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抗生物質 と消炎剤,と くにタンデリール との併用に関する基礎的研究
CHEMOTHERAPY 1086 抗 生 物 質 と消 炎 剤,と DEC. 1971 くに タ ン デ リール との併 用 に 関 す る基 礎 的 研 究 村 川 武 雄 ・若 井 芳 美 ・横 田好 子 ・西 田 実 藤 沢薬品工業株式会社中央研究所 (昭和46年2月5日 抗 生 物 質 と消 炎 剤 との 併 用 に つ い て の基 礎 面 お よび 臨 受 付) subtilis ATCC- 6633を 用 い るBioassayで 床 面 に お け る意 義 づ け に つ い て は 今 日 ま で多 くの 研 究 が を 測 定 し た1)。PASの な され て き た。 そ して 併 用 投 与 時 に 抗 生 物 質 の血 清 中 濃 行 な つ た 。 イ ヌ リ ン はWARREN 度 が 高 ま り,単 独 時 と比 較 して 持 続 す る こ とが報 告 され 法3)で て い る9∼13)。しか しな が ら基 礎 面 か らの 意 義 づ け に は, SMITHら 行 な い,ま 定 量 は,降 たp-ア 血 清 中濃 度 矢 ら の 化 学 定 量 法2)で D. DAVIDSONら の方 ミ ノ 馬 尿 酸 はHOMER, W. な よ り詳 細 な検 討 が 必 要 と思 わ れ る。 3. わ れ われ は,こ れ らの 併 用 時 に お け る抗 生物 質 の 生 体 の方 法4)で測 定 した。 抗 生 物 質 の 組 織 内濃 度 お よび 尿 中排 泄 の測 定 これ らの 測 定 は,デ ィス ク法 に 準 じて行 なつ た1)。 内挙 動 を 明 ら か に して,そ の 効 果 を意 義 づ け る 目的 で 消 4. 炎 剤 と して 主 に タ ンデ リー ルを,抗 生 物 質 と して 主 に ペ ニ シ リ ン類,セ フ ァ ロ ス ポ リ ン類 を用 い て,そ れ らの 吸 抗 生 物 質 お よび 薬 剤 の腎 ク リア ラ ンス値 は,藤 本 らの 収,排 腎 ク リア ラ ン ス値 の測 定 方 法(静 脈 内1回 注 射 法)5)に 準 じ て測 定 した 。 泄 を 単 独 時 と比 較 検 討 した。 そ の 結 果,併 用 時 に お い て 抗 生 物 質 の 血 清 中濃 度 が 高 ま り持 続 す る こ とを 明 らか に し,且 つ そ の主 な原 因 は抗 生 物 質 の 腎 ク リア ラ ン ス 値 の 低 下 に よ る も の で あ り,そ の 低 下 は 主 に 抗 生 物 質 実 1. まずMCI-PC, AB-PC, 薬 制,セ る もの と推 定 され た の で,こ れ らの 結 果 を 報 告 す る。 ピ シ ソお よびPASな 験 材 料 PC, echam Laboratories), Laboratories), Laboratories), 2) TDL, 消 炎 制;オ 3) yLaboratories),イ Beecham よ びp- amino- 友 化 タ ゾ リジ ン, ン ジ ダ ミ ソ(Archemia)。 そ の 他 の 薬 剤;p-ア ミ ノ 馬 尿 酸(和 ヌ リ ソ(Difco 光純薬工業株 Laboratories)。 験 方 法 薬 制 の投 与 実 験 動 物 を 使 用 前 日 絶 食 さ せ,特 は 消 炎 剤 を100mg/kg経 別 の記 載 の な い 場 合 口 投 与 し,1時 質 を 記 載 の ル ー トで 投 与 し た 後,一 間 後に抗生物 定 時 間 毎 に 採 血 し, 血 清 を 採 取 した。 2. ペ ニ シ リ ソ系3 フ ァロ ス ポ リン系 か らCEZ,そ し て リフ ァ ン ど,相 互 に 構 造 の 全 く異 な る4種 抗 生 物 質,サ ル フ ァ剤 お よび そ の 他 の 薬 剤 の 血 清 中濃 度 の 測 定 ペ ニ シ リ ン 類,セ フ ァ ゾ リ ン,リ タ ンデ リール100mg/kg経 (CEZは フ ァ ン ピ シ ン はB. 口 投 与 後1時 間 目に 筋 注 静 注)し た。 また ウ サ ギ は 抗 生 物 質 また は サル ブ ァ剤 の 単 独 投 与 群 と併 用 群 を,cross overで 使用し た。 MCI-PCの 場 合,単 独 投 与 群 と併用 群 の 間 に は 著 明 な 図1 ン デ リ ー ル: ン 『 ドメ タ シ ン(住 ェ ニ ル ブ タ ゾ ン(ブ 実 1. Be- 沢 薬 品 工 業 株 式 会 社), キ シ ブ ェ ン ブ タ ゾ ン(タ Laboratories),ベ 式 会 社),イ PC, PC, 京 化 成 工 業 株 式 会 社)。 学 工 業 株 式 会 社),フ Geigy (AB- (CEZ,藤 (MDI- (MCI- 一 製 薬 株 式 会 社),お acid (PAS,東 Geig cloxacillin ampicillin cefazolin Rifampicin(第 salicylic MDI-PCの の 影 響 を,ウ サ ギ を 用 い て検 討 した 。 抗 菌 性 物 質 類 は, 抗 生 物 質 お よ び サ ル フ ァ 剤;dicloxacillin Bristol 果 の薬 剤 に つ い て,そ の忠 清 中濃 度 に対 す る タ ンデ リール 使 用薬剤 1) 結 す る タ ンデ リー ル の 影 響 の 尿 細 管 分 泌 が タ ンデ リー ル に よ り抑 制 され た 結 果 生 じ 実 験 各 種 抗 生 物 質 お よび サ ル フ ア剤 の 血 清 中 濃 度 に 対 MCI-PCの 血 清 中濃 度 にたい する タンデ リールの影 響 VOL. 19 図2 NO. CHEMOTHERAPY 9 AB-PCの 血 清 中濃 度 にたいする タンデ リールの 影 響 1087 mcg/mlと 両 者 間 に か な りの 差 異 が 認 め られ た。 しか し この 場 合 も持 続 性 は変 ら な か つ た 。 またMDI-PCの 実 験 結 果 もMCI-PCお よびAB-PCの 場 合 と同 様 に タ ン デ リール の 併 用 投 与 はMDI-PCの 血 清中濃度を 著明に 増 強 す る傾 向が 認 め られ た(図3)。 図4は,CEZの 血 清 中 濃 度 に 対 す る タ ンデ リール の 併 用 効 果 を 示 した 。 この実 験 で はCEZの 投 与 は10mg/ kg静 注 し,得 られ た 血 清 中 濃 度 を 対 数 グ ラフ で示 した 。 投 与 方 法 は静 注 で あ る が,CEZの 場 合 も併用 投 与 に よ つ て血 清 中 濃 度 が 上 昇す る こ とが わ か る。 この こ とか ら 投 与 ル ー トに は 関 係 な く,投 与 部 位 か ら血 中 へ の 移 行 に タ ンデ リー ル が 影 響 を 与 え て い る こ とが わ か る。 また こ の方 法 に よ りCEZの 血 中 か らの 消 失 速 度 と体 内分 布 容 量 が 明 らか に な る。 図 に示 さ れ る とお り,併 用 群 お よび 単 独 投 与 群 の各 血 清 中濃 度 変 化 を示 す 直 線 は0時 点 で 交 叉す る。 こ の事 実 は,タ CEZの ンデ リール の併 用 投 与 に よつ て 体 内分 布 容 量 が 変 化 しな い こ とを 意 味 し,ま た そ の 血 清 中 か ら の 消失 速 度 が 併 用 群 のほ うが単 独 投 与 群 と 図3 MDI-PCの 比 較 して 遅 くな つ て い る こ とを 示 して い る。す なわ ち 消 血 清 中濃 度 にたいする 失 速 度 を こ のグ ラ フか ら半 減 期 で 求 め る と,単 独 群 は 約 タンデ リール の 影 響 30分 で あ るの に 対 し,併 用 群 は 約50分 半 減 期 は 単 独 群 と比 較 す る と約1.7倍 の 結 果 は,タ ンデ リール がCEZの に な り,消 失 の 遅 延 して い る。 こ 体 内分 布 を抑 制 し た 結 果 そ の 血 清 中 濃 度 が上 昇 して い るの で は な く,消 失 速 度 が 遅 れ て い る こ とを示 して い る。 ペ ニ シ リ ン,セ フ ァ ロス ポ リン系 以 外 の薬 剤 と して, リフ ァ ソ ピ シ ンお よびPASの 討 を 行 なつ た(図5お 場 合 に つ い て も同 様 の検 よ び 図6)。 これ ら の 図に 明 らか な よ うに 両 薬 剤 に お い て もペ ニ シ リン,セ フ ァ ロ ス ポ リ 図4 CEZの 血 清 中濃 度 にたいする タンデ リール の 影 響 差 が認 め られ る(図1)。 分 後 で 平均13.5mcg/mlの 与 群 で は約9.0mcg/mlで,こ お よび60分 す な わ ち 併 用 群 で は,投 与15 最 高 値 を 示 した が,単 の よ うな 差 は,30分 独投 後 後 に も観 察 さ れ た。 しか し血 清 中 濃 度 の持 続 性 につ い て は両 者 間 に 有 意差 は 認 め られ な か つ た 。 AB-PCの 投 与 実 験 で も同様 の 傾 向 が 認 め られ た(図2)。 す なわ ち,最 高 血 清 中濃 度 を示 す15分 併 用 群 約33.5mcg/mlに 値 を 比 較 す る と, 対 し,単 独 投 与 群 で は22.0 CHEMOTHERAPY 1088 図5 Rifampicinの血清 中濃 度 にたいする DEC. 1971 表1 血 清 中 のMCI-PCの ンデ リール の影 響 1) タ ン デ リ ー ル の 添 加 量 の 影 響(mcg/m1) 2) タ ンデ リー ル投 与 ウ サ ギ血 清 を用 い た場 合 タンデ リールの 影 響 抗 菌 活 性 に お よぼす タ (mcg/ml) (3例 平 均) 図6 Pーアミノサリチル猷 の血 清 中濃 度 にたいするタンデ リールの 影 響 じ6,7),み か け上 高 い 測 定 値 を 与 え た り,ま た タ ンデ リー ル が 何 らか の 形 で 測 定 値 に 影 響 を 及 ぼ す の で は な い か と 推 定 さ れ る。 そ こで タ ンデ リール が血 清 の 存 在 下 で蛋 白 結 合 の 高 いMCI-PCの 微 生 物 定 量 の測 定 値 に い か な る 影 響 を与 え る か を検 討 した。 表1の1)に 示 した結 果 は,ウ サ ギ 血 清9容 に 各 種 濃 度 の タ ソデ リー ル を0.5容 さ らにMCI-PC溶 10お 加 え,37℃ 液 を0。5容 よび20mcg/mlと 加 え て そ の最終濃 度を して,さ らに37℃ 置 した 後 こ の反 応 液 中 のMCI-PC濃 buffer(pH7.0)で で1時 間放 置 後 調 整 したMCI-PCの られ た検 量 線 か ら算 出 した0MCI-PCは 合 が 大 で あ るた め,MCI-PCの ン系 薬 剤 の 場 合 と同 様 タ ンデ リー ルに よ る血 清 中濃 度 の 中 の そ れ に くらべ 約1/2に ー ル が10∼400mcg/mlの 上 昇 が 認 め られ た。 従 が つ て タ ンデ リー ル の効 果 は,単 の測 定 値 は 表1の1)の に ペ ニ シ リンお よび セ フ ァ ロ ス ポ リンに特 異 的 で な い こ とが わ か る。 またPASに つ い て は化 学 定 量 法 に よつ て 血 清 中濃 度 を 測 定 した が,こ の方 法 で も タ ンデ リー ル の さ らにin 血清蛋 白との結 血 清 中 で の 力 価 はbuffer な つ て い る。 しか し タ ンデ リ 濃 度 で 共 存 し て もMCI-PC よ うに大 き く変 化 しな い。 vivoの 状 態 に よ り近 くす るた め,図11の 実 験 で 血 清 中 濃 度 に 影 響 のみ られ た タ ンデ リール 投 与 後 1時 間 お よび2時 間 目に採 血 し,血 清 を 分 離 して タ ンデ リール 投 与 前 の血 清 と比較 した(表1の2))。 の 影 響 に 由 来 す る もの で な い こ とが 推 定 され る。 こ れ ら 血 清4.5m1に200mcg/mlのMCI-PC溶 清 中 のMCI-PCの 抗 菌 作 用 に 対 す る タ ンデ リ ー ル の影 響 放 ン酸 標 準 液 か ら得 影 響 が認 め られ る こ とか ら定 量 法 に 対 す る タ ンデ リー ル 2.血 で30分 度 をM/15リ 0.5mlを 加 え,37℃ 定 した結 果,タ す なわ ち, 液 に1時 間 放 置 後MCI-PC濃 ンデ リール はMCI-PC濃 度を測 度 に影 響 を 与 上 記 の 実 験 結 果 か ら タ ンデ リー ル の 併 用 投 与 が 各 種 抗 え なか つ た。 従 が つ て 併用 時 の血 清 中濃 度 の影 響 は蛋 白 生 物 質 の 血 清 中 濃 度 に 影 響 を与 え る こ とが 明 らか に な つ 結 合 へ の タ ンデ リール の 影 響 に よる もの で は な く,ま た た 。 す で に 知 られ て い る よ うに タ ンデ リール は 血 清 蛋 白 微 生 物 定 量 法 に与 え る影 響 に よ る もの で もな い と考 え ら との結 合 が 大 き く,ま た 抗 菌 性 物 質 もそ れ ぞ れ 蛋 白結 合 れ る。 能 力 を もつ て い る。 こ の こ と は 蛋 白 結 合 の 競 合 が 生 VOL. 19 NO. CHEMOTHERAPY 9 図7 MCI-PCの 1089 血 清 中濃 度 にあよ ぼす 図9 ブタゾリジ ンの 影 響 MCI-PCの 血 清 中濃度 にたいする ベ ンジタミンの 影 響 図8 MCI-DCの 図10 MCI-PCの 血清 申濃 皮にたいする タンデ リール投 与量 の影 響 血 清 中濃 度 にたいする インドメ夕シンの 影 響 3. MCI-PCの 血 清 中濃 度 に 対 す る 他 の 消 炎 剤 の 影 響 4. タ ンデ リー ル の 有効 投 与 量 と作 用 発 現 時 間 1群3匹 各 種 抗 生 物 質 の 血 清 中 濃 度 に対 して,タ ンデ リール の mg/kgお の ウ サ ギ に タ ンデ リール を20mg/kg,50 よび100mg/ 併 用 が影 響 を 及 ぼ す こ とが 判 明 した の で 他 の 消 炎 剤,す MCI-PCを20mg/ なわ ち ブ タ ゾ リジ ン,イ ン ドメ タ シ ンお よ び ベ ンジ ダ ミ PC濃 ンにつ い て 同様 の検 討 を 行 な つ た 。 行 なつ た。 図7は ブ タ ゾ リジ ンの 投 与 成 績 を示 した もの 血清 リール をMCI-PCの 血 清中濃度 に影響 を 注 して そ れ ぞ れ 血 清 中 のMCI結 果 に 明 ら か な と お り, 投 与 でMCI-PCの 血 清 中濃 kgの タ 次 に タ ンデ リー ル の作 用 の 発 現 お よび 持 続 性 を 検 討 し た(図11)。1群3匹 も,こ の投 与条 件 で はMCI-PCの 間後に ンデ リール 投 与 で は 認む べ き 効 果 は なか つ た 。 ソ,図9は ベ ンジ ダ ミ ンの 投 与 結 果 で あ るが,両 薬 剤 と 経 口投 与 し,1時 度 は 無 投 与 群 よ り増 強 さ れ た 。 しか し20mg/ 中濃 度 の上 昇 効果 が観 察 さ れ た。 図8は イ ン ド メ タ シ 与 え な かつ た。 kg筋 度 を 測 定 した。 図10の タ ンデ リール50mg/kgの 各薬 剤 とも タ ンデ リー ル の 場 合 と同 一 の条 件 で 投 与 を で あ り,タ ンデ リー ル の投 与 時 と同 様,MCI-PCの kg1回 の ウサ ギ に100mg/kgの 筋 注 前30分,1, 間 に そ れ ぞ れ 経 口投 与 してMCI-PCの 較 した 。MCI-PC投 与前30分 タ ンデ 2, 3お よび6時 血 清 中 濃 度 を比 お よび6時 間 に タ ンデ リ CHEMOTHERAPY 1090 図11 MCI-PCの 血清 中濃 度 におよぼす タンデ リー ル投与 時 点の影 響 図12 DEC. MCI-PCの 1971 組 織 内濃 度 にたいす るタンデ リール の影 響 肝 腎 血 済 タ ンデ リール の分 布 抑 制 の 結 果 に 基 づ くもの で な い と推 定 され る。 6. MCI-PCの 尿 中 排 泄 に 対 す る タ ンデ リー ル の 影 響 上 述 の実 験 結 果 か ら,タ ンデ リール の 効 果 は,タ ンデ リー ル の投 与 に よ り抗 生 物 質 の 生 体 内分 布 が 抑 制 され た 結 果 生 じた もの で は な い こ と,ま た 血 清 蛋 白 と の結 合 に 対 す る 両 者 の 競 合 等 に 基 因 す る も の で もな い こ とが 推 定 ール を 投 与 した例 で はMCI-PCの 血清中濃度 の 増強効 され た。 また 血 清 中 か らのCEZの 果 は 認 め られ な か つ た が,1∼3時 間 前 に タ ンデ リール は 遅 くな る こ とを 示 した 。 そ こで タ ンデ リー ル の効 果 が を 投 与 した 場 合 は,い ず れ もMCI-PCの 単独投与 よ り 消失速度は併用時 で 抗 生 物 質 の排 泄 を強 く抑 制 す る結 果 生 じ るの で は ない か 高 い 血 清 中濃 度 が 認 め られ た 。 タ ンデ リール がMCI-PC と推 定 され る の で併 用 時 お よび 単 独 時 の 尿 中 排 泄 を 比 較 の 血 清 中濃 度 を 増 強 す るた め に は 少 くと も経 口投与 後1 した 。 時 間 を要 す る こ と,お よび 必 要 投 与 量 が実 験動 物 に お い 図13は,ウ て 消 炎 作用 を 発 現 す るに 要 す る投 与 量 とほ ぼ一 致 す る こ を100mg/kg経 とは 興 味 深 い8)。 mg/kg筋 5. MCI-PCの 組 織 内 濃 度 に 対 す る タ ンデ リー ル の タ ソデ リー ル の 併 用 投 与 が 各 種 の抗 生 物 質 の 血 清 中 濃 度 を増 強 す る こ とが わ か つ た ので,次 に組 織 内 濃 度 に 対 して は どの よ うな 効 果 を 与 え る か と い う点 に つ い て 検 討 した。ウ サ ギ3匹 に 血 清 中濃 度 測 定 の場 合 と同 様 に タ ン デ リール を100mg/kg経 を20mg/kg筋 注 し,30分 口投 与 し,1時 間 後 にMCI-PC お よび60分 目に ウサ ギ を 殺 し腎 お よび 肝 を 分 離 した。 同 時 に 血 清 を 採 取 し,こ れ らの 組 織 内お よび 血 清 中 のMCI-PC濃 度を記載の 方 法 で 測 定 した 。 結 果 に 明 らか な とお り,タ ンデ リール の併 用 に よつ て 腎 お よ び肝 のMCl-PC濃 応 してMCI-PC単 腎 内 濃 度 は60分 たMCI-PCと に 常 法 どお り タ ソデ リー ル 口 投 与 し,1時 注 してMCI-PCの 間 後MCI- PCを 20 排 泄 率 を 比 較 した。 図 に 示 す とお り併 用 時 はや や 低 い値 とな つ て い るが 有 意 差 は 認 め られ な い 。 この 実 験 に お い て,採 尿 の 間 隔 を2時 間 毎 影響 図12の サ ギ1群3匹 度は 血清中濃度 と対 独 投 与 時 よ り高 濃 度 とな つ た 。 た だ 値 で 著 明 に この 傾 向が 認 め られ た。 ま 同様 の成 績 がAB-PC, MDI-PC, CEZに お い て 得 られ て い る。 これ らの 結 果 か ら も タ ンデ リール の 併 用 に よ る抗 生 物 質類 の 血 清 中 濃 度 の 増 強 は組 織 へ の と した が,い つ ぼ う血 清 中 の 濃 度 変 化 を み る と,既 述 (図1)の よ うに そ の効 果 は2時 間 以 内 で あ つ て,こ の 図13 MCI-PCの 尿 中 排 泄 にたいする ヲンデ リール の 影 響 VOL. 19 NO. CHEMOTHERAPY 9 1091 影 響 を み るに は この 採 尿 時 間 の 間 隔 で は 差 異 を見 出 しえ 中 か らの 消 失 の ほ と ん どが 腎 か らの 排 泄 とみ な され る の な い と推 定 され る。 しか しさ らに 間 隔 を 短 か く して も技 で,こ の 排 泄 速 度 と関 連 す る腎 ク リア ラ ン ス とを 比 較 す 術 的 な 面 で 精 度 よ く結 果 を 求 め る こ とは 困 難 で あ ろ う。 る と,MCI-PCの しか しな が ら この 結 果 か ら明 らか な よ うに2時 間 単 位 で に よつ て1.6倍 MCI-PCの 併 用 時1.5倍 尿 中排 泄 をみ た場 合,併 用 群 単 独 群 の間に MCI-PCの 腎 ク リア ラ ン スに 対 す る タ ンデ リー ルの影響 ら の消 失 速 度 が遅 れ,そ れ が 単 独 時 と比 較 して 高 い 血 清 中 濃 度 を与 え た もの と考 え られ る。 しか しな が ら この 遅 上 述 の よ うに 尿 中 排 泄 に 対 す る タ ンデ リー ル の影 響 は,2時 低 下 して い る。 この 両 者 へ の影 響 が ほ ぼ 等 しい こ とか ら,腎 ク リア ラ ンス 値 の 低 下 に よつ て血 中 か 有 意 差 は 認 め られ な か つ た。 7. 場 合,消 失 速 度 が タ ンデ リー ル の 併 用 遅 くな つ て お り,腎 ク リア ラ ンス値 は, 間 単 位 の 採 尿 で 得 られ た 結 果 に お い て は 単 独 群,併 用 群 に 有 意 差 は 認 め られ な かつ た。 しか しな が ら 血 清 中 濃 度 の 変 化 と対 応 させ る に は2時 間 間 隔 の 採 尿 で は そ の 影 響 を 見 出 し得 ない と考 え られ るの で,実 験 法 の 項 に 記 載 した 方 法 に 従 がつ て ウサ ギ10例 をcross-over して タ ンデ リール の併 用 投 与 がMCI-PCの 腎 ク リア ラ れ は,2時 間 単 位 で 採 尿 して 得 られ た 尿 中排 泄 へ は 有 意 の 差 と して反 映 しな い もの で あ る。 8. イ ヌ リ ンお よびp-ア ミ ノ馬 尿 酸 の血 清 中濃 度 に お よ ぼ す タ ンデ リー ル の 影 響 タ ンデ リール の 併 用 投 与 が 抗 生物 質 の 腎 ク リア ラ ン ス に 影 響 を 与 え,そ れ ら の血 清 中 濃 度 を 高 め る こ とが わ か つ た の で 次 に そ の 作 用 が腎 の どの 部 位 に 及 ぼ し て い る ン スに 影 響 を 与 え るか ど うか を 検 討 す るた め,タ ンデ リ か,す な わ ち 糸 球 体 濾 過 に対 す る もの な の か,あ ー ル経 口投 与(100mg/ 20mg/ 尿 細 管 分 泌 に 対 す る も の な の か を 検 討 した 。 こ の 目的 の kgを kg),1時 間 後MCI-PC 静 注 した 。 図14に た め に,ほ 併 用 時 お よび 単 独 投 与 時 のMCI-PC腎 ア ラ ンス 値 と,各10例 値 を比 較 す る と単 独 時 が61.2m1/min.,併 ml/min.と クリ の 平 均 値 を 示 した 。 両 群 の平 均 用 時 で は40.6 な り,腎 ク リア ラ ンス 値 が 併 用 時 に お い て単 独 時 の1.5倍 低 下 して い る。 こ れ らの 平 均 値 に つ い て有 意 差 検 定 を行 な うと5%の 既 述 の と お りCEZの とん どが 糸球 体濾 過 の み で 排 泄 され る イ ヌ リ ン,お よび 糸 球 体 濾 過 と尿 細 管 分 泌 の 両 方 で 排 泄 さ れ る こ とが 知 られ て い るPAHの 血 清 中 か ら の 消 失速 度 は タ ンデ した 。 タ ンデ リー ル100mg/kg経 る と30∼90分 倍 遅 くな つ て い る こ とを示 した 。 またMCI-PCに 分 以 後240分 つ い 図14 MCI-PCの 賢 クリアランスにたいする タンデ リールの 影 響 口投 与1時 間 後,イ 注 し,単 独 時 とcross-overで た 結 果 を 図15に リー ル と併 用 す る こ と に よつ て 単 独 時 に くらべ,約1.7 て は 約1.6倍 遅 くな る結 果 を 得 て い る。 こ の よ うな血 清 血 清 中 濃 度 が,タ ン デ リ ー ル の 併 用 投 与 に よつ て どの よ うな 影 響 を うけ る か を 検討 ンを20mg/kg筋 危 険 率 で 有 意 で あ る。 るい は ヌリ 比較 し 示 す 。 両 群 の血 清 中濃 度 変 化 を 比 較 す まで の 高 濃 度 で は差 が 認 め ら れ ず,120 の む し ろ低 濃 度 の とこ ろ で 差 が 認 め ら れ た 。 こ の イ ヌ リンの 場 合 とMCI-PCそ の他 の 抗生物質 の場 合 とは 両 群 の 血 清 中濃 度 変 化 の パ タ ー ンが 異 な る。 図15 イヌリンの血 漬中濃 度 にたいする タンデ リール の 影 響 CHEMOTHERAPY 1092 図16 DEC. 1971 両 薬 剤 の血 清 タン 白 結 合 の 競 合,ま た は タ ンデ リール に P-ア ミノ馬尿 酸 の血 清 中濃 度 にたしす るタンデ リールの 影 響 よ る抗 菌 性 物 質 の 体 内 分 布 抑 制 な どに よ る も の で は な く,腎 ク リア ラン ス 値 の 低 下 に よ る も ので あ る こ とを 明 ら かに した。 さ らに そ の 低 下 は タ ンデ リール が そ れ ら の 薬 剤 の尿 細 管 分泌 を 抑 制 す るた め で あ ろ うと い う結 果 を 得た。 事 実,腎 か ら各 種 薬 剤 の排 泄 に つ い て は 多 くの 研 究 が な され て お り,そ の 中 で尿 細 管 分泌 の 行 な わ れ る2種 の 薬 剤 を 同 時 に 投 与 す る と,互 い に 分 泌 の 競 合 阻 害 を 生 じ 尿 細 管 分 泌 が 抑 制 さ れ る こ とが 知 られ て い る14∼16)。 この よ うな こ とが タ ン デ リー ル と抗 菌 性 物 質 との 間 に も存 在 す るの で は ない か と考 え られ る。 い つ ぼ う,す でに 示 した よ うに タ ンデ リール,ブ タゾ リジ ンは 血 清 中 濃 度 を高 め る 効果 が 認 め られ るが,他 の 消 炎 剤,イ ン ドメ タ シ ン,ベ ン ジ ダ ミン に お い て は 影 響 が 認 め られ なか つ た。 しか しイ ン ドメ タ シ ン,ベ ン ジ ダ これ に 対 して 図16の よ うに イ ヌ リン と同 様 に 投 与 し ミンを 長 期 投 与(約1週 間)す る と タ ンデ リール の 場 合 たPAHの 結 果 で は,タ ン デ リール との 併 用 投 与 に よつ と同 様 の 効 果 が 得 られ る が,大 量 の1回 投 与 で は 無 効 で てPAHの 初 期 濃 度(30分 単 独 時 よ り高 くな り, あ つ た 。 これ ら の結 果 か ら,少 く と も消炎 剤 に よ る抗 生 既 述 の各 抗 菌 性 物 質 の 血 清 中濃 度 変 化 の 場 合 に み られ た 値)が 物 質 の 血 清 中 濃 度 の 増 強 併 用 に 関 す る か ぎ り,イ ン ドメ 結 果 と比 較 的 類 似 して い る。 タ シ ン,ブ これ らの 結 果 か ら,タ ン デ リール の腎 へ の排 泄 併 用 の タ ゾ リジ ン と は異 なつ た挙 動 を示 した。 わ れ わ れ の 上 述 の 基 礎 的 デ ー タ か ら,タ ン デ リー ル と 影 響 部 位 と して は,糸 球 体 濾 過 よ りもむ しろ尿 細 管 分 泌 抗 生 物 質 お よびPASの へ の 影 響 のほ うが大 き い もの と推 察 され る。 PASの 結論 および考察 1952年DOMENJOZ9)は,消 併 用 投 与 は,抗 生物質 お よび 血 清 中濃 度 を高 め,そ れ に対 応 して 組 織 内 濃 度 も高 くなつ て い る が,タ ン デ リ ール の 実 験 動 物 に おけ る 炎 剤 で あ る ブ タ ゾ リジ ン 有 効 投 与 量 は,臨 床 投 与量 よ り も過 大 で 臨 床 的 な併 用 効 の 作 用 を 判 定 した 中 で,本 剤 と同 時 に 使 用 され た 他 の 薬 果 の有 効性 は 臨 床 面 か らの 評 価 に よつ て決 定 され るべ き 剤 の 効 果 が強 化 さ れ延 長 さ れ る と述 べ て い る。 そ して そ も の と考 え られ る。 の 原 因 は排 泄 の遅 延 効 果 に よ る もの で あ ろ う と推 定 して い る。 三 木10)らは,ラ ッ トに つ い て タ ン デ リー ル とペ ニ 参 降矢 ま た権 田11)らも消 炎 剤 と抗 菌 性 物 質 の 併 用 に お け る有 効 性 に つ い て 臨 床 面 か ら検 討 して い る。 & ROTH12)ら は細 菌 感 染 症 に よ る炎 こ とを報 告 し,CONNELL13)ら 3) い る。 わ れ わ れ は,こ れ ら併 用 投 与 に おけ る基 礎 面 に つ い て 各 種 の検 討 を 加 え,タ シ リン,セ ンデ リール と各 種 抗 生 物 質,ペ フ ァ ロス ポ リン,リ フ ァン ピ シン,お ル フ ァ剤 お よびPASの ニ よび サ 併 用 投 与 が これ ら薬 剤 の血 清 中 濃 度 を高 め る こ と,ま た 同 時 に 血 清 中濃 度 に 対応 して 組 織 内濃 度 も上 昇 が 認 め られ る こ とを 明 らか に した。 つ い で こ の原 因 につ い て 検 討 を 加 え,タ ン デ リー ル の 効 果 は 震: ア ミ ノ 安 息 香 酸 類,化 学 の 領 城,増 33,生 化 学 領 域 に お け る 光 電 比 色 法 各 論1, 147∼ 149 (1958) も感 染 性 外 傷炎 に タ ンデ リー ル と抗 生 物 質 の 併 用 投 与 が 効果 的 で あ る と報 告 して 献 2) る こ とを 報 告 して い る。 さ らにBARCZYK 文 MINORU NISHIDA, TADAO MATSUBARA, TAKEO MURAKAWA, YASUHIRO MINE & YOSHIKO YOKOTA : Cefazolin, a new semisynthetic cephalosporin antibiotics. III. Absorption, excretion and tissue distribution in parenteral administfation. J. Antibiotics 23 (4) : 184-494 (1970) シ リンの 併 用 投 与 に よ りペ ニ シ リンの 血 清 中濃 度 が 高 ま 症 に タン デ リール と抗 生 物 質 の 併 用 投 与 が 効 果 的 で あ る 考 1) 4) 刊 p. WARREN D. DAVIDSON & MARVIN A. SACKNER : Simplification of the anthrone method for the determination of inulin in clearance studies. J. Lab. & Clin. Med. 62(2) : 351-356 (1963) HOMER W. SMITH, NORMA FINKELSTEIN, LUCY ALIMINOSA, BETTY CRAWFORD& MARTHA GRABER : The renal clearance of substituted hippuric acid derivatives and other aromatic acids in dog and man. J. Clin. Invest. 24 : 388-404 (1945) VOL. 5) 19 NO. 藤本 守: CHEMOTHERAPY 9 腎 機 能 検 査 法-腎 ク リア ラ ソス 法 とそ の 限 界 ― 。 日 本 臨 床25(6): 6) て 。Jap. C. serum M. WILHELMI, G. der 3, 5- dioxoForsch. J. 10 : Die : 129 Clin. binding Med. : 13) 165(9) 1, 2-Diphenyl- pyrazolidin. dem 14) pharmacological (Butazolidin), Record : 467-472 new & Gen. an.- 田 崎 同,塩 尾 満,尾 田 憲 三: surgery. 1024 藤 周 治,中 川 A LABORATORY 浩,榎 本 AND AGENTS ON THE A study was antibiotics performed on the in rabbits. anti-inflammatory Med. & evaluation agent, Wschr. 91(25) : & LATVEN, K. 208 : New renal 105 K. H., S. R. & renal J. : 203•` H. J. concept & of burbiExper. competitive of inpenicil- (1947) H. F., SCHUCHARDT, and of on excretion : 94-95 Physiol. : Evaluation (1944) Russo, COMBINED R. malonate Pharmacol. tubular clearance Am. A. and G. binding 159 USE TILSON, S.: on E. K., Carinamide plasma : 181-193 pro(1949) OF YOSHIKO YOKOTA MINORU NISHIDA Fujisawa combined Tanderil WALLACE clinical TANDERIL TAKEO MURAKAWA, YOSHIMI WAKAI, and 202, ANTI-INFLAMMATORY INCLUDING Research Laboratories, ROBERT : A succinate of tein. STUDY ANTIBIOTICS H. of Science its 井 俊 宥,伊 F., new 27, (1961) 81 GASS, ErfahrunG (1960) ROUSSELOT K. BEYER, Klinische : 589,-591 hypnosis. lin. 16) ROTH: Schweiz. hibition (1969) 権 田 信 之,藤 正 孝: 感 染 症 に Antiphlogistikum a 764 BEYER, 崎 非 ステ ロ 1023∼ Tanderil, in Therap. 15) 哨,赤 of turate Prac. G. JAMES M. influence (1952) 朋 嗣,岩 山 浩 士,羽 a Med. & 49(23) BEYER, aspects よ ぼ す 影 響 。Chemotherapy17(6): several mit 760•` Arzneim. イ ド性 抗 炎 症 剤 の 急 性 感 染 お よ び 抗 生 剤 療 法 に お 11) W. gen CONNELL, Eigen- von (1960) Inter. 三 木 文 雄,東 BARCZYK, Praxis 65(3) pharmakologischen : Some phenylbutazone 達 郎,杉 penicillin Metaboliten R. tirheumatic. Clin. Lab. 12) (1969) LOUIS 4- n- butyl- DOMENJOZ, of of 性状 につい 387∼393 信,藤 森 一 平,勝 対 す る抗 生 剤 と各 種 抗 炎 症 剤 の 併用 療 法 に 関 す る 研 究 。 第18回 日本 化 学 療 法学 会 総 会 講 演 要 旨 p. 44 (1970) (1965) schaften 10) 新 市,長 田 (1967) 3の 22(5): : Inhibition protein. 416•`431 9) 清 タ ン 白 結 合 の2, J. Antibiotics KUNIN, to 8) 1154∼1174 村 川 武 雄,若 井 芳 美,戸 井 康 子,西 田 実: Penicillin類 と 血 清 タ ン 白 と の 結 合 性 に 関 す る 研 究, Penicillin-血 7) 1093 Pharmaceutical use of anti-inflammatory produced higher serum Co., Ltd. , Osaka agents, and tissue including concentrations Tanderil, and of penicillin, cephalosporin, rifampicin and PAS than when these agents were given alone. This effect of Tanderil may be assumed to be caused by the lowered renal clearance attributable to the inhibitory effect of Tanderil on the tubular excretion. of Tanderil, while no effect was conditions. This phenomenon also occurred with Butazolidin, observed with indomethacin and benzidamin under an analogue the similar