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単位根過程 定常過程 これまでの解析は定常性を仮定してきた 定常過程

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単位根過程 定常過程 これまでの解析は定常性を仮定してきた 定常過程
単位根過程
定常過程
これまでの解析は定常性を仮定してきた
定常過程の特徴
平均回帰的
長期的にはどちらの方向に動くかを一定の精度で予測できる
自己相関は 指数的に 減衰していく
ショックの影響はやがて消滅する 一時的な影響しかもたない
トレンドはもたない
1
経済・金融時系列データ
経済・金融時系列データの中には定常過程の性質をもたないものも
多い
や物価
一定の割合で成長していくことが期待される
対数系列は線形トレンドをもつ
為替レートや株価
将来を予測するのは難しい
単位根過程はこのようなデータをモデル化するのに便利
2
単位根過程
原系列は非定常過程だが,階差系列は定常過程に従う過程
:非定常過程
:平均 の定常過程
単位根過程 を
モデルで表現したとき,
う解をもつため,単位根過程と呼ばれる
多項式が
とい
階差定常過程とも呼ばれる
次和分過程または
が反転可能定常
ばれる
過程とも呼ばれる
過程のとき,
過程と呼
3
ドリフト率 のランダムウォーク
多項式:
多項式が
という解をもつことは明らか
定義
次和分過程,
過程
回階差をとった系列は非定常過程であるが, 回階差をとっ
た系列が定常過程に従う過程
過程
回階差をとった系列が反転可能定常
過程に従う過程
4
線形トレンドのモデル化
線形トレンドをどのようにモデル化するか?
つの代表的なモデル
トレンド定常過程
単位根過程 階差定常過程
トレンド定常過程
定常過程にトレンド項を含めた過程
:平均 の定常過程
とトレンド の差はほぼ一定の範囲に収まる
5
単位根過程が線形トレンドを表現できるのはなぜか
ドリフト率 のランダムウォーク
は確率的トレンドと呼ばれる
6
は確定的トレンドと呼ばれることもある
とトレンド の差は限りなく大きくなる可能性がある
どのような意味で単位根過程が線形トレンドをモデル化している
のか?
が に 平均 乗 収束するという意味で,単位根過程は線形トレ
ンドをモデル化している
7
トレンド定常過程と単位根過程の性質の違い
長期予測
トレンド定常過程の 期先予測
平均 の定常過程 の長期予測は に近づいていく
トレンド定常過程の長期予測は過去の値に依存しない
単位根過程の 期先予測
ドリフト率 のランダムウォークの 期先予測
将来の の予測値は
ランダムウォークの長期予測は初期値 に依存する
8
一般的な単位根過程の場合
単位根過程の階差系列は定常過程
単位根過程の階差系列の予測は容易
単位根過程の 期先予測
単位根過程の長期予測は初期値 に依存する
9
長期予測の
トレンド定常過程の予測の
の予測の
に一致
トレンド定常過程の予測の
いく
トレンド定常過程の長期予測の
は の条件無し分散に近づいて
は一定値に収束する
単位根過程の予測の
ドリフト率 のランダムウォークの 期先予測の
10
ランダムウォークの予測の
いく
一般的な単位根過程の場合
に相関があるため多少複雑
は線形的に限りなく増大して
単位根過程の予測の
は 漸近的 に線形的に限りなく増大
していく
株式収益率はトレンドはもたないが,イメージ的には株価の予
測と収益率の予測を考えると良い
11
ショックの影響 インパルス応答関数
トレンド定常過程の
定常過程は絶対総和可能な
過程で表現可能
トレンド定常過程におけるショックの影響は指数的に減衰する
12
単位根過程の
ドリフト率 のランダムウォークの
ランダムウォークにおけるショックは恒久的な影響をもつ
一般的な単位根過程の場合
単位根過程におけるショックは恒久的な影響をもつ
13
定常変換
トレンド定常過程に対する定常変換
トレンド定常過程を定常にするためには,トレンド成分を除去
すればよい
単位根過程に対する定常変換
単位根過程を定常にするためには, 確定的 トレンド成分を除
去するだけでは不十分
単位根過程を定常にするための正しい変換は階差をとること
14
定常過程と単位根過程のまとめ
トレンド定常過程と単位根過程はともに線形トレンドを記述できる
モデルではあるが,その性質に大きな違いが存在
トレンド定常過程と単位根過程の性質の違いは,定常過程
位根過程
の性質の違いとも言える
と単
平均回帰性
平均回帰的
平均回帰的ではない
長期予測
長期予測は初期値 に依存せず,条件無し期待値に収束
長期予測は初期値 に依存する
予測誤差
予測誤差は有限の値 条件無し分散 に収束
予測誤差は限りなく大きくなっていく
15
ショックの影響 インパルス応答関数
ショックは一時的な影響しかもたない 減衰していく
ショックは恒久的な影響をもつ
定常変換
何もしないまたはトレンド成分を除去する
階差をとる
定常過程と単位根過程を区別することは重要である
単位根検定の必要性
16
単位根検定の意義
理想的な単位根検定は任意の単位根過程を任意の定常過程に対して
検定できるもの
任意の定常過程に対して,有限個の観測値に基づくだけでは,区別
することができない単位根過程が必ず存在する
過程を限定しない限り,単位根検定を行うことできない
単位根検定の主要な目的は真の過程を適切に近似する倹約的なモデ
ルを見つけ出すということにある
17
検定
モデルを
過程に限定
と の下でのモデルが,定数を含むかどうか,時間トレンドを
含むかによっていくつかの場合が存在
場合
場合
場合
と
の両方でモデルが妥当なものになるように場合を選択
場合 を選択すると間違いではないが,他の場合が正しい場合は検
出力が落ちる
場合を選択するポイント
過程がトレンドをもつかどうか
過程の期待値が かどうか
18
金利
金利は線形トレンドをもたない
平均は ではない
場合 を選択
の対数系列
の対数系列は線形トレンドをもつ
定数をもつ単位根過程またはトレンド定常過程
場合 を選択
場合 または場合 が用いられることが多い
推定する回帰モデルは,
場合
場合
場合
と
の両方を記述できるモデルを選択
19
検定は推定する回帰モデルにおいて
して検定することと同じと考えてよい
を
に対
場合
推定する回帰モデル:
検定:
通常の片側 検定をすれば良い?
残念ながら通常の 検定を用いることはできない
のとき,
の通常の漸近理論は成立しない
のときの正しい漸近理論に基づいて,
に対して検定することを
検定という
を
20
の場合の
推定量の漸近分布
場合 :
大数の法則
中心極限定理
スルツキーの定理
21
の場合の
推定量の漸近分布
のとき,時間がどんなに離れても,データ間の相関が消滅し
ないため,大数の法則と中心極限定理は成立しない
の結果は特殊な形で成立
のとき,
推定量は通常よりも早い速度で収束していく
検定に用いることができる漸近分布を得るためには で基準化する
必要がある
のときの漸近分布はブラウン運動の汎関数となる
22
ブラウン運動
定義:標準ブラウン運動
は,
の任意の時点に値をとり,
以下の性質を満たすスカラー連続確率過程
である.
任意の時点
において,
は各変数が独立な多変量正規分
布に従い,
である
任意の与えられた実現値において,
は確率 で に関して連続
である
一般的な分散 のブラウン運動は標準ブラウン運動に をかけるこ
とによって得られる
ブラウン運動は計量経済学やファイナンスの分野では非常に重要な
役割を果たす
の公式の導出
23
の場合の
推定量の漸近分布と
検定
汎関数中心極限定理
ランダムウォークの連続時間極限はブラウン運動
連続写像定理
とし,
を連続汎関数とするとき,
単位根をもつ
過程における係数推定量はブラウン運動の汎関
数 関数の関数 となる
統計量の漸近分布
24
検定は
や を用いて
や の漸近分布は
を検定する
分布と呼ばれることがある
であるので,
分布は非正規分布であり,右に歪
んでいる
通常の片側 検定よりも の棄却点は小さくなる
通常の 検定を用いると,
の帰無仮説を棄却しすぎてしまう
が仮定できる場合は,漸近分布を用いずに,モンテ
カルロシミュレーションによる棄却点を用いる
25
検定の拡張
検定では
過程が真のモデルと仮定
は自己相関をもたない
あまり現実的ではない
の自己相関に対処する方法
検定統計量に自己相関修正を施す
検定
真のモデルを
拡張
過程とする
:
検定
26
検定
検定では
過程が真のモデルと仮定
は自己相関をもたない
あまり現実的ではない
検定は が自己相関と分散不均一性をもつことを許す
場合
と に自己相関修正を施す
検定統計量の漸近分布は
検定のやり方は
検定統計量の漸近分布と同一
検定と全く同じで,用いる統計量だけ異なる
27
検定
真のモデルを
過程とする
過程の別表現
ただし,ここで
過程が単位根をもつ
特性方程式
が
を解にもつ
28
検定 場合
推定する回帰モデル
検定する仮説:
検定のやり方は
モデルの次数は
検定と同じだが,推定するモデルが異なる
や
で選択する
モデルの次数はデータの種類によって決めることも多い
29
単位根検定の手順
データの性質を考慮して,帰無仮説のモデルと対立仮説のモデルを
選択する
データがトレンド含む場合,帰無仮説のモデルには定数を含め,
対立仮説のモデルにはトレンド項を含める 場合
,物価
データがトレンドを含まないが,平均が でない場合は,定数項
を含める 場合
金利,為替レート
対立仮説の モデルを
検定:
検定:
で推定する
過程
過程
30
検定統計量の値を計算する
統計量:通常の 統計量に修正を施したもの
統計量:通常の 統計量
各統計量をそれぞれの棄却点と比較し,統計量のほうが小さければ,
単位根の帰無仮説を棄却する
帰無仮説が棄却されなければ,階差系列を用いて,もう一度単位根
検定を行う
帰無仮説が棄却されれば,データが定常であることを意味するので,
予測などの解析を行う
31
単位根検定の諸問題
検出力の低さ
一般に定常過程と非定常過程は区別するのは難しい
与えられた任意の標本に対して,同等の精度で記述できる定常過
程と非定常過程が存在する
検定の不安定性
検定と
検定で結果が異なることが多い
検定では
次数の選択に結果が依存することも多い
検定の結果が標本期間に依存することも多い
見せかけの単位根
真の過程が定常過程であっても,何らかの構造変化があったとき
に,それを無視して単位根検定を行うと,単位根が採択される場
合が多い
32
ベイズ解析からの批判
古典的な統計的推測では,信頼区間と単位根検定が相反する結果
を示すことも多い
例えば,
とすると,信頼区間の構築には定常過程の漸
近分布が用いられるが,単位根検定には
分布が用いられる
ため
の信頼区間は を含まないが,単位根検定では単位根
を棄却できない場合がある
ベイズ解析を用いると,通常の 検定を用いて単位根
定することができる
を検
ベイズ解析では, の信頼区間を用いて単位根の検定をすること
もできる
単位根の可能性があるときは,ベイズ解析を使う方が良いという
意見もある
33
単位根
過程における統計的推測
真のモデル: 個の単位根をもつ
このモデルを
過程
で推定したときの
過程の別表現:
推定量の性質は?
回帰モデル
推定量:
単位根検定の結果: の分布は非標準的
34
回帰モデルにおいて
以外の説明変数は定常
回帰モデルの定常説明変数に関しては,通常の漸近理論が成立
は
のオーダーで正規分布に従う
検定や 検定も通常通り
回帰モデルと元の回帰モデルのパラメータ間の関係
回帰モデルと元の回帰モデルのパラメータ間の関係
は
のオーダーで正規分布に従う
35
の漸近分布は非標準的だが, より早い速度で収束していく
: のオーダーで収束
:
のオーダーで収束
の収束オーダーとその漸近分布は?
は
のオーダーで正規分布に従う
単位根
過程における
規分布に従う
推定量はすべて
のオーダーで正
検定は通常通り行うことができる
一部の 検定を除いては, 検定も通常通り行うことができる
例外:
36
単位根
過程における統計的推測
真のモデル: 個の単位根をもつ
過程
過程が単位根をもつ条件
このモデルを
で推定したときの
推定量の性質は?
変量の場合の結果とほぼ同じ
推定量:
はすべて
のオーダーで正規分布に従う
検定は通常通り行うことができる
一部の 検定を除いては, 検定も通常通り行うことができる
例外 :
例外 :グレンジャー因果性検定
37
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