液型不適合を防ぎ、緊急時の血液需要に対応する
人工赤血球の開発が行われている。こうした研究過程においても本調査のニーズ側で注目度が高か
った血液検査装置や超音波血流計等は不可欠な機器であると考えられる。中国地域では広島大学の
奥山教授(大学院工学研究科)らが、地元企業とともに金属の粉をナノ単位で量産化する装置を開
発しており(「中国新聞」平成 14 年 7 月 16 日)、医療・福祉分野で開発された画像処理技術の他分
野への応用、さらにナノテクノロジー等の他産業の技術を医療・福祉機器等で用いられる技術と融
合することにより、新規関連産業を創出するという理想的な産業創出の循環が期待できる。
−53−
b.段階的研究開発
ニーズ・シーズの検討に基づき、創出可能性のある分野をプロジェクトメイキング分野、及び発
展プロジェクト分野として位置づけると次の図のように想定される。
地域の基盤となる情報技術(地域の情報技術シーズ)
・データ通信(LAN等)
・その他医用システム(地域医療システム等)
・病院情報システム(オーダリングシステム、
薬剤管理システム等)
○医療・福祉情報ネットワークの構築
・監視用テレビジョン
・総合健診システム
・血液検査装置(自動血液像分類装置等)
○画像処理技術の向上
・可変プログラム形計算機
・データ処理装置
・医用カラーテレビジョン応用装置(内視鏡
用カラービジョン等)
・画像処理装置
活用
中長期
発展
発展
プ ロ ジ ェク トメ イ キ ン グ 分 野
︵共通する情報技術ニーズ︶
短期
発展 プ ロジ ェク ト 分野
①医療・福祉分野の市場性に期待する事業所
の注目する技術
○情報ネットワーク応用分野
・多人数用患者監視装置(患者データ処理装
置、院内データ転送システム等)
・周辺機器とインターフェイス
○バリアフリー関連分野
・人体機能補助装置関連機器(聴覚障害者用
の補助装置等)
・人工肢体(義手、義足等)
−54−
②産学官連携の場への参加意向をもつ事業
所の注目する技術
○最先端医療機器への応用分野
・MRイメージング装置
・超音波画像検査装置
・RI画像検査装置(ETC専用装置等)
・内視鏡装置および医用テレビジョン(超音
波内視鏡等)
○周辺機器への応用分野
・補聴器
・発声発語訓練器
・超音波洗浄装置
(5)アンケート回答からみた地域別の可能性
今後、ITを高度に活用した新たな医療・福祉機器等の開発を目指して、大学・研究期間の研究
者、地域の関連企業が参加する研究会やワークショップといった産学官連携の場を設置することが
一つの方法として考えられる。調査対象とした事業所の集積がみられる都市圏は次のとおりであり、
各県の県庁所在地もしくは大学等の研究機関が立地している都市が中心となっている。
調査対象で集積がみられる都市圏
鳥取県:鳥取市(IT 関連産業)、米子市(IT 関連産業)、倉吉市(IT 関連産業)
島根県:松江市、出雲市
岡山県:岡山市、倉敷市(医療・福祉関連産業)
広島県:広島市、福山市
山口県:宇部市、下関市
また、本調査で回答のあった事業所をインテリジェント・メディカルインダストリーの分野に関
心が高い事業所と考え、その集積をみると、医療・福祉関連産業では山陽側の岡山市、倉敷市、広
島市、福山市、宇部市で関心をもつ事業所が多く、IT 関連産業では山陽側の岡山市、広島市と山陰
側の米子市、鳥取市で関心を持つ事業所が多い。
さらに産学官連携に意欲的な事業所をみると、医療・福祉関連産業では岡山市、広島市で意欲的
な事業所が多く、IT 関連産業でも岡山市、広島市で意欲的な事業所がみられる。
以上より、事業化の可能性は各県の県庁所在地もしくは大学等の研究機関が立地している都市を
中心とした都市圏で一定見られる。
中でも、拠点として IT 関連産業で、プロジェクトの中核メンバーとして活動しても良いと考え
る事業所が立地している岡山地域、広島地域、出雲地域、鳥取地域はプロジェクトの実施、運営が
円滑に行える実現性の高い地域である。
−55−
医療・福祉関連産業(調査対象)
IT関連産業(調査対象)
−56−
調査回答事業所
IT関連産業:n=118
0
10
20㎞
医療・福祉関連産業:n=109
0
10
20㎞
回答事業所数
1
5
10
− 57 −
15
20
産学官連携の場への参加意向を持つ事業所
IT関連産業:n=40
0
10
20㎞
医療・福祉関連産業:n=47
0
10
20㎞
IT関連産業:積極的な参加意向を示し、プロジェクトの中核メンバーとして活動してもよい考える事業所
医療・福祉関連産業:積極的な参加意向を示し、提案したいテーマも持っている事業所
回答事業所数
1
5
10
− 58 −
15
20
(6)地域市場の動向
インテリジェント・メディカルインダストリーにとって、大きな市場といえる医療施設について
の動向をみると、平成 12 年に中国地域では病院が 725 施設、一般診療所が 6,785 施設、歯科診療
所が 3,597 施設存在する。
都道府県物に人口 10 人あたりの病院、一般診療所、歯科診療所の総数についてみると、広島県
が全国 8 位、島根県が 9 位、岡山県が 10 位、山口県が 11 位、鳥取県が 12 位となっており、中国
地域における医療施設の充実度は全国でもトップレベルである。
医療施設数(H12:対人口10万人)
施設
200
180
歯科診療所数
一般診療所数
病 院 数
160
140
120
100
80
60
40
20
埼玉
沖縄
茨城
滋賀
岩手
福井
千葉
宮城
福島
青森
山形
秋田
長野
岐阜
静岡
栃木
愛知
石川
富山
奈良
神奈川
北海道
山梨
新潟
群馬
三重
香川
宮崎
佐賀
大分
熊本
高知
愛媛
鹿児島
兵庫
鳥取
山口
岡山
島根
広島
京都
福岡
大阪
長崎
徳島
和歌山
東京
0
全 国
鳥 取
島 根
岡 山
広 島
山 口
中 国地 域計
病 院 数
H12
実数
人口10万対
9 ,1 4 7
7 .3
46
7.5
60
7.9
196
10.0
271
9.4
152
9.9
725
8 .9
(資料)厚生労働省大臣官房統計情報部『平成 12 年
一般診療所数
H12
実数
人口10万対
9 2 ,1 2 8
7 3 .1
532
86.7
758
99.5
1,602
82.1
2,558
88.9
1,335
87.4
6 ,7 8 5
8 8 .9
歯科診療所数
H12
実数
人口10万対
6 1 ,1 6 9
4 9 .9
264
43.0
288
37.8
956
49.0
1,423
49.4
666
43.6
3 ,5 9 7
4 4 .6
医療施設調査(動態調査)病院報告(都道府県編)下巻を基に作成。
こうした医療機関の整備状況とあわせて、ITを活用した医療・福祉機器等の対病院数の導入割
合についてみると、最新型CTが 62%の病院で導入されおり、最も導入率が高くなっている。次い
でMRIが 35%、血管造影システムが 21%となっており、最先端医療機器の導入率は 1 割以上で
あり、比較的高い。一方で重点分野としてあげた、医療・福祉情報ネットワークに関する技術につ
いては、テレラジオロジーが 9%で最も高く、次いでオーダリングシステムが 8%となっており、
その他のシステムは 1%以下であり、導入は進んでいない。
また、医用画像処理技術では、3D画像処理システムが 13%の導入率であり、今後の医療・福祉
情報ネットワークの普及とともに導入が進むものと考えられる。
−59−
中国地域の医療機関におけるITを活用した機器の導入状況
機器項目名
FPD搭載デジタルX線
マルチスライスCT
アンギオCT
最新型CT
MRI
DR
血管造影システム
SPECT
ガンマナイフ
定位脳放射線治療システム
リニアック・マイクロトロン
小線源治療装置
ハイパーサーミア
ESWL
前立腺肥大症治療装置・
高温度治療
前立腺肥大症治療装置・
レーザー
電子カルテシステム・病院編
電子カルテシステム・診療所編
商用画像ネットワークシステム
3D画像処理システム
PACS医用画像システム
その他(画像関係)
放射線情報システム(RIS)
保健医療福祉情報システム
工業会・JAHIS
オーダリングシステム設置病院
鳥取県
カードシステム導入状況
(ICカード)
島根県
広島県
山口県
中国地域計 対病院導入割合
6
0.8%
29
4.0%
8
1.1%
450
62.1%
256
35.3%
107
14 .8%
152
21 .0%
90
12.4%
3
0.4%
6
0.8%
50
6.9%
14
1.9%
17
2.3%
56
7.7%
0
3
1
30
26
11
19
11
0
0
6
2
0
6
3
8
1
128
60
21
28
19
1
2
8
3
4
11
2
8
1
158
106
39
56
32
1
2
18
6
6
20
1
7
4
104
45
29
37
20
0
2
12
1
6
14
2
5
25
23
21
76
10.5%
2
1
5
5
4
17
2.3%
0
2
0
10
4
0
1
2
5
2
11
8
0
1
3
11
6
26
14
0
4
1
21
10
32
28
6
5
1
13
6
12
17
3
3
7
52
24
91
71
9
14
1.0%
0.8%
3.3%
12 .6%
9.8%
1.2%
1.9%
0
0
4
1
0
5
0.7%
6
0
4
1
17
20
13
1
1
1
なりわすこ ふれあい ほっとカー
やかカード 福祉カード ド
0
3
0
2
34
0
0
4
0
0
0
60
4
8.3%
0.6%
−
遠隔医療:在宅医療・ケア
テレラジオロジー
テレパソロジー
その他
岡山県
0
3
1
30
19
7
12
8
1
0
6
2
1
5
市民カード
0
0
3
0
0
30
0
50
0.0%
3
66
7
50
0.4%
9.1%
1.0%
6.9%
(注)
「電子カルテシステム・診療所編」についての導入割合だけは、一般診療所数(6,785)に対する割合であり、その他は病院数
(725)に対する割合である。
(資料) エム・イー振興協会『2002 年 医療機器システム白書』、エム・イー振興協会『2001 年 IT医療白書』を基に作成。
さらに機器のユーザーである患者について、中国地域の各県の入院、外来患者数の総数をみると、
広島県が 10 位、岡山県が 19 位、山口県が 25 位、島根県が 44 位、鳥取県が 47 位となっており、
鳥取県、島根県は患者数が他の都道府県に比べて相対的に少なく、医療機関に頼ること少ない理想
的な生活を送っていると考えられる。
推計患者数(H11・施設所在地
単位:千人)
入院
病院
全国
鳥取
島根
岡山
広島
山口
中国地域計
対全国割合
県内
1,306.4
7.0
9.8
24.0
34.9
25.3
101.0
0.1
県外
85.8
0.5
0.6
1.3
1.2
0.7
4.3
0.1
一般診療所
県内
県外
77.7
3.4
0.3
0.0
0.4
0.0
1.6
0.1
2.8
0.3
2.0
0.0
7.1
0.4
0.1
0.1
(資料)厚生労働省大臣官房統計情報部『平成 11 年
病院 県内 県外
2,048.1
79.8
10.2
0.4
13.1
0.2
36.1
0.8
48.9
1.0
26.6
0.3
134.9
2.7
0.1
0.0
外来
一般診療所
県内
県外
3,455.0
87.9
16.1
0.6
25.9
0.2
57.4
0.7
106.6
1.1
52.1
0.1
258.1
2.7
0.1
0.0
歯科診療所
県内
県外
1,109.0
37.9
4.1
0.1
6.5
0.1
13.1
31.2
0.6
11.0
0.4
65.9
1.2
0.1
0.0
患者調査(都道府県・二次医療圏編下巻)を基に作成。
−60−
以上より、中国地域の医療施設において、医療・福祉情報ネットワークの構築は始められたばか
りであり、今後の市場の成長が期待できる。また画像処理技術に関係する3D 画像処理システム等
を導入している病院は 1 割程度であり、今後、ネットワークの構築とともに導入が進んでいくと考
えられる。これより、IT 関連産業が医療・福祉分野に参入する場合は、既に保有技術のあるネット
ワーク構築関連技術とともに、施設が導入対象であり、全国的にも市場規模の大きな機器に関連す
る技術開発を進めることで大きな市場が期待できる。
(7)新産業創出に向けて
医療・福祉機器に関連のある情報技術は、多様な機器への応用が考えられる。これまで医療・福
祉分野は、薬事法で製造業の許可、機器の承認等が必要であるため、新規参入が難しい感があった
が、医療・福祉情報ネットワークの分野はIT関連産業の参入が容易な分野であり、中国地域にお
けるインテリジェント・メディカルインダストリーの創出可能性も高い。この分野から画像処理技
術向上といった、より高度な研究も期待できる
インテリジェント・メディカルインダストリー製品を開発する場合、医療・福祉といった専門マ
ーケティングは重要であり、ニーズやシーズのアンケート調査結果等であげられたように、今後、
医療・福祉分野での新産業創出に向けて現場のニーズを継続的に把握するシステムや開発された機
器や技術を評価するシステムを構築していくことが課題となる。地域の実情にあわせた機器開発、
システムづくりのため例にあげられたようなテーマ設定を行い、研究会や分科会といった産学官連
携・情報交流の場の中でIT関連産業の開発関与を促すことが、インテリジェント・メディカルイ
ンダストリーの創出に最も効果的であると考えられる。
−61−
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