...

は じ め に 市内小中学校における教育の情報化の推進

by user

on
Category: Documents
6

views

Report

Comments

Transcript

は じ め に 市内小中学校における教育の情報化の推進
情報教育調査研究委員会
研究主題
○
市内小中学校における教育の情報化の推進
∼教員のICT活用指導力の向上を目指して∼
は
じ
め
に
情報教育調査研究委員会委員長
片岡
博志
佐野市では、本年度、市内全小中学校でICT環境(校内LANの整備、教員一人一台校務用コン
ピュータ、教育用コンピュータ、電子黒板等)が整備・リニューアルされた。先に整備の進んだ学校
CMSやメール配信システムと併せて、今まさに教育の情報化が推進されようとしている。このよう
な中、これらICTを使いこなす教員のICT活用指導力の向上が急務となっている。
平成22年8月に示された平成21年度「教員のICT活用指導力調査」結果では、5つの大項目
「教材研究・指導の準備・評価などにICTを活用する能力」「授業中にICTを活用して指導する
能力」「児童のICT活用を指導する能力」「情報モラルなどを指導する能力」「校務にICTを活
用する能力」に対して「わりにできる」「ややできる」と回答した教員は全国において平均すると約
6割に満たないという状況であった。一方、佐野市においては、平成21年度調査の段階では「情報
モラルなどを指導する能力」については全国の平均を上回ったものの、他の4項目についてはすべて
全国の平均を下回るという状況であった。
このような実態を踏まえて、情報教育調査研究委員会では、これらICTを効果的に活用し、教員
のICT活用指導力を向上させるためにはどのような手立てが必要なのかをテーマとし、調査研究を
実施することにした。今回の研究では、上記に示した「教員のICT活用指導力調査」の5つの大項
目から、特に全国の調査結果に対して低い結果となった以下に示す3つの項目について重点化し、取
り組むこととした。
(1)授業中にICTを活用して指導する能力の向上を目指した取組
(2)児童のICT活用を指導する能力の向上を目指した取組
(3)校務にICTを活用する能力の向上を目指した取組
今回、ICT活用指導力の向上のための提言を成果としてまとめることができた。来年度、本紀要
に示した成果が各校で生かされ、佐野市の「教育の情報化」がさらに推進することを期待したい。
―――――研
究
委
員―――――
委 員 長
片岡
博志
(赤見中学校教諭)
副委員長
小林
昭宏
(山形小学校教諭)
委
員
飛鳥
博幸
(植野小学校教諭)
委
員
髙尾
健
(界小学校教諭)
委
員
田村
和宏
(多田小学校教諭)
委
員
手塚
裕之
(南中学校教諭)
(担当)
大歳
勝也
(学校教育課指導主事)
(担当)
谷
直人
(教育センター指導 主事)
情報教育
-1-
Ⅰ
研究内容
1
ICT活用指導力を高めるための取組
(1) 授業中にICTを活用して指導する能力の向上をめざした取組
①
電子黒板の効果的な活用を図るための現職教育の実践(界小学校の例)
ア
文部科学省調査研究校としての実践
本校は文部科学省の指定を受け、市内小中学校に先駆け、平成21年10月に全教室
に電子黒板が導入された。電子黒板の日常的な活用を
目指し、本校で行った取組について以下に紹介する。
a
啓発誌の発行
研究推進担当が、電子黒板の活用に係わる情報提供
ということで「電子黒板 NEWS」(右写真)という研究
通信を定期的に発行し、校内研修の一助とした。これ
により、電子黒板がどのようなものかを職員に周知す
るとともに、電子黒板の活用についての方向性につい
て共通理解を図ることができた。
b
基本操作に関わる研修会の開催
電子黒板の活用に関する研修を以下の内容にて実施した。
・(第 1 回)『電子黒板の動作確認と基本的な操作について』
「電子黒板の使用上の注意・管理上の注意」「基本操作」等について共通理解を図る
ことができた。
・(第 2 回)『電子黒板の機能を使った主な授業場面での活用事例について』
ボード型電子黒板を以前から使っていた教員が、電子黒板
の機能で効果的な授業場面の例を紹介したことで全職員
の活用への機運が高められた。また、経済産業省が著作権
を有するアプリケーション「dbook」によるデジタル教科
書の活用法についても紹介し、全学級の電子黒板で利用で
きるようにデータのインストールを行った。
・(第 3 回)『上・下ブロックに分かれて、実践事例の模擬
授業』
全ての担任が効果的な場面での活用を模索した授業を実践した。ソフトウエアやコン
テンツ、接続機器の効果的な活用が図れている様子が確認できた。
・(第 4 回)『上・下ブロックに分かれて、実践事例の模擬授業』
デジタル教科書(「dbook」版)を利用し、電子黒板の利用が日常化されている様子が
分かった。
情報教育
-2-
・(第 5 回)『実物投影機・HDD ビデオカメラ・高速スキャナの活用法について』
上記周辺機器の電子黒板での活用と授業場面について研修した。周辺機器との接続に
より活用の範囲が広がることについて共通理解を図ることができた。
c
学校 Web サイトによる実践例の紹介
実践事例を学校 Web サイトに
掲載し、公開した。授業以外で
の活用を含め、効果的であると
思われ た電子 黒板活 用実 践の
記録を実践者が掲載した。掲載
記事の閲覧を通して「私もこん
な活用をしてみよう」との機運
が高まった。教員間での情報共
有の場 として 非常に 有効 であ
る。
URL: http://www.schoolnet-sano.ed.jp/sakai-e/
イ
(約 200 事例を掲載中)
今年度の実践
平成22年度、市教委からICT活用研究推進校の指定を受け、さらに研究を進める
こととなった。研究主題「基礎的・基本的な知識・技能の習得と活用を図る授業の工夫」
を設定し、新学習指導要領の「生きる力」を、確かな学力の定着を電子黒板の効果的な
活用を通して基礎・基本の確実な定着を図ることとした。
a
授業研究会の工夫
確かな学力を定着させるためには、その授業が子どもにとって分かる授業でなくては
ならない。分かる授業をするためには、教師の授業力を向上させる必要がある。授業力
を向上させることで、電子黒板もより効果的に利用されていく。その手立てとして文科
省指定「電子黒板を活用した調査研究事業」の電子黒板調査・企画委員会が示した「電
子黒板活用シーン例」を元にして授業場面を検討し、研修した。
また、模擬授業は一時間分すべてをやるのではなく、授業のワンシーンについて行う
ことで、授業者の抵抗をなくす試みがとられた。
電子黒板活用シーン例
活用シーン A)
「拡大・縮小、動かすなどの視覚情報を用いることで理解が深まる」活用シーン
活用シーン B)
「実物投影機(書画カメラ)等で、子どもの作品や手元の操作の様子を示すことで理
解しやすくなる」活用シーン
活用シーン C)
「子どもが目線を上げて集中して話を聞くようになる、授業のテンポがよくなる」活
用シーン
情報教育
-3-
活用シーン D)
「教師が書き込みながら説明することで子どもが授業内容を理解しやすくなる」活
用シーン
活用シーン E)
「隠しておいた情報を見せることによって理解が深まる」活用シーン
活用シーン F)
「電子黒板に電子黒板に板書や子どものノート・作品を保存して、続きの授業で活
かせる」活用シーン
活用シーン G)
「小グループで電子黒板を使いながら子どもの話し合い・教えあいが促進される」
活用シーン
活用シーン H)
「子どもが相手にわかりやすく発表するのに効果がある」活用シーン
○上・下ブロックに分かれての模擬授業
模擬授業をするにあたって、上・下ブロックに分かれた研修と、全学年が集まる研修
とに分けることになった。普段は少人数の方が時間も取りやすく、場を設けることが容
易なためである。
研究授業以外ではあまり模擬授業を経験していない教員もいたため、始めは「どの学
年でも共通して授業に使っている教材」を使っての模擬授業を行った。
上学年ブロックでは「あかねこ漢字スキル」を使い、スキルの利用法の違いや、その
ときの電子黒板の効果的な使い方ができているかどうかを見る模擬授業を行った。模擬
授業にするにあたって、
・指示は明瞭で聞き取りやすいか
・自然な表情ができているか
・電子黒板に対しての教師の立ち位置はどうか
・子ども達の方を向いて操作をすることができているか
など、どこに注目して意見を交わすかのポイントを、あらかじめ啓発誌で伝えた。
同じ教材でも、それぞれの教員で教え方・使い方がだいぶ異なっていることがわかり、
効果的な利用法について検討することができた。また、電子黒板に対して教師がどの辺
りに立つと、どのように見えるのかという子どもの目線で授業を見ることができるよう
になったのは大きかった。
○ 全学年での模擬授業
夏休みには、上・下ブロックの全員が集まり、それぞれの学年の代表が模擬授業を行
った。事前に低・中・高学年ブロックで検討会を開き、1回10分∼20分程度の内容
情報教育
-4-
で行った。
なお、この模擬授業は、8月に実施した教育センター主催ICT活用研修において
市内小中学校の先生方にも活用事例として紹介した。
○新しい教材(アプリケーション等)を使った提案授業
◆PowerPoint の編集画面の活用
「隠したものを見せる」
「フラッシュカードのようにすばやく一問一答をする」
「前時の内容を振り返る」
これらのことを授業で行うときには、書
画カメラで取り込んだ写真、「dbook」など
では十分に教材を用意できないときがある。
そのときには自作教材を使うことになるが、
PowerPoint で上手くアニメーションを入
れたり FLASH を作ったりすることはどうし
ても敷居が高くなってしまう。そこで、教
材作成時間の短縮と上記の要素の両立を目
指して考えられた PowerPoint の使い方が紹介された。
編集画面を大きく映して、白いカードを配置することで、電子黒板の「画面上で操作
できる」という利点を生かし、思いのままに隠していた場所を見せたり授業の流れにあ
わせてスライドを動かせたりすることを紹介した。スライドショーのように一本の流れ
にならないので、子どもの意見にあわせて柔軟に対応できることが利点である。
◆グーグルアース、スケッチアップ等の利用
社会の授業において、「古墳はどのくら
いの大きさなのか」という普段目にするこ
とができないものをより実感させるために、
グーグルアースとスケッチアップを用いた
授業が紹介された。
古墳が自分たちの学校と比べてどのくら
いの大きさなのか、高さはどのくらいなの
か、身近なものと比べて実感するために、
情報教育
-5-
グーグルアース上で古墳を学校の横に移動させ、スケッチアップの3Dモデルで高さも
含め比較できるようにした。
電子黒板上で資料を提示し、これだけの
数、大きさの古墳作ることができたことか
ら、当時の王朝の権力の大きさを推測させ
るという流れの授業で、子ども達に考えさ
せる場も設けられていた。このようなソフ
トを使うことで資料の提示の幅が広がり、
ひいては子ども達が考えたり、想像したり
する幅も広がってくる。電子黒板の大きな
利点の一つは「大きく見せる」ことだが、
そこから一歩踏み込み「効果的に見せる」ことの大切さを学ぶことができた。
ウ
成果と課題
a
成果
活用シーンに合わせた授業プラン
を考えたり、模擬授業で自分の授業
を見つめ直したりすることで、日々
の授業の活性化を図ることができた。
教員の意識アンケートでも、電子黒
板について「教材研究が大変だ」と
思う教師が半数近くいる一方、「大
変だけれどもっと使いたい」と思う
教師が6割近くいたことから、電子
黒板を積極的に活用してよい授業を
行っていこうと意欲をもっているこ
とが伺える。
また、教材研究が進むようになっ
てから、電子黒板を周辺機器(実物
投影機やビデオカメラなど)と組み
合わせてどのように使うか、電子黒
板の機能では「どのように」「どこま
で」表現することが可能か、より有効
なソフトウェアはないかといった声
が増えてきており、界小の Web サイ
ト「電子黒板活用研究」のページで
お互いの記事を参考にしながら、職員室間や学年間での情報交換も活発に行われるよう
になった。なにより、子どもへの意識アンケートにおいて、電子黒板が導入されたこと
情報教育
-6-
で「授業が楽しくなった」「授業は分かりやすくなった」と思っている児童が95%もい
たことが成果として挙げられるのではないだろうか。
b
課題
「学力の向上」と「電子黒板利用」の関係性について考えたときに、電子黒板をこの
ように使うと、この能力がこれだけ上がるという数値としての具体的な事例を見つけ出
すことが難しい。ペーパーテストで数値化して見取ることも一つの手として考えられる
が、表現力など数値化することが難しいものもある。結果、アンケートによる意識調査
で、子どもの意識がどれだけ変わったのかを調査することになったが、いずれにしろ、
自分の思いや考えを電子黒板などの情報機器を使ってどれだけ上手くプレゼンテーショ
ンできるか、という力はこれからの社会を生きる力として必要である。教師の自己満足
的な使い方にならないよう、子どもの姿を大切にして生きる力の育成に取り組んでいき
たい。
②
特別支援学級で活用できる電子黒板用ソフトウェアの開発(植野小学校の例)
ア
開発までの経緯
a
「目の運動トレーニング」ソフトについて
特別支援学級に在籍している児童には、目の運動に障がいを抱えている児童も少なく
ない。目の運動の障がいにより、読むことや書くこと、運動することなどがうまくいか
ないことも多くある。そこで、簡単に目のトレーニングができる教材を作ることを考え
た。
情報教育
-7-
b
「これはなにかな?」ソフトについて
他人とコミュニケーションを取る
場合、覚えている語いが少ないと十
分なコミュニケーションが取れなく
なってしまう。そこで、フラッシュ
カード形式で問題を出し、音声や文
字による解答が得られるソフトを開
発しようと考えた。また、自分だけ
では十分な問題を用意できないの
で、後からデータを追加できるような一般的なデータ形式(文字は csv、写真は jpg、音
声は wav)をつかうようにした。さらに、ひらがなやカタカナの習得が不十分な児童の
ために、ひらがなやカタカナも問題として出せるようにした。
パソコンのソフトなので、様々な子どものレベルに応じて一人でも学習することがで
きるはずである。
イ
活用の様子
a
「目の運動トレーニング」
授業前の数分間で児童に電子黒板で提示する。見ていない可能性もあるので、途中で
数字や色を答えさせる。また、首を動かしてしまうと効果が半減するので、目だけで追
うように指示をしておく。始まると、全員集中して画面を見入っていた。
b
「これはなにかな?」
写真の問題では、知っている言葉はすぐに出てくるが、知らないものは出てこない。
そこで、文字で名前が出るとそれを読み、音声を聞いて納得する。ということが繰り返
され、語いの獲得につながっていく。何度か繰り返すうちに、知らなかった物の名前が
覚えられていた。
ウ
成果と課題
どちらも使い始めて間もないので、成果と呼べるほどのものは上がっていないが、興
味を持って学習に取り組んでいる。「これはなにかな?」は、一人で学習することもで
きるので、パソコンが教師代わりになり、児童の学習を効率的にする助けとなっている。
課題としては、単調な繰り返しだと飽きてしまうので、「目の運動トレーニング」は
何種類かを用意したい。また、「これはなにかな?」は、制作者が予期しない操作をさ
れるとエラーが起きることがあるので、そうならないようにプログラムをさらに洗練す
る必要がある。問題をさらに増やせるように動画にも対応したものを作りたいと思う。
(2) 児童のICT活用を指導する能力の向上を目指した取組
①
児童のICT活用場面の設定と年間指導計画への位置づけ(山形・多田小学校の例)
情報教育
-8-
ア
年間指導計画作成までの経緯
学習指導要領(平成20年3月告示)では、指導計画の作成等に当たって配慮すべき
事項の一つに、コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段の活用、視聴覚教
材や教育機器などの教材・教具の適切な活用があげられている。しかし、現状では、児
童のICT活用は十分とはいえず、教員の「児童のICT活用を指導する能力」を高め
る必要がある。
一方、本年度より児童用コンピュータが整備され、小学校向け教育用統合ソフト「キ
ューブきっず3」が導入された。
そこで、教員の「児童へのICT活用を指導する能力」を向上させ、ICTを積極的
に活用した授業を行うことができるようするため、児童が「キューブきっず3」を活用
する場面を設定した年間指導計画を作成し、実践していくことにした。
年間指導計画作成に当たっては、「教育の情報化に関する手引(平成21年3月文部
科学省)」を参考資料として、従来の情報教育年間指導計画を見直すこととした。
その際、以下の点に配慮した。
❶情報教育の目標である3つの観点(情報活用の実践力、情報の科学的理解、情報社
会に参画する態度)から、低・中・高学年ごとに、「児童に身に付けさせたい力」
を設定する。
❷学年ごとに、各教科・領域の中で、「キューブきっず3」のコンテンツが使用でき
る場面を具体的に位置付ける。
❸児童の発達の段階に応じて、情報教育を体系的に推進し、「基本的な操作」を確実
に習得させる。
❹「児童に身に付けさせたい力」の指導番号を記載する。
❺主としてコンピュータ室を利用するものとし、実施時間は、各学年15時間を配当
する。(電子黒板の取り扱い方については、各教科・領域の中で随時実施する。)
❹ ❺
❸
❶
❷
※各学年の年間指導計画については「ウ
情報教育
-9-
情報教育年間指導計画(佐野市版)」を参照願います。
なお、指導に際して、低・中・高学年それぞれに「ふれる」
「つかう」「活用する」と
いうキーワードを設定した。
この「ふれる」
「つかう」「活用する」のキーワードは児童の発達の段階に応じて、コ
ンピュータの使用場面を想定し、どこまで指導すればよいのかを指導者に具体的に示す
ために設定したものである。
低学年は、主にマウスを操作し、コンピュータを使用できるようにしようというねら
いから「ふれる」というキーワードにした。
中学年では、国語でローマ字の学習をするので、キーボート操作を行い、マウス操作
とキーボード入力を覚えてコンピュータを使用できるようにしようというねらいから
「つかう」というキーワードにした。
高学年は、中学年で覚えたマウスやキーボードの操作をいろいろな活用場面で生かせ
るコンピュータの使用ができるようにしようというねらいから「活用する」というキー
ワードにした。
◆【日本語入力システム「DANGO」について】
低学年においては、マウスを利用しての操作を中心として計画を作成した。マウスで
文字入力を行わせるため、「キューブきっず3」の日本語入力システム「DANGO」を
利用した。「DANGO」を利用するためには「キューブきっず3」のインストール disk
から「DANGO」をインストールする必要がある。以下、「DANGO」についての説明
である。
❶インストール後、文字入力バーに日本語入力システ
ム「DANGO」が表示される。(右図)
❷文字入力バーの右にできたソフトキーボードをマウ
スでクリックすると、文字入力パレットが画面に表示
され、マウスで選んでクリックしたものが表示、入力することができる。漢字変換もマ
ウスでできるが、難しい漢字にまで変換できるので、使い方を工夫する必要がある。
情報教育
- 10 -
イ
実践の様子
作成した年間指導計画をもとに、調査研究委員が所属する学校において実際に「「キ
ューブきっず3」」を利用し、検証を行った。次ページ以降に実践例を紹介する。
※利用したツールおよび学年、時間
【実践例1】「マウスレッスン」・・・・・・・・・・・1年生(学活)
【実践例2】「めいしでじこしょうかいしよう」・・・・2年生(学活)
【実践例3】「キーボードレッスン」・・・・・・・・・3年生(国語)
【実践例4】「レポート」・・・・・・・・・・・・・・6年生(国語)
ウ
情報教育計画(佐野市版)
※以下にリンクを張りましたので、自校化の上、御利用下さい。
○小学校1年生用(pdf 版)
○小学校2年生用(pdf 版)
○小学校3年生用(pdf 版)
○小学校4年生用(pdf 版)
○小学校5年生用(pdf 版)
○小学校6年生用(pdf 版)
◎小学校全体(エクセルデータ)
情報教育
- 11 -
マウスを使って、パソコンと友だちになろう!
(多田小学校・第1学年での活用例)
1 ねらい
マウスを使った簡単なゲームソフトを通して、マウスの基本的な操作に慣れ親しむ。
2 活動形態
☆ 一斉授業
コンピュータ室の座席配置
3 準備する物
☆ デスクトップパソコン
☆ 「キューブきっず3」(マウスレッスン)
☆ 記録用紙(簡単なメモ用紙)
4 指導展開略案
学
習
(赤字は基本操作)
活 動
・「マウスレッスン」の学習の流れ
時間
指導上の留意点
5分
・活動の趣旨を理解させる。
5分
・本体の電源の場所を示し、起動の方法とパスワー
の説明を聞く。
・パソコンの電源の「入れ方」とパ
スワードについて知る。
・マウスの基本的な操作(クリッ
ドについて説明する。
10 分
・クリック・ダブルクリック・右クリック・ドラッ
ク・ダブルクリック・右クリック・
グなどについて、実際にマウスを操作しながら確認
ドラッグ)を経験する。
させる。
・マウスを操作して、パズルゲーム
20 分
・楽しみながらマウス操作の習得を図る。
5分
・さらにパソコンについて勉強したいという意欲を
や迷路ゲームを行う。
・記録用紙に、頑張ったことや思っ
たことなどについて記入する。
高める。
・パソコンの電源の「切り方」につ
・シャットダウンの方法について説明する。
いて知る。
5 考察
☆ 児童の反応や感想
・初めてパソコンに触れる児童がほとんどであったが、ほとんどの児童が「楽しく勉強できた」とい
う感想だった。
・ドラッグやダブルクリックの操作を習得できた喜びやもっとうまく操作できるようになりたいとい
う意欲が記録用紙から感じられた。
☆ 指導した感想
・初めてのパソコンの学習として「キューブきっず3」のマウスレッスンを活用することにより、パ
ソコンに対する苦手意識をもつことなく、マウス操作に慣れ親しむことができたと思う。
・ゲームを楽しみしながらドラッグやダブルクリックが自然に習得できたようである。
・ドラッグをしながら線をひくことが難しい児童には、手をとりながら、一緒に操作していくとよい
と思う。マウス操作を十分習得した児童には、日本語入力システム「DANGO」の文字パレットを用い
たマウスによる文字入力やお絵かきなどを体験させていきたい。
情報教育
- 12 -
マウスを使って文字を入力し、名刺を作って友だちと交換しよう!
(山形小学校・第2学年での活用例)
1 ねらい
マウスを使ってひらがな文字をコンピュータに入力する
ことを通して、マウスの基本的な操作に
慣れ親しむ。
2 活動形態
☆ 一斉授業
コンピュータ室の座席配置
3 準備する物
☆ ノートパソコン
☆ はさみ
☆ 「キューブきっず3」(めいしでじこしょうかいしよう)
4 指導展開略案
学
習
(赤字は基本操作)
活 動
・「名刺つくり」の学習の流れの説
時間
指導上の留意点
5分
・活動の趣旨を理解させる。
5分
・本体の電源の場所を示し、起動の方法とパスワー
明を聞く。
・パソコンを起動する。
・キューブキッズ3を立ち上げ、
「☆
ドについて確認する。
つくろう
めいしでじこしょうか
・全員がクリック・ダブルクリックなどの操作がう
いしよう」をクリックし、ソフトを
まくできているか確認し、できない児童には一緒に
起動する。
マウスを操作しながら起動させる。
・マウスでの文字の入力の仕方を覚
10 分
える。
・プロジェクターで画面を写し、ソフトキーボード
の使い方と名刺つくりの手順を説明する。(日本語
入力システム「DANGO」)
・全員が操作できるようになったか確認する。
・マウスを操作して、名刺を作る。
15 分
・マウスで操作しながら、文字を入力できているか
確認し、できていない児童を支援する。
・できた名刺を切り取り、友達と交
10 分
・できた児童から名刺を印刷し、はさみで切って、
換する。
名刺交換の準備をさせておく。
・学習のまとめをする。
・さらにパソコンについて勉強したいという意欲を
高める。
5 考察
☆ 児童の反応や感想
・パソコンに関心を持っている児童が多いので、いきいきと活動していた。
・自分の名前を漢字に変換したい児童は、簡単に変換することができたが、自分の名前の漢字を知ら
ない児童もやろうとしてしまい、少し混乱してしまった。漢字変換できる文字を2年生が使える範囲
で変換できるような入力システムになっていると指導するのに都合がよい。
☆ 指導した感想
・画面をプロジェクターで映して児童に説明をすると、自分のパソコンで同じように操作できるので
効果的であった。
・この日本語入力システム「DANGO」は、文字を見付けてクリックするだけで文字が打てるので、低学
年の児童にはとても便利な機能であると感じた。
情報教育
- 13 -
ローマ字入力の名人になろう
(多田小学校・第3学年での活用例)
1 ねらい
ローマ字の音の表し方を理解し、ローマ字入力に慣れる。
2 活動形態
☆ 一斉授業
コンピュータ室の座席配置
3 準備する物
☆ デスクトップパソコン
☆ 「キューブきっず3」(キーボードレッスン) ☆ 記録用紙(簡単なメモ用紙)
4 指導展開略案
学
習
(赤字は基本操作)
活 動
・「キーボードレッスン」の学習の
時間
指導上の留意点
5分
・活動の趣旨を理解させる。
5分
・ブラウザ(IE)の確認をする。
流れの説明を聞く。
・Web サイト「キーボー島アドベン
チャー」を開き、学習の準備をする。
・キーボードトレーニングをする。
・IDおよびパスワードについて説明する。
10 分
・ローマ字入力の練習をする。
・正しい指でキーを押すよう助言する。
・試合をする。
20 分
・より速く、正確にローマ字入力ができるようにす
る。
・記録用紙に、頑張ったことや思っ
5分
たことなどについて記入する。
・キーボード入力スキルの向上を目指そうとする意
欲を高める。
5 考察
☆ 児童の反応や感想
・楽しくローマ字の学習ができたという感想をもつ児童が多かった。動物や虫とバトルするという設
定も児童にやる気をもたせるようである。
・1つの級を合格したとき、喜びを感じた児童が多かった。級が上がってくるとなかなか進めなくな
るが、卒業するまでに1級を取得したいという目標を掲げる児童が多かった。
・ローマ字の「パピプペポ」ができるようになったという感想から、自分の苦手な文字の習得にも役
立つことがわかった。
☆ 指導した感想
・国語の時間に「ローマ字」について学習を一通り行ってから、キーボードレッスンを実施した。よ
い復習の機会となった。
・文書を作ったり、インターネットを使って検索をしたりする場合、キーボード操作は避けて通れな
いものであるが、キーボード操作に慣れることにより、自分の考えをまとめたり表現したりする時
間が確保できるようになる。
・学校で配布したIDとパスワードを使って家庭でも取り組む児童も多くなった。授業中だけでは、
キーボード操作に慣れる時間の確保は難しいので、休み時間や家庭での活用も推進していきたい。
情報教育
- 14 -
読み取ったことをパソコンでまとめよう(国語単元:言葉の意味を追って)
(山形小学校・第6学年での活用例)
1 ねらい
「広辞苑」が出版されるまでの流れや新村親子の「辞典作り」
について読み取り、パソコンのワークシートにまとめる。
2 活動形態
☆ 一斉授業
コンピュータ室の座席配置
3 準備する物
☆ ノートパソコン
☆ 国語教科書
☆ ワークシート(データ)
☆ 「キューブきっず3」(きほん
4 指導展開略案
学
レポート)
(赤字は基本操作)
習
活
動
・学習のねらいの確認をする。
時間
指導上の留意点
3分
・活動の趣旨を理解させる。
12 分
・形式段落に注目させる。(国語の教科書)
・
「中」の部分(教科書P29L2∼P34L16)にど
のようなことが述べられているか、大まかにつか
む。
・「広辞苑」が出版されるまでの出来事を読み取
る。
・個人フォルダから今日のワークシートを開く。
・段落 7∼12 までを読み取り、まとめさせる。
30 分
・ワークシートにまとめる。
存させる。
・「広辞苑」が出版されるまでの出来事を読み取
・パソコンを起動させ、個人フォルダの開き方、フ
る。
・個人フォルダから前回保存したワークシートを
・個人フォルダの開き方、ファイル名を確認する。
・次の時間に続きができるように、名前を付けて保
30 分
開く。
ァイル名を確認する。
・段落 13∼22 までを読み取り、まとめさせる。
・ワークシートを印刷後、名前を付けて保存させる。
・ワークシートにまとめる。
・まとめたワークシートをもとに考えさせ、意見を
・新村親子が辞典を作る上で大切にしたことは何
かを考え、発表する。
15 分
発表させる。
・友達の意見もよく聞いて、いろいろな考えがある
ことに気付かせる。
5 考察
☆ 児童の反応や感想
・児童が好きなパソコンを使うということで、集中して学習に取り組むことができた。
・文字入力の速度に差があり、時間内で終わらなかった児童がいたので、印刷をして、続きは手書きで完成させるよ
うにした。
・印刷し、配布後、児童は「ノートやワークシートに書いたときよりきれいにできたので、うれしかった。」と話し
ていた。
☆ 指導した感想
・鉛筆で書いてまとめることも重要であるが、パソコンを活用して文書を作る場面を、国語の読み取りの授業の中で
活用できる場面が工夫できたことはよかった。
・児童の文字入力の速度の差は、ローマ字の理解度と関係があるので、いろいろな場面でローマ字の練習を工夫した
い。
情報教育
- 15 -
ウ
成果と課題
a
「キューブきっず3」を使うことで、低学年から高学年まで、どの児童も簡単に、
短時間でICTを活用することができた。
b
情報教育年間指導計画に具体的な活用の場面を位置づけることにより、どの教員で
も安心して計画的に児童のICT活用を指導することができるようになった。
c
授業のほかに、クラブ活動や委員会活動、休み時間等における活用方法について検
討していきたい。
(3) 校務にICTを活用する能力の向上を目指した取組
① ICT支援員を活用した取組(南中学校の取組)
ア
ICT支援員について
本年度より、校務用コンピュータが導入され、教員一人一人に一台ずつ整備された。
また、2校に一人の割合でICT支援員が配置され、学校でICTを活用する基盤が整
った。そこで、情報教育の年間指導計画を見直し、ICT支援員を効果的に活用した取
組を考え、実践していくことにした。
a
ICTコーディネータの位置づけ
本校では、情報教育担当者をICTコーディネー
タとして校務分掌に位置づけ、ICT支援員のスケ
ジュール管理や支援内容の検討を行った。コーディ
ネータとしての位置づけを行ったことにより、IC
T支援員との連絡や教職員への支援の調整が滞りな
く行われるようになった。
b
勤務の工夫
当初吾妻中と南中の2校を1週間交代で勤務してもらっていたが、支援してもらう内
容や、解決したい問題に適宜対応してもらうために、1日おきの勤務にしてもらった。
これにより、様々な課題に早期に対応してもらえるようになった。また、勤務日がずれ
ることにより、固定の曜日については、隔週で対応できるようになった。
c
ICT支援員のタイムスケジュール
出勤後、2校時は、職員室で、校務用コンピュータのメンテナンスや各先生方の校務
にICTを活用する能力の向上を目指した支援を中心に行った。3∼6校時には、それ
に加えて、コンピュータ室や教室で、コンピュータや電子黒板等を用いた支援を実施で
きるようにしている。
情報教育
- 16 -
イ
支援内容
本校では、教職員のスキルやICTの整備状況等、現状を把握した上で、具体的に
以下の内容を支援内容とし、教職員に対して共通理解を図った。
a
校務に関する支援内容
・校務分掌や学級経営に必要な情報をインタ
ーネットで収集する。
・ワープロソフトや表計算ソフトなどを活用
して文書や資料などを作成。(ワープロソフ
ト、表計算処理ソフトの使い方・質疑)
・Landisk(ネットワーク対応 HDD)の管理、
情報の共有化、セキュリティ対策。
校務用コンピュータのメンテナンス
・学校 Web サイト記事作成支援(Netcommons2.3 の使い方・各 DATA の処理方法)
・教材作成・教材研究の支援。
(パワーポイント、「dbook」の使い方・各
種ソフトウェア・Web サイトの紹介)
・各視聴覚及び情報機器の準備と操作支援。
・電子黒板の操作方法と研修。
・電子黒板貸出表の作成。
・電子黒板利用マニュアルの作成。
・コンピュータ室利用表の活用。
・「dbook」の活用及び利用マニュアルの作成。
b
電子黒板の準備・設定
教材作成・教材研究に関する支援
授業で使える Web サイトや、各種コンテンツの URL を調べて、共有フォルダの各教
科のフォルダに収集してもらったので、各教科で有効に利用している。
c
支援状況
教職員からICT支援員への質問・操作援助の依頼は、1 週間の中で平均約20∼
情報教育
- 17 -
30件ぐらいである。ある週の実際の質問の傾向をあげてみる。
Wordに関するもの
3
Excelに関するもの
5
(うち関数・マクロに関するもの)
(3)
PowerPointに関するもの
2
一太郎に関するもの
1
スキャナ・画像ファイルに関するもの
2
電子黒板に関するもの
5
インターネット・メールソフトに関するもの
3
Netcommonsに関するもの
1
PC周辺機器・ネットワーク設定に関わるもの
3
ティームティーチングの申し出
2
電子黒板の操作補助の申し出
1
ICT支援員から教職員へ呼びかけた事項
研究授業へ向けての教材加工援助
プリンタの利用について
個人情報の扱いについて
電子黒板の利用頻度について
ウ
成果と課題
a
校務用コンピュータが導入され、教師一人一人がそれぞれ操作するようになり、校
務でコンピュータを利用する場面が増えた。
b
操作する上で、疑問や分からないところが出てきたとき、ICT支援員に質問し、
操作方法を教えてもらう先生方が増えた。支援員が勤務していない日は、次の日に
聞けるので、1日おきの勤務はその点でも有効である。
情報教育
- 18 -
② 学校 Web サイト(NetCommons)の校務への利用
○その1(職員間連絡用グループウェアとしての『南中学校』での活用)
ア
a
活用に向けて
今回の研究において、校務にICTを活用する能力を向上させるために、NetCommons
を職員間連絡用グループウェアとして利用することを考えた。まず、グループスペー
スに「職員室のページ」を作成し、その中に職員間の連絡に必要と思われるモジュー
ルを配置した。
本校が利用したモジュール及び具体的な利用方法は以下のとおりである。
◆Todo モジュール
提出書類等の締め切り日が
分かるように「提出物・締め
切り等」として配置した。
◆お知らせモジュール
その月、その週の行事や主
立った情報が分かるようにし
た「お知らせ」とし、ログイ
ンするとすぐ目に入るように
した。
◆日誌モジュール
朝の打ち合わせの内容を記
入し、確認できるように日誌
モジュールで「日報」のコー
ナーを配置した。
◆掲示板モジュール
ICT支援員が不在の時に
グループウェアで質問・回答
ができるように「ICT質問
コーナー」を設けた。
◆キャビネットモジュール
ICT関係のマニュアルや
お知らせ等を保存し、いつで
も見られるようにで「資料」
のコーナーを設置した。
◆カレンダーモジュール
「カレンダー」を設置し、
教職員の予定を記入・閲覧で
きるようにした。
情報教育
- 19 -
b
各モジュールの具体的な利用状況
<Todo モジュール>
<お知らせモジュール>
<掲示板モジュール>
<日誌モジュール>
<キャビネットモジュール>
イ
活用の様子
a
朝、出勤したら校務用コンピュータを起動し、グループウェアの「職員室」のペー
ジを開き、「日報」の確認をするようにした。記事の投稿も、前日までに原稿の紙
ベースのものと、並行して投稿してもらうようにした。
b
疑問点が生じたときは、ICT支援員に聞くことになるが、不在の時は、「ICT
質問コーナー」に記入することにより、回答を得られるように工夫した。また、必
要に応じて、各種マニュアル等を作成してもらい、「資料」のコーナーにPDFフ
情報教育
- 20 -
ァイルでアップしてもらい、個別に開いて参照できるようにした。
ウ
成果と課題
a
グループウェアを活用することによって、多くの先生が朝、出勤したら校務用コン
ピュータを起動しログインする習慣がついてきた。また、南中 Web サイトに記事を
投稿する際も、自席から手軽に投稿できるようになってきた。
b
記事の投稿や、確認については、自宅のコンピュータからもできるので、帰宅後や
休日にも学校へ行かずに記入できるようになった。
c
「日報」については、現行の紙ベースのものと、グループウェアと併用しているた
め、「職員室」にログインしない先生もいる。しかし、担任の先生が打ち合わせの
内容を教室で生徒に伝えるためには、紙ベースのものも無くてはならない。その点
をどうしていくかが今後の課題でもある。
d
グループウェアに同時に何人もアクセスをするとコンピュータが固まってしまう
(ハングアップする)ことが予想されたが、今回の研究においては、時間差のログ
インや、ログインしない先生もいたため、固まってしまう(ハングアップする)事
例はなかった。
○その2(職員間連絡用グループウェアとしての『山形小学校』での活用)
ア
a
活用に向けて
グループスペースに「職員室」
のルームを作成し、ページに
以下のモジュールを配置した。
◆掲示板モジュール
トップページには、今まで
職員間のお知らせを日報と
いう紙ベースで行っていた。
今回掲示板モジュールをフ
ラット表示で利用し「日報」
を、ログインするとすぐ目に
入るように配置した。
紙ベースでは、一方向でし
か伝えられなかった内容も、
掲示板モジュールでは、返事
情報教育
- 21 -
が書けるので、疑問や質問を返信して双方向のやり取りができるようにした。
◆カレンダーモジュール
その月の行事や主立った情報が分かる「行事予定」を載せた。カレンダーモジュー
ルを使っているので、各自の先生の出張等の予定も入力できるようにした。
b
NetCommons2.3 では、グループスペースのルーム内にさらに新たなルームが設置で
きるためグループスペースの「職員室」の中にサブルームとして「職員会議・現職
教育」のルームを作成した。
このページでは、お知らせや日誌モジュールと併せてキャビネットモジュールを
使い、職員会議と現職教育で使う資料を各担当職員がファイルにしてアップできる
ようにした。職員会議や現職教育の研修会では、職員がダウンロードをしてパソコ
ン画面に表示しながら、ペーパーレスで会議や研修会を行い、能率化を図るように
した。
←「現職教育用」キャビネット
↓「職員会議用」キャビネット
イ
a
活用の様子
朝、出勤したら校務用コンピュータを起動し、ログインして、グループウェアの「職
員室」のページを開き、「日報」の確認をするようにした。記事の投稿は、前日ま
でに各職員で責任をもって投稿してもらうようにした。本校は、朝の打ち合わせが、
毎週木曜日だけなので、この日報を活用することで職員間の連絡をスムーズに取れ
情報教育
- 22 -
るようにした。
b
職員会議や現職教育の資料については、会議や研修会前までに、係ごとに起案を通
過した資料等をデータ(一太郎ファイルもしくはPDFファイル)でアップしてお
くように共通理解を図った。職員会議や現職教育の2週間くらい前に、教務主任が
キャビネットにフォルダを作成し、日報や職員用お知らせ(日誌モジュール)で職
員に周知し、準備を進められるようにした。職員は、必要に応じてログインし、デ
ータをアップしたり、ダウンロードして確認したりするように活用している。
ウ
a
成果と課題
グループウェアを活用することによって、多くの先生が校務用コンピュータを起動
し、ログインする習慣がついてきた。日報を見て、情報を共有したり、山形小 Web
サイトに記事を投稿したり際も、自席から手軽にできるようになったことは大きな
成果である。
b
記事の投稿や確認、会議や研修資料のアップが、インターネットがつながる環境の
コンピュータから簡単にできるので、帰宅後や休日に、学校へ行かずにできるよう
になったことは大変便利である。
c
コンピュータが貸与されていない職員は、職員室でコンピュータにログインできな
いので、日報を見ることができない。全職員に伝える内容については、口頭で伝え
る必要性があり、不便である。また、本校は小規模なので、記事を投稿してさらに
コンピュータのない職員には口頭で伝えるという不便さから、職員が多く集まって
いるときに口頭で伝えれば効率がよいと考え、日報への記事投稿が頻繁に行われて
いないことも実際に起こってしまった。コンピュータが貸与されていない職員への
情報提供をシステムの良さを生かしてできるようにすることが課題である。
d
職員会議や研修会をコンピュータの画面を見ながら行っているが、原稿にメモ事項
を直接記入したりラインを引いたりできないので、不便さを感じる職員も出てきて
いる。コンピュータのメモ帳などのソフトを起動し、メモを打ち込むながら行うが、
その不便さが解消できていないのが現状である。
e
文書の起案についても、このシステムでできないか検討していきたい。
情報教育
- 23 -
○その3(電子黒板を利用した校内電子掲示板『赤見中学校』での活用)
ア
活用に向けて
本校では、部活動の月活動表は印刷物で、
平日・週末の予定・連絡は職員室入り口に
あるホワイトボード(次ページ写真)で生徒
に伝えていた。
学校 web サイト上にこれらのことを表示
することにより、保護者や生徒に正確な情
報を伝えたいと考えた。また、電子黒板の
電子掲示板としての活用について実践して
いくことにした。
a
ページの作成と利用モジュール
NetCommons2.3 では、パブリックスペース(誰もがアクセス可能なスペース)に作成
したページにサブページを作ることが可能である。「部活動」のページの中に部活動ご
とのページを作成した。
各部活動のページ内に「お知らせ」「日誌」「施設予約」の各モジュールを設置し、
練習予定等を各顧問が記載し、生徒は学校では電子黒板を利用していつでも閲覧が可能
な状況にした。各部活のページは、パブリックスペースに設置してあるため、自宅等で
も簡単に閲覧が可能にした。このことにより、生徒の保護者にも部活動の予定が正確に
伝えることができるようになった。
<部活動のトップページ>(サブページはトップページの表示後ページ表示がされる。)
情報教育
- 24 -
※部活動全体にかかわるお知らせ等も掲載した。各部活動のページはサブページとし
て作成した。
※部活動の予
定は「施設予約」
のモジュール
を利用した。
「施設予約」の
モジュールを
利用すること
により各部ご
とに予定を表
示することが
可能になった 。
イ
活用の様子
昼休みの時間に、ICT支援員に電子黒板を
生徒昇降口にセットしてもらい、生徒が
電子黒板を自由に使えるようにした。
部活動顧問の先生は、校務用のコンピュータ
から月・平日・週末の予定や連絡事項など
を入力することができる。また、保護者が、各
家庭において部活動予定を印刷物とともに確認
できる。
ウ
成果と課題
a
当初、生徒達は電子黒板のタッチペンでの
操作に、戸惑っていたが、やり方がわかる
と友達と交代で操作しながら、自分が所属
する部活動の予定を確認している。昇降口
に設置したため、数多くの生徒が活用して
いる。今後、昼休み以外の設置も可能かど
うか検討していきたい。
b
教職員は、自席の校務用コンピュータで、予定等を入力できるため、手軽さを感じ
ている。今後学校 WEB サイトの積極的な記事への入力が期待される。
情報教育
- 25 -
2
ICT活用指導力調査について
(1) 調査目的について
佐野市教育センターでは、今年度のICT環境の整備及びICT支援員の配置における事
業の効果測定を目的とし、文部科学省が示す「教員のICT活用指導力のチェックリスト」に
従い、年3回、佐野市の教員を対象に「ICT活用指導力調査」を実施した。
本調査研究委員会では、佐野市全体の調査結果と今回、調査研究を行った6校の結果を比
較することにより、調査研究の成果を考察することにした。
(2) 調査結果及び考察
①
佐野市全体の結果について
ICT環境整備直後の5
月と半年後の11月の結果
を比較したものが右のグラ
フである。
5月に比較し、すべての
項目において「わりにでき
る」「ややできる」と答えた教員の割合が増加している。整備前は、ほとんどの調査項
目が全国平均より低い状況であったものが、11月には昨年度の全国平均と同程度の結
果となった。このことから、教員のICT活用指導力の向上には、環境整備が欠かせな
いものでるということが分かる。なお、本市においては、B 項目「授業中にICTを活
用して指導する能力」についての向上が他の項目に比較し顕著であった。この原因とし
て、各学校に複数台整備した電子黒板の影響があるものと考えられる。
②
調査研究校と佐野市全体の比較について
本調査研究委員が所属
する6校の平均と佐野市
全体の結果を比較したも
のが右グラフである。
全ての項目において、
「わりにできる」「やや
できる」と答えた教員の
割合が高くなっている。
各項目におけるポイント
差も大きく有意な差とし
てとらえることができる。
各校での積極的なIC
情報教育
- 26 -
T活用が教員のICT活用指導力の向上につながったと考えることができる。教員のI
CT活用指導力の向上には、整備とともに今回各調査研究校にて行ったような学校全体
での積極的なICT活用が欠かせないと考えられる。
③
調査研究項目ごとの結果比較について
今回の調査研究では、各校の実情に併せ、文部科学省が示すチェックリストの5項目の
内1つの項目を重点化し各校で調査研究を進めた。以下に調査項目ごとの結果比較(5月
と11月)を示す。
a
教員の授業中にICTを活用して指導する能力の向上を目指した取組
(「界小」「植野小」2校の平均)
佐野市全体に比較し、B
項目で「わりにできる」
「や
やできる」と回答した教員
の割合が高い。
特に昨年度、文部科学省
の調査研究校であった界
小学校では11月現在に
おいて93%の教員が「わ
りにできる」
「ややできる」
と回答している。電子黒板
の日常的な活用が成果に
つながっていると考えら
れる。
b
児童のICT活用を指導する能力の向上を目指した取組
(「多田小」「山形小」2校の平均)
すべての項目において、
「わりにできる」「ややで
きる」と回答した教員の割
合が高い。
全国的にも課題である C
項目に重点を当て、学校全
体で取り組んだことによ
り、C 項目以外でのICT
活用指導力が向上したも
のと考えられる。
なお、山形小学校につい
ては E 項目についても今
情報教育
- 27 -
年度学校全体での調査研究に取り組んでいる。
c
校務にICTを活用する能力の向上を目指した取組
(「山形小」「南中」「赤見中」3校の平均)
5月調査に比較し、すべ
ての項目において大幅な
向上が見られた。南中学
校においては、E 項目を中
心に取り組んではいるが、
ICT支援員の活用等、
授業支援的な活用が実際
には行われており、その
成果も現れていると思わ
れる。
なお、山形小学校につい
ては B 項目についても今年度学校全体での調査研究に取り組んでいる。
Ⅱ
研究の成果と今後の課題
今回の調査研究の結果から、今後の教育の情報化の推進について、特に、教員のICT指導力向
上の観点から、以下2点が重要であると考える。
教育の情報化を推進するために
①
学校のICT環境が整備されること
今年度、佐野市において、教員一人一台のコンピュータが整備された。コンピュータが「使
うと便利なもの」から「使わなくてはならないもの」へと変わった。教員の誰もが利用できる
環境になったことにより、コンピュータの利便性が意識の変化とともに教員に伝わり始めてい
る。
また、界小学校においては、各教室に電子黒板が整備された。界小学校での活用の成果が広
く市内の小中学校に広がり始めている。各学校においては、その成果を受け、配備された電子
黒板をどう効果的に使っていくかの模索が開始されている。この一連の流れは環境の整備があ
ってこそのものと考えられる。
②
学校全体での活用を図ること
今回、調査研究を行った6校では、管理職の理解の下、調査研究委員が中心となり学校全体
でICTの活用を図り、成果を上げることができた。個人の取組によるものではなく、学校全
体で取り組むことが重要である。管理職の指導の下、校内体制を整備し、情報教育担当者がリ
ーダーシップを発揮することが、教育の情報化をより効果的に進めることに繋がると考えられ
る。
情報教育
- 28 -
Ⅲ
最後に
社会のあらゆる分野で情報化が進展し、その中で学校では、一人一人の児童生徒に情報活用能力
を身に付けさせること、また、教員あるいは児童生徒がICTを活用して学習に対する意欲や興
味・関心を高め「わかる授業」を実現することがますます重要になっている。今回紹介した取組を
各学校で有効に活用していただき、教員のICT活用指導力がより一層、向上していくことを期待
する。
情報教育
- 29 -
Fly UP