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英国の金融・資本市場について

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英国の金融・資本市場について
経済財政諮問会議
金融・資本市場ワーキング・グループ 御中
英国の金融・資本市場について
2007年2月19日
フューチャーフィナンシャルストラテジー株式会社
代表取締役社長 富樫 直記
1-1.日本と英国の「金融」(市場、政策、制度、業界)変遷の相似性
日本は10年~15年程遅れて英国の展開を後追い。
日本の現状は10年前の英国に酷似:リレバン、企業再生・企業買収、ローン売買市場、銀行の年金保険窓販急増
英国は15年かけて金融サービス法を金融サービス市場法に進化。
95
支店数、人員数削減
支店数、人員数削減
リテール金融の強化
リテール金融の強化
・営業店のセールス機能強化
・営業店のセールス機能強化
・テレホンバンキング
・テレホンバンキング
・クロスセル
・クロスセル ・住宅ローン、カードローン
・住宅ローン、カードローン
・投信
・投信
・生・損保商品
・生・損保商品
06
07
00
00
01
金融
融サ
サー
ービ
ビス
ス市
市場
場法
法制
制定
定
金
企業買収の
企業買収の
隆盛
隆盛
97 98
ロイ
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ルバ
バン
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クオ
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ブス
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92
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監督
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社会
会保
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改正
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年金
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(
金融
86
金融
融サ
サー
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(
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86
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GDPマイナス
90
ブレア政権(労働党)
ブレア政権(労働党)
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銀行
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銀
1985
97
サプライギャップ、
サプライギャップ、
過剰設備問題
過剰設備問題
・
・
91
経済・政治等
リレーションシップバンキング重視の動き
リレーションシップバンキング重視の動き
98~00
経済・政治等
1995
00
サプライギャップ、過剰設備問題
サプライギャップ、過剰設備問題
外資系ファンド
外資系ファンド
等による
等による
企業買収の隆盛
企業買収の隆盛
リテール金融の強化
リテール金融の強化
・保険・投信窓販
・保険・投信窓販
・消費者金融との資本業務提携
・消費者金融との資本業務提携
・クレジットカードの本体発行
・クレジットカードの本体発行
銀行の年金
保険窓販
解禁
02
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03
05
全て
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の保
保険
険取
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扱解
解禁
禁予
予定
定
全
支店数、人員数削減
支店数、人員数削減
04
金融
融商
商品
品取
取引
引法
法制
制定
定
金
04
三菱
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東京
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日本
投信
信窓
窓販
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禁
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98 98
金融
融監
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設立
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金
96
日本
本版
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クバ
バン
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日
金融
GDPマイナス
地銀によるリレーショ
地銀によるリレーショ
ンシップバンキングの
ンシップバンキングの
対応強化
対応強化
2
1-2.(参考)日・英の経済動向の比較
経済、財政状況も7~9年のラグで後追い?
%
実質GDP成長率
7.0
6.0
5.0
英国
4.0
3.0
2.0
1.0
0.0
日本
▲ 1.0
▲ 2.0
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年
00
01
02
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00
01
02
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05 年
02
03
04
失業率
%
14.0
12.0
英国
10.0
8.0
6.0
4.0
2.0
日本
0.0
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86
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88
89
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91
92
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99
政府財政収支(名目GDP比)
%
15.0
10.0
英国
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日本
▲ 5.0
▲ 10.0
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87
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90
91
92
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94
95
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99
00
01
年
3
2.金融サービス法制定の背景と経緯
1974年 第2次銀行危機
1979年 銀行法制定
↓
証券業務についても、貿易産業省への届出等だけでは不十分、
何らかの成文法による規制・監督体制へ移行すべきとの気運
↓
80年代前半 投資業務を巡る事件、不祥事続発
・81年 ノートン・ウォーバーグ事件 ~ 投資顧問の不正
・84年 ジョンソン・マッセイ・バンカース事件 ~ 金投機失敗
84年 政府委託のガウアー教授報告
・実務家の専門的知識を活用でき、迅速柔軟な対応が可能な自主規制団体
併用の規制体系を提案
85年 「金融サービス法案」
86年11月 金融サービス法施行
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3-1.英国の金融監督体制の変遷:1987年~2001年
(注1)FSA・・・
The Financial Services Authority (FSA) is an
independent non-governmental body, given
statutory powers by the Financial Services
and Markets Act 2000. We are a company
limited by guarantee and financed by the
financial services industry. The FSA is
accountable to Treasury Ministers, and
through them to Parliament. It is operationally
independent of Government and is funded
entirely by the firms it regulates.
1998年
FSA(注1,2)発足
1987年
1987年
金融サービス法
金融サービス法
Institutional(機関)と
Functional(機能)の混合型監督
(注2)FSA・・・
銀行、保険、投資等あらゆる業態を包括的に規
制・監督。法律上、公的な規制機関として位置
づけられているが、政府機関ではなく、有限保
証責任会社の形態をとり、運営費は主に認可業
者からの手数料で賄われている。
Financial Services Authority(金融サービス
機構) の略称。
2000年
2000年
金融サービス市場法
金融サービス市場法
FSA(金融サービス機構)による
機能統合型監督
上記に伴う問題をLead regulator
制で補完
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3-2.87年当時の英国の金融監督体制
<79、87年銀行法>
<87年金融サービス法>
機関の監督
(Institutional Supervision)
(投資関連)業務の監督
(Functional Supervision)
(注1)
金融サービス法第25条
により認可された機関
のうち、同法43条によ
りBOEのホールセール
短期金融市場機関のリ
ストに掲載された機関。
貿易産業省
BOE
(Bank of England)
短期金融・外為市場
(金融政策運営の場)
Lead Regulator 制
SIB(注2)
(Securities Investment Board)
(注2)
Company limited
by guarantee、
メンバーは非公務員
刑事犯訴追可能
(同法第201条)
Listed Institution(注1)
自主規制団体
公認
取引所
公認
決済機関
公認
専門家団体
(金融サービス法第25、43条)
英国銀行
外銀支店、外国系銀行現法人
マーチャント・バンク
ディスカウント・ハウス
長期国債マーケット・メーカー
その他マーケット・メーカー
銀行業務
証券業務
先物ブローカー・ディーラー
投資顧問
生命保険・投資信託
金融仲介業・運用者・ブローカー
(SROs)
(RIEs)
(RCITs)
(RPBs)
ロンドン
クリアリング
ハウス
保険経理人
協会
法律協会
会計士協会
…
TFA
AFBD
IMRO
LAUTRO
FIMBRA
・・・
LIFFE
…
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ロンドン株式
取引所
(LSE)
6
3-3.Bank of Englandの経営目的等(1991年当時)
経営目的
通貨の信認(integrity)と通貨価値の維持。
支払決済手段を含む金融システムの信認(integrity)の維持。
英国金融サービス分野の効率性(efficiency)と
有効性(effectiveness)の推進(英国金融市場の競争力向上)。
責務
議会に対する責任を有する(accountable)こと。
銀行界に対し不必要な負担(burden)を負わせることのないよう、また株主である大蔵省のため
資本の効率的運用を行うよう、BOEの資源を運用・管理すること。
経営哲学
中銀職員としての高度な専門性、倫理的規範を有し、広く信認、尊敬を獲得する必要がある
こと。
市場に対して意見を押しつけるのではなく、むしろ耳を傾け、納得するまで諮ると同時に、
一度市場の機能が損なわれた場合には建設的なサポートを行うため介入する用意を持つこと。
伝統を重んずることも必要ながら、それが柔軟な対応を怠った場合の言い訳となってはならない
こと。
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7
3-4.FSAが負う7つの規制原則(プリンシパル)
①FSAの資源の効率活用
②認可業者の経営者の責任
③規制のコスト・ベネフィットのバランス
④規制業務におけるイノベーションの促進
⑤金融サービス・市場の国際性と英国の競争力の維持
⑥FSAの行為から生じる反競争的効果の最小化
⑦認可業者間の競争促進
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4.英国金融当局の金融市場への基本的対応姿勢
市場の尊重
① 自主性の伝統
Initiatorあるいは
② facilitatorとして
中銀が存在
市場(シティ)の競争力
維持・向上
③ 対話型の枠組作り
④
不完全の許容
(市場の失敗の許容)
(≠利害調整役)
証券規制における
SROの経験・伝統
自主規制が機動性、
即応性において法
律より上位という
存在
CRESTプロジェクト(90年代前半)
(ロンドン証券取引所の電子決済化)
London Approach(90年代前半)
(大型不良債権処理の枠組み)
Financial Low Panel(1993年~)
(先進的金融取引の法的不確実性への対応)
市場の構造・前提は
所詮変化するもの
(変化が常態)
適者生存
→競争力の源泉
1987年:金融サービス法
1987年:金融サービス法
z
z FunctionalとInstitutional
FunctionalとInstitutional の混合型監督
の混合型監督
z
z Lead
Lead regulator制で補完
regulator制で補完
関係者の対等かつ柔軟な検討の積み重ね
1998年:FSA発足
2000年:金融サービス市場法
2000年:金融サービス市場法
z
z 監督機能が統合一元化
監督機能が統合一元化
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5.ブレア首相講演「リスクと国家」(2005年5月26日)
政府の認識
1. 過度にリスク・センシティブな公的サイドによって、ビジネスのほか、科学の進歩を無視した研究に対する過剰な規制がかけ
られているほか、公的規制に慣れ切った市民社会において市民的常識(コモンセンス)が衰退し、そのことが公的機関による
規制をさらに増大する。
2. 国家は様々な基本的リスクを遮断する必要があるが、英国自身あるいはEU指令に基づく規制によって、ビジネス上の過剰な負
担がもたらされている。今年後半から英国はEU議長国となり、こうした状況について改善していく。
3. 公的規制によるビジネスへの過剰負担を求めている例として、米国の2002年に成立したSarbanes-Oxley法(米国企業改革
法)が挙げられる。同法は「混乱の中でデザインされ、倫理的な怒りによって分別が失われた中で通過し」(英エコノミスト
紙)、小さな過失に対しても多大な補償を求められる可能性を恐れた米国企業に法律・会計関連の多大な経済的コストをかけ
ている。
4. 英国FSAは、金融セクターにおける明確なガイドラインとルールを用意し、詐欺行為から消費者を保護するために設立された
にもかかわらず、詐欺行為を行っていない全く問題のない企業からは、過剰な介入によって効率的な企業活動を毀損する存在
と見られている。
5. 様々なリスクを恐れてビジネス・科学研究等の過剰な公的規制を行った場合、そうしたリスクを取って行く中国やインドとの
ビジネス上での競争に敗北しかねない。
6. 過剰な公的規制が発生する背景として、市民自身が求めるほか、「誰が規制を減らし、リスクを取って評価されるだろう
か?」という言葉に集約されるように、官僚機構における業績評価や自己保身に由来する面もある。
7. 様々な面における過剰な公的規制やリスク・センシティブな公的機関の状況改善に向けて以下の四つの点を提起する。
①市民自身が公的規制を求める前に、それが本当に必要かどうかを熟考する必要がある。
②英国、欧州、その他規制団体それ自体に関して、規制強化の潮流を変えることを開始する。
③損害賠償要求文化をコモンセンス文化へ転換する。
④どのようにしてこれらの問題に取り組み、そして人々により良く情報を提供するかについてメディアとの間で適切かつ真剣
な討論を開始する。
解決策
① 検査機関の削減(11→4)と規制導入に際しての「一増一減」の原則導入。
② 紛争解決屋(claims farmers)の活動抑制、裁判手続き前のインフォーマルかつ迅速な紛争解決、及びその政策形成過程への
速やかな反映。
③ スキャンダル発生時における無条件の規制強化の抑制。
- リスクをゼロにすることは不可能であるにもかかわらず、それを目指して膨大なコストを費やすことは愚かしい。
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6.終わりに
1.日本の金融・資本市場の現状
罪刑法定主義の法原則の下で、英国的な市場運営(自主規制)と米国的な市場運営(証券取引監
視委員会等)が混在し、混沌。
「プリンシプルベース」と「ルールベース」についての国としての方針不明。
(英国)プリンシプル、ルール、コード、ガイダンス、ハンドブック。
2.これからの金融・資本市場改革
「オープン」、「自由・規律」、「信頼」にプラス「競争力の維持・向上」を明示する必要。
3.競争力の対象
①競争力向上の目的は、金融セクターと経済の生産性の向上?
②「誰のための競争力(利益)」という視点は?
③日本版ビックバン以降、少なくとも、米系投資銀行の日本拠点は収益、規模とも大きく拡大。
米系投資銀行の
イギリス拠点
米系投資銀行の
日本拠点
95年頃
1200~1500名
500~600名
05年頃
2000名?
1200~1500名?
④イギリスはビックバンで、金融のGDP寄与は拡大し、政府の税収は増え、雇用も拡大。第二の
シティがかつての不良債権象徴の地“カナリーウォーフ”に誕生。オフィスや空港などの交通イ
ンフラも拡充。
4.国益の定義付けの重要性
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(参考)イギリスの国益(戦略的国際優先事項)- 経済同友会資料
イギリスの国益
①グローバルなテロや大量破壊兵器の問題に対応し、より安全な世界を構築する。
②不法移民、麻薬売買及びその他の国際犯罪から英国を守る。
③紛争解決や予防に役立つ良好な方策である法の支配に基づいた国際システムを創出する。
④安全な周辺環境の下で効果的なEUを実現する。
⑤開かれていて、拡大するグローバル経済の中で、英国の経済利害を促進する。
⑥民主主義、民主的な統治、人権に支えられる持続可能な開発を行う。
⑦英国の安全とグローバルなエネルギー供給を確保する。
⑧英国の海外領土の安全と民主的統治を実現する。
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(参考1)アメリカの国益(1/2)- 共和党系シンクタンク「国益委員会」2000年資料
アメリカの国益
死活的に重要な国益
死活的に重要なわが国益とは、自由で安全な国家において、米国民の生存と福祉を守り、向上させるために絶対的に必要な条
件である。
米国の死活的に重要な国益とは
1.米国あるいは国外にいる米国軍に対する核・生物・化学兵器による攻撃の脅威を防止し、抑止し、そして削減すること。
2.米国の同盟国の生存と、我々が繁栄していくための国際的なシステムを協力して作っていくこと。
3.米国との国境沿いに敵対的な覇権国家または没落国家が生起する事を阻止すること。
4.貿易、金融市場、エネルギー供給及び環境問題についての世界的システムの実現性、安定性を確保すること。
5.米国の国益と調和した形で中国やロシアのような戦略的敵対国家になるような国家と生産的な関係を構築すること。
きわめて重要な国益
きわめて重要な国益とは、それがもし危うくされる場合には、自由で安全な国家における米国民の福祉を守り、向上させるべ
き米国政府の能力が、完全に侵されないはしないまでも著しくそこなわれるような条件をいう。
米国のきわめて重要な国益とは:
1.いかなる場所においても、核兵器あるいは生物、化学兵器の使用の脅威を防止し、抑止し、そして削減すること。
2.WMD兵器およびその運搬システムの地域的拡散を防止すること。
3.国際的な法の支配と平和的な紛争解決または話し合いのメカニズムの受け入れを促進すること。
4.ペルシャ湾のような重要な地域における地域的覇権国家の台頭を阻止すること。
5.米国の同盟国と友好国の福祉を充実させ、彼らを外部からの攻撃から守ること。
6.西半球の民主主義と繁栄と安定を持続すること。
7.地理的に重要な地域おいて、大規模な紛争を防止し、制御し、妥当なコストで可能ならば、終結させること。
8.主要な軍事関連技術およびその他の戦略的技術、特に情報システムにおける主導力を維持すること。
9.米国の国境を越える、大量かつ無制限な移民を防止すること。
10.テロ(特に国家が後援するテロリズム)、超国家的な犯罪、および麻薬の売買を抑制すること。そして、
11.大量虐殺を防止すること。
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(参考2)アメリカの国益(2/2)- 共和党系シンクタンク「国益委員会」2000年資料
アメリカの国益
重要な国益
重要な国益とは、それがもし危うくされる場合には、自由で安全な国家における米国民の福祉を守り、向上させるべき米国政
府の能力に大きなマイナスの結果をもたらすような条件である。
米国の重要な国益とは:
1.外国における大規模な人権侵害行為をやめさせること。
2.安定を損なうことなく可能な範囲で、戦略的に重要な国においては、(宗教、民族などの平和的な)多元的共存、自由、
および民主主義を推進すること。
3.戦略的に重要性の高くない地域における紛争を防止し、低コストで可能ならば、終結させること。
4.テロ組織により標的にされ、あるいは捕虜とされている米国市民の生命と福祉を保護すること。
5.国家間における貧富の格差を削減すること。
6.海外における米国資産の国有化を阻止すること。
7.重要な戦略的産業ないしセクターの国内生産を増大すること。
8.米国の価値が外国文化に対してよい影響を与え続けることができるように、情報の国際的流通における優位性を維持す
ること。
9.長期的なエコロジー保護の視点から見て整合性のある国際的な環境政策を推進すること。そして
10.国際的な貿易および投資によって米国のGNPの伸びを最大限にすること。
重要性の低いあるいは二次的な米国の国益
重要性の低いあるいは二次的な米国の国益とは、重要性がないということではない。それらは重要で好ましいものであるとし
ても、自由で安全な国家における米国市民の福祉を守り、向上させるべき米国政府の能力に対して、直接的にほとんど衝撃を
与えるとは言えないような条件のことである。
重要性の低いあるいは二次的な米国の国益の項目は下記を含む。
1.二国間貿易の赤字をバランスさせようとすること。
2.他の国において民主主義を拡大しようとする、あるいは民主主義の拡大自体を目的とすること。
3.他の諸国における領土の保全、あるいは特定の政治構造を維持しようとすること。そして、
4.特定の経済セクターの輸出を推進すること。
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(参考文献)
①
トニー・ブレア (2005) “Risk and the State” 公共政策研究所での講演
(2005年5月26日)
②
総合研究開発機構 (2005)
「包括的・横断的市場法制のグランドデザイン 1 日本版金融サービス市場
法制のグランドデザイン」
「包括的・横断的市場法制のグランドデザイン 2 包括的・横断的な市場
法制の確立に向けて 個別論文集」
「包括的・横断的市場法制のグランドデザイン 3 金融サービス市場法制の
核心を欧州と英国に学ぶ」
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15
(参考文献)
③
植田和男、山田辰巳、伊藤隆敏、貝塚啓明、富樫直記、深尾光洋、小川
アリシア、神田秀樹 (1996) 「金融空洞化の経済分析」 日本経済新聞社
序章 金融空洞化:その原因と影響・・・・・・植田和男・深尾光洋
1. はじめに
2. ネットワーク化する技術への対応の遅れ
3. 公的介入と金融機関・市場の競争力
4. 日本の金融市場の空洞化、金融機関の国際競争力低下の何が問題か
5. 本書の構成
第1章 金融・資本市場の規制と実際・・・・・・神田秀樹
1. はじめに
2. 日本の金融行政と金融立法
3. 日本の金融行政、金融立法と民間金融機関
4. 日本の金融行政、金融立法の特色と理論
5. むすびに代えて:日本の金融市場の空洞化、金融機関の国際競争力
第2章 銀行業界の空洞化―収益性、政府系金融機関との競争、貸出能力の余剰に
ついて・・・・・・小川アリシア
1. はじめに
2. 政府系金融機関との直接の競争
3. 収益性への影響と発展の歪み
4. 金融業界の余剰貸出能力
5. 結論
第3章 日本の金融市場と会計制度―銀行のトレーディング活動に対する時価評価の
導入に向けて・・・・・・山田辰巳
1. はじめに
2. 本稿で用いるいくつかの用語について
3. 現行会計制度の概要
4. デリバティブ等の金融商品が提起した問題
5. 銀行のトレーディング活動に対する時価評価の導入
6. ヘッジ会計と時価評価の関係
7. おわりに
第5章 日本の金融機関の国際競争力・・・・・・富樫直記
1. はじめに
2. 邦銀の国際競争力を巡る金融環境の諸変化
3. 邦銀の国際競争力の現状
4. 欧州金融機関の国際競争力強化の動き
5. 邦銀の国際競争力に係る諸問題
6. おわりに
第6章 国際金融センターとしての東京市場―現状と問題点・・・・・・貝塚啓明
1. はじめに
2. 東京市場の比重
3. 東京市場低迷の原因
4. 社債発行の国際比較
5. 空洞化と今後の政策課題
第7章 金融センター間の競争と協調―大証とシンガポールにおける日経
フューチャーズ取引・・・・・・伊藤隆敏
1. イントロダクション
2. 国際金融センター
3. アジアにおける国際金融センター
4. 大証対SIMEX
5. ベアリングズ証券事件の教訓―取引所機能を中心として
6. 結語
第8章 日本の金融市場空洞化と日本経済・・・・・・植田和男
1. はじめに
2. 産業立地論と空洞化
3. 産業立地論の金融業への適用可能性
4. 金融センター立地モデル
5. 理論モデルと現実
6. おわりに
第4章 日本の為替管理と金融市場の空洞化・・・・・・深尾光洋
1. はじめに
2. 為替管理の存在意義の変化と自由化の必要性
3. 国際金融取引の自由化に絡む諸問題:税、投資家保護と金融市場
4. おわりに
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