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たかが目の不快感、されど・・・

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たかが目の不快感、されど・・・
NHK総合テレビ 毎週水曜日・午後8時から放送中
http://www.nhk.or.jp/gatten/
2011年4月6日放送
目が乾く、かすむ、涙目、ゴロゴロ、充血、ショボショボ・・・
誰もが一度は経験する目に起こる不快感。
様々な自覚症状を訴えるものの、原因となる病気が見つからないことも多く、
これまでただの「疲れ目」や「年のせい」などと考えられてきました。
目薬をさしてはみるものの、どうもきいてるんだか、きいてないんだか・・・。 実は、その不快感の影に驚くべき真犯人がいたのです!
それは、眼球のたるみと眼球のシミ。
しかも60代以上のほぼ100%がこの異常をもっているというのです!
目の不快感の意外なメカニズムと治療・予防法をバッチリお伝えします!
たかが目の不快感、されど・・・
今回取り上げるテーマは、誰しも経験のある 目の不快感 。
物が見えなくなってしまうような重篤な目の病気ではありません。
これまでこうした目の不快感の多くが
不定愁訴 (原因不明で、漠然とした不調の訴え)とされ、片づけられてきました。
自分におきかえて考えてみると・・・
目の乾きが気になって、仕事に集中できない。
大好きなテレビが涙でゆがんで見えにくい。
大事な人と会うときに目が真っ赤。
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自らの不快感ばかりでなく、人からどう見られているかさえ気になります。
しかも病院に行っても、原因がわからず、
「疲れ」「年のせい」などと大ざっぱな言葉で片づけられてしまったら・・・
これは相当なストレスです。
でも皆さんを悩ませていた、その不快感の原因が今回ハッキリわかるかもしれません。 しかも、自分でチェックもできます。有効な治療法もあります。
一人でも多くの方が、目を気にしない日常に戻れるように願っています。
不快感の真犯人。
正体を解き明かすために、まずは、ちょっと不思議な症状を持つ患者さんの例から
ご紹介します。
Aさんは3年前から、ある不可解な症状にさいなまれています。
それは・・・
涙があふれるのに目が乾いた感じがするというのです。
Aさんの感じている不思議に迫るために、
スタジオではゲストが"まばたきを我慢"してみました。
すると、「痛い」「乾く」「ショボショボする」・・・など
人によってさまざまな不快感が感じられました。
しかし、まばたきすれば嘘のように何事もなくなります。
これは、まばたきが涙を均一に広げてくれるため。
ところが!Aさんにまばたきをしてもらうと 症状が変わらない
さらに同じように涙目と乾きに悩まされるBさんは かえって悪化する というのです。
目を健常に保ってくれるはずのまばたきでなぜ症状が良くならないのでしょうか。
不快感を抱える患者さんの目に一体何が起こっているのでしょうか。
患者さんのまばたきの様子を良く見てみると・・・
下まぶたのあたりに、眼球の表面に飛び出している透明で奇妙な物体が。
実は、これこそが、目に起こるさまざまな不快感の真犯人なんです!
しかもこの物体、調べてみると、60代以上のほぼ全員に見つかりました。
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この奇妙な物体の正体、実は たるんだ結膜 でした。
通常、結膜は白目の表面をぴったりと覆う透明な膜です。
しかし、これがたるんでしまうと「結膜弛緩症」と言い、
さまざまな不快感を引き起こす原因になるのです。
その理由は、たるみが下まぶたに集まることにあります。
実は下まぶたは、目を保護するために欠かせない
涙の貯水蔵池であると同時に、古い涙の排出口(涙点)がある重要な部分。
しかし、結膜のたるみが下まぶたを占拠すると、
「涙が均一に行き渡らない=目が乾く」
「涙が排出できない=涙目」といった対照的な症状が出現!
さらにまばたきのたびにたるみでこすれるので、
目に傷がつき、ゴロゴロなどの異物感、充血、痛みなど様々なトラブルを引き起こすんです。
厄介なことに、目薬もたるみですぐにこぼれてしまうため、効き目が悪くなってしまいます。
1. 下まぶたの内側が見えるくらいアッカンベーをする
2. 指を目の奥の方へ押しつけながら
そのまま上へ持ち上げる
3. 透明な膜のようなものがあまって見えれば、
それが結膜のたるみです!
※押し上げたまま、まばたきをすると
たるみが引っかかって動くため、よりはっきり見える場合があります
結膜はなぜたるんでしまうのでしょうか?
その理由は・・・
眼球が上を向くことで、下の結膜が引っ張られるため。
でも人間ってそんな上向くことないと思いますよね?
ところが!
実は、人はまばたきのたびに眼球が自然と上を向く仕組みになっているんです。
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これ、「ベル現象」という反射で、目を閉じるときに大事な黒目(瞳孔)をいち早く
まぶたの内側に保護するために起こると考えられています。
なんと1日にするまばたきはおよそ1∼2万回!
さらに!
人は寝ているときも眼球が上をむいているんです。
つまり、人の目は24時間上を見続けているようなもの。
その間ずっと、下の結膜は引っ張られ続けています。
そのため、年を経るに従い、眼球から下の結膜が徐々にはがれていってしまうんです。
これが、結膜がたるんでしまう大きな原因のひとつです。
スタジオ解説
京都府立医大眼科学准教授
横井則彦(よこいのりひこ)先生。
Q.結膜のたるむ人とたるまない人がいるのはナゼ?
A.結膜のはずれ方、ベル現象の程度、摩擦が大きいか小さいかなどに個人差があるため。
ただ、結膜がたるむのは老化現象なので、60代以上になると程度の差こそあれ、
結膜のたるみは見られる。
Q.たるみの程度と症状の関係は?
A.すごくたるんでいるからといって、症状が強くなるわけではない。
無症状の人もいる。
自分の目にたるみを見つけたからといって、
病院に行かなければいけないわけではないので安心して。
大事なのは、症状があるかないか。
特に、 不快感がまばたきをしても良くならない 方は
結膜弛緩症の疑いが強いので、ぜひ眼科で診てもらってほしい。
Q.治療は?
A.
(1)目薬
目の乾きがあると摩擦が増えるので、結膜のたるみが動いて症状が出る。
そのため目の乾きを抑える治療が基本
◆人工涙液:涙の代わりに目の乾きを潤す
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◆ヒアルロン酸:目の表面に涙を広げて傷を治す
◆抗炎症薬:充血など目の炎症を抑える
※ヒアルロン酸と抗炎症薬は医師が処方する薬
(2)手術
目薬を1∼2か月やって症状が緩和しない場合は手術が効果的。
保険適応で所要時間30分以内と入院の必要もなく、目薬の麻酔を使うので痛みもない。
※目の不快感の原因は結膜弛緩症以外にも考えられるので、
医師とよく相談の上治療してください。
さまざまな目の不快感。実はたるみ以外にもうひとつ原因があったのです。
若い方にご協力いただき、一見きれいに見える目の中を特殊な光で照らしてみました。
すると・・・白く光るシミを発見。
実は、この白目のシミ、ほとんどの人が持っているものですが、
症状が進むと、肉眼で見えるほど黄色くにごり、少し盛り上がってくるため、
異物感や乾きなどさまざまな不快感の原因になってしまうんです。
さらに!このシミ、ほうっておくと、
白目が黒目を覆いつくす恐ろしい病気に進行する恐れもあるんです。
翼状片(よくじょうへん)と呼ばれ、白目が黒目にかけて翼のような形に広がるので、
この名がつきました。
白目の細胞が異常に増殖したもので、悪性ではないのですが、
進行し、瞳孔にかかると最悪失明の可能性もあります。
でも、なぜ最初はうすいシミが翼状片にまで進んでしまうのでしょうか?
その原因は紫外線にありました。
上からの光は、まつ毛やまゆ毛でブロックされますが、問題は横からの光。
実は、横から眼球に入った光は、黒目の中にあるレンズによって、
ちょうど鼻側の白目と黒目の境目の一点に集中してしまうんです!
他の部分に比べ、ここは20倍も強い紫外線が集まるといわれています。
そのため、その部分の細胞が異常をきたし、翼状片にまで進行してしまうのです。
目のシミや翼状片は、ほうっておいても消えることはありません。
見つけたらすぐ病院へ行きましょう。
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目のシミだけでなく、結膜のたるみも紫外線によって発症が早まるリスクが高まります。
目の健康を守るためにも、紫外線はぜひ予防したいもの。
ところが!
目の紫外線対策は意外と誤解が多いんです。
紫外線を避けて、朝や夕方に屋外で活動する方は要注意!
紫外線が一日のうちで最も多く降り注ぐのは、
太陽高度が高い、午前10時から午後2時の時間帯。
しかし、目に入ってくる紫外線の量は実は、朝や夕方のほうが多いんです。
これは、太陽の高さが低い朝や夕方では視線の先に太陽が位置し、直射日光が目に入るため。
この時間帯こそしっかり対策しましょう!
帽子はキャップタイプよりも、つばの広いほうがより効果的。
紫外線を直接カットするなら、サングラス。
横から入る光がシミの原因になるので、形は顔にぴったり沿ったものや、
つるが太いものを選びましょう。
さらに、色は濃すぎると逆効果になるのでご注意を。
暗い中ものを見るときは、より光を取り入れようと瞳孔が開きます。
そのため、黒目に入る紫外線量が逆に増え、
こんどは白内障などのリスクを高めてしまうんです。
サングラスの濃さは、目の輪郭が見える程度にしてください。
最近は、透明なレンズでも紫外線がカットできるものも多くあります。
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目の不快感の真犯人は・・・
目が乾く、かすむ、涙目、ゴロゴロ、充血、ショボショボ・・・
誰もが一度は経験する目に起こる不快感。
様々な自覚症状を訴えるものの、原因となる病気が見つからないことも多く、
これまでただの「疲れ目」や「年のせい」などと考えられてきました。
目薬をさしてはみるものの、どうもきいてるんだか、きいてないんだか・・・。
実は、その不快感の影に驚くべき真犯人がいたのです!
それは、眼球のたるみと眼球のシミ。
しかも60代以上のほぼ100%がこの異常をもっているというのです!
目のたるみ(結膜弛緩症)と目のシミ(翼状片)に関するQ&A
Q 結膜のたるみのチェック法を教えて
1. 下まぶたの内側が見えるくらいアッカンベーをする
2. 指を目の奥の方へ押しつけながらそのまま上へ持ち上げる
3. 透明な膜のようなものがあまって見えれば、それが結膜のたるみです!
※押し上げたまま、まばたきをするとたるみが引っかかって動くため、
よりはっきり見える場合があります。
※指を目に入れてしまわないように注意してください。
Q 結膜のたるみと症状の関係は?
たるみの強さと症状の強さに関係はありません。
大事なのは、症状があるかないかです。
特に、 不快感がまばたきをしても良くならない 方は
結膜弛緩症の疑いが強いので、眼科で診てもらってください。
Q 結膜弛緩症の治療法を教えて
1. 目薬(病院で医師から処方してもらってください):
以下3種類の目薬が代表的なものです。
◆人工涙液:目の乾きを潤す
◆ヒアルロン酸:目の表面に涙を広げて傷を治す
◆抗炎症薬:充血など目の炎症を抑える
2. 手術:目薬を1∼2か月やって症状が緩和しない場合は手術が効果的です。
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保険適応で所要時間30分以内と入院の必要もなく、
目薬の麻酔を使うので痛みもありません。
※結膜弛緩症の治療を行っている眼科は多くあります。
まずは、お近くの眼科におたずね下さい。
Q 目の紫外線対策について教えて
目に入ってくる紫外線の量は実は、朝や夕方のほうが多いことがわかっています。
この時間帯こそ対策を!
帽子はキャップタイプよりも、つばの広いほうがより効果的。
紫外線を直接カットするなら、サングラス。
横から入る光がシミの原因になるので、
形は顔にぴったり沿ったものや、つるが太いものを選びましょう。
さらに、色は濃すぎると逆効果になるのでご注意を。
サングラスの濃さは、目の輪郭が見える程度にして下さい。
Q 目のシミや翼状片(白目が黒目に伸びる病)の治療法は?
目のシミや翼状片は、ほうっておいても消えることはありません。
見つけたらすぐ病院へ!
治療は目薬や手術が主要なもので、いずれも保険適用です。
詳細は最寄りの眼科でおたずね下さい。
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