Page 1 奈良教育大学紀要 第49巻 第1号 (人文・社会) 平成12年 Bull

奈良教育大学紀要 第49巻 第1号(人文・社会)平成12年
103
Bull.NaraUniv.Educ,Vol. 49, No. 1 (Cult. & Soc.), 2000
マルテイン・ルゼルケの視座と実践〔下〕
:、 i -'t'l中Ml・?¥[S]-'')¥川/-:i
岡 本 定 Pj
(奈良教育大学教育学教室)
(平成12年4H28 1受理)
キーワード:ドイツ改革教育運動、素人演劇、 「海の学校」
本紀要前巻(第48巻第1号)で見たように、マ)Lテ(
第I章. 「海の学校」の意義と芸術教育
ン ;uセルケ(Martin Luserke.1880-1968)は、ドイ
・ソ・ワイマール期の芸術教育連動の一つの典型である
第1節. 「海の学校」の特質と意義
「素人演劇」の中心的開拓者であった.そして、今日的
「学校教育は、唯のきっかけであるところの北海の
なポスト・モダンの教育的論議の主題と関わって言え
烏での特別な種類の実験ノ'?-?*.、学校と青年Lg体との
ば、ルゼルケの教育実践の中心的課題は、人間の ア命
糾互作目の形が実践の4<で発展するような民族的な
ijj (Leberiskraft)の促進にあったのであり、さらには、
教育を行うこと、 -全てが教育古としての北方風
彼の創設になる「海の学校」の中心的カリキュラムは、
景に刻印されている一,」り5)
ルゼJLケ言うところのまさに「神話的抑或」としての絵
画であり音楽であり、そして何よりも「素人演劇」であ
1933年、既にナチの全回勺支配が確立L、その民衆扇
動的支配が北海の畠にまで及び、自らの建てた「海の学
ったのである
校」の存立も時間の間題となりつつあ--)た時点で、 )Lゼ
本稿は、今口では教育者としてよりも物語作家として
)Lケは、北海に浮かぶ烏ユ-ストを自らの理想の学校改
知られているというルゼルナを、改めて創造的開拓的教
・)'蝣の地に選んだ理由をこう記した- 「教育者としての北
育実践家として捉え正し、その視座と実践を今「w;ニ:校
方風景」 -こうしたルゼルケの表現には、かつて少年時
改革と教育の在り方を探るための -道標とするための試
代に初めてみた北海への感動、そして、遅蒔きながら、
イエナ太字での研究′口舌を志向しつつあったときのゼミ
みである,J
ここで、因みに前巻を含む本論文の全体構成を以日二
休暇でのやはり北海での体験が、終生変わらぬ被の創作
活動の椙本原理-海洋的律動連動となったことと、しっ
示しておく,_
かり結び合っていたものと考えられる.
厳しくかつ荒涼たる自然、刻々と変わる大気と海の潮It
はじめに
第I章 ルゼルケの軌跡と「海の学校」前史
第2節.ヴィッカースドルフでの教育実践
一以上前巻、以下本巻
第I章 「海の学校」 の意義と芸術教育
第1節. 「海の学校」 の特質と意義
第2節. 「海の学校」 の芸術教育
第Ⅲ章 「素人演劇」 の視座と実践
第1節. 「素人演劇」 とルゼルケ
第2節.ルゼルケの 「素人演劇」実践とその視座
exam声
そこでの人間の営みは、全て自然からのきっぱりとした
抵抗に合う- そしてこの自然からの妥協のない厳しい抵
第1節.軌 跡
抗が、人間に深い知と高度な技術を要求し、何よりも人
と人との協力を引き出し、人々を結び合わせる,ルゼル
ケが自らの教育理念の全面的展開を求めて選んだ地が、
「教育者としての北方風景」、凪と雲と海の潮に囲まれた
北海の烏ユーストであったことは、従って、大きな冒険
行でこそあれ、決して社会や世界からの逃避fj-ではなか
ったのである,二,
さて、 「ゲイソカーストルフ白山学校其l司体」からの
数上人の生徒達と深い信頼と酌意で結び合った数名の教
師達とで出発した「海の学校」は、こうした自然の,と
104
EsHh眉 盟
きに過酷とも言える条件の中で、ルゼルナと青年達に内
的かつ強度の密着度をもった凝集的生活を可能にする条
件をもたらした二.
ユーストは、ブレーメン港を遥かに望む孤島であるが、
澄んだ空気と青い空を背景に北海を航行する大型船がく
めて広範囲な活動を展開した」 (47)のであるLl
また、一・万、女の子達は、 「刺繍、飾り(Bastarbeiten)、
自分で編んだセーターや帽子、そして特に、いつも芝居
の前に行われ、しばしば2-3週間も熱中するところの
必要な衣装作り」 (細に取り組んだL,
-)きりと浮かび、烏の群と雲の去来が人々を徒歩旅行や
むろん、こうした作業や手仕事は、必要緊急の課題と
迫遥へと駆り立てる烏であった(- 静かな海のうねりと線
して行われただけではなく、教材や大きな楽しみ作りの
で描いたような地平線、両者の対時が、ルゼルナと青年
ためでもあった.I,海に囲まれた烏での子ども達の楽しみ
達に日々の創造力を駆り立てたに違いない‥ そして、
は、校庭をかねた庭園での作業、毎Rのように流れ着く
方で、この島での閑寂と孤独が、生徒達の精神的負荷と
様々な漂流物の収集、水泳、そして、船の4つに集まっ
なって、必要な他者への依存とそれを支える自律心を促
ていた,I.とりわけボートやヨットでの帆走は、ルゼルケ
す土壌となったことであろうL.さらには、生徒達にとっ
自身が航海指導者用免許を持っていたこともあって、 L
て、都会や家族からの、そして産業社会や受け身的な娯
級段階での正規の学習課題に取り入れられていたこ,また、
楽からの距離が、自然のうつろtlと深く関わりつつ、具
この学校には、折に触れて、新しい耐航性ポートが持ち
同体構成員としての資質と自覚、自律的かつ文化的な′上
込まれ、早くも1925年の学校設立の年に、教師指導のも
清形成能力を育む必要性と欲求を生んだことであろうL=
とに生徒達の手で、こうしたボートやヨ・ソトを収める64
実際、ユーストには、頭で考える前に手を使い、体全
体でぶつかって尚余りある豊かな日々の課題や楽しみが
Ill'もの広さの艇庫が建てられ、小さな作業場も造られた
のであるし(肘
あった,_,そもそも「海の学校」は、既設の建物や施設を
以下に、こうした生徒達の楽しみと関わる「海の学校」
ただ買収したり借印したものではなく、それらを造り維
の、極めて独自かつ特徴的な姿の一端を、学校の対外的
持し管埋すること自体が、ルゼルケ初めこの地に移住し
な報告集によってみてみよう_,
た教師や生徒達の初発の根本課題であった。そして、造
「1926年夏、学校に大きな船がもらえることになっ
り上げた施設や建物を吹きすさぶ時化から守る堤防や垣
て、遠洋航海や遠足が盛んになった-.烏島メンメル
根や生垣造り、損壊部の補修など、緊急を要する活動や
ト、ボークム烏やノルトダイヒは、今やしばしばの
作業がH帯的に存在したっ それは、教師と生徒との実践
寄港地となった- 海は、学校生活に広範な領分を占
的協力、発明精神、物や人を効率的合理的に生かし結ぶ
め、生活に即し、自然と結びついた教育のII-面を求
組織能力、そして、創造力開発の絶好の場でもあったの
めた′_.海は、潮の干潮とその流れから、浅瀬の起伏
である,,こうして、手仕事や作業は、学校を物理的に支
の全くの生きた形からすばらしい生き物の様子を、
え保障する必須の活動であると共に、教師とその家族・
そこ学校の南側では、常に花々に第2の領分を提供
職員、そして、生徒達の生活其「司体としての「海の学校」
してくれた,_.砂と浅瀬の間に船を出し、建物のすぐ
の基本的な教育・学習活動の一環でもあった。.
前に両者の世界が広がることで、海は、我々の生活
「海の学校」におけるが)キュラムは、多くの他の改
のまさに現実となっている,_」 50)
造的新学校がそうであったように、大局的に見て、午前
は、教科の授業、午後は、作業的スポーツ的グ)L-プ活
ルゼルケの「海の学校」を訪問観察したトマス・アレ
動に充てられていた,:例えば、ここにあっての手仕事は、
クサンダー(Thomas Alexander)は、 「ルゼルナの生徒
カリキュラムの中でも過の大きな部分を占めており、
達が生命力と簡素な美しさを伴った劇を上演するのを容
「通常の学校進行では、週に3日、 2時間25分がそれに
易にしているものは、恐らく彼らの根元的力と関わる親
計画的に充てられるという形で組織され」 「加えて、年
密さなのだろう」 (511、と指摘したが、北海の広大な海
平均12日の作業日があり、そこでは、午前と午後に各々
とともにあった厳しくかつ別造性に満ちた共同生活、わ
3 -3.5時間、全校一斉の大規模な作業が行われた。,」 (4(3!
けても海の自然なリズムは、この教育共同体の個々の構
手仕事の種類は.学校の口々の、或いは、季節ごとの
成員の根源的な生活リズムとして作円したに違いない。
具体的な必要性によって決められたが、手に関わるこう
そしてこのことは、やがて青年の発達リズムそのものへ
した作業は、また 一方で、生徒達一人目・人の相互の必要
の着目となり、ルゼルケは、 「思春期(ll-16歳)を人
性確認と個性発見の機会ともなった.J自己活動による自
間の生涯にあっての決定的発達期として提示」 (52)する
ことになるL_
己活動への教育は、生徒達の自発的な恒常的グループを
も生みだし、やがて、年長の3つのグループが「商会」
後にみるように、 「海の学校」を外部社会に対し最も
を経営し、 「全員がハンダとヤスリで電気仕事をし、簡
著名にしたのは、ルゼルケとその「素人演劇]であった
単だが大きな所帯に使うあらゆる種類の修理のための極
と言える,:,しかし、ルゼルケは、何よりも「青年から」
-7)iテ1ン. )Lゼル′ren￨-1国王±実践[KJ
削m
廿射 「wの学校」の午前のカリキュラム
SchulpIan der ,,Yornii舶gsarbeit" :り
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,,GroQe Arbeit" aaf eincロl WA叫㌢biet. Walitfach一岬cbtmdai- BLurddrbeit;
、vc】Icre Sprもche oder Weiteri止rang eiues Faclis, das kinssenm丘凸ig beendet ist.
(Aus: Luserke, M.二Bl且tter der AuBengemeinde der Schule am Meer.
Juist 1931, 7. Rundbrief, S. 3.)
(Von LIerJusjend aus)の教育を求め,青年の自律的発達
たつ丈=二みる如く、 )LゼJLケは言海の学校」の学校7
を効果的削造的に促し、 「素人演劇]を中心としたミュ
ラン及び日課を、 12時間ごとに配分された象徴的領域及
ーズ的なものと手仕事的なものとの高度な結合によっ
び神話的制式との(l--/l:として具体化した,_それとtf.んで、
て、青f印〕ノ日本的人間形成をこそ志向していたことを正
週6時問の「存在科」 (S亡illl-kunde)凋Il日生 自然科、
しく見てとることが必要であるだろう,
地学、社会科、同家科、及び緑営科:,射配置した,
因みに、ルセルケは、青年の発達過程に於いて、彼ら
また、 「海の学校」の狭義のカリキュラム上の特質と
がLL立的かつ世界と生き′上きと関わっていくための知的
して、例えば語学は、アビトゥアのための2ケ同語に備
領域として、 「象徴的」鈷域と「神話的」 T刷武の2つを
え-J.J二,V.)、 ・lJ㌦′ いし-'-> r二,語を主要語とし ^-1没は、特
重視した-, 「海の学校」 〔叫封二午前中のカ1)キュラムは、
に選択科「IとLてロシア語を配していた-,また、通常の
このことをujj瞭に示している(上図 参照′∼:
学校に於けるギムナジウム第7学年時に、 3投階に射す
「象徴的」碑戒とは、言語や算数・教学を中心とした、
ての絡「試験を実施し,これによってアビトゥアを取得
廿象やIIt界の記rir'lM両象的処理に関するV野を指し、
「神話的」領域とは、神秘的催し、演劇、踊C上 目では
させるという「lMftアビト-,フつ(Etこippen-AbitL"I)と
呼ばれる独白の試験制度シ71テムを導入した この「段
表せないようなものの表現に関わる'J津j'・を意味してtl
l;出hi'''ヒト''.蝣"7つ ぼ、 中上''ii2:・>:大'i'-白玉工・J持去立
106
岡 4・{ 定 男
学校に取り入れられるようになるなど(例えば′、ンブル
これら「海の学校」の芸術的、或いはミューズ的諸活
クで、第8学年終J′時での2相階システムという形で応
動においてまずIH=つく特質は、何よりもそれらの根底
目されたつ、 「海の学校」は、特筆すべきカリキュラム
をなす身体教育観にあった、と言えるであろう,_ルゼル
Lの改革的貢献をも果たしたのである[ ・方、教価と生
徒の関係についてみてみると、教l師よここでは指導者で
ケにとって、スポ-ツも手技も身体教育(kc
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Bildung)に属していたし、生徒達の楽しみのつでも
あるより、ともに味わい、学び、実践する仲間としての
あった庭造り、「現在ないし過去の文化′口舌を生きた関
役割を引き受け、青年の自律的・別造的・ [剛生「紅志向や
わりの中で見せ、精神的な島田根性に陥らないようにす
表現への不可欠の手助けをした,:,
るための」(54)研究旅?rや徒歩旅行も身体教育に属して
このことと関わって注Hす′、ミきことは、 「学校共同体」
いた,_,従って、体育(KOrpcrbildung)は、競争でも鍛錬
(Schuls ldc)の存在であるE-,これは、学校全体に関
でもなかった,_むろん、体育も身体教育の一環であるが、
わる問題についての教帥・生徒.家族構成員及び職員か
ルゼルケは、その最も重要な意義を、「全体としての学
らなる共同体全体による集会の固有名称であるが、これ
校′上清を、人間を全体として捉えることに習熟させるこ
が「海の学校」の本質的決定権をもっていた
と、他者が(それを)筆跡と同様に見、それによって凶
ここで生徒達は、その召集権(JLゼ)Lケのu集か、生
有の身体が表現手段となる、そのように人間を捉えるこ
徒たちの3分の1以」二)から投票権に到るまで、教紬や
とに習熟させる」こと、と把推していたU,
大人達と平等の権限をもたされていた。その存在と具体
また、ルゼルナにとってのスポーツは、[共同性を通
的参加を通じて、生徒達は、共同体意識をl勺実化すると
じて-(棉)一身体性へと導くI-一つの遊び」(56)であり、
ともに、 「海の学校」により相応しいもの、或いは机応
それは、身体感覚と身体的統制の新たな発達にとって重
しくないものに対して敏感になっていった,
要な意義を有するものであった-こうした能力は、後に
例えば、休み時間のplji定、外山時間の制限.男子・女
述べる「海の学校」を対外的に最も顕-酎二するのに貢献
子の問題、烏の住民と学校との関係、罰を含む規則の設
したルゼルケの「素人演劇」、わけてもルゼルケの命名
定、そして、劇のL演準備や手はず等に到る多くの重要
になるr連動演劇」(BewejiuncSspiel)の卜演にも役だっ
間題について、生徒達は、自発的な意見を述べ、臼らが
たL、
決定に参加した内容を行動に移していった,= 「学校共同
そして、さらに注目すべきことは、この「海の学校」
体」は、学校の本質的な決定機関であるとともに、生徒
で重視された身体教育の眼底にあったものが、心臓の鼓
達の自治や自立意識を促す重要な教育的機構でもあった
のである
動・呼吸・四季の変化など自然のリズムであり、わけて
青年の絶対的なまでの固有なf冊直を強調し、カリスマ
であった、という点であるE-海の自然なりズムは、その
も学校をとりまく北海の潮の十滴を主とした海のリズム
的指導者を受容させ、青年への観念的抽象的意味づけを
まま学校構成員の生活リズムに影響した,一日射こ述べたよ
行ったヴィネケン(Gusta＼′ Wyneke】一.1875-1964)とは嬰
うに、それが青年の発達リズムへのJLゼルケの注目する
なり、 JL,ゼルケは、 「生徒への教育は、教授を越えて、
ところとなり、「学校の身体形成にあっての」青年一人
青年に個性的価値の形成や養成を行いうる大人へのスタ
I-一一人の「スタイルへの意志」(571の軽重につながった,_
ンドインだと捉えていた」(53-からである,I,こうして、
そしてここから、体育と並ぶもうI-つの芸術/jl野とし
ルゼルケの「海の学校」は、舌[日二事物への社会的現実
て、ルゼルナの「連動から造られるつの芸術作品」(581
的認識を与えるとともに、一方で、機械化硬直化した現
である舞踊への特徴的把握と教育上の力点が生まれた,
実から青年を救いだし、学校の郷土的典L行日本′口舌のrrlで、
生徒達にとって、踊りが、「海の学校」の祭りや祝典を
青年の固有な力を逆に社会化現実化しうる能力と展望を
与えようとしていたのであるこ
中心とした共同体体験の主要なつとなり、白山で主観
的な動きの喜びを適して、自らの新たな身体感覚を築く
大切な手段となった,-,舞踊の根底は連動にあり、「舞踊
第2節. 「海の学校」の芸術教育
は、連動を組織化するのであるそうすることで、舞踊
「海の学校」の教育内容に於ける特質とその歴史的
意義は、しかし、なんと言っても体育・舞踊・音楽を
中心とした芸術的諸活動にあった,つ受業ブランで言え
芸術は、-(略)-それ白身で成長する」(59iことにな
ば、午前の3人領域(「象徴的領域」 「神訴的領域」
「存在科」)のうちの「神話的領域」、中でも「体育」
その中心的実践者であったルゼルケは、このような把握
「ミューズ的教育」 (Musische Erziehung)であ0、十
校の、生徒が自由に選ぶ各種剖当コースに於けるその
展開であった,-
の学校」の実践において、リズム運動的色彩の濃い舞踊
る.
既に「ヴ「ソカースドルフ白山学校共同体」時代から
のもとに、踊りを祭りの文化と意識的に結びつけ、「海
芸術(Tan7kutlSt)として発展させたのである-,
舞踊を音楽から切り離し、全身のリズム連動と捉えた
てルテ(ン・ルゼ]Lケの視座と実践〔卜〕
107
ルゼルケは、その 一方で、音楽そのものに対しては極め
校のバイオリン・マイスター・クラスの指導者であっ
て大きな位置づけを与えていた_, 「海の学校」の生徒に
た)ヒルデ・シュトループと了、ソクス・シュトループが
とって、音楽の授業は全学年を通じて事実上の必修扱い
1926年の夏に極めて頻繁にやって虹! (。う3)たJ後に)L,ゼ
となっており、歌から始まり、カデンツ・調性(Tc ト
ノLケの遺作を編集出版し、主としてルゼルケの素人演劇
ita't)等のハーモニー体験、メロデf-作りの資源とし
の芸術的教育学的意義を豊富な費料によって実証的に検
ての追想体験、機能的聴覚の基礎にたつ旋律論など、音
証し、第2次大戦後のドイツに広めることになったヘル
楽の実践的かつ専門的に高度な系統的学習を可能とする
ベルト・ギブァイ 仕1erhei・t Giffei.1908- は、この辺の
カリキュラム・指導体制が取られていたのである=,そし
状況を以トのように描いている_
て、そこで重視されたのは、絶えず楽器を伴うこと、及
「学舎生活の中で中心的役割を果たしたのは音楽で
び¥&学fFから生き生きと展開された即興性であった=E な
あるL_ エデュアルト・ツ、ソクマイヤー(カー)L ・ツ
ぜなら、ルゼルケにとって、音楽は、個人の楽しみや特
・ソクマイヤーの弟)は、海の学校を訪れて、この学
別の才能発揮の領域である以上に、全ての個人のうちに
校其山日本に魅せられ、音楽の総合監督として自発的
ある創造的意志を白「「汗二し解放させるのに相応しい分野
に学舎の-一員となることを決めた-,彼の後店のもと
であを上 -fjで,学校の、そして共同体の生活をくつろ
(そして、彼に引き寄せられて、タルト・シドゥや
ぎ高める大きな作用を果たすものだったからである,ニ′
イェンス・ロ-ワ-といった音楽家連によって、引
「海の学校」での音楽は、 「花々の生活にあって動く
き続き)音楽は、二重に発展した,_ それは、単に古
JJとして、実際 つの事実」dimとなった。活発な音楽
典を聞く体験に留まらず、例えば、毎日すばらしい
生活は、授業を越えて.朝の自発的な音楽演奏、特に、
バ、ソバ山来の前奏離Iが始まると、それは、音楽に浸
週に2度、全構成員の集まる学校集会での「音楽の集い」
された学校生活へのu々の入り口であり、その際、
(Musizierkreiゝ)や「音楽の夕べ」でその/上きた姿をみせ
ツ、、Jクマイヤーは、現代音楽の領域での肘在な活動
た.1合唱・歌と楽器の競演、そして純然たる楽器演奏は、
と経験へと引き入れるのである,-」 (6.1)
高度な成果を挙げている生徒達の学習IJk果披露の場であ
るとともに、学校の共同体′主活を潤し内発的に意義づけ
こうした「海の学校」の「音楽に浸された学校生活」
る有功な機会でもあった言責奏曲は、生徒達のオリジナ
は、やがて、 「素人演劇」の中でも)LゼILケの国[fな創
ル曲とともに、ドイツ内外の古典(バッ/-ハイドン・
始になる音楽とI-一体となった「運動演劇」 (Bcwegungs-
ベートーベン・モー、ソアルト・シュ-ベルト・ドビュソ
spiel)の創造へと発展し、 1928年、最柏の「音楽劇」
トー.∴ソJI>/Aキ-つ やwx音楽(>-T.-ンべlLJJ・
ヒンデミ-卜・ストラビンスキー・ブル、ソクナ-)が好
(Singspiel)として披露されることになる,
このオペレ・ソタ的な独白の「連動演劇」とはどのよう
んで選ばれた[-,さらに、応川実践活動は、学内だけに留
なものか? これを以日二、その試作時の雰囲気を込め
らず、その成果は、音楽研寵旅行の一環として、ドイツ
た「海の学校」の報告書によって捉えてみよう、
各地で披露された1926^「2Hのミュンスタ-での「ヘ
「我々は、こゝに初めて、全き音楽の精神と法則か
ンデル演奏会」への実演参加は、その一例である-
らt.まわる運動演劇作りを試みる[,これは、こうし
加えて、生徒達の授業以外の自主的な音楽理論軒先も
て生まれ(そして、そのことで、同時に、主観的思
盛んにI膏)れ、それは、 JLゼJLケが音楽授業に「現代の
いつきやメロディーの濫lluという意味での音楽の偏
"新しい..音楽やその練習、そして、それとの聞わりへ
重が防がれ)、そうすることで、劇の全ての部分が、
の高まる要求」 (亡うIJを大いに認めていたことで- ・層助長
強度の音楽的形式に則ることになった,A
された_ 学校には、音楽の本、例えば当時の・般公立学
劇の3つの『幕』は、フーガ、ハ・,Jサカ1)7、そ
校ではやや希少価fL勘二属したバ、ソバの作品全集や現トの
して、ロンドと呼んだ-,それらには再び、多くの自
幾つかの音楽雑誌が揃えられ、生徒達はそれらを自由に
律的な演技者ゲル-プによる合流というl梱り動作が
手にとり、親しみ、関心を深めたI,こうした中からやが
対応し、意外な逆説の展開であってもドラマ的では
て、 「自/Jlの上¥w.与曲作りや作曲への喜び、及び理論過程
ない動作、則ち、素材からして延やと続く合唱に属
への関わけが大いに強まった」 Ui'21、といわれる
するような動作、そして、曲が、簡単なu前のもの
さらに「海の学校」の音楽と関わって特筆すべきこと
から、段階的に朗々たる合昭へと高まり、 IuLl種のエ
は、こ、には絶えず、ドイツ全上の著名な音楽家が直二接
ピソ-ドから構成される動作が対応していたのであ
訪れ、やがて、そのうちの増大かが、 「海の学校」の生
る,,」 ((う5)
徒達へけIn常的指導や音楽水準の専P朋'Jr句LJj為の援助
を行った点である
例えば、 「弦楽器の養成では、 (ワイマール国立専門学
「海の学校」は、こうして、ルゼルケにとっても、単
に理想的な青年の其l副本生活から′上まれた革新的な実験
108
田 本 定 男
学校であっただけに留まらず、自らの主要な芸術的実践
職業lLi沌rlの形式にIJ輔敵を得て、具同体の意志から生まれ
的関心の中心としての「素人演劇」の飛躍的な発展の為
具同体に働きかける固有なぞの形を、今日尚地方で 瀬上
に、決定的な機会を提供することになるのである
に行われている「民衆舞台劇」 (Volks-biihnenspiel)とし
て城しているのである,- (Tm
第Ⅲ章. 「素人演劇」の視座と実践
しかし、前巻第1章の冒頭で述べたように、ワイマー
JL,期に成長開花する芸術教育連動の舞踊・体育、そして、
第1節. 「素人演劇」とルゼルケ
教育や学校に演劇を導き入れる試みは、世に17 紀に、
音楽に次ぐ「第3c/)運動」 (へJLマン・ノ-ル)として
の演劇連動、わはても「素人演劇」は,他の2者と同様
「近代教育の父」コメ二ウス Johann Ail1(1ヽCo一
に、 [自二接的には、 「その発展への重要な刺激が、芸術教
menius,1592-1670)によっで実践されていた,
育会議にIfT来しているのであり、他方それは、徒歩旅行
コメニウスは、演劇が、子どもにとっての興味深い表
を郷」_二思想と結びつけた青年運動の領''>{二、その凶有な
現形式であることに着H L、それを庁劫な教育方法とし
端緒があったのであるL- 歩きIn持つつ郷土をその辺堀に
てiLt引月した Milう)知識の全1津f,を系統的体系['加二教える
まで訪ねたり、人々に音楽や素人演劇に参加させたり、
ための教授法の一つとして、コメニウ71が演劇に着目し
それは青年連動の根本的目的の つ」 (TDであったから
たのは、教え込みの視点ではなく、子どもの特質の中に
である_ そして、その際における青年運動と学校との関
潜む「遊戯」的本性を重視したためであったE_ この点に
係は、今ft柏己冒mのカーII・ ブ イ、・Jシャー Karl
ついて、わが回のコメニウス軒先家堀内守は、次のよう
Fischer)らに始まるワンダーフォーゲル連動の高揚期か
に指摘している.
ら、ルゼルケの「海の学校」が設立された1925年前復、
日寅劇的視角は、コメニウスの著作の様々な桐を支
削ち「7イマ-ル期中時に到るまでに、都合3つの大きな
配している-,コメニウスは言葉をIlにし、視庫を決
関係互(I一主蝣'I:.二川¥I -Cいた
め、対象を切り取り、現前化する,知の諸相と劇的
なるものの必要性を統合して、コメニウスは、学校
この点に関わって、ハ「ンT)ッヒ・ダイタ-スは、当
時次のように簡潔な指摘を行っていた._,
という舞台に、視実生活から性櫓を廿与された登」墨
「青年運動に対する学校の立場は、そうこうしてい
人物たちを登場させるL_,バ鍾俄(ludusDは世LJJのリ
るうちに全く変化していた-,この連動の第1拙著で
アリティの創造的・こ書き正し,l・である子供の心的活
動にそJ川IL'I-IJJ,i:kV)られる .
は、学校は、青年連動と闘いを挑んでいたのであり,
第2段階では、学校は、青年運動の中に導きを兄い
だそうと試みていたのであり、今や学校は、自らそ
ただ、コメニウスにあ-了この演劇は、あくまでも実際
的事物や知識を教えるための効果的な動機づけの範囲を
の影響下に入り、その教育的体験を役立てようと試
みていたのである,-」
越えるものではなかったことは言うまでもない
一つら r素人演劇」そのものは、その演劇的内容や形
今世紀初頭の3回に亙る「芸仙教育会議」 (1901*「-
式の源流を、既にシェイクスピア(William SIlakes-
ドレステン.1903年-ワイマール,1905年-ハンブルク)
peare,1564-1616)とその時ftJに遡ることができる, 「シ
が、舞踊や演劇の教育的意義をまだ多分に理念的に触れ
ェイクスピア劇の主要登場人物は、典型的な人物や寓意
てt亘二相%であ-つたのに対し、吉年運動は、郷日二分け
的な人物とは>.くく異なり、白意識をもち、成長すること
入り.そこに生きていた共同体的な「民衆舞台劇」と関
ができ、唾味な情況や運命に苦しむことのできる生身の
わり、 --/;"で言度「‖i:;きの中で生まれた自然への愛着、
男であり女だった」からであり、 「シェイクスピアの‖寺
仲間との友情、簡素な生活ノ、、の喜びと11た体験を山ら
代の公付則場は場面を本物らしく見せるための努力を何
の牛の形式として捉え、演劇の題目につけ加えていった,
もしていなかった」(肘からである- 欄)
青年連動の中で芽生えた歌や踊C1や音楽と、¥i>んで、 「素
また、 「素人演劇」と職業演劇との関係については,
職業演劇が「素人演劇」に先行したのではなく、特にド
人演劇」が、青年の新しい身体感覚を郷士の中で形象化
するL二で大きな役割を果たしたのである
fツでは、職業演劇は、 「素人演劇」と並んで17世紀に、
逆に、 「素人演劇」は、青年運動の渡を)歩きとそこに
外国の影響で起こった,ゲーテ(Joha1111Wolfram ㌔/on
埋もれる郷上の習俗的遺産のLt射ll ・発掘活動と関わるこ
Goethe.1749-1832)の時代に、 「T7イマール・アマチュ
とで、成人による職業的劇Lgとは両省・形式ともに異な
ア劇場」等、妾的文学的な素人(趣味)劇場が生まれ、
る独白の青年演劇とLて酎1だされ、青年の新しい身体
-a、地方や都会で、即興演劇の要素と中世の謝肉祭劇
表現様式としての位置を獲得してい-つたのてある,_
に似た粗野な道化′竺Fiのモチーフが合わさったのであ
ヨ′、ネス・工、リカルトが、ワイマール期の初頭に、
る- そこから, 「素人演劇」が発屈し、この民衆劇は、
r素人w別をまるで拙占することは,その内的原動力、
「′Jl,テ[ン・ lレゼ)Lケ,n視座と実践 白、一〕
そLTj根源、そして、その可能性を全・く認識していないこ
を演ずることができるだろう-ヴィ,./カースドルフで
とを示すだけである」 (丁:'・)と素人演劇への注目を促し、
は言尺山のこうした作品が新しく生み出されている-,
Ejlオルク.ゲ、リチュやハンス・ブランデンブルクが,以
わけでも我々は、シェイクスピアを演じている-」
トのように語ることで、青年連動によ-つてIli興された青
年演劇としての「素人演劇」が、ワイマール期中煩には、
ルゼルケは、「海の学校」の開錦後、白 立的な物語作
新たな課題と瑚特を受けるまでに成長していた事実を見
家として活動し、第2次大戦後を通じて今日では、教育
てとることができるだろう
者である以上に作家・戯「Hl家としてドイツ人に知られて
「青年演劇は、いつもただ1回限りの純粋なもので
いるが、その戯曲.演出法に於いては、終生シpTlクス
あり、繰り返されたりするものではなく.人間的に
ビアを模範とした,その際ルゼ化ケが範としたのは、シ
信頼された集団から公衆へと、まさに郷Lとは離れ
ェイクスピア劇に於ける登場人物の生き生きとした会話
た場へと引き出されるものなのである,_」 1741
と動き、総じてその生々しい迄の存在感を可能とするス
タイルとしての「素朴で車純な劇」(丁・nのドラマツルギ
,今や、土師]体の舞台や祭りとLての演劇を芸術的
-であった_
なものとする/くく、青年はあらゆる仕方で、その身
「教育者としてのシェイクスピア」(79/-・、かつて、
体空間感覚を形成しなけ抽どならないL、劇を踊り
ドイツ芸術教育運動の、いやドイ、ソ改革教育連動の開始
や動く群や厳かな輪舞に合わせてつくるようにしな
を告げるセンセ-ショナJLなファンフIT-Lとして鴫り
ければならない,」
響いたユT)ウス・ラングべ-ンの「教育者としてのレン
ブラント」の叫びを想起させる如く、ルゼルケは、その
JLゼルケは、こうした青fF運動に主体的に関わり、わ
画期的「素人演劇」の作法の根源に、近代戯曲に不朽の
けても音fH寅劇としての「素人演劇」の創造・発展に中
技法を築いたシェイクスピアを置いたのである(洲
心的に関わった・人であったL、既に述べたようにワイ
しかし、)Lゼルナの「素人演劇」の固有かつ両f紺再貢
マ-ル瑚半ばの1924年91トトつツ至上の大規模な演劇
献は、そのスタイルとしてのシェイクスピア技法の創造
集会7青年と演 (JLigend und Biihne)で、その親書的
役割を果たした人物であった)Lゼルナは、その頃、す
的¥H生ではない,その内宵としては、シェイクスピアに
でに独白なスタイルの「素人演劇」を間拓していたが,
った新たな上演法の剣山にあった
無かった、そして、無論当時の青年演劇の技法には無か
主として第1次大戦前の青年連動が兄いだしていた「素
r青年演劇及び素人演劇の養成の素材は、共同体の
人演劇」は、その内零に於いて、 一種ll)ステレオタイプ
現実の地方的な牛を不断に燃えLからせることが可
化偏向を示しつつあった,セットを使わず、舞台での動
能な種類の演劇であらねばならず、その限りで外国
きと言葉による意味づ廿を強めることで言寅者と観客と
の諸作品が問題とならねばならず、それは、かつて
の・体化を求めた青年連動の「素人演劇】は、内容的に
そこにあって類縁的な生が燃えていた演劇に於いて
は、当初,吊も有名であったハース・ベルコウの移動劇
のみ可能である_,」(n)
川にその例をみるように、青年揮動全体のネオ・ロマン
チシズム的気/'上を反映して、中世的な死の舞踏や神秘劇
「仝ゆる演劇は、共同体の生活からItまわるのであ
をその主な内容としていたからである,そこからは当然,
って、青年演劇の教育舞台は、必然的に青年の生活
人物や動きに聖職者的な画 一イヒや貧弱性がついてまわ
の場に属しているのである十HL'-
E主 具同体の生きた生活や観客の内面を動かし形象化す
るノJに欠けていた,ルゼルナは、こうした青年演劇の、
こうしてJL/セルケの「素人Hi掴j」は、何よりも「我々
一種のイデオロギー性から抜けだし、演劇そのものの質
の生きたM4kを、-(棉)-劇にする」(メ:いのであり、そ
の高さと、 「素人演劇」本来の共同体的性情を 一層強め
こから必然的に.「皇ゆる青年及び素人演劇団体は、自
ることに画期的貢献を果たしたのである
らの作[I
miの制作をその課題に入れなければならない」(紬
という_主張が生まれるのである
彼か、巨l′つ、・ノi]-7 ]・''I V白日1千校Itil吊仁 時代∴二
生徒達と好んで上演したのは、自らの脚本になる騎十怪
)Lセルケは、こうして、その「ヴイ・・)カ-ストJLフ白
談劇(Rittei・ゝ。・hこIuerLlrこlmLL) 『血と憂』であった(7(ll 」
山学校共同体」時代の演劇実践を適して、青年の共同体
うした作品は、題材においては、当時の青年演劇の中世
から生まれ、青年自身による、青年の共同体をt」生き
的志向性をまた抜け切れてはいなかったが言主用受者の動
とした発展へと導く「素人演劇」の内容引綱拓したのて
きやその世嗣[I膏:のりアTJズムは、明らかにそのレベル
あり、青年演劇に、表現に於けるリアリズムと詩的文学
を越えつつあった,_
性をもって、その新たなスタイルを生み出していくこと
[青年の劇は、従って、きちっと選ばれた作品のみ
になったのである_,
1個
1川
岡 本 定 男
第2節.ルゼルケの「素人演劇」実践とその視座
は「海の学校」での教育実践期であったl
「(酵しい情動局面を適して判印された)ルゼルケの
そして、 「海の学校」では、創設間もなくルゼルケの
教育学は、本質的に固有の経験や認識の産物である,ニ
努力と働きかけによって、プロイセン文部省によって、
ルゼルケの個性と仕事は、ただ多重遠景的な項目を
「素人演劇」を学校のIfi規の授業料Hとして設けること
伴って包括的にのみ記述されうる-.彼をその多数の
の許可が与えられていた,こ こゝで、ルゼルケは、学校か
働きのうちに孤立させて描こうとする試みは、彼の
ら′上まれる様々な題材を劇化し、そうすることで、それ
豊かなl_1二事を矧新することになるだろうJ (那)
に参加する青f一連に新たな身体感情や其[uj体への共感的
理解を深めることに努めたのであるニ,
「彼の生の哲学は、合理的思考の全く無制限な支配
生徒達は、ルゼルケの演劇を適して、単なる演劇的形
への抵抗に向けられている。,彼に関しては、生命主
成学習の範囲を越え、自らの生を生き、社会へと開かれ
義(活ヵ説)が・つの全体図、全体的行わとして理
た創造的能力を獲得する機会を得ることができたJ jLゼ
解されるであろう」(帆
jLケの「素人演劇」に於いては、演ずる者も見る者も、
「彼の老生になって初めて、 (教育学、演劇、請、そ
廉を過しでの新たな認識獲得への可能性が与えられた,
して、物語といった)被の創作の全支脈が、 つの
その点では、古illt的題材であっても、現代を扱ったもの
人間学的に規定されたtp'k、から生まれてきていたの
であっても生きた認識獲得の場としては同様であった,
だ、ということが、明らかになるのであるE_.」(871
「全ての人間の中に演劇的才能の鉱脈が存在している」 (90)
人物や動きや場面を通じて自己を- ・体化しつつ、劇的体
のであり、青年達は、劇中人物への上表に満ちた自己投
これら、今日ト'イソでの)Lゼルケ評価の一致した視点
入によって、日常を新たな視点から眺め、そこに込めら
を踏まえつつ、本稿の舞台である1920年代ワイマール別
れた意義を客観的かつ内発的に問い正すことが可能であ
にあっての改革教育の、そして芸術教育連動の全体の「「l
ったのである
でILゼ)Lケを捉えたとき、やはり、その特筆すべき傑出
)Lゼルケは、 「素人演劇」に大いなる教育的価値を兄
した彼の教育実践としての「素人演劇」をその評価の中
いだし、実際それを具体化したが、 「素人演劇」に於け
心に置くことには、誰も異論のないところであろう,- な
る演劇m右の特質について多くを述べている二,例えば、
ぜなら、ルゼルケの意味に於ける「素人演劇」は、単な
劇中人物と口常の自分との 口'-1割交換」と関わる「素人
る教授法や芸術の-ジャンルとしての演劇の導入や魅力
演劇」に込めた時代へのスタンスについて、こう説いて
的な遊びの-種としてのそれではなく、ワイマール瑚ド
いた,,
イツ改革教育運動を他と区別しうる決定的なメルクマー
「理念内1日こよる感激といったものは、まさに技巧
ルである「共同体思想」と「民i:.主義的な意志」 [LWの
的な演技によるそれと同様2次的事柄なのであっ
り蛸IJ的II二壌の中で生まれた鼻も独自で創造的な教育実践
て、こうした方向を素人演劇がとるなら、それは劇
の成果を凝縮したフォルムであったからである-,
場の補完物に過ぎないのである! 1次的事柄とは、
既に述べたように、 「素人演劇」を発掘したのはルゼ
実際、国有な劇場体験(Theater-ErlebiS)のことで
ルケではないし この点では、ルゼルケは、優れた「素人
あ右上 作られ、意図され、 i-1事に演じられる本質交
演劇の開拓者」 (矧の一一人であったに過ぎない
換の楽しみがあるということ、則ち、身体性にあっ
先に述べたように、ルゼルケの「素人演劇」にあって
の独自な貢献は、その芸術的な質的向上と r運動演劇」
てのh酎)のそれなのである,二 素人演劇は、重賞しい
精神に抗する存望なキャンペーンなのであるJ
(Bewe-gungsspiel)という新しいスタイJLの削始にあっ
た_ JLゼルナは、それを、 「ヴィ、ソカースドルフ自由学
また、日常の題材の劇化は、現実のデフオJLメではあ
校共同体」や「海の学校」という青少年の生活」引司体の
るが、そうであるが故に可能な意識変革の力を秘めてい
中で生みだし発展させたのである,_ ワイマール期の芸術
るJ そういう意味で、 「劇は、実態を作るのではなく、
教育運動が最も顕著な成果を挙げたジャンルは、体育・
苗に後ろから必然的にrl央し,uhす」のであり、青年演劇及
舞踊・音楽、そして、演劇であったが、ルゼルナは、ま
び素人演劇の確かな結果は、従ってルゼルケには、 「そ
さにワイマール期の典型的土壌の中で、ワイマール期の
こには、全てが整っている.T」 (!)2-という特性にあった,ニ
最も曲著な芸術教育連動ジャンルの一つ、いやそれを統
合するジャンルである「素人演劇」を新たな地平へと押
し上げたのである,ところで、ルゼルケの「素人演劇」の実践、わけても
彼の別始になる「連動演劇」というスダイ)Lが花開くの
さらに、劇は、それを演ずる者に一つの可能性と同時
に迷いをも生むニ,
「仮F-軋 則ち劇用マスクや個性は、単なる隠れた運
命を予示するものなのではなく、そのうちになんら
かの白己選択を秘めているのである,,」 (リ:j,i
てルテイン・]LゼルナGr)視座と実践〔J{〕
「海の学校」では、生徒達は、授業で、或いは午後の
111
1920r「代の終わを‖二は、ドイツm内で広く知られる存在
u -:的グループ活動で、はたまた、夕方や夜の自由時間
とな1た,JLゼ)Lケの「素人演劇」は、この頃には、そ
で、劇川のコスチュームや簡単な道具を自分達で作った-,
のI-・般教育的な効果と価値を広く認められ、この北海の
劇の内容とともに、劇づくり自体が、生徒達にとって共
孤島まで学級単Rで見学に訪れる学校も現れたのであ
同体の生活課題そのものだった こういう意味で、 )i,ゼ
SH再r
ルケの「素人演劇」は、 「海の学校」の共IIJ」体的生活の
ルゼルナ自身の以下のような現状把握と意義づけが、
あり方を映す鏡でもあった- 「創造的創造力の根源的机
その普及の根拠を説得的に暗示している,=
は、常に素朴で、しかし、いずれの時も明らかで、何故
「学校生活から生まれる日寅の其l司体的性格は、今日
にそれが喜ばしいのかという証を必要としない共同体的
とりわけ重要である,というのも、学校の殆ど全て
催しにある」(仰のであり、 「素人演劇」こそ、それに相
の教育活動が、1年通しの学級によってやむを得ず、
応しい表現手持であったからである.
孤立した仕事へと'/}{投させられているからである,
既に触れたように、ルゼルケの「素人演劇」への独白
・..(略蝣m二よって、まさに与えられた固百な仕
な貢献は 昌挙動演劇」の創始であった_ それは、言葉と
方を演じさせる演劇に於いては、J耕祭、J芋校人間
動きという「素人演劇」のオーソトリクスに対し、律動
(Schul-per醐n)を魅mて精神的背景を満たすような
的かつ音楽的な動作を伴う大規模な演技者の動きを導入
体廉にまで導くのである-,確かな発達投階にあるtf
したものである その独白な試みは、既に「ヴイ・・Jカ-
者が、年間通しの学級環境の単調さの中に抑止され
1卜>i -null、再′HL二l=目上 蝣蝣-v=rvrに姑よりーこいた
ているが故に、このような学校!口舌の豊富化が、重
その頃の論文に、ルゼルケは、こう記している-
要なのである,」iysi
「素人演劇の洗練化は、息の長い課題である,それ
はまさに継続的演技にかかっている, - (晴) -確
「長年の読みがいること、しかし、公的教育制度に
かにヴ「リカ-スト)レフの演劇は、そL7j演技者を
発展的かつ実り豊かな方法と説得的な内容規定を与
150人の年齢と性を分かたぬ つのまとまりから継
えることのできるような成果をももちうるというこ
続的に生み山すことかできたし、その背後に一つの
と、日毎の学校Eは、素人演劇の特殊な領域でこの
洗練された共同体生活が方向を与えるmて′主まれ
た,
ことを証明してきた_,」(洲
しかし、多・くの外部での上演は言欠のことを示し
こうして、「海の学校」の、そして,ルゼルケの「表
た,則ち、花々の方法で演ずること、運動演劇及び
毎Jli捕り」は、わずか9年という短期間のうちに、改革教
劇と音楽との連関で演ずること、それもまた、活発
育全体のみならず今llに迄及ぶ教育'」蝿に画期的な成果
さと演技の完全きのもとで達成されるものだ、とい
を生みII
lllすことになったのである,I
うことを,_」(肘
おわりに
音楽とw掴jとの緊密な調和と大規模に流れるrJズム的
運動、 -こうしてルゼルナの「運動演劇_lは、幕や小道
ヘルマン・レールス(H亡rmannRcihrs)は、今日的な
具や照明を捨て、野外で、戴国まポーJL_封本を劇平面に
ドイツの教育己kL隼の怯底に改T:教育連動を据え、その発
して、言葉と動作に加えた音と連動による緊張・弛緩・
根・特質・展望を概括した著作白Jll的教育己甘草の根本問
速度を伴うダイナミ・ソJjな勅栗を生み、見る音演ずる者
題二(1987年)の中で、青年期後期に迎えた第2次世界大
の今をこゝに作り、音楽の誘発的機能を川いた r素人演
戦l自二後の自らの思いを以トのように述懐している,
劇」の新しい地平を拓いたのである,
「極度に規則ずくめの生活期間の後の旅行は、より
I司時に、 「海のJ'封,k」の生徒達による素人演劇は、外
広い世界への門を開くことにあるし、素朴な関係の
部にあっては、学校を代表する中心的媒体でもあった,
もとでの、自然の中での生活の美しさに目を養うこ
学校祭では、そのクライマックスは1-廿司演劇であったし、
とになった,-しかし、決定的に重要なのは、相抽杓
音楽の演奏旅fJつ二あーつての観官の関心の つは、 「運動
白Illをもー)'/)l一一7,f厄回にお口る白己決蝣<ilだ.-た
演劇」 (ユースト歌劇)であったという <9<うー
他方、素人演劇は、政治的向-を背景とした独裁II
こうしたルゼルケの「海の学校」での「素人演劇」の
で訓練された仮面のような無表情や個性ft存在の匿名
発展は、前巻「第I串、第1節、軌跡」で示したように、
化への解毒剤を与えた_,劇的に日寅される規範の枠内
1929年のプロイセン文部省と「ベルリン中央教育教授研
での芸術的な自由な自己表現というのは、私にとって、
寵所」の支援のもとでの大規模な劇場ホ-ルの建設へと
教育的な魅屈二満ちた方法に思われた_,」(1し川
発展し、これに伴い、 「海の学校」の「素人演劇」は、
¥u
岡 本 定 男
青年連に「無表情や匿呂化/、の解毒剤」を与え「重Iv.‥
「JLゼ)Lナの教育学的影響は過去のものである,ー しか
しい精神に抗する有望なキャンへ-ン」 (ルゼルナ)と
し、彼の劇及びそれを基礎とした物語術は、尚現在のも
もなった素人演劇は、戦後間もなく. jLゼルナ本人によ
のである(KHiといった評値も存在するが、 r素人演劇」
る活動以外に、その演劇理念を継承するギフ丁イによ一一〕
を含むド仁ソ芸術教育連動の統 一的徴表と見られる「ミ
て側面からも広まった,- ギブアイは、 1954年から73年の
ュ-7:教fTL」の検討は、ナチズムとの関連を含み、今後
長期間に亙って、ハンブルクの学校庁の特別委託を受け
iV.慨印けべき重要な軒先課題のI--つであると言わねばな
て国立ヴアルトトルフ・ギムナジウムの芸術部門と関わ
らない
り、 「一般教育教授に於ける)Lセルナの演劇理念をまと
め,新しい学校ないし青年演劇の 一種のモデ)lni帽巨＼と
発展」 (1仙 させた,
また、戦後のドイツでは、 1980年代以降の教育(辛)
界にあっての改革教育運動の本格的な再評価の動きとも
相性って、社 教育分u単二於ける「素人演劇」の復興、
注
(45) M:汀tin LLiserke、 Die ilordiヽrhe Lan山chal ㌔ EI・∠ieher. ill. V〔1lk
im Werden. Js,1. Heft.3. S.54.
(46) Bcnchlc LIcr Sclluleとim Mccr, JuistノNordsee. Nr.9. 1928. S.19.
(47) B亡l・ichtc Lky Schulcこim Meer. Juist/Nordscc. Nr.7.1925-1927. S.12.
(∠18 ibi(1, S,17「.
(49) Val. Bcridit亡dor Sehule am Meer. Jui＼t/Nordsee.Nr.9.a.a.O.S.22.
創造の動きが増つも現れたL-,例えば、その顕著な最初の
(50) Berichte LIer SchLIie am Meer, Juist/Nordsee. Nr.7. a.a.O. S.5.
動きは、 1985年に好はった当時の西ドイツ連邦教育1廿、i::
(51) Thoillas Alexu11LIcrヱ11id Beryl Park亡r. The New Eclu山i(、n in ihe
大臣による促進7Lログラム『教育と文化』 (Bildungund
Kunst)であった一,このプログラムの実矧杓試みの中で、
「マ)Lチメディア的創作J二房」として、素人演劇グルー
Gビrman R叩LibliC. P.2り6.
52) Cい=lelia GoLlLIe. Das Laien叩l亡1こllh Ref on-ipiiduLL'ざ)、rhes
Element.こ1,こi.O. S.107.
(5こちibiLI.S.I12.
54) Bcrichte Cier Schule mi Mcer. Juist/NordSe亡Nr.7. a.a.0. S.I9.
プが作ら才上 活発な活動を展開した そこでは、参加者
(55) ibid. S.18.
自らが脚本を書き、 L演L、中にはそこをもとに独立し
(56) ibic S.19.
た劇Lgを作るほどしべ)Lの高いグループも現れた_
(57) Martin Lmerke. Die Fruse Ller korperlichen Er∠lehunsj呈IIl Lkn Laneト
civichLmtI＼llLl‖11en. 111 A.Andreeゝ亡日. Daゝ Landcrzichuns:hhciill.
--・方、戦後の学校教育の+{二も、例えば、ギムナジウ
ムL縄段階での文学の授業に素人演劇を導入する動きが
現れ、 1982年以降のノルトライン・ヴェストファーレン
1926. S.109.
(58) Martin I.uhCi-kc. Ubcrdie Tanzkunst. 1912. S且
59 ibi止S.24.
(60) Berichte LIer Schule am M亡el・‥luiSt/Nordse Nr.7.こi.a.O. S.K〕.
州を中心に、文芸コースでの創造的自己活動の_重要な柱
として素人演劇が、取り入れられた_,
そして、今ロドイツの「多くの学校に、大鵬は自由意
ノ畠二¥Lつ活動グルーブの形で組織された劇団が存在」し
ており、 「大抵の合mJ!別団は、その課題を、学年の終わ
りに つの戯曲を上演することにおいている.ー しばしば
生徒達は、与えられた作品を選ぶのではなく、共同活動
の過程で、通常はそれと知らずに、ルゼルケの手本に極
めて近い独白の脚本に発展させる」 (1021という_ ルゼJL
ケが、わけても「海の学校」で発展させた改革教育連動
の典型的かつ具体的な実践とLての「素人演劇」は、こ
うして戦後のドイツに正接間接に'+:きていると言って艮
い
f目し、その「素人演劇」も、ナチズムの支配とともに、
そのIJIJ育・形式を変化させた,ヒトラー青年睦=ま、青年
連動やルゼルケらによって発展させられた「素人演劇」
の技法やスタイJLを摸し、作品をナチのm云で満たした(
こういう意味で、ナ手ズムの演劇と「素人演劇」との間
には一定の微妙な関係が歴史的に存在している、と言え
るE=.そして、このことは、 「あらゆるミュ-ズ的要素の
避退の場としての素人演劇(マルテイン・ルゼ)Lヶ月(uK!)
と当時位置ずけられた r素人演劇」を含むワイマ-ル期
の芸術教育運動の、そしてドイツ改革教育連動全体のよ
り詳細な検討を求めてもいる,-,
61)亡richte der Schule am Meei＼ Juist/Nordsee. N】・.9言l.a.O. S.36.
62) ibid.
(Eう BerichteLIerSchule am Meer.Juist/Nordsee. Nr.7. a.a.O. S.I二王.
(64) Herbert Giffci. Martin Luh;rke.こui.O. S.21.尚、リ1時、蛸に
トィ、ソて著名な音楽家・学者として名をわしていたこのエ
デュア)L,ト・リ、ソクマイヤー(1890-1972)は、実際 E海
の学校」の音楽活動に意欲的に参加し、 ILゼJLケの創始す
ることになる運動演劇発展に大きな影響を与えるのであ
る 'ML!)-"l斗 -'HI出的`I-;.1昔二世「f左上・lたカニJ /;!-- 7
が、この音楽家ツ.ソクマイヤー指揮によって演奏されてtl
引i;]蝣- こL、由しい.写真資料、てS'>;j
(65) Crichte dci- Schule am Meer, Juill/Nordsee, Nl∴9. a.a.O. S.36I'.
これはやがて、次章に述べる)LゼJLケ独自の「運動演劇1、
別ft Iユースト歌劇」として当時の人々に知られるところ
となった
(66)彼の芳書の つ「遊戯学校L日スコラ)l-卜お は、その
副題に見る如く、 「語学入門の劇化」であった.,それは、 5
fcr-'U町中`') i ;jlv'il'l期待u-:二よ- , -∴ 廿里J＼拍5二日'ri '- J'上主.
を登場させる語学大門のための学校劇の脚本である,二の
脚本を、コメ二ウスは、サロ7t・ ′、Lクークの学校で/土龍連
に実際に演じさせ、それを見た人々に驚きと感銘を与えた
という[_.これらについては、例えば、 '.一蝣ヤ本務 ∴ココメニ
ウス』岩波書店, 1939年PP.156-157.参照.
(67)堀IJ、出て「出来事としてのコメニウス」一一そのく劇的行為/
について」日本コメ二ウス研究会編 目1本のコメ二ウス
第2片1992牟p.15.
(68)ともに、イープ- ・トウアン、阿部I-訳F個人空間の誕生』、
せりか書房, 1993年、 P.124,
(691もともと演劇そのものは、 12世紀に、宗教劇が教会LT)外へ
移動した時点で、その教義的意味あいを離れ言封土そのも
のの面白さや緊迫感が人々の関心を捉え、同時に、演技者
113
、`・こ こ `蝣蝣蝣-蝣蝣''[リ_主こ. j∴蝣・V. I∴
と観l芹との)糾Iも帽ILkなものとな-'た 門'-mで劇が日禎
v'': ∴、引.".I、 、・品∴こl.i L:<tr:'sS;iい.し 二∴Jわ
ていた a打と硯`tit'sナける帽群もは-'きりしたものでは
ない.劇の進的二つれ-C動いた 観'狛ま上手をlliめていた
が、 nん中にある坪台の -一角に入り込むこともあったJ
(ln]I-., p. 136.)のである
Ru11山clllltl. J巳.34. 1980. S.597.
(87) Alfred EhrelitreiLh. Martin Luhcrkch Vi、ion Lics Shake叩earcTheater＼. ‖1. Die Biklunn und ErzichLLn巳. Ja.18. Hel"t.4.1965.S.284.
(88)拙稿「ワイマ-ル期ニV術教育とそのノjLは *ォ大学教ft
学部糾せ 節21巻1981牛.参照
(8さ)) Hail、 Wi】ndekil血JamllI、ch. Martin Luトビrke /urn 70 Gehurt、tとl呈亡- in-
(70) Corneliii Cockle. Dとis Lai亡n叩ie]こIh R亡formllとiLlとlgogi、cheゝ
Element言l.a.O. S.48.
Die SunlJl1Inn宴. Hell.5. 1950. S.377.
90) Martin 1-u、erke. Dah Gcbrauch、-Theater、lLick. in. Pとidattoぎi、Che、
Zcnlia】blatl. Ju.ll. Hcfl7/8. 1931. S.416.
(71 ) Hermanli Rohrl. Die RelonnpiidaKoeik言Lこi.O. S.85.
(72) Heinrich Deiterl, Die Deuthche Schulrcl'<mn naCh delll
(91) Mai・tin Luゝerke. JuucnLlhildunサund Thビutcr. in. Aloys FiゝCheL'
Weltk】rieae. 1935. S.81.
u.a. (hrゝ2.), DiC Eracluin" 1929. Jg.4. S.681.
73) Yohannc、 Ecka-.LIt. Dcr Biihnenvolk、hLH Die Tat. Je.14.
Hen,7. 1922. S.548.
(92 ともに、 Martin l。uhcrkc. DaS GebrauchhーTheater＼luしk. a.a.O. S.415,
(9:i Ma】rtin Luゝcrkc. JuぎビnLIbildung tl-1d Theこucr言i.a.O. S.680,
(74) Gcorg GotれGl・川…1 u'1LI MSslidlkcil LILt、 Jugcnd叩ie]、. in,
LLLLl、viぎPalhu u. Hこ川、 Lcbede (hrh
JuざenJ LmCI Biihne.
(94 HerbertGiffci (hiヽ巳).AGITUR ERGO SI†M `,' 1974.S.47.
(95) Mariin Lu、erk亡. 【)io Kulli、ierune de、しこIien、PI亡I、こII、 VorbeclingLlng
erweilerte ALIt"こIhし. 1925. a.a.O. S,218.
∠u
Pallat u. H呈lIlゝ Lebede (hrsg.) , Jugcnd und Biihne.こi.a.O. S.151.
(76)これは、ルゼ)Lケのまとまった戯川1耶1作として、 1906
牛、 「ヴトソカーストルフEI1両′、r:校州riJ休」へのft什直結
にIiiくも作られていたものである
(77) Martin Lu、CrLe. ThCこHer.こHiffuhrunsen ;nl dcr Fr・Lli川Schulsenlei】nde
und SchulaulTiihrM-ぎ・n Uh亡rhuupL in. Wilhclin Flilner/ Gerhこml
Kudrizki (hr増.). Die Dent、he Retormpa山lg。g k. 1961. S.148.
(78) Martin LLiserkc. Dah Laienspiel. Revoke del・ ZLischuuer liir da、
Theater. 1930. S.48.
(96)
The乙.Her、・
inヮ
Die
TとlL
Jc-14.
Heft.
CorneliこI
Goddo.
IJlll
LとIienspiel
al一
Reformpadとisosischeh
(97月剰えば、ワイマール判の代表的な′)i¥鍬、;::校を 本化した 一
人フリッツ・カルゼン(Fritz KarゝeIl,1885-1951)の上構ノ、/:
校(Aulilllu、Cllulc)では、 1926;ト以降の pゝlJ、i三m¥上 で、
マルチン・)Lゼルナの F海の学校_ での演劇講庵」に参
加1した、という (小峰総一郎、 F・カルゼン「現代ドイ
ツの実験I、iニ:校rl明汗汁ズ措、 1986T-. P.39. )
(98) Martin Luscrke, I三ine Betrachtuim八日1i neulieen deut、chcn
1928. S.438.
(99) Martin Lu、亡rke. Umbau de、 LehrplanS. 711111 Problem eines illm
Schenkundhch on州Ierten BilduilgSg…亡Wn、. in. Alov＼ Fiヽcher u.a.
(hr、巳,). Die Ei・ziehLm誓言1,とI.O.J2.6. Sondc仙・uck. 1931. S.443.
- 卜II--し') 1:.[蝣. I.'二
(L‥O) Henliann Rohr、. Schlii、Selfragen LIcr Inn亡lでn BildLinssreform.
(81) Martin Lu、erke. Juscnd und Laienbiihil :. 1927. S.44.
1987. S. 143.
(82) M'artill Luscrke. Eine Lehrbiihne fur das JLmend u-1d Laienspiel.
(101) Jc汁 Zieaen叩eck. Vorwort des Heraulgeber、. in. Herbert Giffei.
in Pとidとmo^ischcゝ Zcntralblatt. Heft.7. 1927. S.295.
Martin Luserkc. u.a.O. S.I.
(8:ラ) Martiil Lu脚-ke. Da、 Laicnspiel. a.a.O. S.7.
(102)ともに、 COrnelia Goddc. Da、 Laien叩l亡I山Refor-11piidugogischc、
(84) Mこirtin Lu、亡rke. Jimcnd und Laienbu】lnC∴..a.O. S.52f.
EIemenl. a.a.O, S.146.
(85) Cornelia God山. Da、 Laien叩iel ah RCl、(汀nipiidaぎ0giS.-he、
Element.こI.乙i.O. S.13.
Merkcr.
L1e、
Juiiend und Laicn叩icl. in. AlovS Fischer u.a. (hr、si.). Die Erzichuim.
(80)シェイクスヒアの戯曲「夏の夜の蝣v:」や r嵐1は、それを
演ずる再年達の緊密な関わりをJ*+叫して、 1牡に1920%-K教
育界で好.沖引wしたルゼルケの「素人抑別」の代表的レ′、
Friedrieh
ErncucrLLng
Ele111eni∴l.a.O. S.137.
(79) ibid. S.55.
(86)
einer
1922. S.526.
(75) Hans Branclenburざ. AL座とiben deb Jueend叩ids, in. LuLIwiざ
Die
(1(13) Olto Haa、 :. Mu、i、clle、 Leh亡Il 上川d kun、ik'i'i、Che Erziehunぎ- in.
Bedeu【ung
Cle、
Mu、i、chen
in
Norben Kluue (hr、ど-). Vom Gei、I MLl、i、chcr Erziehunぎ-1973. S.256.
Piidaaし-gik
Martin Lu、erke、. in. Jo仙- Derbola、 Li.a. (hr、ぎ.) . pとidasoai、che
(ll)4 HerbertGiffci. Martin LuSerke. a.a.O. S.23.
ここ写真資料≫音楽家エデュアルト・ツックマイヤ-の指揮による「海の学校」生徒たちの演奏
Unter der Leitung Eduard Zuckmayers wird eine selbstkomponierte Kantate
aufge凡hrt
114
The Viewpoint and the Practice of Martin Luserke [ II ]
The Accompaniment of German Reform-pedagogical Movement -
Sadao OKAMOTO
( Departmビ蝣nt of Pedagogy, Nara University of Educ、・ation, Nara 630-852,メ Japan)
(Received April 28, 2000)
There has been raise〔1 the tendency to the study about the artistic movement especially after 1980's in
Germany. I understand that it is connected with the Cliscourse al)out Post-Moctern. Dietei- Lenzen, the former
President of The Pedagogical Society in Germany, advocates his own 'reflexive educational science with thesビargu-
niens. He also emphasizes the relationship between pedagogy and mythology or the artistic in education.
Martin Luserke (1880-19(う鋸 was a man of the characteristic an〔1 influential leaclet- in the Gビrman artistic
movement. He has done a remarkable achievement especially in the eslablishment of the 'amateur play by the
youths. He has beenholding many stages in his schools before and after the time of the World War I. He has
practiced , so to speak, in a mythological idea.
I think it is very significant to study about Luserke's achievements for this eason, as the practice of Luserke
has not been studied in our country.
Therefore I have 〔lescribeCI his life histoiy at丘rst, and then I haveexamined hisrole and his position in the
free-school community Wickersdorf in the last volume.
I will examine his artistic and llmythological practice in his 'School of Seel in thisvolume.
Kej Words: The German Reform-peClagogical Movement, the amateur play, `The School of Sea