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レクチャー資料 (PDF) - UNISEC 大学宇宙工学コンソーシアム
宇宙から地震予測はできるか? 第三回UNISECレクチャーシリーズ 東京学芸大学物理科学分野 鴨川 仁(かもがわまさし) 望月香織(もちづきかおり) 慶応大学SDM研究科 田中康平(たなかこうへい) 自己紹介 • 出身研究室~理論物性 (高エネルギー物理学) • 学部・大学院で行った研究は 大気電気など ① 地震先行大気圏・電離圏擾乱の研究 ~地震先行大気圏擾乱の存在を統 計的に示唆 (GRL, 2004) ② 雷雲から発生する高エネルギー放射 線 (GRL, 2011; Nature, 2011) ~雷雲の下部から放射線が発生して いることを検出 ③ GPS-TEC観測による津波予測 (GRL, 2012) ~津波電離圏ホールの発見 他に取り組んでいることは・・・ • 原発事故による放射線・大気化学物質の高 度方向の分布について ~移流拡散計算を専門とする研究者が望んでいる観測データ • IT時代に向けた物理教育教材の開発 ~より生活に密着し、直感にあう物理教材 短期地震予測 • 地震予知(予測) どこで? いつ? どのくらい? • 先行現象の検知が必要 ! どんな先行現象があると言われているか? Uyeda, Nagao &Kamogawa (2011) • • • • • 動物行動異常? ラドン? 地下水? 地電位差? 電離圏異常? いくつかは本当に存在すると思われる。 しかし統計で示すのは難しい。 科学者としてのロマン 地震前に宇宙は 変化するか? ALOS (JAXA) 2011/2/27 2011/3/14 2011年3月11日M9.0 東北地方太平洋沖地震から学ぶ 地震や津波は宇宙から どのようにみえるか? 自己紹介 • 望月香織(もちづきかおり) • 東京学芸大学大学院教育学研究科理科教 育専攻物理学コース2年 • 研究内容 卒論テーマ 「大気圏中性大気と電離圏プラズ マの相互作用」 修論テーマ 「2011年東北地方太平洋沖地震 後に生じた電離圏変動起因の地磁気変動 」 GPSを利用して震央を決める Liu, Tsai, Lin, & Kamogawa et al. (2010) 地震・津波で 電離圏擾乱が発生 (Kamogawa & Kakinami et al., 2011; Kakinami & Kamogawa et al., 2012) 津波の直接観測ができる! (Kakinami & Kamogawa et al., 2012) 津波電離圏ホール (Kakinami & Kamogawa et al., 2012) 電離圏の変動は磁力計でも Kamogawa, Mochizuki, Kakinami & Orihara et al. (2012) 地震波の伝播(約3.45km/s) Return current 分極による電場 が発生し、海中に 電流が流れる [Utada et al., EPSL, 2011] 地震予知のためには先行現象の存在が必要 先行現象を 見つけるならば 釈迦に説法ではありますが・・ ~自戒の念も込めて~ • 織原・鴨川(2011) • 科学的判断の手法が欠如している場合、地 震先行現象をバイアス的に信じやすくなる。 • 織原・鴨川(2012) • 学校では科学リテラシーの必要性は感じつつ もバイアスに関する教育はなされていない。 地震と先行現象と因果性を示すには・・・ 鴨川 (2012) • 帰納的アプローチ~統計をつかう • 演繹的アプローチ~物理的メカニズムをさぐる よくある誤解 鴨川 (2012) • 事前予知をリアルタイムで行うことで 証明する • 大地震の前の例をたくさんみせる 4つの窓 鴨川 (2012) • 地震があるときないとき、先行現象があるときないと きの4つの関係を必要がある。 地震がある 地震がない 異常がある 先行現象として 期待できる 異常が地震とは関係な い理由で生じている ことを示せればOK 異常がない この値が高いと 地震予知には 向かない 普段はどのようになって いるか知るのに大事 どんな発生のしくみなのか? 地震とは? 統計的性質 (グーテンベルグ・リヒター則) アスペリティーモデル (Ruff and Kanamori, 1983) 地震学会ニュースレター 「なゐふる」より(2002) NPO環境防災研究機構北海道 のホームページから カスケード モデル (After Felzer (USGS)) アスペリティーモデルだけではどうやらだめらしい・・・ 先行現象を探してみよう(帰納的) 電離圏変動を統計 で調べてみる 電離圏F領域における電子密度の減少 Liu et al.(2006) 416 Anomalies 307 Precursors M≥5.0 フランスの衛星 DEMETER VLF 帯電場測定 Before M>5.0 EQs After Nemec et al., GRL (2008) Nemec et al., JGR (2009) Before M>4.8 EQs After After Before Random EQs 統計的研究 Question? Rithbesh, EOS, 2006 Liu et al. JGR (2006) No result (TT-method): Cliverd et al., JGR, 1996 Statistical problem: Michael, GRL, 1997 Hayakawa et al. JGR (2010) Fujiwara & Kamogawa et al. GRL (2004) Seismic Focus しくみについて考えよう(演繹的) なにが電離圏を変化させ ているか? 考えられるメカニズム Kamogawa et al. (2004) 1995年兵庫県南部地震前に大気中に 発生したラドン (Yasuoka et al., 2009) ラドン放出が電離圏に作用するか? (Harrison, Aplin & Rycroft, 2010) 原発事故で大気電場が大幅に減少 =電気伝導度が大幅に増加 (Kamogawa & Kimura et al., 2012) 原発事故では顕著なTEC変動はまったく見えず・・・ (Kakinami & Kamogawa et al., 2011) もはやSFの世界ではない 地震制御 MHDによる電流注入誘発地震 N 350 a 300 250 200 150 t, day -20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20 実験の場に選んだ場所は硫黄島 (Kamogawa, Watanabe & Ukawa et al., 2012) 37 硫黄島の地震活動 (Kamogawa, Watanabe & Ukawa et al., 2012) 北部の地震は潮汐(体積歪)で誘発する (Kamogawa, Watanabe & Ukawa et al., 2012) 北部の地震 南部の地震 現状のまとめ • 地震の先行現象があるのは間違いない。 • ただいかなる地震でもみられるかというと、今の ところそうではない。 • しかし、宇宙からの地震予知研究は統計的結果 が出始めていることから更に進めるべきであろう • 地震制御もいずれは到達できるか。 我々にできることは? 超小型衛星で 検証はできるか? 世界の地震活動 (USGS, 2000-2011) 10 倍! 世界の地震活動に注目しよう VLF電波伝搬の測定 (Kamogawa (2006) and later reviews) 1) Decrease of Intensity of VLF electromagnetic waves Nemec et al. (2008) M≥5 earthquakes 電離圏電子密度減少 (Kamogawa (2006) and later reviews) 2) Decrease of ionospheric electron density Liu et al. (2006) M≥5 300km M≥7 3000km? どのように異常を検知する? 通常の電離圏を知る必要がある つまり電離圏経験モデルを作る Model depends on.. Local time Latitude Longitude Altitude Solar flux Geomagnetic activity etc…. Example of electron density map during geomagnetically quite period Precise model requires one solar cycle (11 years) observation. データを重ねてみる Time of Real earthquakes Time of Virtual earthquakes Possible Precursor Note: This is a conceptual view. プロジェクトの方針 • 実際に造ることを視野に入れた設計 – COTSを利用 – シンプルな構成に • 11年間観測し続ける=衛星を造り続ける – 学生で造る • UNITEC-Xとして等 – 国外と協力して造る • CLTP参加国と共にCanSatの次のステップとして 2012/12/16 UNISECレクチャーシリーズ 47 ミッションからの要求 • 11年連続での常時データ観測 • 太陽同期+非同期軌道での観測 • 4つのミッション機器を搭載 – – – – Electric Field Measurement(電場計測) Magnetic Field Measurement(磁場計測) Electron Density and Temperature Measurement(電子密度・温度計測) GPS Total Electron Contents(総電子数計測) Data size Payloads Sampling S-band UHF Power Bus requirement Weight rate Full data[/day] Trend data [/90 min] 0.1 deg. of altitude 2.4 kg for EFM 1 Hz* 138.2 MB 216.0 kB 4.0 W determination accuracy 4 booms MFM 1 Hz 0.5 MB 32.4 kB 2.0 W 0.8 kg power dispatching 0.8 kg EDTM 1 Hz 0.7 MB 21.6 kB 3.0 W -200V for ion spattering Dual frequency GPS TEC** 1 Hz 63.7 MB N/A 1.6W 0.06 kg signal reception * Spectrum data. Waveform data sampling is 20 kHz. 2012/12/16 UNISECレクチャーシリーズ ** TEC measurement is also used to determine satellite position (see GPS-R). 48 ミッションからの要求を整理 観測について: – 全球観測:太陽同期・非同期軌道による同時観測 太陽同期軌道の親衛星 – 11年連続での観測 と太陽非同期軌道の子衛星 • 誤差補正期間を含むこと によるコンステ 運用について: 南極基地を利用できる軌道 – 大容量のデータをダウンリンク 親衛星:SSO 子衛星:non-SSO 2012/12/16 UNISECレクチャーシリーズ ミッションからの要求を整理 • 姿勢系への要求 – 観測のため,0.1degC以下の姿勢決定精度 – 観測のため,1degC以下の姿勢維持精度 • 電力系への要求 – 展開ブームが6つ • ブーム以外は展開しない方針 – ミッション機器は常時稼働 • バスの消費電力は少なく • 通信系への要求 – ミッション機器は常時稼働 • ダウンリンク可能な周波数帯を利用 2012/12/16 UNISECレクチャーシリーズ 50 システム構成 2012/12/16 UNISECレクチャーシリーズ 51 衛星仕様を決定 Size Mass Mission Payloads Communication Power Attitude Control Orbit Determination Accuracy Attitude Determination Accuracy 2012/12/16 親衛星 子衛星 < 50 x 50 x 50 cm < 50 kg EFM × 4 MFM × 1 EDTM × 1 TEC × 1 S-band Transmitter & Receiver / Antenna × 2 (HK/Mission Downlink)300kbps/4kbps(receiver) UHF-band Transmitter / Antenna × 4 (Mission Downlink) 9600 bps < 10 x 10 x 20 cm < 3 kg Max Generation > 90 W Solar Array: Indium Tin Oxide cell Body Mount × 6 Max Consumption > 40W Li-ion Battery: 8 series × 2 parallel 2.5 ~ 4.2 × 8 = 20 ~ 33.6 V 2.9 × 2 = 5.8 Ah 3-axis attitude stabilization < 1 km < 0.1 deg. Max Generation > 3.4 W Solar Array: Indium Tin Oxide cell Body Mount × 5 Max Consumption > 2.9W Li-ion Battery: 1 series × 2 parallel 2.5 ~ 4.2 × 1 = 2.5 ~ 4.2 V 2.9 × 2 = 5.8 Ah Gravity-gradient stability UNISECレクチャーシリーズ EDTM: × 1 S-band Tx & Rx / Antenna × 2 52 衛星外観 親衛星 子衛星 +Z +X +Y +X,Y +Z 主衛星- 50kg級,太陽同期軌道 ,EFM,MFM,EDTM, GPS-Rを搭載 副衛星-3U-Cube,太陽非同期軌道,EDTMを搭載 2012/12/16 UNISECレクチャーシリーズ 53 ブーム展開機構 シ ス テ ム 構 造 系 姿 勢 系 電 源 系 通 信 系 2012/12/16 UNISECレクチャーシリーズ 54 姿勢系への要求を整理 シ ス テ ム 構 造 系 姿 勢 系 • 観測のため,0.1degC以下の姿勢決定精度 – スタートラッカとジャイロの組み合わせ or – 地球センサとジャイロの組み合わせ • 観測のため,5degC以下の姿勢維持精度 – モーメンタムホイールとMTQを組み合わせた3軸姿勢制御 電 源 系 通 信 系 2012/12/16 UNISECレクチャーシリーズ 55 電力収支が成立することを確認 シ ス テ ム 構 造 系 マージンがあるために 要求を満たす 姿 勢 系 電 源 系 通 信 系 System Bus (including U-Tx) Payloads S-Tx Heater 2012/12/16 Power Consumption [W] 24.73 9 3.6 5 Operational duration [min.] 90 90 30 38 UNISECレクチャーシリーズ 56 データを下ろせることを確認 シ ス テ ム 構 造 系 姿 勢 系 電 源 系 通 信 系 昭和基地局と相模原局を利用すると想定 Frequency [GHz] Transmitter power [dBW] Transmit Antenna Gain [dBi] Line Loss [dB] Transmit Antenna Pointing Loss [dB] Free Space Loss [dB] Atmosphere Absorption Loss[dB] Polarization Loss [dB] Rain Fades [dB] Receive G/T [dB/K] Receive C/No [dBHz] Modulation Type Required Eb/NO [dB] Required S/No[dB] Bit Rate [kbps] Coding type Hardware loss Modulation Loss (1.0rad) [dB] Margin [dB] 2012/12/16 S-band downlink 2263.6 -6.99 2 -5 0 -166.70 -0.5 0 -0.61 23.80 74.60 BPSK 6 N/A 300 Reed Solomon -1.5 N/A 12.33 S-band uplink Command Carrier 2084.4 10 35.13 -1 0 -166.16 -0.5 0 -0.61 -45.45 60 PCM-PSK-PM PCM-PSK-PM 10.34 N/A 4 BCH -1.5 -1.5 11.64 N/A 10.00 4 No Coding -1.5 -5.35 5.64 UHF downlink 460 -20.0 0 -1 0 -148.9 -0.5 0 -0.12 2.32 60.32 GMSK 3.2 N/A 9.6 Convolution -1.5 N/A 12.8 UNISECレクチャーシリーズ マージンがあるために要求を満たす 57 想定開発スケジュール 2012/12/16 UNISECレクチャーシリーズ 58