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岩手県保健医療計画
岩手県保健医療計画 (2013−2017) 【概要版】 はじめに 本県では、昭和56年3月に「岩手県地域保健医療計画」を策定して以来、県 民の疾病構造の変化や保健医療に対するニーズの多様化等を踏まえ、計画の見 直しを図りながら、県民だれもが、地域社会の中で安心して保健・医療・介護・ 福祉のサービスが受けられる「健康安心・福祉社会」の実現に向け、施策の推 進に取り組んできました。 県民及び関係各位のたゆまぬ努力により、これまで計画の着実な推進が図ら れ、医療機関相互の役割分担と連携による質の高い医療を効率的に提供する体 制の構築が展開されてきたところです。 しかしながら、医師不足をはじめとする現在の厳しい医療環境や高齢化が進 展する中にあっては、医療機関相互の役割分担と連携のみならず、保健・医療・ 介護・福祉との連携を一層深めながら、疾病予防や急性期医療から在宅に至る まで切れ目のないサービスを提供する体制を構築していくことが求められてお り、このような保健医療を取り巻く環境の変化に適切に対応していくため、今般、 平成29年度までを計画期間とする「岩手県保健医療計画」を策定しました。 また、本計画においては、平成23年3月11日に発生した東日本大震災津波に より被災した医療提供体制の復興を着実に進め、 「岩手県東日本大震災津波復興 計画」とも連動させながら、災害に強く、質の高い医療提供体制の構築を目指 すこととしています。 本計画に掲げた様々な取組は、行政のみならず、県民一人ひとりの「自らの 健康は自分で守る」という意識と実践、関係各位の意欲的な参画があって初め てその成果が期待されるものです。 今後、この計画に基づき、市町村や医療をはじめ保健・介護・福祉の関係者、 各種団体等との連携を図りながら、「県民総参加型」による保健医療体制づくり を進めていきます。 岩手県 第1章 計画の基本的事項 ◆計画の性格 本計画は、関連施策に関する計画と調和を保ちながら、患者本位の、良質かつ適切な医療を効率的に提 供する体制を構築し、県民の医療に対する信頼の確保を目指し、県民だれもが、地域社会の中で、安心して、 保健・医療・介護(福祉)のサービスが受けられる体制の確保を図るための総合的な計画です。 ◆計画の期間 2013年度(平成25年度)を初年次とし、2017年度(平成29年度)を目標年次とする5か年計画です。 第2章 岩手県の現状 人口の推移と将来推計 入院患者の受療の動向 本県の高齢化率は平成12年に21%を超えて超 高齢社会が到来。 少子高齢化の進展で人口は年々減少。 高齢者人口は平成37年に41万人となるまで増加。 二次保健医療圏内での入院の完結率は盛岡の 97.7%が最も高く、各圏域からの盛岡への患 者の流入が多い。 66.6% 160 86.8% 久慈 久慈市 一戸町 97.7% 35 140 九戸村 二戸市 40 将来推計 洋野町 軽米町 二戸 (%) (万人) 野田村 八幡平市 普代村 葛巻町 岩手町 雫石町 60 15 40 10 ■年少人口(15歳未満) ■生産年齢人口(15∼64歳) ■高齢者人口(65歳以上) ■高齢者人口割合(右軸) 主な死因別の死亡状況 本県の死因の約3割は悪 。 性新生物(がん) 標準化死亡比(全国100) は、脳血管疾患及び心疾 患が全国よりも高く近年 も上昇。 78.4% 山田町 花巻市 西和賀町 大槌町 岩手中部 遠野市 釜石 北上市 圏域内の 入院完結率 釜石市 金ケ崎町 住田町 奥州市 72.5% 大船渡市 気仙 胆江 陸前高田市 平泉町 5%以上: 10%以上: 両磐 81.9% 一関市 20%以上: 医師数の状況 その他 26% 肺炎 10% 脳血管 疾患 13% がん 27% 心疾患 17% 本県の人口10万人当たりの医師数は193.7人 で増加傾向。 一方、全国との較差は拡大する傾向。 (人) 2,800 岩手県 193.7 191.4 脳血管疾患 149.8 150 (人口10万人当たり) 250 全国 230.4 不慮の事故 4% 自殺 3% 160 2,600 168.5 2,569 140 2,469 2,400 130 2,392 2,594 110 200 2,576 150 2,499 2,457 2,390 心疾患 115.8 120 100 2,200 全国平均 50 97.8 悪性新生物 90 80 平成2 (1990) 7 (1995) ■悪性新生物 1 宮古市 紫波町 【入院患者の受療動向】 0 昭和40 45 50 55 60 平成2 7 12 17 22 24 27 32 37 42 47 0 (1965)(1970)(1975)(1980)(1985)(1990)(1995)(2000)(2005)(2010)(2012)(2015)(2020)(2025)(2030)(2035) 宮古 81.1% 5 20 100 盛岡市 矢巾町 20 80 73.7% 岩泉町 滝沢村 75.3% 25 100 田野畑村 盛岡 30 120 12 (2000) ■心疾患 17 (2005) ■脳血管疾患 22年 (2010) 2,000 平成8 (1996) 10 (1998) ■医師数 12 (2000) 14 (2002) 16 (2004) 岩手県 (右軸) 18 (2006) 20 (2008) 全国 (右軸) 22年 (2010) 0 第3章 保健医療圏と基準病床数 保健医療圏 保健医療圏は、地域の特性や保健医療需要に対応 して、保健医療資源の適正な配置を図りながら、こ れらを有効に活用し、包括的な保健医療サービスを 適切に提供するために設定する地域的単位です。 ◆二次保健医療圏 入院医療を中心とする一般の医療需要に対応す るほか、広域的、専門的な保健サービスを効果的、 効率的に提供するための圏域であり、右図のとお 二 戸 久 慈 盛 岡 宮 古 り9圏域を設定しています。 岩手中部 ◆三次保健医療圏 特殊な医療需要に対応する医療サービスや高度 かつ専門的な保健サービスを提供するための圏域 釜 石 であり、岩手県全域を設定しています。 胆 江 気 仙 二次保健医療圏界 市町村界 両 磐 ※「滝沢村」は、平成26年1月1日に 「滝沢市」に移行します。 基準病床数 基準病床数は、二次保健医療圏における療養病床及び一般病床並びに三次保健医療圏における精神病床、 感染症病床及び結核病床について算定するもので、本県では下表のとおりです。 この基準病床数は、病院及び診療所の病床の適正配置を図るために算定するものであり、既存病床数が基 準病床数を上回る圏域においては病院の病床等の新設又は増床が制限されますが、今ある病床を基準病床 数まで減らすものではありません。 病床の種別 療養病床 及 び 一般病床 精神病床 感染症病床 結核病床 圏 域 既存病床数 基準病床数 (平成24年9月30日現在) 盛 岡 4,917床 6,245 床 岩手中部 1,616床 1,880 床 胆 江 1,372床 1,442 床 両 磐 1,062床 1,220 床 二次保健 気 仙 546床 579 床 医 釜 石 391床 764 床 宮 古 578床 719 床 久 慈 342床 514 床 二 戸 333床 526 床 合 計 11,157床 13,889 床 県の区域 4,220床 4,454 床 県の区域 40床 40 床 県の区域 30床 137 床 療 圏 三次保健 医 療 圏 2 第4章 保健医療提供体制の構築 良質な医療提供体制の整備 がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精 神疾患及び認知症の疾病と周産期医療、小児 救急医療、救急医療、災害時における医療及 びへき地医療の事業について主要な疾病・事 業と位置づけ、医療機関の有する機能を明確 にし、役割分担を促進します。 紹介・転院 救急・検査・ 手術 etc. 入院・ リハビリ etc. 診察・通院 etc. 紹介・照会 紹介・照会 疾 病(主な取組) がん ◆がんの予防・早期発見 ➡たばこ対策の強化、がん 検診受診率の向上 ◆がん医療 ➡がん診療連携拠点病院 の整備、チーム医療の推進、緩和ケアに関する相 談・支援体制の強化 ◆がんに関する情報提供・相談支援 ➡がんに関する正しい知識の普及、職場におけるが ん患者の就労に対する理解促進・相談支援体制の 充実 急性心筋梗塞 ◆急性心筋梗塞の予防 ➡脂質異常症などの危険因 子に関する知識の普及、 特定健康診査・特定保健 指導の徹底 ◆応急手当、病院前救護 ➡救命率向上のためのAED設置場所の周知、心肺 蘇生法の県民に対する普及・啓発の推進 ◆急性心筋梗塞の医療 ➡専門的な診断・治療を行う医療機関の機能強化、 外来通院型心臓リハビリテーションの普及 精神疾患 ◆こころの健康づくりの推進 ➡精神疾患に関する正しい知識の普及・啓発 ◆精神科医療体制の整備、救急医療の充実強化 ➡精神科医療機関ネットワークによる連携体制の整 備、 精神科救急の適正受診の促進 ◆地域移行の推進 ➡精神障がい者が地域で安心して生活できる地域 生活支援体制の強化 ◆自殺予防の推進 ➡うつ病の早期発見から適切な支援や治療につな げる取組の促進 3 脳卒中 ◆脳卒中の予防 ➡高血圧などの危険因子に関 する知識の普及、生活習慣の 改善促進 ◆応急手当、病院前救護 ➡救急車両等の整備支援による救命率の向上・患者 搬送機能の強化 ◆脳卒中の医療 ➡専門的な治療を行う医療機関の機能充実、患者の 診療情報や治療計画を共有する地域連携クリティ カルパスの導入の推進 糖尿病 ◆糖尿病の予防・早期発見・早期治療 ➡生活習慣の改善促進、特定健康診査・特定保健指 導の徹底、糖尿病未受診者等への受診勧奨 ◆初期・安定期治療 ➡身近なかかりつけ医による治療の支援、糖尿病連 携手帳による医療機関における患者情報の共有 化 ◆専門治療、急性増悪時治療 ➡地域連携クリティカルパスの導入などによる医療 連携体制の整備 認知症 ◆認知症の予防と早期対応 ➡認知症介護予防推進プログラムの普及、認知症の 初期対応ができるかかりつけ医の拡充 ◆認知症医療体制の充実 ➡岩手県認知症疾患医療センターを中核とした支 援体制の充実 ◆地域での日常生活・家族の支援の強化 ➡認知症に関する正しい知識と理解の普及、家族の 休息を支援するサービス制度の周知 事 業 周産期医療 ◆妊産婦の負担軽減 ➡医療機関と市町村の連携 による岩手県周産期医療 情報ネットワークを活用し た妊産婦の健康のサポート ◆医療従事者の負担軽減 ➡産科医師3人以上体制の確保、助産外来や院内助 産などによる医師と看護師の連携の推進 ◆周産期医療体制の整備 ➡周産期母子医療センターの医療機能の充実 救急医療 ◆病院前救護活動の充実 ➡心肺蘇生法の普及、 AED の設置施設の県民への 救急救命士に医師が指導・助言するメディカ 周知、 ルコントロール体制の充実 ◆救急医療提供体制の整備 ➡24時間対応の第二次救急医療体制の整備・充実、 ドクターヘリのヘリポート整備、北東北3県におけ るドクターヘリの広域連携運航実施など県境を越 えた救急医療体制の構築 へき地医療 ◆へき地等の医師の確保 ➡地域医療支援センターや事業協力病院との連携 プライマリ・ケアを実践でき による代診医の確保、 る医師の育成 ◆へき地等の医療提供体制の充実 ➡へき地医療を担う医療機関への支援、へき地等で 勤務する看護師等医療スタッフの養成・確保 医療連携における歯科医療の充実 生活習慣病の発症リスクの低減や患者の予後の 改善等を図るため、医科と歯科医療機関との連携に よる取組を促進します。 ➡がん治療における口腔ケアの推進 ➡脳卒中発症後の捕食・咀嚼・食塊形成・嚥下などの 口腔機能の回復、口腔の細菌除去や誤嚥性肺炎の 予防に向けた専門的な口腔ケアの取組の推進 ➡急性心筋梗塞の術後におけ る合併症の予防、急性心筋梗 塞の発症(再発)のリスク低下 に寄与する専門的口腔ケア、 歯周治療の取組の推進 小児救急医療 ◆相談支援機能等の整備・充実 ➡小児救急医療相談電話事業の実施・利用促進に向 けた県民への周知 ◆小児救急医療体制の整備・充実 ➡適切な医療機関の選択を支援する情報提供、小児 救急輪番制(盛岡保健医療圏)の運営支援・他保健 医療圏からの小児救急患者を受入れるためのベッ ドの確保、重篤な小児救急患者に対応するための 救命救急センターの体制の充実 災害時医療 ◆災害拠点病院の機能強化 ➡病院施設の耐震化の促進、 災害時に備えた自家発電装 置の整備・燃料等の備蓄・通信機器の整備の促進 ◆DMAT等医療従事者の派遣 ➡DMATの災害医療技術の習熟、活動調整機能の 強化 ◆災害中長期の応援派遣 ➡地域における災害医療コーディネート機能を担う 体制の強化、災害医療コーディネーターの配備 在宅医療 在宅医療の充実に向けて、医療及び介護等の サービスが切れ目なく継続的に提供されるよう、 地域における機能分担や多職種連携の体制を整 備するほか、在宅医療に関わる医療及び介護従事 者の育成・確保や県民の在宅医療への普及啓発 のための取組を推進します。 ◆退院支援 ➡退院支援担当者の配置など による退院調整機能の強化 ◆日常の療養支援 ➡患者及び家族を適切に支え る地域医療連携体制の構築 ◆急変時の対応 ➡24時間対応が可能な連携体制づくりの推進 ◆看取りのための体制構築 ➡望む場所で看取りを行えるよう在宅医療を担 う機関の連携を推進 疾病及び在宅医療の医療機能を担う医療機関の名称は、 岩手県公式ホームページ及び行政情報センター・サブセ ンター(県庁舎・各地区合同庁舎)で御覧になれます。 (岩 手県公式ホームページ:http://www.pref.iwate.jp/) 4 保健医療を担う人材の育成・確保 医 師 医師の地域偏在解消のための奨 学金養成医師の適正配置に向け た仕組みづくり 女性医師の離職防止や再就業支援 臨床研修病院等における質の高 い教育指導の環境づくりによる 医師のキャリア形成と県内定着 の推進 医師のライフステージに応じた 教育・研修体制の充実 薬剤師 看護職員 県内外の薬学生に対する就業の きっかけづくりによる卒業生の 県内への定着の推進 薬剤師の生涯教育や各種認定薬 剤師の養成など各種研修会の充 実 薬学生の病院や薬局での実務実 習の受入れ体制の充実 沿岸地域における薬剤師確保対 策の推進 中・高生向けの 進学セミナーや 看護体験による看護職員養成施 設への入学者拡大の推進 看護職員修学資金貸付など看護 学生への県内就職の働きかけに よる県内就業率の向上 看護職員の離職防止に向けた勤務 環境の整備や資質向上への支援 ナースセンターによる潜在看護 職員の再就業支援 地域保健医療対策の推進 障がい児・者保健 県立療育センターの移転改築整備を進め、療育支援 体制を強化 障がい児を受入れる保育所等の拡充 障がい者のリハビリテーション体制の整備 移植医療 県民に対する移植医療の普及・啓発 県民の臓器提供意思表示や骨髄提供希望登録の促進 日本臓器移植ネットワークと連携した院内コーディ ネーター養成などによる医療機関の体制整備の支援 歯科保健 「岩手県口腔の健康づくり推進条例」に基づく県民 の口腔の健康づくりの総合的な推進 子どもの健全な口腔の育成及び機能の向上のための 地域歯科保健と学校歯科保健の連携の支援 歯周疾患検診の実施率等の向上に向けた市町村支援 官民一体となって新型インフルエンザ等の発生を想 定した対策を推進 「岩手県肝炎対策計画」に基づく総合的な肝炎対策 の推進 各種感染症に関する正しい知識や予防法の周知 難病医療等 難病医療拠点病院・協力病院と地域の医療機関の連 携による難病医療体制の整備の推進 岩手県難病相談・支援センターによる相談・支援 母子保健医療 妊産婦・乳幼児への母子保健サービスの充実 岩手県周産期医療情報ネットワーク「いーはとーぶ」 を活用したきめ細かな保健指導の実施 父親の育児参加の促進などによる育児支援の充実 血液の確保・適正使用対策 医薬品等の安全確保と適正使用対策 「岩手県献血推進計画」による血液製剤の安定的供給 献血キャンペーンの実施や移動採血車受入れ施設の 確保による献血の推進 今後の献血を担う若年世代の献血意識向上に向けた 取組の推進 薬局機能情報システムでの分かりやすい情報の提供 により薬局の適切な選択を支援 「お薬手帳」の普及・活用の推進 「薬と健康の週間」を活用した薬の正しい知識の普 及 薬物乱用防止対策 医療に関する情報化 薬物乱用防止指導員による普及・啓発の推進 学校、警察等と連携した薬物乱用防止教室等の開催 県精神保健福祉センター等による薬物相談対応 5 感染症対策 いわて医療情報連携ネットワークシステム(仮称) 等を活用した遠隔放射線画像診断・遠隔病理診断の 推進 オーダリングシステムや電子カルテの一層の普及 保健・医療・介護(福祉)の総合的な取組の推進 健康づくり 地域包括ケア 健康いわて21プラン(第2次)を策定し、本県の健 康づくりを推進 健康的な食生活習慣・運動習慣の定着 地域の健康づくりを推進する人材の養成 地域リハビリテーション 医療・介護連携の体制整備への支援 市町村による地域包括ケアシステム構築への支援 介護サービス人材の確保 健康危機管理体制 医療と介護の連携による切れ目のないリハビリテー ション提供体制の整備 理学療法士、作業療法士、言語聴覚士等の専門職員 の確保と資質の向上 地域保健・医療に関する調査研究 健康危機事案ごとのマニュアルの整備 健康危機管理に対する職員の意識の醸成と対応能力 の向上 県民や関係者への的確な情報提供と注意喚起の徹底 医療費適正化 岩手県環境保健研究センターによる健康課題や健康 危機に対応した調査研究の推進 環境保健総合情報システムの機能の充実 特定健康診査の受診率や特定保健指導の実施率の向 上等による住民の健康の保持の推進や、病院・病床 機能の分化・強化による医療の効率的な提供を図る ための取組により医療費適正化を推進 第5章 医療連携体制構築のための県民の参画 これまで医療の問題は、主に医療機関や医療従事者など医療提供 者からの視点で議論されてきましたが、県民も「医療の担い手」 であるという意識を持って地域医療を支えていくことが必要です。 一方で、 「大きな病院と診療所(開業医)の役割分担」に対する 県民の認知度は半数程度で推移しており、地域医療に対する県民 の意識の高まりは途上にあると考えられます。 ■病院と診療所の役割分担に対する県民の認知度 平成20 (2008) 47.5 50.3 2.2 22 (2010) 50.1 47.8 2.1 24年度 (2012) 0% 52.0 20% 42.9 40% 60% 5.1 80% 100% ■知っている ■知らない ■不明 ■地域医療を支える普及・啓発ポスター 県民も医療の担い手であるという認識のもと、「自らの健康は自 分で守るとの意識」や「病状や医療機関の役割分担に応じた受 診行動」を喚起することなど、保健医療・産業・学校関係団体 及び行政等の機関が一体となりながら、引き続き、県民一人ひ とりが地域の医療を支える「県民総参加型」の地域医療体制づく りを進めていきます。 第6章 東日本大震災津波からの復興に向けた取組 平成23年3月11日に発生した東日本大震 災津波により、本県の医療提供施設は、沿 岸部を中心に甚大な被害を受けました。 今後、地域におけるまちづくり計画と住 民のニーズに対応した施設等の基盤整備 を図る必要があります。 また、地域の復興と生活の回復に至るま で、中長期的にこころのケアの取組を継 続していくことが必要です。 ◆被災地の医療提供体制の再建 ➡公的医療機関・民間立診療所等の再建支援による沿 岸被災地におけるプライマリ・ケアの早期回復 ◆ICTを活用したネットワークの再構築 ➡岩手医科大学附属病院と被災地の中核病院等における診 療情報システムの構築による診療情報の共有基盤の強化 ◆被災地におけるこころのケアの推進 ➡岩手県こころのケアセンター・地域こころのケアセンター 等による被災者・支援者に対するこころのケアの推進 6 第7章 計画の推進と評価 施策を着実に推進するため、あらかじめ数値目標を設定し、いわゆる“PDCAサイクル”を取り入れながら、 計画の進行管理を行います。 本計画の進捗状況については、県の政策評価の取組と連動して、数値目標の達成状況、施策の取組結果など、 岩手県医療審議会において、毎年度、評価・検証を行います。 また、各保健医療圏においても、各保健医療圏に設置する保健所運営協議会や圏域医療連携会議等の場に おいて、地域で情報を共有しながら評価・検証を行い、全県及び保健医療圏における評価・検証の結果を 本計画の推進に反映していきます。 主な数値目標 分 野 がん 疾 脳卒中 急性心筋梗塞 病 糖尿病 目標項目 75 歳未満のがんによる年齢調整死亡率 (人口 10 万対) 脳血管疾患による年齢調整死亡率 (人口 10 万対) 急性心筋梗塞による年齢調整死亡率 (人口 10 万対) 特定健康診査の受診率 特定保健指導の実施率 現 状 値 男 性 女 性 男 性 女 性 目 標 値 [H23]85.7 [H29]72.8 [H22]70.1 [H22]37.1 [H22]22.8 [H22]8.0 [H22]40.7% [H22]17.4% [H29]63.6 [H29]35.3 [H29]21.0 [H29]7.6 [H29]70.0% [H29]45.0% 事 業 精神疾患 1 年未満入院者の平均退院率 [H22]72.2% [H26]79.3% 認知症 認知症疾患医療センター設置数 [H24]1 か所 [H29]5 か所 周産期医療 周産期死亡率(出産千対) [H23]4.9 [H29]4.1 小児救急医療 小児救急電話相談の実施率(15 歳未満人口千対) [H23]23.8 [H29]35.7 救急医療 心源性でかつ一般市民により心肺機能停止の時点が [H23]7.5% 目撃された症例の 1 か月後生存率 [H29]11.4% 災害時医療 全ての建物に耐震性のある病院の割合 [H24]56.0% [H29]70.0% へき地医療 へき地医療拠点病院の数 [H24]2 施設 [H29]3 施設 在宅医療 在宅医療連携拠点数 医 師 保健医療を担う人材の確保・ 薬 剤 師 育成 看 護 職 員 医療費適正化 病院勤務医師数(人口 10 万対) 薬剤師数(人口 10 万対) 看護職員数(常勤換算) 平均在院日数(介護療養病床を除く)の短縮 医療連携体制構築のための 大きな病院と診療所の役割分担の認知度 県民の参画 [H29]9 ( 各圏域 1 か所 ) [H22]117.5 人 [H26]125.3 人 [H22]159.6 人 [H28]172.0 人 [H22]15,704.4 人 [H27]17,170.6 人 [H24]2 [H23]33.4 日 [H29]30.0 日 [H24]52.0% [H29]57.0% 地 域 編 各圏域において計画期間の5年間に重点的に取り組む事項について、圏域ごとに設置している保健所運営 協議会や圏域医療連携会議等の場において検討し、地域における現状と課題、取組の方向を取りまとめたも のを記載しています。 「岩手県保健医療計画」の全文は、岩手県公式ホームページ及び行政情報センター・サブセンター(県庁舎・各地区 合同庁舎)で御覧になれます。 (岩手県公式ホームページ:http://www.pref.iwate.jp/ 岩手県保健医療計画 で検索) 岩手県 【保健福祉部医療政策室】 〒020-8570 岩手県盛岡市内丸10番1号 TEL:019−629−5492 FAX:019−626−0837 メールアドレス:[email protected] 7