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液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の運用及び解釈について等の一部改正に
ついて
平成28年4月8日
経 済 産 業 省
商 務 流 通 保 安 G
ガ ス 安 全 室
1.改正の趣旨
◇液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(昭和 42 年法律第 149 号。以下「液化
石油ガス法」という。
)に定める液化石油ガス販売事業は、保安の観点からガス事業法(昭和 29
年法律第 51 号)における簡易ガス事業などと一定の類似性を有している。例えば、ボンベやバル
ク貯槽等の供給設備、瞬間湯沸器といった燃焼器等の中には、同一仕様の設備・機器を使用して
いる場合が多い。しかし、両法においては、保安の確保に関する制度体系が異なることから、技
術基準等の保安規制の面において様々な相違点が存在する。
◇今般、電力・ガスシステム改革によって、電気事業・ガス事業の小売全面自由化が行われる予定
であり、エネルギー事業者間の垣根が一層低くなり、既存のエネルギー企業が様々なエネルギー
供給サービスを行う「総合エネルギー企業」へと発展することが期待されている。そのため、今後
は、液化石油ガス販売事業とガス事業の相互参入・競争も想定されることから、技術基準等の保
安規制のうち、技術的に同等の評価が可能なものに関しては、可能な限り整合化を図ることが重
要である。
◇産業構造審議会の液化石油ガス小委員会及びガス安全小委員会において、液化石油ガス法とガス
事業法との「保安規制の整合化」について了承が得られたことから、以下の通達について、所要
の改正を行う。
・液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の運用及び解釈について
(20140901 商局第3号。以下「法運用通達」という。
)
・液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規則の運用及び解釈
について(20140901 商局第3号。以下「規則運用通達」という。)
・ガス工作物技術基準の解釈例(20140313 商局第6号。以下「解釈例」という。
)
2.改正の内容
(1)法運用通達の一部改正について(調査における不在時対応(第 34 条関係)
)
(ⅰ)現行制度の概要
◇ガス事業法における消費機器調査では、ガス事業者は、需要家不在により調査を行うことができ
なかった場合、再度調査を行うこととしている。また、調査のために3回以上訪問したが、不在
により実施できなかった場合には、
「不在需要家」としてその数を調査結果年報に記載して報告し、
需要家による「調査拒否」と同様の取扱いをすることとしている(ガス事業法施行規則(昭和 45
年通商産業省令第 97 号)第 111 条第1項)
。
◇他方、液化石油ガス法における消費設備調査では、一般消費者等の不在時における販売事業者(保
安機関)の対応について、何ら規定していない。そのため、販売事業者(保安機関)は調査が可
1
能となるまで訪問し続けている実態があり、調査対象、調査内容等が実質的に同一であるにもか
かわらず、両法で差異が存在している。
(ⅱ)具体的な改正内容
◇液化石油ガス法における調査等についても、調査等のために3回以上訪問したが不在により実施
できなかった場合には、一般消費者等による「調査拒否」として取り扱うこととし、液化石油ガ
ス法とガス事業法を整合化する。
(2)規則運用通達の一部改正について
①一部承継時の供給設備点検、
消費設備調査及び周知の取扱い
(第 36 条、
第 37 条及び第 38 条関係)
(ⅰ)現行制度の概要
◇液化石油ガス法では、供給設備点検及び消費設備調査の頻度として、
「4年に1回」以上等の頻度
で行うことに加えて、
「供給開始時」に行うこととしている。また、周知の頻度に関しても、
「2
年に1回」以上等の頻度で行うことに加えて、
「供給開始時」に行うこととしている。
◇その上で、液化石油ガス販売事業者が他の液化石油ガス販売事業者と合併など承継を行った際に、
液化石油ガス法第 10 条による全部承継(※)を行った場合には、
「供給開始時」には該当しないと
して、再度の点検・調査・周知を行うことは求めていない。しかしながら、事業の一部の承継を
行った場合には、供給開始時の点検・調査・周知を行っているのが実態である。
(※)事業の全部の譲り渡し又は相続若しくは合併があった場合
◇他方、ガス事業法では、漏えい検査及び消費機器調査の頻度として、
「40 月に1回以上」等の頻
度で行うことに加えて、
「供給開始時」に行うことが一般的であるが、全部承継・一部承継を行っ
た場合には、再度の検査・調査を行うこととはしていない。また、周知に関しても、ガスの使用
の申込みを受け付けたときに実施しているところ、全部承継・一部承継を行った場合には、
「ガス
の使用の申込みを受け付けたとき」に該当しないとして周知を行っておらず、液化石油ガス法と
差異が生じている(ガス事業法施行規則第 106 条第1項第2号イ及びロ)
。
(ⅱ)具体的な改正内容
◇液化石油ガス法において、他の液化石油ガス販売事業者の事業の全部だけでなく一部を承継した
ときも、
「供給開始時」には該当せず、再度の点検・調査・周知を求めないこととし、両法を整合
化する。
②需要家が不在である場合の保安機関の報告内容(第 132 条関係)
(ⅰ)現行制度の概要
◇ガス事業法では、ガス事業者に対し、
「消費機器調査結果年報」を産業保安監督部長に毎年報告す
ることを義務付けている(ガス事業法施行規則第 111 条第1項)
。また、ガス事業者が報告する「消
費機器調査結果年報」のフォーマットを定め(ガス事業法施行規則様式第 60)
、
「調査が完了した
需要家数」に加え、
「調査を拒否した需要家数」及び「不在需要家数」を記載することとしている。
◇同様に、液化石油ガス法においても、液化石油ガス販売事業者から保安業務の委託を受け、又は
自ら保安業務を実施している保安機関に対して、
「保安業務実施状況報告」を経済産業大臣、産業
保安監督部長又は都道府県知事に毎年度報告することを義務付けている(液化石油ガスの保安の
確保及び取引の適正化に関する法律施行規則(平成9年通商産業省令第 11 号。以下「液化石油ガ
ス法施行規則」という。
)第 132 条)
。しかし、規則運用通達において示している「保安業務実施
2
状況報告」のフォーマットでは、
「調査を実施した一般消費者等の数」のみを記載することとして
いる。
(ⅱ)具体的な改正内容
◇液化石油ガス法における消費設備の再調査に関しては、2.
(1)のとおり、ガス事業法と整合化
することを踏まえ、
「保安業務実施状況報告」のフォーマットを改正し、
「調査を拒否した一般消
費者等の数」や「不在一般消費者等の数」に関する記入欄を設けることで、液化石油ガス法とガ
ス事業法を整合化する。
(ⅲ)その他
◇保安機関は液化石油ガス法第 29 条第1項の認定を申請する際には、同条第3項の規定により保安
業務に係る一般消費者等の数の範囲を定めることとしており、行政庁は保安業務計画書に記載さ
れた一般消費者等の数に基づき、必要な保安業務資格者が確保されているかなど、技術的能力を
審査している(液化石油ガス法施行規則第 30 条第2項第1号)
。
◇その上で、保安機関が当該一般消費者等の数を増加する場合には、液化石油ガス法第 33 条第1項
の認可を受けることとしており、その際には保安業務計画書を行政庁に再提出することとしてい
る(液化石油ガス法施行規則第 35 条第1項)
。
◇今般、保安機関が当該認可を受けずに、認められた一般消費者等の数の範囲を超えて、保安業務
を受託し、又は自ら行っている事例が散見されることから、今般の改正に合わせて、
「保安業務実
施状況報告」に「保安業務計画書に記載した数」及び「保安業務を行うべき数」の欄を追加し、
法執行の円滑化を図ることとする。
(3)解釈例の一部改正について(対象物を有効に保護するための措置(第3条関係)
)
(ⅰ)現行制度の概要
◇ガス事業法では、ガス工作物に関し、その外面から保安物件(学校、病院等)に対し、距離を確
保することを求めている(ガス工作物の技術上の基準を定める省令(平成 12 年通商産業省令第
111 号。以下「技術省令」という。
)第6条第2項)
。
◇また、
当該距離を短縮することができる代替措置として、
「厚さ 12 センチメートル以上、
高さ 1.8
メートル以上の鉄筋コンクリート造り若しくはこれと同等以上の強度を有する構造の障壁」の設
置を定めている(ガス工作物の技術上の基準の細目を定める告示(平成 12 年通商産業省告示第
355 号)第4条)
。
◇同様に、液化石油ガス法においても、供給設備等から保安物件に対し距離を確保することを求め
ているとともに、当該距離を短縮することができる代替措置として、
「厚さ 12 センチメートル以
上の鉄筋コンクリート造り又はこれと同等以上の強度を有する障壁」等の設置を定めている(液
化石油ガス法施行規則第 14 条第3号等)
。
◇さらに、液化石油ガス法においては、当該障壁の構造に求められる要件として、
「対象物を有効に
保護できるものであること」を液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律施行規
則の例示基準(平成 14・11・26 原院第6号)
「2.障壁」において規定している。
◇他方、ガス事業法においては、解釈例において規定がなく、当該障壁の構造に求められる要件が
規定されていない。
(ⅱ)具体的な改正内容
3
◇保安物件に対する離隔距離を確保する目的は、ガス工作物が爆発等により保安物件に影響を及ぼ
さないようにするためである。そのため、ガス事業法においても、液化石油ガス法と同様に、当
該距離を確保できない場合に設ける障壁に対し、
「保安物件を有効に保護」する役割を求めること
が、保安上必要であると考えられる。
◇このことから、ガス事業法における障壁についても、解釈例において「対象物を有効に保護でき
るものであること」を明確化し、液化石油ガス法と整合化する。
3.今後のスケジュール
公布・施行 平成 28 年5月(予定)
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