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第2次中野市子ども読書活動推進計画[PDF:171KB]
第2次中野市子ども読書活動推進計画 平成 24 年3月 中野市教育委員会 は じ め に 子どもの読書活動は、「子どもが、言葉を学び、感性を磨き、表現力を高め、創造力を 豊かなものにし、人生をより深く生きる力を身に付けていく上で欠くことのできないもの(子 どもの読書活動の推進に関する法律 第 2 条)」とされています。 中野市教育委員会では、「自ら本に手を伸ばす子どもを育てる」ことを基本的な方針と し、子どもの読書環境の整備を進めることを目的に、平成19年3月「中野市子ども読書活 動推進計画」を策定しました。 この計画に基づいて、図書の充実などの読書環境の整備や、関係機関が連携した「お すすめブックリスト」の作成のほか、従来から取り組んでいたブックスタート事業や、小学 校への読書指導員の配置などを実施してまいりました。 また、この第1次計画の取組みを検証する中で、子どもを取り巻く社会環境の変化や課 題も明らかになってまいりました。 これらを踏まえ、この第2次計画は、子どもの読書活動の推進には社会全体での取組 みが重要であることを再確認し、家庭、地域、幼稚園、保育所、学校、市立図書館等の連 携も深めながら、子どもたちの読書に親しむ習慣の定着を図ることを目的として策定しま した。今後は、本計画に基づき、次代を担う心豊かな子どもたちを育むために施策を推進 してまいります。 第1次計画の取組み状況と課題 平成19年3月に策定した第1次計画で定めた、3つの基本的方針に基づき、次のとおりさ まざまな取組みを進めてきました。 また、それぞれの取組みを通して明らかになった課題を踏まえ、今後の活動を進めること が望まれます。 基本的方針 1 子どもが読書に親しむ機会の提供と子ども読書環境の整備・充実 子どもの読書環境を整備する取組みは、保育所・子育て支援センター・児童センター 等での国の制度を活用した絵本等の充実や、幼稚園等での発達段階に応じた本を各教 室に整備する取組みなど、本と出会う乳幼児の大切な時期の読書活動に大きな役割を 果たしています。 また、学校図書館では調べ学習に使う図書資料をはじめ、蔵書の充実のほか、お薦め 本のコーナーの設置など、子どもの興味や関心を高める図書館整備に努めています。市 立図書館では、読み聞かせ用の大型絵本や読み物、夏休みの自由研究に対応した図 書の充実のほか、図書館内に、乳幼児向けの絵本コーナーや、親子でふれあえる「おは なし室」の設置など、子どもに利用しやすい施設整備を進めています。 これらの取組みを通して、乳幼児期の絵本や子ども向け図書の利用は年々増える傾 向にあります。今後も各施設における計画的な蔵書の更新が望まれます。 基本的方針 2 家庭、地域、幼稚園・保育所・学校、図書館等の連携・協力による子ども 読書活動の推進 読書活動の推進につきましては、家庭での読み聞かせのきっかけとなるブックスタート 事業や幼稚園・保育所等での読み聞かせ、家庭への本の貸出などを通じ、家庭と連携し た取組みを行ってきました。 また、ボランティアの育成やボランティア活動の支援により、地域における読書活動の 推進に取り組むとともに、学校における「一斉読書・読書の時間」の充実や学校図書館事 務員・読書指導員の配置等により、児童生徒の読書習慣の定着に取り組んできました。 さらに、読書活動に関係する機関・団体やアドバイザーで構成する「中野市子ども読書 活動推進連絡会議」を設置し、「おすすめブックリスト」の作成や連絡調整・情報交換など 各機関が連携・協力して子ども読書活動の推進を図れる体制づくりに取り組んできまし た。 これらの取組みを通して、幼稚園・保育所・学校における読書指導の取組みは定着し てきており、読書好きな子どもの割合は全国平均を上回っています。(2009 全国学習状 況調査「読書が好き」:中野市 80.0%、全国平均 71.8%) しかし、読書習慣の定着は、家 庭の意識差により大きく異なるため、今後も、家庭、地域、学校等がさまざまな機会を捉え て、子どもの読書習慣の基礎づくりに連携・協力して取り組んでいく必要があります。 基本的方針 3 子ども読書活動の普及・啓発 子どもは、周囲の人々のさまざまな働きかけや読書する姿などに触発されながら読書活 動に取り組みます。その意義や重要性について市民の理解と関心を深めるため、子ども読 書週間での行事や子どもへのお便りなどを通して活動の普及啓発に取り組んできました。 今後も継続して取り組んでいく必要があります。 1 子どもの読書活動とは 子どもの読書活動は、未経験の広い世界を知り、自分自身でものごとを判断し、自分ら しく生きていく力を身に付けて、人間性豊かに、自ら考え行動することのできる人間へと成 長していくために大切なものです。 一人ひとりの子どもが、興味をもって自主的な読書習慣を身に付けるためには、子どもの 主体性を十分に尊重しつつ、幼いときから読書に親しめるよう、発達段階に応じた読書環 境の整備と、大人の適切な働きかけが必要です。 2 計画の目的 この計画は、国の「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」及び「長野県子ど も読書活動推進計画」を踏まえ、中野市のすべての子どもが、あらゆる機会や場所におい て、自主的に読書活動に親しむことができるよう、家庭や地域をはじめ、幼稚園・保育所・ 学校、図書館などの役割を明確にし、市民と市が協働して、子どもの読書活動の定着を図 ることを目的とします。 3 計画の対象 この計画は、子ども(おおむね18歳以下の者をいう)を対象とします。 4 計画期間 平成24年度からおおむね5年間とします。 5 基本方針 家庭・学校・地域社会全体で子どもの読書習慣の定着を図るために、基本方針を次のように 定めます。 1.子ども読書活動の推進 子どもの自主的な読書活動を推進するためには、家庭、地域、幼稚園・保育所・学校、 図書館などが、それぞれ担うべき役割を自覚し、子どもが自主的に読書をしようとする意欲 や姿勢を養い、読書習慣を身に付けることができるよう、連携・協力しながら役割を果たし ていくことが大切です。 市では、家庭や地域の関係機関等がそれぞれ相互に連携・協力して子どもの読書活動 の推進を図る取組みへの支援と推進体制の整備に努めます。 2.子どもの発達段階に応じた読書環境の整備・充実 子どもが本に魅力を感じながら自主的に読書に親しみ、習慣として定着するためには、 子どもが読書の楽しさと出会うきっかけを与え、さらにその楽しさを深めるための様々な支 援が必要となります。また、このような取組みは、乳幼児期から子どもの発達段階に応じて 適切に行うことが必要です。 そのためには、子どもの読書活動を支える人的環境づくりや、多くの本との出会い、触 れ合う機会を十分に提供できるような物的環境づくりなど、家庭、地域、幼稚園・保育所・ 学校、図書館等が相互に連携・協力しながら、子どもの読書環境の整備・充実に努めま す。 3.子ども読書活動の普及・啓発 子ども読書活動を推進するためには、子ども読書活動の意義や重要性を広く市民に理 解してもらうことが必要です。 子どもは、読み聞かせや大人の読書する姿に触発され、読書意欲を高めていきます。 子どもに自主的な読書習慣を身に付けさせるうえで、保護者、教員、保育士等が読書 活動に理解と関心を持つことが大切です。 市では、子ども読書活動を推進するため、読書活動の意義や重要性についての普及・ 啓発に努めます。 6 計画期間中の重点的な施策 本市の実態を踏まえ、基本方針に基づき、施策を総合的かつ計画的に実施していくうえで、 より効果的に推進を図るため、次の事項を重点施策と位置づけ積極的な推進を図ります。 ① 家庭、幼稚園・保育所・学校、図書館、その他関係者で構成する組織の連携を強化し、活 動の推進を図ります。 ② 読み聞かせの機会の充実や市立図書館の児童室の整備、学校図書館の蔵書の充実等、 読書環境の整備やサービスの拡充を図ります。 ③ 家庭での読書活動を推進するため、子ども読書活動の意義について普及・啓発や家庭読 書のための情報発信に努めます。 ④ 子どもが本に親しむ機会を手助けできる人材の育成を、関係機関が連携・協力してできるよ う学習の機会の充実を図ります。 7 家庭、地域、幼稚園・保育所・学校、図書館等における読書活動の推進 Ⅰ 家庭・地域における読書活動の推進 【家庭・地域の役割】 子どもの読書習慣は毎日の生活の中で培われることから、もっとも身近な保護者や家族 が読書活動へ積極的にかかわっていくことが必要です。日頃から保護者が率先して読書に 親しむことや、家族と一緒に本を読んだり、図書館を利用したりすることなどにより、日常生 活の中で、子どもが読書に対する興味や関心を引き出せるように働きかけることが保護者の 大切な役割です。 地域においては、公民館の家庭教育学級やボランティアの読み聞かせ活動を通して、子 ども読書活動への理解を促すとともに、子育て支援センターや児童センターなど子どもの身 近な場所において絵本や読書に親しむ環境づくりをすることが必要です。 【具体的な施策】 市では家庭・地域において子どもが本に親しむ機会をつくるため、ブックスタート事業や 「おはなし会」などを通じて家庭での読書の支援に努めます。 1 ブックスタートによる読み聞かせの推進 ・7ヵ月健診の乳幼児を対象に絵本をプレゼントしているブックスタート事業については、乳 幼児期から親子が一緒に絵本を楽しむ機会をつくるため、市立図書館が実施しているもの で、家庭での読み聞かせのきっかけとなるよう取り組みます。 2 地域での読み聞かせの推進 ・各地域の子どもの居場所となっている、子育て支援センター・児童センターなどでは、本と の触れ合う機会をつくるため、図書館やボランティアグループと協力しながら、読み聞かせに 努めます。 3 家庭での読書の推進 ・家庭によって読書環境が多様であることから、それぞれの家庭に合わせた取組みが大切で す。子どもと保護者が一緒になって読書に親しむことを推奨していきます。 ・図書館、幼稚園・保育所、学校関係職員、読書アドバイザーなどと協力し、発達段階に応じ た「おすすめブックリスト」の作成と提供に努めます。 4 読み聞かせボランティアの紹介 ・地域などでの読み聞かせ機会の推進を図るため、生涯学習情報やおはなしマップなどを 通じて、読み聞かせボランティアの紹介に努めます。 5 子ども読書活動の普及・啓発 ・子どもの読書活動についての関心と理解を深め、家庭での読書活動を推進するため、家 庭教育学級などを利用し、子ども読書活動の普及・啓発に努めます。 6 「こどもの読書週間」での啓発 ・「こどもの読書週間」では、子どもが読書に対する興味を高めるための催しや、市民の子ど も読書活動への理解と関心を深めるための啓発活動を行います。 Ⅱ幼稚園・保育所における読書活動の推進 【幼稚園・保育所の役割】 幼児期は人間形成の基礎を培う重要な時期であり、この時期に絵本などに親しむことは 豊かな心を育むうえで、極めて重要です。 幼稚園・保育所では、絵本や紙芝居などの楽しさを学び、ことばの世界を広げ、豊かな想 像力を育んでいきます。 このため、保護者、幼稚園教諭、保育士が読書の大切さや意義について理解を深めて、 子どもと一緒になって読書の楽しさを分かち合うなかで、子どもの読書意欲を高めていくこと が大切です。 【具体的な施策】 幼稚園・保育所では、保護者と共に子どもが絵本などにふれる機会の充実に努め、市立 図書館やボランティアグループなどと連携しながら、読み聞かせの楽しさや大切さを伝える 取組みを推進します。 1 おはなしの楽しさを知る機会の充実 ・子どもが絵本などに親しみ、おはなしを聞く楽しさを身につけるため、「読み聞かせ」や「絵 本の時間」などの機会の充実に努めます。 2 保護者への「読み聞かせ」情報の発信 ・幼児期の「読み聞かせ」の意義や方法等について、保護者の理解や協力が欠かせないた め、市立図書館などと協力して、情報の提供に努めます。 ・市立図書館等で開催される「読み聞かせ会」等について、おたよりなどを通じ、保護者への 情報提供に努めます。 3 読書環境の整備 ・発達段階に応じた図書の整備、充実に努めます。 4 家庭への絵本の紹介や貸出 ・家庭での読書支援を図るため、幼稚園・保育所にある絵本の紹介や貸出に努めます。 5 市立図書館との連携 ・市立図書館の協力により、図書の団体貸出による計画的利用や司書による「読み聞かせ」の 指導など、幼児期における、望ましい子ども読書活動の環境づくりに努めます。 ・子ども自ら絵本を選び、借りる楽しさを知るために、市立図書館の積極的な活用に努めま す。 Ⅲ学校における読書活動の推進 【学校の役割】 学校においては、児童生徒それぞれの発達段階に応じて、読書に親しむ環境づくりをす るとともに、読書活動を通して子どもの視野を広げていくことが大切です。 学校図書館は、児童生徒の創造力を培い、学習に対する興味・関心を呼び起こし、豊か な心を育む、自由読書や読書指導の場であるとともに、児童生徒の自主的な学習活動を支 援し、情報の収集・選択・活用能力を育成する場であることが求められています。このため、 多様な教育活動が展開できるような図書の充実など図書館を計画的に整備していくことが 必要です。 児童生徒の読書活動の推進を図るためには、児童生徒の実態に即した読書指導を行う とともに、保護者の理解、市立図書館や関係団体等との連携・協力が必要です。 【具体的な施策】 学校では、児童生徒の読書習慣を確立するための取組みや学校図書館の充実に努める とともに、学習活動や読書活動において計画的な読書指導を推進します。 1 読書習慣の確立 ・児童生徒の読書習慣の定着を図るため、「一斉読書」「読書の時間」などの日常の指導の 充実に努めます。 2 学校図書館を利用した学習活動の充実 ・学習・情報センターとしての機能を十分に果たすために、各教科や総合的な学習の時間等 における学校図書館の利用を促進し、児童生徒の情報活用能力の段階的・系統的な育成 に努めます。 3 学校図書館の計画的な整備 ・学校図書館の蔵書構成を考慮し、計画的な図書の更新・充実に努めます。 ・図書の効率的な利用を促進するため、蔵書目録の整備に努めます。 4 読書指導の充実 ・子どもの読書意欲を高めるため、「読み聞かせ」や「ブックトーク」などの多様な読書指導の 充実に努めます。 ・子どもの読書活動を支え、本に出会うきっかけや、親しむための手助けになるよう、読書指 導に直接携わる職員に対し、スキルアップを図るための研修機会の充実に努めます。 5 家庭での読書の推進 ・学校での読書指導の効果を高めるには、家庭の協力が必要です。保護者と連携し、「家庭 読書の日」等の推進に努めます。 6 市立図書館・関係団体との連携 ・図書館資料や情報の共有化を図るため、市立図書館とのより一層の連携に努めます。 ・市立図書館の団体貸出の活用に努めます。 ・読書指導の充実を図るため市立図書館や PTA、読書ボランティアグループなどの関係団 体との連携に努めます。 Ⅳ図書館における読書活動の推進 【図書館の役割】 図書館は、子どもにとって読みたい本を自由に選択し、読書の楽しみを知ることができる 身近な場所です。また、保護者にとっては子どものための本を選んだり、子どもの読書につ いて相談することができるところです。 図書館は、子どもの読書活動の推進のための拠点となることから、家庭、地域、幼稚園・ 保育所・学校、ボランティア等と連携・協力をしながら、読み聞かせなど子どもに読書の楽し さを伝えるための活動の展開や、子どもが読書に親しむための環境整備など様々なことが 求められています。 【具体的な施策】 市立図書館では、子どもの読書意欲を満たすよう、家庭・地域や関係団体等との連携・協 力を推進し、子ども読書活動の拠点として図書サービスの充実を図ります。 1 読み聞かせボランティア等の育成・支援 ・読み聞かせボランティアの育成や読み聞かせに携わる関係者の技術向上を図るため、読 み聞かせ講座や研修会を実施します。 ・ボランティア団体の「おはなし会」開催等を支援します。 2 団体貸出の充実 ・幼稚園・保育所・学校の読書活動の支援を目的に実施している団体貸出については、利 用促進を図るため、貸出の計画的な運用や、必要な蔵書の整備に努めます。 3 図書の充実 ・家庭での読書のきっかけとなる乳幼児向けの図書や読書離れの傾向がある中高生向け の図書など、子どもにとって魅力ある図書の充実に努めます。 ・小中学校の調べ学習や総合的な学習で活用される図書館資料の充実に努めます。 4 子どもための施設整備 ・図書館内に設置されている、乳幼児向けの絵本コーナーや、親子でふれあえる「おはなし 室」など、子どもの利用しやすい施設環境の整備に努めます。 5 「おはなし会」 「読み聞かせ会」の開催及び支援 ・読書の楽しさに気付き、自主的に読書習慣が身につけられるよう、子どもの発達段階に合 わせた「おはなし会」や「読み聞かせ会」を定期的に開催します。 ・幼稚園・保育所・学校、公民館などが計画する「読み聞かせ会」等を支援するため、図書館 司書の派遣や読み聞かせボランティアの紹介などに努めます。 6 幼稚園・保育所・学校、県立図書館等との連携 ・子ども読書活動への支援、協力、情報収集を行うため、幼稚園・保育所・学校、中野・下高 井図書館協会、県立図書館等との連携に努めます。 7 子ども読書活動の広報・啓発 ・「子ども読書週間(子ども読書の日)」期間中の子ども読書活動の広報・啓発に努めます。 ・「図書館だより」「中野まなびぃ塾」「おはなしマップ」などを通じて、子ども読書活動の広報・ 啓発に努めます。